経理情報●2017.12.10（No.1498） 22

れる。他方でかかるリスクを飲み込んででもＭ＆Ａを実行したいような場合、最終契約のなかで当該コンプライアンス違反に対する対応を誰が行うのか、また、仮にコンプライアンス違反により課徴金、罰金等の支払が生じた場合や、民事訴訟を提起されて損害賠償や和解金を支払った場合における、負担割合について合意しておくことが肝要といえよう。

個人情報保護法との関係

の開示については、法令上明確ではない。もっとも、個人情報保護委員会による個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン（通則編）

３―４―３「第三者提供に該当しない場合」⑵においては、「事業の承継のための契約を締結するより前の交渉段階で、相手会社から自社の調査を受け、自社の個人データを相手会社へ提供する場合も、本号に該当し、あらかじめ本人の同意を得ることなく又は第三者提供におけるオプトアウト手続を行うことなく、個人デー

タを提供することができる」とされていることから、デューデリジェンスに際して個人情報を提供することも許容されると解されている。ただし、前記ガイドラインにおいては、

「当該データの利用目的及び取扱方法、漏えい等が発生した場合の措置、事業承継の交渉が不調となった場合の措置等、相手会社に安全管理措置を遵守させるために必要な契約を締結しなければならない」とあるため、秘密保持契約においてこれらの点を手当てしておくことが必要となる。

なお、前記のとおり個人情報保護法上、個人情報の提供は許容されているものの、デューデリジェンス実施段階においてはまだ案件が成就するか必ずしも定かではなく、また、オークション形式で広く買主候補を募っているような場合には、最終的な買主以外の者については買主になり得ないことから、デューデリジェンスの段階では、たとえば従業員の固有名詞は削除する等、可能な限り個人情報を開示しない形で対応しているケースも多い。

デューデリジェンスの過程において、たとえば、従業員の情報や顧客の情報などの開示が必要になるケースもあるが、これらの情報は個人情報の保護に関する法律（以下、「個人情報保護法」という）上の個人情報に該当することが通常であろうことから、第三者に対する開示に際しては

エスクローや表明保証保険の活用も

第6章

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最終契約の交渉・締結段階での留意ポイント

第三者提供の要件を満たす必要があ

当事者において自己が想定していた

来するもので、契約当事者が相手方

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る（個人情報保護法

①）。

重要な条項

結果と異なったということにならな

当事者に対して、ある時点における

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この点、個人情報保護法

条５項

いため、特にこれらの重要な条項に

自身や売却対象事業等に関する事実

２号において、「合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合」は譲受人は「第三者」に該当しないという形で手当てをされているが、Ｍ＆Ａにおけるデューデリジェンスの際の個人情報

契約交渉・締結段階においては、売主と買主において契約条件を交渉することになるが、実務上、最終契約書において定めるべき重要な条項としては、①表明保証、②誓約事項、

③前提条件、④補償が挙げられる。

関しては、文言の精査をすることが必要となる。

Representations and Warranties

⑴ 表明保証（

）

表明保証とは、xx法の概念に由

関係や法律関係を表明したうえで、そのxx性および正確性を保証するものであり、契約締結時点およびクロージング時点の事実関係や法律関係が対象とされることが多い。

表明保証の機能としては、取引に