企 業 名 有限会社交告プラスチック加工 所 在 地 岐阜県中津川市中津川 3474 番地 11 代 表 者 纐纈 英幸 事業内 容 プラスチック製品成形・加工及び販売 資 本 金 1,000 万円 設 立 1978 年 10 月 25 日 第三者評価機関 株式会社 格付投資情報センター評価レポート:https://www.r-i.co.jp/rating/esg/index.html
2024 年 9 月 5 日
有限会社xxプラスチック加工との
ポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結について
岐阜信用金庫(理事長 xx xx)は、持続可能な社会への貢献を共に実現するため、有限会社xxプラスチック加工(代表取締役 xx xx)と、「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の契約を締結いたしましたのでお知らせします。
岐阜信用金庫は、引き続き、地域金融機関としての責任を果たし、ポジティブ・インパクト・ファイナンスの普及と持続可能な社会を実現するために、お客さまの目標にあわせたサポートを行い、ポジティブな社会的、環境的、経済的なインパクトの実現に積極的に取り組
んでいきます。
記
【契約内容】
実 行 日 | 2024 年 9 月 5 日 |
融 資 金 額 | 50 百万円 |
期 間 | 7 年 |
資 金 使 途 | 事業資金 |
【企業概要】
企 業 名 | 有限会社xxプラスチック加工 |
所 在 地 | xxxxxxxxxx 0000 xx 00 |
代 表 者 | xx xx |
事業x x | プラスチック製品成形・加工及び販売 |
資 本 金 | 1,000 万円 |
設 立 | 1978 年 10 月 25 日 |
第三者評価機関 | 株式会社 格付投資情報センター |
以 上
有限会社xxプラスチック加工
ポジティブインパクトファイナンス評価書
発行日:2024 年 9 月 5 日
発行者:岐阜信用金庫 ソリューション営業部
岐阜信用金庫は、有限会社xxプラスチック加工(以下、xxプラスチック加工という)に対してポジティブインパクトファイナンス(以下、「PIF」)を実施するにあたって、同社の事業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブインパクトおよびネガティブインパクト)を分析・評価した。この分析・評価は、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した PIF 原則および PIF 実施ガイド(モデル・フレームワーク)、ESG 金融ハイレベル・パネルにおいてポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、岐阜信用金庫
が開発した評価体系に基づいている。
目次
(3) 社員のモチベーション向上と人材育成に資する取り組み 7
1.事業概要
同社は岐阜県xxx市に本社を構えるプラスチック製品製造業であり、コンデンサフィルム用巻取芯となるプラスチックコアを主力製品に、農園資材や画材用品など多様な分野へ高品質なプラスチック製品を安定提供している。
企業名 | 有限会社xxプラスチック加工 |
本社所在地 | xxxxxxxxxx 0000 xx 00 |
代表者 | xx xx |
資本金 | 1000 万円 |
売上高 | 260 百万円(2023 年 9 月期) |
設立 | 1978 年 9 月 |
事業内容 | プラスチック製品成形・加工及び販売 |
従業員数 | 17 名(2024 年 8 月現在) |
資格・認証 | ISO9001 |
1969 年 | 岐阜県xxx市手賀野にて射出成形を主に創業 |
1978 年 | 有限会社設立法人化 岐阜県xxx市xxx本社工場建設稼働開始、農業資材の製造開始 |
1981 年 | φ38 のプラスチックコアの開発製造開始 |
1984 年 | φ75 のプラスチックコアの開発製造販売開始 各種化成品(自動車部品、雑貨、家電、住設)の成形開始 |
1990 年 | 農業資材について自社商品とし販売開始 一般規格の 3 インチプラスチックコアの製造をするため旋盤加工開始 |
2023 年 | バイオマス樹脂の製品開発に着手 |
①経営理念
『価値の創造こそ究極のサービス』
②行動指針
1. 先ず、3S を徹底してやる(整理・整頓・清掃)
2. 設備・金型・治工具・製品・置き場などに表示する
3. それぞれの仕事に P.D.C.A を活用する
4. 仕事の基準『やり方』を決める
決めたことは守る
5. お客様の苦情、意見を活かす
| コンデンサフィルム製造時に巻取芯として活用されるプラスチックコアについて、同社では創業以来蓄積してきた技術、ノウハウを活用した高い寸法精度、真円度加工により安定した製品供給を実現し、電子部品等分野の発展を支えて いる。 |
| 主要製品であるプラスチックコア以外に、農園資材や水彩画用パレットなど多様な分野へ同社の高精度射出成形、樹脂加工技術を展開している。 |
同社はプラスチック製品製造業として、コンデンサフィルムのスリット用プラスチックコアを主要製品としながら農園資材や画材用品など多様な分野へ高精度プラスチック製品を安定提供している。
同社はこれらプラスチック製品について、以下に概要を示す生産体制にて高品質製品を低コスト、短納期で安定提供しており、なかでも射出成形および表面加工による高い真円度公差の安定達成、製品表面平滑度の高い製品品質を特徴としている。
<同社における製品生産工程の概要>
① 射出成形加工 | 80t~660t の成形機を保有し、PE、PP、PS、ABS、 PA、PC、POM、PBT、 PMMA、PPS、エラストマーといった多様な樹脂素材の射 出成形に対応している。 | |
② 二次加工 | プラスチックコアについては定型長尺で成形加工し、旋盤加工機にて任意サイズにカットすることで品質の安定化と加工効率の向上を両立させ ている。 | |
画材パレット等においては放電加工による表面処理を実施し、撥水性を持った製品として二次加工している。 |
成形精度に影響を及ぼす温度、湿度の変化に合わせてxxの経験に基づき樹脂素材の水分含有量や成形条件の微調整を行 い、安定して成形品の要求加工精度を達成する製造管理体制が同社の強みの一つとなっている。 |
同社では創業以来xxの射出成形加工への取り組みのなかで蓄積してきた知識、技術に裏付けされた製造管理体制により、原材料樹脂の水分含有量管理や射出成形機の製品ごとの最適射出成形条件の導出、調整といった安定した射出成形精度確保に向けた管理に加えて、成形金型設計に関しても射出成形の観点より改善提案を積極的に実施し、受注各分野における製品の安定品質、安定提供に貢献している。
また、近年各種プラスチック製品メーカー、販売店において環境保護意識の高まりより使用検討が進められているバイオマス樹脂などエコ素材原料を使用した射出成形についても樹脂メーカーと連携しながら積極的に研究を進めており、バイオマス樹脂を原料として製品開発に積極的に取り組んでいる。
2.サステナビリティ
同社ではプラスチック製品製造業として、顧客ニーズ、社会的ニーズを捉えた安定した製品提供により受注先サプライチェーンを支え、各種受注産業の活性化に貢献している。
具体的取り組み内容は以下の通りである。
【安定した高精度プラスチック製品提供体制の整備】
・原材料樹脂の水分含有量管理や射出成形機の製品ごとの最適射出成形条件の導出、調整といった製造管理体制を磨き上げ、プラスチックコアなど産業用機械分野をはじめ農園資材や画材用品など多様な分野へ高精度プラスチック製品を安定提供し、受注先サプライチェーンを支え産業活性化へ貢献している。
【バイオマス樹脂等新たな素材への対応力強化に向けた技術追及】
・バイオマス樹脂を活用することで耐熱性の向上や製品収縮率の抑制(温度変化による変形抑制)といった製品品質の向上が見込まれるが、従来から使用している樹脂とは成形条件が異なることから、製品の焼けなど外観不良を抑制する技術が求められる。
・バイオマス樹脂などエコ素材原料を使用した射出成形についても樹脂メーカーと連携しながら積極的に研究を進め、バイオマス樹脂を原料として製品開発を推進することで顧客ニーズを踏まえながらも産業全体としての発展と環境保全の両立を目指している。
同社ではプラスチック製品製造業として、樹脂素材のリサイクル処理や加工に伴うエネルギー使用量の低減に積極的に取り組み、環境保全を意識した事業展開を図っている。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
【産業廃棄物の削減、適正廃棄への取り組み】
・成形時に発生するゲート等の端材や成形不良品については社内で回収、粉砕処理のうえで外部業者にてリペレットし、粒度を整えたリサイクル材を再利用することで不良発生を抑制しながらの廃棄物削減を推進している。
・製品輸送時には過剰梱包を回避し、可能な限り梱包資材についても再利用することで製品輸送に係る廃棄物発生を抑制している。
【バイオマスプラスチック製品の普及による環境負荷低減】
・バイオマス樹脂を活用したバイオマスプラスチック製品は日本バイオプラスチック協会によると「原料として再生可能な有機資源由来の物質を含み、化学的又は生物学的に合成することにより得られる高分子材料」と定義されており、焼却処分した場合でも、バイオマスのもつカーボンニュートラル性から、大気中の CO2 濃度を上昇させない特徴があると言われている。
・同社はセルロースを配合した樹脂により、製品開発に取り組んでいる。xxの経験から白色を基調としたプラスチック製品の製造を得意としており、バイオマス樹脂でありながら従来通りのカラーバリエーションの実現により、環境負荷低減と品質の両立に取り組んでいる。
【省エネルギー化推進への取り組み】
・生産設備の定期的な省エネ設備への更新、効率的な成形プログラム、加工プログラムの開発、利用により、生産過程における過剰なエネルギー使用の抑制に取り組んでいる。
・安定した製品品質を達成する製造管理体制の下での継続的な改善活動への取り組みを通じて不良発生を抑制し、不良発生、修正に伴うエネルギー使用量を抑制している。
・社内照明 LED 化推進、空調設備の省エネ設備への更新等を通じて、事務所、工場のエネルギー使用量の削減に取り組んでいる。また、工場屋根にカバー工法による補修を実施することで、屋根の修繕に加え、遮熱性を高める屋根素材へ切り替え、エネルギー使用量の抑制に取り組んでいる。
【G-クレジット制度1への賛同】
・岐阜県独自の「G-クレジット制度」への取り組みに賛同し、普及啓発活動を実施することで岐阜県の森林づくりに貢献している。
同社では個々の従業員がやりがいを持って健康に働き続けられる会社を目指し取り組んでいる。具体的な取り組み内容は下記の通りである。
【従業員のスキルアップ、モチベーション向上に向けた取り組み】
・入社後の業務スキル習得に向けた OJT 体制の整備に加え、毎日の朝礼での部門別の情報共有の実施等により体系的に業務に必要となるスキルを習得できる環境を整備している。
・社内各業務、工程別の標準化、チェックシート作成を推進し、スキルマップとして整理することで習得が必要となるスキルを体系的に把握できる環境を整備している。また、作業標準化を通じて対応可能要員の拡大、作業負荷の分散につなげている。
・業務上必要となるスキルの習得環境としては OJT を中心としながら必要に応じて成形機メーカーのスクールなど社外研修も活用し、またプラスチック成形技能士技能検定や各種クレーン・フォークリフト免許など業務上有効と考えられる資格取得については会社負担にて取得を支援している。
1 G-クレジットとは、岐阜県独自のカーボン・クレジットであり、クレジットの取引で得られた資金を活用し、健全で豊かな森林づくりを進めることで、森林の二酸化炭素吸収量を維持・増大させるとともに、社会全体に環境保全活動を広げることで
「脱炭素社会ぎふ」の実現を目指している制度。
【多様な人材の就労機会の創出に向けた取り組み】
・再雇用制度の活用による高齢者就業機会の創出、外国人技能実習生(ベトナム)の積極雇用、産休・育休・介護休業制度の制定、活用による従業員のワーク・ライフ・バランス確保に努めている。また、労働条件については従業員 1 名 1 名と面談のうえ個々の状況を勘案てし決定し、時短勤務制度等も活用しながら多様な人材が柔軟に働き続けられる環境整備に努めている。
・受注スケジュールに基づく繁閑見込みについて社内全体で共有し、案件納期を遵守しながらも各従業員が有給休暇を取得しやすい環境を整備し、取得を推奨している。
【従業員が健やかに働き続けられる職場環境形成に向けた取り組み】
・作業着の支給、安全関連備品の支給など、従業員が健やかに働き続けられる職場環境整備に努めている。また、各種感染症の予防接種補助や地域福利厚生サービスであるジョイセブン2への法人入会など福利厚生制度の充実によっても安心して働き続けられる職場環境の形成に努めている。
・また、年に 1 度の従業員一人一人と代表者の個人面談の実施や、社内イベント開催を通じて従業員間のコミュニケーション促進、風通しの良い職場づくりに努め、従業員が心身ともに健康に働き続けられる職場環境づくりを推進している。
同社では地域と一体となって社会資本を維持していくため、地域社会への貢献活動についても積極的に取り組んでいる。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
【技能者育成への貢献】
・代表取締役は 2006 年 5 月 31 日に愛知県技能検定委員の委嘱を受け、2023 年 11
月 30 日には技能検定委員のxxの功績を認められ、職業能力開発関連構成労働大臣表彰(技能検定関係)を受賞している。技能検定の推進や技能水準の向上に貢献するとともに、将来を担う優秀な技能者の確保・育成といった業界への貢献をしている。
・そのほか、職業訓練指導員免許証の取得により、技能習得ができる環境を整えている。
【地域社会の継続的発展への貢献】
・地域祭礼行事や消防団活動等への積極参加による地域活動に貢献している。また、地域社会福祉団体等への寄付活動による地域福祉の維持に貢献している。
2 ジョイセブンとは、岐阜県のxxx・恵那地域の福祉厚生サービス。(一財)xxx・恵那地域勤労者福祉サービスセンターが、主としてxxx市・恵那市の中小企業に従事する勤労者及び事業主のための総合的な福祉事業を行うことにより、中小企業勤労者福祉の向上を図るとともに、中小企業の振興発展、地域社会の活性化に寄与することを事業の目的としている。
3.インパクトの特定
インパクトの特定のため、同社主力事業についてバリューチェーン分析を実施した。
同社はプラスチック製品の射出成形を主力事業とし、多様なサイズ、種別の射出成形機を取り揃え、製造する製品にあわせ選定するとともに、創業以来蓄積してきた射出成形条件の導出、設定を通じて高品質な製品を安定的に生産している。
また、射出成形品に対する旋盤加工や放電加工といった二次加工についても社内にて一貫対応し、顧客ニーズにあわせた製品製造を実現している。
同社製品はコンデンサフィルムのスリット用プラスチックコアを主要製品としながら農園資材や画材用品など多岐に渡り、各分野へ高精度なプラスチック製品を納品している。
同社のバリューチェーン図
(図は同社提供資料をもとに岐阜信用金庫にて作成)
先述のバリューチェーン分析の結果をもとに、インパクトマッピングを実施する。
同社の事業およびxx・xxの事業を国際産業標準分類(ISIC)上の業種カテゴリに適用させた上、UNEP FI が提供するインパクトレーダーを用いて「ポジティブインパクト」(以下 PI)と「ネガティブインパクト」(以下 NI)を想定する。
同社の事業については「プラスチック製品製造業(ISIC:2220)」を、xxの事業については「プラスチック及び合成ゴム素材製造業(ISIC:2013)」を、xxの事業については「その他の電気機器製造業(ISIC:2790)」をそれぞれ適用し、発生するインパクトの検証を行った。
◎:主要カテゴリ ○:関連カテゴリ
xxの事業 | 同社の事業 | xxの事業 | ||||
① | ① | ① | ||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 【2013】 プラスチック及び 合成ゴム素材製造業 | 【2220】 プラスチック製品製造業 | 【2790】 その他の電気機器製造業 | |||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | ||||||
食糧 | ||||||
住居 | ||||||
健康・衛生 | ○ | |||||
教育 | ||||||
雇用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
エネルギー | ||||||
移動手段 | ||||||
情報 | ||||||
文化・伝統 | ||||||
人格と人の安全保障 | ||||||
xx・xx | ||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||
水(質) | ◎ | ◎ | ○ | |||
大気 | ○ | ○ | ○ | |||
土壌 | ◎ | ◎ | ○ | |||
生物多様性と生態系サービス | ||||||
資源効❹・安全性 | ○ | ○ | ○ | |||
気候 | ○ | ○ | ○ | |||
廃棄物 | ◎ | ◎ | ○ | |||
包括的で健全な経済 | ○ | ○ | ○ | |||
経済収束 |
上表のうち、xxの事業は同社事業活動が与える影響については軽微なものとなるため、分析を割愛している。xxの事業については「気候」のみを分析対象とし、他のカテゴリは同社事業活動が与える影響については軽微なものとなるため、分析を割愛している。
同社の事業① プラスチック製品製造業(ISIC:2220)
PI | 「雇用」「包括的で健全な経済」 |
NI | 「健康・衛生」「雇用」「水(質)」「大気」「土壌」「資源効率・安全性」「気候」 「廃棄物」 |
【社会面】
◆「健康・衛生」
プラスチック製品の製造過程での汚染により健康・衛生が脅かされるという NI が発現する。
同社では射出成形によるプラスチック製品製造において、徹底した原材料品質管理、製造工程管理を通じた不純物の混入防止、製造工程における汚染の回避により、NI の緩和に努めている。上記は SDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
□「12.4:2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通して化学物質や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。」
◆「雇用」
従業員の雇用の創出という PI と、労働形態によっては労働者の健康状態が脅かされるという NIが発現する。
同社では正社員 4 名、パート 5 名、外国人技能実習生 8 名と多様な人材が活躍できる場を提供することでPI を拡大している。また、活躍の場に留まらず、社内 OJT によるスキルアップ習得支援をはじめ、スキルマップ表や外部研修の活用により、従業員の技術力向上に貢献し PI を拡大している。
日本人従業員の平均年齢は 50 歳であり、同社の技術スキル・ノウハウを支える人材が健康的に長く働き続けられるために、有給取得の推進や健康診断の受診や予防接種の費用補助のほか に、岐阜県xxx・恵那地域の福利厚生サービスである「ジョイセブン」への加入により、福利厚生制度を充実させることで、労働形態の改善に取り組むことで NI を緩和している。
上記は SDG8「働きがいも経済成長も」に該当する。
□「8.5:2030 年までに、若者や障害者を含むすべての女性と男性にとって、完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事を実現し、同一労働同一賃金を達成する。」
□「8.8:移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある人々を含め、すべての労働者を対象に、労働基本権を保護し安全・安心な労働環境を促進する。」
【環境面】
◆「水(質)」「大気」「土壌」
プラスチック製品の製造時に水質汚染、大気汚染、土壌汚染が発生する可能性があるという NIが発現する。
同社では製造する製品や日々変化する製造環境にあわせた射出成形機の選定、成形条件の導出、調整により安定生産を実現し、不良を低減することを通じて環境負荷抑制に努めているとともに、原料樹脂素材メーカーと連携しながらバイオマス樹脂をはじめとする環境配慮素材を活用した射出成形技術の研究を推進することで NI の緩和に努めている。
上記は SDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
◆「資源効率・安全性」「気候」
非効率な製造プロセスはエネルギーや、水、油といった資源を過剰に使用し、温室効果ガスの増加要因となり気候に悪影響を及ぼすという NI が発現する。
同社では製品ごとの最適な射出成形条件の導出を通じて不良の発生を低減しながら効率的生産を実現し、また主要製品となるプラスチックコアについては定型長尺で成形加工し、旋盤加工機にて任意サイズにカットすることで品質の安定化と加工効率の向上を両立させるなどの製造上の創意工夫を通じて NI を緩和している。
上記は SDG12「つくる責任つかう責任」、SDG13「気候変動に具体的な対策を」に該当する。
◆「廃棄物」
製造過程で発生する廃棄物や老朽化した機械の適正な処分がおこなわれないことに起因する産業廃棄物の増加という NI が発現する。
同社では不良発生低減への取り組みに加え、ゲート等の端材や成形不良品を社内で回収、粉砕処理のうえで外部業者にてリペレットし、リサイクル材として再利用することで廃棄物削減を推進し NI の緩和に努めている。
上記は SDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
□「12.5:2030 年までに、廃棄物の発生を、予防、削減(リデュース)、再生利用(リサイクル)や再利用(リユース)により大幅に減らす。」
【経済面】
◆「包括的で健全な経済」
事業活動により地域経済が活性化するという PI が発現する。
同社ではコンデンサフィルムのスリット用プラスチックコアを主要製品としながら農園資材や画材用品など多岐に渡る分野、サプライチェーンへ安定した射出成形技術を提供し、PI を拡大している。 上記は SDG9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に該当する。
xxの事業① その他の電気機器製造業(ISIC:2790)
NI | 「気候」 |
【環境面】
◆「気候」
プラスチック製品の廃棄において、焼却処分することで大気中の CO2 濃度が上昇し NI が発現する。
同社では、バイオマス樹脂による製品普及に貢献することで、焼却時の大気中 CO2 濃度の上昇を抑制し、xxの事業の NI を緩和し同社事業の PI としていく。
上記は SDG13「気候変動に具体的な対策を」に該当する。
下図は「バリューチェーン分析」「インパクトマッピング」の結果を踏まえて、同社のバリューチェーンが与えるインパクトを可視化したものである。
社会
SDG8
環境
SDG13
経済
SDG9
xxの事業
同社の事業
xxの事業
ポジティブインパクト
樹脂素材メーカー
等
製品
設計
射出
成形
表面
加工
コンデンサフィルム製造事業者、 農業事業者、学校法人等
社会
環境
SDG8
SDG12
SDG12 SDG13
ネガティブインパクト
以上を踏まえて、同社の重要なインパクトを下記の 3 つに特定した。
【重要なインパクト】
「バイオマス樹脂による新商品開発」
「バイオマス樹脂普及と不良品発生の抑制を通じた環境保全対策推進」
「働き続けやすい職場の形成」
① バイオマス樹脂による新商品開発:SDG9、13
同社はプラスチック製品製造業として、原材料樹脂の水分含有量管理や射出成形機の製品ごとの最適射出成形条件の導出、調整といった製造管理体制を磨き上げ、プラスチックコアなど産業用機械分野をはじめ農園資材や画材用品など多様な分野へ高精度プラスチック製品を安定提供
し、受注先サプライチェーンを支え産業活性化へ貢献している。
近年では、バイオマス樹脂素材の射出成形手法について素材メーカーと連携しながら新規開発を推進し、セルロース由来素材を配合したバイオマス樹脂素材を活用し、従来素材と比較しより高い耐熱性や収縮率の抑制を誇る高機能製品の開発を推進している。高品質化に加えてバイオマス樹脂の特徴であるカーボンニュートラル性を活かすことで、環境負荷低減の実現に取り組んでいる。プラスチック製品製造においては、高品質な製品をいかに早く、安く作るかということが追及されることに加え、環境配慮素材の活用や軽量化、高強度化、複雑形状化といった高機能化ニーズも日々進展している。
今後の同社においても、既存主力製品であるプラスチックコアの長尺化ニーズに対応するため射出成形品の最大サイズ拡大に取り組んでいくとともに、バイオマス樹脂素材等を用いた高機能製品製造への技術開発を進め、同社製造技術の適用分野拡大を図っていく方針としている。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「気候」「包括的で健全な経済」のカテゴリに該当し、経済的側面および環境的側面の PI を拡大すると考えられる。
② バイオマス樹脂普及と不良品発生の抑制を通じた環境保全対策推進:SDG12、13
同社では製造する製品や日々変化する製造環境にあわせた射出成形機の選定、成形条件の導出、調整により安定生産を実現し、製品製造における不良発生を抑制するとともに、成形時に発生するゲート等の端材や不良品については自社で回収、粉砕処理し、外部業者にてリペレットしリサイクル材として活用することで事業活動に伴い発生する廃棄物量の抑制を図っている。加えて、バイオマス樹脂素材など環境配慮型新素材への対応を進めていくことでも事業活動の展開と環境保全の両立を目指している。
バイオマス樹脂素材における製品製造は、従来樹脂と成形条件が異なる上に、バイオマス樹脂でありながら白色を基調とした製品を作り上げるためには、一定のノウハウ・技術がなければ不良率が高まるリスクがある。
今後においては、バイオマス樹脂素材など環境配慮型新素材への対応を更に推進し、受注先ニーズを確認しながら現行素材との置き換えを図っていくとともに、廃棄物発生の中心ともなる不良品発生への対策を中心に、継続的な改善活動のもとで不良の発生を抑制し、環境負荷低減への 貢献を高めていく方針である。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「気候」「廃棄物」のカテゴリに該当し、環境的側面の PI を拡大し、NI を緩和する。
③ 働き続けやすい職場の形成:SDG8
同社は 3 年以内の離職率 0%、平均勤続年数 13 年程度であり、モノづくりに重要となる技術を保有する従業員が長く働き続けられる環境を整備している。具体的には、有給取得の推進や健康診断の受診、予防接種の費用補助のほかに、岐阜県xxx・恵那地域の福利厚生サービスである「ジョイセブン」への加入により、福利厚生制度を充実させている。
働く環境に限らず、代表取締役が技能検定委員として技能検定の推進や技能水準の向上に貢献するとともに、将来を担う優秀な技能者の確保・育成といった業界への貢献をしている。自社従業員に対しても、技能検定の受験する従業員に対して会社での費用負担など、技術習得をする機会を設けている。
近年では、日本人従業員に限らず、外個人技能実習生の受入にも積極的に取り組み、多様な人材が働き続けやすい職場環境の形成に取り組んでいる。
今後においても、xx勤務している従業員の健康面を考慮した企業経営を推進していくとともに、従業員のスキルアップを図っていく方針である。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「雇用」のカテゴリに該当し、社会的側面の PI を拡大すると考えられる。
① 日本におけるインパクトニーズ
同社売上の大半は日本国内におけるものであり、国内における SDG インデックス&ダッシュボードを参照し、そのインパクトニーズと同社のインパクトとの関係性を確認した。
本 PIF において特定したインパクトに対応する SDGs のゴールは、以下の 4 点である。
「 8:働きがいも経済成長も」
「 9:産業と技術革新の基盤をつくろう」
「12:つくる責任つかう責任」
「13:気候変動に具体的な対策を」
国内における SDG ダッシュボード上では、「9」に関しては「達成に近づいている」とされているもの の、「12」「13」に関しては「大きな課題が残る」、「8」に関しては「重要な課題が残る」とされてお り、同社における「バイオマス樹脂による新商品開発」への取り組み、「バイオマス樹脂普及と不良品発生の抑制を通じた環境保全対策推進」への取り組み、「働き続けやすい職場の形成」への取り組みなどが、日本国内におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
(出典:SDSN)
② 岐阜県におけるインパクトニーズ
同社の事業活動は立地する岐阜県を中心に行われていることから、「岐阜県 SDGs xx都市計画」を参照し、岐阜県内における SDGs 達成に向けての課題を確認した。
下記の通り、岐阜県では「<環境>美しい清流とそれを育む豊かな森の保全と活用」、「<経済>
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「清流の国ぎふ」ブランドと変化に強い地域経済の確立」、「<社会>誰もが活躍し生きがいを感じられる地域社会の構築」を 2030 年のあるべき姿と設定し SDGs 達成に向けた課題を設定しており、同社の「バイオマス樹脂による新商品開発」への取り組み、「バイオマス樹脂普及と不良品発生の抑制を通じた環境保全対策推進」への取り組み、「働き続けやすい職場の形成」への取り組みなどが、岐阜県におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
(出典:岐阜県第 2 期 SDGs xx都市計画の概要)
③ 岐阜信用金庫との親和性
◆「ぎふしん SDGs 宣言」
以下の 3 項目をSDGs 達成に向けた重点課題としている。
(1)持続可能な地域の経済成長のための活動
(2)持続可能な地域産業の基盤構築のための活動
(3)持続可能なまちづくりのための活動
◆親和性の確認
本件 PIF の取り組みに際し特定した同社のインパクトである「バイオマス樹脂による新商品開発」については、「ぎふしん SDGs 宣言」の(1)、(2)、(3)と、「バイオマス樹脂普及と不良品発生の抑制を通じた環境保全対策推進」については「ぎふしん SDGs 宣言」の (2)、(3)と、「働き続けやすい職場の形成」については、「ぎふしん SDGs 宣言」の (3)と親和性があり、相互に協力しあうことで、「経済」「社会」「環境」の 3 つの側面に渡り、持続可能な開発に関する枠組みとして、良質な効果が発生するものと思われる。
以上から、本 PIF の取組みは追加性のある PI 創出支援を行うものであり、その本源的目的との合致を確認したうえで SDGs 達成に向けた資金需要と資金供給とのギャップを埋めることを目指すものである。
4.KPI の設定
特定したインパクトの発現状況を今後も継続的に測定可能なものとするため、先に特定したインパクトに対し、インパクトの種類、インパクトカテゴリ、関連する SDGs、内容・対応方針および目標と KPI を整理、設定する。
■バイオマス樹脂による新商品開発
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 経済的側面においてポジティブインパクトを拡大 環境的側面においてポジティブインパクトを拡大 |
インパクトカテゴリ | 「気候」「包括的で健全な経済」 |
関連する SDGs |
|
内容・対応方針 | ・焼却時に CO2 濃度が上昇しない、バイオマス樹脂を活用した新商品 開発 |
目標とKPI | ・2030 年 9 月期までにバイオマス樹脂を活用した新製品を累計 6 ア イテム開発し、その年間売上高を 30 百万円規模以上とする(実績なし)。 |
■バイオマス樹脂普及や不良品発生の抑制を通じた環境保全対策推進
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 環境的側面においてポジティブインパクトを拡大 環境的側面においてネガティブインパクトを緩和 |
インパクトカテゴリ | 「気候」「廃棄物」 |
関連する SDGs |
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内容・対応方針 | ・既存製品で使用する素材のバイオマス樹脂化 ・取り扱い難易度が高く不良品発生リスクの大きい、バイオマス樹脂の利用拡大に連動した不良品発生の抑制策推進 |
目標とKPI | ・2030 年 9 月期までにバイオマス樹脂を使用した製品を全体売上高の 25%以上とする(現状 0%)。 ・製品の社外不良率 0%を継続する。 |
■働き続けやすい職場の形成
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 社会的側面においてポジティブインパクトを拡大 |
インパクトカテゴリ | 「雇用」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・健康経営優良法人認定の取得、およびこれを契機とした健康経営の推進 ・社内外研修、資格取得推奨を通じた従業員のスキルアップ環境の整 備 |
目標とKPI | ・2026 年 9 月期までに健康経営優良法人認定を取得し、継続する。 ・2030 年 9 月期までに累計 5 人採用する。(直近 3 年新入社員なし) ・新入社員のプラスチック成型技能士検定の受験率 100%を達成する。 ・今後入社する従業員は入社 3 年目までにフォークリフト免許を取得す る。 |
5.モニタリング
同社では、xx社長を中心に自社業務の棚卸を行い、本 PIF におけるインパクトの特定、並びに KPI の設定を行った。
今後については、以下の体制を中心とした同社プロジェクトチームが柱となって SDGs の推進、本 PIF で設定した KPI の進捗管理を行っていく方針である。
【モニタリング体制】
統括責任者 | 代表取締役社長 | xx xx |
本 PIF で設定した KPI および進捗状況については、同社と岐阜信用金庫の担当者が定期的な場を設けて情報共有する。情報共有については、少なくとも年に 1 回実施することに加え、日々の情報交換や営業活動を通じて実施していく。
下記の通り融資返済期限と同一期間にて定める。
モニタリング期間 (返済期限) | 7 年間 (2031 年 9 月 2 日) |
【留意事項】
1.本評価書の内容は、岐阜信用金庫が現時点で入手可能な公開情報、有限会社xxプラスチック加工から提供された情報や同社へのインタビューなどで収集した情報に基づいて、現時点での状況を評価したものであり、将来における実現可能性、ポジティブな成果等を保証するものではありません。
2.岐阜信用金庫が本評価に際して用いた情報は、岐阜信用金庫がその裁量により信頼できると判断したものではあるものの、これらの情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。岐阜信用金庫は、これらの情報の正確性、適時性、網羅性、完全性、および特定目的への適合性その他一切の事項について、明示・黙示を問わず、何ら表明または保証をするものではありません。
3.本評価書に関する一切の権利は岐阜信用金庫に帰属します。評価書の全部または一部を自己使用の目的を超えての使用(複製、改変、送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳及び翻案等を含みます)、または使用する目的で保管することは禁止されています。