2013年9月2日,バーゼル銀行監視委員会および証券監督者国際機構は「中央清算されないデリバティブ取引に係る証拠金規制」の最終報告書を発表した1),2)。ここ では,清算機関で決済しない相対取引には,証拠金(現金または高格付け政府債)を差し入れることを2015年12月以降義務付けることとしている。対象となる店頭デリバ ティブ取引は,金利スワップやクレジット・デフォルト・スワップ(以下,CDS)であり,為替取引の先物や為替スワップは対象外としている。
店頭デリバティブの清算機関・取引情報蓄積機関・電子取引基盤
福 本 葵
要 旨
店頭デリバティブ取引は,本来,リスクヘッジの手段として,期間や元本等の契約内容が,契約の当事者間で自由に設計されてきた。また,ヘッジする原契約のリスクも様々であるため,自由に設計することのニーズも大きかった。
しかし,2008年の金融危機によって,店頭デリバティブ取引のリスクを市場全体として把握すべき,管理すべきという要請が生まれた。店頭デリバティブ取引のシステミック・リスクが拡大するからである。システミック・リスクを低減するためには,店頭デリバティブ市場の透明性の向上や店頭デリバティブ取引やその参加者に対する規制を強化する必要があるとされるようになった。
清算機関の利用や取引情報蓄積,報告などの制度を通じ,リスクを把握し,価格の公正性を管理する必要性があるとされている。さらに,金融危機直後,デリバティブ取引についても店頭市場での流動性が低下する事態が生じたが,このような流動性についても,信頼できる透明性の高い取引システムが存在すれば,取引金融機関当事者の信用力に依拠することなく,安心して取引が行われるため,流動性が極端に低下することはないと考えられる。
そこで,本稿では,金融危機以後の国際的な規制強化の要請を受け,日本が店頭デリバティブ取引について,具体的にどのような規制を設けてきたか,これまでの進捗状況について整理し,今後予定されている規制についての方向性を分析し,規制の問題点について,考察する。
Ⅰ.はじめに──新たな規制
目 次
3.取引情報蓄積機関
Ⅱ.金融危機以降の国際的な店頭デリバティブ改革
Ⅲ.日本の店頭デリバティブ改革
1.改革の議論と金商法改正
2.清算機関
4.電子取引基盤(電子情報処理組織,電子取引プラットフォーム)
Ⅴ.店頭デリバティブ改革の課題
Ⅰ.はじめに──新たな規制
2013年9月2日,バーゼル銀行監視委員会および証券監督者国際機構は「中央清算されないデリバティブ取引に係る証拠金規制」の最終報告書を発表した1),2)。ここでは,清算機関で決済しない相対取引には,証拠金(現金または高格付け政府債)を差し入れることを2015年12月以降義務付けることとしている。対象となる店頭デリバティブ取引は,金利スワップやクレジット・デフォルト・スワップ(以下,CDS)であり,為替取引の先物や為替スワップは対象外としている。
このような規制強化が行われる目的は,主に二つあり,その一つは,標準化されていない店頭デリバティブのリスクを削減するためである。二つ目の目的は,清算機関の利用促進である。このように規制の強化が図られるが,最終報告では,担保の要件を従来の想定から緩和している。また担保対象資産範囲を拡大している。規制の対象となる取引価値の基準値は, 5,000万ユーロ以上である。また,銀行,証券会社は一回に限り,当初証拠金として差し入れた担保の再利用を行うことができる。
本来は,店頭デリバティブ取引は,リスクヘッジの手段として,期間や元本等の契約内容が,契約の当事者間で自由に設計されてきた。また,ヘッジする原契約のリスクも様々であるため,自由に設計することのニーズも大きかった。
しかし,2008年の金融危機によって,店頭デリバティブ取引のリスクを市場全体として把握すべき,管理すべきという要請が生まれた。店頭デリバティブ取引のシステミック・リスクが
拡大するからである。システミック・リスクを低減するためには,店頭デリバティブ市場の透明性の向上や店頭デリバティブ取引やその参加者に対する規制を強化する必要があるとされるようになった。
また,金融危機直後,デリバティブ取引についても店頭市場での流動性が低下する事態が生じたが,信頼できる透明性の高い店頭デリバティブ取引システムが存在すれば,取引金融機関当事者の信用力に依拠することなく,安心して取引が行われるため,流動性が極端に低下することはないと考えられる。
そこで,本稿では,金融危機以後の国際的な規制強化の要請を受け,日本が店頭デリバティブ取引について,具体的にどのような規制を設けてきたか,これまでの進捗状況について整理し,今後予定されている規制についての方向性を分析し,規制の問題点について,考察したい。
Ⅱ.金融危機以降の国際的な店頭デリバティブ改革
2008年の金融危機を契機に,店頭デリバティブ取引を通じた不透明かつ過度なリスクテイクを制限し,そのシステミック・リスクを低減するために,店頭デリバティブ市場の透明性向上や,店頭デリバティブ取引やその参加者に対する規制強化が必要であるとする議論が盛んになった。各国の立法機関および行政機関は,金融システムの機能を確保し,リスクを削減するため,透明化の促進に向けた監督システムの構築に尽力してきた。
例えば,G20は,2009年に,店頭デリバティブ取引に伴うシステミック・リスクを低減する
ための改革プログラムを開始した。2009年に当初合意された通り,G20の改革プログラムは,以下の4つの要素から構成されている3)。
①標準化されたすべての店頭デリバティブ契約は,適当な場合には,取引所または電子取引基盤を通じて取引されるべきである。
②標準化されたすべての店頭デリバティブ取引は,中央清算機関(CCP)を通じて決済されるべきである。
③店頭デリバティブ契約は,取引情報蓄積機関(trade repositories)に報告されるべきである。
④中央清算機関を通じて決済されないデリバティブ契約は,より高い所要自己資本賦課の対象とされるべきである。
ま た,2010 年 10 月,金 融 安 定 理 事 会
(Financial Stability Board,以下,FSB)は, “Implementing OTC Derivatives Market Reforms” と題するレポートの中で,21の勧告を策定した4)。また,2012年1月には,支払い・決済システム委員会および証券監督者国際機 構(CPSS-IOSCO)は,“Requirements for OTC derivatives data reporting and aggrega- tion: CPSS-IOSCO publishes final report” を発表し,2012年6月,IOSCO の店頭デリバティブ・タスク・フォースは,国際基準を算定した最終報告書である “International Standards for Derivatives Market Intermediary Regulation Final Report” を発表した5)。
これらの国際的な会議の他,アメリカのドッド・フランク法や欧州規制インフラ機構
(European Market Infrastructure Regulation, EMIR)等でも,店頭デリバティブ取引についての規制を設けている。
Ⅲ.日本の店頭デリバティブ改革
1.改革の議論と金商法改正
一方,日本における店頭デリバティブ制度改革の始まりは,2010年5月19日「金融商品取引等の一部を改正する法律」公布である。この法律では,2012年11月までに一定の条件を満たす CDS 取引について,国内の清算機関利用の義務付け,取引情報蓄積機関への報告義務等を法制化した。つまり,金融商品取引業者等に対し,取引高その他の取引状況に照らし,その取引に基づく債務の不履行が我が国の資本市場に重大な影響を及ぼすおそれのある取引について,免許を受けた清算機関(国内または外国)の利用を義務付け(156条の62①二),さらに,その特性に鑑み,我が国において清算する必要がある取引については,国内清算機関の利用を義務付けている(156条の62①一)。
取引情報蓄積・報告に関しては,金融商品取引業者等や清算機関に対し,取引情報の保存および当局への提出を義務付け(156 条の63, 64),また,金融業者等は,自らに代わり,当局が指定する取引情報蓄積機関による保存及び当局へ報告を選択可能とすること(156 条の 65),そして,当局は入手した取引情報の概要を公表することを規定した(156条の66)。
2010年の金融商品取引法の改正では,国際的な進捗状況を鑑み,電子取引基盤での取引義務化は見送ることとなった。
また,2010年金融商品取引法改正に伴い,
「平成22年金融商品取引法改正に係る政令・内閣府令」が2011年4月1日に施行された。清算機関は,金融システム上,危機の伝播を遮断す
る役割を担うインフラとしての重要性を鑑み,法律では,清算機関について,主要株主規制や最低資本金制度は政令に委任された。政令または内閣府令で,規制を導入することとなった。まず,国内の金融商品取引清算機関に対する 最低資本金の額は,10億円とされた。また,議決権の20%以上を有する者に対する認可制とい
う主要株主規制も導入されることとなった6)。さらに,日本の金融機関は,店頭デリバティ
ブ取引を国際的に行っている実態に鑑み,外国清算機関についても国内清算機関との連携方式を認めるなどの制度の導入を図っている。
金融商品取引法が改正された後も,金融庁内では引き続き規制改革についての検討が行われ,2011年12月26日,金融庁の「OTC デリバティブ市場規制にかかる検討会」は,OTC デリバティブ取引の,①清算機関での清算義務,
②取引情報の保存・報告義務,③電子取引基盤での取引義務,を課す具体的な対象商品・対象者などに関する議論の取りまとめを公表した7)。
さらに,2012年3月9日,第180国会に,電子取引基盤の利用義務付け等を含む「金融商品取引法等の一部を改正する法律」が提出され, 2012年9月6日に成立した8)。電子取引基盤の利用義務付けは,前述の清算機関や取引情報蓄積,報告の義務付けよりも1年,法整備が遅れたこととなる。
中央清算機関を通じて決済されないデリバティブ契約は,より高い所要自己資本賦課の対象とされるべきとする規制については,2013年
9月2日,バーゼル銀行監視委員会および証券監督者国際機構は最終報告書を発表した。
2.清算機関
(1) 日本における既存の清算機関
現在,金融商品取引法に基づく金融商品取引清算機関には,後述する株式会社日本証券クリアリング機構(JSCC),株式会社証券保管振替機構における一般振替 DVP のための精算業務を行う株式会社ほふりクリアリング,市場デリバティブ取引の清算業務を行う株式会社東京金融取引所の3社がある。かつては,国債の店頭取引の清算業務は,株式会社日本国債清算機構
(JGBCC)が行っていた。これは,2013年10月
1日,株式会社日本証券クリアリング機構に吸収合併された。また,株式会社大阪証券取引所も市場デリバティブ取引の清算業務を行っていたが,2013年7月16日をもって,株式会社日本証券クリアリング機構に統合された。日本証券クリアリング機構は,取引対象を拡大し,主たる清算機関になっている。これは,アメリカの清算機関である NSCC が各取引所の持っていた清算部門を統合し,拡大した経緯に類似する。アメリカでは現在,DTCC の子会社として,NSCC の他,種々の金融商品を清算する機関が設立,運営されている。
また,商品先物取引法に基づく清算機関には,株式会社日本商品清算機構(JCCH)がある。
店頭デリバティブ取引の清算業務を行うのは,株式会社日本証券クリアリング機構である。JSCC は東京証券取引所等の金融商品取引所における株式等の現物取引および市場デリバティブ取引の清算業務並びに店頭デリバティブ取引の清算業務を行っている。
(2) 日本証券クリアリング機構(JSCC)
日本証券クリアリング機構は,日本で初めて,当時の証券取引法に基づく「証券取引清算機関」として有価証券債務引受業の免許を受け,2003年1月14日から業務を開始した清算機関である。従来,各取引所において独立して行われていた現物取引の清算および決済が統一化された。現物取引の清算から開始された。2011年7月19日より株式会社日本証券クリアリング機構が金融商品取引清算機関として初めて店頭デリバティブ取引である CDS 取引の清算業務を開始した。我が国唯一の店頭デリバティブの清算機関である9)。
同社の発行済株式総数は,64,885株である。同社は4種類の種類株式を発行している。発行済株式総数のうち A 種類株式 33,543株,B種類株式 9,000株,C 種類株式 10,000株, D 種類株式は,12,342株である。それぞれの持株比率は図表1に示す通りである。4種類の種類株式のそれぞれの過半数を日本取引所グループが保有しており,日本取引所グループの子会社となっている。同社が種類株式を発行するのは,それぞれの取引対象の参加者の意見を反映させるためであると考えられる。取引対象の参加者が種類株式を取得し,当該取引に関する詳細を種類株主総会での決議事項とすることにより,取引参加者の意思を清算業務に反映させることができるからである。
(3) CDS のクリアリング
金融商品取引法第156条の7には,清算機関が,業務方法書によって,その業務を行わなければならないことが定められている。CSD 清算に関しては,「CDS 清算業務に関する業務方法書」の第2 章第1 節以降に規定されてい
る10)。
金融商品取引法156条の7第2項では,業務処理書には,その清算参加者の要件を定めなければならないとされている。清算参加者になろうとする金融商品取引業者または登録機関は, JSCC に対し,取得申請を行い,承認を得る必要がある。これを受け,JSCC は,清算資格の承認審査を行う。取得申請者に対する清算資格の取得の承認を行うことが JSCC の CDS 清算業務の適切な遂行を確保する観点から適当であると認めるときは,承認を行う。CSD 参加者となる資格要件は,経営体制,財務基盤,業務執行体制の3つである。
業務開始時の清算参加者は,大和証券キャピタル・マーケッツ株式会社,野村證券株式会社,みずほ証券株式会社,三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社,モルガン・スタンレー MUFG 証券株式会社の5社であった。 2013年9月3日の参加者は以下の10社に拡大している(図表2)。
清算機関が存在しない場合,プロテクションの売り手が倒産した後,参照組織が倒産しても
(イベントが起こっても),プロテクションの買い手は,プロテクションの売り手から,支払いを受けることができない。一方,プロテクションの買い手が倒産した場合,プロテクションの売り手は,残存期間の金利を受け取ることができない。期限の利益を失う。クレジット・イベントが発生した場合,参照組織が債務を支払う。参照組織が支払った債務が不足する場合,本来はプロテクションの売り手が支払う。一方,JSCC が清算する場合,取引期間中にプロテクションの売り手が倒産しても JSCC がプロテクションの買い手に支払う。
また,取引期間中にプロテクションの買い手
図表1 株式会社日本証券クリアリング機構の株主構成(2013年10月23日現在)
A 種類株式
33,543株
D種類株式
12,342株
株主名 | 持株比率(%) |
(株)日本取引所グループ | 88.7 |
(株)日本証券クリアリング機構 | 10.5 |
(株)名古屋証券取引所 | 0.6 |
証券会員制法人 福岡証券取引所 | 0.04 |
証券会員制法人 札幌証券取引所 | 0.04 |
(株)日本取引所グループ | 52.9 |
上田八木短資株式会社 (1.9%) | 1.9 |
株式会社岡三証券グループ | 1.9 |
クレディ・アグリコル・セキュリティーズ・アジア・ビー・ヴィ | 1.9 |
クレディ・スイス証券株式会社 | 1.9 |
JPモルガン証券株式会社 | 1.9 |
セントラル短資株式会社 | 1.9 |
セントラル東短証券株式会社 | 1.9 |
大和証券株式会社 | 1.9 |
東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社 | 1.9 |
東短ホールディングス株式会社 | 1.9 |
ドイツ証券株式会社 | 1.9 |
日本証券金融株式会社 | 1.9 |
日本相互証券株式会社 | 1.9 |
農林中央金庫 | 1.9 |
野村ホールディングス株式会社 | 1.9 |
バークレイズ証券株式会社 | 1.9 |
BNP パリバ証券株式会社 | 1.9 |
BGC ショウケンカイシャリミテッド | 1.9 |
株式会社三井住友銀行 | 1.9 |
メリルリンチ日本証券株式会社 | 1.9 |
モルガン・スタンレー MUFG 証券株式会社 | 1.9 |
UBS証券株式会社 | 1.9 |
みずほ証券株式会社 | 1.7 |
株式会社三菱東京 UFJ 銀行 | 0.9 |
三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 | 0.9 |
株式会社みずほ銀行 | 0.2 |
B 種類株式 9,000株
(株)日本取引所グループ | 100 |
C 種類株式 10,000
(株)日本取引所グループ | 58.2 |
クレディ・スイス証券株式会社 | 2.2 |
ゴールドマン・サックス証券株式会社 | 2.2 |
JP モルガン証券株式会社 | 2.2 |
シティグループ証券株式会社 | 2.2 |
ソシエテ・ジェネラル(ソシエテ・ジェネラル銀行) | 2.2 |
株式会社大和証券グループ本社 | 2.2 |
ドイツ証券株式会社 | 2.2 |
バークレイズ・バンク・ピーエルシー(バークレイズ銀行) | 2.2 |
野村ホールディングス株式会社 | 2.2 |
BNP パリバ証券株式会社 | 2.2 |
株式会社みずほ銀行 | 2.2 |
株式会社三井住友銀行 | 2.2 |
三井住友信託銀行株式会社 | 2.2 |
株式会社三菱東京 UFJ 銀行 | 2.2 |
メリルリンチ日本証券株式会社 | 2.2 |
モルガン・スタンレー MUFG 証券株式会社 | 2.2 |
ユービーエス・エイ・ジー(銀行) | 2.2 |
株式会社りそな銀行 | 2.2 |
ロイヤルバンク・オブ・スコットランド・ピーエルシー東京支店 | 2.2 |
が倒産した場合には,JSCC がプロテクションの売り手に固定金利を支払う。JSCC が清算することにより取引参加者はリスクを免れることができる。
(4) どのような CSD が清算されるか
日本証券クリアリング機構の「CDS 取引に係る清算業務に係る制度要綱」では,清算の対象取引として,以下の条件を満たす CDS 取引を清算の対象とするとしている。
① International Swaps and Derivatives Asso-
〔出所〕 株式会社日本証券クリアリング機構
(http://www.jscc.co.jp/kaisya/gaiyou.html)
ciation, Inc. が定める基本契約書11)に準拠した取引であること。
②株式会社日本証券クリアリング機構が定める方法により照合された取引であること。具体的には,当初は Deriv/SERV(DS Match)12)で 照 合 さ れ,Trade Information Ware- house13)に記録された取引であることとする。
③ JSCC の清算参加者同士の取引であり,かつ JSCC を利用することに合意していること。
④ iTraxx Japan を対象とするインデックス
図表2 CDS の清算参加者(2013年9月3日現在)
清算参加者名 | 業種 |
ゴールドマン・サックス証券株式会社 | 証券会社 |
シティグループ証券株式会社 | 証券会社 |
大和証券株式会社 | 証券会社 |
ドイチェ・バンク・アクチエンゲゼルシヤフト(ドイツ銀行) | 外国銀行 |
野村證券株式会社 | 証券会社 |
ビー・エヌ・ピー・パリバ(ビー・エヌ・ピー・パリバ銀行) | 外国銀行 |
みずほ証券株式会社 | 証券会社 |
三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 | 証券会社 |
メリルリンチ日本証券株式会社 | 証券会社 |
モルガン・スタンレー MUFG 証券株式会社 | 証券会社 |
〔出所〕 株式会社日本証券クリアリング機構(http://www.jscc.co.jp/sankasha/cds/cds2.html)
CDS 取引であること。
⑤円建ての取引であること。
⑥クレジット・イベントが3CE((Bankruptcy破産,Failure to Pay 支払不履行,Restruc- turing リストラクチャリング)であること。
⑦想定元本が100億円以下であること。
⑧残存期間が10年3か月以下であること。
⑨営業日として,東京,ニューヨーク又はロンドンの営業日を用いる取引であること。
⑩営業日調整として,翌営業日方式又は修正翌営業日方式を用いる取引であること。
⑪ 日数計算式とし て,Actual/365,Actual/ Actual,Actual/365 (Fixed),Actual/360, 30/360,360/360,Bond Basis 又は30E/360を用いる取引であること。
⑫その他,JSCC が定める取扱要件に合致する取引であること。
これらの条件を満たせば,既存取引でも清算の対象となる。
そして,日本証券クリアリング機構は, CDS 清算業務に関する業務方法書の取扱い第
9条で,「業務方法書(CDS 清算業務に関する業務方法書)第2条第1項第39号14)に規定する当社が指定する銘柄は,インデックス CDS 取引の銘柄のうち当社が公示により指定するものとする。」としている。この規定に基づき, 2013年9月20日以降の適格 CDS 取引の銘柄が指定された。
具体的には,日本企業50銘柄を対象とした,いわゆる iTraxx Japan 50を指す iTraxx Japanである15)。このように,対象取引はまだ限定されている。金融危機に端を発した店頭デリバティブ規制改革の主旨を考えると,限定された取引を清算するだけでは不十分であり,対象取引を拡大する必要があると考えられる。
(5) 金利スワップのクリアリング
店頭デリバティブ取引の多くは,CDS よりもむしろ金利スワップである16)。BIS の発表する報告書において,2013年後半の取引量は,合計692,908(10億米)ドルのうち,金利スワップ取引が577,269(10 億米)ドル,CDS 取引
図表3 金利スワップの取引参加者(平成25年7月1日現在)
SMBC 日興証券株式会社 | 証券会社 |
クレディ・スイス証券株式会社 | 証券会社 |
ゴールドマン・サックス証券株式会社 | 証券会社 |
JP モルガン証券株式会社 | 証券会社 |
シティグループ証券株式会社 | 証券会社 |
ソシエテ・ジェネラル(ソシエテ・ジェネラル銀行) | 外国銀行 |
大和証券株式会社 | 証券会社 |
ドイチェ・バンク・アクチエンゲゼルシヤフト(ドイツ銀行) | 外国銀行 |
野村證券株式会社 | 証券会社 |
バークレイズ・バンク・ピーエルシー(バークレイズ銀行) | 外国銀行 |
ビー・エヌ・ピー・パリバ(ビー・エヌ・ピー・パリバ銀行) | 外国銀行 |
株式会社みずほ銀行 | 銀行 |
株式会社三井住友銀行 | 銀行 |
三井住友信託銀行株式会社 | 銀行 |
株式会社三菱東京 UFJ 銀行 | 銀行 |
三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 | 証券会社 |
メリルリンチ日本証券株式会社 | 証券会社 |
モルガン・スタンレー MUFG 証券株式会社 | 証券会社 |
ユービーエス・エイ・ジー(銀行) | 外国銀行 |
株式会社りそな銀行 | 銀行 |
ロイヤルバンク・オブ・スコットランド・ピーエルシー | 外国銀行 |
〔出所〕 株式会社日本証券クリアリング機構(http://www.jscc.co.jp/sankasha/irs/irs2.html)
は,24,845(10億米)ドルとなっている。
金利スワップ取引においても,清算機関が,両当事者間において発生した債務を負担するとともに,それに対応する債権を取得し,債権・債務の当事者となることにより,その決済を保証すれば,個々の取引当事者は原始取引相手方の信用リスクを意識することなく取引を行うことができる。
日本証券クリアリング機構の金利スワップの取引参加者は,2013年7月1日現在で21社ある
(図表3)。
JSCC が行う債務負担は,以下の手続きを取
る。まず,MarkitSERV 社が提供する照合プラットフォーム(MarkitWire)において,金利スワップ取引の両当事者が,取引の照合および JSCC に対する債務負担の申込みを実施する。債務負担の申込みが行われた取引に関して,JSCC は,取引の適格性や担保等の充足状況の確認等を行う。JSCC が全ての清算参加者において問題がないことを確認した後,債務負担が実施される。債務負担が実施されると,それを条件として,当該清算参加者間における取引は合意解消される。
(6) どのような金利スワップ取引が清算されるか
日本証券クリアリング機構が清算業務を行う対象金利スワップについては,金利スワップ取引清算業務に関する業務方法書の取扱い第9条に,「業務方法書(金利スワップ取引清算業務に関する業務方法書)第2条第1項第47号17)に規定する当社が定める要件は,次に掲げるすべての要件(有価証券等清算取次ぎの委託に基づいて成立する清算参加者間の金利スワップ取引及び損失回避取引については,第1号及び第2号を除くすべての要件)とする。」として,以下の条件を挙げている18)。
① International Swaps and Derivatives Asso- ciation, Inc. (ISDA)が定める基本契約書および定義集に基づく取引であること。
② MarkitSERV 社が提供する MarkitWire で照合された取引であること。
③ JSCC の清算参加者同士の取引であり,かつ JSCC で清算することに合意していること。
④固定金利と変動金利の交換又は変動金利と変動金利の交換を行う取引であること。
⑤変動金利が British Bankers Association が 公表する日本円 LIBOR であること。
⑥変動金利の期間が3か月又は6か月であること。
⑦円建ての取引であること。
⑧その他,JSCC が定める要件に合致する取引であること。
3.取引情報蓄積機関
2009年の G20の勧告では,遅くとも2012年末までに,店頭デリバティブ契約は,取引情報蓄積機関に報告されるべきであるとしている。
これを受け,金融商品取引法の一部を改正す
る法律では,金融商品取引業者等や清算機関に対し,取引上法の保存および当局への提出を義務付けた(156条の64)。金融商品取引業者等は,自らに代わり,当局が指定する取引情報蓄積による保存か,当局へ直接報告かのどちらかを選択することができる(156条の64③)。取引情報蓄積機関に対し報告をした場合には,当該取引情報蓄積機関が取引情報を保存し,当局に報告をする義務を負う(156条の65)。そして,当局は,入手した取引の概要を公表しなければならない(156条の66)。清算機関または取引情報蓄積機関に公表を命じることも可能である。従って,金融商品取引業者には,取引の情報 を報告する方法が3つあり,選択可能である。清算機関に対するもの,取引情報蓄積機関に対するもの,そして,金融商品取引業者自らが当局に対して行うものである。清算集中の対象と
なる取引は,清算機関に対して行う。
制度設立当初の取引の報告義務対象者は,第一種金融商品取引業者および銀行等(登録金融機関のうち銀行法第2条に規定する銀行,農林中央金庫および信金中央金庫)とし,取引量の少ない中小規模の取引者に対しては,義務を課さないこととすることになった。また,報告された店頭デリバティブ取引の状況を勘案し,その後必要があれば,取引報告の対象者を拡大することとなった。
報告の対象となる取引は,清算集中の対象となる取引と取引情報蓄積機関が取引情報蓄積業務の対象とする取引である。取引項目は,取引情報蓄積機関が保存している項目を踏まえ, IOSCO TF 報告書案の付属資料で提案されている項目等を勘案して,商品類型ごとに決定される。
取引情報蓄積機関となるためには,当局によ
図表4 店頭デリバティブ取引等に関する取引情報の保存・報告義務の導入
〔出所〕 金融庁「金融商品取引法等の一部を改正する法律案に係る説明資料」(2010年3月)(http://www.fsa.go.jp/com- mon/diet/174/01/setsumei.pdf)
る指定が必要となる。本法律では,第156条の 67から84まで,取引情報蓄積機関に関する規定があり,第156条の67には,内閣総理大臣が指名する取引情報蓄積機関の要件が規定されている。
そこで,これを受け,2013年3月8日,金融庁は DTCC データ・レポジトリー・ジャパン株式会社を金融商品取引法第156条の67条第1項に基づき,取引情報蓄積業務を行う者として,指定したことを発表した19)。
2013年4月には,DTCC データ・デポジトリー・ジャパンが,金融庁への取引情報の報告を開始した20)。現在のところ,同社が,我が国唯一の取引情報蓄積機関である。
DTCC は同じ業務を本国のアメリカ,イギ
リス,オランダでも開始している。この度の日本の他,アジアでは,香港でも開始されている。また,シンガポールでも準備を始めているとされている。
取引情報蓄積機関の役割は,国際的に共通する部分が多い。単一のシステムを構築すれば,国際的に利用することが可能であり,スケールメリットも働き易い。従って,取引情報蓄積機関として既に稼働していた DTCC が日本に子会社を設立し,日本においても業務を開始することは,こういった考えに合致したものであると言えよう。
4.電子取引基盤(電子情報処理組織,電子取引プラットフォーム)
(1) 金商法改正
G20のピッツバーグ・サミット首脳👉明を受けて,2010年に成立した金融商品取引法の改正で残されたのが,2012年末電子取引基盤を通じて取引されるべきという勧告である。電子取引基盤が後回しにされたのは,世界的に見てもまだ法制化されなかったため,足並みを揃えた形となる。
清算機関や取引情報蓄積機関が取引後の透明性,公正性のための制度であるとするならば,電子取引基盤は取引そのものの透明性,公正性を確保するための制度であると言える。G20の勧告が,「標準化されたすべての店頭デリバティブ契約は,適当な場合には,取引所または電子取引基盤を通じて取引されるべきである。」と言うように,電子取引基盤は取引所と並列に記載されている。清算機関や取引情報蓄積機関が取引後の制度であるのに対し,電子取引基盤は取引そのものの制度である。
2011 年12 月26 日,金融庁は 「店頭デリバティブ市場規制にかかる検討会」における議論の取りまとめ」が公表され,その中で,金融機関が相対で契約する店頭デリバティブについて,2015年までに電子取引基盤を通じた取引を行うことを義務付けるとした。電子取引基盤の利用義務付け等を含む「金融商品取引法等の一部を改正する法律」は,2012年3月9日に第 180 国会に提出され,同年9月6日に成立した21)。電子取引基盤の利用義務付けは,前述の清算機関や取引情報蓄積,報告の義務付けよりも一年,法整備が遅れた。
この法律では,金融商品取引業者等は,取引
の概要に関する情報の迅速な開示が必要であると認められる店頭デリバティブ取引を行う場合には,金融商品取引業者等又は電子店頭デリバティブ取引等許可業者がその店頭デリバティブ取引等の業務の用に供する電子情報処理組織を使用しなければならないこととする(金融商品取引法第40条の7)。
また,外国において店頭デリバティブ取引等を業として行う者について,有価証券関連業を行う者を相手方とする場合等には,内閣総理大臣の許可を受けて,その業務の用に供する電子情報処理組織を使用して一定の店頭デリバティブ取引等を行うことができることとする(金融商品取引法第60条の14関係)。
(2) 電子引基盤利用の目的
前述の取りまとめにおいて,電子取引基盤を利用する目的については,第一に,価格形成の公正性を含む取引の実情を当局が迅速にモニタリングできるようにすることが挙げられている。第二に,危機的な状況が生じた際のセーフガードとして,電子取引基盤を利用し,流動性が低下するのを防ぐ,第三に,価格情報を見えやすくする枠組みを整備することにより,市場の効率性向上や参加者の拡大につなげる,第四に,電子取引基盤を利用することによって,取引の STP 化の進展を促すことができる,が挙げられている。
但し,現在は,店頭デリバティブ取引の大半が担当者の電話等を通じた取引であることから,市場関係者との意思疎通,金融機関の過剰なコスト負担の回避,正当な理由に基づく取引内容の秘匿要請への配慮,段階的な導入等についての配慮が必要である,としている。
(3) 電子取引基盤利用の制度的枠組み
店頭デリバティブは,ディーラー同志の取引が主体である。当初から過度に対象を広げれば,取引量とコストの関係から過度な規制となる者が増えるおそれがある。従って,当初は取引量が多い金融商品取引業者等を義務付けの対象とする。また,対象となる取引の範囲についても,一定の標準化が実現しており,流動性が一定以上ある取引に限定し,清算機関を通じて清算される取引を対象とすることが適当であるとしている。
具体的には,円金利スワップのプレーンバニラ型が対象として適当であり,CSD,例えば, iTraxx Japan については,流動性が低いため,取り扱いを検討する必要があるとしている。
利用が義務付けられる電子取引基盤の要件には,
A.公正確保のために必要な機能の具備,使用に当たり予め定められたルールの存在等,一定の要件を満たした電子取引基盤の提供が確保されること。
B.電子取引基盤の提供者に対して,適切な監督が行われること。
が必要であるとされる。
電子取引基盤の類型には,マルチ・ディーラー方式とシングル・ディーラー方式の2種類がある。マルチ・ディーラー方式は,ディーラーと顧客間の取引のための方式であり,債券,金利,CDS を取扱商品とする。国債を中心とした債券取引を主目的としている,顧客サイドからの要請に基づき,ディーラーが価格を提示し,約定に至る方法である。ディーラーが提示する価格は顧客によって異なる。価格を提示された顧客は,提示価格によって,ディーラーを選択する。顧客サイドから指値注文を行
う場合もある。その場合には,顧客から指定された価格を板に提示し,約定させる。
マルチ・ディーラー方式は,複数のディーラーからの提示価格を比較することができるので,最良執行を行うことができる。
一方,シングル・ディーラー方式は,主に FX を主目的に行われる方法である。ディーラー,1社とその顧客との取引を行う形態である。
シングル・ディーラー方式は一社の提示価格に基づき約定する方法であり,提示価格は顧客によって異なる。顧客による指値注文も行うことができる。単体の機能としては,他のディーラーの提示価格との比較を行うことはできない。
どちらの方式でも,店頭デリバティブ取引を扱う清算機関(JSCC)との接続が済んでいるため,清算機関を利用することができ,その場合には STP 化されている。
先に述べた「店頭デリバティブ市場規制にかかる検討会」による取りまとめでは,義務付けの対象が上記のように取引量の多い参加者に限定されている段階では,マルチ・ディーラー型がその中心になるであろうとされている。
また,電子取引基盤では,清算機関とも接続した STP 化が可能であるが,注文受付や照合などは電話等で行い,それらの注文や約定結果を電子的に入力するいわゆるハイブリッド型の電子取引基盤も許容される枠組みとすることが適当であるとされている。その場合でも取引情報の保存や公表は,当局に報告する要件を課すことは可能であるとしている。
電子取引基盤の義務付けには,金融商品取引機関の準備が必要なので,十分な準備期間(制度整備後最大3年程度)が必要となるとされて
いる。
Ⅳ.店頭デリバティブ改革の課題
店頭に限らず市場でも,デリバティブ取引と国債,債券,新株予約権や株式などの現物取引の決済システムの最大の相違点は,取引の国際性にある。現物の授受を伴わず,金銭の授受だけで決済されるデリバティブ取引は,現物取引に比べ,圧倒的に国際的な取引が多い。
G20やその他,国際的な会議で議論され,そこでの議論を反映した規制が各国に要求されるのは,ここに原因がある。そのため,規制についても国際的に調和したものでなければならない。ある国の規制が,圧倒的に先行し,他国の規制よりも厳格なものである場合には,その国から取引が流出してしまうことになりかねない。各国の規制の間のアービトラージはその国の市場に深刻な影響を与える。従って,このアービトラージを回避し,その上で金融システムの安定を図る必要がある。規制の時期や内容について,各国の規制当局や参加者による国際的な協調が必要となってくる。
今後も G20や FSB その他の国際的な政策協議へ参加し,各国の連携が必要とされる。
もう一つ,デリバティブ取引と現物取引との決済の違いには,その決済期間がある。現物の決済は,早いものでは国債取引のT+1,それ以外の株式等でもせいぜいT+3である。従って,清算機関が債務不履行のリスクを担うとしても短期間である。しかし,デリバティブ取引の場合には,三か月や六か月など,決済期日までの長期に及ぶ。この間,清算機関は証拠金や担保を受け入れ,リスク管理を行わなければならない。清算機関の担う役割は,現物のそれと
は比較にならないほど大きい。
現在,日本証券クリアリング機構は唯一の清算機関であるが,法律はその他の清算機関の設立を禁止するものではない。新たに清算機関が設立される場合には,その財務基盤の安定性など条件を課されることとなろう。複数の清算機関が設立された場合には,それらがどのように連携するかを考慮する必要がある。
2013年9月2日,バーゼル銀行監視委員会および証券監督者国際機構は最終報告書では,標準化されていない店頭デリバティブ取引のリスクを削減するためと,清算機関の利用促進のため,新たな規制が設けられることとなった。
本来,店頭デリバティブ取引は,個別の取引のリスクヘッジとして,カスタマイズされた取引から始まり,そこにニーズのある取引である。このような規制を課すことは,取引業者にとって,過剰な負担とならないであろうか。
資本規制と担保規制は,規制の目的が異なる。取引者にとって,二重の規制にはならないであろうか。
店頭デリバティブ取引のリスクは管理する必要があることは,確かであろう。しかし,角を矯めて牛を殺すことになっては,取引が委縮してしまう。店頭デリバティブ取引の特性と利点,重要性を考慮し,過度な規制とならないようにする配慮が必要である。
店頭デリバティブ規制が目指すところは,事前には,取引所や電子取引基盤を利用し,事後的には,清算機関を通じ,また,当局が取引情報蓄積機関等を通じて,取引情報を集約するものである。しかし,これらの制度の対象となる取引が全体に店頭デリバティブ取引の大半ではなく,標準化された一部の取引であることも,問題である。また,取引が当局に報告され,集
約されたとして,先に生じた金融危機は回避可能であろうか。単に情報を集積しただけに留まらず,データを分析し,そのどこにリスクが潜んでいるかを見つけ出すことは可能であろうか。残された課題は少なくない。
本稿を執筆するにあたり,日本証券業協会,東尾直人氏,川越貴生氏,浅倉真理氏から貴重なご教示を賜りました。厚く御礼申し上げます。
本稿は平成25年度日本学術振興会科学研究費基盤研究€による研究成果の一部である。
注
1) 国際決済銀行(http://www.bis.org/press/p130902. htm)
2) 国際決済銀行(http://www.bis.org/publ/bcbs261. pdf)
3) G20 Leaders Statement: The Pittsburgh Summit
(www.g20.utoronto.ca/2009/2009communique0925. html)
4) Financial Stability Board, ”Implementing OTC Derivatives Market Reforms” 25 October 2010, (http://www.financialstabilityboard.org/publications/ r_101025.pdf)
5) http://www.iosco.org/library/pubdocs/pdf/IOSCO PD381.pdf
6) 金融商品取引清算機関等に関する内閣府令(平成十四年十二月六日内閣府令第七十六号)第10条法第百五十六条の五の五第一項の認可を受けようとする者は,次に掲げる事項を記載した認可申請書を金融庁長官に提出しなければならない。
一 商号若しくは名称又は氏名及び本店若しくは主たる事務所の所在地又は住所若しくは居所
二 法人であるときは,代表者の氏名
7) 金融庁「店頭デリバティブ市場規制にかかる検討会」における議論の取りまとめ(http://www.fsa.go.jp/ news/23/syouken/20111226-3/02.pdf)
8) 金融庁「金融商品取引法等の一部を改正する法律案に係る説明資料」(http://www.fsa.go.jp/common/diet/ 180/04/setsumei.pdf)
9) 日本証券クリアリング機構は,2013年10月1日,日本国債清算機関と合併し,国債の店頭取引に係る清算業務を行うこととした。
10)「CDS 清算業務に関する業務方法書」,(http://www. jscc. co. jp/data/jp/2013/08/01cdsgyoumuhouhousyo. pdf)
11) ISDA CDS Standard Model (http://www.cdsmodel. com/cdsmodel/)
12) DTCC が2003年に開業した取引情報蓄積機関。OTCクレジットデフォルトスワップの国際的市場における標準化,自動化,オペレーショナル・リスクの削減のための業務を提供している。
13) CDS 取引の取引量やリスクが拡大したため,CSD 取引を記録する取引市場における集中化された自動的な取引照合機関が必要となった。そこで,DTCC は2006年 11 月,Trade Information Warehouse を 設立し た。 Trade Information Warehouse は,OTC クレジット・デリバティブを集中化させ,リスクや非効率性を削減している。
14) 「適格 CDS 取引」とは,清算参加者間における当社が指定する銘柄の CDS 取引であって,かつ当社が定める要件を満たすものをいう。
15) 日本クリアリング機構,CDS 清算業務に関する業務方法書の取扱い第2条本規則において使用する用語は,本規則に別段の定めがある場合を除き,業務方法書において使用する用語の例によるほか,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
⑴「インデックス CDS 取引」とは,CDS 取引のうち,その当事者間の合意により,いずれかの iTraxx Japan(その種類,シリーズおよびバージョンを問わない。)が当該 CDS 取引に適用される Index(以下
「インデックス」という。)として指定されたものであって,同社が公表する当該インデックスに対応する参照組織の一覧表に掲載された複数の参照組織を対象とするものをいう。
16) BIS, “Statistical release: OTC derivatives statistics at end-June 2013” November 2013, 9頁。
17)「適格金利スワップ取引」とは,清算参加者間における当社が定める要件を満たす金利スワップ取引をいう。 18) 以下は文言通り「⑴ 第29条第1項各号に掲げる店頭デリバティブ取引に関する基本的事項を定めた基本契約
及び ISDA 定義集又は2000年版 ISDA 定義集に基づく金利スワップ取引であること。⑵ MarkitSERV,LLCの提供する MarkitWire により照合された金利スワップ取引であること。⑶ 金利スワップ取引の当事者である双方の清算参加者において当該金利スワップ取引に係る債務を当社に債務負担させるために,当社に対して業務方法書第48条に基づく申込みの手続きがなされたこと。
⑷ 固定金利と変動金利の交換又は変動金利と変動金利の交換を行う取引であること。⑸ 変動金利の決定方法が JPY‐LOBOR‐BBA 又 JPY‐TIBOR‐ZTIBOR で
あること。⑹ 変動金利の金利計算期間が3か月又は6か月であること。⑺ 想定元本及び決済通貨が日本円であること。⑻ 契約期間が28日以上であること。⑼ 債務負担の申込の日における終了日までの期間について,次のaからcまで掲げる金利スワップ取引ごとに,当該aからcまでに定める期間であること。a 変動金利として JPY − TIBOR − ZTIBOR であり変動金利の金利計算期間が3か月であるものを対象とする金利スワップ取引
3日以上1,839日以内 b 変動金利として JPY − TIBOR
− ZTIBOR であり変動金利の金利計算期間が6か月で
あるものを対象とする金利スワップ取引(当該取引のうち,前 a に掲げる取引に該当するものを除く。) 3日以上3,666日以内 c 上記 a 又は b に掲げる金利スワップ取引以外の金利スワップ取引 3日以上14,623日以内⑽想定元本が1円以上4兆円未満であり,かつ,小数点以下の桁がすべて0であること。⑾ 日数計算が ISDA 定義集 Section4.16⒝から⒣までに掲げるもの又は2000年版 ISDA 定義集 Annex Article4.16⒝から⒡までに掲げるもののいずれかであるこ と。⑿ 営業日調整が Following Business Day Convention Modified Follow- ing Business Day Convention 又は Preceding Business Day Convention のいずれかであること。⒀ 金利支払日に係る営業日として東京が指定されていること(東京以外の年が指定されている場合を含む。)。⒁ 金利更改日に係る営業日としてロンドン又は東京が指定されていること。⒂ 前各号に掲げるもののほか,当社が公示により定める要件を満たす金利スワップ取引であること。
19) 金融庁(http://www.fsa.go.jp/news/24/syouken/ 20130308-3.html)
20) 日本銀行「決済システムレポート2012-2013」2013年
10月,17頁。
21) 金融庁(http://www.fsa.go.jp/common/diet/180/ 04/setsumei.pdf)
参 考 文 献
磯部昌吾[2012]「日本の OTC デリバティブ規制改革─改革の具体的な方向を示した金融庁─」
『野村資本市場クォータリー』Vol.15-3,ウェブサイト版掲載論文,野村資本市場研究所
片山謙[2011]「店頭デリバティブ清算機関の整備動向」『月刊資本市場』309号,資本市場研究会,17-22頁
神作裕之[2012]「金商法におけるインフラ整備─清算集中および電子取引基盤を中心として─」
『金融法務事情』1951号,金融財政事情研究会, 44-55頁
クリストファー J.ラルファー[2013]「日本における店頭デリバティブ取引情報蓄積機関の設立」
『金融財政事情』6/24号,金融財政事情研究会, 24-30頁
金融商品取引法研究会[2012]「デリバティブに関する規制」研究記録第39号,日本証券経済研究所
小出篤[2010]「Ⅰ平成22年金商法改正 金融商品取引清算機関」『ジュリスト』1412号,有斐閣, 12-22頁
小立敬[2011]「OTC デリバティブ市場改革に関する金融安定理事会の報告書」『野村資本市場クォータリー』Vol.14-3ウェブサイト版掲載論文,野村資本市場研究所
藤井一裁[2010]「世界金融危機を踏まえた金融システム整備へ向けて〜金融商品取引法等の一部を改正する法律案〜」『立法と調査』304号,参議院調査室,17-27頁
マイケル・スタインベック・リーヴス[2013]「店頭デリバティブの清算集中を巡る世界的な規制環境」『金融財政事情』8/26号,金融財政事情研究会,10-15頁
和仁亮裕・大間知麗子・宇波洋介「Ⅰ平成22年金商法改正 清算集中・取引情報蓄積機関」『ジュリスト』1412号,有斐閣,23-31頁
(帝塚山大学法学部教授・
当研究所客員研究員)