本手順は、秋田県立循環器・脳脊髄センター(以下「循環器・脳脊髄センター」という。)において「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成 9 年 3 月 27 日付厚生省令第 28 号、以下「医薬品 GCP 省令」という。)及びその関連通知、『新たな「治験の依頼等に係る統一書式」について』(平成 30 年 7 月 10 日医政研発 0710 第 4 号・薬生薬審
秋田県立循環器・脳脊髄センター医薬品受託研究取扱業務手順書
第 1 章 趣旨と定義
(趣旨)第 1 条
本手順は、秋田県立循環器・脳脊髄センター(以下「循環器・脳脊髄センター」という。)において「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成 9 年 3 月 27 日付厚生省令第 28 号、以下「医薬品 GCP 省令」という。)及びその関連通知、『新たな「治験の依頼等に係る統一書式」について』(平成 30 年 7 月 10 日医政研発 0710 第 4 号・薬生薬審
発 0710 第 2 号・薬生機審発 0710 第 2 号)及びその関連通知、「医療機器の臨床試験の
実施の基準に関する省令」(平成 17 年 3 月 23 日付厚生労働省令第 36 号、以下「医療機器 GCP 省令」という。)及びその関連通知、並びに「再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成 26 年 7 月 30 日厚生労働省令第 89 号、以下「再生医療等製品 GCP 省令」という。)及びその関連通知に基づいて、医薬品、医療機器、及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の臨床研究のための受託研究(以下「治験」という。)の実施に必要な手続きと運営に関する手順を定めるものである。
2 本手順は、医薬品等の製造販売承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験に対して適用する。
3 製造販売後臨床試験に対しては、医薬品 GCP 省令第 56 条、医療機器 GCP 省令第 76条、又は再生医療等製品 GCP 省令第 76 条に準じ、「治験」等とあるのを「製造販売後臨床試験」等と読み替えることにより、本手順を適用する。
第 2 章 医薬品受託研究審査委員会
(医薬品受託研究審査委員会)第 2 条
病院長は、治験を行うことの適否、その他の治験に関する調査審議を行わせるため、循環器・脳脊髄センターに医薬品受託研究審査委員会(以下「審査委員会」という。)を置く。
2 審査委員会の組織運営等については、【秋田県立循環器・脳脊髄センター医薬品受託研究審査委員会業務手順書】に従う。
第 3 章 受入の条件
(受入の条件)第 3 条
治験等の受入に際しては、次の各項に掲げる条件を付するものとする。
1) 依頼者は、治験に要する経費を、別紙-1~3 を参照して、納付する。
2) 循環器・脳脊髄センターが契約に違反することにより、適正な治験等の実施に支障を及ぼしたと認める場合を除いては、依頼者は契約を解除し、治験等を中止することができない。
3) やむを得ない事由により治験等を中止し、又はその期間を延長する場合においても、循環器・脳脊髄センターはその責を負わない。また、原則として治験等に要する経費は返還しない。
4) 治験等の実施に起因して、被験者に損害が発生し、かつ、秋田県立病院機構に賠償責任が生じたときは、その損害が循環器・脳脊髄センターの職員の故意又は重大な過失による場合を除き、その損害の賠償については、依頼者が負担するものとする。また、被験者の健康被害に対する補償・賠償の手順を確認する。
5)病院長は、治験に係る検査について精度管理等を保証する記録を必要に応じて入手し保管する。
第 4 章 病院長の業務
(治験依頼の申請)第 4 条
秋田県立循環器・脳脊髄センター病院長(以下「病院長」という。)は、治験責任医師より提出された治験分担医師・治験協力者リスト(書式 2)に基づき、治験関連の重要な業務の一部を分担させる者を了承する。病院長は、了承した治験分担医師・治験協力者リスト(書式 2)を治験責任医師及び治験依頼者に提出する。
2 病院長は、治験に関する治験責任医師と治験依頼者との文書による治験実施計画書及び症例報告書の見本の合意が成立した後、治験依頼者及び治験責任医師に治験依頼書(書式 3)とともに審査に必要な以下の資料を提出させるものとする。
1) 治験実施計画書(ただし、実施医療機関の名称及び所在地、治験責任医師となるべき者の氏名並びに実施医療機関を担当するモニター(モニターが複数である場合にはその代表者)の氏名及び電話番号等の施設に特有の情報について、治験実施計画書の分冊とされている場合、当該分冊のうち、当センターに係るもののみを提出させることとして差し支えない。)
2) 治験薬概要書及び治験使用薬(被験薬を除く。)に係る科学的知見を記載した文書、治験機器概要書及び治験使用機器(被験機器を除く。)に係る科学的知見を記載した文書、治験製品概要書及び治験使用製品(被験製品を除く。)に係る科学的知見を記載した文書(以下「治験薬概要書等」という。)又は添付文書若しくは注意事項等情報
3) 症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合にあっては不要。)
4) 説明文書・同意文書
5) 治験責任医師の履歴書(書式 1)及び治験分担医師・治験協力者リスト(書式 2)
6) 被験者の安全等に係る報告
7) 被験者への支払に関する資料(支払のある場合)
8) 被験者の健康被害の補償について説明した文書
9) 被験者の募集手順に関する資料(広告等ある場合)
10) その他審査委員会が必要と認める資料
(治験実施の了承など)第 5 条
病院長は、治験の実施について、循環器・脳脊髄センターCOI 委員会の審査を経て、治験審査依頼書(書式 4)を治験実施計画書などの審査に必要な資料とともに審査委員会に提出し、その意見を求める。
2 病院長は、審査委員会が治験の実施を承認する決定を下し、又は治験実施計画書、同意文書、説明文書並びにその他の手順について何らかの修正を条件に治験の実施を承認する決定を下し、治験審査結果通知書(書式 5)により通知してきた場合、審査委員会の決定と病院長の指示・決定が同じである場合には、治験審査結果通知書(書式 5)を用いて、治験依頼者及び治験責任医師に通知するものとする。異なる場合には治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)を作成し、治験審査結果通知書(書式 5)を添付し治験依頼者及び治験責任医師に通知するものとする。なお、何らかの修正を必要とされた文書は速やかに最新のものにすること。
3 病院長は、修正を条件に治験の実施を承認し、その点につき治験依頼者及び治験責任医師が治験実施計画書等を修正した場合には、治験依頼者が治験責任医師の合意のもと、治験実施計画書等修正報告書(書式 6)及び該当する資料を提出させるものとする。説明文書、同意文書の修正のみの場合は、治験責任医師に治験実施計画書等修正報告書(書式 6)及び該当する資料を提出させるものとする。また、病院長は治験実施計画書等修正報告書(書式 6)と該当する資料について修正事項の確認を行う。
4 病院長は、審査委員会が治験の実施を却下又は保留の決定を下し、その旨を通知してきた場合は、治験の実施を了承することはできない。病院長は、治験の実施を了承できない旨の病院長の決定を、治験審査結果通知書(書式 5)を用いて、治験依頼者及び治験責任医師に通知するものとする。なお、病院長の決定が「保留」の場合には、治験依頼者及び治験責任医師に必要な資料を提出させ、審査委員会の意見を聞く。
5 病院長は、治験依頼者から審査委員会の審査結果を確認するために審査に用いられた治験実施計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
6 病院長は、次の場合においても本手順の第 5 条第 1 項から第 4 項の手順通り取り扱う。なお、「治験の実施」を「治験の継続」と読み替えて取り扱う。
1) 治験依頼者及び治験責任医師より、治験実施計画書の変更の申し入れを治験に関する
変更申請書(書式 10)にて受けた場合
2) 治験依頼者又は治験責任医師より、審査対象となった文書が追加・更新又は改訂された旨の連絡を治験に関する変更申請書(書式 10)にて受けた場合
3) 治験責任医師より、緊急回避のために治験実施計画書から逸脱又は変更を行った旨の報告を緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書(書式 8)にて受けた場合
4) 治験依頼者より、重篤な副作用情報及び被験者の安全又は治験実施に悪影響を及ぼす可能性のある新たな情報の報告を安全性情報等に関する報告書(書式 16)にて受けた場合
5) 治験責任医師より、重篤な有害事象の発生の報告を重篤な有害事象に関する報告書
(書式 12)にて受けた場合
6) 治験責任医師より、治験実施状況に関する定期報告を治験実施状況報告書(書式 11)にて受けた場合
7) 治験責任医師より、重篤な有害事象に関する報告を重篤な有害事象に関する報告書
(書式 13)にて受けた場合(製造販売後臨床試験の場合)
8) 治験責任医師より、重篤な有害事象及び不具合に関する報告を重篤な有害事象及び不具合に関する報告書(書式 14)にて受けた場合(医療機器の治験)
9) 治験責任医師より、重篤な有害事象及び不具合に関する報告を重篤な有害事象及び不具合に関する報告書(書式 15)にて受けた場合(医療機器の製造販売後臨床試験)
10) 治験責任医師より、重篤な有害事象及び不具合に関する報告を重篤な有害事象及び不具合に関する報告書(書式 19)にて受けた場合(再生医療等製品の治験)
11) 治験責任医師より、重篤な有害事象及び不具合に関する報告を重篤な有害事象及び不具合に関する報告書(書式 20)にて受けた場合(再生医療等製品の製造販売後臨床試験)
(治験実施の契約)第 6 条
病院長は、審査委員会の意見に基づいて治験の実施を了承した後は、遅滞なく治験依頼者と受託研究(治験)契約書(院内書式 1-1)により契約を締結するものとする。また、治験依頼者が治験に係わる業務の一部を開発業務受託機関(CRO)に委託した場合は、治験依頼者がCRO に委託する業務の範囲を記載した受託研究(治験)契約書(院内書式 1-2)により契約を締結する。
(治験の中止・中断及び終了)第 7 条
病院長は、治験依頼者が治験を中止又は中断、若しくは被験薬の開発中止を決定し、そ
の旨を開発の中止等に関する報告書(書式 18)で通知してきた場合は、速やかにその旨及びその理由を治験責任医師及び審査委員会に開発の中止等に関する報告書(書式 18)を用いて通知するものとする。
2 病院長は、治験責任医師が治験を中止又は中断する旨を治験終了(中止・中断)報告書
(書式 17)で通知してきた場合は、速やかにその旨及びその理由を審査委員会及び治験依頼者に治験終了(中止・中断)報告書(書式 17)を用いて通知するものとする。
3 病院長は、治験責任医師が治験を終了する旨を治験終了(中止・中断)報告書(書式 17)で通知してきた場合は、その旨及びその結果の概要を審査委員会及び治験依頼者に治験終了(中止・中断)報告書(書式 17)を用いて通知するものとする。
(モニタリング並びに監査などへの協力)第 8 条
病院長は、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに審査委員会、国内外の規制当局による調査に協力し、それらの求めに応じて全ての治験関連記録を直接閲覧に供するものとする。
第 5 章 治験責任医師の業務
(治験責任医師等の要件)第 9 条
治験責任医師は、教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施しうることを証明する最新の履歴書(書式 1)を治験依頼者に提出するものとする。
2 治験責任医師は、治験依頼者と合意した治験実施計画書、最新の治験薬概要書等、製品情報及び治験依頼者が提供するその他の文書に記載されている治験使用薬・治験使用機器・治験使用製品(以下「治験使用薬等」という。)の適切な使用方法に十分精通していなければならない。
3 治験責任医師は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第
14 条第 3 項(医療機器治験にあっては第 23 条の 2 の 5 及び第 23 条の 2 の 9、再生医
療等製品治験にあっては第 23 条の 25、第 23 条の 29 及び第 23 条の 31)及び第 80 条の 2 に規定する基準並びに GCP を熟知し、これを遵守しなければならない。
4 治験責任医師は、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに審査委員会並びに国内外の規制当局による調査を受け入れなければならない。治験責任医師は、モニター、監査担当者、審査委員会又は国内外の規制当局の求めに応じて、原資料等のすべての治験関連記録を直接閲覧に供しなければならない。
5 治験責任医師は、合意された期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを過去の実績等により示すことができなければならない。
6 治験責任医師は、合意された期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有して
いなければならない。
7 治験責任医師は、治験を適正かつ安全に実施するため、治験の予定期間中に十分な数の治験分担医師及び治験協力者等の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できなければならない。
8 治験責任医師は、治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、分担させる業務を記載した治験分担医師・治験協力者 リスト(書式 2)を作成し、病院長に提出し、治験分担医師・治験協力者 リスト(書式 2)の了承を受けなければならない。なお、治験協力者は病院長の了承を受けた時点から業務を分担して差し支えないが、治験分担医師については審査委員会による審査が必要となる。また、治験実施体制に影響する治験分担医師の削除についても、審査委員会による審査が必要となる。
9 治験責任医師は、治験分担医師、治験協力者等に、治験実施計画書、治験使用薬等及び各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督しなければならない。
(治験責任医師の責務)
第 10 条 治験責任医師は、次に掲げる事項を行うものとする。
治験実施計画書及び症例報告書について治験依頼者と合意する前に、提供された資料・情報に基づき、当該治験実施の倫理的及び科学的妥当性について十分検討した上で治験依頼者と合意する。改訂する場合も同様とする。
2 治験依頼者より提供された説明文書・同意文書案及び治験実施計画書等に基づいて、被験者に対する説明文書及び同意文書を作成して審査委員会による審議を受け、その承認を得なければならない。また、必要に応じてこれを改訂し、審査委員会で承認を得なければならない。
3 治験実施前及び治験期間を通じて、審査委員会の審査の対象となる文書のうち、治験責任医師が提出すべき文書を最新のものにすること。当該文書が追加、更新又は改訂された場合は、その全てを速やかに病院長に提出すること。
4 審査委員会が治験の実施又は継続を承認し、又は何らかの修正を条件に治験の実施又は継続を承認し、これに基づく病院長の指示・決定が治験審査結果通知書(書式 5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)で通知された後に、その指示・決定に従って治験を開始又は継続すること。又は、審査委員会が実施中の治験に関して承認した事項を取消し(治験の中止又は中断を含む)、これに基づく病院長の指示・決定が治験審査結果通知書(書式 5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)で通知された場合には、その指示・決定に従うこと。
5 治験責任医師は、審査委員会が当該治験の実施を承認し、これに基づく病院長の指示・決定が治験審査結果通知書(書式 5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)で通知され、契約が締結されるまで被験者を治験に参加させてはならない。
6 本手順 14 条で規定する場合を除いて、審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して治験を実施すること。
7 治験使用薬等を承認された治験実施計画書を遵守した方法のみで使用すること。
8 治験使用薬等の正しい使用法を各被験者に説明又は指示し、当該治験使用薬等を適正に使用しているかどうかを確認すること。
9 実施中の治験において、少なくとも年 1 回、病院長に治験実施状況報告書(書式 11)を提出すること。
10 治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更について、病院長に速やかに治験に関する変更申請書(書式 10)を提出するとともに、変更の可否について病院長の指示・決定を治験審査結果通知書(書式 5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)にて受けること。
11 治験実施中に重篤な有害事象が発生した場合は、重篤で予測できない副作用を特定し た上で速やかに病院長及び治験依頼者に文書(重篤な有害事象に関する報告書(書式 12)、重篤な有害事象及び不具合に関する報告書(書式 14 又は書式 19)、製造販売後臨床試験 にあっては重篤な有害事象に関する報告書(書式 13)、重篤な有害事象及び不具合に関 する報告書(書式 15 又は書式 20)で報告するとともに、治験の継続の可否について病 院長の指示・決定を治験審査結果通知書(書式 5)又は治験に関する指示・決定通知書
(参考書式 1)にて受けること。
12 治験実施計画書の規定に従って正確な症例報告書を作成し、これに氏名を記載し、治験依頼者に提出すること。また治験分担医師が作成した症例報告書については、それらが治験依頼者に提出される前にその内容を点検し問題がないことを確認した上でこれに氏名を記載するものとする。症例報告書中のデータが原資料と何らかの矛盾がある場合には、治験責任医師はその理由を説明する記録を作成し、治験依頼者に提出する。
13 治験終了後、速やかに病院長に治験終了(中止・中断)報告書(書式 17)を提出すること。なお、治験が中止又は中断された場合においても同様の手続きを行うこと。
14 治験が何らかの理由で中止又は中断された場合には、被験者に速やかにその旨を通知し、被験者に対する適切な治療、事後処理、その他必要な措置を講じること。
(被験者の選定)第 11 条
治験責任医師等は、次に掲げるところにより、被験者となるべき者の選定をしなければならない。
1) 治験実施計画書の被験者の選択・除外基準の設定及び治験を実施する際の個々の被験者の選定に当たっては、人権保護の観点から及び治験の目的に応じ、健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、治験責任医師等との依存関係、他の治験への参加の有無等を考慮し、治験に参加を求めることの適否を慎重に検討すること。
2) 同意能力を欠く者にあっては、当該治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としないこと。
3) 治験に参加しないことにより不当な不利益を受けるおそれがある者を選定する場合にあっては、当該者の同意が自発的に行われるよう十分な配慮を行うこと。
(被験者への説明及び同意の取得)第 12 条
治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、被験者に対して説明文書を用いて十分に説明し、治験への参加について自由意思による同意を文書により得るものとする。
2 同意文書には、説明を行った治験責任医師又は治験分担医師並びに被験者が署名し、各自日付を記入するものとする。なお、治験協力者が補足的な説明を行った場合には、当該治験協力者も署名し、日付を記入するものとする。
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、前項の規定に従って署名と日付が記入された同意文書の写を被験者に渡さなければならない。また、被験者が治験に参加している間に、説明文書が改訂された場合は、その都度新たに本条第 1 項及び第 2 項に従って同意を取得し、署名と日付を記入した同意文書の写及び説明文書を被験者に渡さなければならない。
4 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は、治験への参加又は治験への参加の継続に関し、被験者に強制したり又は不当な影響を及ぼしたりしてはならない。
5 説明文書及び説明に関して口頭で提供される情報には、被験者に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句、又は治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、循環器・脳脊髄センター若しくは治験依頼者の法的責任を免除するかそれを疑わせる語句が含まれていてはならない。
6 口頭及び文書による説明には、被験者が理解可能で、可能な限り非専門的な言葉が用いられていなければならない。
7 治験責任医師又は治験分担医師は、同意を得る前に、被験者が質問をする機会と、治験に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与えなければならない。その際、当該治験責任医師、治験分担医師又は補足的説明者としての治験協力者は、すべての質問に対して被験者が満足するよう答えなければならない。
8 被験者の同意に関連し得る新たな重要な情報が得られた場合には、治験責任医師は、速やかに当該情報に基づき説明文書を改訂し、予め審査委員会の承認を得なければならない。また、治験責任医師又は治験分担医師は、すでに治験に参加している被験者に対しても当該情報を速やかに伝え、治験に継続して参加するか否かについて、被験者の意思を確認するとともに、説明文書を用いて改めて説明し、治験への参加の継続について被験者から自由意思による同意を文書で得なければならない。
9 治験に継続して参加するか否かについての被験者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には、治験責任医師又は治験分担医師は、当該情報を速やかに被験者に伝え、治験に継続して参加するか否かについて被験者の意思を確認しなければならない。この場合、当該情報が被験者に伝えられたことを文書に記録しなければならない。
10 被験者の同意取得が困難な場合、非治療的治験を実施する場合、緊急状況下における救命的治験の場合及び被験者が同意文書等を読めない場合については、医薬品 GCP 省令第 50 条第 2 項及び第 3 項、第 52 条第 3 項及び第 4 項並びに第 55 条(医療機器治験にあっては医療機器 GCP 省令第 70 条第 2 項及び第 3 項、第 72 条第 3 項及び第 4 項並びに第 75 条、再生医療等製品治験にあっては再生医療等製品 GCP 省令第 70 条第 2 項及び第 3 項、第 72 条第 3 項及び第 4 項並びに第 75 条)を遵守する。
(被験者に対する医療)第 13 条
治験責任医師は、治験に関する医療上のすべての判断に責任を負うものとする。
2 病院長及び治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関した臨床上問題となるすべての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証するものとする。また、治験責任医師又は治験分担医師は、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝えなければならない。
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせなければならない。
4 被験者が治験の途中で参加を取りやめようとする場合、又は取りやめた場合には、被験者はその理由を明らかにする必要はないが、治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の権利を十分に尊重した上で、その理由を確認するための適切な努力を払わなければならない。
(治験実施計画書からの逸脱等)第 14 条
治験責任医師又は治験分担医師は、治験依頼者との事前の文書による合意及び審査委員会の承認文書及び病院長の指示・決定通知を得ることなく、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし、被験者の緊急の危険を回避するためのものであるなど医療上やむを得ないものである場合又は治験の事務的事項(例えば、治験依頼者の組織・体制変更、実施医療機関の名称・診療科名の変更、実施医療機関及び治験依頼者の所在地又は電話番号の変更、モニターの変更)のみに関する変更である場合には、この限りではない。
2 治験責任医師又は治験分担医師は、承認された治験実施計画書から逸脱した行為をすべて記録しなければならない。
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ない事情のために、治験依頼者との事前の文書による合意及び審査委員会の事前の承認なしに治験実施計画書からの逸脱又は変更を行うことができる。その際には、治験責任医師は、緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書(書式 8)により逸脱又は変更の内容及び理由、並びに治験実施計画書の改訂が適切な場合には、その案を可能な限り早急に治験依頼者、病院長及び病院長を経由して審査委員会に提出してその承認を得るとともに、病院長の了承及び病院長を経由して治験依頼者からの緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書
(書式 9)を入手する。また、治験責任医師は、緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書(書式 9)を保存するものとする。
第 6 章 治験使用薬等の管理
(治験使用薬等の管理)第 15 条
治験使用薬管理は別途定める【治験薬管理者の業務及び治験使用薬管理手順書】に従う。
2 治験使用機器及び治験使用製品の管理については試験ごとに手順を定める。
第 7 章 治験事務局
(治験事務局の設置及び業務)第 16 条
治験事務局は研究所研究推進センター臨床研究・治験管理室及び事務部医事課職員のうちから病院長が指名した職員で構成する。
2 治験事務局に治験事務局長を置き、研究所研究推進センター臨床研究・治験管理室長をもって充てる。
3 治験事務局は審査委員会事務局を兼ねるものとし、治験等の実施に関する事務及び審査委員会に係る事務を行うものとする。審査委員会に係る事務については、別途定める【秋田県立循環器・脳脊髄センター医薬品受託研究審査委員会業務手順書】に従う。
第 8 章 記録の保存
(記録の保存責任者)第 17 条
病院長は、循環器・脳脊髄センターにおいて保存すべき記録(文書を含む)の保存責任者を指名するものとする。
2 文書・記録ごとに定める保存責任者は次のとおりとする。
1) 手順書、議事録等の委員会に関わる書類:治験事務局長
2) 治験実施計画書、治験薬概要書等、履歴書他の申請時資料、進行中、終了時の取り交
わし書類等:治験事務局長
3) 契約書、覚書等の原本:医事課担当者
4) 治験使用薬等の管理に関する記録:治験事務局長
(記録の保存期間)第 18 条
病院長は、循環器・脳脊髄センターにおいて保存すべき文書又は記録を、1) 又は 2) の日のうちいずれか遅い日までの期間保存するものとする。ただし、治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について治験依頼者と協議するものとする。また、製造販売後臨床試験における記録の保存については、被験薬・被験機器・被験製品の再審査又は再評価が終了する日までの期間保存とする。
1) 当該被験薬に係る製造販売承認日(開発の中止又は臨床試験の試験成績が承認申請書に添付されない旨の通知を受けた場合には、その通知を受けた日から 3 年が経過した日)
2) 治験の中止又は終了後 3 年が経過した日
2 病院長は、治験依頼者より前項にいう承認取得あるいは開発の中止等に関する報告書
(書式 18)を受けるものとする。
3 病院長又は治験の記録の保存責任者は、これらの記録がこの保存義務期間中に紛失又は廃棄されることがないように、また求めに応じて提示できるように必要な措置を講じるものとする。
第 9 章
(直接閲覧を伴うモニタリング、監査)第 19 条
治験事務局は、治験依頼者の直接閲覧を伴うモニタリング、監査について病院長に代わり受け入れに合意するものとする。
1) 事前に日時、内容、立会人等について担当 CRC と協議すること。
2) 訪問したモニター又は監査担当者が治験依頼者によって指名された者であることを確認する。
3) 直接閲覧を伴うモニタリング又は監査の場合、直接閲覧の対象となった原資料等が適切に準備され、直接閲覧終了後は当該原資料等が適切に返却されていることを確認する。
4) モニタリング又は監査終了後、問題事項等が示され、改善措置の要請がされた場合には治験責任医師、治験事務局等は関連者と協議し、対応を決定する。必要に応じ、治験事務局は病院長に報告する。
5) モニターから 4) に対する対応を確認したい旨の要請があった場合、これに応じる。
第 10 章 業務の委託
(業務の委託)第 20 条
循環器・脳脊髄センターは依頼者の同意を得て、治験に係る業務(医学的判断を伴う部分を除く。以下同じ。)の全部又は一部について、治験施設支援機関(以下「SMO」という。)であってあらかじめ病院長の指定するもの(以下「指定 SMO」という。)に委託することができる。
なお、新たなSMO に委託する場合は別紙-4 に従う。
附 則
1 この規程は、昭和 50 年 5 月 1 日から施行する。
2 平成 2 年 7 月一部改正。
3 平成 2 年 10 月一部改正。
4 平成 4 年 11 月一部改正。
5 平成 8 年 1 月(平成 8 年 1 月 24 日、厚生省 GCP 査察指導)一部改正。
6 平成 9 年 4 月新 GCP に伴い一部改正。
7 平成 12 年 4 月職制改編により一部改正。
この改正は、審査委員会における決定(平成 12 年 11 月 30 日)を経て、所長の決裁を
得た日(平成 12 年 12 月 4 日)から施行する。
8 平成 16 年 3 月一部改正(GCP 実地調査指導による)。
この改正は、審査委員会における決定(平成 16 年 3 月 29 日)を経て、所長の決裁を得
た日(平成 16 年 4 月 1 日)から施行する。
9 平成 19 年 2 月一部改正
課長通知「薬食審査発第 0921001 号(平成 18 年 9 月 21 日)」等による。
この改正は、審査委員会における決定(平成 19 年 2 月 2 日)を経て、平成 19 年 4 月 1
日から施行する。
10 平成 21 年 4 月一部改正
地方独立行政法人化に伴う職名の変更に依る。
11 平成 23 年 12 月一部改正(省令運用改訂、誤記訂正ほか)この改正は、平成 24 年 1 月 1 日から施行する。
12 この規程は、平成 24 年 11 月 1 日から施行する。
13 課長通知(「薬食審査発 1228 第 7 号(平成 24 年 12 月 28 日)」、「薬食審査発 0404 第
4 号(平成 25 年 4 月 4 日)」による。この改正は平成 25 年 10 月 15 日から施行する。
14 平成 26 年 11 月一部改正
地方独立行政法人秋田県立病院機構COI委員会設置、治験の依頼等に係る統一書式の一部改正に依る。
15 平成 28 年 5 月 30 日一部改正治験事務局の組織変更等による。
16 平成 29 年 5 月 29 日一部改正(再生医療等製品治験に関する規定整備)
17 平成 30 年 9 月 21 日一部改正(治験の依頼等に係る統一書式の一部改正への対応) ただし、改正日までに開催された審査委員会に係る通知・決定文書に用いる書式につい
ては、なお従前の例による。
18 平成 31 年 3 月 1 日一部改正(病院名及び職名の変更等)
19 令和 2 年 11 月一部改正(「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部改正(令和 2 年厚生労働省令第 155 号:令和 2 年 8 月 31 日)」及び「厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知(薬生薬審発 0831 第 15 号:令和 2 年 8 月 31 日)」による。)
この改正は、病院長の決裁(令和 2 年 11 月 19 日)を得て、令和 2 年 12 月 1 日から施行する。
20 令和 4 年 2 月一部改正(GCP 改正に伴い「記名押印」の記載削除等)