(チ) LTVの上昇に伴うリスク
3【投資リスク】
(1)リスク要因
以下には、本投資証券又は本投資法人が発行する投資法人債(以下「本投資法人債券」といいます。)への投資に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。ただし、以下は本投資証券又は本投資法人債券への投資に関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。
本投資法人は、対応可能な限りにおいてこれらのリスクの発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、回避及び対応が結果的に十分である保証はありません。以下に記載するリスクが現実化した場合、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格は下落し、発行価格に比べ低くなることもあると予想され、その結果、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。また、本投資法人の純資産額の減少、その他財務状況の悪化による分配金の減少が生じる可能性があります。
各投資家又は投資法人債権者は、自らの責任において、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で、本投資証券又は本投資法人債券に関する投資判断を行う必要があります。
なお、本書に記載の事項には、将来に関する事項が含まれますが、別段の記載のない限り、これらの事項は本書の日付現在における本投資法人及び本資産運用会社の判断によるものです。
本項に記載されているリスク項目は、以下のとおりです。
① 本投資証券又は本投資法人債券の商品性に関するリスク
(イ) 本投資証券又は本投資法人債券の市場価格の変動に関するリスク
(ロ) 本投資証券の市場での取引に関するリスク
(ハ) 金銭の分配に関するリスク
(ニ) 収入及び支出の変動に関するリスク
(ホ) 投資主の権利が必ずしも株主の権利と同一ではないことによるリスク
(ヘ) 新投資口の発行時の1口当たりの価値の希薄化に関するリスク
(ト) 投資法人債券の償還・利払に関するリスク
② 本投資法人の運用方針に関するリスク
(イ) 投資対象が物流不動産に特化していることによるリスク
(ロ) 少数のテナントに依存していることによるリスク
(ハ) シングル・テナント物件等に関するリスク
(ニ) 特定の物件への依存度が高いことに係るリスク
(ホ) 住友商事グループからの物件取得が想定どおり行えないリスク
(ヘ) 不動産を取得又は処分できないリスク
(ト) 新投資口の発行、借入れ及び投資法人債の発行による資金調達に関するリスク
(チ) LTVの上昇に伴うリスク
③ 本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク
(イ) 住友商事グループへの依存、利益相反に関するリスク
(ロ) 本投資法人の関係者への依存、利益相反に関するリスク
(ハ) 本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材への依存リスク
(ニ) 本投資法人の歴史が浅いことによるリスク
(ホ) 本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
(ヘ) 本投資法人の倒産又は登録抹消のリスク
(ト) 敷金及び保証金に関するリスク
④ 不動産及び信託の受益権に関する法的リスク
(イ) 不動産の欠陥・瑕疵に関するリスク
(ロ) 賃貸借契約に関するリスク
(ハ) 災害等による不動産の毀損、滅失及び劣化並びに周辺環境の悪化に伴うリスク
(ニ) 不動産に係る所有者責任、修繕・維持費用等に関するリスク
(ホ) 不動産の地域的な偏在に関するリスク
(ヘ) 不動産に係る行政法規・条例等に関するリスク
(ト) 法令の制定・変更に関するリスク
(チ) 売主の倒産等の影響を受けるリスク
(リ) マスターリース会社に関するリスク
(ヌ) 転貸に関するリスク
(ル) テナント等による不動産の利用状況に関するリスク
(ヲ) 共有物件に関するリスク
(ワ) 区分所有建物に関するリスク
(カ) 借地物件に関するリスク
(ヨ) 借家物件に関するリスク
(タ) 底地物件に関するリスク
(レ) 開発物件等に関するリスク
(ソ) 有害物質に関するリスク
(ツ) 水質汚濁防止法上の特定施設に関するリスク
(ネ) 埋立地に関するリスク
(ナ) 不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク
(ラ) フォワード・コミットメント等に係るリスク
⑤ 税制に関するリスク
(イ) 導管性要件に関するリスク
(ロ) 税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
(ハ) 不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
(ニ) 一般的な税制の変更に関するリスク
⑥ その他
(イ) 専門家報告書等に関するリスク
(ロ) マーケットレポートへの依存に関するリスク
(ハ) 減損会計の適用に関するリスク
(ニ) 一時差異等調整引当額の戻入れにより利益の分配が減少するリスク
① 本投資証券又は本投資法人債券の商品性に関するリスク
(イ) 本投資証券又は本投資法人債券の市場価格の変動に関するリスク
本投資法人は、投資主からの請求による投資口の払戻しを行わないクローズド・エンド型であるため、投資主が本投資証券を換価する手段は、原則として第三者に対する売却に限定されます。
本投資証券の市場価格又は本投資法人債券の取引価格は、本投資証券が上場している東京証券取引所における投資家の需給により影響を受けるほか、金利情勢、経済情勢、不動産市況その他市場を取り巻く様々な要因の影響を受けて変動します。例えば、2019年末に確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を含む感染症の蔓延等により、日本を含む世界経済に深刻な影響が生じ、本投資証券の市場価格又は本投資法人債券の取引価格にも悪影響が生じる可能性があります。本投資法人は、本投資法人の保有資産である物流不動産及びインダストリアル不動産については、長期での賃貸借契約を基本としていることから、感染症等の発生に伴う経済活動の停滞が直ちにその収益に悪影響を及ぼすとは考えにくいと考えています。しかし、経済活動の停滞の長期化や更なる感染拡大が生じた場合には、物流不動産やインダストリアル不動産及びそのテナントを取り巻く環境についても重大な影響が生じないとの保証はありません。
そのため、本投資証券又は本投資法人債券を取得した価格で売却できない可能性があり、その結果、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。
(ロ) 本投資証券の市場での取引に関するリスク
本投資証券は、東京証券取引所に上場していますが、一定期間金銭の分配を行わないこと、本投資法人の資産総額の減少、投資口の売買高の減少その他の東京証券取引所の定める有価証券上場規程に規定する上場不動産投資信託証券の上場廃止基準に抵触する場合には上場が廃止されます。本投資証券の上場が廃止される場合、投資主は、保有する本投資証券を相対で譲渡するほかに換金の手段がないため、本投資法人の純資産額に比して相当に廉価で譲渡せざるを得ない場合や本投資証券の譲渡自体が事実上不可能となる場合があり、その結果、損失を被る可能性があります。
(ハ) 金銭の分配に関するリスク
本投資法人は前記「2 投資方針 (3) 分配方針」に記載の分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、分配の有無及びその金額は、いかなる場合においても保証されるものではありません。本投資法人が取得する不動産等及び不動産等を裏付けとする資産の当該裏付け不動産等(以下、本
「(1) リスク要因」において「不動産」と総称します。)の賃貸状況、売却に伴う損益等により、期間損益が大きく変動し、投資主への分配金が増減し、又は一切分配されないことがあります。
また、本投資法人は、前記「2 投資方針 (3) 分配方針 ② 利益を超えた金銭の分配(出資の払戻し)」で記載しているとおり、原則として毎期継続的に利益の金額を超える金銭の分配を行う方針としてい
ますが、経済環境、不動産市況及び本投資法人の財務状況等によっては、利益を超えた金銭の分配の額が減少したり、行われない場合もあります。更に、利益を超えた金銭の分配は、実質的には出資の払戻しに相当しますので、利益を超えた金銭の分配が実施された場合、本投資法人の純資産は減少することになります。また、これにより手元資金が減少することとなるため、突発的な事象等により本投資法人の想定を超えて資本的支出等を行う必要が生じた場合に手元資金の不足が生じる可能性や、機動的な物件取得にあたり資金面での制約となる可能性があります。
(ニ) 収入及び支出の変動に関するリスク
本投資法人の収入は、不動産の賃料収入に主として依存しています。不動産に係る賃料収入は、不動産の稼働率の低下等により、大きく減少する可能性があるほか、賃借人との協議や賃借人からの請求等により賃料が減額されたり、契約どおりの増額改定を行えない可能性もあります(なお、これら不動産に係る賃料収入に関するリスクについては、後記「④ 不動産及び信託の受益権に関する法的リスク (ロ) 賃貸借契約に関するリスク」をご参照ください。)。また、当該不動産に関して締結される賃貸借契約に基づく賃料が、一般的な賃料水準に比して適正な水準にあるとは限りません。
一方、収入の減少だけでなく、退去するテナントへの預り敷金及び保証金の返還、多額の資本的支出、不動産の取得等に要する費用、その他不動産に関する支出が状況により増大し、キャッシュ・フローを減ずる要因となる可能性があります。
このように、不動産からの収入が減少する可能性があるとともに、不動産に関する支出は増大する可能性があり、これら双方又はいずれか一方の事由が生じた場合、投資主への分配金額が減少したり、本投資証券の市場価格が下落することがあります。
(ホ) 投資主の権利が必ずしも株主の権利と同一ではないことによるリスク
本投資法人の投資主は、投資主総会を通じて、一定の重要事項につき本投資法人の意思決定に参画できるほか、本投資法人に対して一定の権利を行使することができますが、かかる権利は株式会社における株主の権利とは必ずしも同一ではありません。例えば、金銭の分配に係る計算書を含む本投資法人の計算書類等は、役員会の承認のみで確定し(投信法第131条第2項)、投資主総会の承認を得る必要はないことから、投資主総会は、必ずしも決算期ごとに招集されるわけではありません。また、規約に定める一定の場合を除き、投資主が投資主総会に出席せず、かつ、議決権を行使しないときは、当該投資主は、その投資主総会に提出された議案(複数の議案が提出された場合において、これらのうちに相反する趣旨の議案があるときは、当該議案のいずれをも除きます。)について賛成するものとみなされます(投信法第93条第1項、規約第14条第1項)。更に、本投資法人は、資産の運用に係る業務その他の業務を本資産運用会社その他の第三者に委託しています。これらの要因により、投資主による資産の運用に係る業務その他の業務に対する統制が効果的に行えない可能性もあります。
(ヘ) 新投資口の発行時の1口当たりの価値の希薄化に関するリスク
本投資法人は、新投資口を随時発行する予定ですが、かかる発行により既存の投資主の保有する投資口の持分割合が減少します。また、本投資法人の営業期間中に発行された投資口に対して、当該営業期間の期初から存在する投資口と同額の金銭の分配が行われるため、既存の投資主は、当該新投資口の発行がなかった場合に比して、1口当たりの受取分配金額が減少する可能性があります。
更に、当該新投資口の発行の結果、本投資法人の投資口1口当たりの価値や市場における需給バランスが影響を受け本投資証券の市場価格が下落する可能性があります。
(ト) 投資法人債券の償還・利払に関するリスク
本投資法人の信用状況の悪化その他の事由により、本投資法人債券について元本や利子の支払が滞り、あるいは支払不能が生じるリスクがあります。
② 本投資法人の運用方針に関するリスク
(イ) 投資対象が物流不動産に特化していることによるリスク
本投資法人は、不動産の中でも、物流不動産を主たる投資対象としていますが、本投資法人はこれに伴う特有のリスクを抱えています。
まず、物流不動産に対する需要は、日本経済全体の動向、特に流通量の動向に影響を与える様々な事象による影響を受けています。これには、今後の日本の景気動向、生産活動の海外移転等の進捗状況、人口の推移、生産活動と消費活動を結ぶ流通形態の変化などが含まれます。また、本投資法人が投資対象としている物流不動産には海外への輸出拠点又は海外からの輸入拠点として使用される物件も含まれることから、テナ
ント需要は、為替等の経済情勢にも左右される可能性があります。これらの推移によっては、本投資法人が投資対象とする物流不動産に対する需要が全般的に減少し、その結果、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
物流不動産全体に対する需要が減少しない場合でも、今後の生産拠点や物流形態の変化等により、特定の物流不動産に対する需要が低下し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、生産拠点の移転、新たな道路網の整備等により、既存の物流拠点がその立地上の優位性を失い、当該物流不動産のテナント需要が低下する可能性があります。また、現状の船舶、鉄道、航空機、自動車による物流輸送の役割が、技術革新や、インフラの利便性の変化、環境関連法規の制定による規制等により大きく変化した場合、それぞれを主要な輸送手段とする物流不動産の役割が衰退することとなり、当該物流不動産のテナント需要が低下する可能性もあります。
更に、特定の物流不動産の周辺の市街地化により、共同住宅・戸建住宅や学校・病院等の公益施設の建設が近隣で行われ、周辺環境が変動し、テナントの操業に支障が発生することがあります。その結果、テナント需要が後退し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性なども考えられます。また、既存テナントが退去した場合、物流不動産は他の用途の不動産と比較して、代替テナントとなりうる者が限定されるため、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化する可能性があります。
また、本投資法人の保有する物流不動産のテナントが、港湾労働法(昭和63年法律第40号。その後の改正を含みます。)に定める港湾運送の業務に従事すること等により、同法の適用を受ける場合、当該テナントには、同法を遵守するための費用負担等が生じ、その結果、テナントの収益を悪化させる可能性及び同法の適用のない他の物流不動産に比べて競合上不利になる可能性があり、これらを通じて本投資法人の収益性に悪影響が及ぶ可能性があります。
上記のほかにも、本投資法人が物流不動産を投資対象としていることから、その建物の特性、適用規制、テナント特性等に起因して、特有のリスクが生じ、これらが本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ロ) 少数のテナントに依存していることによるリスク
本投資法人の保有資産の一部は、一部の少数のテナントへ賃貸されており、本投資法人の収入は、かかるテナントに大きく依存しています。これらのテナントの営業状況、財務状況が悪化し、賃料支払が遅延したり、物件から退去した場合には、本投資法人の収益等に大きな悪影響が生じる可能性があります。
(ハ) シングル・テナント物件等に関するリスク
本投資法人の保有資産には、単一のテナントへ物件全体を賃貸するいわゆるシングル・テナント物件も含まれており、ほとんどの物件には、このようなシングル・テナントを含む単一又は少数の核となる大規模テナントが存在しています。
このような物件において既存テナントが退去した場合、当該物件の稼働率が大きく減少し、代替テナント確保のために賃料水準を引き下げざるを得なくなり、賃料収入に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、新たなテナントの要望にあわせ本投資法人の負担で大規模な工事を行わざるを得なくなる可能性もあります。特に、特定のテナントのニーズに合わせて開発されるビルド・トゥ・スーツ型物流不動産において、これらのリスクが顕著となる可能性があります。
更に、このようなシングル・テナントを含む、単一又は少数の核となる大規模テナントが存在する物件においては、当該テナントとの間で、優先購入権や処分禁止に関する合意(その内容は様々です。)がなされることがあり、物件の所有権又はこれらを信託財産とする信託の受益権を第三者に売却しようとする場合に、当該テナントに優先購入権が与えられている等により、物件の自由な売却その他の処分が制限される場合があります。かかる合意がなされている場合、取得及び売却により多くの時間や費用を要したり、価格の減価要因となる可能性があります。
(ニ) 特定の物件への依存度が高いことに係るリスク
本書の日付現在、本投資法人の保有資産は13物件であり、保有資産の各取得価格が取得価格の総額に占める割合をみると、13物件中4物件がそれぞれ10%超となっています。したがって、そのうちのいずれかの物件が何らかの理由で毀損、滅失若しくは劣化し、又はオペレーションが困難となる事由が生じた場合、更にはその主要なテナントの営業状況又は財務状況が悪化したり、物件から退去した場合には、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ホ) 住友商事グループからの物件取得が想定どおり行えないリスク
本資産運用会社は、住友商事との間でスポンサーサポート契約を締結し、外部成長のためのパイプラインサポートを受けることとしています。しかし、スポンサーサポート契約は、本資産運用会社に、住友商事グループが保有する特定の物件についての優先交渉権等を与えるものにすぎず、住友商事は、本投資法人に対して、物流不動産等を本投資法人及び本資産運用会社の希望する価格で売却する義務を負っているわけではありません。即ち、本投資法人は、同契約により、本投資法人が適切であると判断する物件を適切な価格で住友商事グループから取得できることまで確保されているわけではありません。
したがって、本投資法人は、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考える資産のポートフォリオを構築できない可能性があります。
(ヘ) 不動産を取得又は処分できないリスク
不動産は、一般的にそれぞれの物件の個別性が強いために代替性がなく、流動性が低いため、希望する時期に希望する物件を取得又は処分できない可能性があります。また、取得が可能であったとしても、投資採算の観点から希望した価格、時期その他の条件で取引を行えない可能性等もあります。更に、本投資法人が不動産等及び不動産対応証券を取得した後にこれらを処分する場合にも、投資採算の視点から希望した価格、時期その他の条件で取引を行えない可能性等もあります。
以上の結果、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考える資産のポートフォリオを構築できない可能性があり、またポートフォリオの組替えが適時に行えない可能性があります。
(ト) 新投資口の発行、借入れ及び投資法人債の発行による資金調達に関するリスク
新投資口の発行、金銭の借入れ及び投資法人債の発行の可能性及び条件は、本投資法人の経済的信用力、金融市場の情勢その他の要因による影響を受けるため、今後本投資法人の希望する時期及び条件で新投資口の発行、金銭の借入れ及び投資法人債の発行を行うことができる保証はなく、その結果、予定した資産を取得できなかったり、予定しない資産の売却を余儀なくされたり、資金繰りがつかなくなる可能性があります。
次に、本投資法人が金銭の借入れ又は投資法人債の発行を行う場合において、当該金銭の借入れ又は投資法人債の発行の条件として、資産・負債等に基づく一定の財務指標上の数値を維持する、本投資法人の信用状態に関する評価を一定の水準に維持する、若しくは投資主への金銭の分配(利益を超えた金銭の分配を含みます。)を制約する等の財務制限条項が設けられること、運用資産に担保を設定すること、又は規約の変更が制限されること等の可能性があります。このような制約が本投資法人の運営に支障をきたし、又は投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、これらの制限に違反した場合には、追加の担保設定や費用負担等を求められ、又は当該借入れにかかる借入金若しくは投資法人債の元利金について期限の利益を喪失する等の可能性があり、その結果、本投資法人の運営に重大な悪影響が生じる可能性があります。
更に、借入れ及び投資法人債の金利は、借入時及び投資法人債発行時の市場動向に左右され、変動金利の場合には、その後の市場動向にも左右されます。借入れ及び投資法人債の金利が上昇し、又は本投資法人の借入金額及び投資法人債発行額が増加した場合には、本投資法人の利払額は増加します。このような利払額の増加により、投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、本投資法人は、金利変動の影響を軽減するため、金利の固定化や借入れの長期化、返済期限の分散化等の取組みを行う予定です。しかし、これらの取組みが金利変動の影響を軽減できない場合、本投資法人の財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(チ) LTVの上昇に伴うリスク
本投資法人は、LTVの上限を60%とし、平常時の運用において35~45%前後で運用することとしていますが、新たな運用資産の取得等に伴い、一時的に上限を超えることがあります。一般に、LTVが高まると、金利が低下しない限り利払額は増加し、また、金利変動の影響が強まる等の影響があり、本投資法人の収益の安定性等に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク
(イ) 住友商事グループへの依存、利益相反に関するリスク
本投資法人は、住友商事グループの物流不動産に関する開発実績、運営ノウハウ及び経営資源等を活用して、投資主利益の最大化を目指すことを基本方針としています。また、住友商事は、本書の日付現在、本資産運用会社の全株式を保有しており、本資産運用会社の5名の常勤取締役を含む一部の役職員の出向元です。更に、本投資法人は、住友商事グループから、物件の供給その他の外部成長のためのサポート及び保有
物件に対するプロパティ・マネジメント業務の提供その他の内部成長のためのサポートを今後継続的に受けることを予定しています。その他、本投資法人は、本資産運用会社及び住友商事の間のスポンサーサポート契約に基づき本資産運用会社が住友商事から受けるスポンサーサポート、並びに本投資法人及び住友商事の間のロジスティクスマネジメント契約に基づき住友商事から受ける賃貸募集業務に係るサポートをはじめ、住友商事グループから様々なサポートを受けることとしています。更に、本投資法人は、本投資法人及び住友商事の間の商標使用許諾契約書(以下、本③において「商標使用許諾契約」といいます。)に基づき住友商事から「SOSiLA」に係る商標の使用許諾を受けています。
このように、本投資法人及び本資産運用会社は、住友商事グループと密接な関係を有し、また、その投資方針における住友商事グループに対する依存度は相当程度高いということができます。
したがって、本投資法人及び本資産運用会社が住友商事及びその他の住友商事グループとの間で、本書の日付現在における関係と同一の関係を維持できなくなった場合には、本投資法人が住友商事グループから上記に記載のサポートを受けられなくなる可能性があるほか、商標使用許諾契約が解約される又は更新されない等の理由により本投資法人が「SOSiLA」に係る商標を使用できなくなる可能性もあります。この場合、本投資法人に悪影響が及ぶ可能性があります。
更に、本投資法人又は本資産運用会社が、資産運用活動その他を通じて、住友商事グループとの間で取引等を行う場合、本資産運用会社と住友商事グループの上記のような関係から、住友商事グループの利益のために、本投資法人の投資主又は投資法人債権者の利益に反する行為が行われる可能性もあり、その場合には、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。
加えて、本投資法人及び本資産運用会社が住友商事グループとの間で締結している契約は、住友商事グループが、本投資法人と競合する事業を行うことを禁止するものではありません。住友商事グループは、物流不動産の開発、所有、運営、住友商事グループ以外の第三者からのプロパティ・マネジメント業務の受託等、様々な形で不動産に関連する業務を行っています。したがって、本投資法人又は本資産運用会社と住友商事グループとが、特定の資産の取得、賃貸借、管理運営、処分等に関して競合する可能性やその他利益相反が問題となる状況が生じる可能性は否定できません。
上記のような利益相反が問題となりうる場合としては、例えば、住友商事グループからの物件取得に際しての取得価格その他の購入条件、住友商事グループに対する賃貸に関する条件、プロパティ・マネジメント会社である住商ビルマネージメント株式会社及び住商建物株式会社に対するプロパティ・マネジメント業務の委託の条件、住友商事グループに対する契約上の責任の追及その他の権利行使、スポンサーサポート契約の更新の有無、テナントの誘致その他のプロパティ・マネジメント業務の遂行などが挙げられます。
これらの利益相反により、本投資法人の利益が不当に害され、本投資法人の投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。
(ロ) 本投資法人の関係者への依存、利益相反に関するリスク
本投資法人は、投信法に基づき、執行役員及び監督役員から構成される役員会において重要な意思決定を行い、資産の運用を本資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者に、それぞれ委託しています。本投資法人の円滑な業務遂行の実現のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに依存するところが大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基盤等を必ずしも維持できる保証はありません。また、投信法は、本投資法人の執行役員及び監督役員並びに本投資法人の関係者に関する義務及び責任を定めていますが、これらの本投資法人の関係者等が投信法その他の法令に反し、又は、法定の措置をとらないときは、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。また、本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者が、法令上又は契約上負っている善良な管理者 としての注意義務、投資法人のために忠実に職務を遂行する義務、利益相反状況にある場合に投資法人の利益を害してはならない義務その他の義務に違反した場合には、本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼ
し、投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
このほかに、本資産運用会社又は本投資法人若しくは保有資産である不動産信託受益権に関する信託受託者から委託を受ける業者として、プロパティ・マネジメント会社、建物の管理会社等があります。本投資法人の収益性の向上のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに依存するところも大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基盤等を必ずしも維持できる保証はありません。これらの者について業務の懈怠その他の義務違反があった場合や業務遂行能力が失われた場合には、本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ハ) 本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材への依存リスク
本投資法人の運営は、本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材に大きく依存しており、これらの人材が失われた場合、本投資法人の運営に悪影響をもたらす可能性があります。
(ニ) 本投資法人の歴史が浅いことによるリスク
本投資法人は、2019年6月26日に設立され、2019年12月10日に資産の運用が開始されました。したがって、本投資法人は、過去の実績が少ないため、過去の実績から今後の実績を予測することは困難です。また、本資産運用会社のこれまでの私募リート及び私募ファンド等に係る運用実績は、本投資法人の今後の運用実績を保証するものではありません。
(ホ) 本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
本投資法人の規約に記載されている資産運用の対象及び方針等の基本的な事項の変更については、投資主総会の承認が必要ですが、より詳細な投資方針又は「資産運用ガイドライン」等については、投資主総会の承認を経ることなく、変更することが可能です。そのため、本投資法人の投資主の意思が反映されないまま、これらが変更される可能性があります。
(ヘ) 本投資法人の倒産又は登録抹消のリスク
本投資法人には、破産法(平成16年法律第75号。その後の改正を含みます。)(以下「破産法」といいます。)、民事再生法(平成11年法律第225号。その後の改正を含みます。)(以下「民事再生法」といいます。)及び投信法上の特別清算手続(投信法第164条)が適用される可能性があります。
本投資法人は、投信法に基づいて投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合には、投信法に従ってその登録が取り消される可能性があります(投信法第216条)。その場合には、本投資証券の上場が廃止され、本投資法人は解散し、清算手続に入ります。
本投資法人が清算される場合、投資主は、全ての債権者への弁済(投資法人債の償還を含みます。)後の残余財産の分配による他、投資金額を回収することができません。加えて、本投資法人の保有資産の価値が下落している場合等においては、投資法人債権者も元本又は利息の支払を予定どおりに受けられない可能性があります。更に、投資主は、借入れを弁済し又は投資法人債を償還した後の残余財産が全く残らないか又は出資総額を下回ることにより、投資金額の全部又は一部について回収することができない可能性があります。
(ト) 敷金及び保証金に関するリスク
物流不動産においては、賃借人が多額の敷金及び保証金を長期間にわたって無利息又は低利で賃貸人に預託することがあり、本投資法人は、今後、これらの資金を運用資産の取得資金その他の本投資法人の必要資金の一部として活用することを想定しています。しかし、賃貸市場の動向、賃借人との交渉等により、本投資法人の想定よりも賃借人からの敷金及び保証金の預託額が少なくなり、又は預託期間が短くなる可能性があります。また、敷金又は保証金を本投資法人が利用する条件として、本投資法人が敷金又は保証金の返還債務を負う場合、賃貸借契約の中途解約により想定外の時期に予想外の金額の敷金又は保証金の返還義務が生じた場合には、本投資法人は、敷金又は保証金の返還資金をそれらの投資利回りよりも高い調達コストによる借入れ等により調達せざるを得なくなることもあります。その結果、本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。
④ 不動産及び信託の受益権に関する法的リスク
本投資法人は不動産を信託する信託の受益権を保有しています。不動産を信託する信託の受益権その他不動産を裏付けとする資産の所有者は、その信託財産である不動産又は裏付けとなる不動産を直接所有する場合と、経済的には、ほぼ同様の利益状況に置かれます。したがって、以下に記載する不動産に関する法的リスクは、不動産を信託する信託の受益権その他不動産を裏付けとする資産についても、ほぼ同様にあてはまります。
なお、信託の受益権特有のリスクについては、後記「(ナ) 不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク」をご参照ください。
(イ) 不動産の欠陥・瑕疵に関するリスク
第三者の権利の存在、建物の新築工事や改築・修繕等の工事における施工の不具合や施工時に利用するデータの転用その他の不適切な利用、土地の地形や組成等の様々な原因により、不動産には土地の地盤及び地質並びに建物やその設備の杭や梁等の構造、設計及び施工等に関して欠陥、瑕疵(物の種類、数量、性能、性質又は品質等が不十分又は契約等に不適合なことをいいます。以下同じです。)等が存在している可能性があります。また、不動産には様々な法規制が適用されるため、法令上の規制違反の状態をもって瑕疵とされることもあり得ます。本資産運用会社が不動産の選定・取得の判断を行うにあたっては、建築基準法等の行政法規が求める所定の手続が適正に実施され、当該建築物の現況に法令上の規制違反等の瑕疵がないかどうかにつき専門業者から建物状況評価報告書を取得するなどの物件精査を行うことにしています。しかしながら、建築基準法等の行政法規が求める所定の手続を経た不動産についても、建物の素材や建設時の施工の
適切性を保証するものではなく、当該行政法規が求める安全性や構造耐力等を有するとの保証もなく、また、建築基準法等の行政法規が求める所定の手続が適正であったか否かを事後的に検証することは、当該手続時や施工時の資料等を入手する必要があること等の理由から困難が伴います。したがって、かかる欠陥、瑕疵等が本投資法人の取得後に判明したり、取得後に生じたりする可能性もあります。本投資法人は、状況に応じて、前所有者又は前信託受益者等に対し一定の事項につき表明及び保証を要求し、その他契約上の責任を追及できるようにする場合もありますが、たとえかかる表明及び保証が真実でなかったことを理由とする損害賠償責任又はその他の責任を追及できたとしても、これらの責任の期間及び責任額は一定範囲に限定されることがあり、また、前所有者又は前信託受益者等が解散したり無資力になっているために実効性がない場合もあります。このようなリスクは前所有者又は前信託受益者等が特別目的会社である場合にはより顕著となります。
これらの場合には、当該欠陥、瑕疵等の程度によっては、当該不動産の資産価値が低下することを防ぐために必要となる当該欠陥、瑕疵等の補修、建物の建替えその他の対応に係る費用が甚大となる可能性があるとともに、当該不動産の買主である本投資法人が当該費用を負担せざるを得なくなることがあり、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
加えて、不動産をめぐる権利義務関係の複雑さゆえに、不動産に関する権利が第三者の権利や行政法規等により制限を受けたり、第三者の権利を侵害していることが後になって判明する可能性があります。更には、不動産の形状や利用によっては、当該不動産の存在や利用状況によって意図しない第三者の権利の侵害が生じる可能性もあります。その結果、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
また、不動産登記簿の記載を信じて取引した場合にも、買主は不動産に係る権利を取得できないことがあります。更に、権利に関する事項のみならず、不動産登記簿中の不動産の表示に関する事項が現況と一致していない場合もあります。このような場合、上記と同じく、本投資法人は売主等に対して法律上又は契約上許容される限度で責任を追及することとなりますが、その実効性があるとの保証はありません。
一方、本投資法人が不動産を売却する場合、本投資法人は、宅地建物取引業法上、宅地建物取引業者とみなされるため、同法に基づき、売却の相手方が宅地建物取引業者である場合を除いて、不動産の売買契約において、瑕疵担保責任又は契約不適合責任に関し、買主に不利となる特約をすることが制限されています。したがって、本投資法人が不動産を売却する場合は、売却した不動産の欠陥、瑕疵等の修補その他に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなることがあり、その結果、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。
(ロ) 賃貸借契約に関するリスク
a. 賃貸借契約の解約及び更新に関するリスク
賃借人が賃貸借契約の解約権を留保している場合等には、契約期間中であっても賃貸借契約が終了し、又は賃貸借契約の期間満了時に契約の更新がなされないこともあるため、稼働率が低下し、不動産に係る賃料収入が減少することがあります。また、解約禁止条項、解約ペナルティ条項等を置いて期間中の解約権を制限している場合又は更新料を定めている場合において、裁判所によって所定の金額から減額されたり、かかる条項の効力が否定される可能性があります。
以上のような事由により、賃料収入が減少した場合、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
b. 賃料不払に関するリスク
賃借人の財務状況が悪化した場合又は賃借人が破産手続、再生手続若しくは更生手続その他の倒産手続の対象となった場合、賃貸借契約に基づく賃料の支払が滞り、延滞賃料等の債務の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超える場合、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
c. 賃料改定に係るリスク
本投資法人の主たる投資対象である物流不動産に関する賃借人との賃貸借契約の期間は、比較的長期間であることが一般的ですが、このような契約においては、賃料等の賃貸借契約の内容について、定期的に見直しを行う旨の定めがなされることがあります。
したがって、賃貸借契約の期間中、本書の日付現在の賃料が今後も維持される保証はありません。賃料改定により賃料が減額された場合、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、定期的に賃料等を増額する旨の規定が賃貸借契約にある場合でも、賃借人との交渉如何によっては、必ずしも、規定どおりに賃料を増額できるとは限りません。
d. 賃借人による賃料減額請求権行使のリスク
建物の賃借人は、定期建物賃貸借契約において借地借家法(平成3年法律第90号。その後の改正を含みます。)(以下「借地借家法」といいます。)第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合を除いて、同条に基づく賃料減額請求をすることができます。定期建物賃貸借契約の効力が認められるために
は、借地借家法第38条所定の要件を充足する必要があります。このため、ある建物賃貸借契約を定期建物賃貸借契約とした上で借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合であっても、借地借家法第38条所定の要件が充足されなかった場合には、賃料減額請求権を排除することができない可能性があります。当該請求が認められた場合、当該不動産から得られる賃料収入が減少し、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。また、建物の所有を目的とする土地の賃借人についても、借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求が認められています。請求が認められた場合、当該不動産から得られる賃料収入が減少し、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。
e. 定期建物賃貸借契約に関するリスク
本投資法人は、運用資産のうち建物の賃貸にあたり、原則として定期建物賃貸借契約を活用していく方針です。しかしながら、定期建物賃貸借契約の効力が認められるには、借地借家法第38条所定の要件を充足する必要があるため、かかる要件が充足されなかった場合(かかる要件の充足を証明できない場合を含みます。)には、定期建物賃貸借契約としての効力が認められず、当該契約は、いわゆる普通建物賃貸借契約として取り扱われる可能性があります。その結果、賃料減額請求権を排除する特約の効力が認められず、又は建物賃貸借契約が所定の時期に終了しないこと等により、本投資法人の収益性に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
f. 賃借人の募集に関するリスク
本投資法人は、賃借人を募集するにあたり、他の物流不動産と立地、築年数、設備や保守及び賃料その他の条件等の様々な面で競合します。このため、本投資法人が保有する物流不動産が競争力を失ったり、有利な条件を提供できなくなると、賃借人を確保できず、この結果、保有する物流不動産の賃料水準や稼働率が低下し、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす場合があります。特に、近郊の競合物流不動産の数が増加した場合には、賃料水準の引下げ等が余儀なくされ、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
(ハ) 災害等による不動産の毀損、滅失及び劣化並びに周辺環境の悪化に伴うリスク
火災、地震、地震に伴う液状化現象、津波、暴風雨、洪水、地すべり、山崩れ、落雷、竜巻、火山の噴火、高潮、戦争、紛争、暴動、騒乱、テロのほか原子力発電所における事故等(以下「災害等」といいます。)により不動産が滅失、劣化若しくは毀損し、又は不動産の正常な運営が妨げられ、それにより、当該不動産に係る収益が減少し若しくは費用が増加し、又はその価値が下落する可能性があります。このような場合には、滅失、劣化又は毀損した個所を修復するために一定期間又は修復することができない場合には永久的に、不動産の不稼働を余儀なくされるため、賃料収入が減少することとなります。また、不動産自体に滅失、劣化又は毀損が生じなかった場合においても、電気、ガス、水道等の使用の制限やその他の外部的要因により不動産の不稼働を余儀なくされることで、賃料収入が減少することがあります。また、賃料収入が減少した結果、不動産価値の下落が生じる可能性もあります。加えて、災害等の影響で周辺環境が悪化することにより、不動産の価値が下落する可能性があり、また、賃料水準の下落又は稼働率の低下により賃料収入が減少する可能性があります。このような不動産の価値の下落又は賃料収入の減収の結果、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。本投資法人は、かかる災害等に伴うリスクを軽減するため、一定の基準に基づき保険を付保する予定ですが、不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、保険契約で填補されない災害等若しくは損害が発生した場合又は保険契約に基づく保険会社による支払が他の何らかの理由により行われず、減額され若しくは遅れる場合には、本投資法人の収益や保有資産の資産価値に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ニ) 不動産に係る所有者責任、修繕・維持費用等に関するリスク
運用資産である不動産を原因として、近隣住民その他の第三者の生命、身体又は財産等を侵害した場合に、損害賠償義務が発生し、結果的に本投資法人が予期せぬ損害を被る可能性があります。特に、土地の工作物の所有者は、民法上無過失責任を負うこととされています。不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合その他「上記(ハ)災害等による不動産の毀損、滅失及び劣化並びに周辺環境の悪化に伴うリスク」と同様の場合、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、不動産につき毀損、滅失又は劣化等が生じ、修繕が必要となる場合には、かかる修繕に関連して多額の費用を要する可能性があります。また、かかる修繕が困難又は不可能な場合には、不動産から得られる賃料収入が減少し、不動産の価格が下落する可能性があります。
(ホ) 不動産の地域的な偏在に関するリスク
本投資法人が保有する不動産が、一定の地域に偏在する場合には、当該地域における地震その他の災害、地域経済の悪化、稼働率の低下、賃料水準の下落等が、本投資法人の全体収益にも著しい悪影響を及ぼす可能性があります。
本書の日付現在における本投資法人の保有資産のうち、8物件が関東エリアに、5物件が関西エリアに所在しています。このため、地震等の自然災害、地域経済の不振、稼働率や賃料の低下、人口や平均賃金の変動を含む、これらのエリアに悪影響を及ぼす事象や出来事による影響を受けるおそれがあり、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ヘ) 不動産に係る行政法規・条例等に関するリスク
建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際、原則としてこれらの規定に適合しない現に存する建物(現に建築中のものを含みます。)又はその敷地については、当該規定が適用されない扱いとされています(いわゆる既存不適格)。しかし、かかる既存不適格の建物の建替え等を行う場合には、現行の規定が適用されるので、現行の規定に合致するよう行う必要があり、追加的な費用負担が必要となる可能性があり、また、現状と同規模の建築物を建築することができない可能性があります。
更に、建築主は、建築基準法に基づき、一定の建築物を建築する場合、着工前にその計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて、建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けなければならず、また、規模など、一定の条件を超える建造物については構造計算適合性判定機関による構造計算適合性判定を受けなければなりません。
しかし、建築主事若しくは指定確認検査機関による確認又は構造計算適合性判定機関による判定が適正であったか否かを事後的に検証することは、当該確認又は判定を行った当時の資料等を入手する必要があることや構造計算が複雑であること等から極めて困難です。このため、本投資法人が、当該確認又は判定が適正に行われていなかった不動産を取得、保有する可能性があり、これにより本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、不動産に係る様々な行政法規や各地の条例による規制が運用資産である不動産に適用される可能性があります。例えば、文化財保護法(昭和25年法律第214号。その後の改正を含みます。)に基づく試掘調査義務、一定割合において住宅を附置する義務、駐車場附置義務、福祉配慮設備設置義務、緑化推進義務及び雨水流出抑制施設設置義務等が挙げられます。このような義務が課せられている場合、当該不動産の処分若しくは建替え等に際して、事実上の困難が生じ、又はこれらの義務を遵守するための追加的な費用負担が生じる可能性があります。更に、運用資産である不動産を含む地域が道路設置等の都市計画の対象となる場合には、当該都市計画対象部分に建築制限が付されたり、建物の敷地とされる面積が減少し、当該不動産に関して建替え等を行う際に、現状と同規模の建築物を建築できない可能性があります。
(ト) 法令の制定・変更に関するリスク
土壌汚染対策法のほか、将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、過失の有無にかかわらず不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。
また、消防法(昭和23年法律第186号。その後の改正を含みます。)その他不動産の管理に影響する関係法令の改正により、不動産の管理費用等が増加する可能性があります。更に、建築基準法、都市計画法の改正、新たな立法、収用、再開発、区画整理等の行政行為等により不動産に関する権利が制限される可能性があります。このような法令若しくは行政行為又はその変更等が本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。
(チ) 売主の倒産等の影響を受けるリスク
本投資法人は、債務超過の状況にある等財務状態が実質的危機時期にあると認められる又はその疑義がある者を売主として不動産を取得する場合には、管財人等により否認されるリスク等について諸般の事情を慎重に検討し、実務的に可能な限り管財人等により否認されるリスクを回避するよう努めますが、このリスクを完全に排除することは困難です。
万一債務超過の状況にある等財務状態が実質的危機時期にある状況を認識できずに本投資法人が不動産を取得した場合には、当該不動産の売買が売主の債権者により取消される(詐害行為取消)可能性があります。また、本投資法人が不動産を取得した後、売主について破産手続、再生手続又は更生手続が開始した場合には、不動産の売買が破産管財人、監督委員又は管財人により否認される可能性が生じます。
また、本投資法人が、ある売主から不動産を取得した別の者(以下、本(チ)において「買主」といいます。)から更に不動産を取得した場合において、本投資法人が、当該不動産の取得時において、売主と買主間の当該不動産の売買が詐害行為として取消され又は否認される根拠となりうる事実関係を知っている場合には、本投資法人に対しても、売主及び買主間の売買が否認され、その効果を主張される可能性があります。
更に、取引の態様如何によっては売主と本投資法人との間の不動産の売買が、担保取引であると判断され、当該不動産は破産者である売主の破産財団の一部を構成し、又は更生会社若しくは再生債務者である売主の財産に属するとみなされる可能性(いわゆる真正譲渡でないとみなされるリスク)もあります。
(リ) マスターリース会社に関するリスク
本投資法人は、マスターレッシー(転貸人)が本投資法人又は信託受託者とマスターリース契約を締結した上で、各転借人に対して転貸するマスターリースの形態をとる物件を取得することがあります。
マスターリースの形態をとる物件においてマスターレッシーの財務状況が悪化した場合、転借人がマスターレッシーに賃料を支払ったとしても、マスターレッシーの債権者がマスターレッシーの転借人に対する賃料債権を差し押さえる等により、マスターレッシーから本投資法人又は信託受託者への賃料の支払が滞る可能性があります。
(ヌ) 転貸に関するリスク
賃借人(転借人を含みます。)に、不動産の一部又は全部を転貸させる権限を与えた場合、本投資法人は、不動産に入居するテナントを自己の意思により選択できなくなったり、退去させられなくなる可能性があるほか、賃借人の賃料が、転借人の賃借人に対する賃料に連動する場合、転借人の信用状態等が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、賃貸借契約が合意解約された場合、又は債務不履行を理由に解除された場合であっても、賃貸借契約上、賃貸借契約終了の場合に転貸人の転借人に対する敷金等の返還義務が賃貸人に承継される旨規定されている場合には、かかる敷金等の返還義務が、賃貸人に承継される可能性があります。このような場合、敷金等の返還原資は賃貸人の負担となり、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ル) テナント等による不動産の利用状況に関するリスク
テナントによる不動産の利用・管理状況により、当該不動産の資産価値や、本投資法人の収益に悪影響が及ぶ可能性があります。また、転借人や賃借権の譲受人の属性によっては、運用資産である不動産のテナント属性が悪化し、これに起因して建物全体の賃料水準が低下する可能性があります。賃貸人は賃借人と普通建物賃貸借契約を締結した場合又は定期建物賃貸借契約を締結したものの借地借家法第38条所定の要件が充足されないことにより定期建物賃貸借契約としての効力が否定された場合、賃貸借期間が経過した場合であっても正当の事由があると認められなければ、賃借人との賃貸借契約を終了することができず、運用資産である不動産のテナント属性の悪化を阻止できない可能性があります。
なお、本投資法人は、かかるリスクを低減するため、独自のテナント審査基準に基づくテナント審査の実施、また、定期的にテナントの不動産利用状況の調査を行っていますが、それでもかかるリスクが現実化しないという保証はありません。
(ヲ) 共有物件に関するリスク
運用資産である不動産が第三者との間で共有されている場合には、その保存・利用・処分等について単独で所有する場合には存在しない種々の問題が生じる可能性があります。
まず、共有物の管理は、共有者間で別段の定めをした場合を除き、共有者の持分の価格に従い、その過半数で行うものとされているため(民法第252条)、持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため(民法第249条)、他の共有者によるこれらの権利行使によって、本投資法人の当該不動産の保有又は利用が妨げられるおそれがあります。
更に、共有の場合、他の共有者からの共有物全体に対する分割請求権行使を受ける可能性(民法第256条)、及び裁判所により共有物全体の競売を命じられる可能性(民法第258条第2項)があり、ある共有者の意図に反して他の共有者からの分割請求権行使によって共有物全体が処分されるリスクがあります。
この分割請求権を行使しないという共有者間の特約は有効ですが、この特約は5年を超えては効力を有しません。また、登記済みの不分割特約がある場合でも、特約をした者について倒産手続の対象となった場合には、管財人等はその換価処分権を確保するために分割請求ができるとされています。ただし、共有者は、倒産手続の対象となった他の共有者の有する共有持分を相当の対価で取得することができます(破産法第52条、会社更生法(平成14年法律第154号。その後の改正を含みます。)第60条、民事再生法第48条第1項)。他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、共有されていた物件全体 について当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶことになると考えられています。したがって、運用資産である共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、分割後の運用資産についても、他の共有者の持
分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶこととなるリスクがあります。
共有持分の処分は単独所有物と同様に自由に行えると解されていますが、共有不動産については、共有者間で共有持分の優先的購入権の合意をすることにより、共有者がその共有持分を第三者に売却する場合に他の共有者が優先的に購入できる機会を与えるようにする義務を負う場合があります。
不動産の共有者が賃貸人となる場合には、賃料債権は不可分債権となり敷金返還債務は不可分債務になると一般的には解されており、共有者は他の賃貸人である共有者の信用リスクの影響を受ける可能性があります。
加えて、共有者間においては、共有者間の協定書等が締結され、共有者間で共有持分の優先的購入権について合意されたり、一定の場合に当事者間で売渡請求権若しくは買取請求権が生じることが合意され、又は共有者としての意思決定の方法等が合意されることがあります(その内容は様々です。)が、これらの合意がなされている場合、本投資法人が所有する共有持分の処分が制限される可能性があるほか、想定しない時期に共有持分を取得若しくは譲渡することを強制され、又は、持分割合にかかわらず、当該不動産の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
共有不動産については、単独所有の場合と比べて上記のような制限やリスクがあるため、取得及び売却により多くの時間と費用を要したり、価格の減価要因が増す可能性があります。
また、所有権以外の権利について準共有する場合にも、同様の制限やリスクが存在します。
(ワ) 区分所有建物に関するリスク
区分所有建物とは建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。その後の改正を含みます。)
(以下「区分所有法」といいます。)の適用を受ける建物で、単独所有の対象となる専有部分(居室等)と共有となる共用部分(エントランス部分等)及び建物の敷地部分から構成されます。区分所有建物の場合には、区分所有法上、法定の管理方法及び管理規約(管理規約の定めがある場合)によって管理方法が定められます。建替決議等をする場合には集会において区分所有者及び議決権(管理規約に別段の定めのない限り、その有する専有部分の床面積の割合)の各5分の4以上の多数の建替決議が必要とされる等(区分所有法第62条)、区分所有法の適用を受けない単独所有物件と異なり管理方法に制限があります。
区分所有建物の専有部分の処分は自由に行うことができますが、区分所有者間で優先的購入権の合意をすることがあることは、共有物件の場合と同様です。
区分所有建物と敷地の関係については以下のようなリスクがあります。
区分所有建物の専有部分を所有するために区分所有者が敷地に関して有する権利を敷地利用権といいます。区分所有建物では、専有部分と敷地利用権の一体性を保持するために、法律で、専有部分とそれに係る敷地利用権を分離して処分することが原則として禁止されています(区分所有法第22条)。ただし、敷地権の登記がなされていない場合には、分離処分の禁止を善意の第三者に対抗することができず、分離処分が有効となります(区分所有法第23条)。また、区分所有建物の敷地が数筆に分かれ、区分所有者が、それぞれ、その敷地のうちの一筆又は数筆の土地について、単独で、所有権、賃借権等を敷地利用権(いわゆる分有形式の敷地利用権)として有している場合には、分離して処分することが可能とされています。このように専有部分とそれに係る敷地利用権が分離して処分された場合、敷地利用権を有しない区分所有者が出現する可能性があります。
また、敷地利用権が使用借権及びそれに類似した権利である場合には、当該敷地が売却、競売等により第三者に移転された場合に、区分所有者が当該第三者に対して従前の敷地利用権を対抗できなくなる可能性があります。
このような区分所有建物と敷地の関係を反映して、区分所有建物の場合には、取得及び売却により多くの時間と費用を要したり、価格の減価要因が増す可能性があります。
(カ) 借地物件に関するリスク
借地権とその借地上に存在する建物については、自己が所有権を有する土地上に存在する建物と比べて特有のリスクがあります。借地権は、所有権と異なり永久に存続するものではなく、期限の到来により当然に消滅し(定期借地権の場合)又は期限到来時に借地権設定者が更新を拒絶しかつ更新を拒絶する正当事由がある場合に消滅します(普通借地権の場合)。また、借地権が地代の不払その他により解除その他の理由により消滅してしまう可能性もあります。借地権が消滅すれば、時価での建物買取りを請求できる場合(借地借家法第13条、借地法(大正10年法律第49号。その後の改正を含みます。)(以下「借地法」といいます。)第4条)を除き、借地上に存在する建物を取り壊した上で、土地を返還しなければなりません。普通借地権の場合、借地権の期限到来時の更新拒絶につき上記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、仮に建物の買取請求権を有する場合でも、買取価格が本投資法人が希望する価格以上である保証はありません。
また、本投資法人が借地権を有している土地の所有権が、他に転売されたり、借地権設定時に既に存在する土地上の抵当権等の実行により第三者に移ってしまう可能性があります。この場合、借地権について適用のある法令に従い第三者対抗要件が具備されていないときは、本投資法人は、借地権を当該土地の新所有者に対して対抗できず、当該土地の明渡義務を負う可能性があります。
更に、借地権が賃借権である場合、借地権を譲渡するには、原則として、借地権設定者の承諾が必要となります。借地上の建物の所有権を譲渡する場合には、当該借地に係る借地権も一緒に譲渡することになるので、原則として、借地権設定者の承諾が必要となります。かかる借地権設定者の承諾に関しては、借地権設定者への承諾料の支払があらかじめ約束されていたり、約束されていなくても慣行を理由として借地権設定者が承諾料を承諾の条件として請求してくる場合があります(なお、法律上借地権設定者に当然に承諾料請求権が認められているものではありません。)。
加えて、借地権設定者の資力の悪化や倒産等により、借地権設定者に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があります。借地権設定者に対する敷金及び保証金等の返還請求権について担保設定や保証はなされないのが通例です。
借地権と借地上に建てられている建物については、敷地と建物を一括して所有している場合と比べて、上記のような制限やリスクがあるため、取得及び売却により多くの時間と費用を要したり、価格の減価要因が増す可能性があります。
(ヨ) 借家物件に関するリスク
本投資法人は、建物(共有持分、区分所有権等を含みます。)を第三者から賃借の上又は信託受託者に賃借させた上、当該賃借部分を直接若しくは信託受託者を通じて保有する建物と一体的に又は当該賃借部分を単独で、テナントへ転貸することがあります。
この場合、建物の賃貸人の資力の悪化や倒産等により、建物の賃貸人に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があることは、前記の借地物件の場合と同様です。
加えて、民法上、本投資法人が第三者との間で直接又は信託受託者を通じて締結した賃貸借契約が何らかの理由により終了した場合、原則として、本投資法人又は当該受託者とテナントの間の転貸借契約も終了するとされていますので、テナントから、転貸借契約の終了に基づく損害賠償請求等がなされるおそれがあります。
(タ) 底地物件に関するリスク
本投資法人は、第三者が賃借してその上に建物を所有している土地、いわゆる底地を取得することがあります。底地物件には特有のリスクがあります。借地権が消滅する場合、本投資法人は借地権者より時価での建物買取りを請求される場合があります(借地借家法第13条、借地法第4条)。借地権者より時価での建物買取りを請求される場合、買取価格が本投資法人が希望する価格以下である保証はありません。
また、借地権が賃借権である場合、借地権者による借地権の譲渡には、原則として、本投資法人の承諾が必要となりますが、裁判所が承諾に代わる許可をした場合(借地借家法第19条)や、借地契約上事前に一定範囲での借地権の譲渡を承諾している場合には、本投資法人の承諾なく借地権が譲渡される結果、財務状態に問題がある等の本投資法人が望まない者に借地権が譲渡される可能性があり、その結果、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
更に、借地契約に基づく土地の賃料の支払が滞り、延滞賃料の合計額が敷金及び保証金等で担保される範囲を超える場合は投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。加えて、土地の賃料の改定又は借地権者による借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求により、当該底地から得られる賃料収入が減少し、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
(レ) 開発物件等に関するリスク
本投資法人は、将来、規約に定める投資方針に従って、竣工後の物件を取得するためにあらかじめ開発段階で売買契約を締結する可能性があります。また、本投資法人は一定の場合に運用資産の建替えを行うことをその投資方針としており、本投資法人が自ら建物の建築に係る請負契約の注文者となり請負契約を締結することがあります。かかる場合、既に完成した物件につき売買契約を締結して取得する場合とは異なり、様々な事由により、開発又は建築が遅延し、変更され、又は中止されることにより、契約どおりの引渡しを受けられない可能性や追加の出資が必要となる可能性があります。この結果、かかる物件からの収益等が本投資法人の予想を大きく下回る可能性があるほか、予定された時期に収益等が得られなかったり、収益等が全く得られなかったり、又は予定されていない費用、損害若しくは損失を本投資法人が負担し若しくは被る可能性があり、その結果、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
また、新規開発物件の場合は、運用実績がないため、実際の収益等が予想と大きく異なる可能性があります。
(ソ) 有害物質に関するリスク
本投資法人が土地又は土地の賃借権若しくは地上権又はこれらを信託する信託の受益権を取得する場合に
おいて、当該土地について産業廃棄物や放射性物質等の有害物質が埋蔵され又は存在している可能性があり、かかる有害物質が埋蔵されている場合には当該土地の価格が下落する可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替えや洗浄が必要となる場合には、これに係る予想外の費用や時間が必要となる可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負う可能性があります。なお、土壌汚染対策法によれば、土地の所有者、管理者又は占有者は、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の特定有害物質による土地の土壌の汚染の状況について、都道府県知事により調査・報告を命ぜられることがあり、また、土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、都道府県知事によりその被害を防止するため必要な汚染の除去等の措置を命ぜられることがあります。
この場合、本投資法人に多額の負担が生じる可能性があり、また、本投資法人は、支出を余儀なくされた費用について、その原因となった者やその他の者から常に償還を受けられるとは限りません。
特に、本投資法人が主たる投資対象とする物流不動産の立地する地域は、工場跡地等の土壌汚染が懸念される地域であることが多く、上記リスクは他の物件を取得する場合に比して相対的に高いものとなります。また、本投資法人が建物又は建物を信託する信託の受益権を取得する場合において、当該建物の建材等に アスベストその他の有害物質を含む建材が使用されているか若しくは使用されている可能性がある場合やポリ塩化ビフェニル(PCB)が保管されている場合等には、当該建物の価格が下落する可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために建材の全面的又は部分的交換が必要となる場合には、これに係る予想外の費用や時間が必要となる可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務が発生する可能性が
あります。
将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、過失の有無にかかわらず不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。
(ツ) 水質汚濁防止法上の特定施設に関するリスク
本投資法人が不動産等を取得する場合において、当該不動産等に、浄化槽などの水質汚濁防止法に規定される特定施設が設置されている場合があります。
水質汚濁防止法によれば、特定施設の設置者は、排水基準に適合しない排出水を排出するおそれがある場合には、都道府県知事により汚水等の処理の方法等の改善や特定施設の使用若しくは排出水の排出の一時停止を命ぜられることがあり、また、特定施設の破損その他の事故が発生し、有害物質等を含む水等が排出され又は地下に浸透したことにより人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときには、有害物質等を含む水の排出又は浸透の防止のための応急の措置を講ずべき義務を負い、これを講じない場合には、都道府県知事により応急の措置を命ぜられることがあります。更に、有害物質に該当する物質を含む水の地下への浸透があったことにより、現に人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、都道府県知事によりその被害を防止するため必要な限度において、地下水の水質の浄化のための措置を命ぜられることがあります。これらの場合、本投資法人に多額の費用の負担が生じる可能性があります。加えて、かかる有害物質が含まれた排水の排出又は地下への浸透により、人の生命又は身体を害したときは、当該排出又は地下への浸透をした者は、無過失責任を負うものとされていることから、特定施設において事故等が生じた場合には、本投資法人が第三者に対して多額の損害を賠償する義務が発生する可能性もあります。
これらの結果、本投資法人の収益等が悪影響を受け、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。
(ネ) 埋立地に関するリスク
本投資法人の保有資産には、埋立地に立地するものが含まれていますが、埋立地に所在する不動産には、埋立に使用した土壌に有害物質が含まれている等の理由により、土地に有害物質が含まれている可能性があります(当該土地に有害物質が含まれる場合のリスクの詳細は、前記「(ソ) 有害物質に関するリスク」をご参照ください。)。また、埋立地は沿岸部に所在することも多く、津波、高潮その他の災害、海面上昇等による被害を受ける可能性もあります(かかる災害が生じた場合のリスクの詳細は、前記「(ハ) 災害等による不動産の毀損、滅失及び劣化並びに周辺環境の悪化に伴うリスク」をご参照ください。)。更に、埋立地の地盤は、軟弱である可能性があることから、当該土地上の建物について、不等沈下その他の沈下を生じる可能性があるほか、地震の際には液状化による沈下や毀損等の被害を生じる可能性もあります。これらの理由により当該不動産が被害を受けた場合、予定されていない費用、損害若しくは損失を本投資法人が負担し若しくは被る可能性があるほか、当該不動産の価値が下落する可能性があり、その結果、本投資法人の収益等が悪影響を受け、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。
(ナ) 不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク
信託受託者が信託財産としての不動産、不動産の賃借権又は地上権を所有し管理するのは受益者のためであり、その経済的利益と損失は、最終的には全て受益者に帰属することになります。したがって、本投資法人は、信託の受益権の保有に伴い、信託受託者を介して、運用資産が不動産である場合と実質的にほぼ同じリスクを負担することになります。
信託契約上、信託の受益権を譲渡しようとする場合には、信託受託者の承諾を要求されるのが通常です。更に、不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権については受益証券発行信託の受益証券でない限り私法上の有価証券としての性格を有していませんので、債権譲渡と同様の譲渡方法によって譲渡することになり、有価証券のような流動性がありません。
信託法(大正11年法律第62号。その後の改正を含みますが、信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号)による改正前のもの。)及び信託法(平成18年法律第108号。その後の改正を含みます。)上、信託受託者が倒産手続の対象となった場合に、信託の受益権の目的となっている不動産が信託財産であることを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託された不動産に信託設定登記をする必要があり、仮にかかる登記が具備されていない場合には、本投資法人は、当該不動産が信託の受益権の目的となっていることを第三者に対抗できない可能性があります。
また、信託財産の受託者が、信託目的に反して信託財産である不動産を処分した場合、又は信託財産である不動産を引当てとして、何らかの債務を負うことにより、不動産を信託する信託の受益権を保有する本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。
更に、信託契約上、信託開始時において既に存在していた信託不動産の欠陥、瑕疵等につき、当初委託者が信託財産の受託者に対し一定の契約上の責任を負担する場合に、信託財産の受託者が、かかる契約上の責任を適切に追及しない、又はできない結果、本投資法人が不測の損害を被り、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
信託受益権が準共有されている場合には、単独で所有する場合には存在しない種々のリスクがあります。まず、準共有されている受益権の対象不動産の管理において、他の準共有者の承諾が必要となる場合があります。また、準共有持分は信託受託者の承諾を得ることで譲渡可能であるため、本投資法人の意向にかかわりなく他の準共有者が変更される可能性があります。更に、信託受託者に対して負担する信託費用等の支払債務は不可分債務であると一般的に解されており、準共有者の資力によっては、本投資法人が準共有持分の割合を超える金額を支払う義務が生じ、かつ当該超過支払分について償還を受けることができない可能性があります。
(ラ) フォワード・コミットメント等に係るリスク
本投資法人は、不動産等を取得するにあたり、フォワード・コミットメント等を行うことがあります。一般的に不動産売買契約が買主の事情により解約された場合には、買主は債務不履行による損害賠償義務を負担することとなります。また、損害額等の立証にかかわらず、不動産等の売買価格に対して一定の割合の違約金が発生する旨の合意がなされることも少なくありません。フォワード・コミットメント等の場合には、契約締結後、決済(物件引渡し)までに一定の期間があるため、その期間における市場環境の変化等により本投資法人が不動産取得資金を調達できない等の理由により、売買契約を解約せざるを得なくなった場合には、違約金等の支払により、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
⑤ 税制に関するリスク
(イ) 導管性要件に関するリスク
投資法人の主な導管性要件 | |
支払配当要件 | 配当等の額が配当可能利益の額の90%超であること (利益を超えた金銭の分配を行った場合には、金銭の分配の額が配当可能額の90%超であること) |
国内50%超募集要件 | 投資法人規約において、投資口の発行価額の総額のうちに国内において 募集される投資口の発行価額の占める割合が50%を超える旨の記載又は記録があること |
借入先要件 | 機関投資家(租税特別措置法第67条の15第1項第1号ロ(2)に規定するものをいいます。次の「所有先要件」において同じです。)以外の者か ら借入れを行っていないこと |
所有先要件 | 事業年度の終了の時において、発行済投資口が50人以上の者によって所 有されていること又は機関投資家のみによって所有されていること |
非同族会社要件 | 事業年度の終了の時において、投資主の1人及びその特殊関係者により発行済投資口の総口数あるいは議決権総数の50%超を保有されている同族会社に該当していないこと |
会社支配禁止要件 | 他の法人の株式又は出資の50%以上を有していないこと(匿名組合出資を含み、一定の海外子会社の株式又は出資を除きます。) |
税法上、投資法人に係る課税の特例規定により、一定の要件(導管性要件)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、利益の配当等を投資法人の損金に算入することが認められています。
本投資法人は、導管性要件を満たすよう努める予定ですが、今後、下記に記載した要因又はその他の要因により導管性要件を満たすことができない可能性があります。本投資法人が、導管性要件を満たすことができなかった場合、利益の配当等を損金算入することができなくなり、本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
a. 会計処理と税務処理との不一致によるリスク
会計処理と税務処理との不一致(税会不一致)が生じた場合、会計上発生した費用・損失について、税務上その全部又は一部を損金に算入することができない等の理由により、法人税等の税負担が発生し、配当の原資となる会計上の利益は減少します。支払配当要件における配当可能利益の額(又は配当可能額)は会計上の税引前利益に基づき算定されることから、多額の法人税額が発生した場合には、配当可能利益の額の 90%超の配当(又は配当可能額の90%超の金銭分配)ができず、支払配当要件を満たすことが困難となる可能性があります。
なお、2015年度税制改正により、交際費、寄附金、法人税等を除く税会不一致に対しては、一時差異等調整引当額の分配により法人税額の発生を抑えることができるようになりましたが、本投資法人の過去の事業年度に対する更正処分等により多額の追徴税額(過年度法人税等)が発生した場合には、法人税等は一時差異等調整引当額の対象にならないため、支払配当要件を満たすことができないリスクは残ります。
b. 資金不足により計上された利益の配当等の金額が制限されるリスク
借入先要件に基づく借入先等の制限や資産の処分の遅延等により機動的な資金調達ができない場合には、配当の原資となる資金の不足により支払配当要件を満たせない可能性があります。
c. 借入先要件に関するリスク
本投資法人が何らかの理由により機関投資家以外からの借入れを行わざるを得ない場合又は本投資法人の既存借入金に関する貸付債権が機関投資家以外に譲渡された場合、あるいはこの要件の下における借入金の定義が税法上において明確ではないためテナント等からの預り金等が借入金に該当すると解釈された場合においては、借入先要件を満たせなくなる可能性があります。
d. 投資主の異動について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
本投資口が市場で流通することにより、本投資法人のコントロールの及ばないところで、所有先要件あるいは非同族会社要件が満たされなくなる可能性があります。
(ロ) 税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、導管性要件に関する取扱いに関して、税務当局との見解の相違により更正処分を受け、過年度における導管性要件が事後的に満たされなくなる可能性があります。このような場合には、本投資法人が過年度において行った利益の配当等の損金算入が否認される結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ハ) 不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、規約における投資方針において、その有する特定資産の価額の合計額に占める特定不動産の価額の合計額の割合を75%以上とすること(規約第28条第2項)としています。本投資法人は、上記内容の投資方針を規約に定めること、及びその他の税法上の要件を充足することを前提として、直接に不動産を取得する場合の不動産流通税(登録免許税及び不動産取得税)の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更された場合には、軽減措置の適用を受けることができない可能性があります。
(ニ) 一般的な税制の変更に関するリスク
不動産、不動産信託受益権その他本投資法人の資産に関する税制若しくは本投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、投資口に係る利益の配当、資本の払戻し、譲渡等に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、本投資口の保有又は売却による投資主の手取金の額が減少し、又は税務申告等の税務上の手続面での負担が投資主に生じる可能性があります。
⑥ その他
(イ) 専門家報告書等に関するリスク
不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価格は、個々の不動産鑑定士等の分析に基づく、分析の時点における評価に関する意見を示したものにとどまり、客観的に適正な不動産価格と一致するとは限りません。同じ物件について鑑定、調査等を行った場合でも、不動産鑑定士等、評価方法又は調査の方法若しくは時期によって鑑定評価額、調査価格の内容が異なる可能性があります。また、かかる鑑定等の結果は、現在及び将来において当該鑑定評価額や調査価格による売買の可能性を保証又は約束するものではありません。建物状況調査報告書についても、建物の評価に関する専門家が調査した結果を記載したものにすぎず、不
動産に欠陥、瑕疵が存在しないことを保証又は約束するものではありません。
土壌汚染に関する各報告書は、個々の専門業者が調査した結果を記載したものにすぎず、土壌汚染が存在しないことを保証又は約束するものではありません。また、土壌汚染が存在する場合に、専門家に対して確認を行うことがありますが、当該確認の結果得られた専門家の土壌汚染のリスク等に関する意見は、個々の専門家の分析に基づく、分析の時点におけるリスク等に関する意見を示したものにとどまり、当該リスク等の内容又は程度を保証又は約束するものではありません。
更に、不動産に関して算出されるPML値も個々の専門家の分析に基づく予想値にすぎません。PML値は、損害の予想復旧費用の再調達価格に対する比率で示されますが、将来、地震が発生した場合、予想以上の多額の復旧費用が必要となる可能性があります。
(ロ) マーケットレポートへの依存に関するリスク
第三者によるマーケット分析は、個々の調査会社の分析に基づく、分析の時点における評価に関する意見を示したものに留まり、客観的に適正なエリア特性、需要と供給、マーケットにおける位置づけ等と一致するとは限りません。同じ物件について調査分析を行った場合でも、調査分析会社、分析方法又は調査方法若しくは時期によってマーケット分析の内容が異なる可能性があります。特に物流不動産に関する情報はオフィスビルや住宅に比べるとサンプル数が少ない等、投資判断に必要な全ての情報が網羅されている訳ではありません。
(ハ) 減損会計の適用に関するリスク
固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号平成15年10月31日。その後の改正を含みます。)が、2005年4月1日以後開始する事業年度より強制適用されたことに伴い、本投資法人においても減損会計が適用されています。減損会計とは、主として土地・建物等の事業用不動産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。減損会計の適用に伴い、地価の動向及び運用資産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の損益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ニ) 一時差異等調整引当額の戻入れにより利益の分配が減少するリスク
本投資法人が貸借対照表の純資産の部に一時差異等調整引当額を計上している場合、一時差異等調整引当額の計上は、会計と税務における損益の認識のタイミングの調整のために行われるものであるため、当該引当額の計上に起因した税会不一致が解消したタイミングでその戻入れが求められます。当該戻入れは本投資法人の利益をもって行われることから、当期未処分利益が一時差異等調整引当額の戻入れに充当される結果、分配可能金額が減少する可能性があります。
なお、純資産控除項目(主に繰延ヘッジ損益のマイナス)に起因する一時差異等調整引当額に関しては、その戻入れの原資となる利益が過年度から繰り越されるため、当該戻入れによって当期の利益に対応する利益分配金が減少することはありません。
(2)投資リスクに対する管理体制
本投資法人及び本資産運用会社は、以上のようなリスクが投資リスクであることを認識しており、その上でこのようなリスクに最大限対応できるようリスク管理体制を整備しています。
しかしながら、当該リスク管理体制については、十分に効果があることが保証されているものではなく、リスク管理体制が適切に機能しない場合、投資主又は投資法人債権者に損害が及ぶおそれがあります。
① 本投資法人の体制
(イ) 役員会
本投資法人は、業務執行の意思決定及び執行役員に対する監督機関として役員会が十分に機能し、執行役員が本投資法人のために忠実にその職務を遂行するよう努めています。本投資法人の定時役員会は、少なくとも3か月に一度開催され、定時役員会において、執行役員は、自己の職務の執行状況等を報告するものとされています。
(ロ) 本資産運用会社への牽制
本投資法人と本資産運用会社との間で締結された資産運用委託契約には、規約、資産運用委託契約、投信法、投信法施行令、投信法施行規則、金融商品取引法、宅地建物取引業法その他の本投資法人に適用される関係法令及び投信協会その他の自主規制機関の諸規則の規定等を遵守し、本投資法人のために忠実にかつ善良なる管理者の注意をもって委託業務を遂行すること等が定められています。また、運用資産の運用状況に関する報告書の作成及び交付、委託業務に関する報告等の義務を本資産運用会社に負わせることにより、本投資法人の投資リスクを管理しています。
(ハ) 内部者取引管理規程
本投資法人は、内部者取引の管理等に関する規程を制定し、役員による内部者取引の未然防止等を図っています。
② 本資産運用会社の体制
本資産運用会社は、前記「(1) リスク要因」のリスクに対し、以下のとおりリスク管理体制を整備しています。
(イ) 資産運用ガイドライン及びリスク管理規程の策定・遵守
本資産運用会社は、投資方針等に関する基本的な考え方について定めた資産運用ガイドラインを策定しており、かかる資産運用ガイドラインを遵守することにより、投資運用に係るリスクの管理に努めています。本資産運用会社は、リスク管理規程において、リスク管理の基本方針及びリスク管理体制等を規定し、主 要なリスクとして運用・助言リスク、財務リスク、信用リスク、投資リスク、法令違反リスク、風評リスク、システムリスク及び事務リスクを定義し、各リスクの管理業務は、第一義的には、各々のリスクにかかわる業務を所管する各部室において、各リスクの把握・分析・評価(内部管理態勢の認識・評価を含みます。)・対応案の立案及び管理を行うこととしています。各部室長は、新たに重大なリスクを把握した場合には、速やかにリスク管理統括責任者(コンプライアンス室長)及び取締役社長にその内容を報告すると共
に、当該リスク発生の原因分析・リスク軽減策その他の改善策の立案を行うこととされています。
また、本資産運用会社では、利害関係者取引規程により、利害関係者との一定の取引についてコンプライアンス室長がコンプライアンス上の問題の有無につき承認した後、必ずコンプライアンス・リスク管理委員会においてコンプライアンス上の問題の有無を審議しその承認を得なければならないものとしています。このように、本資産運用会社は、利害関係者との取引により本投資法人に不利益を生じさせることがないよう、厳格な審査を行った上で取引を実施する態勢を構築しています。なお、当該取引が投信法第201条の2第 1項に定める本投資法人と本資産運用会社の利害関係人等(投信法第201条第1項に定義される利害関係人等を意味します。)との取引に該当する場合は上記の手続に加え、あらかじめ、本投資法人の役員会の承認を得なければならないものとされています。
(ロ) 法令等遵守体制
a. 概要
本資産運用会社は、投資家の保護及び本資産運用会社の業務の適正化を図るため、法令等の定めるところに従い、業務を遂行することを目的に、「コンプライアンス規程」、「コンプライアンス・リスク管理委員会規程」及び「リスク管理規程」を定め、法令等遵守体制を整備しています。
具体的には、本資産運用会社がその資産の運用を受託する本投資法人の資産運用業務が本投資法人の投資主の資金を運用する行為であるという重要性を理解し、適正な運用体制を構築するため、本資産運用会社のコンプライアンスに関する事項を担当する部門としてコンプライアンス室を設置し、またコンプライアンスに関する事項を統括する責任者としてコンプライアンス室長を任命し、他の部門に対する社内牽制機能の実効性を確保します。更に、コンプライアンス・リスク管理委員会の設置及び運営により、重層的な法令等遵守体制を確立しています。
b. 取締役会
取締役会は、業務執行の最終責任を負う機関として、コンプライアンスの徹底を図り、コンプライアンス・リスク管理委員会等における承認事項等の報告を受けるとともに、本資産運用会社のコンプライアンスに関する重要事項について決議します。
c. コンプライアンス・リスク管理委員会
コンプライアンス・リスク管理委員会は、取締役会、コンプライアンス室長及びコンプライアンス室と連携し、「コンプライアンス・リスク管理委員会規程」に定める業務を担います。
d. コンプライアンス室長
コンプライアンス室長は、本資産運用会社におけるコンプライアンスに関する事項を統括する責任者として、社内のコンプライアンス体制を確立するとともに、法令等を遵守する社内の規範意識を醸成することに努めます。このため、コンプライアンス室長は、本資産運用会社による本投資法人のための資産運用における業務執行が法令等に基づいていることを常に監視し、日常の業務執行においても法令等の遵守状況の監視監督を行います。
e. コンプライアンス室
コンプライアンス室は、本資産運用会社のコンプライアンスに関する事項を担当し、前記「1 投資法人の概況 (4) 投資法人の機構 ② 投資法人の運用体制 (ロ) 本資産運用会社の各組織の業務分掌体制」に定める業務を担います。
f. コンプライアンスに関する社内体制
コンプライアンス室は、各役職員等が本資産運用会社内において業務運営に係る法令等違反行為又は法令等違反の可能性が高い行為を発見した場合において直ちに報告を受けることのできる体制を整備しています。
(ハ) 利害関係者取引規程
後記「第二部 投資法人の詳細情報 第3 管理及び運営 2 利害関係人との取引制限 (2) 利害関係者取引規程」をご参照ください。
(ニ) 内部者取引管理規程
本資産運用会社では、内部者取引管理規程を制定し、本資産運用会社の役職員等によるインサイダー取引等の防止に努めています。
(ホ) フォワード・コミットメント等
フォワード・コミットメント等に係る物件は、決済までの間、本投資法人の貸借対照表には計上されずオフバランスとなりますが、当該期間中の当該物件の価格変動リスクは本投資法人に帰属することになります。このため、フォワード・コミットメント等を行う場合、本資産運用会社において、本投資法人の財務に与える影響の大きさに鑑み、原則として、(ⅰ)解約違約金の水準、(ⅱ)物件の取得額の上限、(ⅲ)契約締結から物件引渡しまでの期間の上限及び(ⅳ)決済資金の調達方法について基準を設定する等、投資家に与える影響を十分に勘案し、あらかじめ慎重に検討して対応することとし、当該リスクを管理しています。