ず平均使用年数を設定しています(別表 1 「商品別平均使用年数表」No.1 〜 5 参照)。
クリーニング事故賠償基準
第1条(目的)
この賠償基準は、クリーニング業者が利用者から預かった洗たく物の処理または受取および引渡しの業務の遂行にあたり、職務上相当な注意を怠ったことに基づき法律上の損害賠償責任を負うべき場合に、大量のクレームを定型的に処理するための合理的基準を設定し、これによりxxかつ効率的にトラブルを解決するとともに、利用者の簡易迅速な救済を図ることを目的とする。
⑴ クリーニング業務の範囲
イ 利用者から洗たく物を預かってからお返しするまでの間は、その洗たく物はクリーニング業者の支配圏にあります。配送中、保管中を含めて利用者の手を離れている間は、クリーニング業者には下記の注意義務並びに賠償責任があります。
ロ 宅配業者や保管業者、あるいはクリーニング処理の下請け業者など、履行補助者の業務委託先を含めて、すべてクリーニング契約を結んだクリーニング業者の支配圏にあることから、クリーニング業者が賠償の義務を負うこととなります。
⑵ 「職務上相当な注意を怠ったこと」 とは…
クリーニング業者は、利用者との間で洗たく物を預かって保管した上で返却すること(寄託契約)と、クリーニング処理を施すこと(請負契約)の 2 つを約束しています。
このことからクリーニング業者には次のような注意すべき義務が存在します。したがって、こ
れらの注意義務のいずれかを怠った場合に 「職務上相当な注意を怠ったこと」 となります。
イ 利用者からxxxxxxの依頼を受けた洗たく物の機能、汚れの質と量、汚れの放置期間、染色の堅牢度などを的確に把握すること(洗たく物の状態把握義務)。
ロ イの義務を尽くした上で、その洗たく物についてクリーニング処理が不可能な場合はクリーニングの引受けを断り、クリーニング処理が可能な場合には、最も適正なクリーニング処理方法を選択すること(適正クリーニング処理方法選択義務)。
ハ 本基準第 2 条の 2 に規定されている通り、洗たく物の受取及び引渡しに際して利用者と品物の状態について可能な限り相互確認をし、イ、ロの履行に必要な内容に関して説明を行うこと(処理方法等説明義務)。
x xで選択し、ハで説明したクリーニング処理方法を完全に実施すること(クリーニング完全実施義務)。
ホ 利用者から預かった洗たく物を適正な状態で引き渡すこと(受寄物返還義務)。
⑶ 「法律上の損害賠償責任を負うべき場合」 とは…
イ クリーニング業者は、職務上必要とされる注意義務、すなわち「洗たく物の状態把握義務」、「適正クリーニング処理方法選択義務」、「処理方法等説明義務」、「クリーニング完全実施義務」「受寄物返還義務」のいずれかを怠り利用者に損害を与えた場合には、請負契約上の債務不履行に該当し、利用者に与えた損害を賠償しなければなりません。
ロ クリーニング業者は、イで述べた注意義務を尽くし、従って請負契約不履行の賠償責任を負わない場合であっても、洗たく物に損傷等の過失が発生した場合には、利用者に対し賠償責任を負わなければなりません(民法第 634 条第 2 項)。
ハ クリーニング業者が、不注意により利用者から預かった洗たく物を紛失、損傷などした場合には、利用者に対して寄託契約(民法第 657 〜 665 条)不履行を理由として賠償責任を負うことになります。
ニ クリーニング業者が、利用者から預かった洗たく物を故意または過失により紛失、損傷などした場合には、利用者に対して不法行為に基づく賠償責任を負うことになります(民法第 709 条)。
なお、上記イないしハの賠償責任と不法行為に基づく賠償責任は重複することがあります。
第2条(定義)
この賠償基準において使用する用語は、つぎの定義にしたがうものとする。
⑴「クリーニング業者」とは、利用者とクリーニング契約(寄託契約と請負契約の混合契約)を結んだ当事者をいう。
⑵ 「賠償額」 とは、利用者が洗たく物の紛失や損傷により直接に受けた損害に対する賠償金をいう。
⑶ 「物品の再取得価格」 とは、損害が発生した物品と同一の品質の新規の物品を事故発生時に購入するのに必要な金額をいう。
⑷ 「平均使用年数」 とは一般消費者が物品を購入したその時からその着用をやめる時までの平均的な期間をいう。
⑸ 「補償割合」 とは、洗たく物についての利用者の使用期間、使用頻度、保管状況、いたみ具合等による物品の価値の低下を考慮して、賠償額を調整するための基準であって、物品の再取得価格に対するパーセンテージをもって表示された割合をいう。
⑴ 「クリーニング業者」 とは…
イ 利用者とクリーニング契約を結んだ者が当事者となります。したがって、委託取次店はもとより宅配業者などが集配を行い、あるいは委託(提携)先がクリーニング処理を行うなどの業態であっても、事故が発生した際にはクリーニング契約当事者がクレーム処理の窓口として責任をもって解決にあたります。
ロ 洗たく物の受取及び引渡しや保管を宅配業者等の第三者が行う場合であっても、これらの履行補助者はクリーニング契約の当事者ではないことから、事故原因が履行補助者にあっても、利用者に対しての賠償責任は契約当事者たるクリーニング業者が負います。
⑵ 「賠償額」 について…
イ 洗たく物の紛失や損傷に伴う事故のうち、一般的に損害賠償の対象となるのは、その洗たく物自体に生じた損害であることが明らかになった場合です。
ロ 賠償額の算定に関連して、クリーニング代金の扱いが問題となり得ますが、事故の原因がクリーニング業務にあるときは、クリーニング業者は、クリーニング代金の請求を放棄することとなります。
⑶ 「物品の再取得価格」 とは…
イ 「購入するのに必要な金額」 とは、事故が発生した時のその物品の標準的な小売価格をいいます。ただし、例えば、時期遅れのためバーゲン品として売り出された物品やリサイクルショップ等で古着として購入した物品のように、事故発生時の標準的な小売価格と著しく異なる場合で、クリーニング業者または利用者が購入価格を明らかにした時は、購入価格を基準として再取得価格を定めます。
ロ 物品購入時の価格が判らず、なおかつ事故発生時に物品が販売されていないため、再取得価格が不明な場合は、本基準第5条が適用されます。
⑷ 「平均使用年数」 とは…
イ 衣類などの使用開始から、その使用をやめるまでの平均的な期間をいいます。たとえば、衣服などの使用をやめる理由としては、流行遅れ、着飽きた、似合わなくなった、サイズが合わなくなったなどの理由も含まれているので、平均使用年数は単なる物理的に使用不能になるまでの期間(いわゆる耐用年数)とは異なります。
ロ ただし、素材等の特性により耐用年数に限界が認められるものについては、品目に関わら
ず平均使用年数を設定しています(別表 1 「商品別平均使用年数表」No.1 〜 5 参照)。
第2条の2(説明責任)
クリーニング業者は洗たく物の受取及び引渡しをしようとするときは、あらかじめ、利用者に対し、洗たく物の処理方法等を説明するとともに、この賠償基準を提示しなければならない。
2 クリーニング業者は、洗たく物の受取及び引渡しをしようとするときは、洗たく物の状態を利用者とともに確認しなければならない。
⑴ 「説明」とは…
イ クリーニング業者は、クリーニング業法第 3 条の 2(平成 16 年施行)の規定に基づき、利用者擁護の観点から、処理方法等の説明や苦情の申し出先の明示が求められています。加えて、本基準を適用するクリーニング業者は、万が一事故が発生した際に本基準に基づき賠償する旨をあらかじめ利用者に提示することを求められます。
ロ「説明義務」は膨大な洗たく物すべてに掛かるものではありません。クリーニング業法並びに本基準が求めているのはあくまでも《クリーニング事故防止=利用者利益の擁護》です。日常的に扱うワイシャツ 1 点 1 点にまで説明義務は及ぶものではないと解釈されます。
ハ 説明が必要となる洗たく物としては、扱ったことのない素材や取扱い表示のない製品、事故が頻発している素材を用いた衣類、完全に落ちるか不明な汚れが付いた衣類、特殊クリーニングが必要な衣類など、プロの目から見てリスクを伴う可能性の高い品物が該当します。利用者は、自分の衣類にこれらのリスクが内在することを知らないのが普通です。どのようなリスクが内在し、プロとしてどう処理するのかについて、あらかじめ説明が必要となります。
ニ クリーニング処理工程において万が一事故が発生した場合であっても、原因を究明したうえで、できるだけ早く利用者に連絡し、必要な説明と対処を行うことが必要となります。
ホ 洗たく物の受取及び引渡しについては、宅配業者が行う場合や、ロッカー等対面方式に拠らない方法もありますが、その場合にあっても、洗たく前に検品を行ったうえで、電話やインターネット等を通じて品物の状態や処理方法等について事前に説明し、了解を得ることが必要です。
へ これらの説明を怠った場合、クリーニング業者は、本基準第 3 条の「利用者またはその他の第三者の過失により事故の全部または一部が発生したこと」、または「職務上相当の注意を怠らなかったこと」の立証が困難になることがあります。
⑵ 「洗たく物の状態を利用者とともに確認しなければならない(相互確認)」とは…
イ 前項の「説明」をしっかり行うためにも、またクリーニング事故を未然に防止するためにも、洗たく物の状態を相互確認することが不可欠です。洗たく物に穴があく事故が発生した場合、鑑定等で原因が虫食いと判明しても、それがいつ生じたかについては特定できません。預かる前なのか、預かっている間なのか、返却後なのかは、受取及び引渡し時に相互確認をしていなければ特定することはできません。
ロ 前項の「説明」同様、店頭で 1 点 1 点細かくチェックすることは困難です。しかも、非対面方式による受け渡し方法さえ行われています。しかし、それらの場合であっても、洗たく前の検品でリスクが明らかになった場合は、必要に応じて品物の状態について相互確認を行うことが必要です。
ハ これらの相互確認を怠った場合、クリーニング業者は、本基準第 3 条の「利用者またはその他の第三者の過失により事故の全部または一部が発生したこと」、または「職務上相当の注意を怠らなかったこと」の立証が困難になることがあります。
第3条(クリーニング業者の責任)
洗たく物について事故が発生した場合は、クリーニング業者が被害を受けた利用者に対して賠償する。ただし、クリーニング業者が、その職務の遂行において相当の注意を怠らなかったこと、および利用者またはその他の第三者の過失により事故の全部または一部が発生したことを証明したときは、その証明の限度において本基準による賠償額の支払いを免れる。
2 クリーニング業者は、利用者以外のその他の第三者の過失により事故の全部または一部が発生したことを証明したときは、その他の第三者により利用者への賠償が迅速かつ確実に行われるよう、利用者を最大限支援しなければならない。
基準 3 条第 1 項について
⑴ クリーニング業者の賠償責任は、第 1 条およびこれに関連する運用マニュアル中の解説に示されている『職務上相当な注意を怠ったこと』を理由とする過失責任です。いわゆる無過失責任ではありません(xxxxx書により、十分な証明を行うことによって、クリーニング業者も賠償責任を免れることができます)。
もっとも、洗たく物について事故が発生した場合には、専門家としてのクリーニング業者に比し利用者の知識・情報が著しく劣っていることから、利用者の救済を促進するため、証明がなされるまでは一応クリーニング業者に過失が存在し、その過失と損傷との間に因果関係が存在するものと推定することにしました(過失の推定)。
⑵ ただし書に基づくクリーニング業者の『証明』に利用者が納得しない場合は、利用者およびクリーニ ング業者は、第三者機関の鑑定を求めることができます。なお調査費(=鑑定料等)については、最終的には過失の割合に応じて該当者が負担することが望まれます。
⑶ クリーニング業者が証明するために必要な相当の期間が経過するまでは、本条による賠償の履行期は到来しないものとします。
⑷ どのような場合でも、クリーニング業者が自らの賠償責任を免れるためには、まず、自身が職務上相当な注意を怠らなかったことを証明しなければなりません。
⑸ 現代ではクリーニング業者の業務内容が複雑化しているため、洗たく物の預かり過程(取次店等を含む)、保管過程および配送過程など、厳密な意味でのクリーニング作業以外の工程において事故が発生することがあります。しかし、たとえばこれらの業務が外部者に業務委託されている場合でも、とくに利用者との関係においては、その工程にクリーニング業者の支配が及ぶものとみなし、業務委託先の過失もクリーニング業者自身の過失と同視することが、利用者保護の観点からは望ましいことです。
したがって、クリーニング業者の業務上の支配圏にある者は、xxxxx書の「その他の第三者」には含まれません。たとえクリーニング業者が自身の支配圏に属するこれらの者の過失を証明できたとしても、監督責任の見地から、クリーニング業者は賠償責任を免れることはできません(たとえば配送事故等)。
⑹ 衣料品には、クリーニングの利用者自身の扱いが原因で事故が発生することも予想されます。この場合には、当然に過失相殺が適用されますので、クリーニング業者の賠償金額は利用者の過失の割合に応じて減免されます。事故の一部についての利用者の過失については、迅速な賠償を行うために、その過失割合を 3 割または 5 割とします。
もっとも、クリーニング業者が、利用者がいつどこでどのように衣料品を損傷させたかというような個別的・具体的事情を正確に証明するのはほとんど不可能です。したがって、『利用者の過失により事故の全部または一部が発生したこと』の証明は、当該事故の原因が通常は利用者の衣料品の使用方法等にあると合理的に推測できるような客観的・一般的な事情を証明することで足ります。
⑺ 衣料品の素材や加工技術等が奇抜化するとそれに反比例する形で衣料品の耐クリーニング性が低下し、事故が発生しやすくなります。また、衣料品の販売までの間の展示・保管等の不適切な処理によって、事故が発生することもあります。その場合に賠償責任を負担するのは、衣料品メーカーや衣料品販売店等、クリーニング業者の支配の及ばない「その他の第三者」です。
このようなその他の第三者の過失をクリーニング業者に立証させるのは、利用者と比べて、クリーニング業者が衣料品の素材・製造過程やその流通過程について豊富な知見・情報を有しているからです。xxxxx書の立証責任の転換によって、利用者は、クリーニング業者以外のその他の第三者の責任を追及すべき場合にも、立証の負担をクリーニング業者に転嫁することができます。この点でも、本条は利用者保護の立場を徹底しています。
⑻ クリーニング業者自身にも事故の一部について過失があるときは、その他の第三者との過失の割合について争いが生じると、利用者への迅速な賠償が妨げられるおそれがあります。クリーニング業者とその他の第三者の両者に過失がある場合は、原則として、賠償額(利用者の過失がある場合には過失相殺を行った後の額)を5割ずつ賠償するものとします。
基準 3 条第 2 項について
⑴ 前項で述べたとおり、クリーニング業者は自身の責任を免れるために、『その他の第三者の過失』を立証しなければならないことがあります。
クリーニング業者に一切の責任がないことを立証できたときは、その他の第三者がその過失に応じて利用者に対して事故の全部または一部について賠償責任を負うことになります。その場合、たしかに法的責任としてはクリーニング業者はもはや賠償の当事者ではなくなりますが、しかし、クリーニング業者の立証の過程・手段などは、利用者がその他の第三者に対して賠償を請求する際に、大変有効な資料となることは明らかです。
そこで、クリーニング業者は、その他の第三者の過失を証明する際に用いた資料等を利用者に提供するなど、利用者の賠償請求を十分にサポートしなければなりません。
⑵ クリーニング業者自身にも事故の一部について過失があるときは、その他の第三者は残りの部分について責任を負います。その場合、利用者は、クリーニング業者とその他の第三者の双方に対して賠償を請求することになります。しかし、利用者に直接的に接しているクリーニング業者のほうが、利用者にとっては身近な存在であることも多いでしょう。したがって、クリーニング業者は、その他の第三者と話し合った上で、クリーニング業者とその他の第三者の事故の負担分の合計額について賠償をすることが望まれます(クリーニング業者からその他の第三者への求償を妨げません)。
⑶ クリーニング業者自身に事故の一部について過失があり、その他の第三者に残りの部分の責任がある場合、その第三者が倒産するなどクリーニング業者との話し合いが事実上できない状況にあるときは、クリーニング業者は、自身の負担部分についてのみ賠償をすれば足ります。
〔参考-事故の類型と責任分類例〕
この基準は、大量のクレームを迅速かつ定型的に処理する目的で作られています。したがって、賠償基準 3 条の規定の運用において事故発生の原因がいずれにあるかを迅速に確定する必要があります。このため、数多い事故を類型化し、責任所在別に分類したものを下表の通り例示します。
ただし、事故の原因はきわめて多様であり、個々のケースについては必ずしもこの通りでない場合がありますので、実情に即した慎重な判断を要します。
第4条(賠償額の算定に関する基本方式)
賠償額は、つぎの方式によりこれを算定する。ただし、利用者とクリーニング業者との間に賠償額につき特約が結ばれたときは、その特約により賠償額を定める。
⑴この規定は、事故を起こした洗たく物が着用することができない状態(全損またはみなし全損)にあって、クリーニング業者がその品物を引き取る場合の賠償額を定めるものです。事故の程度が軽く、利用者が品物を引き取り、引き続き使用するものの品物の価値が減じている場合は、部分損とし てその割合に応じて賠償することとなります。
⑵賠償額算定の特例
イ 背広上下など、2 点以上を一対としなければ着用が困難な品物については、片方(一部)に事故が生じた場合でもその全体に対して賠償しなければなりません。ただし、利用者が一対のもののうち 1 点だけをクリーニングに出し、かつクリーニング業者が一対のものの一部であることを知らされていない場合は、クリーニングに出された一部のみの賠償でよいとされています。
なお、このケースで、一対の全体の価格がわかっているものの 1 点ごとの価格が不明の場合、下記の比率を目安とします。
○ツーピース 上衣 60% ズボン(スカート)40%
○スリーピース 上衣 55% ズボン(スカート)35% ベスト 10%
ロ ①約束した引渡し日に洗たく物が利用者に引き渡されない場合で利用者が代替品を賃借した時の料金、
②利用者が損害賠償請求にあたって、あらかじめ、クリーニング業者などの同意を得て負担した調査費(ただし調査費は最終的には過失割合に応じて該当者が負担することが原則になります)、
③その他特別の事情による費用の支出を利用者が行っている場合、などは、この基準で定める賠償額に上乗せしてもよいものと解釈されます。
ハ 物品購入時の価格がわかっていても、事故発生時に物品が販売されていないため、事故発生時の標準的な小売価格が不明のときは、「購入時の価格×消費者物価指数(次頁表参照)」の算式で算出します。
⑶該当品の製造元が既に存在しない等の事由で確認できず、かつ客も領収書等の控えがなく、販売(購入)価格が判明しない場合は、本基準第5条を準用します。
⑷特約を結ぶことが望ましい例…
イ かたみの品、記念品などの主観的価値の高い品物
ロ ビンテージ物、骨とう品など、希少的価値の高い品物ハ 海外での購入品などの代替性のない品物
ニ 取扱い表示、縫い付けタグ等がない品物、切り取られている品物
⑸経過年数とは…
物品の購入日(贈与品の場合は贈り主の購入日)から、クリーニング業者がクリーニングを引き受けた日までの月数をいいます。この間、着用しないで保管していた期間も含まれます。
第5条(賠償額の算定に関する特例)
洗たく物が紛失した場合など前条に定める賠償額の算定によることが妥当でないとみとめられる場合には、つぎの算定方式を使用する。
⑴ 洗たく物がドライクリーニングによって処理されたとき
……… クリーニング料金の 40 倍
⑵ 洗たく物がウェットクリーニングによって処理されたとき
……… クリーニング料金の 40 倍
⑶洗たく物がxxxxxによって処理されたとき ……… クリーニング料金の 20 倍
⑴洗たく物が紛失した場合でも、物品の再取得価格、購入時からの経過月数に対応して別表に定める補償割合が明らかであるときは、本条によるクリーニング料金基準の賠償額算定をするのではなく、本基準第 4 条に定める原則的な賠償額算定をしなければなりません。
⑵「紛失した場合など」 の 「など」 に該当するものとして、次のような場合があります。イ 盗難
ロ 自家出火による火災、クリーニング業者の過失を伴う自然災害等により洗たく物が滅失した場合
ハ 特殊品で「商品別平均使用年数表」が適用しにくいとき
ニ 洗たく物が原形をとどめない位に破損したため、「物品購入時からの経過月数に対応する補償割合」が適用しにくいとき
⑶ 特殊クリーニングによる処理の場合の賠償額は、xxxxxと同様、クリーニング料金の 20倍となります。
第6条(賠償額の減縮)
第3条の規定に関わらず、以下の各号については賠償額を減縮することができる。
⑴クリーニング業者が賠償金の支払いと同時に利用者の求めにより事故物品を利用者に引き渡すときは、賠償額の一部をカットすることができる。
⑵クリーニング業者が洗たく物を受け取った日より 90 日を過ぎても洗たく物を利用者が受け取らず、かつ、これについて利用者の側に責任があるときは、クリーニング業者は受け取りの遅延によって生じた損害についてはその賠償責任を免れる。
⑴クリーニング業者が洗たく物の価値の全額を賠償した場合、事故品の所有権はクリーニング業者に移ります。賠償金を受け取った利用者が、その事故品の返還を希望する場合は、両者合意の金額に賠償額を減額することができます。
⑵ 「受け取りの遅延によって生じた損害」 とは…
利用者が品物を引き取りに来ない間に、クリーニング業者の責任でない理由で損害が発生した場合を指します。具体的には次のようなケースが該当します。
イ 受け取りが遅延している間にクリーニング店が類焼(自家以外からのもらい火)した場合の損害
ロ 受け取りが遅延している間に生じた変退色・虫食い
第7条(基準賠償額支払い義務の解除)
利用者が洗たく物を受け取るに際して洗たく物に事故がないことを確認し異議なくこれを受け取ったことを証する書面をクリーニング業者に交付した時はクリーニング業者は本基準による賠償額の支払いを免れる。
2 利用者が洗たく物を受け取った後6ヶ月を経過したときは、クリーニング業者は本基準による賠償額の支払いを免れる。
3 クリーニング業者が洗たく物を受け取った日から1年を経過したときは、クリーニング業者は本基準による賠償額の支払いを免れる。ただし、この場合には、次の日数を加算する。
⑴その洗たく物のクリーニングのために必要な期間をこえて仕事が完成した場合には、その超過した日数。
⑵特約による保管サービスを行った場合には、その保管日数。
⑶その洗たく物のクリーニングのために必要な期間をこえて仕事が完成したのち、継続して特約による保管サービスを行った場合には、超過日数と保管日数を合算した日数。
4 地震、豪雨災害等、クリーニング業者の責めに帰すことのできない大規模自然災害により、預かり品が滅失 ・ 損傷し、洗たく物を利用者に返すことができなくなったときは、民法の規定に基づき、クリーニング業者は預かり品の損害の賠償を免れる。
⑴第 1 項は、第 2 条の 2 第 2 項で規定されている相互確認を行っていたとしても、それだけでは後日クレームが発生しても賠償責任は免れず、利用者が確認書にサインすることが必要であるとしています。
⑵第 2 項では、利用者が品物を受け取った日から半年以上経過して苦情を申し入れた場合、クリーニング業者は賠償の責任がないとしています。現実的には半年以上経過した後に持ち込まれた苦情に対しても賠償する事例が多数見受けられますが、第 2 条の 2 に規定されている説明責任を果たし本基準に基づき賠償する旨を事前に伝えていれば、本項に基づき賠償義務は解除されます。
⑶クリーニング業者が洗たく物を受け取った日から 1 年を経過したものはクリーニング業者は賠償責任を免れますが、これに利用者の責任外の日数や特約による保管期間等があった場合は、利用者が不利益を被らないよう、該当日数が加算されます。
⑷第 2 項の「6 ヶ月」、第 3 項の「1 年」という日数について、いずれも長すぎるという声がある一方、妥当だとする意見も同等にあります。本基準第 2 条の 2 第 2 項で規定する相互確認を
行い、本条第 1 項に規定する書面を交付することで期間の制約は解除されますので、可能な限り実行することが望まれます。
⑸一方で、利用者の多くが受け取った洗たく物の検品をせず、ポリ包装がかかったままの状態で次の着用時まで放置しているケースが大多数を占めています。このため、「6ヶ月」という規定となっています。受け渡し時に、収納前の検品や包装材の取り外しについて、クリーニング業者はしっかりと説明する ことが求められます。
⑹地震や豪雨災害等、クリーニング業者の責めに帰すことのできない大規模自然災害によって預かっている洗たく物が滅失・損傷した場合、民法の規定に基づきクリーニング業者はその賠償責任は免れます。ただし、クリーニング業者が災害保険等に加入しており、滅失 ・ 損傷した洗たく物について補償を得ているときは、利用者はその代償の譲渡を請求することができます。
⑺大規模自然災害による洗たく物の滅失・損傷の際のクリーニング料金の取り扱いについて
イ 通常の場合、クリーニング業者は洗たく物の返還債務を免れますが、この際反対給付(クリーニング料金)を受ける権利は失います。既に料金を受領しているときは、返還しなければなりません。
ロ 引き取りを催告したにもかかわらず利用者が受け取りに来なかった洗たく物が滅失 ・ 損傷した場合
クリーニング業者は、預かり品が滅失した場合は債務の履行義務を免れ、損傷した場合は、損傷した物を返還すればよいとされます。一方、利用者はこの場合であっても、クリーニング料金を支払う必要があります。
第8条(クリーニング事故賠償審査委員会)
この賠償基準の適用に関して、利用者とクリーニング業者との間に争いを生じたときは、当事者の一方からの申出にもとづきクリーニング事故賠償審査委員会がその判断を示すこととする。同委員会の構成等は、別に定めるところによる。
「判断」とは…
イ 一審にあたる都道府県に設置した審査委員会は、賠償責任に関する判定、賠償額に関する算定等を行います。
ロ 二審にあたる中央に設置した審査委員会は、賠償基準の運用・解釈等に関する疑義への回答、ならびに都道府県審査委員会の審査結果に対する是非の判断を行う機関です。
ハ 両審査委員会においても、原則としてあっせん、調停、仲裁の機能は有しません。
別表 1
商品別平均使用年数表
註1.商品区分、商品例に入っていない商品については、最も品質の近い商品の平均使用年数を適用する。
註2.処理方法欄における○印は、通常行われる商品別のクリーニング処理方法を示したものである。なお、特殊欄の○印は、品目・素材に応じた専門のクリーニング処理方法をいう。
註3.商品区分の素材において 「絹・毛」とは、表地に 80%以上の絹または毛が使用されているものをいう。
「獣毛高混率」とは、アンゴラなど脱毛しやすい獣毛を 60%以上含有するもの(表示のあるものに限る)をいう。
別表 2
物品購入時からの経過月数に対応する補償割合
備考 補償割合の中における A 級、B 級、C 級の区分は、物品の使用状況によるものであり、次のように適用する。
A 級:購入時からの経過期間に比して、すぐれた状態にあるもの
B 級:購入時からの経過期間に相応して常識的に使用されていると認められるもの C 級:購入時からの経過期間に比して、B 級より見劣りするもの
(例) ①ワイシャツの場合、xx、袖等の摩耗状態で評価する。
②補修の跡のあるもの、xx的変色のあるもの等は通常 C 級にする。