Contract
資料の信頼性確保及び制度調査の実施に関する特約条項
甲及び乙は、資料の信頼性確保及び制度調査の実施に関し、次の特約条項を定める。
(関係資料の保存)
第1条 乙は、契約物品の製造又は役務(この条において「契約物品等」という。)の実際原価を確認するために必要となる作業報告書、出勤簿及び給与支払明細書又はこれらに相当する帳票類(電子データを含む。)については、当該契約物品等に係る事業場を単位として、当該調達物品等の代金の支払が完了した日の属する年度(出納整理期間に係る支払は前年度に支払があったものとみなす。)の翌年度の4月1日から起算して1年間は保存するものとする。ただし、乙の原価計算規則等により、これらの帳票類を作成することとされていないときは、この限りではない。
2 乙は、この契約に基づく債務の全部又は一部を第三者に引き受けさせる場合及び契約物品等の全部又はその主要部分を第三者に請け負わせる場合には、当該第三者に前項の規定に準じて帳票類を保存させなければならない。
(虚偽の資料の提出等に対する違約金)
第2条 乙は、次の各号に掲げる場合は、真正な資料を提出し、又は提示して、xxを説明しなければならない。
(1) 甲が原価計算を行うに際して、資料を提出又は提示する場合
(2) 甲が行う経費率(加工費率、一般管理及び販売費率、xx率、利益率その他の原価計算方式により予定価格を算定する上で必要となる率をいう。第8条において同じ。)の算定に際して、資料を提出又は提示する場合
(3) 甲が特約条項に基づいて行う原価監査等に際して、資料を提出又は提示する場合
2 乙は、原価監査付契約(契約の履行中又は履行後に甲が行う原価監査により当該契約に係る支払代金又は乙から返納されるべき超過利益を確定することを約定する契約をいう。次項及び第8条第2項において同じ。)のうち、超過利益返納条項付契約(契約の履行後に甲が行う原価監査により当該契約に関して乙から返納されるべき超過利益を確定することを約定する契約をいう。次項及び第7項において同じ。)について、前項各号のいずれかに掲げる場合において乙が虚偽の資料を提出し、又は提示していたことを、返納すべき超過利益の確定以降において甲が※基本契約条項第 条に規定する調査により確認したときは、甲が乙に支払った金額(既に返納された超過利益があるときはこれを減じた金額)と乙が契約の履行のために実際に支出し、又は負担した費用に適正な利益を加えた金額との差額の2倍の金額を、違約金として甲に支払うものとする。
3 乙は、超過利益返納条項付契約以外の原価監査付契約について、第1項各号のいずれかに掲げる場合において乙が虚偽の資料を提出し、又は提示していたことを、契約代金の最終の支払い以降において甲が※基本契約条項第 条に規定する調査により確認したときは、甲が乙に支払った金額と乙が契約の履行のために実際に支出し、又は負担した費用に適正な利益を加えた金額との差額の2倍の金額を、違約金として甲に
支払うものとする。
4 乙は、一般確定契約(原価監査を約定しない契約をいう。)について、第1項各号に掲げる場合において乙が虚偽の資料を提出し、又は提示していたことを、契約代金の最終の支払い以降において甲が※基本契約条項第 条に規定する調査により確認したときは、甲が乙に支払った金額と乙が契約の履行のために実際に支出し、又は負担した費用に契約締結後の乙の努力により低減した費用及び適正な利益を加えた金額との差額のうち当該虚偽の資料の提出又は提示に起因して契約金額が増加したと認められる部分の2倍の金額を、違約金として甲に支払うものとする。
5 次の各号に掲げる場合における前3項の規定の適用については、これらの規定中「2倍の金額」とあるのは、当該各号に定める金額とする。
(1) 乙が、防衛省(甲を含む。以下同じ。)が実施を通知した次条に規定する制度調査を拒み、又は当該制度調査の対象、方法、期間等を制限することを求めた場合であって、当該制度調査の実施を乙が拒んだ日、当該制度調査が終了した日若しくは当該制度調査が中断した日から3年以内又は当該制度調査の期間中に不正行為が発覚したとき 4倍の金額
(2) 原価計上に関する不正行為の可能性に係る防衛省からの指摘又は照会(不特定多数の契約の相手方に対して画一的に行われるものを除く。)について、乙が代表権を有する者による文書をもってこれを認めない回答をした場合であって、当該回答のあった日から3年以内に不正行為が発覚したとき 4倍の金額
(3) 前2号に該当しない場合であって、防衛省から原価計上に関する疑義の指摘又は照会(不特定多数の契約の相手方に対して画一的に行われるものを除く。)を受けたことがない事実について、乙が自発的に不正行為を申告したとき(制度調査又は原価監査(常駐により又は常続的に行うものを除く。)の実施期間中にあっては、原価計上に関する質疑がなされる前に限る。) 1倍の金額
6 第2項から前項までの規定にかかわらず、乙が過失(重過失を除く。)により不実の資料を提出し、又は提示したときは、違約金の支払いを要さない。
7 第2項から第5項までに規定する違約金の請求権は、超過利益返納条項付契約については返納すべき超過利益の確定時、原価監査付契約及び一般確定契約については契約代金の最終の支払い時に発生するものとし、当該違約金の支払いは、損害賠償義務又は不当利得返還義務の存否及び範囲に影響を及ぼさない。
(制度調査の実施)
第3条 甲は、乙が提出し、又は提示して説明する資料の信頼性を確保するため、制度調査(乙の原価計算システムの適正性を確認するための調査であって、会計制度の信頼性、原価発生部門から原価元帳又はこれに相当する帳票類(以下「原価元帳等」という。)への集計システムの適正性、貸借対照表及び損益計算書の内訳と原価元帳等の数値の整合性その他これに類する必要事項を確認するとともに、社内不正防止及び法令遵守に関する体制を確認する調査をいう。以下同じ。)を実施する。
2 乙は、甲から制度調査の実施の申入れがあった場合には、これを受け入れなければならない。
3 乙は、甲が必要と認める場合に、甲がふさわしい者として指定した監査法人又は公認
会計士に甲による制度調査を支援させること、及び甲に代わって甲以外の防衛省の機関に制度調査を行わせることにあらかじめ同意する。
(定期調査及び臨時調査の実施)
第4条 制度調査は、年度の計画に基づき、日時、場所その他調査を行う上で必要な事項を十分な猶予をもって乙に通知して行う定期調査及び当該計画外でこれらの必要な事項を調査の開始時に通知して行う臨時調査により実施する。
2 乙は、甲から臨時調査の申入れがあった場合には、直ちに当該臨時調査の開始を許可しなければならない。
(制度調査の実施項目)
第5条 甲は、制度調査において、次の各号に掲げる事項を確認することとし、乙はこれに応じなければならない。
(1) 会計制度が適正であり、その信頼性が内部統制により確保されていること。
(2) 第7条に規定するコンプライアンス要求事項が達成され、適正に実施されていること。
(3) 原価計算の手続が整備され、適正に実施されていること。
(4) 原始伝票から原価元帳等までについての一連の原価集計が手続に従っており、実際に発生した原価が適正に集計されていること。
(5) 貸借対照表及び損益計算書の内訳書と原価元帳等の数値が整合していること
(6) その他原価計算システムの適正性を確認する上で必要となる事項
(制度調査の実施に係る保障)
第6条 甲は前条各号に掲げる事項を確認するため、次の各号に掲げる調査を行うものとし、乙は、甲に対し、甲が制度調査(次項のフロアチェックによる場合を含む。)に際して必要と認める作業現場(製造現場、設計現場及び試験・検査現場並びにこれらの現場に関する原価管理を行う現場をいう。以下この条において同じ。)、資料、情報システム等へのアクセスを認める等その円滑な実施を保障するものとする。
(1) 帳票類、社内規則類等の資料による調査(資料を複写して行う調査を含む。)
(2) 関係する情報システムに直接アクセスして行う調査
(3) 前号の情報システムに係るログ(履歴)を取得して行う調査
(4) 作業員等(調査対象となる事業所において業務に従事する委託先の所属員を含む。以下この条において同じ。)から直接に説明を聴取して行う調査
2 甲は、前項の調査の一環として、定期調査及び臨時調査の実施期間中、事前に通知又は調整することなく、フロアチェック(作業現場において、作業員等から作業内容について直接に説明を聴取するとともに、聴取内容を作業指示書、帳票類等と突合して行う確認作業をいう。次項において同じ。)を随時実施することができる。
3 乙は、フロアチェックを含む臨時調査の円滑な実施のため、甲があらかじめ指定する制度調査担当官に対し、この契約に関係する作業現場への随時の立入許可を契約履行期間中常続的に与えるものとする。
4 乙は、臨時調査において、甲の求めに応じ直ちに関係書類を提示するため、甲があらかじめ公示により指定する資料を常備しておかなければならない。
(コンプライアンス要求事項の確認)
第7条 甲は、次の各号に掲げるコンプライアンス要求事項について、乙の実施状況を確認する。
(1) 防衛省との契約に関し、一度計上した工数や直接費(原価のうち、製品の生産に関して発生することが直接に確認され、それに伴い直接に計算することが適当と認められる費用をいう。)を修正する場合には、変更の内容及び理由を明らかにした書面により上位者の承認を受ける等の適切な手続をとることとしていること。
(2) 前号の書面が少なくとも契約の履行完了後5年間以上保存され、防衛省による制度調査や原価監査に際して確認できる体制としていること。
(3) 不正行為等を察知した場合の防衛省への公益通報を含む通報窓口及び通報手続を防衛関連事業に従事する全職員に適切に周知することとしていること。
(4) 防衛関連事業に従事する全職員を対象とした原価計上等に関するコンプライアンス教育を実施することとしていること。
(5) 本社の内部統制部門により、防衛関連部門に対し、適切な周期で定期的に内部監査を実施することとしていること。
2 甲は、コンプライアンス要求事項の確認に際して、乙の本社コンプライアンス部門の協力を要請する。
3 甲は、コンプライアンス要求事項の実施について制度調査において確認できない場合には、乙の本社コンプライアンス部門に対してコンプライアンス要求事項の達成のための是正措置を求めることができる。
(適用する経費率との関係)
第8条 甲は、乙がこの特約条項に同意せず、若しくはその一部若しくは全部の適用に応じなかった場合又はこの特約条項に定める乙の債務の一部若しくは全部を履行しなかった場合は、乙に関して別に定める経費率について、原価計算システムの適正性が不十分であるリスクを考慮した算定を行い、又は必要な調整を加えることができる。
2 甲は、この特約条項を原価監査付契約に付した場合であって、原価監査に当たって乙が求めたときは、この特約条項及び原価監査付契約に係る特約条項に定める乙の債務についての不履行が確認されない限り、乙の実際の総原価(甲が原価監査によって確認した適正な原価に、乙の実際の経費率(調達物品等の予定価格の算定基準に関する訓令(昭和37年防衛庁訓令第35号)第42条に規定する非原価項目を除くなどして算定したものに限る。)を適用して算出した総原価をいう。)をもって実績として扱うものとする。
注:※印は、該当する契約条項の名称及び条項を記入して使用すること。