技術検証(PoC)契約書(新素材)の解説
技術検証(PoC)契約書(新素材)の解説
想定シーン
原則として JPO モデル契約書の想定シーンを踏襲するが、下記 X 社と Y 社について、
【ケース1】 X 社が日本企業、Y 社が中国企業
【ケース2】 X 社が中国企業、Y 社が日本企業
という2つの状況を想定し、中国における技術検証(PoC)を想定したものとする。
これら2つのケースが異なることによって、契約書又はその解説に違いがある場合についてはそれぞれ解説する。
1. X 社(樹脂に添加可能な放熱に関する新素材を開発した大学発スタートアップ)が、秘密保持契約を締結後、自動車部品メーカーY 社に対し、当該素材の技術情報(当該素材に関する非公開の物性値、表面処理に関する情報)に関する資料を開示等するとともに説明を行った。
2. Y 社の開発担当者としては、当該素材を用いた製品開発を進めたい意向であったが、今期の 予算が限られていること、来期の開発予算獲得のために社内の説明資料が必要であるとして、まずは技術検証(以下「PoC」という。)を行いたいと伝えてきた。
3. X 社と Y 社は、協議の結果、当該 PoC を以下のとおり進めることを合意した。
① Y 社は、X 社に対し、ヘッドライトカバーの使用環境に関するデータを開示等する。
② X 社は、外部の第三者を用いて、ヘッドライトカバーの材料であるポリカーボネート樹脂に当該素材を添加して成形することにより試験片(サンプル)を作成し、試験片の性能および耐久性に関する簡易検査(ヘッドライトカバーの使用環境を模した環境での性能および耐久性試験)を行い、当該検査結果を契約締結から 3 週間以内にレポートにまとめる。
③ Y 社は、X 社に対し、上記作業の対価として●万円を支払う。
④ Y 社は、上記検査結果受領後、2 ヶ月以内に X 社との共同研究開発に移行するかを決定する。
目次
特許と専利の違い 6
決済通貨 8
【変更オプション条項:共同研究開発契約を締結しない場合の追加委託料】 11
中国の営業秘密保護関連規定 15
本契約終了後の秘密保持期間 17
不争条項と中国の関連規定 24
◼ 前文
X 社(以下「甲」という。)と Y 社(以下「乙」という。)は、甲乙による開発対象となる製品またはサービスに対して、甲の開発した放熱特性を有する新規素材 α の導入・適用することに関する検証(以下「本検証」という。)に関して、本契約を締結する。
<JPO モデル契約書との相違点>
⚫ 追記・変更なし。
<ポイント>
⚫ 技術検証(PoC)契約は、共同研究開発段階に移行するかの前提として、スタートアップ側の保有している技術の開発可能性などを検証するための契約となる。
⚫ 前文では、本モデル契約の対象が、スタートアップの研究・開発した技術をスタートアップおよ
び事業会社の開発対象となる製品またはサービスへ技術導入・適用することを明確にしている。
<解説>
⚫ 本モデル契約を締結するに当たっては、両当事者が以下に挙げる点を十分に理解することが重要である。
① 本モデル契約が将来的な共同研究開発契約の締結を目指したものであること
② 既に秘密保持契約を締結し、相互の情報を開示等し合った上での検証段階であること
③ 検証においては、検証の目的を共有することが重要であり、未だ検証の目的が固まっていない場合は、まずその点を確定してから本モデル契約を締結すること
【コラム】技術検証(PoC)契約の意義
⚫ PoC は、スタートアップにとって、その技術や製品を他社に採用してもらう可能性を検討するための重要なステップである。
⚫ かつては、本開発への移行をちらつかされながら、次から次へと無償で PoC を依頼され、にもかかわらず本開発に移行せず、かつ、PoC にかかる一切のコスト回収ができずに資金が尽きてしまうケース(いわゆる「PoC 貧乏」)が散見された。
⚫ また、PoC の過程で得られた知見について、相手方に対して譲渡を強要されたり、無断で出願
されてしまったりなどの紛争になるケースもある。
⚫ これらのことを未然に防止するための契約が PoC 契約であり、近年、オープンイノベーションの進展に伴い注目される契約の一形式である。
◼ 1 条(目的)
第 1 条 本契約は、甲と乙が将来的に共同開発契約を締結することを視野に入れつつ、以下に定める対象技術を対象用途に対して技術導入・適用の可否を判断するため(以下、「本検証の遂行の目的」という。)に行われる技術検証における甲と乙の権利・義務関係を定める。
対象技術:甲の開発した放熱特性を有する新規素材 α
対象用途:対象技術を自動車用ヘッドライトカバーに用いた新製品の開発(甲乙の共同開発行為以外には及ばない。)
<JPO モデル契約書との相違点>
⚫ 追記・変更なし。
<ポイント>
⚫ 本検証の目的を定める条項である。
⚫ 秘密情報、データおよび素材等やスタートアップが提出するレポート(本報告書)はこの目的の範囲で利用が制限される(8 条、9 条)。
⚫ PoC において情報の提供やレポートの提出をする側としては、想定外の利用を防ぐために、この目的を限定的に定める必要がある。
<解説>
⚫ 対象技術のみで本モデル契約の目的を特定した場合、他の用途への技術転用を制限できないことから、対象用途とともに限定する必要がある。
⚫ なお、対象用途の記載について、例えば、「放熱部材の開発」とだけ記載した場合、事業会社が受領した秘密情報を、自社が独自で行う「新規素材Xを用いた放熱部材の開発」に用いるこ
とも契約上は「目的内」となるため、かかる行為を禁止することはできないこととなる。そのため、対象用途は「甲と乙の共同での開発行為に限定される」と規定するべきである。
⚫ 事業に必須のコア技術が特許等により保護されていない限り、秘密保持契約および本モデル契約が自社の技術・ノウハウを保護する数少ない手段となる。
⚫ 協業に向けた協議を開始する段階では、協業内容が明確でない場合も多いが、上記の点なども考慮し、目的をできるだけ具体的に定めることが必要である。
◼ 2 条(定義)
第 2 条 本契約において使用される次に掲げる用語は、各々次に定義する意味を有する。
1 本検証
第 1 条に定める甲の技術導入・適用に関する検証をいい、具体的な作業内容は別紙●●に定めるところとする。
2 本報告書
甲が乙に提供する、本検証に関する報告書その他の資料をいい、具体的な作業内容は別紙●●に定めるところとする。
3 知的財産権
次に掲げる全てのものおよび外国におけるこれらに相当する権利をいう。
① xxx的財産基本法 2 条 2 項に定める権利(特許権、実用新案権、意匠権、 商標権、著作権、育成者権、その他知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利が含まれる。)
② 特許を受ける権利、実用新案登録を受ける権利、意匠登録を受ける権利、商標登録出願により生じた権利および回路配置利用権の設定の登録を受ける権利
③ 営業秘密およびノウハウを利用する権利
<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
⚫ 中国企業が日本法律に対する認知度レベルを考慮し、xxx的財産基本法 2 条 2 項に定める権利の詳細を追記した。
②解説について
⚫ 特許と専利の違いの解説について追加している。
<ポイント>
⚫ 本モデル契約で使用する各用語の定義を定める条項である。
⚫ 本検証および本報告書の具体的な内容については、別紙により特定することとした。
<解説>
⚫ 「本報告書」は、本検証の成果物を意味し、具体的にはレポート等の資料を前提としている。
⚫ 本モデル契約は「技術検証(PoC)契約」となっているが、その実質は別紙に特定された本検証を行い、本報告書を作成することを業務とする業務委託契約(準委任契約)である。従って、本検証および本報告書の内容を一定程度詳細に特定しておかないと、後々トラブル(いつまで経っても検証がまだ終わっていないとして追加作業や報告が発生するなど)が生じる可能性がある。そのため、別紙において、検証の計画・スケジュールを含め、ある程度の詳細事項を特定する必要がある。
⚫ なお、上記条項案では、「知的財産権」の定義として、「営業秘密およびノウハウを利用する権利」を含めている。
⚫ PoC後に締結する共同研究開発契約において、「知的財産権」を事業会社に移転する旨の条項が入ると、スタートアップのノウハウおよび営業秘密を利用する権利も事業会社に移転するものと解釈されるおそれがある。
⚫ そこで、「知的財産」と「知的財産権」を分けて定義することで、「知的財産権」から
「営業秘密およびノウハウを利用する権利」を除外することも考えられる。
⚫ 日本語の「特許・実用新案・意匠」に対応する中国語は「発明専利・実用新型専利・外観設計専利」であり、「専利」は「特許」に対応する語ではない。契約書の日本語版・中国語版においてこの点を明確にしているか否かに注意すべきである。
特許と専利の違い
◼ 3 条(本検証)
第 3 x xは、甲に対し、本検証の実施を依頼し、xはこれを引き受ける。
2 乙は本契約書締結した後、直ちに甲にヘッドライトカバーの使用環境に関す るデータを提供する。xは、本契約締結した後 3 週間以内に、乙に本報告書を提供する。
3 本報告書提供後、乙が、甲に対し、本報告書を確認した旨を通知した時、または、乙から書面で具体的な理由を明示して異議を述べることなく 1 週間が経過した時に乙による本報告書の確認が完了したものとする。本報告書の確認が完了した時点をもって、甲による本検証にかかる義務の履行は完了するものとする。
4 乙は、甲に対し、本報告書提出後 1 週間が経過するまでの間に前項の異議を述べた場合に限り、本報告書の修正を求めることができる。
5 前項に基づき、乙が本報告書の修正を請求した場合、甲は、速やかにこれを修正して提出し、乙は、提出後の本報告書につき再度確認を行う。再確認については、本条第 3 項および第 4 項を準用する。
<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
⚫ 乙は甲にヘッドライトカバーの使用環境に関するデータを提供するとの内容を追記する。想定シーンからみれば、本検証の進め方のステップ1について、乙は甲にヘッドライトカバーの使用環境に関するデータを提供するので、関係内容を明記したほうがよい。
②解説について
⚫ 追記・変更なし。
<ポイント>
⚫ スタートアップが担当する業務が本検証であることを定めている。
⚫ 本モデル契約で想定している検証とは、一定のサンプルを用いて対象技術の導入・適用による開発可否や妥当性の評価を行うことである。
⚫ 一定の成果物を完成させる(請負型)のではなく、検証のための業務の実施を目的としたもの
(準委任)である。
<解説>
⚫ 本報告書の提供後、いつまでも本検証の追加作業を依頼されることを防ぐために報告書の完了規定(3 項)を設けることがポイントとなる。
⚫ 確認の期限は、本報告書の内容が別紙の項目を満たしているかを確認するための期間であ
る。適切な期間は本検証の内容によっても異なるが、通常は 1 週間程度が妥当と考えられる。
◼ 4 条(委託料および費用)
第 4 条 本検証の委託料は●万円(税別)とし、本契約締結時から 10 営業日以内に全額を、甲が指定する金融機関の口座に振込送金する方法により支払うものとする。振込手数料は乙の負担とする。
<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
⚫ 追記・変更なし。
②解説について
⚫ ケース1の場合、決済通貨の選択肢を追記する。
<ポイント>
⚫ 本モデル契約における業務の対価としての委託料の金額、支払時期および支払方法を定める条項である。
⚫ 委託料については、固定金額とする他に、人月単位または工数単位に基づく算定方法のみ規定し、毎月の委託料を算定する方法とすること等が考えられる。
<解説>
⚫ 委託料の支払方法としては、①一定の時期に一括して支払う方式、②着手時および本報告書提出時等に分割して支払う方式、③一定の業務時間に達するごとに当該業務時間分の対価を支払う方式等、様々な方式がある。
⚫ 本モデル契約では、スタートアップの資金繰りも考慮し①の方式を採用している。
⚫ 本契約は日中企業間の契約で、日本円で委託料を決算することを約定したが、ケース1の場合、中国企業である乙は甲に委託料を支払う際に、中国の人民元を日本円に換算する必要があるので、ケース1の場合、中国人民元で決算することを約定することも考えられる。日本円で決算する場合、当日の為替レートなどで決算することを約定することもある。
決済通貨
◼ 5 条(甲の義務)
第 5 x xは、善良なる管理者の注意をもって本検証を遂行する義務を負う。ただし、前条の委託料の支払を受けるまでは、甲は本検証に着手する義務、およびこれによる責めを負わない。
2 甲は、本検証に基づく何らかの成果の達成や特定の結果等を保証するものではない。
<JPO モデル契約書との相違点>
⚫ 追記・変更なし。
<ポイント>
⚫ 本検証を履行するに際してのスタートアップの法的義務および結果に対する非保証を定めた条項である。
⚫ 本モデル契約の法的性質は準委任契約であることから、スタートアップが善管注意義務を負うことを確認している。
⚫ 検証段階という性質に鑑み、スタートアップが完成義務を負うものではないことも明確にしている。
◼ 6 条(共同研究開発契約の締結)
第 6 条 甲および乙は、本検証から研究開発段階への移行および共同研究開発契約の締結に向けて最大限努力し、乙は、本契約第 3 条第 3 項に定める本
報告書の確認が完了した日から 2 か月以内に、甲に対して共同研究開発契約を締結するか否かを通知するものとする。
<JPO モデル契約書との相違点>
⚫ 追記・変更なし。
<ポイント>
⚫ 共同研究開発契約への移行についての規定である。
<解説>
⚫ PoCは、共同研究開発契約移行のための実証段階という性質を有していることから、当事者に共同研究開発契約締結の努力義務を課している。
⚫ PoC後に次のステップに進むかどうか未確定なままで時間が経過することを避けるため、事業会社に対し一定期間内に共同研究開発契約を締結するか否かの通知義務を課している。
⚫ 共同研究開発契約の締結を促すとともに、本モデル契約の委託料が研究開発段階に至らずP oC段階で終了する場合の対価であることをより明確化する観点から、以下のような規定とすることも考えられる。
【変更オプション条項:共同研究開発契約を締結しない場合の追加委託料】
甲および乙が、本契約第 3 条第 3 項に定める本報告書の確認が完了した日から
4 ヶ月以内に、共同研究開発契約を締結しなかった場合は、乙は、甲に対し、本
検証の追加の委託料として、本報告書確認完了から 5 ヶ月以内に●万円(税別)支払うものとする。
<JPO モデル契約書との相違点>
⚫ 追記・変更なし。
<解説>
⚫ 事業会社としては、PoC段階があくまで共同研究開発段階の前提であるため、委託料を低額に抑えるという判断になることも多い。
⚫ スタートアップとしては、共同研究開発に進めるのであれば、PoC 段階では低額な委託料に甘んじるという方針もあり得る。
⚫ そこで、これらの思惑の調整規定として、共同研究開発契約が締結されなかった場合は、PoC費用の追加分の支払義務を規定している。
⚫ 契約交渉においては、PoC段階後、必ずしも共同研究開発段階に進まないことも多いことから、本条と委託料を関連付けて交渉することが望ましい。
◼ 7 条(乙が甲に提供する資料等)
第 7 条 乙は、甲に対し、本検証に合理的に必要な資料、データ、機器、設備等の提供、開示、貸与等その他本検証に必要な協力を行うものとする。
<JPO モデル契約書との相違点>
⚫ 追記・変更なし。
<ポイント>
⚫ 本検証に際して、事業会社による資料等の提供その他の協力義務、および提供された資料等に起因する責任について取り決めた規定(追加オプションの 2 項および 3 項)である。
<解説>
⚫ 本検証において、事業会社がスタートアップに対して提供する資料等が重要な位置づけとなる場合には、以下の通り、当該資料等の開示権限の有無・適法性について事業会社の表明保証を定めたり、その内容に誤りがあったり、提供等が遅延したために、本検証の遅延や本
報告書に瑕疵等が生じた場合にスタートアップが責任を負わない旨を定めることも考えられる。
2 乙は、甲に対し、前項に定める資料、データ、機器、設備等を甲に提供等することについて、正当な権限があること、および、かかる提供等が法令に違反するものではないことを保証する。
3 乙が甲に対し提供等を行った資料およびデータの内容に誤りがあった場合、またはかかる提供等を遅延した場合、これにより生じた本検証の遅延、本報告書の瑕疵(法律上の契約不適合を含む。)等の結果について、xは責任を負わない。
<JPO モデル契約書との相違点>
⚫ 追記・変更なし。
◼ 8 条(秘密情報、データおよび素材等の取扱い)
第 8 条 甲および乙は、本検証の遂行のため、文書、口頭、電磁的記録媒体その他開示等の方法ならびに媒体を問わず、また、本契約の締結前後に関わらず、甲または乙が相手方(以下「受領者」という。)に開示等した一切の情報およびデータ、素材、機器およびその他有体物ならびに本検証によって得られた情報(本報告書に記載された情報を含む。)(別紙●●に列挙のものを含む。以下
「秘密情報等」という。)を秘密として保持し、秘密情報等の開示等した者
(以下「開示者」という。)の事前の書面による承諾を得ずに、第三者に開示等または漏えいしてはならないものとする。
2 前項の定めにかかわらず、次の各号のいずれか一つに該当する情報については、秘密情報に該当しない。
① 開示者から開示等された時点で既に公知となっていたもの
② 開示者から開示等された後で、受領者の帰責事由xxxxに公知となったもの
③ 正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を負わずに適法に開示等されたもの
④ 開示者から開示等された時点で、既に適法に保有していたもの
⑤ 開示者から開示等された情報を使用することなく独自に取得し、又は創出したもの
3 受領者は、秘密情報等について、事前に開示者から書面による承諾を得ず に、本検証の遂行の目的以外の目的で使用、複製および改変してはならず、本検証遂行の目的に合理的に必要となる範囲でのみ、使用、複製および改変できるものとする。
4 受領者は、秘密情報等について、開示者の事前の書面による同意なく、秘密情報等の組成または構造を特定するための分析を行ってはならない。
5 受領者は、秘密情報等を、本検証の遂行のために知る必要のある自己の役員および従業員(以下「役員等」という。)に限り開示等するものとし、この場合、本条に基づき受領者が負担する義務と同等の義務を、開示等を受けた当該役員等に退職後も含め課すものとする。
6 本条第 1 項および同条第 3 項ないし第 5 項の定めにかかわらず、受領者は、次の各号に定める場合、可能な限り事前に開示者に通知した上で、当該秘密情報等を開示等することができるものとする。
① 法令の定めに基づき開示等すべき場合
② 裁判所の命令、監督官公庁またはその他法令・規則の定めに基づく開示等の要求がある場合
③ 受領者が、弁護士、公認会計士、税理士、司法書士等、秘密保持義務を法律上負担する者に相談する必要がある場合
7 本条第 1 項および同条第 3 項ないし第 5 項の定めにかかわらず、甲および乙は、相手方の事前の承諾なく、以下の事実を第三者に公表することができるものとする。
甲乙間で、本検証が開始された事実
8 本検証が完了し、もしくは本契約が終了した場合または開示者の指示があった場合、受領者は、開示者の指示に従って、秘密情報等(その複製物および改変物を含む。)が記録された媒体、ならびに、未使用の素材、機器およびその他有体物を破棄もしくは開示者に返還し、また、受領者が管理する一切の電磁的記録媒体から削除するものとする。なお、開示者は受領者に対し、秘密情報等の破棄または削除について、証明する文書の提出を求めることができる。
9 受領者は、本契約に別段の定めがある場合を除き、秘密情報等により、開示者の知的財産権を譲渡、移転、利用許諾するものでないことを確認する。
10 本条は、本条の主題に関する両当事者間の合意の完全なる唯一の表明であ り、本条の主題に関する両当事者間の書面または口頭による提案、およびその他の連絡事項の全てに取って代わる。
11 本条の規定は、本契約が終了した日より 5 年間有効に存続するものとする。
<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
⚫ 追記・変更なし。
②解説について
⚫ 中国営業秘密管理の関連参照サイト情報などを追記している。
⚫ 契約終了後の本条項の存続期間に関する解説を追記している。
<ポイント>
⚫ 相手から提供を受けた秘密情報等の管理方法に関する条項である。
<解説>
秘密情報の定義
⚫ 秘密情報の定義については、当事者間でやりとりされる情報を包括的に対象とする場合と、個別に秘密である旨の特定を要求する場合があるが、簡易迅速に行うことが多いPoC段階において、秘密である旨の特定を忘れることによるリスクを避けるため、前者の規定を原則とした。
⚫ 他方で、秘密情報を「一切の情報」と包括的に定義すると、範囲が広過ぎるとして有効性が争われ、逆に保護の範囲が狭まってしまう(秘密情報とは保護に値する情報を意味すると限定解釈される。)リスクが発生する。このリスクを排除するためには、「秘密を指定」する条文を採用すればよい。
⚫ なお、「秘密を指定」する条文オプションとその背景となる秘密情報の範囲に関する考え方については、「秘密保持契約」のモデル契約書に詳細に解説しているため、そちらを参考にされた い。
【コラム】秘密情報管理の詳細については以下も参照されたい。
⮚ 秘密情報の保護ハンドブックのてびき
⯎ xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxx/xxxxxxx/xxxxxx/xxxxxxx/xxx/000000_xx tebiki.pdf
⮚ 秘密情報の保護ハンドブック
⯎ xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxx/xxxxxxx/xxxxxx/xxxxxxx/xxx/xxxxxxxx/xxxx.xxx
⮚ 知財を使った企業連携 4 つのポイント
⯎ xxxxx://xxxxxx.xx.xx/xxxxxx/xxxxx.xxx
⮚ 中国の営業秘密保護に関する法律規定は日本の法律規定と概ね同じであり、秘密情報管理の詳細は上記のサイト内容を参照すればよい。その他、中国の秘密情報管理や営業秘密保護に関する規定について、下記のサイトもご参照いただきたい。
JETRO 中国における営業秘密管理マニュアル(2020 年 3 月)
⯎ xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxx/xxxxxxx/xxxxxx/xxxxxxx/xxxxxxxxxxx.xxx
中国の営業秘密保護関連規定
技術検証が開始された事実の公表
⚫ スタートアップにとって重要な条項となるのが本条第 7 項である。スタートアップにとって、自社技術が事業会社への導入の技術検証のフェーズまで進んだとの事実は、投資家やユーザーに対する効果的な PR 材料になる場合が多く、スタートアップがかかる事実の公表を望むケースが多い。
⚫ しかし、本条 7 項のような規定が入っていない場合、秘密情報の定義の内容によっては、かか
る事実の第三者への公表が守秘義務違反を構成するか否かが曖昧なケースも存在し、スター
トアップが公表に踏み切れないケースや、事業会社に事前に許可を求め、社内決裁等の関係で発表すべきタイミングに発表できないケースも散見される。
⚫ そこで、本モデル契約においては、検証が開始された事実は公表しても問題ないと合意できたと想定し、公表を積極的に許可する規定を設けることで、かかる弊害を回避することとした。
秘密保持契約と PoC 契約内の秘密保持条項の関係
⚫ 秘密保持契約に引き続いて PoC 契約を締結する場合、秘密保持契約と PoC 契約内の秘密保持条項の関係が問題となる。
⚫ PoC 契約において秘密保持条項を設けず前者が引き続き適用されるとすることもあるが、本モデル契約においては、秘密保持契約の締結時点よりも、秘密情報の対象について具体的な情報整理が進んでいると想定し、本 PoC 契約内の秘密保持条項が、すでに締結されている秘密保持契約を上書きすることを 10 項で明記している。
⚫ この点について、すでに締結した秘密保持契約の内容を本 PoC 契約で上書きすることで齟齬が生じないか、十分に注意して規定する必要がある。
新たな秘密保持条項の必要性
⚫ PoC 段階など、相手方から提供を受けた秘密情報と並んで、検証結果などの成果物情報が存在する場合、これらの成果物情報(いわゆるフォアグラウンド情報)も秘密保持の対象とする必要がある。すでに秘密保持契約を締結している場合も多いと思われるが、秘密保持契約では秘密情報の定義上、フォアグラウンド情報が含まれるかどうかが曖昧なケースが多いため、別途 PoC 契約で秘密保持契約条項を設ける必要がある。
⚫ PoC 契約で新たに秘密保持条項を設ける場合、秘密保持契約を全て上書きする場合(上記
の条項案の例)と、秘密保持契約の条項を活かしつつ、追加で必要な条項のみ追加する場合がありうる。PoC 契約締結までの契約交渉を簡便にするという観点からは、後者の方法に依ることも考えられる。
⚫ 契約期間のみならず、契約期間終了後に、どの程度の期間秘密保持義務を負担するかについても注意が必要である。契約期間が 3 か月など短く設定されていても、残存条項により 10 年など契約終了後も長期間に亘って秘密保持義務を負うケースもある。
⚫ 残存条項の期間は厳しい交渉が行われる項目のひとつである。期間は 2~3 年とすることが多いが、ビジネスおよび開示等される情報の性質(対象となる秘密情報等が陳腐化する期間はどの程度かなど)により調整が必要である。本契約においては、残存期間を 5 年間としているが、関係情報が公知情報になるまで秘密保持義務を有すると約定することも考えられる。そのような約定は、情報開示方にとって有利である。
本契約終了後の秘密保持期間
◼ 9 条(本報告書等の知的財産権)
第 9 条 本報告書および本検証遂行に伴い生じた知的財産権は、乙または第三者が従前から保有しているものを除き、甲に帰属するものとする。
2 甲は、乙に対し、乙が本検証の遂行の目的のために必要な範囲に限って、乙自身が本報告書を使用、複製および改変することを許諾するものとし、著作者人格権を行使しないものとする。
<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
⚫ 追記・変更なし。
②解説について
⚫ 中国のスタートアップにとって、知財権保有の重要性を追記する。
<ポイント>
⚫ 本報告書であるレポート等の著作権その他の知的財産権の取扱いおよび利用条件について取り決めている。
<解説>
本報告書および本検証遂行に伴い生じた知的財産権の帰属
⚫ 本報告書であるレポートや、その他本検証の過程で生じる知的財産権の取扱いについては、スタートアップ・事業会社間で争いが生じることがあるので、契約において規定しておくことが重要である。
⚫ 本モデル契約では本検証の作業主体がスタートアップであることを前提として、知的財産権はすべてスタートアップに帰属することと規定している。
⚫ 中国では、ハイテク企業、テック・スタートアップ企業に対し、税金、奨励金などの優遇措置がある。ハイテク企業、テック・スタートアップ企業を認定する際に、企業の知財権保有状況、特に特許の保有状況を考慮する。よって、事業会社と比較して、知財権の保有はスタートアップにとってより重要である。
⚫ スタートアップに帰属する知的財産権の出願は、秘密保持契約等他の条項に抵触しない限りにおいてスタートアップが自由に行うことができるが、事業会社が従前から保有していた知的財産xx(バックグラウンドIP)との関係で紛争が起こることを回避するため、以下の【追加オプション:出願の事前通知】に記載するよう
にスタートアップの出願前に事業会社への通知義務を設定することも考えられる。
⚫ なお、本報告書の利用が第三者の知的財産権を侵害しないことの保証を求められる場合もあるが、本モデル契約では、PoC 段階では、完成させるべき成果物が定まっていないことから、第三者の知的財産権の侵害の有無を判断する前提となる事実関係が固まっておらず、侵害の有無の確認が困難であること等を踏まえ、保証条項は設けないこととした。
技術検証段階におけるスタートアップと事業会社の関係性
⚫ 事業会社としては、委託料を払っている以上、本報告書を含むすべての知的財産権は事業会社に帰属すべきと考えるかもしれない。しかしながら、PoC 契約における委託料は原則としてスタートアップの検証作業に対する対価であり、これにより発生した知的財産権の譲渡を受けるためには、別途それに見合った対価を支払う必要がある。
⚫ なお、本来避けるべきであるが、万が一、スタートアップおよび事業会社に共有帰属にせざるを得ない状況では、第三者への利用許諾を含め独立して知的財産権を行使すること(サブライセンスフリー)に事前同意する旨を定めることは不可欠である。
⚫ 事業会社は、オープンイノベーションを通じて自社の事業を加速させるという観点から、スタートアップとの間で適切な知的財産権の分配を行うというスタンスの重要性を意識した上で、PoC段階において最も重要なのは共同開発の実現に向けた報告書の内容であり、その知的財産権の帰属ではないことを認識されたい。
甲は、本条第 1 項の知的財産権のうち、特許権、実用新案権、回路配置利用
権、意匠権および商標権について出願をしようとするときは、予め乙にその概要を文書で通知するものとする。
<JPO モデル契約書との相違点>
⚫ 追記・変更なし。
<解説>
⚫ 仮に本条第 1 項の知的財産権(本報告書および本検証遂行に伴い生じた知的財産権)がスタートアップに単独に帰属するとしても、スタートアップには守秘義務があることから、事業会社の秘密情報を含めた形で特許出願をしてはならないことは自明である。
⚫ 事業会社からすると、スタートアップの出願に伴い、本検証を通じてスタートアップが得た事業会社の秘密情報が対外的に開示等されることは大きなリスクであるから、少なくとも本条のような事前の通知を要望することが多い。
本検証遂行の過程で、乙が甲に対し、本検証に関して何らかの提案や助言を行った場合、甲はそれを無償で、甲の今後の製品の改善のために利用することができるものとする。
<JPO モデル契約書との相違点>
⚫ 追記・変更なし。
<解説>
⚫ 本検証において、事業会社からスタートアップに対し提案や助言(フィードバック)が行われることも多いが、フィードバックの権利性で後にトラブルが発生しないよ
うにする観点から、これらの利用について上記のように規定することも考えられる。
◼ 10 条(損害賠償)
第 10 条 甲および乙は、本契約の履行に関し、相手方が契約上の義務に違反しまたは違反するおそれがある場合、相手方に対し、当該違反行為の差止めまたは予防および原状回復の請求とともに損害賠償を請求することができる。
2 甲が乙に対して負担する損害賠償は、故意または重大な過失に基づくものである場合を除き、本契約の委託料を限度とする。
<JPO モデル契約書との相違点>
⚫ 変更オプションを追記する。
<ポイント>
⚫ 契約の履行に関して契約違反が生じた場合の違反行為の停止等および損害賠償責任に関する条項である。
<解説>
⚫ 損害賠償責任の範囲・金額・請求期間についてどのように定めるかについては、本検証の内容やコストの負担、委託料の額等を考慮してスタートアップ・事業会社の合意により決められるケースもあるが、本条案では具体的な損害賠償額は定めず、以下のとおりその上限のみ定めた。
⚫ 本モデル契約では、スタートアップの損害賠償の範囲について、何を請求原因とするのかにかかわらず、損害賠償額の上限は委託料を限度とすることを定めている。
⚫ 但し、故意・重過失の場合には、上限規定は適用されないものとしている。損害発生の原因が故意による場合には、免責・責任制限に関する条項は無効になると解釈されるおそれがあり、故意に準ずる重過失の場合(例えば、重大な情報の漏洩等)にも同様に無効とするのが有力な考え方であることから、このような規定を設けた。
⚫ 本モデル契約は、損害立証が困難な秘密情報を取り扱うものであり、かつ、収益性が不明確な研究・開発段階の契約であることから、違反行為による損害の発生を事前に予防、あるいは損害が発生しつつある場合にはそれを最小限に留めることに越したことはない。そこで本条では、損害賠償以外にも違反行為の停止または予防および原状回復の請求が行えることとしている。具体的には、特定の行為を求める仮処分や訴訟手続きなどを行うこととなる。
第 10 条 甲および乙は、本契約の履行に関し、相手方が契約上の義務に違反 しまたは違反するおそれがある場合、相手方に対し、当該違反行為の差止めまたは予防および原状回復の請求とともに**金額の違約金を支払わなければならない。上記の違約金が、本契約の違反による相手に齎す損失を補填するに足りない場合、不足部分について、被害者側は相手方に損害賠償を追及する権利がある。
<ポイント>
⚫ 本条は、本モデル契約の履行に関しての違約責任について規定している。
<解説>
⚫ 損害賠償の責任のみを規定する場合、追及する際に、損失を齎したことを証明する必要がある。それに対し、違約金を規定すれば、相手が違約行為があることを証明できれば、違約金を追及できるので、守約方にとって有利である。
⚫ 違約金の金額について、本検証の内容やコストの負担、委託料の額等を考慮して約定できると考えるが、重大の違約行為、例えば、重要な営業秘密を漏洩して、大きな損失を齎す可能性がある。その際に、違約金では補償不足の損失部分について、損害賠償を求めることができる。
◼ 11 条(解除)
第 11 条 甲または乙は、相手方に次の各号のいずれかに該当する事由が生じた場合には、何らの催告なしに直ちに本契約の全部または一部を解除することができる。
① 本契約の条項について重大な違反を犯した場合
② 支払いの停止があった場合、または競売、破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始、特別清算開始の申立てがあった場合
③ 手形交換所の取引停止処分を受けた場合
④ 本報告書および本検証遂行に伴い生じた知的財産権の有効性を争った場合
⑤ その他前各号に準ずるような本契約を継続し難い重大な事由が発生した場合 2 甲または乙は、相手方が本契約のいずれかの条項に違反し、相当期間を定めてなした催告後も、相手方の債務不履行が是正されない場合は、本契約の全部ま
たは一部を解除することができる。
<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
⚫ 追記・変更なし。
②解説について
⚫ 不争条項に関するコメントを追記する。
<ポイント>
⚫ 契約解除に関する一般的規定である。
<解説>
⚫ 4 号においては、本報告書および本検証遂行に伴い生じた知的財産権の有効性を争った場合には、契約を解除できることとしている(いわゆる不争条項)。
不争条項と中国の関連規定
⚫ 中国「技術契約紛争事件審理の法律適用における若干問題に関する最高裁判所の解釈」第 10 条によれば、技術の譲受側が契約の目的である技術の知的財産権の有効性に対し異議を申し立てることを禁止する又は異議申立に条件を付加する条項(いわゆる不争条項)は、民法典 850 条の「技術の違法独占」に該当し、関係約定が無効であると判断されるおそれがあるが、本件契約の場合、技術移転がなく、双方がいずれも技術の譲受側ではないので、上記司法解釈の規定を適用しないと主張する余地がある。
参照:
⚫ 中国「技術契約紛争事件審理の法律適用における若干問題に関する最高裁判所の解釈」第 10 条
⚫ 下記の状況は、民法典 850 条の「技術の違法独占」に該当する。
① 契約対象技術の改良、又は改良した技術の使用を制限する条項、または双方は改良技術を交換する条件が平等ではない。一方が自ら改良した技術を無償で相手方に提供するよう要求し、お互いに有利な条件ではなく相手方に譲渡 し、改良技術の知財権を無償で独占または共有することを含む。
② 他の供給先からの技術に類似し又は競合する技術の取得を制限する条項
③ 市場ニーズに基づき合理方式で契約対象技術の実施を妨害し、契約対象技術製品の製造数、品種、または販売価格、販売ルート、輸出市場に明らかに不合理的に制限することを含む。
④ 技術の実施にとって必須でない技術、原料、製品、設備またはサービス、人員の購入を要求する条項
⑤ 原材料、部品、製品または設備を購入するルートへの不合理な制限に係る条項
⑥ 技術の譲受側が契約の目的である技術の知的財産権の有効性に対し異議を申し立てることを禁止する又は異議申立に条件を付加する条項
⚫ スタートアップとしては、以下のようないわゆるチェンジオブコントロール条項
(COC 条項)等により、M&Aが本モデル契約の解除事由として定められると、M&Aに先立つデューデリジェンスにおいてリスクとして評価されうる。
【解除事由としての COC 条項の例】
他の法人と合併、企業提携あるいは持ち株の大幅な変動により、経営権が実質的に第三者に移動したと認められた場合
⚫ かかる条項が解除事由に含まれている場合は、これらの支障を説明した上で削除を求めることも検討を要する。
⚫ 事業会社より、スタートアップが競合企業に吸収合併されて秘密情報が競合にわたってしまうことを懸念してCOC条項の導入が求められる場合も考えられる。
⚫ その場合には、当該懸念を解消するべく、解除事由となる経営権の移転先を競合会社(具体的に会社名を列挙することも考えられる。)に限定した上でCOC条項を導入することも考えられる。
◼ 12 条(期間)
第 12 条 本契約は、本契約の締結日から 6 ヶ月、または、第 3 条第 3 項に定める確認が完了する日のいずれか早い日まで効力を有するものとする。
<JPO モデル契約書との相違点>
⚫ 追記・変更なし。
<ポイント>
⚫ 契約の有効期間を定めた一般的条項である。
<解説>
⚫ 本モデル契約では、本報告書の提出期限(3 条 2 項)を基準に有効期間を定めることとしつつも、事業会社が確認をしない限り、いつまでも技術検証契約が続いてしまうことが想定されることから、最長でも 6 か月を超えないこととしている。
◼ 13 条(存続条項)
第 13 条 本契約が期間満了または解除により終了した場合であっても本契約第 5
条第 2 項(甲の義務)、第 6 条(共同研究開発契約の締結)、第 7 条(乙が甲に
提供する資料等)第 2 項および第 3 項、第 8 条(秘密情報、データおよび素材
等の取扱い)から第 10 条(損害賠償)、本条、第 14 条(準拠法管轄裁判所)
ならびに第 15 条(誠実協議義務)の定めは有効に存続する。
<JPO モデル契約書との相違点>
⚫ 追記・変更なし。
<ポイント>
⚫ 契約終了後も効力が存続すべき条項に関する一般的規定である。
◼ 14 条(準拠法および管轄裁判所)
第 14 条 本契約に関する紛争については、日本国法を準拠法とし、●地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
<変更オプション A:被告地主義>
第 14 条 本契約に関する紛争については、甲(ケース1)/乙(ケース2)が被告となる場合は、日本国法を準拠法とし、●地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。 乙(ケース1)/甲(ケース2)が被告となる場合は、中華人民共和国法を準拠法とし、●●人民法院を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
<変更オプション B:主に開発を行う場所> 第 14 条 本契約に関する紛争については、
(ケース1)中華人民共和国法を準拠法とし、●●人民法院を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
(ケース2)日本国法を準拠法とし、●地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁 判所とする。
<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
⚫ 準拠法について、執行性を考慮して被告地主義等に基づくオプションを追加している。
⚫ 仲裁条項について、仲裁地としての香港の例示及び被告地主義等に基づくオプションを追加している。
②ポイント・解説について
⚫ 準拠法、調停及び国際仲裁についての解説を追加している。
<ポイント>
⚫ 準拠法および紛争解決手続きに関して裁判管轄を定める条項である。
<解説>
⚫ クロスボーダーの取引も想定し、準拠法を定めている。
⚫ 紛争解決手段については、上記のように裁判手続きでの解決を前提に裁判管轄を定める他、各種仲裁によるとする場合がある。
⚫ 中国企業と日本企業との PoC 契約であっても、JPO モデル契約書のように、日本国法を準拠法とし、日本の裁判所を管轄裁判所として約定することは、中国の法律規定に違反せず、有効な約定である。
⚫ しかし、日本と中国の間では判決執行協力条約が存在しないため、日本裁判所による判決は中国で強制執行できない。よって、契約紛争について、日本の判決を中国で執行できない虞があることを留意すべきであり、好ましいとは言えない。
⚫ したがって、オプション1として、被告地主義の条項を追加した。
⚫ また、オプション2として、本研究について、主に Y 社(乙)の場所で進める前提であれば、契約の履行地と密接関係地は Y 社の所在地であると考える。証拠収 集、訴訟便利と判決執行の面から、Y 社の所在地裁判所を管轄地とする約定するとも考えられる。
⚫ なお、日本国法を準拠法とする場合であっても、本契約の履行などは中国の強制法律法規を違反することはできない。例えば、技術輸出入に該当するため、中国の「技術輸輸入管理条例」などの法律法規を遵守しなければならない。
第 14 条 本契約に関する知的財産権についての紛争については、日本国法を準拠法とし、まず[東京・大阪]地方裁判所における知財調停の申立てをしなければならない。
2 前項に定める知財調停が不成立となった場合、前項に定める地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
3 第 1 項に定める紛争を除く本契約に関する紛争(裁判所の知財調停手続きを含む。)については、日本国法を準拠法とし、第 1 項に定める地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
<解説>
⚫ 紛争解決手段について、どの裁判管轄ないし紛争解決手段が適切かは一概には決められず、当事者の話し合いで決定するのが望ましい。話し合いによる解決を目指す場合、東京地方裁
判所および大阪地方裁判所において創設された知財調停を利用することが考えられる。
⚫ 「知財調停」は、ビジネスの過程で生じた知的財産権をめぐる紛争を取り扱う制度であり、仲裁手続き同様、非公開・迅速などのメリットがあるだけでなく、専門的知見を有する調停委員会の助言や見解に基づく解決を行うことができ、当事者間の交渉の進展・円滑化を図ることができるというメリットがある。
⚫ 運用面では、原則として、3 回程度の期日内で調停委員会の見解を口頭で開示することにより、迅速な紛争解決の実現を目指すとされており、迅速に解決でき、コストや負担を軽減できる可 能性がある。
⚫ 知財調停を利用するためには、東京地方裁判所または大阪地方裁判所いずれかを,合意により調停事件の管轄裁判所とする必要がある。
⚫ 知財調停は、当事者双方が話合いによる解決を図る制度であるため、当事者が合意できず調停不成立となった場合は、訴訟等の手続きにより別途紛争解決が図られることとなる。
⚫ また、仲裁手続きは、裁判と比べて非公開・迅速などのメリットもあることから、スタートアップのような事案では、本条に変えて下記のような仲裁条項に変えるという選択肢もある。
⚫ 訴訟と同様に、日本の裁判所における民事調停の和解結果について中国ではxxxを持たない、つまり、民間調停による通常の和解と同様の効果しか得られないことに留意すべきである。
⚫ 中国で知財調停の申立をする場合、裁判所に提訴してから、知財調停を申し立てることができるし、裁判の全過程の何時の時点でも調停を申し立てることが可能である。裁判所のほか、直接所在地の人民調停委員会に調停を申し立てることができる。2019 年 12 月 6 日中国特許保護協会は、中国特許保護協会標準
「知識産権紛争調停管理規範」を発布した。
(xxxx://xxx.xxxx.xxx.xx/xxxx/xxxxxx-000.xxxx)当該規範は、人民調停委員会が知的財産権紛争(知的財産権関連の契約紛争、権利所属、侵害紛争及びそれに関連する競争紛争等が含まれる)の関係者が調停を申請する場合や関係当事者が調停に同意する場合に適用される。規範には、知的財産権紛争の調停に関する基本原則、受理、企画、実施、書類管理などについて定めている。
<変更オプション A:第三国・地域>
第 14 条 本契約に関する一切の紛争については、日本国法を準拠法とし、(仲裁機関名:(例)香港国際仲裁センター)に付託し、(仲裁規則:(例)香港国際仲裁センターの仲裁規則、UNCITRAL 仲裁規則など)に従って、仲裁地として(都市名:(例)中国香港特別行政区)において仲裁により終局的に解決されるものとする。手続言語は英語とする。
<変更オプション B:被告地主義>
第 14 条 本契約に関する一切の紛争については、甲(ケース1)/乙(ケース
2)が被申立人となる場合は、日本国法を準拠法とし、(仲裁機関名:日本の 仲裁機関名)に付託し、(仲裁規則:前記仲裁機関の仲裁規則、UNCITRAL 仲裁規則など)に従って、仲裁地として日本国xxxにおいて仲裁を行うものと
し、手続言語は日本語とする。乙(ケース1)/甲(ケース2)が被申立人となる場合は、中華人民共和国法を準拠法とし、(仲裁機関名:中国の仲裁機関
名)に付託し、(仲裁規則:前記仲裁機関の仲裁規則、UNCITRAL 仲裁規則な
ど)に従って、仲裁地として中華人民共和国●●市において仲裁を行うものとし、手続言語は中国語とする。いずれの場合も仲裁により終局的に解決さ
れるものとする。
<変更オプション C:主に開発を行う場所>
第 14 条 本契約に関する一切の紛争については、
(ケース1)中華人民共和国法を準拠法とし、(仲裁機関名:中国の仲裁機関) に付託し、(仲裁規則:前記仲裁機関の仲裁規則、UNCITRAL 仲裁規則など)に従って、仲裁地として中華人民共和国●●市において仲裁により終局的に解決されるものとする。手続言語は中国語とする。
(ケース2)日本国法を準拠法とし、(仲裁機関名:日本の仲裁機関)に付託 し、(仲裁規則:前記仲裁機関の仲裁規則、UNCITRAL 仲裁規則など)に従って、仲裁地として日本国xxxにおいて仲裁により終局的に解決されるものとする。手続言語は日本語とする。
<ポイント>
⚫ 紛争解決手続きとして仲裁を指定する条項である。
<解説>
⚫ 仲裁手続きは、裁判と比べて非公開・迅速などのメリットもあることから、スタートアップのような事案では、本条に変えて仲裁条項に変えるという選択肢もある。
⚫ 紛争の解決方法としては、訴訟か仲裁を選ぶことができるが、訴訟は裁判所で、仲裁は仲裁機関で審議するが、それぞれxxxx・xxxxxがある。
⚫ 訴訟:メリットとしては、一裁終局ではなく、控訴や上訴が可能であるので、不利な一審結果があれば、またチャンスがある。最終結果のxx性などを確保できる。デメリットとしては、時間と費用が掛かるが、日中間、判決の承認と執行に関する協力条約がまだないので、日本/中国裁判所の判
決は中国/日本で執行できない。
⚫ 仲裁:メリットとしては、一裁終局なので、より迅速であり、また裁判と比べて非公開である。しかも、日中間、仲裁裁決の承認と執行に関する協力条約があるので、日本/中国仲裁機構の裁決は中国/日本で執行できる。デメリットとしては、一裁終局なので不利な仲裁裁決が出ても不服申立て
ができない。
⚫ 仲裁地と仲裁機構の選択について、外国の仲裁機関による紛争解決を約定することは中国法に違反しない。日本の判決は中国で執行できないが、日中両国はニューヨーク条約(外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約)の
締約国であるため、日本など外国の仲裁裁決について、中国の裁判所に執行を申請できる。よって、執行性に鑑みれば、仲裁を約定することは、訴訟の約定よりメリットがある。
⚫ なお、日本国法を準拠法とした場合、一方当事者が中国で訴訟を提起しようとする場合、他方当事者は仲裁条項があるとの理由で管轄権異議を提出できる。その際に、中国の裁判所は仲裁条項が有効であるかどうかを審査するが、仲裁条項有効性の準拠法(契約紛争の実体準拠法ではなく仲裁合
意準拠法)に関する明確の約定がなければ、約束した仲裁地の法律に基づき判断し、仲裁地を明確に約定しない場合、裁判地の法律に基づき判断する。
⚫ よって、仲裁地を明確に約定することは重要であり、かつ、仲裁地の法律に基づき、同仲裁条項が有効であることを確保することも重要である。
(次頁に続く)
⚫ 仲裁地については、日本、中国(例えば、北京、上海)、被告地主義などの他、xx性を期待できる第三国・地域を仲裁地とすることも想定すべきである。中国内地の仲裁機構による裁決は中国で強制執行する際に、外国仲
裁機構による裁決の執行より便利である。また、アジア地域における国際仲裁の実績は香港及びシンガポールの評価が高い。
⚫ このうち香港については、仲裁判断の執行について中国で「最高人民法院关于内地与香港特别行政区相互执行仲裁裁决的安排」(2000 年)及び「最高人民法院关于内地与香港特别行政区相互执行仲裁裁决的补充安排」(2020
年)が定められ、2021 年の中国十四次五か年計画において「香港を国際紛争解決センター」とする方向性が示されており、中国との国際紛争解決において、香港の仲裁機関を選択し、香港を仲裁地とすることは一考に値す
る(下記参照)。ただし、中国内地の裁決の執行手続きと比べれば多少複雑となる。
(参照)JETRO 地域・分析レポート
「グローバルな知財紛争解決に「香港仲裁」の魅力」(2022 年 2 月 8 日)
xxxxx://xxx.xxxxx.xx.xx/xxx/xxxxxxxxxxx/0000/xx0xx0xx00x0xxx0.xxxx
⚫ なお、仲裁地(seat of arbitration)とは、仲裁判断が下されたとみなされ、かつ仲裁手続きを監督し、仲裁に関連して提起された訴訟を受理する権利などの管轄権を有する裁判所の所在する場所であり、仲裁の審理手続きなどが実際に行われる場所(venue of arbitration)や、仲裁を管理する仲裁機関(arbitral institution)とは、異なる概念であることに注意
されたい。
⚫ オプションでは、主に仲裁地について着目し、A:第三国・地域(香港等を想定)、 B:被告地主義、C: 主に開発を行う場所としたが、これ以外にも、準拠法・手続言語・仲裁機関・仲裁人の人数や国籍(本条項案では定めていない)等についても仲裁条項の交渉対象となりうる。
⚫ 例えば準拠法について、オプション A では日本国法としたが、本件が知的財産権に関連する契約であることを踏まえると、主な紛争対象となる知的財産権の発生根拠となる国・地域の法律を準拠法とすること、つまり、仲裁地を第三国・地域としつつもオプション B や C のように準拠法のみを被告地主義や主に開発を行う場所(契約履行地や証拠収集の観点)に基づいた条項とすることも一案である。
⚫ 仲裁規則については、仲裁機関の規則もしくは UNCITRAL(国連国際商取引法委員会)仲裁規則を用いることが一般的である。
◼ 15 条(協議解決)
第 15 条 本契約に定めのない事項または疑義が生じた事項については、協議の上解決する。 協議を経ても解決できない場合、何れかの当事者は前条に従い、紛 争解決を求めることができる。
<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
⚫ 協議を経ても解決できない場合に前条での紛争解決手続きに進むことを明確化している。
②ポイント・解説について
⚫ 協議と紛争解決手続きの関係について解説している。
<ポイント>
⚫ 紛争発生時の一般的な協議解決の条項である。
<解説>
⚫ 通常、本契約に定めのない事項または疑義が生じた事項がある場合、まずは当事者双方の協議で解決する。そして、協議によって解決できない場合には、準拠法を利用して、法的アクションを通じて解決することになる。よって、第 15 条と第 14 条の順番を変更することも考えられる。
◼再委託
第●x xは、乙が書面によって事前に承認した場合、本検証の一部を第三者
(以下「委託先」という。)に再委託することができるものとする。なお、乙が上記の承諾を拒否するには、合理的な理由を要するものとする。
2 前項の定めに従い委託先に本検証の遂行を委託するこの場合、甲は、本契約における自己の義務と同等の義務を、当該委託先に課すものとする。
3 甲は、委託先による業務の遂行について、乙に帰責事由がある場合を除き、自ら業務を遂行した場合と同様の責任を負うものとする。ただし、乙の指定した委託先による業務の遂行については、甲に故意または重過失がある場合を除 き、責任を負わない。
<JPO モデル契約書との相違点>
⚫ 追記・変更なし。
<ポイント>
⚫ 本検証の遂行に際しての再委託の可否および再委託が行われた場合のスタートアップの責任内容について定める条項である。
<解説>
⚫ 再委託の可否については、再委託について事業会社の事前承諾を要するパターンと再委託先の選定について原則としてスタートアップの裁量により行えるパターンが考えられる。
⚫ 技術の導入検証においては、スタートアップの技術力に着目して契約が締結されることや、事 業会社が提供する資料等の取扱いについて事業会社のコントロールを及ぼすという観点から、本モデル契約においては事業会社の同意を取得することとしている。
◼契約内容の変更
第●条 本検証の進捗状況等に応じて、検証事項が想定外に拡大した等の事情により、検証期間、委託料等の契約条件の変更が必要となった場合、甲または乙は、その旨を記載した書面をもって相手方に申し入れるものとする。当該申し出があった場合、甲および乙は、速やかに契約条件の変更の要否について協議するものとする。
2 前項の協議に基づき、本契約の内容の一部変更をする場合、甲および乙は、当該変更内容が記載された、変更契約を締結するものとする。
<JPO モデル契約書との相違点>
⚫ 追記・変更なし。
<ポイント>
⚫ 契約の内容に変更が生じた場合における、契約変更の手続について定めた規定である。
◼契約言語
本契約締結の証として、中国語と日本語でそれぞれ本書 2 通を作成し、甲、乙記名押印の上、各自それぞれ 1 通を保有する。日本語版、中国語版のいずれも xxとする。ただし、両言語版で解釈等につき相違が発生した場合は、日本語版に従う。
<解説>
⚫ 日中企業間の契約として、契約の言語、効力について約束することもある。将来紛争解決の必要性に応じても、実効性のある契約書を締結するのであれば、お互いの母国語である「日本語及び中国語で契約書を締結することが、最も適切と考える。両言語で契約を締結する場合、どちらをxxとするか、何れもxxとなる場
合、どちらを準することを明確に約定したほうがよい。参照:
日本の「民事訴訟規則」第 138 条1項
「外国語で作成された文書を提出して書証の申出をするときは、取調べを求める部分について、その文書の訳文を添付しなければならない。」
中国の「民事訴訟法の適用に関する解釈」第 527 条 1 項
「当事者が人民法院に提出する書面の資料が外国語である場合、同時に人民法院に中国語翻訳文を提出しなければならない。」
◼ 権利義務の譲渡の禁止
第●条 甲および乙は、互いに相手方の事前の書面による同意なくして、本契約上の地位を第三者に承継させ、または本契約から生じる権利義務の全部もしくは一部を第三者に譲渡し、引き受けさせもしくは担保に供してはならない。
<JPO モデル契約書との相違点>
⚫ 追記・変更なし。
<ポイント>
⚫ 契約上の地位については相手方の承諾なく譲渡できないとする一般的規定である。
年 月 日
甲乙
本検証にかかるプロセスは概ね以下のとおりとする。なお、本別紙と本モデル契約が矛盾抵触する場合、本別紙が優先する。
① 乙は甲に対して、本検証の対象となる製品(ヘッドライトカバー)に関する図面、仕様に関する情報、本検証において期待される放熱性能を含めた目標スペック、その他本検証を甲が進めるにあたり必要となる情報を提供する。
② 甲は乙から提供された情報を基に、本検証にかかる詳細計画・スケジュールを提示する。詳細計画は以下を含む。
∙ α を添加したヘッドライトカバーの材料を成形して製造される試験片の形状・寸法などの詳細
∙ 試験片に対して行われる試験項目(放熱特性の他、機械的強度や疲労特性などを含む。)
∙ その他、乙により特に要望された事項が存する場合、当該事項
③ 甲は当該計画に沿って本検証を行い、乙に対して本報告書を納品する。乙は本報告書を速やかに確認し、以下の事項を含む通知を相当な期間内に行う。
(i) 共同開発に移行するかどうかの結論
(ii) 放熱特性を含む以下の項目に関する生データを含めた乙の評価結果
(a) ・・・
(b) ・・・
(iii) 共同開発に移行しない場合はその理由
(改善すべき特性の指摘など、具体的な事柄を明記すること。)
④ 甲乙は評価結果が当初想定されたレベルの場合、原則として共同開発契約に移行することとし、そのための措置を速やかに採る。
<JPO モデル契約書との相違点>
⚫ 追記・変更なし。
<解説>
⚫ すでに、秘密保持契約段階で①、②が終了している場合は、詳細計画・スケジュールを別紙として添付することとする。