COVID-19 レジストリデータ利用規約
COVID-19 レジストリデータ利用規約
COVID-19 レジストリ(COVID-19 REGISTRY JAPAN [COVIREGI-JP])(以下、本レジ
ストリ)は新型コロナウイルス感染症の治療に対する知見の集約や抗ウイルス薬の開発推進のために、国立研究開発法人 国立国際医療研究センターが開始した観察研究(レジストリ)である。COVID-19 レジストリデータ利用規約(以下、「本規約」)は、本レジストリに登録された情報の取扱いについて定めた規約である。
なお、本レジストリは、2021 年 4 月より新興・再興感染症データバンク事業において構築する新興・再興感染症に関する各種研究・開発の基盤となるナショナル・リポジトリ
(REpository of Data and Biospecimen of INfectious Disease。以下「REBIND」という。)の傘下で運用している。本規約に定めのない事項については REBIND 利活用規約に従う。
1. 用語の定義
・ レジストリデータ:本レジストリにて収集されたデータとそこから派生した中間生成物。
・ raw データ:本レジストリにて収集され加工されていないデータ。
・ 申請者:本規約に則りデータ利用を行うために、レジストリデータの提供を求める者であり、本事務局に登録された参加施設の研究責任者とする。
2. レジストリデータの取り扱い
2.1 多施設データ:研究利用
本レジストリに登録されたデータは、COVID-19 レジストリ研究審査・査読委員会(以下、研究審査・査読委員会)または REBIND 利活用審査委員会において認められた研究において、利用・公表が可能である。研究審査・査読委員会では、以下のような点を鑑み、レジストリデータの研究利用についての審議を行う。2024 年 2 月以降は研究審査・査読委員会での審議は行わず、REBIND 利活用審査委員会での審議のみ行う。REBIND 利活用審査委員会での審議にあたっては、REBIND 利活用規約に従う。
・ 公的研究費の財源の有無(厚生労働省科学研究費、文部科学省科学研究費、AMED 等、研究審査・査読委員会で認められた研究)。研究費申請時より研究審査・査読委員会での審議の対象となる
・ 公的研究費の財源はないが、研究結果の公益性等の観点から適切と考えられるもの
・ データ利用の対象となる施設の同意状況
・ 独創性、症例登録数
ただし、研究審査・査読委員会において過去に認められた研究において、研究内容に変更がなくデータの利用期間延長のみの追加申請をする場合、研究審査・査読委員会に代わり本事務局が審査および承認を行うことができる。
研究審査・査読委員会において認められた研究に関しては、データ利用の対象となるすべての施設の同意がなくとも、申請者へのデータ提供の対象となる。ただし、研究概要について本レジストリのホームページに掲載すると共に、各参加医療機関に掲載に関する周知を行う。掲載後一定期間内に各医療機関から自施設の症例情報利用の不同意の申出があった場合には、申出施設のデータに関しては申請者への提供を行わない。
2.2 多施設データ:研究以外の目的での利用
本レジストリに登録されたデータは、解析後に地域や国の集計データとして利用・公表が可能である。地域や国の集計データとして利用・公表される場合、レジストリデータ使用申請は不要であるが、COVID-19 研究運営委員より外部委員も含めた意思決定メンバーを選定し、その承認を得る。ただし、個々の参加施設や個人が推定可能な状況では原則として公表は控える。公表データの利用に関しては、引用、転載、複製する際は、必ず出典を明示する。なお、公益性の高い研究開発に関わるものを除き、原則として営利目的でのレジストリデータの利用は認めない。本事務局が、公の場で情報公開を行う必要が生じた場合、データセンターは必要な情報を速やかに提供する必要がある。
2.3 自施設データ利用
本レジストリに登録されたデータのうち、自身の施設で入力してデータセンターにて集約した自施設データに関しては、当該施設でデータの使用申請をし、利用・公表が可能である。自施設データは、研究のみならず、データの保管や院内統計などを目的とした非研究目的での申請も可能である。
3. レジストリデータ使用申請の方法
3.1 多施設データ
<申請資格>
本研究に継続参加していること。研究参加を終了した場合は、多施設データの申請・利用共に許可しない。ただしデータ使用申請の時点で研究に参加しており、本規約に基づいてデータ使用申請を行った上で、研究審査・審査査読委員会またはREBIND 利活用審査委員会で承認された研究においては、本レジストリ研究全体について研究終了の方針が掲げられ、データセンターに集約されている自施設データに疑義が生じておらず全データが固定されていることが確認できている場合はこの限りではない。
<申請者>
申請者は、本事務局に登録された参加施設の研究責任者とする。民間企業を含む他の申請者に関しては、本事務局に登録された参加施設の研究責任者を共同研究者とすること。
<倫理審査>
研究審査・査読委員会にて承認された研究は、自施設もしくは国立研究開発法人 国立国 際医療研究センター 倫理審査委員会等にて、倫理審査委員会の承認を得てから、実施する。
<申請方法>
指定のデータ使用申請書を用いて申請を行う。申請内容につき虚偽が判明した場合は、以下の 4.2 無断利用の対応に準じる。
<申請内容の変更・追加>
既に研究審査・査読委員会にて承認された研究について、研究内容の変更・追加等がある場合、追加申請としてデータ利用申請を行う。方法は上記<申請方法>に準じる。
<特記事項>
本規約に基づいてデータ使用申請を行い、研究審査・査読委員会または REBIND 利活用審査委員会で承認された研究が 2025 年 4 月 1 日以降も研究を継続する場合は、REBIND におけるルールに則り必要な対応を行うこと(REBIND の e ラーニング受講等)。
3.2 自施設データ
<申請資格>
本研究に参加していること。本研究への参加を終了する場合でも、参加終了時にデータ申請をすることが可能であり、研究参加終了後も自施設データを用いた単施設の研究は実施可能である。しかし、下記 5. 報告義務を順守すること。自施設データを他施設と共同利用し、多施設研究を行う場合は、多施設データの利用資格同様、本研究への継続参加が必要である。
<申請者>
申請者は、本事務局に登録された参加施設の研究責任者とする。民間企業を含む他の申請者に関しては、本事務局に登録された参加施設の研究責任者を共同研究者とすること。
<倫理審査>
研究目的でデータを利用する際は、自施設もしくは国立研究開発法人 国立国際医療研究センター倫理審査委員会等にて適切に倫理審査委員会の承認を得た上で、研究を実施する。
<申請方法>
指定のデータ使用申請書を用いて申請を行う。自施設データを他施設と共同利用する場合、10 施設以内かつ関連病院(同一法人など)の場合は認めるが、申請書に明記すること。 10 施設以内ではあるが関連病院(同一法人など)以外であったり、10 施設より多い病院が共同で利用する場合、研究審査・査読委員会で審議が必要となるため、別途、代表施設より多施設データ利用申請を提出すること。
申請内容につき虚偽が判明した場合は、下記 4.2 無断利用の対応に準じる。
<申請内容の変更・追加>
既に提供したデータ利用申請について、申請内容の変更・追加等がある場合、追加申請または新規申請としてデータ利用申請を行う。方法は上記<申請方法>に準じる。ただし、自施設データ利用申請においては、定期的なデータ提供を希望することができる。定期的なデータ提供を希望した場合、本事務局の定めた頻度で定期的に自施設データ提供を受けることができる。
<特記事項>
本レジストリは、2024 年 3 月 31 日を以って新規症例登録を終了したため、それに際し て自施設データ利用申請の受付及び定期的なデータ提供を終了した。ただし、COVID-19 研 究運営委員より外部委員も含めた意思決定メンバーの承認を得た場合はこの限りではない。
4. レジストリデータの公表
4.1 COVID-19 レジストリデータを用いた研究の公表
<多施設データ:研究利用>
申請者もしくは共同研究者に対して、筆頭著者、corresponding author、最終著者の権利を認める。発表者/共著者は、申請者、共同研究者に加え、当該研究への貢献に応じてCOVID- 19 レジストリ研究運営者(本研究代表者、運営委員、研究審査・査読委員、 データセンター、本事務局)を追加することを検討する。例として、データセンターの人員がデータ解析の補助を行った場合はその者を共著者へ追加する等がある。
また、申請者及び共同研究者は、本レジストリデータを用いた過去の研究との整合性を検討し、結果に対して責を負う。研究審査・査読委員は、先行研究との整合性について、適宜、申請者及び共同研究者に対して助言する。
<自施設データ:研究利用>
研究利用の場合、COVID-19 レジストリ研究運営者(本研究代表者、運営委員、研究審査・査読委員、データセンター、本事務局)は、原則として解釈には関知せず、共著には入らない。
4.2 COVID-19 レジストリデータであることの明記と無断利用
本レジストリデータを利用する場合、本レジストリによるデータであること、並びに、 REDCap 利用の旨を明記する(以下、記載例の<COVID-19 レジストリの利用>、< REDCap の利用>を参照)。データ使用申請が行われずに、本レジストリデータの無断利用が行われていたことが判明した場合、レジストリへの参加並びにデータの利用を停止する。また、無断で本レジストリデータを利用して作成した著作物もしくはそれに該当するものを投稿した雑誌および学会等に対して本事務局が取り下げを要求する。本レジストリデータの利用に関する紛争については、当該紛争に関わるコンテンツまたは利用条件を公開している組織の所在地を管轄する地方裁判所を、第xxの専属的な合意管轄裁判所とする。
(記載例)
< COVID-19 レジストリの利用>
本研究には、承認を得たのちに国立国際医療研究センターCOVID-19 レジストリ
(COVIREGI-JP)のデータを用いた。
COVID-19 REGISTRY JAPAN (COVIREGI-JP) data of National Center for Global Health and Medicine were used for this study with permission.
< REDCap の利用>
The study data were collected and managed using REDCap (Research Electronic Data Capture) a secure, web-based data capture application hosted at JCRAC data center of National Center for Global Health and Medicine.
引用文献(必要な場合):Xxxxxx XX, Xxxxxx X, Xxxxxxx R, Xxxxx J, Xxxxxxxx N, Xxxxx JG. Research electronic data capture (redcap): a metadata-driven methodology and workflow process for providing translational research informatics support. J Biomed Inform 2009;42:377–381.
5. 本レジストリデータを研究に利用した場合の報告義務
研究目的での申請が受理された場合、本事務局への下記の報告を義務とする。
・ データ受領後、毎年度の進捗状況報告(多施設データ利用時のみ)
・ 論文投稿前のドラフトの提出
・ 論文投稿後の成果物報告書の提出
6. データの利用方法
6.1 多施設データ:研究利用
・ レジストリデータは、申請内容を元にデータセンターが申請者と調整する。
・ raw データの国立研究開発法人 国立国際医療研究センター外への持ち出しは許可しない。
・ データ利用者が、国立研究開発法人 国立国際医療研究センターに設置される解析室 に来室して解析、もしくは国立研究開発法人 国立国際医療研究センターに解析を依頼、のいずれかを選択する。
・ 中間生成物に関しては、事前に協議の上採否を決定する。
・ 研究の進捗状況によっては、本事務局より状況確認およびデータ使用許可の継続について相談することがある。データ利用期間を大幅に超過したまま申請者と連絡がつかない場合は、事務局の判断でデータ利用を中止する場合がある。
・ 上述の条項に基づき提供した例においてレジストリデータを利用する場合には、別紙の「COVID-19 レジストリデータの管理方法・セキュリティ規約」を遵守のこと。
6.2 自施設データ利用
自施設データは、COVID-19 レジストリにて収集されたraw データで提供が可能である。自施設データに項目を追加し研究する事を妨げない。
7. データの精度管理とレジストリ参加停止
参加施設は自施設からの入力データの精度管理の責を負うこととする。データ登録に人為的虚偽の事実があることが判明した場合や本規約のいずれかの条項に違反した場合、そ
の他本事務局が適当でないと判断した場合は、レジストリへの参加並びにデータの利用を停止する。本条に基づき本事務局が行った行為による登録データの抹消について、本事務局は一切の責任を負わない。
8. 本研究と同一の対象者を含む研究で、本研究データを利用しない場合の対応について
レジストリの網羅性を高めること、様々な医療機関が各々積極的に研究成果を公表すること、いずれもが社会にとって重要であることから、本レジストリとしては同一症例が他の研究に含まれることは現状ではやむを得ないものと認識している。
以上
第1版:2020 年 5 月 14 日発効
第 1.1 版:2020 年 6 月 29 日改訂
第 2 版:2020 年 7 月 18 日改訂
第 3 版:2020 年 12 月 25 日改訂
第 4 版:2021 年 6 月 11 日改訂
第 5 版:2023 年 4 月 12 日改訂
第 6 版:2024 年 5 月 20 日改訂
COVID-19 レジストリデータの管理方法・セキュリティ規約
第 1 条(目的)
⬝ この規定は、「COVID-19 に関するレジストリ研究班」事務局が管理する COVID-19 レジストリデータを利用する場合に必要な事項を規定する。
第 2 条(定義)
⬝ COVID-19 レジストリデータ(以下「本レジストリデータ」)とは、COVID-19 レジストリにて収集されたデータ及びそこから派生した中間生成物とする。
第 3 条(利用者と目的)
⬝ 「COVID-19 レジストリデータ使用申請書」に記載の利用者及び目的に限定した利用を行うものとする。情報を利用するすべての者について、その所属機関名、所属部署名、役職名、氏名等を記載すること。また、業務の委託等により組織で利用し、個別の利用者を特定できない場合であっても、利用する組織をできるだけ具体的に記載すること。
第 4 条(データの保管)
⬝ 提供を受けた自施設の本レジストリデータは、利用者が所属する施設もしくは研究組織・団体等のみで利用することとする。
⬝ 本レジストリデータを管理するコンピューター端末には個人 ID とパスワードを設定 し、第 3 条に定めた利用者以外の者がアクセスできないようにする。また、コンピュー ターウイルス対策ソフトを導入し、情報漏洩、改ざんなどが発生しないよう対策を施す。
第 5 条(データの複製)
⬝ 本レジストリデータはUSB メモリーに保存してはならない。
⬝ 中間生成物をやむを得ず持ち出す場合、持ち出しに利用する情報機器に対して起動パスワードを設定する。
⬝ 盗難、置忘れ等に対応する措置として、中間生成物の開封に対してパスワードを設定する等、容易に内容を読み取られないような対策を施す。
第 6 条(電子メールへファイル添付する際の注意)
⬝ 中間生成物を電子メールに添付する際は、パスワードを設定する。また、設定したパスワードを他人に送信する際は、ファイルを添付したメールとは別送する。
第 7 条(禁止事項)
⬝ 本レジストリデータの利用者は、次の行為をしてはならないものとする。①第 3 条に定める目的以外で本レジストリデータを利用すること ②第 3 条に定める利用者以外の第三者にデータを提供すること ③本レジストリデータを利用して特定の個人および施設を類推すること
第 8 条(COVID-19 レジストリデータの秘密保持)
⬝ 本レジストリデータがもつ情報(以下、秘密情報)は第三者に開示、漏洩してはならない。ただし、次のいずれかに該当する情報については、この限りではない。
① 秘密情報を受ける際、すでにデータ受領者が保有していた情報
② 秘密情報を受ける際、既に公知となっている情報
③ 秘密情報を受けた後、データ受領者の責によらず公知となった情報
④ 成果物の開示、発表などのため、COVID-19 レジストリデータ利用規約に定める手続きを踏んだ情報
第 9 条(成果物の公表)
⬝ 利用者が本レジストリデータを利用した成果物を開示、発表、公表するにあたっては、申請並びに成果物の公表に際し「COVID-19 レジストリデータ利用規約」に定める所定の手続きを踏むこととする。
第 10 条(罰則)
・ 本規定に従わなかった場合、故意、過失を問わず、本レジストリデータの利用権を停止することもありえる。
第 11 条(その他)
・ 各施設での倫理規定や情報管理・セキュリティ規定を遵守すること。
第1版:2020 年 5 月 14 日発効
第 1.1 版:2020 年 6 月 29 日改訂
第 2 版:2020 年 7 月 18 日改訂