当社、パートナー、2次以降のパートナーのバリューチェーンにおいて、ISO9001: 2015に基づき品質マネジメントシステムを構築、実行及び改善を行うことによ り、継続的にお客様満足の向上等が行えるように、本ガイドラインを十分にご理解頂き、遵守して頂くようお願い致します。
パートナーに対する品質保証ガイドライン
古河電気工業株式会社
2020年9月15日
はじめに
目的
この品質保証ガイドラインは、古河電気工業株式会社及びグループ各社(以下「当社」)と取引される提供者または契約者(以下、「パートナー」)に、当社の要求品質を満足する製品及びサービスを供給して頂くため、当社の品質管理の考え方について、ご理解の 上、ご協力頂くために作成したものです。
当社、パートナー、2次以降のパートナーのバリューチェーンにおいて、ISO9001: 2015に基づき品質マネジメントシステムを構築、実行及び改善を行うことにより、継続的にお客様満足のxxxが行えるように、本ガイドラインを十分にご理解頂き、遵守して頂くようお願い致します。
【適用範囲】
本ガイドラインは、当社がお客様に納入する製品及びサービス(以下「製品」)に関する原材料、部品製造、ソフトウェア製造・組み込み、組み立て、業務委託(製造委託、検査委託、施工委託等)等を扱うパートナーを対象とする。生産準備、量産試作、量産の各段階での品質管理業務に適用するものとする。
【本ガイドラインの位置づけと取り扱い】
購入仕様書等の個別契約書、車載製品等の事業分野に特有の品質管理に関するガイドラインが発行され(以後、当該個別契約書)、本ガイドラインと異なる記述がある場合に は、当該個別契約書の記載事項を優先する。
なお、当該個別契約書では本ガイドラインより管理基準を上げることを原則とする。 例えば、本ガイドラインで「保管する」と規定されている内容では、当該個別契約書で
は、「10年間保管する」等、詳細な規定とする。
【問い合わせ窓口】
本ガイドラインを配付されたパートナーの品質保証責任者は、本ガイドラインの最新版を保管管理する。本ガイドラインの内容に不明点がある場合、当社ものづくり改革本部品質管理推進室に問い合わせる。xxx.xxxxxxxxx-xxxxxxxxx@xxxxxxxxxxxxxxxx.xxx
また、個別の運用については製品の品質保証部門窓口への連絡を行う。
複数の事業部門と取引がある場合も、それぞれの品質保証部門窓口と連絡を行う。
【機密保持】
当社・パートナーとも相手方の秘密を漏洩しないようにする。日常業務で得られた情報は守秘事項として取り扱う。パートナーは、当社から配付された本ガイドライン、図面、
データ、規格、お客様情報などを正しく管理する責任がある。万一、機密事項が外部に漏洩した場合は、直ちに当社へ連絡をするものとする。
【製品安全】
製品安全(PL)に関する問題は、起こせば社会的信頼を一気に失墜させることになりかねない。安全問題は絶対に起こしてはならず、このためには、生産活動の全ての領域、段階において起こり得るリスクをチェックして未然に防止するシステムが必要である。パートナーにおいては製品安全の観点で確認事項を定め、リスクを排除する施策を講じる必要がある。
・パートナーにおいて安全関連の法令等で定められた義務がある場合は、これを遵守する。
・当社の購入仕様書等の個別契約書(当該契約書)等で指定した場合は、その内容に従う。
・製品設計を外部に委託する場合でも製品安全設計だけでなく、商品評価や設計審査における安全性の評価も確実に実施する。
・製造において当社が図面、仕様書等を配付する場合、パートナーの図面、仕様等で実施する場合、ともに、その作業や検査を手順に従い標準化された作業で確実に実施する。
・材料や工法を変更した場合、製品安全との関わりを考慮し、該当する場合は安全性の評価を実施する。
・製品安全性に関する記録を明確にし、規定した期間、保管する。保管期間は、必要により部門と協議する。
・製品の検査や試験で製品安全に関するリスクを発見した場合は、直ちに当社に報告する。
・PL保険のxxについては、貴社にて必要により判断する。
・問題が発生した際、問題解決、早期収束のための最優先のご協力をする。
【CSR調達】
CSR調達に関する要求は別途定める古河電工グループ「パートナー様向けCSR推進ガイドライン」を参照する。
【グリーン調達】
グリーン調達に関する要求は別途定める古河電工グループ「グリーン調達ガイドライン」を参照する。
【不可抗力】
いずれの当事者も相手方当事者に対し、本ガイドラインにおける自己の義務の不履行または遅延につき、かかる不履行または遅延が、暴動、内戦、戦争、国家間の敵対行 為、政府の法律、命令または規則、通商の禁止、政府またはその機関による強制処理、天災、嵐、ストライキ、サボタージュ、その他類似の、それぞれの当事者の合理的な支配を超える事由によるものである限り、その期間中は責任を負わないものとする。但 し、金銭債務については免責とならないものとする。
目次
1 品質保証に関する要求事項
1.1 一般的要求事項
1.2 品質管理体系への要求
1.3 経営者の責任
1.4 要求事項の重視
2 資源の確保
3 発注プロセス
3.1 発注書・仕様書(購入仕様書等の内容、数量、納期等)の確認
3.2 仕様書等の確認
3.3 パートナーにおける図面、仕様書等の管理
3.4 当社からの支給図面、仕様書等の管理
3.5 装置等の納入後の保守部品の扱いについて
4 設計・開発・変更プロセス
4.1 デザインレビュー
4.2 信頼性の確保
4.3 設計変更管理
5 購買プロセス
5.1 パートナーでの実施事項
5.2 発注条件
5.3 バリューチェーンリストの提出
5.4 監査による確認
6 製造プロセス
6.1 製造能力の確保
6.2 作業環境の整備
6.3 量産前の品質管理
6.4 初期流動管理
6.5 日常管理
6.6 特殊工程及び資格
6.7 検査工程及び資格
6.8 工程変更
6.9 組織、管理者の変更
6.10 当社の受入検査(出向検査、竣工検査を含む)
6.11 技術者の派遣
6.12 納入品に対する保証
6.13 品質管理記録(製造履歴とトレーサビリティー)
6.14 当社からの支給品、貸与品の管理
6.15 在庫品の管理
6.16 包装、梱包及び輸送時の取り扱い等
6.17 検査用測定器及び試験装置
7 パートナーによる監査及び不適合品の管理
7.1 内部監査及びパートナーによる仕入先・外注先への監査の実施
7.2 不適合品の管理
7.3 是正処置と再発防止
7.4 不適合品の横展開
別紙1:バリューチェーン様式(例)
1 品質保証に関する要求事項
企業は社会的にその価値を認められて、はじめて存続を許される。当社がその存続を認められる会社として成長し続けていくためには、高い理想と理念のもと、パートナーと当社にて協力した活動が必要である。
品質保証の基本は、お客様にお届けする一品、一品の品質を保証することである。これは当社だけの努力では、実現困難であり、当社に製品、原材料を納入されるパートナー、当社から業務委託されるパートナーにもその品質を保証して頂く必要がある。パートナーと当社との間で連携して品質を保証するため、当社の要求事項を下記に示した。
<古河電工グループ理念>
○基本理念
世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。
○経営理念
私たち古河電工クループは、人と地球のxxを見据えながら、
・xxと誠実を基本に、常に社会の期待と信頼に応え続けます。
・お客様の満足のためにグループのxxを結集し、お客様とともに成長します。
・世界をリードする技術革新とあらゆる企業活動における変革に絶えず挑戦します。
・多様な人材を活かし、創造的で活力あふれる企業グループを目指します。
1.1 一般的要求事項
パートナーは、この品質管理ガイドラインを反映した、パートナー自身の ISO9001:2015に基づく品質マネジメントシステムを構築し、文書化し、かつ、維持するとともに効果的に運用する。また、その品質マネジメントシステムの有効性を継続的に改善する必要がある。
パートナーは、xxxxx自身の業務の一部及びその管理を外部委託する場合には、外部委託した業務が正しく管理されていることを確認しなければならない。
ISO9001:2015の認証取得は要求していないが、取得していないパートナーに対して ISO9001:2015への適合度評価を当社の監査によって実施する場合がある。
1.2 品質管理体系への要求
a) パートナーは、当社の発注に基づく製品およびサービスを適切に供給するため設計、購買、製造、検査、工事、保守及びソフトの設計・製造・テスト・保守等の全てのプロセスの品質管理体系を確立し、維持するとともに効果的に運用するものとする。
b) この品質管理体系は、納入製品の品質不適合の未然防止、品質不適合の早期発見及び早期対処と是正処置が含まれなければならない。全てのプロセスの品質管理の責任は
パートナーの社内組織上で明確に指示されていなければならない。
c) パートナーは、パートナー及びバリューチェーンリストに記載された各仕入先の品質保証体系図、品質不適合品への処置及び是正処理の標準書、設計開発(設計計画、設計審査、製品設計、工程設計、製品及び工程設計変更)の標準書、組織図及びQC工程表を、当社から提出要求があった場合、遅滞なく提出するものとする。
d) 当社は、この品質保証体系図、品質不適合品への処置及び是正処理の標準書、設計開発の標準書、組織図及びQC工程表を基に、必要により監査を行う。監査に際して不適合が認められた場合は是正しなければならない。
e) パートナーは、当社に提出した書類について、変更を行った場合は、当社にその変更理由とともにこれを遅滞なく提出するものとする。
*実際の変更については、4.3及び6.8を参照
f) パートナーは、上記品質管理体系を維持するために、下記の記録を保管管理し、当社からの要求があれば当社へ遅滞なく提出するものとする。
① 製品の検査記録(最終検査、中間検査を含む)
② 設計変更を適用したロット番号、製造番号等の記録
③ 工程変更を適用したロット番号、製造番号等の記録
④ デザインレビューや設計審査の記録
⑤ 不適合品の記録(不適合の内容、波及範囲、波及品を含む現品処置、暫定対策、原因と是正処理、再発防止、適用したロット番号、製造番号等)
⑥ 図面、仕様書、ソフトプログラム等の変更記録
⑦ 認定作業者の認定・更新の記録
⑧ マネジメントレビューの記録
⑨ ISO9001:2015 の認証書(コピー)
1.3 経営者の責任
パートナーの経営者は、納入製品の品質に全責任を負う事はもちろんのこと、品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性の評価、改善を継続し、効果的な運用を遂行する。
パートナーの経営者(または経営者からその権限の委譲を受けた者)は、自社の品質マネジメントシステムが、継続して適切に実行され、妥当且つ有効であることを確実にするため、1年間以下の定められた間隔でマネジメントレビューを行い、記録に残すものとする。
1.4 要求事項の重視
パートナーは、当社が要求する製品を確実に納入出来るように、納入製品に関する当社要求事項及び法令・規制要求事項を確認する仕組みを構築し、 運用しなければならな
い。
2 資源の確保
パートナーは、その納入製品の品質が当社の要求を満たす様に、当社の要求に応じて必要な資源(人、もの、設備、環境等)を確保するものとする。
3 発注プロセス
3.1 発注書・仕様書(購入仕様書等の内容、数量、納期等)の確認
a) パートナーが、当社からの発注書・仕様書を受領した時には、その内容を吟味し、不明点、疑問点がある場合は、製造前に当社へ問い合わせる。
パートナーの設備、製造能力等が当社の発注書・仕様書を満たせない恐れが生じた場合は、速やかに当社へ問い合わせる。
b) 発注書・仕様書に必ずしも明記されていないが、当社へ納入する製品の使用目的、常識的な使用方法が自明である場合、それらに必要な要件は、設計/製造/施工条件等に折り込む。必要により、当社へ問い合わせる。
3.2 仕様書等の確認
a) パートナーは、購入仕様書受領後速やかに購入仕様書の受領書、必要により製作承認図を当社に提出するものとする。
なお、当社からの要求があれば納入仕様書を提出するものとする。
b) パートナーは、検査開始前に、当社からの要求があれば、検査要領書等を当社に提出するものとする。
c) パートナー及び当社は、購入仕様書、製作承認図/納入仕様書、検査要領書又はその他の図面に関する内容について疑義がある場合には、相手方にその旨申し出て書面による指示に従い処理するものとする。
3.3 パートナーにおける図面、仕様書等の管理
a) パートナーは有効な文書管理の仕組みを構築し、図面、仕様書等を最新版管理できる状態に維持し、パートナー内の必要な要員が常に最新版を共有できるようにしておくこと。
b) 図面、仕様書等を変更した場合は、旧図面、旧仕様書等が使用されないように適切に管理しなければならない。
c) 当社と取り交わした図面、仕様書等の変更は、その内容を明確にし、当社の承認を得るものとする。
3.4 当社からの支給図面、仕様書等の管理
a) 当社が支給した図面、仕様書等は、当社の許可なく、目的以外に使用及び目的外の使用のために複写してはならない。
b) 当社が支給した図面、仕様書等を、当社が変更した場合は、最新版を使用する。ま た、上記の変更により、これらに関連するパートナーの図面、仕様書等を変更し、同様に最新版を使用するものとする。
c) 当社への納入が完了した場合は、原則として支給図面はすべて、返却する。電子図面は、消去しなければならない。
但し、継続的な発注が見込まれる場合で、当社が認めた場合は、支給図面の保管・改訂版への差し替え等の管理をパートナーに依頼する。この場合は、納入時の支給図面の返却は不要とする。
これ以外の管理をする場合は、当社と事前に協議する。
3.5 装置等の納入後の保守部品の扱いについて
パートナーが装置等の製品納入後に、その保守部品の生産を打ち切ったものに関して、あらためて当社からの要望にもとづき生産を再開する保守部品についても、製品と同等の品質管理を行うものとする。
4 設計・開発・変更プロセス
4.1 デザインレビュー
a) 当社の要求事項、法令・規制要求事項を十分把握して設計し、設計・製作・評価試験の各作業においては、必要に応じてデザインレビュー、設計審査を行うものとする。
b) デザインレビュー、設計審査は、当社の技術員と共に実施することが望ましい。
c) デザインレビュー、設計審査においては、指摘事項の対応状況が確認できるようにその記録を作成・維持するものとする。これらの記録は、必要により提出を要求することがある(リスクの抽出及び対応手段として、変更点一覧表、DRBXX参考文献1~4 を使用すると良い)。
d) 試作品等の評価試験について当社が結果を求めたものは、評価試験結果を当社に提出するものとする。なお、必要に応じて評価試験の内容を当社と協議するものとする。
4.2 信頼性の確保
a) 当社の要求事項を十分把握の上、必要な信頼性試験を実施するなどして、納入製品の信頼性を確保する。試験内容・方法については事前に当社と協議することが望まし い。当社が要求した場合は、速やかにパートナーが判断した基準及びその根拠を含む試験報告書を提出するものとする。
b) 特に当社が要求した場合は、定期的に納入製品の信頼性試験を実施し、異常が発生し
た場合は、速やかに当社へ報告書を提出しなければならない。
c) 上記信頼性評価については、必要に応じて納入製品に使用している部品単独あるいはその組み合わせでの実施を検討するものとする。
d) 当社が使用を指定した部品、材料について不適合が発生した場合でも、パートナーは当社と共同で問題解決にあたる。
4.3 設計変更管理
設計変更は、様々な場面で発生することを意識する必要がある。製品等の品質不適合対応、コストダウン対応、機能向上対応、パートナーの変更、危険物質・含有化学物質規制等の法令・規制変更への対応、現場からの改善提案への対応、顧客からの要求への対応等がある。大きな変更、些細な変更と直感的に担当で判断せず、顧客要求品質の確保、当初の設計品質との合致性、変更によりトレードオフとなる内容等詳細な検討が必要なプロセスである。
予め、発意手順、設計手順、審査手順、承認手順を決め、漏れなく管理するために具体的な運用標準を定め、維持管理を実施する。またサイレントチェンジによる予期せぬ被害を防ぐため、相互の情報共有を確実に実施する。
a) 管理が必要となる設計変更の対象例を以下に示す。
① 材料・部品(組成、物性、コンパチビリティー、購入先、カタログ品も含む)
② 構造、形状、寸法(表面処理仕様、互換性、接続・嵌合性、基板パターン含む)
③ 特性(規格、判断基準、測定方法、信頼性)、機能
④ 使用環境(使用場所、温度・湿度等)
⑤ 使用用途・方法(化学反応等を含む製造方法、製造装置を動作させるソフトウェア含む)
⑥ 梱包形態、副資材
⑦ ソフトウェア(インターフェイス仕様含む)、ソフトウェアの稼働環境(OSやファームウエア)及び開発環境(コンパイラ、テストツール及びそのバージョン)
b) 設計変更を発意する場合、変更前に文書で設計変更申請(*1及び*2)を当社へ提出する。
設計変更申請には、変更理由及び下記c)項の実施結果を記載するものとする。当社は、その内容を審議する。また、当社での検証のため、製品サンプルを要求するこ と、パートナーでの追加評価を指示することがある。パートナーは、当社が承認した後、納入製品の設計変更を開始する。
*1 長期評価が必要な製品の場合、変更時期は6ヶ月以上になることもあるため、計画段階で個別に協議をすること。
*2 当社との契約にて指定されている場合は、指定様式にて回答する。
c) 設計変更時には、以下を実施するものとする。
① 妥当性の確認と、設計変更に伴うリスク及びリスクに対する対応の審査
(リスクの抽出及び対応手段として変更点一覧表、DRBXX(工程、製品、ソフトウェア含む)を推奨参考文献1~4、過去トラの活用)
② 必要な評価試験の実施(信頼性試験を含む)
③ QC工程表、検査規格書、製造標準等の変更
④ 設計変更を適用したロット、製造番号等の記録
⑤ 旧設計品の処理方法の決定(新旧品の混入防止)
⑥ 変更の時期の周知
d) 2次・3次以降の仕入先・外注先等の設計変更に関しても、パートナーの責任のもと、設計変更管理を実施させ、サイレントチェンジを発生させないようにする。設計変更申請を変更前に提出させる。2次・3次以降の仕入先から設計変更申請があった場合
は、パートナーの設計変更管理と同様の管理を行うとともに、必要に応じてパートナーの判断で当社まで変更を届けるものとする。
5 購買プロセス
5.1 パートナーでの実施事項
パートナーは、納入製品の品質を確保するため購買品の適切な管理を実施する。
a) パートナーが購入する仕入先・外注先等に対しては、製造工程等を含めて要求仕様を明確に文書化し伝える。
b) 購入する仕入先・外注先等の技術力、供給能力、品質管理体制等を評価するため、監査を実施する。監査方法は、パートナーの基準とするが、購入先を適切に評価し、問題が発見された場合は、適切な処置をする。パートナーはバリューチェーンリストとして管理し、定期的な監査を実施する。
c) 購入部材または外注で製造させた製品について、購入する仕入先・外注先等に必要により検査成績書を求める。また、要求品質を満足していることを必要に応じて検査などで確認するとともに、結果を記録する。
5.2 発注条件
パートナーは購入及び外注にあたり、次の事項を明確にして確実に行うこととする。
a) 発注の仕様を明確に文書で伝え、合意すること。
b) 発注条件、数量、納期を合意すること。
また、必要に応じて、発注条件に、製造工程、製造設備、作業者(力量を含む)の限定、初回品の出向検査の要求も含める。
5.3 バリューチェーンリストの提出
商流の全体像を把握するためバリューチェーンリストを作成、維持する。当社からの要求があった場合これを提出する。
a) パートナーは、当社指示により、品質に影響がある購入品、及び製造または施工の委託がある場合はバリューチェーンリストを提出する。バリューチェーンリストでは製品毎または施工時にパートナー、パートナーの仕入先または外注先(以下、購入外注先)の業務内容を記載する。加工または施工を伴う製造・工事委託先、カタログ品、材料の仕入先についても記載する必要がある。
b) バリューチェーンの変更時には、変更前に文書で変更申請を当社へ提出する。
バリューチェーンリストに記載された内容を変更しようとするときは、当社の承諾を得る。(6.8 工程変更 参照)また、委託先等の選定時と同様に生産開始前に仕入先または外注先が的確かどうかの判断基準を当社に明示する。
c) 購入外注先に対しては、xxxxxが責任を持って指導し、また必要により監査を行い、品質の維持向上に努める。
d) 当社は、パートナーの監査を実施する場合は、パートナーが実施した仕入先または外注先監査の実施状況を確認することがある。
e) 当社が製品等又は施工の全部または一部を第三者に外注することを承認した場合でも、パートナーが製品等又は施工の品質に関して、責任を免れるものではない。
5.4 監査による確認
a) 当社は、パートナーにおける品質管理の適正な実施の確認・評価を行うために、必要に応じ、パートナー及びパートナーの仕入先または外注先の工場等又は施工現場を監査できるものとし、パートナーはこれに協力するものとする。監査は、新規認定時、新製品立ち上げ時、工程変更時、不適合多発時、重要不良発生時、定期的な品質管理状況確認時等に両者合意のもと実施される。
b) 監査実施時の指摘事項は、xxxxに是正し、是正報告書を提出する。
6 製造プロセス
6.1 製造能力の確保
当社へ納入する製品を製造するために、不足のない製造能力(適切な製造設備、力量のある人員)を確保する。
6.2 作業環境の整備
a) 作業環境における、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を確保する。
b) 作業場の温度、湿度、照度、騒音、振動、空間の広さなど、作業者が健康、安全、快適に職責を全うし、また、業務に集中できるようにするための作業環境を整える。
6.3 量産前の品質管理
a) 設計審査、デザインレビューの中で、要求事項の展開から基本設計、詳細設計を行 い、試作評価にて十分な検証を実施し、要求品質が達成されることを確実にする。また、工程設計では、量産性を考慮したプロセス毎の管理項目、点検項目を明確にし、繰り返し安定した製品が製造可能であることを確実にする。
6.4 初期流動管理
a) 量産開始するにあたって、初期の一定期間、品質管理目標値(工程能力指数等)を定めて初期流動管理を実施し、大きな品質問題が発生、流出しないよう未然防止を図 る。(DRBTR、DRBDPを使用するとよい参考文献1~4、量産前後での検査データ、製品の変化から、リスクを見積り、問題に対応する)。
b) 初期流動期間中に発生した不適合(管理値の範囲内でも市場での不適合に繋がる可能性のある変化)は、分析を十分に行い、発生防止、流出防止を図る。必要により再設計を行い、設計審査を実施する。
6.5 日常管理
日常管理では、標準類(製造指図書、作業標準書、検査規格書等)に則り製造工程を維持管理し、不適合品の是正はもちろんのこと、管理が必要な特性の日々の状態を監視、通常と異なる傾向の変化、設定している管理上の基準値からの逸脱の有無を確認、必要な対応を行う等、日々の品質の維持・改善活動を通じて品質向上に努める。
6.6 特殊工程及び資格
a) 特殊工程とは、溶接、熱処理、焼入、化学処理、ろう付け、はんだ付け、掘削工事等プロセスのアウトプットをそれ以降の監視又は測定で品質を検証することが不可能な工程をいう。
b) パートナーは特殊工程を定義し、適切な管理基準を設け、維持し、作業結果について必要な場合(掘削工事等)には写真などで確証を残すものとする。また定期的な破壊検査で妥当性を確認することも考慮する。
① 特殊工程は、その一覧表(特殊工程の種類、使用設備、治工具、作業者認定リスト、認定の確証(基準や認定証書等))を管理する。
② ①の一覧表記載の内容に変更が生じた場合は、変更した一覧表を、その履歴とともに管理する。
c) 特殊工程に関わる作業者については、
① 作業者の教育訓練を実施し、その技能を維持し、定期的に妥当性の再確認をする。
② 認定された作業者を登録し、その記録を管理する。
③ 認定された作業者であることを確認後、その作業に従事させる。
6.7 検査工程及び資格
a) 検査工程では、当社の要求品質特性を十分把握した検査規格を策定し、校正された測定機器を用いて、適切な合否判定ができる管理体制を構築する。
不正防止の観点から、測定、判定、記録には、人を介さない仕組みの構築を推奨する。
b) 検査工程に関わる作業者については、
① 作業者に教育訓練を実施し、その技能を維持し、定期的に妥当性の再確認をする。教育内容には品質コンプライアンスを含める。
② 認定された作業者を登録し、記録を管理する。
③ 認定された作業者であることを確認後、その作業に従事させる。
6.8 工程変更
a) 工程変更については、予め、発意手順、設計手順、審査手順、承認手順を決め、漏れなく管理する必要があるため、具体的な運用標準を定め、維持管理を実施する。管理を必要とする工程変更の対象の例を以下に示す。
① 製造場所の変更
② 製造設備、検査装置の変更(改造、金型・治工具等)
③ 購買先、委託先の変更
④ 製造方法の変更
⑤ 製造条件の変更(温度、圧力、張力、電流、速度等)
⑥ 製品品質に影響を及ぼす補助材料・副資材の変更
⑦ 検査方法の変更(検査機器の変更、検査方法、限度見本、抜取方法の変更)
⑧ 製造設備・検査設備等におけるソフトウェアの変更
b) 工程変更を発意する場合、変更前に文書で工程変更申請(*1及び*2)を当社へ提出する。工程変更申請には、変更理由及び下記c)項の実施結果を記載するものとする。当社は、その内容を審議する。また、当社での検証のため、製品サンプルを要求すること、パートナーでの追加評価を指示することがある。パートナーは、当社が承認した後、納入製品の工程変更を開始する。
*1 長期評価が必要な製品の場合、変更時期は6ヶ月以上になることもあるため、計画段階で個別に協議をすること。
*2 当社との契約にて指定されている場合は、指定様式にて回答する。
c) 工程変更時には、以下を実施する。
① 妥当性の確認と、設計変更に伴うリスク及びリスクに対する対応の審査
(リスクの抽出及び対応手段として変更点一覧表、DRBXX(工程、製品、ソフトウェア含む)を使用すると良い、参考文献1~4、過去トラの活用)
② 必要な評価試験の実施(信頼性試験を含む)
③ QC工程表、検査規格書、製造標準書等の変更
④ 設計変更を適用したロット、製造番号等の記録
⑤ 旧品の処理方法の決定(新旧品の混入防止)
⑥ 変更の時期の周知
d) 2 次・3 次以降の仕入先・外注先等の工程変更に関しても、パートナーの責任のもと、工程変更管理を実施させ、サイレントチェンジを発生させないようにする。なお、必要に応じてパートナーの判断で当社まで変更を届けるものとする。
6.9 組織、管理者の変更
a) 当社への納入製品を扱う組織、管理者の変更がある場合には、当社への報告を求めることがある。
b) 当社が要求している力量や適格性に影響を及ぼす作業者の変更については、事前に報告の上、当社の承認を得ることとする。
6.10 当社の受入検査(出向検査、竣工検査を含む)
a) 納入製品は当社の受入検査(出向検査、竣工検査を含む)に合格しなければならない。
b) 出向検査
事前協議の上、当社社員がパートナー社に出向し、納入品の検査を実施することがある。パートナーは、当社の出向検査に協力するものとする。出向検査実施時には、出向検査記録(議事録含む)を発行し当社の承認を得る。
c) 竣工検査
工事、布設、据え付け等の場合、パートナーと当社、パートナーと当社と当社顧客による竣工検査を実施する場合がある。xxxxxはこの竣工検査に協力するものとする。検査詳細については、その都度協議する。
6.11 技術者の派遣
納入製品に品質問題が発生した場合、早期問題解決を目的として、事実確認、応急処置対策、波及品の特定のためパートナーの専門技術者の派遣を要請する場合がある。
6.12 納入品に対する保証
パートナーは、パートナーで設定した製造、施工、検査の基準を基に製造、施工、検査し、合格したものを納入する。
当社の検収後に発生した不適合のうち、パートナーの不備に起因すると認めるものは、
当社の指示に従い速やかに無償にて新規製作または手直しを行うこととする。品質上問題があり、当社と協議し、出荷判断が必要となった場合には特別採用申請を行い、当社の承認を得てから出荷する。
納入を開始した製品は、当社製品の販売が終了するまで、パートナーが供給責任を負 う。また当社製品の保守用備品の供給も同様とする。これらの対応に困難を要する場合、事前に文書にて連絡し、協議する。
6.13 品質管理記録(製造履歴とトレーサビリティー)
a) 製造履歴管理
当社への納入製品には、ロット番号又は製造番号等を付し(但し、製品の性格上不可能な場合は、当社と管理方法を協議する。)、製品個々の製造履歴が追跡できるように管理しなければならない。
※1 当社との個別の取り決めがなければ、品質記録の保管は、11年とする。
※2 製造履歴の例(パートナーの外注先を含む);製造場所、製造日時、製造設
備、検査装置、作業員/検査員、製造条件や品質記録、製品に使用した材料/部品の品質記録、治工具等
パートナーは、納入品の製造履歴を管理し、当社が要求した場合は提出できるよう整備しておく必要がある。
※3 例えば不適合が発生した場合、その該当範囲の製造履歴の提出を求める場合がある。
b) 品質状況の提示
パートナーは、製品の品質状況(受入検査、工程内検査、完成品検査の状況等)を常に把握し、当社から要求に応じて、その状況を報告しなければならない。なお、報告は半年ごとを基本とするが、協議して変更してもよい。
6.14 当社からの支給品、貸与品の管理
a) 当社はパートナーに、材料、部品、中間製品、ソフトウェア等を支給、貸与することがある。
b) 当社から支給、貸与があった場合、当社に受領書又は当社の要求に応じた預り書を提出するとともに、型式、員数、外観上の不具合等の確認を行うこととする。不具合等を発見した場合は、直ちに当社に通知し指示を受けるものとする。
c) 当社からの支給品、貸与品は適正に識別・保管して、損傷、劣化を防ぐ予防手段をとる。また、当社への納入製品以外の他の製品に使用してはならない。
d) 当社からの支給品、貸与品(ソフトウェアを含む)の知的財産の機密保持に努め、第三者へ流出させてはならない。
6.15 在庫品の管理
a) パートナーは、在庫品(材料、部品、製品等)について適切な識別(品名、品種、ロット番号、製造番号等)と、製品への影響を考慮した保管管理をしなければならな
い。また、置き場、数量を明確にし、コンピュータシステム等を使用することを推奨する。保管期限、保管環境が決められた在庫品については、管理方法を明示し、要員に周知すること。在庫品の保管品管理では、先入れ、先出しを行う。
b) 在庫品を当社に納入する場合、品質に異常のないこと、劣化が進行していないことを再検査などで確認した上で納入する。
6.16 包装、梱包及び輸送時の取り扱い等
a) パートナーは、製品特性、輸送方法、搬出・搬入機器等輸送環境を考慮し適切な包 装、梱包を納入品に施さなければならない。また荷役作業時の破損防止のため必要な外装梱包、取り扱いの注意事項を表示するものとする。
b) 特に当社が梱包等に関して規定しない場合には、パートナーが良好な状態を維持して納入できるように標準を規定、運用する。
6.17 検査用測定器及び試験装置
a) 検査工程で使用する測定器及び試験装置は、定期的な校正と始業点検を実施し、適正な検査ができる状態を維持する。
b) 校正、点検の手順は文書化され、その記録は維持する。
c) 測定器、試験装置、治工具及び検査用ソフトウェアの校正・点検(日常点検、始業点検または定期点検)によって不適合が発見された場合は、前回の校正・点検以降からの納入品への影響(不適合のある測定器等で検査した納入品を対象とする)を調査 し、当社に報告しその指示を受ける。
※検査用ソフトウェアのバージョン管理、製品との突合せ、トレースができるようにする。
d) 測定器、試験装置、治工具の更新及び検査用ソフトウェアを修正する場合は工程変更の手順に従って行うものとする。
7 パートナーによる監査及び不適合品の管理
7.1 内部監査及びパートナーによる仕入先・外注先への監査の実施
a) パートナーは、自社の品質マネジメントシステムの有効性を確認するために内部監査を実施するものとする。
b) 監査結果により是正が必要な場合は、確実に処置をするものとする。
c) 仕入先・外注先等を採用するにあたり監査を行い、監査を継続する。監査方法はパートナーの基準とするが、購入先を適切に評価し、問題が発見された場合は適切な処置
をする。なお、仕入先・購入先の品質状況により、継続監査については書面監査でも良いのものとする。
7.2 不適合品の管理
a) 不適合品は、識別し、適合品と混在させないようにする。不適合品への表示、分離された置き場への移動等を実施する。
b) 不適合品または不適合な施工を手直し・修理する場合は、手順を定めて適切に処理し、再検査を実施し、適合となったことを確認する。
c) 不適合品の手直しを行う場合は、手直しの記録を残すとともに、手直し現品を適切に管理する必要がある。
7.3 是正処置と再発防止
a) パートナーの工程内不適合
パートナーは、工程中の半製品、完成品、部品、購入品または施工で不適合を発見した場合は、速やかに、当社への流出有無を確認し、流出が認められた場合は直ちに当社に報告し、代品等の手配をする。また、早急な流出防止対策を講じ、原因を究明した後、暫定対策、是正対策を立案する。是正対策で設計変更、工程変更が必要な場合、その手順通り実施する。是正対策の効果は確実に検証されなければならない。これらは記録として維持する。
b) 当社納入後不適合
当社または当社の顧客でパートナー納入品由来の不適合が発見された場合、当社の指示に従い、代品納入等を実施する。また、迅速な原因調査、是正対策を推進し、再発の防止を図らなければならない。原因、対策については、当社の要求に従い、報告書で提出するものとする。不適合に関する報告書は、不適合に対する対応チーム、責任者、チーム内の責任分担、不適合内容、波及範囲、波及を含む現状処置、暫定対策
(*)、発生及び流出原因、是正処置、対策実施効果、再発防止対策を記載し、調査や処置の進行に応じて、xx、提出するものとする。
c) 不適合の原因究明は、FPA参考文献4、FTA等を使用し、不適合の真因を突き止め対策を講じる必要がある。発生事象の原因だけでなく、真の原因(固有技術上の原因と管理技術上の原因)を特定し、予防処置も含めた再発防止対策を図る必要がある。
7.4 不適合品の横展開
パートナーは、当社向け製品と類似の製品で不適合が発生した場合には、当社向けの製品で同様の不適合が発生する可能性を検討し、発生の恐れがある時には速やかに当社へ報告するとともに、対策をとらなければならない。
以上
参考文献
1.xxxx「トヨタ式未然防止法・GD3」日科技連出版社(2002)。
2.xxxx「想定外を想定する未然防止法 GD3」日科技連出版社(2011)。
3.xxxx「全員参画型マネジメント APAT」日科技連出版社(2012)。
4.xxxx「発見力」日科技連出版社(2016)。
バリューチェーンの様式例
原材料 A社
原材料 a 社
加工委託 D社
部品 C社
原材料 b 社
原材料 B社
パートナー
古河電工