Contract
債券等のフェイルの解消に関する規則
(平 12. 9. 8)
(目 的)
第 1 条 この規則は、協会員間及び協会員と顧客との間の債券等(次条において定義するものをいう。)の受渡しにつきフェイル(次条において定義するものをいう。)が生じた場合の取扱いについて必要な事項を定め、もって債券等の店頭売買その他の取引に係る受渡しの円滑化を図ることを目的とする。
(定 義)
第 2 条 この規則において次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。
1 フェイル 受方協会員が、そのxx協会員から予定されていた決済日が経過したにもかかわらず、本来受渡しが合意されていた債券等(以下「対象債券等」という。)を受け渡されていないことをいう。
2 受渡不履行 受方協会員がそのxx協会員に対し対象債券等受渡しの対価を完全に支払済みの状態又は対象債券等の受渡しと引換えに支払える状態であるにもかかわらず、予定されていた決済日後 10 営業日を超える期間、受方協会員に対し当該債券等が受け渡されていないことをいう。
3 債券等 社債、株式等の振替に関する法律(以下「振替法」という。)第 2 条第 1 項各号に規定する「社債等」のうち、以下のものをいう。
イ 社債(新株予約権付社債及び振替法第 66 条第 1 号に規定する短期社債を除く。)ロ 国債
ハ 地方債
ニ 投資信託及び投資法人に関する法律に規定する投資法人債(同法第 139 条の 12 第
1項に規定する短期投資法人債を除く。)
ホ 保険業法に規定する相互会社の社債(同法第 61 条の 10 第 1 項に規定する短期社債を除く。)
ヘ 資産の流動化に関する法律に規定する特定社債(転換特定社債及び新優先出資引受権付特定社債並びに同法第 2 条第 8 項に規定する特定短期社債を除く。)
ト 特別の法律により法人の発行する債券に表示されるべき権利(振替法第 2 条第 1 項
第 1 号及び第 4 号から第 6 号までに掲げるもの並びに信用金庫法第 54 条の 4 第 1 項
に規定する短期債及び農林中央金庫法第 62 条の 2 第 1 項に規定する短期農林債を除
く。)
チ 資産の流動化に関する法律に規定する特定目的信託の受益権(同法第 230 条第 1 項
第 2 号に規定する社債的受益権に限る。)
リ 外国又は外国法人の発行する債券(新株予約権付社債券の性質を有するもの及び振替法第 127 条において準用する同法第 66 条(第 1 号を除く。)に規定する振替外債の
うち、社債、株式等の振替に関する命令第 10 条の 11 第2項に規定する短期外債を除く。)に表示されるべき権利
4 受方協会員 xx協会員との間で、xx協会員から対象債券等の店頭売買その他の取引に係る受渡しを受ける旨を約した協会員をいう。
5 xx協会員 店頭売買その他の取引に係る決済を行うため、受方協会員又はそのxx協会員等に対し対象債券等を受け渡す義務を負う協会員をいう。
6 同種債券等 受方協会員とそのxx協会員(以下「甲」という。)との間、甲とそのxx協会員(以下「乙」という。)との間、又は乙とそのxx協会員との間(以下、丙、xxと続いた場合も同じ。)において対象債券等と、その種類、利札、満期及びこれらに類する債券等の利回りに影響を及ぼす特性を含む(ただし、これらに限らない。)属性に関して、類似の種類、条件かつ数量の債券等で、対象債券等に代わるものとして別途合意されたものをいう。
7 バイ・イン 受渡不履行を解消するため、本規則の規定に従い、対象債券等又は同種債券等を市場価格で買い入れることをいう。
8 再通知協会員 受渡不履行に関するバイ・イン通知をそのxx協会員に対し再通知する協会員をいう。
9 営業日 協会員の休業日でない日をいう。
10 ループ フェイルの取引のみで完結している三者以上の同一当事者間の債券等受渡義務の循環をいう。
(フェイル解消の誠実努力義務)
第 3 条 受方協会員及びそのxx協会員は、xxxxが発生している取引において、当該フェイルの状態を解消するため誠実に努力しなければならない。
(受渡不履行の解消方法)
第 4 条 受方協会員は、受渡不履行の取引を決済するため、次の各号に定める方法のうち、いずれか一の方法を採ることができるものとする。
1 そのxx協会員との間の合意に基づき、当該xx協会員から、対象債券等に代えて同種債券等の受渡しを受けること。
2 そのxx協会員との間の合意に基づき、当該xx協会員との間で対象債券等の反対売買を行うこと。
3 次条以下において規定する手続に従い、受渡不履行になっている対象債券等又は同種債券等のバイ・インを実行すること。
(バイ・インの通知)
第 5 条 バイ・インは、受渡不履行が継続している状態において実行することができるものとし、かつ、受方協会員が対象債券等又は同種債券等を取得するために行われるものとする。
2 バイ・インの通知は、次の各号に定めるところにより行うものとする。
1 バイ・インの通知は、対象債券等に関し本来予定されていた決済日から 10 営業日(本来予定されていた決済日を含まない。)経過後でなければ行うことはできない。
2 バイ・インを行うためには、受方協会員は、当該通知において指定するバイ・イン約 定日から少なくとも 10 営業日(バイ・イン約定日を含まない。)前の日の正午(日本時 間)までに、そのxx協会員に対して書面による通知(以下「バイ・イン通知」という。バイ・イン通知はファクシミリ又は電子通信システムによることができるものとするが、これに限らない。)を行うものとする。
3 バイ・イン通知には、次に掲げる事項を記載しなければならないものとする。イ 受方協会員の名称、担当部署名、担当者名(責任者名)及び連絡先
ロ 通知の送付先であるxx協会員の名称及び担当部署名
ハ バイ・イン通知を行った受方協会員とそのxx協会員間の取引(以下、本号において「本来の取引」という。)の対象債券等の額面及びその証券情報
ニ 本来の取引において合意された受渡金額ホ 本来の取引の約定日及び決済日
ヘ 受方協会員が、指定したバイ・イン約定日の正午(日本時間)までに当該xx協会員との間の本来の取引の完了通知を受けなかった場合には、当該取引について指定したバイ・イン約定日に当該xx協会員の計算においてバイ・インを行い得る旨
ト バイ・イン約定日及びバイ・イン決済日
4 バイ・イン通知を受け取ったxx協会員は、バイ・イン通知に署名又は記名捺印のうえ、同通知の写しを受方協会員に速やかに返送することにより、通知の受領を確認するものとする(その確認は、ファクシミリ又は電子通信システムによることができるものとするが、これに限らない。)。
(バイ・イン通知の再通知)
第 6 条 バイ・イン通知の再通知は、次の各号に定めるところにより行うものとする。
1 バイ・イン通知(本条においては、本条に従い再通知されたバイ・イン通知を含む。)を受け取ったxx協会員は、自己と自己に対するxx協会員との間で、当該バイ・イン通知に記載された対象債券等と同一銘柄・同量の債券等に関して受渡不履行が生じてい
る場合には、受取時から 24 時間以内に(ただし、いかなる場合も当初のバイ・イン通
知で指定されたバイ・イン約定日(又は、対象債券等が移転手続中であるため次条第 2号に従って期限が延長された場合には翌営業日)の2営業日前の正午(日本時間)までであることを要する。)、当該バイ・イン通知をそのxx協会員に書面により再通知することができる(その再通知は、ファクシミリ又は電子通信システムによることができるものとするが、これに限らない。)。
2 前号で規定する再通知には次に掲げる事項を記載するものとする。
イ 再通知協会員の名称、担当部署名、担当者名(責任者名)及び連絡先ロ 通知の送付先であるxx協会員の名称及び担当部署名
ハ 自己より前の全再通知協会員の名称ニ 受方協会員の名称及び連絡先
ホ 再通知が行われる原因となった再通知協会員、再通知先であるxx協会員間の取引
(以下、本号において「本来の取引」という。)の対象債券等の額面及びその証券情報
ヘ 本来の取引において合意された受渡金額ト 本来の取引の約定日及び決済日
チ 指定されたバイ・イン約定日及びバイ・イン決済日
3 第 1 号に定める通知を受け取ったxx協会員は、再通知されたバイ・イン通知に署名又は記名捺印のうえ、同通知の写しを通知人に速やかに返送することにより、通知の受領を確認するものとする(その確認は、ファクシミリ又は電子通信システムによることができるものとするが、これに限らない。)。
4 バイ・イン通知を受け取ったxx協会員は、当該バイ・イン通知に記載されている情報をみだりに第三者に公開してはならない。
5 バイ・イン通知を受け取ったxx協会員は、自己と自己に対するxx協会員との間で、当該バイ・イン通知に記載された対象債券等と同一銘柄かつ同量の債券等に関して受渡不履行が生じている場合であっても、第 1 号に定める再通知を行わず、自己に対するxx協会員に対して別にバイ・インを行うことができる。
6 自己に対するxx協会員にバイ・イン通知を行った後、自己の受方協会員からバイ・イン通知を受け取った協会員は、自己の行ったバイ・イン通知を取り消したうえで、自己の受方協会員から受け取ったバイ・イン通知を自己に対するxx協会員に再通知することができる。ただし、自己の送付したバイ・イン通知を取り消さず、かつ、自己の受方協会員から受け取ったバイ・イン通知を自己に対するxx協会員に再通知しないこともできる。
7 前号に定めるバイ・イン通知の取消しは、取消対象となるバイ・イン通知を特定したうえで、これを取り消す旨の書面による通知(以下「取消通知」という。取消通知はファクシミリ又は電子通信システムによることができるが、これに限らない。)により行う
ものとする。
8 自己に対するxx協会員にバイ・イン通知を再通知した後、当該バイ・イン通知に関する取消通知及び新たなバイ・イン通知を受け取った協会員は、自己の行った再通知を取り消したうえで、新たに受け取ったバイ・イン通知を再通知しなければならない。
(バイ・インの実行)
第 7 条 バイ・インの実行は、次の各号に定めるところに従い行うものとする。
1 指定されたバイ・イン約定日(又は、対象債券等が移転手続中であるため次号に従って期限が延長された場合には翌営業日)の正午(日本時間)までに、バイ・イン通知に記載された債券等が受方協会員に受け渡された旨の通知が行われず、又は他の方法によっても対象債券等に関する取引が決済されていない場合、受方協会員は、対象債券等又は同種債券等のバイ・インを実行することができる。本条に従い行うバイ・インは、受方協会員が、自己の名をもって、そのxx協会員の計算において行うものとする。
2 前号の規定にかかわらず、バイ・インのための新たな取引を約定する前に、受方協会員がそのxx協会員から、対象債券等についてバイ・イン約定日の営業時間終了時までに移転される旨の書面による通知をバイ・イン約定日の正午(日本時間)までに受け取った場合には、受方協会員はバイ・イン通知において指定したバイ・イン約定日の翌営業日以降でなければバイ・インを実行できないものとする。
(バイ・イン実行の通知及びその効力)
第 8 条 バイ・イン実行の通知及びその効力は、次の各号に定めるところによるものとする。
1 バイ・インを行った受方協会員は、約定後直ちに、自己の計算で債券等のバイ・インが行われたxx協会員に対し、バイ・インを行った債券等の数量及び価格を電話により通知しなければならない。
2 前号に定める電話による通知は、約定日付けの書面(その書面は、ファクシミリ又は電子通信システムによることができるものとするが、これに限らない。)により確認されるものとする。
3 前号に定める書面による確認においては、取引の決済において精算されるべき金銭の額を記載するものとする。取引の決済において精算されるべき金銭の額は、次に掲げる金額の合計額とする。
イ バイ・インにより調達した債券等の約定金額から、対象債券等受渡しの約定金額(ただし、対象債券等の受渡しが売買以外の約定に基づく場合には、当該約定において定められた対象債券等受渡しに関する価格及び担保金利等を考慮して当事者間で合意した金額とする。)を減じた差額(バイ・インにより調達した債券等が対象債券等でない場合は、この限りではない。)
ロ 本来の決済日からバイ・イン決済日までの間の対象債券等の経過xx又は経過配当相当額(本来の決済日からバイ・イン決済日までの間に対象債券等の利金又は配当(以下、「利金等」という。)が発生した場合には、当該利払日又は配当支払日に支払われた利金等相当額について別途精算するものとする。)
ハ 受方協会員がバイ・イン実行のための資金調達に要した費用の合計額
4 前号に定める精算されるべき金銭は、バイ・インの決済日の翌営業日までにxx協会員及び受方協会員の間で精算されるものとし、その金銭の支払完了をもって、受方協会員とそのxx協会員間の本来の取引が決済されたものとする。
5 バイ・イン通知が第 6 条に定めるところにより再通知された場合には、第 1 号に規定 する受方協会員によりバイ・インが行われた債券等の約定価格を用い、同号から前号ま でに規定された方法に準じて、再通知を行った協会員間で精算をするものとし、その金 銭の支払完了をもって、再通知を行った協会員間の本来の取引が決済されたものとする。
6 受方協会員は、自己の勘定からバイ・インを実行することができる。ただし、約定時の市場の状況に照らして、買い入れた債券等の適正な市場価格を反映した価格により実行しなければならない。
7 1 通又はそれ以上の数の再通知を伴うバイ・イン通知が行われた結果、その取引に関しループが発生していることが明らかになった場合には、協会員は、取引を円滑に決済するとともに、そのループの状態を相互に受け入れ可能な条件で決済するため、誠実に努力しなければならない。
2 バイ・イン通知に指定された約定日から 3 営業日(バイ・イン約定日を含まない。)の終わりまでに、本規則に従って受方協会員がバイ・インを行わなかった場合は、当該バイ・イン通知は失効するものとし、受方協会員は、当該取引に関しバイ・インを行うためには、新たなバイ・イン通知を送付しなければならないものとする。
(顧客によるバイ・イン実行)
第 9 条 顧客と協会員との間で受渡不履行が生じている場合(第 2 条第 2 号において、「受方協会員」を「顧客」、「xx協会員」を「当該顧客に対し対象債券等を受け渡す義務を負う協会員」と読み替えた場合に、同号に該当する場合をいう。)においては、当該顧客は、本規則に従い、バイ・インを実行することができる。この場合においては、「受方協会員」を「顧客」、当該受方協会員に対する直接の「xx協会員」を「当該顧客に対し対象債券等を受け渡す義務を負う協会員」と読み替えるものとする。
2 前項の規定に従い、顧客がバイ・インを実行する場合においては、当該顧客は、当該顧客に対し対象債券等を受け渡す義務を負う協会員に対し、前条第 1 項第 3 号に定める金銭を除き、理由のいかんを問わず、当該フェイルに起因する一切の損害賠償請求をできないものとする。
3 顧客からバイ・インの通知を受けた協会員は、第 6 条に定めるところに従い、バイ・
イン通知を再通知することができる。ただし、当該再通知を行う協会員は、第 6 条第 2号の規定にかかわらず、当該顧客との合意に基づき、当該再通知において、同号ニに規定する事項を「顧客」と記載することができる。
x x
この規則は、日本銀行における国債決済の即時グロス決済の実施の日から施行する。
(注)「日本銀行における国債決済の即時グロス決済の実施の日」は平成 13 年1月4日。
x x(平 17. 9.12)この改正は、平成 18 年1月 10 日から施行する。
(注)改正条項は、次のとおりである。第2条第3号を改正。
x x(平 18. 4.18)
この改正は、平成 18 年5月1日から施行する。
(注)改正条項は、次のとおりである。第2条第3号を改正。
x x(平 19. 9.18)
この改正は、平成 19 年9月 30 日から施行する。
(注)改正条項は、次のとおりである。第2条及び第4条を改正。
x x(平 20. 9.16)
1 この改正は、平成 20 年 10 月1日から施行する。
2 株式会社商工組合中央金庫法(平成 19 年法律第 74 号)附則第 38 条の規定により、なお効力を有するとされた短期商工債は、改正前の規定を適用する。
(注)改正条項は、次のとおりである。
第2条第3号トを改正。
x x(平 20.11.18)
この改正は、株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律(平成 16 年法律第 88 号)附則第1条本文に規定する同法施行の日から施行する。
(注)改正条項は、次のとおりである。
(1) 第2条第3号を改正。
(2) 「株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律(平成16年法律第88号)附則第1条本文に規定する同法施行の日」は平成21年1月5日。
x x(平 24. 3.19)
この改正は、株式会社証券保管振替機構における一般債振替制度での特定目的信託の社債的受益権の取扱開始の日から施行する。
(注)改正条項は、次のとおりである。
(1) 規則の名称を変更。
(2) 第1条、第2条第1号から第7号及び第 10 号を改正。
(3) 旧第2条第3号チをリに改め、第3号チを新設。
(4) 第4条第1号から第3号、第5条第1項、第5条第2項第1号、第5条第3号ハ、第6条第1号、第6条第2号ホ、第6条第5号、第7条第1号及び第2号、第8条第1号、第8条第3号イ及びロ、第8条第5号及び第6号、第9条第1項及び第2項を改正。
(5) 「株式会社証券保管振替機構における一般債振替制度での特定目的信託の社債的受益権の取扱開始の日」は平成 24 年4月1日。
x x(平 28. 3.15)
この改正は、平成 28 年3月 15 日から施行する。
(注)改正条項は、次のとおりである。第2条第3号リを改正。