(ホ)PM会社に関するリスク (チ)レバレッジ投資及びLTVに関するリスク
(1)リスク要因
以下には、本投資法人の投資口(以下「本投資証券」又は「本投資口」ということがあります。)又は本投資法人が発行する投資法人債(以下「本投資法人債券」又は「本投資法人債」といいます。)への投資に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。ただし、以下は本投資証券又は本投資法人債券への投資に関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。また、本投資法人が保有している資産に特有のリスクについては、後記「5運用状況(2)投資資産
③ その他投資資産の主要なもの」を併せてご参照ください。
本投資法人は、対応可能な限りにおいてこれらのリスクの発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、回避及び対応が結果的に十分である保証はありません。以下に記載するリスクが顕在化した場合、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格は下落し、発行価格に比べ低くなることもあると予想され、その結果、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。また、本投資法人の純資産額の低下、その他財務状況の悪化による分配金の減少が生じたり、本投資法人債券の利子支払いや元本償還が滞る可能性があります。
各投資家又は投資法人債権者は、自らの責任において、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で本投資証券又は本投資法人債券に関する投資判断を行う必要があります。
なお、本書に記載の事項には、将来に関する事項が含まれますが、別段の記載のない限り、これらの事項は本書の提出日現在における本投資法人及び本資産運用会社の判断によるものです。
本項に記載されているリスク項目は、以下のとおりです。
① 投資証券又は投資法人債券の商品性に関するリスク
(イ)本投資証券又は本投資法人債券の市場価格の変動に関するリスク
(ロ)本投資証券の市場での取引に関するリスク
(ハ)金銭の分配に関するリスク
(ニ)収入及び支出の変動に関するリスク
(ホ)投資主の権利が必ずしも株主の権利と同一ではないことに関するリスク
(ヘ)投資口の追加発行時の1口当たりの価値の希薄化に関するリスク
(ト)本投資法人債券の償還・利払に関するリスク
② 本投資法人の運用方針に関するリスク
(イ)投資対象が物流関連施設に特化していることによるリスク
(ロ)少数のテナントに依存していることによるリスク
(ハ)シングルテナント物件に関するリスク
(ニ)CREからの物件取得が想定どおり行えないリスク
(ホ)PM会社に関するリスク
(ヘ)不動産を取得又は処分できないリスク
(ト)投資口の追加発行、借入れ及び投資法人債の発行による資金調達に関するリスク
(チ)レバレッジ投資及びLTVに関するリスク
(リ)敷金及び保証金に関するリスク
③ 本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク
(イ)CREとそのグループ会社への依存、利益相反に関するリスク
(ロ)本投資法人の関係者への依存、利益相反に関するリスク
(ハ)本投資法人の役員及び本資産運用会社の人材(個人の能力、経歴、ノウハウ)に依存しているリスク
(ニ)本投資法人の投資方針及び運用体制の変更に関するリスク
(ホ)本投資法人の倒産又は登録抹消のリスク
④ 不動産及び信託の受益権に関する法的リスク
(イ)不動産の欠陥・瑕疵・契約不適合及び境界に関するリスク
(ロ)不動産の売却に伴う責任に関するリスク
(ハ)賃貸借契約に関するリスク
(ニ)災害等による不動産の毀損、滅失及び劣化並びに周辺環境の悪化に伴うリスク
(ホ)不動産に係る所有者責任、修繕・維持費用等に関するリスク
(ヘ)不動産の地域的な偏在に関するリスク
(ト)不動産に係る行政法規・条例等に関するリスク
(チ)地球温暖化対策に関するリスク
(リ)法令の制定・変更に関するリスク
(ヌ)売主の倒産等の影響を受けるリスク
(ル)マスターリース会社に関するリスク
(ヲ)転貸に関するリスク
(ワ)テナント等による不動産の利用状況に関するリスク
(カ)区分所有建物に関するリスク
(ヨ)共有物件に関するリスク
(タ)借地物件に関するリスク
(レ)借家物件に関するリスク
(ソ)開発中の物件に関するリスク
(ツ)底地物件に関するリスク
(ネ)仮換地及び保留地に関するリスク
(ナ)有害物質に関するリスク
(ラ)不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク
(ム)信託の受益権の準共有等に関するリスク
(ウ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
⑤ 税制に関するリスク
(イ)導管性要件に関するリスク
(ロ)税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
(ハ)税務調査等による更正処分のため、追加的な税負担の発生するリスク
(ニ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
(ホ)同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
(ヘ)借入れに係る導管性要件に関するリスク
(ト)投資口を保有する投資主数について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
(チ)一般的な税制の変更に関するリスク
⑥ その他
(イ)専門家の意見への依拠に関するリスク
(ロ)減損会計の適用に関するリスク
(ハ)過去の収支状況が将来の本投資法人の収支状況と一致しないリスク
① 投資証券又は投資法人債券の商品性に関するリスク
(イ)本投資証券又は本投資法人債券の市場価格の変動に関するリスク
本投資法人は、投資主からの請求による払戻しを行わないクローズド・エンド型であるため、投資主が本投資証券を換価する手段は、原則として第三者に対する売却に限定されます(ただし、本投資法人は、投資主との合意により本投資法人の投資口を有償で取得することができます(規約第8条第2項)。)。
本投資法人債券は金融商品取引所に上場されておらず、相対で譲渡する他に換金の手段がないため、本投資法人の信用力や本投資法人債券の諸条件に比して相当に廉価で譲渡せざるを得ない場合や本投資法人債券の譲渡自体が事実上不可能となる場合があり、損失を被る可能性があります。
本投資証券又は本投資法人債券の市場価格は、金融商品取引所における需給により影響を受け、一定の期間内に大量の売却が出た場合には、大きく価格が下落する可能性があります。また、市場価格は、金利情勢、経済情勢、不動産市況その他市場を取り巻く様々な要因の影響を受けて変動します。近時、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大しています。本投資法人の保有資産は物流不動産が中心であり、本投資法人としてはその影響が直ちに生じるとは考えていませんが、日本経済全体のみならず、世界経済が悪影響を受け、収益に悪影響を及ぼす等の懸念から株式市場において株価が下落する可能性があり、本投資証券の市場価格もその影響を受ける可能性があります。本投資法人若しくは本資産運用会社、又は他の投資法人若しくは他の資産運用会社に対して監督官庁による行政処分の勧告や行政処分が行われた場合にも、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格が下落することがあります。
そのため、投資主又は投資法人債権者は、本投資証券又は本投資法人債券を投資主又は投資法人債権者が希望する時期及び条件で取引できるとの保証はなく、また、本投資証券又は本投資法人債券を取得した価格で売却できない可能性や本投資証券又は本投資法人債券の譲渡自体が事実上不可能となる場合があり、その結果、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。
(ロ)本投資証券の市場での取引に関するリスク
本投資証券は、2018年2月7日から東京証券取引所において売買が開始されました。しかし、本投資証券の上場後に、一定期間金銭の分配を行わないこと、本投資法人の資産総額の減少、投資口の売買高の減少その他の東京証券取引所の有価証券上場規程に定める上場廃止基準に抵触する場合には、上場が廃止されます。
本投資証券の上場が廃止される場合、投資主は、保有する本投資証券を相対で譲渡する他に換金の手段がないため、本投資法人の純資産額に比して相当に廉価で譲渡せざるを得ない場合や本投資証券の譲渡自体が事実上不可能となる場合があり、その結果、投資主が損失を被る可能性があります。
(ハ)金銭の分配に関するリスク
本投資法人は前記「2投資方針(3)分配方針」に記載の分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、分配の有無及びその金額は、いかなる場合においても保証されるものではありません。本投資法人が取得又は保有する不動産等及び不動産対応証券の裏付けとなる不動産等(以下、本「(1)リスク要因」において「不動産」と総称します。)の賃貸状況、売買や管理・運営に伴う収益及び費用の状況等により、期間損益が変動し、投資主への分配金が増減し又は一切分配されないことがあります。
また、本投資証券に対して投下された投資主からの投資金額については、いかなる保証も付されておらず、金融機関の預金と異なり預金保険等の対象でもありません。本投資法人について破産その他の倒産手続が開始された場合や本投資法人が解散した場合には、投資主は配当・残余財産の分配等において最劣後の地位に置かれ、投資金額の全部又は一部の回収が不可能となる可能性があります。
更に、本投資法人は、前記「2投資方針(3)分配方針 ② 利益を超えた金銭の分配(規約第39条第
2号)」に記載のとおり、利益超過分配を実施することがありますが、利益を超えた金銭の分配は、実質的には出資の払戻しに相当しますので、利益を超えた金銭の分配が実施された場合、本投資法人の純資産は減少することになります。また、これにより手元資金が減少することとなるため、突発的な事象等により本投資法人の想定を超えて資本的支出等を行う必要が生じた場合に手元資金の不足が生じる可能性や、機動的な物件取得にあたり資金面での制約となる可能性があります。
(ニ)収入及び支出の変動に関するリスク
本投資法人の収入は、不動産の賃料収入に主として依存しています。不動産に係る賃料収入は、不動産の稼働率の低下等により、大きく減少する可能性があるほか、テナントとの協議や賃借人からの請求等により賃料が減額されたり、契約どおりの増額改定を行えない可能性もあります(これら不動産に係る賃料収入に関するリスクについては、後記「④ 不動産及び信託の受益権に関する法的リスク(ハ)賃貸借契約に関するリスク」をご参照ください。)。本書において開示されている保有資産の年間賃料合計等も、当該不動産の今後の年間賃料合計等と必ずしも一致するものではありません。また、当該不動産に関して締結される賃貸借契約に基づく賃料が、一般的な賃料水準に比して適正な水準にあるとは限りません。
一方、収入の減少だけでなく、退去するテナントへの預り敷金及び保証金の返還、大規模修繕等に要する費用支出、多額の資本的支出、不動産の取得や管理等に要する費用、その他不動産に関する支出及び支払金利が状況により増大し、キャッシュ・フローを減ずる要因となる可能性があります。
このように、不動産からの収入が減少する可能性があるとともに、不動産に関する支出は増大する可能性があり、これら双方又はいずれか一方の事由が生じた場合、投資主への分配金額が減少したり、本投資法人債券の利子支払いや元本償還が滞ったり、本投資法人の投資口1口当たり又は本投資法人債券の価値が下落する可能性があります。
(ホ)投資主の権利が必ずしも株主の権利と同一ではないことに関するリスク
本投資法人の投資主は、投資主総会を通じて、一定の重要事項につき本投資法人の意思決定に参画できる他、本投資法人に対して一定の権利を行使することができますが、かかる権利は株式会社における株主の権利とは必ずしも同一ではありません。例えば、金銭の分配に係る計算書を含む本投資法人の計算書類等は、役員会の承認のみで確定し(投信法第131条第2項)、投資主総会の承認を得る必要はないことから、投資主総会は、必ずしも、決算期ごとに招集されるわけではありません。また、投資主が投資主総会に出席せず、かつ、議決権を行使しないときは、規約第15条第3項及び第4項に規定する場合を除き、当該投資主はその投資主総会に提出された議案(複数の議案が提出された場合において、これらのうちに相反する趣旨の議案があるときは、当該議案のいずれをも除きます。)について賛成するものとみなされます(投信法第93条第1項、規約第15条第1項)。更に、本投資法人は、資産の運用に係る業務その他の業務を本資産運用会社その他の第三者に委託しています。
これらの要因により、投資主による資産の運用に係る業務その他の業務に対する統制が効果的に行えない可能性もあります。
(ヘ)投資口の追加発行時の1口当たりの価値の希薄化に関するリスク
本投資法人は、資産の取得等のために新投資口を随時追加発行することがありますが、かかる追加発行により既存の投資主の保有する投資口の持分割合が減少します。また、本投資法人の営業期間中に追加発行された投資口に対して、当該営業期間の期初から存在する投資口と同額の金銭の分配が行われるため、既存の投資主は、追加発行がなかった場合に比して、悪影響を受ける可能性があります。
更に、追加発行の結果、本投資法人の投資口1口当たりの価値が下落したり、市場における需給バランスが影響を受ける可能性があります。
(ト)本投資法人債券の償還・利払に関するリスク
本投資法人の信用状況の悪化その他の事由により、本投資法人債券について元本や利子の支払が滞ったり、支払不能が生じるリスクがあります。
② 本投資法人の運用方針に関するリスク
(イ)投資対象が物流関連施設に特化していることによるリスク
本投資法人は、物流関連施設を投資対象としていますが、本投資法人はこれに伴う特有のリスクを抱えています。
まず、物流関連施設に対する需要は、日本経済全体の動向、特に流通量の動向に影響を与える様々な事象による影響を受けています。これには、今後の日本の景気動向、生産活動の海外移転等の進捗状況、人口の推移、生産活動と消費活動を結ぶ流通形態の変化などが含まれます。また、本投資法人が投資対象としている物流関連施設には海外への輸出拠点又は海外からの輸入拠点として使用される物件も含まれることから、テナント需要は、為替等の経済情勢にも左右される可能性があります。これらの推移によっては、本投資法人が投資対象とする物流関連施設に対する需要が全般的に減少し、その結果、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
物流関連施設全体に対する需要が減少しない場合でも、今後の生産拠点や物流形態の変化等により、特定の物流関連施設に対する需要が低下し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、生産拠点の移転、新たな道路網の整備等により、既存の物流拠点がその立地上の優位性を失い、当該物流関連施設のテナント需要が低下する可能性があります。また、現状の船舶、鉄道、航空機、自動車による物流輸送の役割が、技術革新や、インフラの利便性の変化、環境関連法規の制定による規制等により大きく変化した場合、それぞれを主要な輸送手段とする物流関連施設の役割が衰退することとなり、当該物流関連施設のテナント需要が低下する可能性もあります。
更に、特定の物流関連施設の周辺の市街地化により、共同住宅・戸建住宅や学校・病院等の公益施設の建設が近隣で行われ、周辺環境が変動し、テナントの操業に支障が発生することがあります。その結果、テナント需要が後退し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性なども考えられます。また、既存テナントが退去した場合、物流関連施設は他の用途の不動産と比較して、代替テナントとなりうる者が限定されるため、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化する可能性があります。
上記のほかにも、本投資法人が物流関連施設を投資対象としていることから、その建物の特性、適用規制、テナント特性等に起因して、特有のリスクが生じ、これらが本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ロ)少数のテナントに依存していることによるリスク
本投資法人の保有する資産は、一部の少数のテナントへ賃貸されており、本投資法人の収入は、かかるテナントに大きく依存しています。これらのテナントの財務状況及び経営成績が悪化し、賃料支払が遅延したり、中途解約その他の理由により物件から退去した場合には、本投資法人の収益等に大きな悪影響が生じる可能性があります。本投資法人は、保有する資産に関して締結している賃貸借契約において、可能な限り中途解約時にも未経過賃料相当額を違約金として支払う義務を賃借人に負わせる方針ですが、一定期間経過後又は一定の時期に残期間全額の賃料を支払わずに解約する権利や賃貸借期間を短縮する権利等が賃借人に留保されている場合もあり、必ずしも賃貸借契約期間の全期間にわたり賃料を収受できることが契約上保証されているわけではありません。
(ハ)シングルテナント物件に関するリスク
本投資法人の保有する資産の一部は、単一のテナントへ物件全体を賃貸するいわゆるシングルテナン
ト物件です。
このような物件において既存テナントが退去した場合、当該物件の稼働率が大きく減少し、代替テナント確保のために賃料水準を引き下げざるを得なくなり、賃料収入に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、新たなテナントのニーズに合わせて本投資法人の負担で大規模な工事を行わざるを得なくなる可能性もあります。特に、特定のテナントのニーズに合わせて開発されるビルド・トゥ・スーツ型物流不動産において、これらのリスクが顕著となる可能性があります。
更に、このようなシングルテナントを含む、単一又は少数の核となる大規模テナントが存在する物件においては、当該テナントとの間で、優先購入権や処分禁止に関する合意(その内容は様々です。)がなされることがあり、物件の所有権又はこれらを信託財産とする信託の受益権を第三者に売却しようとする場合に、当該テナントに優先購入権が与えられている等により、物件の自由な売却その他の処分が制限される場合があります。かかる合意がなされている場合、取得及び売却により多くの時間や費用を要したり、価格の減価要因となる可能性があります。
(ニ)CREからの物件取得が想定どおり行えないリスク
本投資法人及び本資産運用会社は、CRE及びストラテジック・パートナーズとの間でスポンサーサポート契約を締結し、外部成長のためのパイプラインサポートを受けることとしています。しかし、スポンサーサポート契約は、本投資法人及び本資産運用会社に、特定の物件についての優先的売買交渉権及びその他の物件について優先的に情報の提供を受ける権利を与えるものにすぎず、CREは、本投資法人に対して、物流関連施設を本投資法人の希望する価格で売却する義務を負っているわけではありません。すなわち、本投資法人は、同契約により、本投資法人が適切であると判断する物件を適切な価格でCREから取得できることまで確保されているわけではありません。
したがって、本投資法人は、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考える資産のポートフォリオを構築できない可能性があります。
(ホ)PM会社に関するリスク
一般に、賃借人の管理、建物の保守管理等不動産の管理業務全般の成否は、PM会社の能力、経験、ノウハウによるところが大きく、本投資法人が取得し又は保有する不動産の管理についても、管理を委託するPM会社の業務遂行能力に強く依拠することになります。管理委託先を選定するにあたっては、当該 PM会社の能力・経験・ノウハウを十分考慮することが前提となりますが、そのPM会社における人的・財産的基盤が維持される保証はありません。また、複数の不動産に関して、他の顧客(他の不動産投資法人を含みます。)から不動産の管理及び運営業務を受託し、本投資法人の投資対象である不動産に係る PM業務と類似又は同種の業務を行う可能性があります。これらの場合、当該PM会社は、本投資法人以外の者の利益を優先することにより、本投資法人の利益を害する可能性があります。
本投資法人は、PM会社につき、業務懈怠又は倒産事由が認められた場合、管理委託契約を解除することはできますが、後任のPM会社が任命されるまではPM会社不在又は機能不全のリスクが生じるため、一時的に当該不動産の管理状況が悪化する可能性があります。
また、本投資法人は、専門性の高いCREグループの各社のノウハウを活用した最適な管理・運営体制の下、資産価値を長期的に維持・向上することにより、賃料、稼働率の維持・向上に努めます。かかる観点から、適切と判断した場合には、投資資産の管理・運営を、CREグループの各社に委託しますが、PM会社がCREグループの各社か否かを問わず、選定したPM会社における人的・財産的基盤が今後も優良であるとの保証はありません。したがって、PM会社の業務遂行能力が低下した場合やPM会社が交代する場合には、当該不動産の管理状況が悪化し、収益の悪化等により本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります。
(ヘ)不動産を取得又は処分できないリスク
不動産は、一般的にそれぞれの物件の個別性が強く代替性及び流動性が低いため、希望する時期に希望する物件を取得又は処分できない可能性があります。また、不動産投資信託その他のファンド及び投資家等による不動産に対する投資が活発化した場合、必ずしも、本投資法人が取得を希望した不動産を取得することができるとは限りません。また、取得が可能であったとしても、物件の精査(デュー・デリジェンス)に相当程度の時間と費用を要し、また、投資採算の観点から希望した価格、時期その他の条件で取引を行えない可能性等もあります。更に、本投資法人が不動産を取得した後にこれらを処分する場合にも、投資採算の視点から希望した価格、時期その他の条件で取引を行えない可能性等もあります。その結果、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考える資産のポートフォリオを構築できない可能性があります。
(ト)投資口の追加発行、借入れ及び投資法人債の発行による資金調達に関するリスク
投資口の追加発行、金銭の借入れ及び投資法人債の発行の可能性及び条件は、本投資法人の経済的信用力、金融市場の情勢その他の要因による影響を受けるため、今後本投資法人の希望する時期及び条件で、投資口の追加発行、金銭の借入れ及び投資法人債の発行を行うことができる保証はありません。本投資法人において、これらの方法による資金調達ができなかった場合、予定した資産を取得できなかったり、予定しない資産の売却を余儀なくされたり、資金繰りがつかなくなる可能性があります。
次に、本投資法人が金銭の借入れ又は投資法人債の発行を行う場合において、当該金銭の借入れ又は投資法人債の発行の条件として、資産・負債等に基づく一定の財務指標上の数値を維持する、本投資法人の信用状態に関する評価を一定の水準に維持する、又は投資主への金銭の分配を制約する等の投資法人が金銭の借入れ又は投資法人債の発行を行う際に一般的とされる財務制限条項が設けられることがあります。本書の提出日現在、本投資法人の金銭の借入れについても、かかる財務制限条項が設けられ、また、本投資法人が発行する投資法人債には担保提供制限条項が設けられており、本投資法人の財務状況等によって規約の変更が制限される等の可能性があり、このような制約が本投資法人の運営に支障をもたらし、又は投資主に対する金銭の分配額や投資法人債権者に対する支払額等に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、これらの制限に違反した場合には、追加の担保設定や費用負担等を求められ、又は当該借入れに係る借入金若しくは投資法人債の元利金について期限の利益を喪失する等の可能性があり、その結果、本投資法人の運営に重大な悪影響が生じる可能性があります。なお、本投資法人の本書の提出日現在の借入金については、一般的な財務制限条項が設けられておりますが、本書の提出日現在において、当該財務制限条項に抵触する事実又は抵触するおそれがある事実は生じていません。
本投資法人の運用資産に新たな担保が設定された場合、本投資法人が担保の設定された運用資産の売却を希望したとしても、担保の解除手続その他の事情により、希望通りの時期に売却できない可能性又は希望する価格で売却できない可能性があります。また、収益性の悪化等により運用資産の評価額が引き下げられた場合、他の借入れを行う場合又は他の投資法人債を発行する場合等、一定の条件のもとに投資対象不動産に対して追加して担保を設定することを要求される可能性もあります。この場合、他の借入れ又は投資法人債等のために担保が既に設定されているなどの理由で担保に供する適切な資産がない可能性もあります。また、担保不動産からのキャッシュ・フローが減少したり、その評価額が引き下げられたりした場合には、本投資法人の希望しない条件で借換資金を調達せざるを得なくなったり、本投資法人の希望しない時期及び条件で運用資産を処分せざるを得なくなる状況も想定され、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、担保に供する適切な資産がないために、本投資法人の希望通りの借入れ又は投資法人債の発行等を行えない可能性もあります。
更に、借入れ及び投資法人債の金利は、借入時及び投資法人債発行時の市場動向に左右され、変動金利の場合には、その後の市場動向にも左右されます。借入れ又は投資法人債の金利が上昇し、又は、本投資法人の借入額及び投資法人債発行額が増加した場合には、本投資法人の利払額は増加します。このような利払額の増加により、投資主に対する金銭の分配額や投資法人債権者に対する支払額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
加えて、本投資法人は変動金利による借入れの金利固定化を目的に、本書の提出日現在、一部の借入れについて金利スワップ取引を行っており、今後も行うことがありますが、大幅な金利の低下等に伴い、借入金利とスワップ金利が釣り合わず、本投資法人の収支が悪化する可能性や、金利スワップ取引における会計処理が不適当となり、本投資法人の財務状況が悪化し、収益に悪影響をもたらす可能性があります。
(チ)レバレッジ投資及びLTVに関するリスク
本投資口に対する投資については、投資主への金銭の分配及び元本の償還に優先して返済される貸付人からの借入れによりレバレッジを効かせる結果、不動産が値下がりした場合には元本毀損のリスクが大きく増幅される可能性があります。
また、本投資法人のLTVの水準は45%程度とし、原則として50%を上限としますが、資産の取得等に伴い、一時的に50%を超えることがあります(前記「2投資方針(1)投資方針 ④ 財務方針(イ)基本方針(安定的な財務運営)」をご参照ください。)。LTVが高まった場合、一般的に、分配可能金額が金利変動の影響を受けやすくなり、その結果、投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リ)敷金及び保証金に関するリスク
物流不動産においては、賃借人が多額の敷金及び保証金を長期間にわたって無利息又は低利で賃貸人に預託することがあり、本投資法人は、これらの敷金又は保証金を運用資産の取得資金その他の本投資
法人の必要資金として利用する場合があります。しかし、そのような場合で賃貸借契約の中途解約により想定外の時期に敷金又は保証金の返還義務が生じた場合には、本投資法人は、敷金又は保証金の返還資金をそれらよりも調達コストの高い借入れ等により調達せざるを得なくなる可能性があります。また、敷金又は保証金の投資運用が失敗に終わり損失が生じる可能性もあります。その結果、本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。
③ 本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク
(イ)CREとそのグループ会社への依存、利益相反に関するリスク
本投資法人は、物流不動産分野において50年以上の事業経験を有するCREグループの総合力を活かし、テナントニーズに応える良質な物流関連施設への投資により、安定的なキャッシュ・フローを創出し、投資主価値の向上を目指すことを投資方針としています。また、CREは、本書の提出日現在、本資産運用会社の完全親会社であるだけでなく、本資産運用会社の非常勤取締役の派遣元です。更に、本投資法人及び本資産運用会社は、CRE及びストラテジック・パートナーズとスポンサーサポート契約を締結しており(スポンサーサポート契約については、前記「2投資方針(1)投資方針 ① 基本方針
(ハ)本投資法人の特徴 c.明確な外部成長戦略(CREとの強力なスポンサーサポート契約)」をご参照ください。)、かかる契約に基づき、CREグループから、物件の供給その他の外部成長のためのサポート及び保有物件に対するプロパティマネジメント業務の提供その他の内部成長のためのサポートを今後継続的に受けることを予定しています。
すなわち、本投資法人及び本資産運用会社は、CREグループと密接な関係を有し、本投資法人による安定した収益の確保と成長性に対するCREグループの影響は極めて高いということができます。
したがって、本投資法人及び本資産運用会社がCREグループとの間で、本書の提出日現在における関係と同様の関係を維持できなくなった場合、CREグループの事業方針の変更等によりCREグループにおける本投資法人の位置づけが変化した場合、CREグループの運営力、レピュテーション、ブランド力等が低下した場合、又はCREグループの業績若しくは財政状態が悪化した場合等には、本投資法人に重大な悪影響が及ぶ可能性があります。
更に、本投資法人や本資産運用会社は、資産運用活動その他の活動を通じて、CREグループ各社との間で取引を行う可能性があり、この場合、CREグループ各社が本投資法人の投資主又は投資法人債権者の利益に反する行為を行う可能性もあります。かかる利益相反に関するリスクについては、利害関係者取引規程に基づく手続の履践等、一定の利益相反対策は行っていますが(後記「第二部 投資法人の詳細情報 第3管理及び運営 2利害関係人との取引制限(2)本資産運用会社の自主ルール(利害関係者取引規程)」をご参照ください。)、これらの対策にもかかわらず、CREグループ各社が本投資法人の利益に反する取引を行った場合には、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。
加えて、本投資法人及び本資産運用会社がCRE及びストラテジック・パートナーズとの間で締結している契約は、CREグループが、本投資法人と競合する事業を行うことを禁止するものではありません。CREグループは、物流不動産の取得、開発、保有・運営、リーシング、CREグループ以外の第三者からのマスターリース業務、プロパティマネジメント業務等の受託、私募ファンドに対するアセットマネジメント業務の提供又は私募ファンドが保有する物件に対するプロパティマネジメント業務の提供等、様々な形で本投資法人の運用資産と競合する不動産に関連する業務を行っています。したがって、本投資法人又は本資産運用会社とCREグループとが、特定の資産の取得、賃貸借、管理・運営、処分等に関して競合する可能性やその他利益相反が問題となる状況が生じる可能性は否定できません。
上記のような利益相反が問題となりうる場合としては、例えば、CREグループからの物件取得に際しての取得価格その他の購入条件、プロパティマネジメント会社であるCREに対するプロパティマネジメント業務の委託の条件、CREグループに対する瑕疵担保責任又は契約不適合責任(注)の追及その他の権利行使、スポンサーサポート契約の更新の有無、物流不動産の利用者の誘致、プロパティマネジメント業務の遂行等が挙げられます。
これらの問題により、本投資法人の利益が不当に害され、本投資法人の投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。
(注)民法の一部を改正する法律(2020年4月1日施行)による改正後の民法の下では、改正前の民法における瑕疵担保責任は、給付の目的物が契約の内容に適合しない場合に売主が責任を負う契約不適合責任とされています。なお、2020年3月31日以前に締結した契約や発生した債権については、原則として改正前の民法が適用されます。以下同じです。
(ロ)本投資法人の関係者への依存、利益相反に関するリスク
本投資法人は、投信法に基づき、執行役員及び監督役員から構成される役員会において重要な意思決定を行い、資産の運用を本資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者
に、それぞれ委託しています。本投資法人の円滑な業務遂行の実現のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに依存するところが大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基盤等を必ずしも維持できる保証はありません。また、投信法は、本投資法人の執行役員及び監督役員並びに本投資法人の関係者に関する義務及び責任を定めていますが、これらの本投資法人の関係者等が投信法その他の法令に反し、又は、法定の措置をとらないときは、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。
また、本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者が、法令上又は契約上負っている善良な管理者としての注意義務、投資法人のために忠実に職務を遂行する義務、利益相反状況にある場合に投資法人の利益を害してはならない義務その他の義務に違反した場合には、本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
このほかに、本資産運用会社又は本投資法人若しくは投資資産である不動産信託受益権に関する信託受託者から委託を受ける業者として、PM会社、建物の管理会社等があります。本投資法人の収益性の向上のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに依存するところも大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基盤等を必ずしも維持できる保証はありません。これらの者について業務の懈怠その他の義務違反があった場合や業務遂行能力が失われた場合には本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ハ)本投資法人の役員及び本資産運用会社の人材(個人の能力、経歴、ノウハウ)に依存しているリスク本投資法人の運営は、本投資法人の役員及び本資産運用会社の人材(個人の能力、経歴、ノウハウ)
に大きく依存しており、これらの人材が失われた場合、本投資法人の運営に悪影響をもたらす可能性があります。
また、今後、本資産運用会社の業容が拡大し、その状況に応じた人材の確保が行われなかった場合、本投資法人の運営に悪影響をもたらす可能性があります。
(ニ)本投資法人の投資方針及び運用体制の変更に関するリスク
規約に記載されている資産運用の対象及び方針等の基本的な事項の変更には、投資主総会の承認が必要ですが、本投資法人の役員会及び本資産運用会社の取締役会が定めたより詳細な投資方針、運用ガイドライン等については、投資主総会の承認を経ることなく、変更することが可能です。また、利害関係者取引に関するルール等の本資産運用会社における本投資法人の運用体制についても、投資主総会の承認を経ることなく、変更することが可能です。そのため、本投資法人の投資主の意思が反映されないまま、これらが変更される可能性があります。
(ホ)本投資法人の倒産又は登録抹消のリスク
本投資法人には、破産法(平成16年法律第75号。その後の改正を含みます。)(以下「破産法」といいます。)上の破産手続、民事再生法(平成11年法律第225号。その後の改正を含みます。)(以下「民事再生法」といいます。)上の再生手続及び投信法上の特別清算手続(投信法第164条)が適用される可能性があります。
また、本投資法人は、投信法に基づいて投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合には、投信法に従ってその登録が取り消される可能性があります(投信法第216条)。その場合には、本投資法人は解散し、清算手続に入ります。
本投資法人が清算される場合、投資主は、全ての債権者への弁済(投資法人債の償還を含みます。)後の残余財産による分配からしか投資金額を回収することができません。このため、当該時点において、本投資法人の保有資産の価値が下落し又は出資金に欠損が生じている場合には、債権者への弁済後の残余財産が全く残らないか、又は出資総額を下回ることとなり、投資主は、投資金額の全部又は一部について回収を得ることができない可能性があります。
また、投資法人債権者は清算手続に従って投資金額を回収することになるため、債権全額の償還を受けられる保証はありません。このため、投資法人債権者は、投資金額の全部又は一部について回収することができない可能性があります。
④ 不動産及び信託の受益権に関する法的リスク
本投資法人は、前記「2投資方針(2)投資対象 ① 投資対象とする資産の種類」に記載のとおり、不動産等及び不動産対応証券等に投資します。不動産を信託する信託の受益権その他不動産を裏付けとする資産の所有者は、その信託財産である不動産又は裏付けとなる不動産を直接所有する場合と、経済的には、ほぼ同様の利益状況に置かれます。したがって、以下に記載する不動産に関する法的リスクは、不動産を信託する信託の受益権その他不動産を裏付けとする資産についても、ほぼ同様にあてはまります。
なお、信託の受益権固有のリスクについては、後記「(ラ)不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク」をご参照ください。
(イ)不動産の欠陥・瑕疵・契約不適合及び境界に関するリスク
不動産には、第三者の権利、土地の地形や組成等の様々な原因により、不動産の権利、土地の地盤及び地質並びに建物の杭や梁等の構造、設計及び施工等に関して欠陥、瑕疵、契約不適合等(工事における杭打ちを含む施工の不具合及び施工報告書の施工データの転用・加筆等を含みますが、これらに限りません。)が存在している可能性があります。また、不動産には様々な法規制が適用されるため、法令上の規制違反の状態をもって瑕疵又は契約不適合とされることもあり得ます。本資産運用会社が不動産の選定・取得の判断を行うにあたっては、建築基準法等の行政法規が求める所定の手続が適正に実施され、当該建築物の現況に法令上の規制違反等の瑕疵又は契約不適合がないかどうかにつき専門業者から建物状況報告書を取得するなどの物件精査を行うことにしています。しかしながら、建築基準法等の行政法規が求める所定の手続を経た不動産についても、建物の素材や建設時の施工の適切性を保証するものではなく、当該行政法規が求める安全性や構造耐力等を有するとの保証はなく、また、建築基準法等の行政法規が求める所定の手続が適正であったか否かを事後的に検証することは、当該手続時や施工時の資料等を入手する必要があること等の理由から困難が伴います。したがって、かかる欠陥・瑕疵・契約不適合等が本投資法人の取得後に判明するおそれもあります。本投資法人は、状況に応じて、前所有者又は前信託受益者に対し一定の事項につき表明及び保証を要求し、瑕疵担保責任又は契約不適合責任を負担させる場合もありますが、必ずしも常にそうであるとは限りません。また、表明及び保証をさせ、又は瑕疵担保責任若しくは契約不適合責任を負担させることにより、かかる表明及び保証が真実でなかったことを理由とする損害賠償責任、瑕疵担保責任又は契約不適合責任を追及できたとしても、これらの責任の期間及び責任額は一定範囲に限定されるのが通例であり、また、前所有者又は前信託受益者が解散したり無資力になっているために実効性に欠ける場合もあります。このようなリスクは前所有者又は前信託受益者が特別目的会社である場合にはより顕著となります。
これらの場合には、当該欠陥、瑕疵、契約不適合等の程度によっては、当該不動産の資産価値が低下することを防ぐために必要となる当該欠陥、瑕疵、契約不適合等の補修、建物の建替えその他の対応に係る費用が甚大となる可能性があるとともに、当該不動産の買主である本投資法人が当該費用を負担せざるを得なくなることがあり、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、本投資法人が不動産を売却する場合、本投資法人は、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号。その後の改正を含みます。)(以下「宅地建物取引業法」といいます。)上、宅地建物取引業者とみなされるため、同法に基づき、売却の相手方が宅地建物取引業者である場合を除いて、不動産の売買契約において、瑕疵担保責任又は契約不適合責任に関し、買主に不利となる特約をすることが制限されています。したがって、本投資法人が不動産を売却する場合は、売却した不動産の欠陥、瑕疵、契約不適合等の修補、建物の建替えその他の対応に係る費用を負担せざるを得なくなることがあり、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
加えて、不動産をめぐる権利義務関係の複雑さゆえに、不動産に関する権利が第三者の権利や行政法規等により制限を受けたり、第三者の権利を侵害していることが後になって判明する可能性があります。更には、不動産の形状や利用によっては、当該不動産の存在や利用状況によって意図しない第三者の権利の侵害が生じる可能性もあります。その結果、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
また、我が国の法制度上、不動産登記にはいわゆる公信力がありません。したがって、不動産登記簿の記載を信じて取引した場合にも、買主は不動産に係る権利を取得できないことがあります。更に、権利に関する事項のみならず、不動産登記簿中の不動産の表示に関する事項が現況と一致していない場合もあります。このような場合、上記と同じく、本投資法人は売主等に対して法律上又は契約上許容される限度で責任を追及することとなりますが、その実効性があるとの保証はありません。
更に、本投資法人は、境界が確定していない物件であっても、紛争等の可能性や運営への影響等を検討の上で取得することがありますが、本投資法人の想定に反し、隣地との間で紛争が生じたり、境界確
定の過程で運用資産の運営に不可欠の土地が隣地所有者の所有に属するものとされることなどにより、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
(ロ)不動産の売却に伴う責任に関するリスク
本投資法人が不動産を売却した場合に、当該不動産に物的若しくは法的な瑕疵又は契約不適合があるために、法令又は売買契約に従い、瑕疵担保責任、契約不適合責任又は表明保証責任を負担する可能性があります。特に、本投資法人は、宅地建物取引業法上のみなし宅地建物取引業者に該当しますので、買主が宅地建物取引業者でない場合には、本投資法人の瑕疵担保責任又は契約不適合責任に関するリスクを排除することができない場合があります。
更に、賃貸不動産の売却においては、新所有者がテナントに対する敷金返還債務等を承継することとされていますが(民法第605条の3、第605条の2第4項、第622条の2第1項)、旧所有者が当該債務を免れることについてテナントの承諾を得ていない場合には、旧所有者は新所有者とともに当該債務を負い続けると解される可能性があり、予想外の債務又は義務等を負う場合があり得ます。
(ハ)賃貸借契約に関するリスク a.賃貸借契約の解約及び更新に関するリスク
テナントが賃貸借契約の解約権を留保している場合等には、契約期間中であっても賃借人からの一方的意思表示により賃貸借契約を終了することが可能であるため、テナントから賃料が得られることが将来にわたって確保されているものではありません。また、テナントの債務不履行により賃貸借契約を解除せざるを得ない場合や、賃貸借契約の期間満了時に契約の更新がなされない場合もあります。このような理由により賃貸借契約が終了し、同一条件以上で新たに賃貸借契約が締結されない場合、当該不動産の稼働率が低下し、当該不動産に係る賃料収入が減少することになります。特に、シングルテナントと賃貸借契約を締結している物件については、賃貸借契約が終了し、新たな賃貸借契約が締結されない場合、当該物件に係る賃料収入はゼロになります。なお、解約禁止条項、解約ペナルティ条項等を置いて期間中の解約権を制限している場合又は更新料を定めている場合でも、裁判所によって解約違約金や更新料の額が、賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎる等の諸般の事情があると判断された場合、かかる条項の効力が否定される可能性があります。
以上のような事由により、賃料収入等が減少した場合、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
b.賃料不払に関するリスク
テナントが特に解約の意思を示さなくても、テナントの財務状況が悪化した場合又は賃借人が破産手続、再生手続若しくは更生手続その他の倒産手続(以下、総称して「倒産等手続」といいます。)の対象となった場合、賃貸借契約に基づく賃料支払が滞り、延滞賃料等の債務の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超える場合、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、このような場合には、賃貸借契約を解除せざるを得なくなる可能性や、テナントやその管財人等により賃貸借契約が解除される可能性もあり、そのような場合で代替となるテナントが早期に確保できないときや同等の条件で賃貸できないときにも、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
更に、本投資法人が一棟全体を一括して賃貸している場合には、当該不動産の賃借人の財務状況が悪化した場合には、本投資法人の収益に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える場合があります。
c.賃料改定に係るリスク
賃貸借契約の更新の際又は賃料等の見直しの際には、その時々における賃料相場も参考にして、賃料がテナントとの協議に基づき改定されることがあります。また、本投資法人の主たる投資対象である物流関連施設に関するテナントとの賃貸借契約の期間は、比較的長期間であることが一般的ですが、このような契約においては、賃料等の賃貸借契約の内容について、定期的に見直しを行う旨の定めがなされることがあります。したがって、賃貸借契約の期間中、本書の提出日現在の賃料が今後も維持される保証はありません。賃料改定により賃料が減額された場合、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、定期的に賃料等を増額する旨の規定が賃貸借契約にある場合でも、テナントとの交渉如何によっては、必ずしも、規定どおりに賃料を増額できるとは限りません。
d.テナントによる賃料減額請求権行使のリスク
建物のテナントは、定期建物賃貸借契約において借地借家法(平成3年法律第90号。その後の改正を含みます。)(以下「借地借家法」といいます。)第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設
けた場合を除いて、同条に基づく賃料減額請求をすることができます。定期建物賃貸借契約の効力が認められるためには、借地借家法第38条所定の要件を充足する必要があります。このため、ある建物賃貸借契約を定期建物賃貸借契約とした上で借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合であっても、借地借家法第38条所定の要件が充足されなかった場合には、賃料減額請求権を排除することができない可能性があります。当該請求が認められた場合、当該不動産から得られる賃料収入が減少し、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、建物の所有を目的とする土地の賃借人についても、借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求が認められています。請求が認められた場合、当該不動産から得られる賃料収入が減少し、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。
e.敷引特約に関するリスク
敷引特約がある賃貸借契約については、敷引特約の全部又は一部の有効性が否定された場合、敷引特約により本投資法人が得られるであろう敷引額に相当する利益が得られなくなり、本投資法人の収益性に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
f.定期建物賃貸借契約に関するリスク
本投資法人は、投資資産の賃貸にあたり、原則として定期建物賃貸借契約を活用していく方針です。しかしながら、定期建物賃貸借契約の効力が認められるには、借地借家法第38条所定の要件を充足する必要があるため、かかる要件が充足されなかった場合(充足されたことを証明できない場合を含みます。)には、定期建物賃貸借契約としての効力が認められず、当該契約は、いわゆる普通建物賃貸借契約として取り扱われる可能性があります。その結果、上記の賃料減額請求権を排除する特約の効力が認められず又は建物賃貸借契約が所定の時期に終了しないこと等により、本投資法人の収益性に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
g.賃借人の募集に関するリスク
本投資法人は、賃借人を募集するにあたり、他の物流関連施設と立地、築年数、設備や保守及び賃料その他の条件等の様々な面で競合します。このため、本投資法人が保有する物流関連施設が競争力を失ったり、有利な条件を提供できなくなると、賃借人を確保できず、この結果、保有する物流関連施設の賃料水準や稼働率が低下し、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす場合があります。特に、近郊の競合物流関連施設の数が増加した場合には、賃料水準の引下げ等が余儀なくされ、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
(ニ)災害等による不動産の毀損、滅失及び劣化並びに周辺環境の悪化に伴うリスク
火災、地震、地震に伴う液状化現象、暴風雨、洪水、津波、落雷、竜巻、火山の噴火、高潮、戦争、紛争、暴動、騒乱、テロ、原子力発電所の事故等(以下「災害等」といいます。)により不動産が毀損、滅失又は劣化し、又は不動産の正常な運営が妨げられ、それにより、当該不動産に係る収益が減少し若しくは費用が増加し、又はその価値が下落する可能性があります。このような場合には、滅失、劣化又は毀損した個所を修復するため一定期間、又は修復することができない場合には永久的に、建物の不稼働を余儀なくされることにより、賃料収入が減少することとなります。また、不動産自体に滅失、劣化又は毀損が生じなかった場合においても、電気、ガス、水道等の使用の制限やその他の外部的要因により不動産の不稼働を余儀なくされることで、賃料収入が減少することがあります。加えて、災害等の影響で周辺環境が悪化することにより、不動産の価値が下落する可能性があり、また、賃料水準の下落又は稼働率の低下により賃料収入が減少する可能性があります。このような不動産の価値の下落又は賃料収入の減収の結果、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、保険契約で填補されない災害若しくは損害等が発生した場合又は保険契約に基づく保険会社による支払が他の何らかの理由により行われず、減額され若しくは遅れる場合には、本投資法人は悪影響を受ける可能性があります。
(ホ)不動産に係る所有者責任、修繕・維持費用等に関するリスク
投資資産である不動産を原因として、第三者の生命、身体又は財産等を侵害した場合に、損害賠償義務が発生し、結果的に本投資法人が予期せぬ損害を被る可能性があります。特に、土地の工作物の所有者は、民法上無過失責任を負うこととされています。不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、保険契約でカバーされない事故が発生した場合又は保険契約に基づく保険会社による支払が他の何らかの理由により行われず、減額され若しくは遅れる場合には、本投資法人は悪影響を受ける可能性があります。
また、不動産につき毀損、滅失又は劣化等が生じ、修繕が必要となる場合には、かかる修繕に関連して多額の費用を要する可能性があります。また、かかる修繕が困難又は不可能な場合には、不動産から得られる賃料収入が減少し、不動産の価格が下落する可能性があります。
(ヘ)不動産の地域的な偏在に関するリスク
本投資法人は、首都圏及び関西圏を中心として投資を行うため、当該地域における地震その他の災害、地域経済の悪化、稼働率の低下、賃料水準の下落等が、本投資法人の全体収益にも著しい悪影響を及ぼす可能性があります。
(ト)不動産に係る行政法規・条例等に関するリスク
不動産のうち、建物の建築時点(建築確認取得時点)においては建築基準法及びその関連法令上適格であるとされた建物であっても、その後の建築基準法等の改正に基づく規制の変更により、変更後の規制のもとでは不適格とされることがあります。このように、従前は法令に適合していながら、その後の法規制の変更により法令に適合しなくなった建物を「既存不適格」と呼ぶことがあります。しかし、かかる既存不適格の建物の建替え等を行う場合には、現行の規定が適用されるので、現行の規定に合致する必要があり、追加的な費用負担が必要となる可能性があり、また、現状と同規模の建築物を建築できない可能性があります。
更に、建築主は、建築基準法に基づき、一定の建築物を建築する場合、着工前にその計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて、建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けなければならず、また、規模など、一定の条件を超える建造物については構造計算適合性判定機関による構造計算適合性判定を受けなければなりません。
しかし、建築主事若しくは指定確認検査機関による確認又は構造計算適合性判定機関による判定が適正であったか否かを事後的に検証することは、当該確認又は判定を行った当時の資料等を入手する必要があることや構造計算が複雑であること等から極めて困難です。このため、本投資法人が、当該確認又は判定が適正に行われていなかった不動産を取得、保有する可能性があり、これにより本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、不動産に係る様々な行政法規や各地の条例による規制が投資資産である不動産に適用される可能性があります。例えば、都市計画法に基づく市街化調整区域等の都市計画区域又は準都市計画区域内における建築物の建築又は土地の区画形質の変更の制限、都市計画法、土地区画整理法(昭和29年法律第119号。その後の改正を含みます。)(以下「土地区画整理法」といいます。)に基づく土地区画整理事業施行区域内の土地における土地の形質の変更及び建築物建築等の制限、地方公共団体の条例による風致地区内における建築等の規制、河川法(昭和39年法律第167号。その後の改正を含みます。)による河川保全区域内における工作物の新築等の制限、文化財保護法(昭和25年法律第214号。その後の改正を含みます。)に基づく試掘調査義務、一定割合において住宅を付置する義務、駐車場附置義務、福祉配慮設備設置義務、緑化推進義務及び雨水流出抑制施設設置義務等が挙げられます。このような義務が課せられている場合、当該不動産の処分又は建替え等に際して、事実上の困難が生じたり、これらの義務を遵守するための追加的な費用負担が生じる可能性があります。更に、投資資産である不動産を含む地域が道路設置等の都市計画の対象となる場合には、当該都市計画対象部分に建築制限が付されたり、建物の敷地とされる面積が減少し、当該不動産に関して建替え等を行う際に、現状と同規模の建築物を建築できない可能性があります。
以上の結果、本投資法人の投資資産の価値が低下し、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。
(チ)地球温暖化対策に関するリスク
近年、国内外において地球温暖化の進行が大きな社会問題となっています。そのため、地球温暖化に対する対策として、法令又は条例等により、一定の要件を満たす不動産の所有者等に温室効果ガス排出に関する報告や排出量の削減義務が課される場合があります。本投資法人の保有する不動産等がかかる要件に該当する場合、本投資法人が削減義務を負う可能性があり、排出量削減のための義務等を履行できない場合には、削減義務達成のための改修工事や排出権に関する支出等を余儀なくされる可能性があります。
また、近年、本投資法人に対するテナントや投資主等からの評価において、ESGに対する取組みは重要性を増しており、法令又は条例等により本投資法人が温室効果ガスの削減義務を負わない場合であっても、本投資法人のESGに係る評価を維持・向上させるため、本投資法人は、温室効果ガスの排出量削減のための建物改修工事を実施したり、温室効果ガスの排出権等を取得したり、再生可能エネルギー由来の電力等を購入する等の追加的な支出等を行うことがあります。更に、中長期的な視点に基づく投資主価値の最大化のため、本投資法人の収益性の向上が短期間では見込まれない投資等を行うこともあります。このような支出・投資等が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リ)法令の制定・変更に関するリスク
土壌汚染対策法のほか、将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、過失の有無にかかわらず不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。
また、消防法(昭和23年法律第186号。その後の改正を含みます。)(以下「消防法」といいます。)その他不動産の管理に影響する関係法令の改正により、不動産の管理費用等が増加する可能性があります。更に、建築基準法、都市計画法の改正、新たな立法、収用、再開発、区画整理等の行政行為等により不動産に関する権利が制限される可能性があります。このような法令若しくは行政行為又はその変更等が本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ヌ)売主の倒産等の影響を受けるリスク
本投資法人は、債務超過の状況にあるなど財務状態が実質的危機時期にあると認められる又はその疑義がある者を売主として不動産を取得する場合には、管財人等により不動産の売買が否認されるリスク等について諸般の事情を慎重に検討し、実務的に可能な限り管財人等により否認されるリスクを回避するよう努めますが、このリスクを完全に排除することは困難です。
万一売主が債務超過の状況にあるなど財務状態が実質的危機時期にある状況を認識できずに本投資法人が不動産を取得した場合には、当該不動産の売買が売主の債権者により取消(詐害行為取消)される可能性があります。また、本投資法人が不動産を取得した後、売主について倒産等手続が開始した場合には、不動産の売買が破産管財人、監督委員又は管財人により否認される可能性が生じます。
また、本投資法人が、ある売主から不動産を取得した別の者(以下、本項において「買主」といいます。)から更に不動産を取得した場合において、本投資法人が、当該不動産の取得時において、売主と買主間の当該不動産の売買が詐害行為として取り消され又は否認される根拠となりうる事実関係を知っている場合には、本投資法人に対しても、売主・買主間の売買が否認され、その効果を主張される可能性があります。
本投資法人は、管財人等により不動産の売買が否認されるリスク等について諸般の事情を慎重に検討し、実務的に可能な限り管財人等により否認されるリスクを回避するよう努めますが、このリスクを完全に排除することは困難です。
更に、取引の態様如何によっては売主と本投資法人との間の不動産の売買が、担保取引であると判断され、当該不動産は破産者である売主の破産財団の一部を構成し、又は更生会社若しくは再生債務者である売主の財産に属するとみなされる可能性(いわゆる真正譲渡でないとみなされるリスク)もあります。
(ル)マスターリース会社に関するリスク
本投資法人は、マスターレッシー(転貸人)が本投資法人又は信託受託者とマスターリース契約を締結した上で、各転借人に対して転貸するマスターリースの形態をとる物件を取得することがあります。
マスターリースの形態をとる物件においてマスターレッシーの財務状況が悪化した場合、転借人がマスターレッシーに賃料を支払ったとしても、マスターレッシーの債権者がマスターレッシーの転借人に対する賃料債権を差し押さえる等により、マスターレッシーから本投資法人又は信託受託者への賃料の支払が滞る可能性があります。
(ヲ)転貸に関するリスク
賃借人(転借人を含みます。)に、不動産の一部又は全部を転貸させる権限を与えた場合、本投資法人は、不動産に入居するテナントを自己の意思により選択できなくなったり、退去させられなくなる可能性があるほか、賃借人の賃料が、転借人から賃借人に対する賃料に連動する場合、転借人の財務状態等が、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、賃貸借契約が合意解約された場合、又は債務不履行を理由に解除された場合であっても、賃貸借契約上、賃貸借契約終了の場合に転貸人の転借人に対する敷金等の返還義務が賃貸人に承継される旨規定されている場合等には、かかる敷金等の返還義務が、賃貸人に承継される可能性があります。このような場合、敷金等の返還原資は賃貸人の負担となり、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ワ)テナント等による不動産の利用状況に関するリスク
本投資法人は、テナントの属性や資力に留意しつつ賃貸借契約を締結し、その利用状況を管理していますが、個々のテナントの利用状況をつぶさに監督できるとの保証はなく、テナントによる不動産の利用・管理状況により、当該不動産の資産価値や、本投資法人の収益に悪影響が及ぶ可能性があります。
例えば、建物そのものが法令や条例等の基準を満たす場合であっても、入居者による建物への変更工事、内装の変更、その他利用状況等により、建築基準法、消防法その他の法令や条例等に違反する状態となり、本投資法人が、その改善のための費用を負担する必要が生じ、又は法令上不利益を被る可能性があります。また、賃貸借契約における規定の如何にかかわらず、入居者による転貸や賃借権の譲渡が本投資法人の承諾なしに行われる可能性があります。その他、転借人や賃借権の譲受人の属性によっては、投資資産である不動産のテナント属性が悪化し、これに起因して建物全体の賃料水準が低下する可能性があります。賃貸人は賃借人と普通建物賃貸借契約を締結した場合又は定期建物賃貸借契約を締結したものの借地借家法第38条所定の要件が充足されないことにより定期建物賃貸借契約としての効力が否定された場合、賃貸借期間が経過した場合であっても正当の事由があると認められなければ、賃借人との賃貸借契約を終了することができず、運用資産である不動産のテナント属性の悪化を阻止できない可能性があります。本投資法人は、かかるリスクを低減するため、独自のテナント審査基準に基づくテナント審査を実施し、また、テナントの不動産利用状況の定期的な調査をPM会社に委託していますが、それでもかかるリスクが現実化しないという保証はありません。
また、近隣の住民からクレームが出され、本投資法人の運営に悪影響が及ぶ可能性があります。
(カ)区分所有建物に関するリスク
区分所有建物とは建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。その後の改正を含みます。)(以下「区分所有法」といいます。)の適用を受ける建物で、単独所有の対象となる専有部分
(居室等)と共有となる共用部分(エントランス部分等)及び建物の敷地部分から構成されます。区分所有建物の場合には、区分所有法上、法定の管理方法及び管理規約(管理規約の定めがある場合)によって管理方法が定められます。建替えをする場合には集会において区分所有者及び議決権(管理規約に別段の定めのない限り、その有する専有部分の床面積の割合)の各5分の4以上の多数での建替決議が必要とされるなど(区分所有法第62条)、区分所有法の適用を受けない単独所有物件と異なり管理方法に制限があります。
区分所有建物の専有部分の処分は自由に行うことができますが、区分所有者間で優先的購入権の合意をすることがあることは、共有物件の場合と同様です。
区分所有建物と敷地の関係については以下のようなリスクがあります。
区分所有建物の専有部分を所有するために区分所有者が敷地に関して有する権利を敷地利用権といいます。区分所有建物では、専有部分と敷地利用権の一体性を保持するために、法律で、専有部分とそれに係る敷地利用権を分離して処分することが原則として禁止されています(区分所有法第22条第1項)。ただし、敷地権の登記がなされていない場合には、分離処分の無効を善意の第三者に主張することができません(区分所有法第23条)。また、区分所有建物の敷地が数筆に分かれ、区分所有者が、それぞれ、その敷地のうちの一筆又は数筆の土地について、単独で、所有権、賃借権などを敷地利用権
(いわゆる分有形式の敷地利用権)として有している場合には、分離して処分することが可能とされています。このように専有部分とそれに係る敷地利用権が分離して処分された場合、敷地利用権を有しない区分所有者が出現する可能性があります。
また、敷地利用権が使用借権及びそれに類似した権利である場合には、当該敷地が売却、競売等により第三者に移転された場合に、区分所有者が当該第三者に対して従前の敷地利用権を対抗できなくなる可能性があります。
このような区分所有建物と敷地の関係を反映して、区分所有建物の場合には、既に述べた不動産を処分できないリスクや、それらのリスクを反映した価格の減価要因が増す可能性があります。
(ヨ)共有物件に関するリスク
投資資産である不動産が第三者との間で共有されている場合には、その保存・利用・処分等について単独で所有する場合には存在しない種々の問題が生じる可能性があります。
まず、共有物の管理は、共有者間で別段の定めをした場合を除き、共有者の持分の価格に従い、その過半数で行うものとされているため(民法第252条第1項)、持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため(民法第249条第1項)、他の共有者によるこれらの権利行使によって、本投資法人の当該不動産の保有又は利用が妨げられるおそれがあります。
更に、共有の場合、他の共有者からの共有物全体に対する分割請求権行使を受ける可能性(民法第256条)、及び裁判所により共有物全体の競売を命じられる可能性(民法第258条第3項)があり、ある共有者の意図に反して他の共有者からの分割請求権行使によって共有物全体が処分されるリスクがありま
す。
この分割請求権を行使しないという共有者間の特約は有効ですが、この特約は5年を超えては効力を有しません。また、登記済みの不分割特約がある場合でも、特約をした者について倒産等手続の対象となった場合には、管財人等はその換価処分権を確保するために分割請求ができるとされています。ただし、共有者は、倒産等手続の対象となった他の共有者の有する共有持分を相当の対価で取得することができます(破産法第52条、会社更生法(平成14年法律第154号。その後の改正を含みます。)第60条、民事再生法第48条)。
他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、共有されていた物件全体について当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶことになると考えられています。したがって、投資資産である共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、分割後の投資資産についても、他の共有者の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶこととなるリスクがあります。
共有持分の処分は単独所有物と同様に自由に行えると解されていますが、共有不動産については、共有者間で共有持分の優先的購入権の合意をすることにより、共有者がその共有持分を第三者に売却する場合に他の共有者が優先的に購入できる機会を与えるようにする義務を負う場合があります。
不動産の共有者が賃貸人となる場合には、賃料債権は不可分債権となり敷金返還債務は不可分債務になると一般的には解されており、共有者は他の賃貸人である共有者の信用リスクの影響を受ける可能性があります。
また、共有物の賃貸の際、共有者が全員で共同して共有物を賃貸するのではなく、個々の共有者が個別に共有物を同一の賃借人に賃貸したり、共有持分そのものを賃貸する形式が採用されることがあります。かかる形式によった場合、通常の不動産の賃貸借と法的な取扱いがどのように異なるのか、具体的には、対抗要件具備の方法や目的物譲渡時の権利義務関係への影響、差押等強制執行が行われる場合の取扱い等については、本書の提出日現在依拠するに足りる裁判例等もなく、確定していないことから、その予測は困難です。本投資法人は、共有持分の取得に際し、当該形式によることに伴い生じるリスクを低減するように努める方針ですが、裁判所において権利の保全が認められず、又は予想していない義務を承継することとなる等、本投資法人の予想しない結果が生じ、その結果、本投資法人は悪影響を受ける可能性があります。
加えて、共有者間においては、共有者間の協定書等が締結され、共有者間で共有持分の優先的購入権について合意されたり、一定の場合に当事者間で売渡請求権若しくは買取請求権が生じることが合意され、又は共有者としての意思決定の方法等が合意されることがあり(その内容は様々です。)、本投資法人は、リスクを低減するため、共有者間の協定書等を締結する際は、本投資法人の利益を損なわないよう慎重に対応するものとしますが、これらの合意がなされている場合、本投資法人が所有する共有持分の処分が制限される可能性があるほか、想定しない時期に共有持分を取得若しくは譲渡することを強制され、又は、持分割合にかかわらず、当該不動産の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
共有不動産については、単独所有の場合と比べて上記のような制限やリスクがあるため、取得及び売却により多くの時間と費用を要したり、価格の減価要因が増す可能性があります。
(タ)借地物件に関するリスク
借地権とその借地上に存在する建物については、自己が所有権を有する土地上に存在する建物と比べて特有のリスクがあります。借地権は、所有権と異なり永久に存続するものではなく、期限の到来により当然に消滅し(定期借地権の場合)又は期限到来時に借地権設定者が更新を拒絶しかつ更新を拒絶する正当事由がある場合に消滅します(普通借地権の場合)。また、借地権が地代の不払その他により解除その他の理由により消滅してしまう可能性もあります。借地権が消滅すれば、時価での建物買取りを請求できる場合(借地借家法第13条、借地法(大正10年法律第49号。その後の改正を含みます。)(以下「借地法」といいます。)第4条)を除き、借地上に存在する建物を取り壊した上で、土地を返還しなければなりません。普通借地権の場合、借地権の期限到来時の更新拒絶につき上記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、仮に建物の買取請求権を有する場合でも、買取価格が本投資法人が希望する価格以上である保証はありません。
また、本投資法人が借地権を有している土地の所有権が、他に転売されたり、借地権設定時に既に存在する土地上の抵当権等の実行により第三者に移ってしまう可能性があります。この場合、借地権について適用のある法令に従い第三者対抗要件が具備されていないときは、本投資法人は、借地権を当該土地の新所有者に対して対抗できず、当該土地の明渡義務を負う可能性があります。
更に、借地権が賃借権である場合、借地権を譲渡するには、原則として、借地権設定者の承諾が必要
となります。借地上の建物の所有権を譲渡する場合には、当該借地に係る借地権も一緒に譲渡することになるので、原則として、借地権設定者の承諾が必要となります。かかる借地権設定者の承諾に関しては、借地権設定者への承諾料の支払が予め約束されていたり、約束されていなくても慣行を理由として借地権設定者が承諾料を承諾の条件として請求してくる場合があります(なお、法律上借地権設定者に当然に承諾料請求権が認められているものではありません。)。
加えて、借地権設定者の資力の悪化や倒産等により、借地権設定者に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があります。借地権設定者に対する敷金及び保証金等の返還請求権について担保設定や保証はなされないのが通例です。
借地権と借地上に建てられている建物については、敷地と建物を一括して所有している場合と比べて、上記のような制限やリスクがあるため、既に述べた不動産の流動性、取引コスト等に関するリスクや、それらのリスクを反映した価格の減価要因が増す可能性があります。
(レ)借家物件に関するリスク
本投資法人は、建物(共有持分、区分所有権等を含みます。)を第三者から賃借の上、又は信託受託者に賃借させた上、当該賃借部分を直接若しくは信託受託者を通じて保有する建物と一体的に又は当該賃借部分を単独で、テナントへ転貸することがあります。
この場合、建物の賃貸人の資力の悪化や倒産等により、建物の賃貸人に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があることは、前記の借地物件の場合と同じです。
加えて、民法上、本投資法人が第三者との間で直接又は信託受託者を通じて締結した賃貸借契約が何らかの理由により終了した場合、原則として、本投資法人又は信託受託者とテナントの間の転貸借契約も終了するとされていますので、テナントから、転貸借契約の終了に基づく損害賠償請求等がなされるおそれがあります。
(ソ)開発中の物件に関するリスク
本投資法人は、竣工前の未稼働不動産等への投資は原則として行わない予定です。しかし、未竣工ではあるものの、建物の竣工、引渡し、その後のテナント確保についてのリスクが極小化されている(当該建物の竣工後のテナントが確保できているもののみならず、当該建物の引渡し後一定期間は賃料が発生しないことが想定されている場合を含みます。)と判断できる投資資産については、当該物件未竣工時点での売買契約を締結することがあります。かかる場合、既に完成した物件につき売買契約を締結して取得する場合とは異なり、様々な事由により、開発又は建築が遅延し、変更され、又は中止されることにより、契約どおりの引渡しを受けられない可能性や追加の出資が必要となる可能性があります。この結果、開発中の当該物件からの収益等が本投資法人の予想を大きく下回る可能性があるほか、予定された時期に収益等が得られなかったり、収益等が全く得られなかったり、又は予定されていない費用、損害若しくは損失を本投資法人が負担し若しくは被る可能性があり、その結果本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
また、新規開発物件の場合は、運用実績がないため、実際の収益等が予想と大きく異なる可能性があります。
(ツ)底地物件に関するリスク
本投資法人は、第三者が賃借してその上に建物を所有している土地、いわゆる底地を取得することがあります。底地物件の場合は特有のリスクがあります。借地権は、定期借地権の場合は借地契約に定める期限の到来により当然に消滅し、普通借地権の場合には期限到来時に本投資法人が更新を拒絶しかつ本投資法人に更新を拒絶する正当事由がある場合に限り消滅します。借地権が消滅する場合、本投資法人は借地権者より時価での建物買取を請求される場合があります(借地借家法第13条、借地法第4条)。普通借地権の場合、借地権の期限到来時に更新拒絶につき上記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、借地権者より時価での建物買取を請求される場合においても、買取価格が本投資法人が希望する価格以下である保証はありません。
借地権が賃借権である場合、借地権者による借地権の譲渡には、原則として、本投資法人の承諾が必要となりますが、裁判所が承諾に代わる許可をした場合(借地借家法第19条)や、借地契約上事前に一定範囲での借地権の譲渡を承諾している場合には、本投資法人の承諾なく借地権が譲渡される結果、財務状態に問題がある等の本投資法人が望まない者に借地権が譲渡される可能性があり、その結果、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、借地権者の財務状況が悪化した場合又は倒産等手続の対象となった場合、借地契約に基づく土地の賃料の支払が滞る可能性があり、この延滞賃料の合計額が敷金及び保証金等で担保される範囲を超
える場合は投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
更に、借地契約では、多くの場合、賃料等の借地契約の内容について、定期的に見直しを行うこととされています。賃料の改定により賃料が減額された場合、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。また、借地権者は借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求をすることができ、これにより、当該底地から得られる賃料収入が減少し、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
(ネ)仮換地及び保留地に関するリスク a.仮換地に関するリスク
本投資法人は、土地区画整理法に基づく土地区画整理事業において仮換地として指定されている土地を敷地とする物流関連施設又はこれを信託する信託の受益権を取得する場合があります。仮換地は将来の換地処分において換地と一致するとは限らないため、換地として当初想定していた土地と物理的に同一の土地に係る権利を最終的に取得できるという保証はありません。また、当該換地が従前地より狭いこともあるため、換地の使用価値又は資産価値が従前地のそれよりも小さいこともあります。
更に、仮換地には従前地の権利関係の影響が及ぶため、仮換地を対象とした売買契約又は賃貸借契約等を締結しても、売主が従前地について実際には所有権を有しておらず、あるいは担保権を設定している等の事情があると、仮換地に係る権利取得に支障が生じることになります。同様に、従前地が共有状態にあった場合には、これを単独所有のものとして取得できる保証はないことになります。更に、仮換地の取得時に従前地の権利関係に関する十分な情報を入手できないことも少なくありません。
また、換地処分の公告の日の翌日以降でなければ、仮換地に係る権利についての登記をすることができないため、相当期間かかる権利の取得について第三者に対する対抗要件を具備することができない可能性があります。
b.保留地に関するリスク
本投資法人は、土地区画整理法に基づく土地区画整理事業において、同法第96条第1項に規定される保留地となることが予定されている土地を敷地とする物流関連施設又はこれを信託する信託の受益権を取得する場合があります。保留地予定地の所有権は、同法第86条第1項に規定される換地計画に当該土地が保留地として定められ、かかる換地計画に基づき同法第103条第1項に規定される換地処分がなされた場合に、かかる換地処分の公告があった日の翌日において、同法第104条第11項に基づき、土地区画整理事業の施行者が原始取得します。そのため、上記の換地処分がなされない限り、本投資法人は、保留地予定地の所有権を取得できません。また、保留地予定地は将来の換地処分において実際に保留地として指定される土地と一致するとは限らないため、想定していた保留地と物理的に同一の土地に係る所有権を最終的に取得できるという保証はありません。
更に、換地処分の公告の日の翌日以降でなければ保留地に係る権利についての登記をすることができないため、相当期間かかる権利の取得について第三者に対する対抗要件を具備することができない可能性があります。
(ナ)有害物質に関するリスク
本投資法人が土地又は土地の賃借権若しくは地上権又はこれらを信託する信託の受益権を取得し又は保有する場合において、当該土地について産業廃棄物や放射性物質等の有害物質が埋蔵され又は存在している可能性があり、かかる有害物質が埋蔵され又は存在している場合には、当該土地の価格の下落により、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替えや洗浄が必要となる場合には、これに係る予想外の費用や時間が必要となり、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負う可能性があり、かかる義務を負う場合には本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
土壌汚染対策法によれば、土地の所有者、管理者又は占有者は、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の特定有害物質による土地の土壌の汚染の状況について、都道府県知事により調査・報告を命ぜられることがあり、また、土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、都道府県知事によりその被害を防止するため必要な汚染の除去等の措置を命ぜられることがあります。本投資法人がこれらの調査・報告又は措置を命ぜられた場合には、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
これらの場合、本投資法人は、支出を余儀なくされた費用について、その原因となった者やその他の
者から常に償還を受けられるとは限りません。特に、本投資法人が主たる投資対象とする物流関連施設の立地する地域は、工場跡地等の土壌汚染が懸念される地域であることが多く、上記リスクは他の物件を取得する場合に比して相対的に高いものとなります。そして、本投資法人は、形質変更時要届出区域として指定されている土地その他土壌の特定有害物質による汚染状態が基準に適合しない土地であっても、土壌汚染対策法に従った措置が講じられている場合等、健康被害の観点からリスクが小さいと判断される場合には取得を行うことができるものとしており、かかる判断にかかわらず上記のような事象により本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
また、本投資法人が建物又は建物を信託する信託の受益権を取得し又は保有する場合において、当該建物の建材等にアスベストその他の有害物質を含む建材が使用されているか若しくは使用されている可能性がある場合やポリ塩化ビフェニル(PCB)が保管されている場合等には、当該建物の価格の下落により、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために建材の全面的又は部分的交換が必要となる場合には、これに係る予想外の費用や時間が必要となり、本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務が発生する可能性があり、かかる義務が生じた場合には本投資法人ひいては投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
なお、将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、過失の有無にかかわらず不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。
(ラ)不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク
本投資法人が保有する資産は信託の信託受益権であり、本投資法人が取得する予定の資産は信託の信託受益権です。
信託受託者が信託財産としての不動産、不動産の賃借権又は地上権を所有し管理するのは受益者のためであり、その経済的利益と損失は、最終的には全て受益者に帰属することになります。したがって、本投資法人は、信託の受益権の保有に伴い、信託受託者を介して、投資資産が不動産である場合と実質的にほぼ同じリスクを負担することになります。
信託契約上信託の受益権を譲渡しようとする場合には、信託受託者の承諾を要求されるのが通常です。更に、不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の信託受益権については受益証券発行信託の受益証券でない限り私法上の有価証券としての性格を有していませんので、債権譲渡と同様の譲渡方法によって譲渡することになり、有価証券のような流動性がありません。
信託法(大正11年法律第62号。その後の改正を含みますが、信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号)による改正前のもの。)及び信託法(平成18年法律第108号。その後の改正を含みます。)上、信託受託者が倒産等手続の対象となった場合に、信託の受益権の目的となっている不動産が信託財産であることを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託された不動産に信託設定登記をする必要があり、仮にかかる登記が具備されていない場合には、本投資法人は、当該不動産が信託の受益権の目的となっていることを第三者に対抗できない可能性があります。
また、信託受託者が、信託目的に反して信託財産である不動産を処分した場合、又は信託財産である不動産を引当てとして、何らかの債務を負うことにより、不動産を信託する信託の受益権を保有する本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。
更に、信託契約上、信託開始時において既に存在していた信託不動産の欠陥、瑕疵、契約不適合等につき、当初委託者が信託受託者に対し一定の瑕疵担保責任又は契約不適合責任を負担する場合に、信託受託者が、かかる瑕疵担保責任又は契約不適合責任を適切に追及しない、又はできない結果、本投資法人が不測の損害を被り、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
(ム)信託の受益権の準共有等に関するリスク
投資資産である不動産信託の受益権が第三者との間で準共有されている場合には、その保存・利用・処分等について単独で所有する場合には存在しない種々の問題が生じる可能性があります。
まず、準共有されている権利の管理は、準共有者間で別段の定めをした場合を除き、準共有者の持分の価格に従い、その過半数で行うものとされているため(民法第252条)、本投資法人が準共有持分の過半数を有していない場合には、不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
また、準共有持分の処分は単独所有物と同様に自由に行えると解されていますが、信託の受益権が準共有されている場合には、準共有者間で準共有持分の優先的購入権についての合意をすることにより、
準共有者がその準共有持分を第三者に売却する場合に他の準共有者が優先的に購入できる機会を与える義務を負う場合があります。
更に、不動産信託の受益権の準共有者が不動産信託受託者に対して有する信託交付金の請求権は不可分債権となり不動産信託受託者に対して負担する信託費用等の支払義務は不可分債務になると一般的には解されており、準共有者は、他の準共有者の信用リスクの影響を受ける可能性があります。
加えて、準共有者間においては、準共有者間の協定書等が締結され、準共有者間で準共有持分の優先的購入権について合意されたり、一定の場合に当事者間で売渡請求権若しくは買取請求権が生じることが合意され、又は受益者としての意思決定の方法等が合意されることがあります(その内容は様々です。)が、これらの合意がなされている場合、本投資法人が所有する準共有持分の処分が制限される可能性があるほか、想定しない時期に準共有持分を取得若しくは譲渡することを強制され、又は、持分割合にかかわらず、不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
不動産信託の信託受益権が第三者との間で準共有されている場合には、単独所有の場合と比べて上記のような制限やリスクがあるため、取得及び売却により多くの時間と費用を要したり、価格の減価要因が増す可能性があります。
(ウ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
本投資法人は、不動産等を取得するにあたり、フォワード・コミットメント等を行うことがあります。フォワード・コミットメント等において、一般的に不動産売買契約が買主の事情により解約された場合には、買主は債務不履行による損害賠償義務を負担することとなります。また、損害額等の立証にかかわらず、不動産等の売買価格に対して一定の割合の違約金が発生する旨の合意がなされることも少なくありません。フォワード・コミットメント等の場合には、契約締結後、決済(物件引渡し)までに一定の期間があるため、その期間における市場環境の変化等により本投資法人が不動産取得資金を調達できない等の理由により、売買契約を解約せざるを得なくなった場合には、違約金等の支払により、本投資法人の収益等に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑤ 税制に関するリスク
(イ)導管性要件に関するリスク
税法上、一定の要件(以下「導管性要件」といいます。)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、後記「4手数料等及び税金(5)課税上の取扱い」に記載する配当等の額を投資法人の損金に算入することが認められています。導管性要件のうち一定のものについては、事業年度毎に判定を行う必要があります。
本投資法人は、導管性要件を満たすよう努める予定ですが、今後、本投資法人の投資主の異動、分配金支払原資の制限・不足、法律の改正その他の要因により導管性要件を満たすことができない事業年度が生じる可能性があります。現行税法上、導管性要件を満たさなかったことについてやむを得ない事情がある場合の救済措置が設けられていないため、後記「(ホ)同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないリスク」に記載する同族会社化の場合等、本投資法人の意図しないやむを得ない理由により要件を満たすことができなかった場合においても、配当等の額を損金に算入することができなくなり、本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額や純資産の額が減少する可能性があり、本投資口の市場価格に影響を及ぼすこともあり得ます。なお、課税上の取扱いに関しては、後記
「4手数料等及び税金(5)課税上の取扱い」をご参照ください。
(ロ)税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
導管性要件のうち、租税特別措置法施行令第39条の32の3に規定する配当可能利益の額又は配当可能額の90%超の分配を行うべきとする要件(以下「支払配当要件」といいます。)においては、投資法人の会計上の税引前当期純利益を基礎として判定を行うこととされています。したがって、会計処理と税務上の取扱いの差異により本投資法人の税負担が増加し、実際に配当できる利益(会計上の税引後当期純利益)が減少した場合、この要件を満たすことが困難となる事業年度が生じる可能性があり得ます。なお、2015年4月1日以後に開始する事業年度については、会計処理と税務上の取扱いの差異である一時差異等調整引当額の増加額に相当する金銭の分配について配当等の額として損金算入が可能になるという手当てがなされています。
(ハ)税務調査等による更正処分のため、追加的な税負担の発生するリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、税務当局との見解の相違により過年度の課税所得計算について追加の税務否認等の更正処分を受けた場合には、予想外の追加的な課税が発生することがあります。
この結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(ニ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、本書の提出日現在において、一定の内容の投資方針を規約に定めることその他の税制上の要件を充足することを前提として、不動産を取得する場合の登録免許税及び不動産取得税の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更され若しくは軽減措置が廃止された場合において、軽減措置の適用を受けることができない可能性があります。
(ホ)同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
事業年度毎に判定を行う導管性要件のうち、事業年度終了時に同族会社のうち租税特別措置法施行令第39条の32の3に定めるものに該当していないこと(発行済投資口の総数又は議決権総数の50%超が1人の投資主及び特殊関係者により保有されていないこと)とする要件、すなわち、同族会社要件については、本投資口が市場で流通することにより、本投資法人のコントロールの及ばないところで、結果として満たされなくなる事業年度が生じるリスクがあります。
(ヘ)借入れに係る導管性要件に関するリスク
税法上、上記の事業年度毎に判定を行う導管性要件のひとつに、借入れを行う場合には機関投資家
(租税特別措置法第67条の15に規定するものをいいます。以下、本「⑤ 税制に関するリスク」において同じです。)のみから行うという要件があります。したがって、本投資法人が何らかの理由により機関投資家以外からの借入れを行わざるを得ない場合、本投資法人に対する貸付債権が機関投資家以外の者に譲渡された場合、又は、保証金若しくは敷金等の全部若しくは一部がテナントからの借入金に該当すると解釈された場合においては、導管性要件を満たせないことになります。この結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(ト)投資口を保有する投資主数について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
税務上、導管性要件のひとつに、事業年度末において投資法人の投資口が機関投資家のみにより保有されること、又は50人以上の投資家に保有されることという要件があります。しかし、本投資法人は投資家による投資口の売買をコントロールすることができないため、本投資法人の投資口が50人未満の投資主によって保有される(機関投資家のみに保有される場合を除きます。)こととなる可能性があります。
(チ)一般的な税制の変更に関するリスク
不動産、信託の受益権その他投資法人の運用資産に関する税制若しくは投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。また、投資口に係る利益の配当、出資の払戻し、譲渡等に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、本投資口の保有又は売却による手取金の額が減少する可能性があります。
⑥ その他
(イ)専門家の意見への依拠に関するリスク
不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価格は、個々の不動産鑑定士等の分析に基づく、分析の時点における評価に関する意見を示したものにとどまり、客観的に適正な不動産価格と一致するとは限りません。同じ物件について鑑定、調査等を行った場合でも、不動産鑑定士等、評価方法又は調査の方法若しくは時期によって鑑定評価額、調査価格の内容が異なる可能性があります。また、かかる鑑定等の結果は、現在及び将来において当該鑑定評価額や調査価格による売買の可能性を保証又は約束するものではありません。
建物状況報告書や構造計算書に関する調査機関による調査報告書についても、建物の評価に関する専門家が調査した結果を記載したものにすぎず、不動産に欠陥、瑕疵、契約不適合が存在しないことを保証又は約束するものではありません。
土壌汚染に関する各報告書は、個々の専門業者が調査した結果を記載したものにすぎず、土壌汚染が存在しないことを保証又は約束するものではありません。また、土壌汚染が存在する場合に、専門家に対して確認を行うことがありますが、当該確認の結果得られた専門家の土壌汚染のリスク等に関する意見は、個々の専門家の分析に基づく、分析の時点におけるリスク等に関する意見を示したものにとどま
り、当該リスク等の内容又は程度を保証又は約束するものではありません。
また、不動産に関して算出される地震予想損失率PML値は、個々の専門家の分析に基づく予想値であり、損失の再調達価格に対する割合で示されますが、将来、地震が発生した場合、予想以上の多額の損失が発生する可能性があります。
建築物環境調査報告書、土壌汚染のリスクに関する評価報告書も、個々の調査会社が行った分析に基づく意見であり、評価方法、調査の方法等によってリスク評価の内容が異なる可能性があります。
また、マーケットレポート等により提示されるマーケットに関する第三者機関による分析又は統計情報は、個々の調査会社の分析に基づく、分析の時点における評価に関する意見を示したものにとどまり、客観的に適正なエリア特性、需要と供給、マーケットにおける位置付け、市場の動向等と一致するとは限りません。同じ物件について調査分析を行った場合でも、調査分析会社、分析方法又は調査方法若しくは時期によってマーケット分析の内容が異なる可能性があります。
(ロ)減損会計の適用に関するリスク
固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会平成14年8月9日)及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号平成15年10月31日))が、2005年4月1日以後開始する事業年度より強制適用されたことに伴い、本投資法人においても減損会計が適用されています。減損会計とは、主として土地・建物等の事業用不動産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。減損会計の適用に伴い、地価の動向及び投資資産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の損益に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、2015年4月1日以後に開始する計算期間については、減損損失、のれんの償却、資産除去債務等、一定の会計処理と税務上の取扱いの差異が生じた場合は、一時差異等調整引当額の増加額を配当等の額として取扱い、損金算入することが可能になるという手当てがなされています。
(ハ)過去の収支状況が将来の本投資法人の収支状況と一致しないリスク
保有資産の過去の収支状況を開示する場合、当該情報は本投資法人の会計方針に沿った会計監査等の手続を経たものではなく、前所有者等から提供を受けたあくまでも参考としての情報にすぎません。特に契約形態が大きく異なる場合、比較可能性の低い情報となることがあります。また、当該情報は不完全であるおそれがあるほか、その正確性も担保されていない情報です。したがって、本投資法人が当該資産を取得した後に、適用ある会計原則に従ってそれらの収支を作成し監査済み財務諸表を作成した場合、当該監査済みの収支は上記情報に基づく収支とは大幅に異なるおそれがあります。
(2)投資リスクに対する管理体制
本投資法人及び本資産運用会社は、以上のようなリスクが投資リスクであることを認識しており、その上でこのようなリスクに最大限対応できるようリスク管理体制を整備しています。
しかしながら、当該リスク管理体制については、十分に効果があることが保証されているものではなく、リスク管理体制が適切に機能しない場合、投資主又は投資法人債権者に損害が及ぶおそれがあります。
① 本投資法人の体制
(イ)利益相反への対応
本投資法人は、透明性の高い運営を行い、同時にリスク管理に努めています。また、利害関係者との間の利益相反に配慮しつつ、投資方針を実現させることができるように体制を整備しています。利益相反を回避するために以下の法令上の規定並びに本投資法人及び本資産運用会社による施策が存在します。
(法令上の規定)
a.本投資法人の執行役員は投信法上本投資法人に対し、善管注意義務及び忠実義務を負っており、執行役員が故意又は過失によりその義務に違反して本投資法人に損害を与えた場合には、本投資法人に対して損害賠償責任を負うこととなります。
b.投信法上、資産運用会社その他の一定の利害関係を有する者との取引については、一定の制限が存在します(後記「第二部 投資法人の詳細情報 第3管理及び運営 2利害関係人との取引制限(1)法令に基づく制限」をご参照ください。)。
c.投信法上、役員会の決議において、投資法人の執行役員及び監督役員が特別の利害関係を有する場
合、決議に参加できないものとされています。
(本投資法人及び本資産運用会社による施策)
本資産運用会社の内部規則として、利害関係者取引規程を定めており(利害関係人等との間の取引制限の詳細については、後記「第二部 投資法人の詳細情報 第3管理及び運営 2利害関係人との取引制限
(2)本資産運用会社の自主ルール(利害関係者取引規程))」をご参照ください。)、本資産運用会社は、(i)本投資法人を当事者とする利害関係者取引を行った場合及び(ⅱ)本資産運用会社の利害関係者取引規程を改廃した場合(ただし、本投資法人に関連する部分に限ります。)には、本投資法人に対し、速やかに事後報告を行うものとしています。
(ロ)牽制体制
本投資法人は、業務執行の意思決定及び執行役員に対する監督機関としての役員会が十分に機能し、執行役員が本投資法人のために忠実にその職務を遂行するよう努めています。役員会においては、本投資法人が委託する本資産運用会社での資産運用に係る重要な事項は、本資産運用会社からの報告事項とするなど、本資産運用会社への一定の牽制体制を構築しています。
(ハ)内部者取引管理規程
本投資法人は、内部者取引管理規程を制定し、本投資法人の役員によるインサイダー取引の防止に努めています。なお、同規程において、本投資法人の役員及び役員と生計を一にする親族(直系尊属を除きます。)は、本投資法人の発行する投資口を自己の計算において売買してはならない(家族その他知人等の名義の如何を問いません。)ものとされています。ただし、役員が本資産運用会社の役職員を兼職している場合において、本資産運用会社における内部者取引管理規程において本投資口の売買が許容されるときを除きます。
② 本資産運用会社の体制
本資産運用会社は管理対象とするリスクの種類、リスク管理に関する基本方針及び社内のリスク管理体制等に関するリスク管理規程を定め、当該規程等に基づいて管理体制を整備し、資産運用上のリスクをコントロールするための社内ガイドラインを定める等、各種リスクに対する適切な管理を実施しています(リスク管理に関する詳細は後記「第二部 投資法人の詳細情報 第4関係法人の状況 1資産運用会社の概況(2)運用体制 ⑤ 投資運用に関するリスク管理体制」をご参照ください。)。
また、利益相反リスクに対しては、投信法の規定に従い、一定の取引については事前に本投資法人の役員会による承認を経ることとしています(投信法第201条の2第1項)。更に、利害関係者取引規程を定め厳格な利益相反対策ルールを設定しています。かかる利害関係者取引規程において、利益相反リスクへの対策として本資産運用会社の意思決定(投資委員会決定)の前にコンプライアンス委員会での外部専門家を含めた全委員の賛成を必要とし、金融商品取引法及び投信法に定める利害関係人等に関連した行為準則の水準を超える厳格な利益相反防止体制を整え、本投資法人本位のリスク管理体制を徹底しています。
本資産運用会社は、以上のような実効性のあるリスク管理システムを整備することによって、リスクを極小化するように努め、最大限の効果の発揮に努めます。また、本資産運用会社はリスクに最大限対応できるよう以下を含むリスク管理体制を整備しています。
(イ)反社会的勢力対応の体制
本資産運用会社は、内部規則として、「反社会的勢力排除規程」及び「反社会的勢力に対する基本方針」を定め、管理体制を構築することとしています。取引等を行おうとする顧客及びその取引先(物件の取得先やテナント、PM会社、ビル・マネジメント会社等を含みます。)について、反社会的勢力に該当するか否か予め審査するよう努めることとされています。
(ロ)危機管理の体制
本資産運用会社は、内部規則として経営危機管理規程を定め、運用資産の重大な瑕疵又は契約不適合、自然災害、システム停止等の、事業継続において不測の事態である経営危機が発生したときのための体制を構築しています。
(ハ)運用ガイドライン及びリスク管理規程の策定・遵守
本資産運用会社は、規約の投資方針等の基本方針を実現するため、規約等に沿って運用ガイドラインを策定し、投資方針、投資対象、投資制限等を定めています。本資産運用会社は、運用ガイドラインを
遵守することにより、本投資法人の投資運用に係るリスクの管理に努めます。
また、本資産運用会社は、リスク管理規程において、リスク管理の基本方針、リスク管理担当部門及び責任者並びにリスク顕在化への対応等を規定し、本資産運用会社が管理すべき主要なリスクとして、不動産投資・運用リスク、事務リスク、システムリスク、法務リスク、風評リスク、その他のリスクを定義し、本資産運用会社のリスクに関する管理責任者であるコンプライアンス・オフィサーの役割を定めています。なお、同規程によれば、コンプライアンス・オフィサーは、日常的にコンプライアンスや各種リスクの管理状況をモニタリングし、必要に応じ、適宜代表取締役へ報告を行うものとされ、また、コンプライアンス・オフィサーは、コンプライアンスやリスク管理に関する各部からの報告やモニタリング状況を取りまとめ、コンプライアンス委員会及び取締役会に報告するものとされています。
(ニ)内部監査による検証
本資産運用会社の内部監査は、監査の目的達成のために必要とされる事項に関し、本資産運用会社の全ての組織及び本資産運用会社業務の全般を対象として行うものとされています。本資産運用会社の内部監査は、内部監査室が担当し、当該内部監査室長は、監査実施上必要あると認めたときは、社内及び社外専門家を含め、臨時に内部監査担当者を任命することができます。
内部監査責任者は、前年度の内部監査結果をはじめ、被監査部署におけるリスクの種類・程度・管理状況等を理解した上で、年度監査計画を策定し、本資産運用会社の取締役会に上程し、その承認を得ます。特命事項その他により、計画に重大な変更のあったときも同様とします。また、本資産運用会社の取締役会から見直しの指示があった場合は、速やかに見直しを行います。年度監査計画には、当該事業年度の監査方針、監査の対象、監査実施の時期、その他必要事項を示します。
内部監査は、本資産運用会社の内部監査規程上、最低年1回、全部署について、年度監査計画に基づいて本資産運用会社の取締役会の承認を得て実施することとされています。ただし、必要な場合には、本資産運用会社の取締役会の承認を得てこれを変更して実施することができます。内部監査責任者は、監査終了後速やかに監査の報告を取りまとめ、本資産運用会社の取締役会へ報告し、内部監査実施者は監査の結果を被監査部署の責任者へ伝達します。当該伝達を受けた当該部署の責任者は、内部監査の結果、提案を受けた事項について、改善の方針や内容、期限等を記載した改善計画(社内諸規則の制改定等を含みます。)を作成し、速やかに内部監査責任者へ提出しなければならず、内部監査責任者は、当該回答書を取りまとめ、その内容について本資産運用会社の取締役会及び役職員に報告します。内部監査責任者は、指摘事項の改善実施状況につき適宜、調査・確認を行うものとされ、確認結果については、適宜取りまとめ、その内容について本資産運用会社の取締役会及び役職員へ報告します。
(ホ)利害関係者取引規程
後記「第二部 投資法人の詳細情報 第3管理及び運営 2利害関係人との取引制限(2)本資産運用会社の自主ルール(利害関係者取引規程)」をご参照ください。
(ヘ)内部者取引管理規程
本資産運用会社では、内部者取引管理規程を制定し、本資産運用会社の役職員等によるインサイダー取引の防止に努めています。なお、同規程によれば、本資産運用会社の役員(非常勤役員を含みます。)及び職員(社員、嘱託社員、契約社員等をいいます。)並びにこれと生計を一にする親族(直系尊属を除きます。)は、原則として、本投資法人又はCREが発行する株式等(金融商品取引所に上場されている株式並びに新株予約権付社債、その他株式に転換する権利・可能性を有する社債等をいいます。以下本(へ)において同じです。)及び投資証券等(金融商品取引所に上場されている投資証券及び新投資口予約権証券をいいます。)について、法人関係情報の有無にかかわらず、売買(投資証券又は株式の累積投資制度に係る買付けなど、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第59条第1項第9号に規定するものを除きます。)をしてはならないものとされています。ただし、本投資口については、本投資法人の決算発表後1か月以内、及び公募・売出期間内(発行条件決定翌日から受渡期日まで)における売買など、予めコンプライアンス・オフィサーを経由し代表取締役の承認を受けた場合(ただし、代表取締役が売買を行う場合にはコンプライアンス・オフィサーの承認を受けた場合)は、この限りではありません。CREの株式等については、同社所定の手続きを経て承認された場合はこの限りではありません。
(ト)フォワード・コミットメント等
フォワード・コミットメント等に係る物件は、決済までの間、本投資法人の貸借対照表には計上されずオフバランスとなりますが、当該期間中の当該物件の価格変動リスクは本投資法人に帰属することに
なります。このため、フォワード・コミットメント等を行う場合、本資産運用会社において、解約違約金、運用資産の取得額の上限及び契約締結から運用資産引渡しまでの期間の上限並びに決済資金の調達方法等についてのルールを定めたフォワード・コミットメント等取扱規程に基づき、当該リスクを管理しています。