イ 当該システムの提供形態はデータセンターを活用したクラウド形態(SaaS)とすること。
令和6年度和歌山県電子契約システム提供業務 仕様書(案)
1.業務目的
本県では、令和4年4月に「和歌山県庁DX推進本部」を新設したことを皮切り に、『行政のあり方を全面的にデジタルを前提としたものへと移行する』DXの取組を本格的にスタートした。
現在、本県との契約は、紙で契約書等の作成、印刷、製本を行い、県及び契約相手方の押印により実施しているため、手続きに多くの時間を要している。
そこで、本業務では、電子契約システムの導入を通じて、県及び契約相手方における契約事務の効率化を図ることを目的とする。
2.履行期間
契約日から令和7年3月31日(月)
3.システムの機能要件
(1)基本要件
ア 県及び契約相手方が合意することにより、電子化した「電子契約書」にタイムスタンプ及びシステム提供事業者自身の電子署名を付与し、県及び契約相手方が電子証明書を取得することなくクラウド上で契約締結できるシステムであること。
イ 当該システムの提供形態はデータセンターを活用したクラウド形態(SaaS)とすること。
ウ 契約相手方は、当該システムのアカウント登録をすることなく契約締結に必要な操作ができること。
エ システム提供事業者は本契約が終了し、又は解除されたときは、本県が当該システムを利用して作成し、クラウド上に保存したすべての契約書等データをシステム提供事業者と本県との間で合意した方法により、本県に引き継ぐこと。
オ 契約期間中に、外部環境や外部サービスの仕様変更があった場合でも、本県に費用負担や作業負担がなく、継続的にサービスが提供できること。
(2)電子署名とタイムスタンプ
ア 電子契約書に付与する電子署名は事業者署名型であること。
イ 電子署名の検証については、当該システムのウェブ画面及びAdobe社製の 無償でダウンロードできるPDFリーダーである「Acrobat Reader」の「署名パネル」欄等により確認できること。
ウ タイムスタンプにより、電子契約の有効性を10年間検証できること。
(3)運用機能
ア 県の管理者がシステムの設定項目の設定及び更新ができること。イ 当該システムのアカウント数に上限がないこと。
ウ アカウントごとに権限の設定ができること。
エ 当該システムへのログイン時にID及びパスワードによる認証を行うことができること。
オ メールアドレス誤入力による誤送信を防止するための仕組みが存在すること。
カ 利用者の操作ログが自動的に記録され、県の管理者が当該ログを閲覧できること。
4.システムの非機能要件
(1)基本要件
ア 当該システムを提供する施設及びシステム機器一式等は、国内に所在地を置き、必要なセキュリティ及び災害対策等の措置がとられていること。 イ 電子契約書は、セキュリティが確保されたクラウド環境で適切に保管さ
れること。
ウ データセンターと県及び契約相手方との通信はSSL/TLSにより暗号化されていること。
エ グローバルIPアドレスによるアクセス制限の設定ができること。オ ファイアウォールによる通信制御が行われていること。
カ WAFによる不正通信の遮断が行われていること。キ WEB改ざん検知が行われていること。
ク 当該システムは、保守・保全の場合を除き24時間365日利用できること。
ケ システム稼働率が99.8%以上であること。
コ サイバーテロ、ウィルス感染及び情報漏えい等のセキュリティインシデント発生時には、県に報告の上、速やかに対応を行うこと。
(2)適法性
ア 付与される電子署名は、産業競争力強化法第7条の規定に基づく「グレ ーゾーン解消制度」へ申請し、電子署名及び認証業務に関する法律(平成1 2年法律第102号。以下「電子署名法」という。)第2条第1項に定める電子署名に該当するものとして回答されていること。また、県の求めに応じてその回答書が当該システムを運営する者にあてたものであることを証明する書類を提出できること。
イ 付与される電子署名は、産業競争力強化法第7条の規定に基づく「グレ ーゾーン解消制度」へ申請し、建設業法(昭和24年法律第100号)上義務付けられている建設工事請負契約に関する書面の交付を代替するものとし
て、建設業法施行規則第13条の4第2項の技術的基準に適合するものとして回答されていること。また、県の求めに応じてその回答書が当該システム を運営する者にあてたものであることを証明する書類を提出できること。 ウ 電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保
存方法等の特例に関する法律)へ対応済みであること。
(3)認証資格
ア 公示日時点において、当該システムが、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)のサービスリストに登録されていること。
イ 公示日時点において、当該システムが稼働するデータセンターが、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)のサービスリストに登録されていること。
ウ その他、当該システムの信頼性等が確認できる認証資格を取得している場合、その資格を提示すること。
(4)導入実績
公示日時点で他自治体において過去3年以内に導入実績を有するシステムであること。
5.システムの環境要件
(1)基本要件
ア 当該システムは、自治体に導入実績のあるウェブブラウザで利用できること。
イ 当該システムは、インターネット環境で使用できること。
6.初期導入支援の要件
(1)基本要件
ア 当該システムを導入し、契約期間中の利用を可能にするとともに、県の指示に従い、契約業務を開始するための支援を実施すること。
イ 他自治体において、当該システム導入に係る総合的な支援実績があること。
ウ 支援にあたっては、資料の提供等にとどまらず、本県の課題について、的確に分析の上、効果的な解消方法を具体的に提案すること。
(2)業務フローの見直し支援
ア 当該システム導入に関する業務フローの検討・作成の支援を行うこと。 イ 自治体での電子契約導入における業務フローの検討・作成の支援実績があ
る支援経験者を担当者として配置すること。
(3)例規整備(制定・改正)支援
ア 内部運用ルール策定及び例規改正の支援を行うこと。
イ 例規に影響のある箇所について専門的に助言できる担当者(複数自治体での電子契約導入における例規整備の支援実績がある者)を配置すること。
ウ 例規集及び関連する規程等を全て点検し、電子契約システムの導入に伴い影響のある箇所を特定すること。具体的な条項と見直し例、及び見直しの注意点、ポイントを提示すること。
エ 必要に応じ、契約状況の調査の支援、利用部門向けのヒアリングを行うこと。
オ 特定した例規の箇所をまとめ、改正検討が必要なポイントについて、例規を専門的に助言できる担当者が1回以上打ち合わせにて説明を行うこと。
カ 県が導入している例規システムと同様のシステムを用いて調査・提案を行うこと。
(4)環境設定
組織情報や利用者の登録支援、利用者権限の設定支援、その他必要な項目の設定支援等、当該システムに必要な環境設定・支援を行うこと。
7.各種説明資料作成支援
県及び契約相手方向け操作マニュアルや具体的な運用手順(契約相手方情報の管理方法、契約相手方の本人確認方法等)の資料を整備すること。
8.職員向け説明会及び事業者向け説明会実施支援
(1)システム導入時に職員及び事業者向け説明会をそれぞれ開催すること。
(2)開催方法はオンライン/オフライン同時開催ができること。
(3)事業者向け説明会について、2回以上開催すること。
(4)事業者向け説明会について、過去に開催した事例を具体的に示し、参加者を増やす施策について事例を用いて提案すること。
9.提出物
委託業務に係る提出物は、以下のとおりとする。なお、本県が特に指定しない限り電子データで提出すること。
(1)業務計画表
業務計画表には、業務工程、実施体制(組織体制及び業務責任者、各業務担当者等の名簿)、作業概要を示すこととし、契約締結後、速やかに提出すること。
(2)各種マニュアル等
ア 7で作成する操作マニュアル等について、作成後速やかに提出すること。イ 8で実施する説明会を撮影した録画データについて、実施後速やかに提出
すること。
(3)議事録
会議等を開催した際は議事録を作成し、速やかに提出すること。
(4)その他委託業務の実施に当たり、本県が必要と認めるもの。
10.保守・運用対応の要件
(1)基本要件
導入した環境について、契約期間中の利用を可能にするとともに、契約業務を継続するために必要となる保守・運用対応を実施すること。
(2)障害対応
システム障害等が発生した場合は、直ちに障害情報を報告し、速やかに正常な状態に回復させること。
(3)バックアップ
ア 定期的にデータのバックアップを行うこと。
イ バックアップを行う際は、当該システムの利用に影響を与えないようにすること。
ウ 当該システムの利用が終了した後も、タイムスタンプの有効期間は、契約書をシステム事業者のクラウド上に保存すること。なお、県から要望があった場合は、当該システムに保存されている契約書等データの廃棄及びP DF形式による電子文書データの提供を行うこと。
(4)運用サポート
電話、電子メール及びチャット等により、操作等に関する問合せ等に対応するヘルプデスクを利用できること。なお、窓口の開設時間は、原則として土日祝日を除く午前9時から午後5時45分までとすること。これにより難しい場合は、開設可能な時間帯を提案すること。
11.想定スケジュール
全体スケジュールは以下のとおり予定している。詳細なスケジュールについては、落札後すぐに県担当者と協議の上作成し、県の承認を得ること。
令和6年8月~1月 | ・例規改正 ・業務フロー見直し ・マニュアル作成 ・職員及び事業者向け説明会 |
令和7年2月~3月 | 運用開始 |
12.留意事項
(1)システム提供事業者は、業務上知り得た本県固有の機密を、本契約の継続中はもとより、本契約が終了し、又は解除された後においても、第三者に漏洩してはならない。
(2)システム提供事業者は本業務委託遂行の際は、上記の指示事項その他の必要要件について十分協議を行うとともに、県の指示を受けること。また、作業内容等について疑義が生じた場合には、速やかに県と協議の上対応すること。
(3)システム提供事業者は、成果物に瑕疵が見つかった場合には、本業務委託完了後においても速やかに県の指示に基づき、関係図書等の改正を行わなければならない。なお、同改正作業に要する費用は、すべてシステム提供事業者の負担によるものとする。
(4)和歌山県が提供する資料等は、その管理に万全を期すとともに、本業務を遂行する以外の目的で使用してはならない。
(5)本契約に基づいて作成された成果物及びデータの著作権(第三者が作成した著作物の著作権は除く)は和歌山県に移転する。
(6)本業務の実施に係る一切の経費は、委託金額に含まれるものとする。