株式会社Holmes
契約マネジメントシステム
「ホームズクラウド」を利⽤した
電⼦契約に関する説明書
株式会社Holmes
監修:⻄村あさひ法律事務所
Ⅰ ホームズクラウドの概要 1
Ⅱ ホームズクラウドによる電⼦契約書作成の仕組み 1
1. 契約書の作成 1
2. 契約書の承認 1
3. 契約書の締結 1
Ⅲ ホームズクラウドによる電⼦⽂書の安全性の確保 2
1. 契約書の意義 2
2. ⽂書の真正 2
(1) いわゆる「⼆段の推定」 2
(2) 電⼦⽂書の「真正な成⽴」 3
(3) ホームズクラウドにおける「電⼦⽂書の真正な成⽴」の確保 4
3. 契約締結権限・社内⼿続の履践 5
(1) 契約締結権限・社内⼿続履践の必要性 5
(2) ホームズクラウドにおける契約締結権限・社内⼿続履践の確認 6
公開:2019年9⽉27⽇更新:2020年6⽉25⽇
⽬
次
I ホームズクラウドの概要
ホームズクラウド は、契約書の作成、締結、承認、管理を⼀貫してワンストップで⾏うことのできるクラウドサービスです。ホームズクラウドを使⽤することにより、契約書の作成から締結に⾄る過程における社内の調整・承認プロセス、当事者間の交渉及び締結⼿続をデジタル化し、契約関連業務の効率化を実現できます。また、ホームズクラウドを使⽤して締結した契約書だけでなく、貴社がこれまでに締結した紙媒体の契約書についても ホームズクラウドにおいて保管・管理することが可能です。これにより、貴社における⼀元的な契約マネジメントが可能となり、最適な契約オペレーションが実現します。
II ホームズクラウドによる電⼦契約書作成の仕組み
1. 契約書の作成
貴社が締結する契約の⽬的・内容に合わせ、クラウド上で契約書のドラフトを作成しま す。 その際、ホームズクラウド が提供する約 300 種類のテンプレートを使⽤することが可能なほか、貴社が利⽤している契約書のひな型や、貴社がこれまでに締結した契約書をテンプレート化して ホームズクラウドに保存し、⾃由に編集して使⽤することも可能です。
契約書のドラフトを作成した後、契約相⼿⽅とドラフトのやり取りをする場合は、編集⽤の URLを契約相⼿⽅に送付することにより、契約相⼿⽅が ホームズクラウド上でドラフトを確認することが可能です。契約相⼿⽅は、ホームズクラウド上で、受領したドラフトを直接修正したり、貴社に対するコメントを残したりすることができます。
2. 契約書の承認
作成された契約書のドラフトは、貴社内部での決裁プロセスに沿って各担当者による承認を得ることとなります。その際、ホームズクラウドを利⽤することにより承認の依頼状況及び承認状況を⼀元的に管理・確認することができます。
3. 契約書の締結
貴社内部で承認を得た契約書ドラフトは ホームズクラウド上で契約相⼿⽅に提⽰され、契約相⼿⽅が契約書ドラフトの内容に合意した場合、電⼦サインを⾏い契約書の締結に⾄ることとなります。その際、契約書の内容が事後的に改ざんされることを防ぐため、ホームズクラ
この説明書(以下「本書」といいます。)は、当社が提供する契約マネジメントシステム「ホームズクラウド」を利⽤して作成された契約書(以下「電⼦契約書」といいます。)の安全性について説明する書
⾯です。なお、当社は、本書に記載される内容のうち、法的な事項については、⻄村あさひ法律事務所からのアドバイスを得て作成しています。なお、本書は、他社が提供する電⼦契約サービスの安全性について説明するものではありませんので、ご留意ください。
ウドではタイムスタンプ*1 による認証システムを採⽤しています。タイムスタンプによる認証システムの詳細については下記III2.(3)2をご参照ください。
Ⅲ ホームズクラウドによる電⼦⽂書の安全性の確保
1. 契約書の意義
⽇本法上、契約は、契約を成⽴させる意思表⽰(申込みと承諾)の合致により成⽴するのが原則です*2。従って、有効な契約の成⽴には、契約書の作成は原則として必要ありません。しかし、後⽇、契約の成否や内容について紛争が発⽣した場合には、契約書は、当事者の主張を裏付ける重要な証拠になります。そのため、実務上は、重要な契約の締結に際して契約書が作成されるのが通常です。
もっとも、契約書に契約主体として記載されている者に対して、契約書に記載されている内容通りの効果を帰属していることの証拠として契約書を使⽤する際には、1当該契約書が挙証者の主張する特定⼈によって作成されたものであること(⽂書の真正、下記 2.)及び2当該特定
⼈が当該契約書を締結する権限を有していたこと(下記 3.)が必要となります。
2. ⽂書の真正
伝統的な紙媒体で作成された契約書は、⺠事訴訟においては「⽂書(私⽂書)」と呼ばれ、 書証の対象となります。書証は、⽂書に記載された特定⼈の意思や認識などの意味内容を証拠資料とする証拠調べをいうため、その証拠⼒の判断にあたっては、対象となる⽂書が挙証者の主張する特定⼈によって作成されたものであること(⽂書が真正であること)が必要となります(⺠事訴訟法第 228 条第 1 項)。
(1) いわゆる「⼆段の推定」
この点、公⽂書*3については⽂書の真正が推定されますが(⺠事訴訟法第 228 条第 2 項)、契約書のような私⽂書は、「本⼈⼜はその代理⼈の署名⼜は押印」があれば真正に成⽴したものと推定されます(同条第 4 項)。もっとも、その推定を受けるためには、契約書に記載された署名⼜は押印が本⼈⼜はその代理⼈の意思に基づくことが必要となりますが、判例上、
「⽂書中の印影が本⼈または代理⼈の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、該印影は本⼈または代理⼈の意思に基づいて成⽴したものと推定するのが相当である」とされています(最判昭和 39 年 5 ⽉ 12 ⽇⺠集 18 巻 4 号 597 ⾴)。以上を整理すると以下のとおりになります(以下のような⼆段階の推定を、実務上「⼆段の推定」といいます。)。
*1 タイムスタンプ局( TSA; Time Stamping Authority )と呼ばれる第三者の事業者が電⼦データに時刻情報を付与し、 その時刻以前に当該電⼦データが存在していること(存在証明)、及び、その時刻以降に当該電⼦データが改ざんされていないこと(⾮改ざん証明)を証明する仕組みをいいます。
*2 例外として、例えば、事業⽤定期借地権設定契約については、公正証書によってしなければならないとされており (借地借家法第 23 条第 3 項)、有効な事業⽤定期借地権設定契約の成⽴には、契約の申込みと承諾の合致以外に、公正証書の作成という⽅式の具備が必要とされます。
*3 公務員がその権限に基づき職務上作成した⽂書をいいます。
① 上記最判昭和39年により、私⽂書中の印影が本⼈⼜は代理⼈の印章によって顕出されたものであるときは、本⼈⼜は代理⼈の意思に基づき押印がなされたものと推定され (⼀段⽬の推定)、
② ⼀段⽬の推定を受ける私⽂書は、⺠事訴訟法第228条第4項により、⽂書の真正が推定される(⼆段⽬の推定)
従って、⽂書の真正を主張する側は、私⽂書中の印影が本⼈⼜は代理⼈の印章によるものであることを⽴証すれば*4、相⼿⽅の反証がない限り、⽂書の真正を⽴証できることになります。
これに対し、⽂書の真正を争う側は、以下のような主張・⽴証活動を⾏うことになります。
(a) ⼀段⽬の推定の前提を覆すための主張・⽴証活動の例
・ ⽂書中の印影が本⼈⼜は代理⼈の印鑑の印影と異なる。
(b) ⼀段⽬の推定を覆すための主張・⽴証活動の例
・ 印鑑の紛失や盗難により、本⼈⼜は代理⼈の意思に基づく押印が⾏われていない。
・ 第三者に別の⽬的で預けていた印鑑が悪⽤された。
(c) ⼆段⽬の推定を覆すための主張・⽴証活動の例 ・ 私⽂書の作成後に⽂書の内容が改変された。
(2) 電⼦⽂書*5の「真正な成⽴」
伝統的な紙媒体による契約書については、上記(1)のとおり、⼆段の推定によって⽂書の真正が推定されることになります。これに対して、電⼦⽂書においては、「⽂書」への署名⼜は押印も原則として⾏われません。そのため、電⼦⽂書の成⽴の真正を主張する側は、「私⽂書中の印影が本⼈⼜は代理⼈の印章によるものであること」を主張・⽴証する以外の⽅法により、 電⼦⽂書の真正な成⽴を主張・⽴証することが必要となります。
この点、電⼦署名及び認証業務に関する法律(平成 12 年法律第 102 号)(以下「電⼦署名
法」といいます。)第 3 条は、「電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本⼈による電⼦署名(これを⾏うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本⼈だけが⾏うことができることとなるものに限る。)が⾏われているときは、真正に成⽴したものと推定する。」と規定し、⺠事訴訟法第 228 条第 4 項に定める⼆段⽬の推定と同様の効果を規定
しています。そのため、電⼦署名法第 3 条に定める電⼦署名(同法第 2 条第 1 項に定める「
*4 実務上は、私⽂書中の印影が本⼈⼜は代理⼈の印鑑登録証明書の印影と⼀致することを⽴証することにより、私⽂書中の印影が本⼈⼜は代理⼈の印章によるものであることの⽴証活動が⾏われることが多いです。
*5 ここでは、電磁的記録であって情報を表すために作成されたものを「電⼦⽂書」と呼びます。
電⼦署名を」のうち、これを⾏うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本⼈だけが⾏うことができることとなるもの」。以下「3 条電⼦署名」といいます。)がなされた電⼦⽂書であれば、紙媒体の私⽂書における⼆段の推定のうち⼆段⽬の推定と同様の推定を受けることができます。もっとも、3 条電⼦署名についても当該電⼦署名が本⼈の意思に基づき⾏われたものであることが必要となりますが、3 条電⼦署名が付与された電⼦⽂書についても、紙媒体の私⽂書における⼆段の推定のうち⼀段⽬の推定と同様の推定を受けられるか否かについては、 本書作成⽇現在、必ずしも明らかではありません。そのため、3 条電⼦署名を⾏えば、電⼦⽂書の真正な成⽴が当然に推定されるとは限らないことに注意する必要があります。
また、電⼦⽂書に 3 条電⼦署名を付与するためには、認定認証事業者*6から電⼦証明書等の発⾏を受けることが必要になりますが、これには費⽤と時間がかかります。
以上のとおり、3 条電⼦署名を⾏っただけでは電⼦契約の真正な成⽴が当然に推定されるか否かが現時点では必ずしも明らかではなく、また、電⼦証明書等の発⾏には費⽤や時間を要します。そのため、ホームズクラウド においては、3 条電⼦署名によらない⽅法による電
⼦契約書の真正な成⽴の⽴証を可能とするようなプラットフォームを提供することで、電⼦契約書の安全性を確保することとしています。
(3) ホームズクラウドにおける「電⼦⽂書の真正な成⽴」の確保
紙媒体による私⽂書における⼆段の推定や電⼦署名法上の 3 条電⼦署名に働く推定効を踏まえると、3 条電⼦署名を⽤いない電⼦⽂書の成⽴の真正を主張・⽴証するためには、1電⼦
⽂書が挙証者の主張する特定⼈(実際にホームズクラウドを操作している⾃然⼈をいい、以下単に「特定⼈」 といいます。)の意思に基づき作成されたものであること及び2電⼦⽂書が作成⽇以降改変されていないことを主張・⽴証することが重要になります。以下では、ホームズクラウドにおいて、上記1及び2がどのようにして確保されているのかを説明します。
① 電⼦⽂書が特定⼈の意思に基づき作成されたものであること
電⼦⽂書が特定⼈の意思に基づき作成されたものであることを確保するためには、まず、第三者が特定⼈になりすましていないことの確認が必要となります。クラウドサービスを含めたインターネットの世界では、現実世界に⽐べると、匿名性が確保されやすく、 契約の相⼿⽅が特定⼈であるか否かを確認することが難しい⾯があります。そのため、第三者が特定⼈になりすまして契約を締結するリスクが存在することになります。
ホームズクラウド では、ホームズクラウド上で実際に契約書の作成作業を⾏っているユーザーが、契約相⼿⽅が想定している者と同⼀である(なりすましでない)ことを確認するため、ホームズクラウド 上で、 ユーザーの本⼈確認書類(運転免許証、印鑑証明書等)の写しをアップロードすることが可能な仕組みを整えることにより、第三者が特定⼈になりすま
*6 認定認証事業者とは、電⼦署名法同法第 4 条第 1 項の認定を受けた者をいい(同法第 8 条)、電⼦署名のうち、その⽅式に応じて本⼈だけが⾏うことができるものとして主務省令で定める基準に適合するものについて⾏われる認証業務(⾃らが⾏う電⼦署名についてその業務を利⽤する者その他の者の求めに応じ、当該利⽤者が電⼦署名を⾏ったものであることを確認するために⽤いられる事項が当該利⽤者に係るものであることを証明する業務をいいます(同法 第 2 条第 2 項)。)を⾏います(同法第 2 条第 3項)。
して電⼦⽂書を作成するリスクに対処できるようにしています。
② 電⼦⽂書が作成⽇以降改変されていないこと
ホームズクラウド により電⼦契約書を作成・締結する場合、全ての当事者が契約書ドラフトの内容に合意し、契約書の締結を承認した時点で、内容が確定した契約書が PDF ファイルとして ⽣成されると同時に、当該 PDF ファイルのハッシュ値*7が計算され、ホームズクラウド を介して外部のタイムスタンプ局に対し当該ハッシュ値が送信されます。当該ハッシュ値を受信したタイムスタンプ局は、ハッシュ値とその送信時刻の情報を秘密鍵で署名したタイムスタンプトークンを発⾏し、当該トークンの記録が当該 PDF ファイルに保存されます。
上記のプロセスを経て、それ以降、タイムスタンプトークンの情報を参照しハッシュ値を
⽐較することにより、1当該 PDF が上記のハッシュ値の送信時刻に存在すること、及び、2それ以降当該 PDF ファイルの内容に変更が加えられていないことを確認することが可能となります。ユーザーは当該 PDF ファイルに埋め込まれた情報を参照することによって、上記1及び2の情報を確認することができます。
⽂書が作成⽇以降改変されていないか否かは紙媒体によって⽂書を作成する場合でも問題になり得ますが、ホームズクラウドによって作成された契約書は、以上のような電⼦的な⽅法によって改変の有無を確認することで、より安全な契約書を作成することを⽬指しています。
1. 契約締結権限・社内⼿続の履践
(1) 契約締結権限・社内⼿続履践の必要性
法⼈間で電⼦⽂書(電⼦契約)を締結する際には、実際に電⼦契約の締結⼿続を⾏う者が特定⼈である(なりすましでない)かどうかだけではなく(上記 2.)、当該特定⼈が契約締結権限を有していたか、また、当該契約の締結に関して法⼈内で必要とされる⼿続が全て履践されているかという点も問題になります。法⼈による契約の締結の際には、実際に調印を⾏う者
が、かかる調印について法⼈から正当に授権された者であることが必要となります。株式会社であれば、会社を代表する権限は代表取締役が有している場合が多いため、契約書に表⽰される調印者が代表取締役である場合には、調印者が会社を代表する権限を有していることが確認できますが*8、担当部の部⻑等が調印者となることも珍しくなく、契約書に調印者として表⽰される部⻑等が会社を代表して契約書に調印する権限を有しているかについては確認
*7 ハッシュ関数を⽤いて求められる、⼀定のデータを⼀定の法則に基づき不可逆的に変換し、短縮した数値のことをいいます。⼀般的に、異なるデータを同じハッシュ値となるように変換することは困難であるとされ、改ざん検知やファイルの同⼀性確認に有⽤であるとされています。実務上は、配信されたメールのメッセージが改ざんされていないか、ウェブサイトからダウンロードしたファイルが破損していないか等を確認する⽬的で使⽤されています。
*8 もちろん、この場合でも、実際に契約書に押印する者が、かかる押印を⾏う権限を有しているかについては、別途問題となり得ます
が必要となります。また、契約書に表⽰される調印者が代表取締役であったとしても、法令*9
⼜は社内規則により、⼀定の⼿続(取締役会の決議など)の履践が必要となる場合もあります。そのため、 契約書に表⽰される調印者が⼀般に法⼈を代表する権限を有しているとしても、個別具体的な契約の締結に際して社内の必要な⼿続を履践しているのかについても、別途確認する必要があります。こうした契約締結権限や社内⼿続の履践については、紙媒体の契約書の作成においても確認することが容易ではないことも珍しくありません。
(2) ホームズクラウドにおける契約締結権限・社内⼿続履践の確認
上記(1)の点について、ホームズクラウド では、以下のような仕組みを採⽤することにより、契約締結権限や社内⼿続の履践を確認することを可能にしています。
① 契約締結権限の確認⽅法の例
法⼈間の契約において、契約の調印者が契約締結権限を有しているかについては、特に 当該調印者が代表取締役以外の者である場合には、電⼦契約⼜は紙媒体の契約書の如何を問わず、契約書の作成・締結プロセスからのみでは直ちに明らかにはならないため、実務上当該契約締結権限を確認することは容易ではありません。
もっとも、実際の契約締結実務においては、相⼿⽅の職務権限規程等の社内規則を確認することで、契約の調印者が契約締結権限を有していることを確認することが考えられます。ホームズクラウド においても、上記の⼿法に準じて、ユーザーが職務権限規程等の社内規則をアップロードすることで、契約相⼿⽅が調印者の契約締結権限を確認することができる仕組みを整えています。
また、ホームズクラウドのアカウントを保有しているユーザーの契約締結権限について は、ホームズクラウドのシステム上、ユーザー内部での承認フローを事前に設定し、⼀元的に管理することが可能であるため、ホームズクラウド 上で契約締結権限を有する者による承認がなされない限り契約締結を⾏うことができないことが可能となる仕組みを整えています。これにより、ユーザー内部で契約締結権限を有さない者により契約が締結されることを防ぐことが可能となり、契約締結の相⼿⽅から、契約締結権限に対する信頼を得られやすい状況を整えることができます。
なお、ホームズクラウド を利⽤して電⼦契約を締結する場合、ホームズクラウド 上で実際に契約書を作成し、その締結を承認する(電⼦サインを⾏う)実務を担当する者(契約実務担当者)と、作成される契約書に締結者として記載される者が異なるケースも考えられま
す。この場合、契約実務担当者は、契約締結者の代理⼈(⼜は使者)として活動しているものと考えられますが、契約実務担当者が契約締結者から契約締結権限を与えられているのか否かが問題となり得ます。この点について、ホームズクラウド では、契約実務担当者と契約相⼿⽅との間の ホームズクラウド 上での契約締結段階において、CC として契約締結者の
*9 例えば、会社法上、「重要な財産の処分及び譲受け」や「多額の借財」については、取締役会の決議が必要とされています(会社法第362条第4項第1号、第2号)
メールアカウントを加えた上で、同内容のメールを送付できる仕組み等を整えることにより、契約の相⼿⽅が当該権限を確認できるようにしています。
② 社内⼿続の履践の確認⽅法の例
法⼈間の契約においては、電⼦契約⼜は紙媒体の契約書の如何を問わず、契約の調印者が契約締結権限を有していたとしても、その者が社内⼿続上必要とされる⼿続を履践しているかについては、契約書の作成・締結プロセスからのみでは直ちに明らかにはならないため、実務上当該⼿続の履践状況を確認することは容易ではありません。
もっとも、上記への対応として、実務上、例えば、当該契約の締結に際して取締役会の決議が必要な場合には、当該決議に係る取締役会議事録の原本証明付写しの提出を求めることが⾏われています。ホームズクラウド においても、上記の⼿法に準じて、代表印による押印のある代表者による原本証明⽂⾔が付された取締役会議事録の写しを ホームズクラウド上にアップロードし、契約相⼿⽅が当該写しを確認することにより、適正な社内⼿続を履践したことを確認することが可能な仕組みを整えています。
以 上
注意事項・免責事項
1. 当社は、電⼦契約書の安全性について、本書に記載するとおりに考えることが合理的であると考えておりますが、本書作成⽇現在、電⼦契約書の安全性、とりわけ、 争訟⼿続における証拠能⼒・証拠⼒については、明⽰的な法令上の規定や確⽴された裁判所の判断等は存在していません。そのため、当社は、管轄権を有する裁判所により将来なされ得る判断に関し何ら意⾒を述べるものではなく、また、将来当社の意⾒と同内容の判断がなされることを何ら保証するものではありません。
2. 当社は、本書を作成するにあたって、⻄村あさひ法律事務所からのアドバイスを得ており、正確な情報を記載するように⼗分な注意を払っています。しかしながら、 当社は、本書に記載されている情報の正確性、信頼性及び完全性について、明⽰⼜は黙⽰を問わず、何ら保証するものではありません。
3. 本書には、法律、会計、財務、税務及びコンプライアンスに関する利⽤者向けの助⾔は⼀切含まれておりません。それらの助⾔は貴社の弁護⼠、財務アドバイザー、 会計⼠及び税理⼠等の専⾨家へお問い合わせ下さい。当社は、本書に記載された情報に依拠した結果として⽣じ得る⼀切の損害について、⼀切の責任を負いません。
4. 当社は、ホームズクラウドを利⽤して締結された契約の適法性、有効性及び強制執⾏可能性については何ら表明し、また保証するものではありません。当社は、ホームズクラウドを運営し、電⼦契約書を作成するプラットフォームを提供していますが、ホームズクラウドを利⽤して締結されるいかなる契約、合意等(名称の如何を問いません。)の成⽴を媒介する⽴場にはなく、また、実際に媒介するものではありません。また、当社は、 ホームズクラウドの利⽤者に対し、ホームズクラウドを利⽤して締結される契約に関して法律、会計、財務、税務及びコンプライアンスに関するアドバイスを提供するものではありません。それらの助⾔は貴社の弁護⼠、財務アドバイザー、会計⼠及び税理⼠等の専⾨家へお問い合わせ下さい。
5. 本書に記載される内容は、事前の予告なく、変更されることがあります。また、本書作成
⽇後における法令の改正、廃⽌その他の事由による変更⼜は解釈の変更その他の事由により、本書の記載内容が不正確なものとなった場合であっても、当社は、本書を補正し、変更し、改訂し、修補し、また作成し直す義務⼜はかかる変更、改訂、修補若しくは再作成が必要となった旨を通知する義務を負担するものではありません。
6. 本書は、貴社が上記の注意事項・免責事項に同意することを条件に、貴社に交付されるものです。