(2)運用に迷ったら ~制度運用 Q&A~ 36
有期契約労働者の育児休業取得推進に向けて
~子育てしながら働き続けられる職場づくりのために~
目 次
1.有期契約労働者も育児休業を取得できることを知っていますか?
~育児・介護休業法に定められた労働者の権利と育児休業に対するニーズ~ 2
2.どのような有期契約労働者が育児休業を取得できるのでしょうか?
~育児・介護休業法上、育児休業をすることができる有期契約労働者の解説~ 4
3.有期契約労働者にも適用となる育児休業以外の支援制度
~育児・介護休業法に規定されている育児関連の措置~ 8
4.必要な手続きの流れを確認しましょう!
~妊娠・出産・休業・復帰までのフローチャート~ 9
5.社内環境整備のステップ 10
ステップ1 育児休業制度を設けるための現状把握 11
(1)有期契約労働者の現状を調べる 11
(2)正社員の育児休業の取得状況を調べる 13
ステップ2 有期契約労働者の育児休業制度等の検討・導入 14
(1)育児・介護休業法の概要と法定基準の把握(4ページを参照) 14
①育児休業を取得できる有期契約労働者とは 14
②育児休業期間 14
(2)育児休業の対象となる有期契約労働者や期間の検討 15
(3)就業規則の作成・変更 17
(4)育児休業中の労働契約について 18
(5)制度導入に合わせて運用体制を整える 19
(6)国の実施している支援制度の活用も検討 19
(7)育児休業以外の育児支援策の実施 21
(8)不利益取扱いの禁止 21
ステップ3 制度の周知・浸透 22
(1)有期契約労働者に対して周知する 22
(2)職場の管理者等に対して周知する 25
6.円滑な運用のための方策 27
(1)対応場面別の運用方策 27
①育児休業取得の申出があった時の対応 27
②育児休業取得までの手続き 29
③育児休業中の業務体制の整備(代替要員の確保等) 30
④育児休業中の労働者に対するフォローアップ 32
⑤復職に際して及び復帰後の配慮 33
(2)運用に迷ったら ~制度運用 Q&A~ 36
①有期契約労働者の育児休業に関する Q&A(上司向け) 36
②有期契約労働者の育児休業に関する Q&A(本人向け) 40
参考資料 44
参考資料1.関連法令や支援制度の活用 44
参考資料2.有期契約労働者の育児休業等の利用状況に関する調査について 48
参考資料3.平成 22 年度有期契約労働者の育児休業等の取得に関する調査について 48
参考資料4.社内様式例 49
人事担当者の皆様へ
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下では「育児・介護休業法」といいます)が改正され、平成17年4月より、これまで対象外とされていた有期契約労働者も、一定の要件を満たす場合には、育児休業や介護休業をできること等が法律上認められるようになりました。
育児休業の取得率(出産した女性労働者あるいは配偶者が出産した男性労働者に占める育児休業取得者の割合)は年々増加しています。ただし、有期契約労働者については「どういう有期契約労働者が対象となるのかわかりにくい」「パートタイマーは(契約社員は/派遣社員は)育児休業がとれないのでは?」など、制度の理解があまり進んでいない現状であり、まだまだ育児休業の取得は進んでいない状況にあります。
育児休業の対象となる有期契約労働者に対して、育児休業の申出や育児休業を取得したことを理由として丌利益な取り扱いをすることは、法律で禁止されています。しかし、職場の上司が制度の内容を十分に理解していないためにトラブルが生じ、コンプライアンス上の問題となるケースもあります。したがって、単に、社内規定を作る等の制度導入をはかるだけでなく、周知や具体的運用ノウハウの提示など、育児休業を取得しやすい社内環境整備もはかっていく必要があります。
このようなことから、有期契約労働者の方が育児休業を取得しやすく、働き続けやすい職場づくりを進めるために、このマニュアルを作成しました。作成にあたり、小売業、飲食業、福祉業における実態を調査するとともに、ヒアリング等による好事例を収集し、マニュアルの中で紹介しています。
各企業で人事労務の実務を担われる皆様に、是非、有期契約労働者の方の育児休業を取得しやすい環境を整えていただき、有為な人材の活用を図っていただきたいと思います。
1.有期契約労働者も育児休業を取得できることを知っていますか?
~育児・介護休業法に定められた労働者の権利と育児休業に対するニーズ~
◇ 育児休業の取得は、育児・介護休業法上の労働者の権利です
「育児休業」は原則として1歳に満たない子を養育するための休業であり、労働者の申出を要件としています。平成17年4月より、これまで対象外とされていた有期契約労働者も、一定の要件を満たす場合には、育児休業や介護休業をできること等が法律上認められています。(育児・介護休業法第5条、第11条)
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
100.0%
正社員と同じ職務
46.5%
19.7%
1.3%
正社員よりも高度な職務
1.0%
14.8%
別の職務だが、高度でも軽易でもない職務
12.0%
正社員よりも軽易な職務
35.1%
65.3%
わからない、いない 0.5%
0.7%
無回答
1.9%
1.3%
フルタイムの有期契約労働者
(n=1280)
短時間の有期契約労働者
(n=1091)
◆有期契約労働者への育児と仕事の両立支援が必要となっています
仕事の内容からみても、正社員と同様の職務に従事している有期契約労働者(「正社員同様職務型」)、正社員とは別の職務であるが高度でも軽易でもない職務に従事している有期契約労働者(「別職務・同水準型」)など、基幹業務を担っている有期契約労働者もフルタイムで働く者を中心に多く、会社にとって重要な戦力となっています。
図表 職務タイプ別有期契約労働者の割合
(資料)平成 22 年度有期契約労働者の育児休業等の取得に関する企業調査(厚生労働省)
また、勤続年数からみても、有期契約労働者は、必ずしも臨時的・短期的な業務に従事しているわけではなく、現在の勤務先での勤続年数は、平均でも約 4 年程度となっており、長期にわたって勤務している方が尐なくありません。有期契約労働者が、会社にとって、職場を安定的に担う重要な戦力になっていることがうかがえます。有期契約労働者が仕事と育児の両立をしながら働くことのできる職場づくりは、一層重要となっています。
図表 有期契約労働者の勤続年数(現在の勤務先)
5年超~10年以内, 17.0%
3年超~5年以内, 20.4%
10年超, 4.7%
6ヶ月超~1年以内, 18.1%
1年超~3年以内, 39.8%
(資料)平成 22 年度有期契約労働者の育児休業等の取得に関する労働者調査(厚生労働省)
◆ 優秀な人材の獲得・定着のためにも重要です
人材丌足感の強い業種や職種、子育て世代の労働者の割合が高い職場にかぎらず、様々な職場において、仕事と生活の調和(ワークライフバランス)が実践できる、働きやすい環境を整備することは、人材の獲得・定着にあたって重要な要素といえます。
有期契約労働者を対象とした調査でも、仕事や勤務先の選択にあたって、約6割の労働者が両立支援制度を重視すると回答しています。
また、有期契約労働者の多い業種である小売、飲食、福祉業では、約3割の労働者が、「出産しても育児休業を取得して復帰して現在の会社で働き続けたい」と回答しており、「当面、現在の勤務先で働き、出産を機に退職したい」と回答した6.7%を大きく上回っています。
図表 仕事や勤務先の選択にあたっての両立支援制度の重視度
わからない, 8.7%
全く重視しない, 5.2%
あまり重視しない, 23.6%
非常に重視する, 13.3%
ある程度重視する, 49.1%
(資料)平成 22 年度有期契約労働者の育児休業等の取得に関する労働者調査(厚生労働省)
図表 今後、現在の勤務先で働き続けたいですか。
出産しても育児休業を取得して復帰して現在の会社で働き続けたい出産しても育児休業を取得せずに現在の会社で働き続けたい
契約期間が終了したら、または一定期間働いた後は他社で働きたい当面、現在の勤務先で働き、出産を機に退職したい
現在の会社で働き続けることを優先したいので出産は考えていないその他
わからない無 回 答
(資料)平成 21 年度有期契約労働者の育児休業等の利用状況に関する調査:労働者調査(厚生労働省)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
2.3
産業計(n=3384)
33.1
4.1 6.7
14.5
8.5
25.9
4.8
小売業(n=688)
36.8
1.7
3.5
7.7
15.4
6.1
24.6
4.2
飲食業(n=290)
18.6
1.7
3.8
7.6 12.1 5.9
46.2
4.1
2.5
福祉業(n=2319)
33.9
4.4 6.2
14.8
9.6
23.5
5.1
2.どのような有期契約労働者が育児休業を取得できるのでしょうか?
~育児・介護休業法上、育児休業をすることができる有期契約労働者の解説~
育児休業申出の直前の1年間ついて、勤務の実態即し雇用関係が実質的継続していることをいいます。契約期間が形式的 連続しているか否か より判断するものではありません。例えば、年末年始や週休日を空けて労働契約が結ばれている場合や、前の契約終了時すで 次の契約が結ばれている場合は、雇用関係は「実質的 継続している」と判断され
ます。
① 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
・ 育児休業申出があった時点で明らかなっている事情基づき判断します。
・ 「引き続き雇用されることが見込まれる」かどうかは、労働契約が更新される可能性ついて、書面または口頭で示されていることから判断されます。
※ただし、労働契約の更新可能性が明示されていないときは、
1)雇用の継続の見込み 関する事業主の言動
2)同様の地位 ある他の労働者の状況
3)当該労働者の過去の契約の更新状況などの実態を見て判断されます。
②子の1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれること
☆②の要件を満たすケース
A 申出時点の労働契約の終了日が子の1歳の誕生日以後
(例)
申出
誕生
1 歳
3 年契約
1 年以上
1 か月
1 年(休業)
雇入れ
B 書面または口頭で労働契約の更新可能性が明示されており、申出時点の契約と同じ長 さでもう一度契約が更新されたならば、その更新後の労働契約の期間の末日が子の1歳の誕生日以後
※労働契約が更新される可能性の明示とは、以下のような場合があたります。 (1)契約を更新する場合がある。
(2)業績が良ければ更新する。
(3)更新ついては会社の業績応じ、契約終了時判断する。
申出
誕生
1 歳
1 年契約
1 年契約
1 年契約
1 か月
1 年(休業)
(例)
雇入れ
C 書面又は口頭で労働契約が自動更新であると明示されている場合で、更新回数の上 限が明示されていない、又は、更新回数の上限が明示されているが、その上限まで契約が更新された場合の労働契約の期間の末日が子の1歳の誕生日以後
申出
誕生
1 歳
6 か月
6 か月
6 か月
6 か月
6 か月
1 年以上
1 か月
1 年(休業)
(例)
雇入れ
☆②の要件を満たさないケース
D 書面又は口頭で労働契約の更新回数の上限が明示されており、その上限まで契約が 更新された場合の労働契約の期間の末日が、子の 1 歳の誕生日以前
申出
誕生
6 か月
6 か月
6 か月
1 年以上
1 か月
1 年(休業)
1 歳
(例)
雇入れ
更新されないことが明らか
E 書面又は口頭で労働契約の更新をしない旨が明示されており、申出時点の労動契約の 期間の末日が子の1歳の誕生日の前日以前
申出
誕生
2 年契約
1 年以上
1 か月
1 年(休業)
1 歳
(例)
雇入れ
更新されないことが明らか
F 書面又は口頭で労働契約の更新可能性が明示されているが、申出時点の契約と同一 の長さで契約が更新されても、その更新後の労働契約の期間の末日が、子の 1 歳の誕生日の前日以前
(例)
申出
誕生
6 か月
6 か月
6 か月
1 年以上
1 か月
1 年(休業)
1 歳
雇入れ
☆ただし、A~F 該当する場合であっても、
(1)雇用の継続の見込み 関する事業主の言動、 (2)同様の地位ある他の労働者の状況、
(3)当該労働者の過去の契約の更新状況、等の実態を見て判断されることもあります。
育児休業の申出があった時点で労働契約の期間満了や更新がないことが確実であるか否かによって判断されます。
③子の2歳の誕生日の前々日までに、労働契約の期間が満了しており、かつ、契約が更新されないことが明らかでないこと
☆③の要件を満たさないケース
α 書面又は口頭で労働契約の更新回数の上限が明示されており、その上限まで契約が 更新された場合の労働契約の期間の末日が、子の1 歳の誕生日の前日から2 歳の誕生日の前々日までの間である
申出
誕生
1 歳
1 年契約
1 年契約
1 年契約
1 年以上
1 か月
1 年
(例)
2 歳
雇入れ
更新されないことが明らか
β 書面又は口頭で労働契約の更新をしない旨が明示されており、申出時点で締結してい る労働契約の期間の末日が、子の1歳の誕生日の前日から 2 歳の誕生日の前々日までの間である
申出
誕生
1 歳
3 年契約
1 年以上
1 か月
1 年
2 歳
(例)
雇入れ
更新されないことが明らか
ただし、α、βのケース該当する場合であっても、(1)雇用の継続の見込み関する事業主の言動、(2)同様の地位ある他の労働者の状況、(3)当該労働者の過去の契約の更新状況、等の実態を見て判断されることがあります。
有期契約労働者が育児休業をすることができるかの判断フローチャート
はい
いいえ
見込まれる
要件③:子どもの2歳の誕生日の前々日まで
に雇用契約が満了し、更新されないことが申出時点で明らかになっていませんか
なっていない
なっている
要件②:子の1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれますか
要件①: 自社に引き続き1年以上雇用されていますか
育児休業の対象となりません
育児休業をすることができます
育児休業の対象となりません
見込まれない
D、E、Fの場合
A 、 B 、 Cの場合
子どもが 1 歳の誕生日を迎えた後も引き続き雇用されることが見込まれるか実態を見て判断します。
P4~P6 のA~Fのどのパターンに該当しますか
ある
ない
更新についての明示がありますか
育児休業の対象となりません
期間を定めて雇用されている
※上記の要件に該当する期間を定めて雇用されている労働者(日々雇用される者を除く)は、所定労働時間や勤務日数の多尐にかかわらず、制度利用の対象となります。ただし、労使協定により除外されている1週間の所定労働日数が 2 日以下の労働者等の場合には申出を拒むことができます。
3.有期契約労働者にも適用となる育児休業以外の支援制度
適用期間
育児
妊娠
~育児・介護休業法に規定されている育児関連の措置~
制度 | 概要 | 適用期間 | |||
妊娠 | 出 産 | 育児 | |||
1歳 3歳 小学校就x | |||||
xの看護休暇 | 概要 | 小学校入学までの子を養育する労働者が、会社に申し 出ることにより、小学校就学前の子一人につき年5日ま で、2人以上であれば年10日まで、病気や怪我をした子の看護又は子に予防接種・健康診断を受けさせるために取得できる休暇 | |||
対象外 | 日々雇用される労働者及び労使協定で以下のうち対象外とされた労働者 ・勤続6ヶ月未満の労働者 ・週の所定労働日数が2日以下の労働者 | ||||
育児時間 | 概要 | 生後満1年未満の生児を育てる女性労働者が申し出れば、休憩時間の他に、1日2回、各30分(就業時間が4時間以内の場合は1日1回30分)取得できる育児時間 | 事業主には小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、育 児休業に関する制度、所定外労働の免 | ||
対象外 | 制限なし | ||||
所定労働時間の短縮措置等 | 概要 | 3歳未満の子を養育する労働者の一日の所定労働時間が原則として6時間に短縮される制度 | 除、所定労働時間の短縮措置又はフレックスタイム制度の措置に準じて、必要な措置を講ずる努力義務がある | ||
対象外 | 日々雇用される労働者、一日の所定労働時間が6時間以下である労働者および、労使協定で以下のうち対象外とされた労働者 ・勤続1年未満の労働者 ・週の所定労働日数が2日以下の労働者 ・業務の性質又は業務の実施体制に照らして、所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者(※1) | ||||
所定外労働の免除 | 概要 | 3歳未満の子を養育する労働者が申し出ることにより、所定労働時間を超えた労働を免除される制度 | (女性のみ) | ||
対象外 | 日々雇用される労働者及び労使協定で以下のうち対象外とされた労働者 ・勤続1年未満の労働者 ・週の所定労働日数が2日以下の労働者 | ||||
時間外労働の制限 | 概要 | 小学校入学までの子を養育する労働者が申し出ることにより、1ヶ月24時間、1年150時間を超える時間外労働を免除される制度 | |||
対象外 | ・日々雇用される労働者 ・勤続1年未満の労働者 ・週の所定労働日数が2日以下の労働者 | ||||
深夜業の制限 | 概要 | 小学校入学までの子を養育する労働者が申し出ることにより、事業主は午後10時~午前5時(深夜)において労働をさせてはならない制度 | |||
対象外 | ・日々雇用される労働者 ・勤続1年未満の労働者 ・保育が出来る同居の家族がいる労働者(※2) ・週の所定労働日数が2日以下の労働者 ・所定労働時間の全部が深夜にある労働者 |
出
産
(※1)所定労働時間の短縮措置を講じないときは、当該労働者について、次のいずれかを講ずる義務がある
・育児休業に関する制度に準ずる義務
・フレックスタイム制
・始業・終業時刻の繰上げ、繰下げ
・事業所内保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与
(※2)保育ができる同居の家族とは、16歳以上であって、下記のいずれにも該当しない者
・深夜に就労していないこと(深夜の就労日数が1月につき3日以下の者を含む)
・負傷、疾病又は心身の障害による保育が困難でないこと
・産前産後でないこと
フロー図の見方
●:制度利用者実施事項
◎:会社実施事項
妊娠期 出産・産後期 育児期 復職
【手続き等】
制度利用者
→会社・上司
●妊娠の報告(※出来る限り早めの報告が望ましい)
●医師等から通勤緩和や休憩
●産前休業の申し出
報告
・連絡
※6週間以内 出産予定の女性労働者であれば取得可能)
●育児休業の申し出
(育児休業開始予定日の1ヶ月前まで可能)
等の指導を受けた場合、「母 ※産後休業は申し出の有無 x
x連絡カード」で指導内容を
事業主 伝える
会社・上司
→制度利用者
◎必要な措置を講じる
わらず取得可能
◎提出必要資料の連絡
◎育児休業の対象となるかを確認の上、従業員へ連絡(提出必要資料の連絡)
復
◎育児休業終了前、人事部よ 職
り、復職時の就業条件等 つ へ
いて確認連絡
制度利用者
実 |
施 |
事 |
項 |
●資料の提出
休産産
業後x
x
●資料の提出 児
※提出時期は会 休
社の定め よる 業
●就業条件の確認 ●復職のための準備
【支援制度等】
へ ・ へ
9
出産 1歳
休業制度
休業
42日間
56xx
xが1歳達するまで
延長1歳6ヶ月まで
(公
)
( 妊
被娠
保・
険出
者産
の・
み育
) 児
支援制度
妊娠期の支援
●市区町村で母子健康手帳および「妊娠検査助成券」
(名称は市区町村より異なる)を受領
【市区町村】
産前・産後休業
妊婦健康診査助成金
・妊婦の定期的な健康診査及び超音波検査費用の一部を助成するための制度
出産育児一時金
【健康保険組合】
育児休業
【育児休業の延長】
・保育所 入所できない場合、最長1歳6ヶ月まで育児休業の延長を行うことができる
(注:特別な事情 より育児を担う者が不在となった場合 ついても延長可能)
出産期の支援
●出産予定の病院へ分娩予約
(予約が困難な地域もあるので注意)
・出産費用の負担軽減を図るため、子供1人つき 42万円が支給される制度
【健康保険組合】
出産手当金
・労働者が出産する際、産前産後休業の期間、
◎提出必要書類の連絡
4.必要な手続きの流れを確認しましょう!
~妊娠・出産・休業・復帰までのフローチャート~
●必要資料を受領し人事部提出
育児期の支援
労働基準法 より就業が禁止される。この期 【ハローワーク】 ◎提出必要書類の連絡 ●乳幼児の予防接種(市区
間の生活費補填のため、1日つき標準報酬の2/3が支給される制度
育児休業給付金
・労働者が育児休業を取得しやすく、職場復帰を援助・促進することを目的、育休期間、原則休業開始時賃金日額×30日間×50%
●必要資料を受領し、人事部提出
●保育所申し込み
町村 より予防接種の助成・種類は異なる)
●「母健連絡カード」
(妊娠期と同様)
保育所入所
が支給される制度
・申し込み方法 ついては、各市区町村へ問い合わせを実施し、人事部へ必要書類を要相談
雇用保険
社会保険
保険
要支払期間(特 免除等なし)
・給料が0円でも保険料負担(個人負担)有り
要支払期間(特 免除等なし)
免除期間(産後休業後)
・提出書類:育児休業保険料免除申出書
・給料が0円の場合は保険料負担(個人負担)なし
(注)各支援制度の詳細提出必要書類については、9頁も併せて確認
5.社内環境整備のステップ
以下では、育児休業制度を導入する手順を紹介します。
順番に読んでいただければ、有期契約労働者の育児休業制度の導入から周知・浸透策までの流れを把握していただくことができます。
まず、育児・介護休業法の概要と対象者の要件などの法定基準を理解したうえで、自社の現状の確認から始めましょう。また、すでに取組を進めている企業では、自社の取組の段階に応じた STEP から始めてください。
STEP1:育児休業制度を設けるための現状把握
11 ページ~
STEP2:有期契約労働者の育児休業規定等の作成
14 ページ~
STEP3:制度の周知・浸透
22 ページ~
ステップ1 育児休業制度を設けるための現状把握
有期契約労働者を対象とした育児休業制度を設けるに当たり、会社の現状を把握します。
(1)有期契約労働者の現状を調べる
留意ポイント
⮚ 有期契約労働者の契約期間、労働条件など現状の確認
⮚ 有期契約労働者の育児休業制度導入に関する要望確認
⮚ 現状確認に基づいた自社の有期契約労働者の活用方針の確認
「有期契約労働者」と一口に言っても、実際の職場では、パートタイム労働者、派遣労働者、契約社員等、様々な雇用形態で働いています。また、その職場における役割も、様々です。
有期契約労働者に関する育児休業制度を検討するに際し、どのような要件を設定するかということとも関連するため、それぞれの会社における有期契約労働者がどのような条件で労働契約を締結しているのか(具体的には契約期間や契約の更新の状況、労働条件や職務内容など)を確認しておく必要があります。
また、有期契約労働者の育児休業制度導入に関する要望などを把握することは、制度内容や具体的な運用を考える上で役に立ちます。有期契約労働者を多く雇用している部署の管理職や担当者に状況を聞いたり、アンケート調査やグループヒアリングを行ったり、労働組合の協力を得るなど各社の実情に応じた方法で情報収集することも考えられます。
図表 有期契約労働者の両立支援制度の利用意向
0%
20%
40%
60%
80%
100%
産前・産後休業制度
72.5
4.4%
育児休業制度
70.7
5.2%
子の看護休暇制度
69.3
5.0%
短時間勤務制度
67.7
6.1%
(資料)平成 22 年度有期契約労働者の育児休業等の取得に関する労働者調査(厚生労働省)
利用したい 利用したくない わからない
26.2%
25.8%
24.1%
23.1%
7割前後の有期契約労働者が育児休業制度や他の両立支援制度を利用したいと考えています
図表 産休・育休取得に当たっての問題点
0.0 10.0 20.0
30.0
40.0
妊娠中に現在の仕事を続けることが困難
35.7
仕事に復帰する際、保育園など
子どもを預ける先の確保が困難
33.2
産休や育休から復帰した際、
仕事があるかどうか不安
31.6
産休や育休の制度に関する情報や、
取得対象となる条件等がわからない
31.5
産休や育休を取得して仕事に復帰しても
仕事が忙しすぎて育児と両立できるか不安
30.4
職場の雰囲気が、産休や育休を
取得して働き続けにくいと感じる
25.6
有期契約労働者が産休や育休を取得することについて
管理職層や同僚の理解・協力が得られない
22.0
身近に産休や育休の取得について
相談できる同僚や上司がいない
16.1
その他 2.4
特に問題点はない
14.3
(資料)平成 22 年度有期契約労働者の育児休業取得に関する労働者調査(厚生労働省)
休みに入る前に妊娠期の就業継続が誯題
産前・産後休業や育児休業を取得して、仕事を続けるために、どのような問題があるのかを把握することも重要です。
問題なく働き続けられると思う
出産前まで働き続けるのは難しいと思う
やや問題はあるが働き続けられると思う
わからない
図表 職種別妊娠から出産前まで働き続けること
0%
20%
40%
60%
80%
100%
全体 n=2056
専門・技術的職業 n=311
6.1%
事務職 n=813
6.6%
営業・販売職 n=273
サービス職 n=407
その他 n=252
(資料)平成 22 年度有期契約労働者の育児休業取得に関する労働者調査(厚生労働省)
30.2%
40.3%
9.9%
37.7%
22.2%
8.4%
46.7%
31.9%
13.0%
8.1%
34.8%
16.8%
21.2%
33.6%
38.6%
21.9%
44.4%
27.7%
7.5%
30.2%
35.4%
27.0%
サービス職では特に妊娠期の就業継続が困難
さらに、仕事の内容によっても、妊娠から出産前までの働き方の困難さにも違いがあります。自社で働く有期契約労働者の仕事内容を踏まえ、誯題を検討しましょう。
育児休業は、出産・育児により会社を退職することを抑止し、「休業」という形で雇用を継続し、休業後は「復帰」し戦力として活躍ができる道を法的に作ったものです。自社の有期契約労働者は会社の中でどのような位置づけになっているのか改めて確認、明確化しましょう。
(2)正社員の育児休業の取得状況を調べる
留意ポイント
⮚ 「正社員」の育児休業取得状況の確認
⮚ ワーク・ライフ・バランスの浸透状況の確認
ここで自社内の「正社員」の育児休業の取得状況を確認してみましょう。妊娠・出産予定の社員がいても取得率が上がっていなかったり、出産や休業前に退職する社員が多いようであれば、社内に何らかの「取得しにくい雰囲気」が存在しているのかもしれません。
有期契約労働者の育児休業取得を促進するためには、正社員の育児休業、柔軟な勤務体制の整備、有給休暇の取得率向上など、会社全体として仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を併せて進めて行くことが必要です。そのような観点から、育児休業と併せて、ワーク・ライフ・バランスがどのように浸透しているのかを確認することも有益です。
ステップ2 有期契約労働者の育児休業制度等の検討・導入
「育児休業」は労働基準法上「休暇」に含まれ、就業規則に必ず記載されなければならない事項であるため、企業はあらかじめ育児休業を制度化し、就業規則に規定する必要があります。
従業員 101 人以上の企業(農林水産業、鉱業、労働者派遣業を除く)を対象に平成 22 年 10月に実施した調査では、有期契約労働者を対象とした育児休業規定を設けている企業は約7割でした。
図表 有形契約労働者を対象とした育児休業規定の設置状況
無回答, 1.2%
設けていない, 29.6%
設けている,
69.2%
(資料)平成 22 年度有期契約労働者の育児休業取得に関する企業調査(厚生労働省)
では、具体的な制度の検討や導入方法についてみていきましょう。
(1)育児・介護休業法の概要と法定基準の把握(4ページを参照)
自社の制度検討にあたり、育児・介護休業法上はどのようになっているのかを把握しましょう。
①育児休業を取得できる有期契約労働者とは
以下の一定の要件を満たした有期契約労働者は、育児休業が取得できます。
<対象者の要件のチェックポイント>
育児・介護休業法上、育児休業を取得することができる有期契約労働者とは、育児休業の申出時点において、次の①から③のいずれにも該当する労働者です
① 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
② 子の1歳誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれること
③ 子の2歳の誕生日の前々日までに、労働契約期間が満了しており、かつ、契約が 更新されないことが明らかでないこと
パートタイマー、契約社員、派遣労働者等、職場における名称を問わず、上記要件に該当する場合は、育児休業がとれます。
②育児休業期間
休業期間は、原則として1人の子につき1回であり、子が出生した日から子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で労働者が申し出た期間です。ただし、以下のような場合には、子
が1歳6か月に達するまで育児休業ができます。また、平成21年6月の改正により、父親と母親ともに、一定の要件を満たす育児休業を取得するときに、1歳2ヶ月までの間で1年間、育児休業の取得が可能となる制度(「パパ・ママ育休プラス」)も創設されました(平成22年6月3
0日施行)。
<休業期間のチェックポイント>
1歳6か月まで育児休業ができるのは、次の①、②のいずれかの事情がある場合です
① 保育所に入所を希望しているが、入所できない場合
② 子の養育を行っている配偶者であって、1歳以降子を養育する予定であったもの が、死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合
育児休業中の労働者が継続して休業するほか、子が1歳まで育児休業をしていた配偶者に替わって子の1歳の誕生日から休業することもできます
※ 育児休業の取得に関する要件等、育児・介護休業法の詳しい内容については「育児・介護休業法のあらまし」(xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/xxxxxxxxxxx/xxxxxxxx/00.xxxx)をご確認ください。
(2)育児休業の対象となる有期契約労働者や期間の検討
検討ポイント
その1 育児休業の対象となる有期契約労働者の範囲
⮚ 育児・介護休業法の規定どおりの要件とするのか、あるいはさらに上回る要件を設定するかを検討
⮚ 上回る要件とする場合は、休業前の継続雇用期間をどう設定するか、休業後の雇用継続見込みや明らかな期間満了等の有無をどう設定するかを検討
その2 育児休業期間
⮚ 育児・介護休業法の規定どおりとするのか、あるいはさらに上回る期間を設定するかを検討
育児休業制度を導入するに当たっては、①要件(対象となる労働者の範囲等)、②取得に必要な手続き、③期間等について定めて、就業規則に記載する必要があることから、これらの取得要件を自社でどうするか検討します。
育児・介護休業法に定められているものは、最低基準です(<対象者の要件のチェックポイント
>参照 ) 。従って、各社の実情に応じて、法律の規定を上回った内容の制度を設けることは可能です。会社の有期契約労働者の状況を踏まえて、法を上回る制度を設けている企業もあります。
検討のポイントは、育児休業取得の要件として、休業前の継続雇用期間と休業後の雇用継続見込み等をどのように設定するか、育児休業期間をどのように設定するかです。自社の有期契
約労働者の現状に適した条件を設定しましょう。
図表 有期契約労働者の育児休業に関する規定の有無
(資料)平成 21 年度有期契約労働者の育児休業等の利用状況に関する調査:本部・本社(厚生労働省)
図表 運用上での条件の緩和状況
0%
20%
40%
60%
80%
100%
子が1歳に達する日を超えて
引き続き雇用されることが見込まれている n=780
6.2%
2.3%
子が1歳に達する日から1年を
経過する日までに労働契約期間が満了し、 3.9%更新されないことが明らかでない n=535
3.0%
実際は多くのケースで条件を緩和している
条件を緩和することはない無回答
原則、定めている条件を適用、緩和しているケースもある
わからない
(資料)平成 22 年度有期契約労働者の育児休業取得に関する企業調査(厚生労働省)
37.8%
41.3%
14.0%
31.4%
41.5%
18.6%
さらに、実際の運用では、条件を緩和している企業もあります
育児休業取得対象者について2割以上の企業が法定を上回る規定を設けています
8.5 4.2 10.5 35.9 36.2 4.8 7.8 3.7 10.4 34.9 36.7 6.5 8.7 2.2 9.6 22.6 48.3 8.7 8.8 5.0 11.2 38.5 33.8 2.6 | ||||
また、有期契約労働者が育児休業を取得するときの、労働契約の更新等の方法の基本的な考え方についても、併せて検討しておきましょう。詳しくは(4)を参照してください。
0% 20% 40% 60% 80% 100% 産業計(n=2769) 小売業(n=1134) 飲食業(n=230) 福祉業(n=1291) | ||
前条件、後条件ともに法定を上回る規定あり 前条件で法定を上回る規定あり後条件で法定を上回る規定あり 法定どおりの規定あり 規定はない 無回答 |
法定通り(子が1歳6ヶ月まで)
子が3歳以上
子が1歳6ヶ月を超え2歳未満まで
無回答
子が2歳を超え3歳未満まで
図表 業種別有期契約労働者の育児休業制度の休業期間
(育児休業規定がある企業への設問)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
全体 n=1231
4.8%
4.9% 1.6 2.8%
建設業 n=60
5.0%
6.7% 5.0% 3.3%
2.6%
製造業 n=427 4.4%
4.0%
0.7%
情報通信業、運輸業 n=162
4.9%
3.7%
2.5%
4.3%
6.8%
卸売・小売業 n=234
83.3%
5.6%
3.0%
1.3%
金融・保険業、不動産業 n=76
3.9% 3.9% 0.0%
0.0%
飲食業、宿泊業、医療・福祉、
教育、学習支援、その他サービス業 n=207
86.0%
4.3%
4.8%
2.9% 1.9%
その他 n=58
6.9% 6.9 1.7% 5.2%
(資料)平成 22 年度有期契約労働者の育児休業取得に関する企業調査(厚生労働省)
79.3%
92.1%
84.6%
88.3%
80.0%
85.9%
育児休業期間について法定を上回る規定を設けている企業もあります
★事例★ 育児休業取得対象者
・ 有期契約労働者でも勤続 1 年以上の人は雇用継続の見込みの状況にかかわらず、すべて育児休業取得の対象としています。(小売)
★事例★ 育児休業期間
・ 有期契約労働者でも、保育所利用の便宜を考慮して育児休業期間は、子が 1 歳を迎え、最初の4月までとしています。保育所への入所ができない場合は6ヶ月、場合によっては最大1年間の延長が可能です。(小売)
・ 有期契約労働者でも育児休業は子どもが3歳まで取得可能にしています。(社会福祉法人)
%
%
(3)就業規則の作成・変更
「育児休業」は原則として1歳に満たない子を養育するための休業であり、労働者の申出を要件としています。
「育児休業」は労働基準法上「休暇」に含まれ、就業規則に必ず記載されなければならない事項であるため、あらかじめ育児休業を制度化し、就業規則に規定する必要があります。
有期契約労働者の育児休業制度の内容を決定したら、就業規則に規定(あるいは既存の就業規則を変更)し、所轄の労働基準監督署に届出を行います。
【法律では】
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、始業・終業の時刻、休日、休暇、賃金、昇給、退職等
の事項について就業規則を作成し、行政官庁(労働基準監督署)に届け出なければならない、とされています。(労働基準法第89条)
(4)育児休業中の労働契約について
実施ポイント
⮚ 有期契約労働者の育児休業中の労働契約の取扱(更新の方法、期間設定)の基本的な考え方を検討
育児休業後の有期契約労働者との労働契約をどうするか、という点については、育児休業期間と個々の労働者の契約期間などによっても異なってきます。一方、育児休業制度の導入にあたり、労働契約の取扱について、基本的な考え方をあらかじめ検討しておくことが効果的です。
育児休業中の労働契約の取扱については、休業後も従来の契約を継続し、休業中に従来と同じ契約を更新するものが多いですが、労働者も合意の上、異なる労働契約を結び直している企業もあります。
図表 育児休業を開始した有期契約労働者の雇用契約
(育児休業取得した労働者がいた企業への設問)
無回答 4.1%
その他 27.0%
従来の雇用契
約と同じ期間で、育児休業中も契約を更
休業期間に合
わせて契約期間を設定することが多い 12.3%
新していくこと
が多い 56.7%
(資料)平成 22 年度有期契約労働者の育児休業取得に関する企業調査(厚生労働省)
(5)制度導入に合わせて運用体制を整える
留意ポイント
⮚ 育児休業取得の相談、推進の窓口を明確にする
⮚ 取得申請の様式、手順も明確にする
有期契約労働者を対象とした育児休業の規定を整えたら、それに合わせ具体的に申請を行う窓口、申請の手順などの運用体制を明確にしておくことが重要です。有期契約労働者は「自分たちは正社員とは違うので、休業取得は無理」とはじめから思っている方も尐なくありません。すべての育児休業をとりたい労働者が制度を実際に利用できる体制づくりが重要です。
運用体制の整備としては育児休業取得の相談と申請の窓口、担当者を明確にしておくようにしましょう。支店など複数の事業所がある場合には、事業所毎に担当者を決めておくなど、職場の実情に合わせて整備しましょう。
★事例★ 相談窓口の設置
・ 人事部が、社員からの育児休業相談窓口になっています。社員も気楽に人事部へ相談、質問しています。(小売)
・ 有期契約労働者で育児休業取得の希望者がいた場合、最初の相談の窓口は各店舗の店長になります。(小売)
・ 各店舗(職場)に労務全般の支援を担当する庶務担当者(役職者)をおいています。有期契約労働者の育児休業を積極的に支援しています。(小売)
(6)国の実施している支援制度の活用も検討
検討ポイント
⮚ 支援制度は活用し、育児休業制度導入に伴う負担の軽減を図る
⮚ 利用に必要な要件は関係機関に確認
有期契約労働者など、労働者が育児休業を取得した場合、会社に様々な負担が生じるのでは・・という懸念はないでしょうか。この点に関しては、国の制度で様々な支援措置が講じられています。例えば育児休業中の社会保険料は事業主・被保険者とも全額免除になるなど、休業中の社員に対する会社負担は軽減されるような仕組みになってきています。
また、育児休業期間中は無給としても法律上問題はなく、実際、無給とする企業の割合が高いですが、育児休業取得者が一定の要件を満たす場合、労働者に対して雇用保険から「雇用継続給付」として「育児休業給付金」の支給(参考参照)があります。
しかしながら、利用にあたって必要な要件があり、制度によっても条件が異なることがありますので、あらかじめ関係機関や社会保険労務士などに相談しましょう。
(→45ページ「経済的な支援」を参照。)
(参考)育児休業給付の支給対象となる育児休業について
育児休業給付の支給対象となる育児休業は、育児休業を取得する有期契約労働者について
ⅰ)育児休業給付の受給資格があること(休業を開始した日前の 2 年間に賃金支払基礎日数が
11 日以上ある月(以下完全賃金月)が通算して12 月以上あること)
ⅱ)育児休業開始時において、1年以上雇用が継続しており、かつ、1歳に達する日を超えて引き続き雇用される見込みがあること(2歳までの間に、労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く。)が必要です。
ⅱ)の要件は、育児介護休業法上、育児休業の対象となる有期契約労働者と同じです。また、
ⅰ)の要件は、育児休業給付の受給に当たり特に必要となるものであり、この要件も併せて確認をすることが、育児休業給付の対象となるか否かの確認においては必要です。(詳細は、ハローワークにおたずねください。)
受給資格発生 子が1歳となる日の前日 子が1歳6ヶ月となる日の前日
2年
完全賃金月12ヶ月以上
給付期間(但し実際の育児休業期間の範囲内)
特別な事情がある場合(P9(1)②参照)
(7)育児休業以外の育児支援策の実施
検討ポイント
⮚ 育児・介護休業法に定める育児休業以外の措置の制度化が必要
育児・介護休業法においては、育児休業のみならず、短時間勤務など育児をしながら働き続けるための措置が、有期契約労働者にも適用されます。
有期契約労働者が、育児をしながら働き続けやすい環境を作るために重要な事項ですので、業態や労働者の状況も踏まえ、制度化し、就業規則に規定するなど、対応しましょう。
(制度の内容は8ページを、対象となる有期契約労働者の範囲は 14 ページをご参照ください。)
(8)不利益取扱いの禁止
育児・介護休業法においては、育児休業等の申出・取得をしたことを理由に解雇その他丌利益な取扱いをすることを禁止しています。
ステップ3
制度の周知・浸透
制度があっても利用されなくては意味がありません。制度の整備と併せて、制度を利用しやすい環境づくりを行うことが重要です。そして、そのような環境づくりのためには、育児休業等の制度をいかに周知するかがポイントとなります。
(1)有期契約労働者に対して周知する
実施ポイント
⮚ 「知らない人が多い」ことを前提に、積極的に情報を提供
⮚ 勤務実態に合わせて、有期契約労働者各人に伝わる方を検討
⮚ あらかじめ育児休業を制度化し、就業規則に規定する必要がある。また、労働条件の明示義務もあり
平成 17 年の育児・介護休業法の改正により有期契約労働者も育児休業の取得が可能になりましたが、自分自身が対象となりうることを知らない有期契約労働者も多いのが現状です。妊娠したら会社を辞めなくてはならない、と思っている有期契約労働者も多いのです。「出産後も子育てをしながら仕事を続けることができること」を積極的に伝えていくことが大切です。
図表 法定上育児休業を取得できることを知っていた/知らなかった割合
無 回 答
2.8%
産業計(n=3384)
知っていた
43.4%
知らなかった
53.8%
(資料)平成 21 年度有期契約労働者の育児休業等の利用状況に関する調査:労働者(厚生労働省)
有期契約労働者も育児休業を取れることを知らない人が半数以上
図表 勤務先の育児休業制度についての認知状況
産業計(n=3384)
有期雇用者も取得できる育児休業制度があるかどうかわからない 44.4%
無 回 答 4.1%
有期雇用者も取得できる育児休業制度がない
5.9%
有期雇用者も取得できる育児休業制度があり、内容を知っている 20.8%
有期雇用者も取得できる育児休業制度はあるが、内容は知らない 24.8%
(資料)平成 21 年度有期契約労働者の育児休業等の利用状況に関する調査:労働者(厚生労働省)
様々な働き方の労働者がいることを前提に、様々な伝達方法、伝達機会を検討しましょう。
実際に、企業が行っている周知方法としては、「就業規則等に定めて」というものが多くなっています。情報提供の手段はさまざまありますが、資料だけでは伝わりにくいこともありますので、口頭で説明できる体制の整備が望まれます。また、正社員と比べて周知策を講じていない企業がやや多いようです。事例や実態調査の結果も参照して、各社の実情に応じた周知方法を工夫してみましょう。
図表 育児休業制度の周知方法
0.0%
20.0%
40.0% 60.0%
80.0%
100.0%
労働条件通知書に記載したり、就業規則で定めて
92.3%
社内報やイントラネット、パンフレット等、社内メディアで
人事部、職場の上司等から説明している
42.4%
36.2%
39.7%
34.0%
従業員研修や制度に関する説明会等で
21.5%
労働組合を通じて
21.1%
両立支援制度について相談を受け付ける専用窓口を設けている
プレスリリースなど、対外的な自社制度のPRを通じて
その他特に何もしていない
8.1%
8.5%
7.2%
3.4%
2.7%
0.6%
0.9%
1.3%
7.5%
無回答
5.6%
(資料)平成 22 年度有期契約労働者の育児休業取得に関する企業調査(厚生労働省)
1.4%
正社員に対して
有期契約労働者に対して
13.0%
80.0%
一方、有期契約労働者が会社に期待した周知方法としては「労働条件が明示された書面を通じて」が最も多いという調査結果もあります。育児休業は就業規則に規定しなくてはならない事項であり、また、労働契約締結時の労働条件明示は法律上の義務ですが、さらに各社の実情を踏まえて労働者のニーズにあった周知方法を定着させるようにしましょう。
【法律では】
使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して労働条件を明示しなくてはなりません。(労働基準法第15条)
図表 勤務先の育児休業制度のことを、どのようにして知りましたか
あなたの希望としては、どのようにして知りたかったですか
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0
%
就業規則を通じて
41.7
33.6
n=1545
会社の上司からの説明を通じて
27.6
25.3
会社の同僚等を通じて
24.5
4.5
労働条件が明示された書面を通じて
22.1
45.3
人事部等からの説明を通じて
15.6
19.5
人事部等への問い合わせを通じて 4.3
2.1
研修、セミナーや説明会を通じて
4.0
7.2
パンフレット、社内報、イントラネット等、 2.5
社内メディアを通じて 5.4
労働組合を通じて 1.6
1.6
行政のHP、窓口の情報収集や 1.0
電話等による問い合わせを通じて 0.8
相談を受け付ける専用窓口への 0.3
問い合わせを通じて 1.2
2.5
その他 1.1
無 回 答
5.4
16.8
(資料)平成 21 年度有期契約労働者の育児休業等の利用状況に関する調査:労働者(厚生労働省)
知った経緯 どのようにして知りたかったか
労働者は「労働条件が明示された書面を通じて知りたい」と思っているが、現実は異なる
★事例★ 情報提供ツールの整備
・ 社内のイントラネット上に雇用、就労に関する各種の規定等がアップされており、育児休業制度についても職場のパソコンでいつでも見ることができます。(小売)
★事例★ ハンドブックの配布
・ パート版、社員版それぞれを対象にしたハンドブックを労働組合が作成しています。充実した制度案内・制度解説がついており、1 冊で育児休業だけでなく介護休業等についても記されています。法律や制度が変わるたびに逐次改定しています。(小売)
★事例★ 相談体制の整備
・ 店長や部門長と本人との間に相談役であるシスターを設け、育児休業の仕組みや取得期間の設定・変更、社内手続き等について相談できる体制を作っています。(小売)
★事例★ 上司の理解
・ 妊娠がわかり、辞めることも考えて園長に相談しましたが、育児休業をしてから考えてもよいのでは、と言ってもらったので、安心して育休をとりました。(保育:労働者)
(2)職場の管理者等に対して周知する
実施ポイント
⮚ 初めに相談がある職場の管理職の制度の理解が重要
⮚ 管理職が適切に対応できるよう、教育、研修の仕組みを整える
⮚ いざというときに管理職が相談できる窓口を明確にしておく
⮚ 管理職が育児休業を取りやすい職場の雰囲気づくりに果たす役割は大
育児休業の取得を希望する有期契約労働者が、「自分も育児休業が取れるのか。」「取れるとしたらどうすればいいのか。」などの相談するのは、職場の管理職であることが多いので、職場の管理者等に制度を知ってもらい、育児休業取得の希望者が出た時にきちんと対応してもらうことが大切です。その際には、有期契約労働者が育児休業を取得できることとする趣旨や背景、自社における有期契約労働者の位置づけを含めて周知することが重要です。
職場の管理職が法令や自社の制度、対象となる有期契約労働者についてすぐ照会、確認ができるよう、人事部内に相談窓口を設置するなどの工夫も必要です。
・ 管理職研修で制度について説明
・ 管理職用の業務マニュアルの作成
・ イントラネットページへの掲載 など
各社の実情に応じた周知方法を工夫してみましょう。
現在の現場管理職の中には、知識として育児休業制度があることは理解していても、自身の職場で具体的にどのように対応するかを決めていない場合も多く見受けられます。業界団体、経済団体などが行う両立支援に関するマネジメントセミナーなどでもこうしたテーマの研修や講演がありますので、それら外部からの情報も活用し、現在の社会状況へのキャッチアップを
進めてもらいましょう。
★事例★
・ 制度を導入した当初は、店長会議で周知しました。(小売)
・ 大前提は、会社が育休の取得を全面的にバックアップする姿勢があることですが、特に重要なのは、店長など現場の担当者・責任者の理解です。育児休業だけでなく、セクハラやパワハラなどのハラスメント等に無自覚な社員には厳しい会社であることを自認しており、新しく役職者になった社員には、研修を行って働きやすい職場づくり意識を徹底しています。(小売)
・ いざ、誮かが産休に入って「困った」という状況になってからでは、職場で話をするのは難しい。制度導入を契機に「こういう制度ができました。利用者が出た場合のことをみんなで考えてみましょう」と言うと、職場で話し合いやすいかもしれません。
(保育)
職場に「有期契約労働者にも育児休業をとらせたい」という雰囲気があることがとても重要です。制度が整っていることは前提ですが、職場の仲間も理解してくれている、応援してくれるという雰囲気が、育児休業取得を考える人の強力な後押しになります。職場の管理者がそのような雰囲気作りに果たす影響も大きいです。
★事例★ 職場の雰囲気作り
・ 現在では女性社員は育児休業をすることが当たり前になっています。そうした会社内の雰囲気は育児休暇取得を促進するうえで重要です。(小売)
・ 店長が有期雇用者に契約更新を持ちかけたら、妊娠したのでやめる、と言われたことがあった。貴重な戦力だったので慰留したが、会社に迷惑をかける、と辞めることを主張したそうです。店長から人事に相談があり、育休制度を紹介し、育休を取得して復帰したという事例もありました。(小売)
・ 職場の人たちに、理解を得られるように、制度利用する人にも、きちんと今後の働き方を考えてもらう必要があります。みんなの協力のもとで制度を利用していることをわかってもらいたい。みんなの協力で育児休業が取れているということを、周囲にも伝えることが重要です。(保育)
・ 育児休業について、実際に育児休業を取得した同僚から実体験を聞くことが出来たので、取得しやすかったです。(小売:労働者)
・ 上司が看護師出身であり、育児休業について理解していたので、妊娠した際、育児休業をするよう、勧めてくれました。(社会福祉法人:労働者)
・ 同じ保育士の立場で、育児休業制度を利用して両立している人がまわりにいて、話を聞けたら将来仕事を継続するイメージが持てると思います。(保育:労働者)
6.円滑な運用のための方策
ここからは、実際に労働者から育児休業を取得する申し出があってからの対応です。
(1)対応場面別の運用方策
① 育児休業取得の申出があった時の対応
実施ポイント
⮚ 育児休業をとれる有期契約労働者か否かは、現場だけで判断せずに、人事担当部門に相談する
⮚ 女性の場合は、育児休業だけではなく、産前・産後休業の対象となることにも留意
有期契約労働者から「育児休業をとれるのか」と相談があった場合は、各社で設けている育児休業取得の条件を満たしているかを、それぞれの労働者の契約やこれまでの就業実態などから判断するところから始まります。
各社の取得の条件が育児・介護休業法の規定とおりであれば、7 ページのフローチャートが参考になります。また、法定を上回る等、各社で要件が異なっているのであれば、各社ごとのフローチャートを作成するなどして、現場の管理者に周知をしておくことも考えられます。
ただし、個別の判断に当たっては様々なケースがあるので、現場だけで判断せずに、現場の管理職は速やかに人事担当部門に相談するなどのルールを徹底するようにしましょう。
なお、女性の場合は、法律上、産前・産後休業の対象となります(44ページ参考資料1)。育児休業だけでなく、産前・産後休業を併せて取得するということも踏まえ、労働者への対応や職場の体制整備などの準備を始めるよう留意しましょう。
妊娠期への対応も、正社員と比較すると対応していない企業が多いものの、「仕事内容への配慮」「勤務時間への配慮」は4割弱、「残業への配慮」は半数弱の企業が行っています。
妊娠中、出産後の女性労働者に対する母性健康管理については、「女性にやさしい職場づくりナビ」( xxxx://xxx.xxxxx-xxxx.xx.xx )をご参照ください。
図表 妊娠中の企業の対応状況について
0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%
仕事内容への配慮をしている勤務時間への配慮をしている
57.3%
38.9%
39.1%
58.0%
残業への配慮をしている
46.0%
68.5%
勤務場所への配慮をしている産休・育児休業等の制度について説明している
その他特に行っていない
無回答
6.0%
2.8%
7.7%
4.8%
15.3%
17.7%
19.0%
28.7%
43.8%
66.7%
正社員に対して
有期契約労働者に対して
(資料)平成 22 年度有期契約労働者の育児休業巣取得に関する企業調査(厚生労働省)
★事例★ 妊娠期の仕事配慮
・ 同僚に女性が多く、妊娠出産を経験している人が多かったため、周囲の配慮で、妊娠期間は座って出来るバックヤードの仕事を主に担当させてもらっていました。(小売:労働者)
・ 飲食店のホール担当の場合、喫煙席担当から禁煙席担当へ変更する配慮を行っています。(外食)
★事例★ サポート体制の整備
・ 時間帯責任者が出勤後に体調が悪くなった日に対応できるよう、同じ勤務時間にもう一人時間帯責任者を配置するようにしています。(外食)
・ 妊娠が分かった段階で、本人が入れなくなったシフトに入れる人はいないか、他のアルバイト・パートに聞き取りを行っています。(外食)
★事例★ 体調に合わせた勤務時間設定
・ 妊娠が判明してからは、本人の体調に合わせ、フルタイム勤務から短時間勤務へ等、より短い時間の勤務に契約変更できる仕組みがあります。(外食)
★事例★ サポート体制の整備
・ 介護の仕事は、重労働も多く、妊娠期に感染症に丌安を感じる人もいるため、本人の希望を聞いて、担当する仕事内容に配慮することが必要。本人も事務仕事もできるようにしておくと、対応できる仕事の幅が広がるのでは。(医療・介護)
★事例★ 心身の負担を軽減する配置の検討
・ 介護の仕事は精神的にもストレスがかかるため、ストレスから体調を崩さないよう、常に顔色等をみて、休憩を取らせたり、時差出勤させるなどしました。(医療・介護)
②育児休業取得までの手続き
実施ポイント
⮚ 取得が可能な有期契約労働者から育児休業の申出があった場合の手続きに注意
有期契約労働者から育児休業の申出があり、育児休業取得までに必要となる手続き等(女性労働者の場合は産前・産後休業を含む)について、関係法令や手続きのタイミング、申請書式を確認しておきましょう。
どのような申請書をいつまでに、ということをまとめて労働者へ伝達できるように揃えておき、各社の状況に応じて、労働者や現場の管理者への周知を工夫しましょう。
申請書式例を巻末の「様式例」に掲載していますので、参考にしてください。自社の処理手続きに則した内容にアレンジして使用してください。書類の提出先や提出期限なども記載しておくとよいでしょう。
また、復帰後の職務内容や契約期間などについて、休業取得者の意向を確認しておきましょう。さらに、休業中の待遇や、復帰後の賃金、配置その他の労働条件に関する事項は、あらかじめ定め、周知しておくことが大切です。個々の労働者に対して、具体的な取扱いをあらかじめ書面にて知らせておくことにより、安心して休業することができます。また、復帰時のトラブル防止の観点からも望ましいと考えられます。
【法律では】
平成22年6月の改正により、育児休業の申出は書面のほか、事業主が適当と認められる場合にはファックスや電子メール等によることも可能になったこと、労働者から育児休業申出がされたときは、事業主は次の事項を労働者に速やかに通知しなければならなくなったことに留意しましょう
(平成22年6月30日施行)。
① 育児休業申出を受けた旨
② 育児休業開始予定日及び育児休業終了予定日
③ 育児休業申出を拒む場合には、その旨及びその理由
★事例★ 申請のしやすい体制整備
・ 社内のネットワーク上に雇用、就労に関する各種の規定等がアップされており、育休等の書類の申請書が出せるようになっています。そこから人事部へ直接申請することも可能です。(小売)
・ 育児休業制度については、労務誯が相談窓口になっています。育児休業制度の説明を受けられ、資料、各種届出用紙がもらえます。(社会福祉法人)
★事例★ 早めの引き継ぎ準備
・ 本人が産休や育休に入った際、担当業務を誮に引き継いだらよいか困らなくていいように、妊娠がわかってから産休・育休に入るまでの期間で、計画を立てて採用や育成を行っています。(外食)
③育児休業中の業務体制の整備(代替要員の確保等)
実施ポイント
⮚ 育児休業の予定を早期に把握し、早くから体制整備を検討
⮚ 職場の能力アップの機会となることも
⮚ 国の助成金の活用も積極的に検討
育児休業中の代替要員の確保については、従業者の規模が大きな組織、事業場では、配置転換など調整の余地も比較的多いようです。しかし、小規模な組織、事業場では調整の余地が尐ないため、予定を早めに把握し、あらかじめ対応の方法を検討しておくことが重要です。
0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%
有期契約労働者を代替要員として雇用した
55.6%
補充を行わず、同じ部門の他の人員で対応した
54.0%
社内の他の部門または他の事業所から人員を異 34.8%
動
新たに正社員を代替要員として雇用した
4.9%
その他
5.9%
図表 育児休業を取得した有期契約労働者への代替要員の確保状況
(育児休業を開始した有期契約労働者のいる会社を 100 とする)
(資料)平成 22 年度有期契約労働者の育児休業取得に関する企業調査(厚生労働省)
代替要員を雇用する企業もある一方、同部門の他の人員で対応している企業もある
代替要員を確保せず、同じ部門等で育児休業取得者の仕事をカバーする場合、カバーする人にとっては新たな仕事を覚え、能力向上の機会となることもありますが、カバーする人の業務量が増加するので、複数の人で分担する等、カバーする人の負担が超過することのないよう配慮する必要もあります。
なお、育児休業のための代替要員を雇用した場合に、国からの助成金が支給される場合もありま す の で 、 こ の よ う な 制 度 の 活 用 を 検 討 す る こ と も 考 え ら れ ま す 。
(xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/xxxxxxxxxxx/xxxxxxxxx00/00.xxxx)
★事例★ 現場の人員配置調整
・ 正社員、契約社員の場合は、原則、人事異動でカバーしますが、比較的勤務時間の短いパート社員の場合は、原則として、新たに採用しています。(小売)
・ 育児休業で欠員が出た場合、残った人でその人の分の仕事を補っており現場は大変になりますが、それは新たな仕事を覚えるステップアップとして捉えています。(小売)
・ 育休中の代替要員の確保は、新しい人を雇う場合と、すでに働いている人の配置換えをしたり、他の売り場からの応援態勢を組んで対応する場合があります。(小売)
・ 育児休業者の代替要員の確保は、新規採用、人事異動で対応しています。また、育児休業に入る職員と同時に育児休業から復帰する職員が出て、うまく入れ替わりが出来ることもあります。(社会福祉法人)
・ 育休の代替要員をどのように入れるかは、休む人のポジションによりますが、xxや他のクラス担任が対応し、空いた仕事に対して、新しい人に入ってもらうことが多いです。代替を考える際は、園全体の体制を見直すことになります。(保育)
④育児休業中の労働者に対するフォローアップ
実施ポイント
⮚ 休業中も連絡、相談の機会を確保することが望ましい
⮚ 人事部などの組織的対応だけでなく、職場仲間とのインフォーマルな交流にも効果的
⮚ 職種によっては職場復帰プログラムを用意するなど、休業中の能力開発も検討
育児休業中は仕事を離れ、育児に専念することができる期間ですが、長い期間休むことによって職場の様子がわからなくなり、復職が丌安になることも事実です。育児に専念しながらも、会社の情報にふれることができればそのような心配も尐なくなり、復職もスムーズになります。
スムーズな復職のために、休業中に定期的に連絡をとったり、職場や職務に関する情報を提供することも効果的です。
図表 育児休業取得者への支援の状況(産休・育休中から復帰直前)
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0% 100.0%
27.2%
会社の職務に関する情報を提供している
16.0%
7.0%
社内イントラネット等へのアクセスを許可している 4.3%
46.8%
人事担当や管理職から定期的な連絡を行っている
29.5%
3.6%
在宅での職業能力向上のための講習等を実施 1.7%
2.5%
同じ会社で出産・育児している人との情報交換の場の設置 1.7%
45.0%
職場復帰にあたっての相談を行っている
28.8%
28.0%
今後の職務や働き方等に関する面談を行っている
17.4%
3.8%
その他 8.4%
17.5%
特に行っていない 24.1%
5.2%
正社員に対して
有期契約労働者に対して
無回答
19.8%
(資料)平成 22 年度有期契約労働者の育児休業取得に関する企業調査(厚生労働省)
定期的な連絡、職場復帰の相談などが多いが、正社員と比較すると支援がやや尐ない
また、育児休業者がスムーズに復職できるよう、職場になじむことや職業能力の維持回復を図るための「職場復帰プログラム」の実施もよいでしょう。一定の要件を満たしたなかで実施した場合には事業主に対して支給される助成金もあります。
(xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/xxxxxxxxxxx/xxxxxxxxx00/00.xxxx)
★事例★ 休業中の相談体制
・ 店長の発案で、休業期間中、人事部門に問い合わせ等が行えるような体制を休職前に整えました(小売)
★事例★ 復帰に向けた研修
・ 育児休業の1年間で、会社のシステム等が変わってしまうことも多いので、スムーズに職場復帰できるよう、育児休業からの職場復帰の前に2~3回、職場に来てもらって、現在の仕事、職場の現況、職場復帰後の仕事の流れ等を確認してもらいます。(社会福祉法人)
★事例★ 上司とのコミュニケーション
・ 育児休業取得中に会社から連絡が欲しいか本人に確認した上で、希望者には、上司から定期的に連絡を取り、会社や職場の変化、育児の状況などについてコミュニケーションを図っています。(外食)
★事例★ 休業中の職場訪問
・ 子どもを連れて、3ヶ月に一度くらい施設に来るようにアドバイスしていました。慣れない子育てで丌安になってもいけないし、担当していた入居者の状況や、施設の変化を知ることで、復帰もスムーズになります。(医療・介護)
⑤復帰に際して及び復帰後の配慮
実施ポイント
⮚ 復帰は、原職または原職相当職とするよう配慮。本人の希望に留意
⮚ 軌道にのるまでは、周りのサポートにも期待
⮚ 育児を行いながら復職する労働者の状況に応じ短時間勤務制度や所定外労働免除等の制度周知を行う
復帰は、原則として原職または原職相当職に復帰させることが多く行われるものであることに配慮しましょう。
育児休業取得者にとって、慣れている仕事への復帰のほうがスムーズなことも考えられます。ただし、出産後は育児をしながら働くことになるため、仕事と育児との両立が困難となることもあるため、本人の希望等も勘案し、育児との両立しやすい職場に復帰させることも考えられます。
有期契約労働者を対象とした調査でも、育休取得時に会社対応で役に立ったこととして、「職場復帰」に関するものが多く挙げられています。
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0
復帰後に仕事と育児の両立が
できるよう支援してもらえたこと
50.0
%
40.4
復帰直前に職場復帰に当たっての
相談を行ってもらえたこと
31.4
育児休業を取得する時に復帰後の
契約について説明してもらえた
29.8
育児休業中に定期的に
連絡してもらえたこと
29.1
復帰後に今後の職務や働き方等に
関する面談をしてもらえたこと
20.9
育児休業を取得する時に復帰後の
条件提示書面を渡してもらえたこと
18.1
育児休業中に会社や職務に関する
情報を教えてもらえたこと
17.2
育児休業中に社内で育児経験者等と
情報交換の場を設けてもらえたこと 2.1
復帰直前に職業能力向上のための講習を 0.7
受けさせてもらえたこと
育児休業中にイントラネット等に
アクセスできるようにしてもらえた 0.5
育児休業中に在宅での職業能力向上の 0.5
講習を受けさせてもらえた
復帰後に職業能力向上の講習を
受けさせてもらえたこと 0.5
図表 育児休業取得時に会社対応で役に立ったこと
n=2769
(資料)平成 21 年度有期契約労働者の育児休業等の利用状況に関する調査:労働者(厚生労働省)
注:「特にない」「その他」「無回答」を除く。
職場復帰の相談や、復帰後の育児両立支援が役に立ったとの声が多い。
久しぶりの職場であり、本人も周りも緊張するものです。「おかえりなさい」と温かく迎えてあげられるような工夫をしましょう。育児と仕事との両立は時間的な制約も多く、ストレスもたまりがちです。復帰した本人は、休業前のように働こうとがんばりすぎてしまうこともあります。特別扱いをする必要はありませんが、そのような本人の努力を温かく見守ってあげることが必要です。軌道にのるまでは、周りのサポートはかかせません。
★事例★ 復帰時の配置
・ 過去に有期契約で育児休業を取得者した人は、100%同じ店舗に復帰しています。パート社員の場合、復職とは同じ店舗に戻ることとの認識となっています。(小売)
・ 本人が希望する労働時間が確保できるよう、必要に応じて近隣の店舗で働けないか確認を行っています。(外食)
★事例★ ブランクへの対応
・ 数ヶ月家にいただけでも、人と接することや電話応対などにも丌安を感じる。復帰時に仕事に慣れるための研修や、休業中の職場の変化等についてのレクチャーなど、サポートがあるとよい(医療・介護:労働者)
★事例★ 復帰時の仕事に関する配慮例
・ 人事から復職にあたって復帰先・勤務時間について希望確認を受けました(小売:労働者)
・ 会社側の配慮で、自宅から近い店舗への配属された(小売:労働者)
・ 担当部門のチーフの配慮で残業の発生しにくいシフト時間帯で復職後しばらくは勤務(小売:労働者)
・ 育児のため必要な休日については優先して取得できるよう配慮されています(小売:労働者)
・ 午後の早めの時刻に業務が収束する発注業務をメインの担当とするなど、保育園へのお迎えの時間に配慮した業務分担を実施しました(小売)
・ 子供の病気など急な欠勤へ対応するため、お客様に直接影響の出ない部署(バックヤードの補充など)へ配置転換をしました(小売)
★事例★ 労働条件への配慮
・ 育児休業からの職場復帰後は、小学校就学の前まで短時間勤務が可能です。1日2時間から勤務可能としています。(小売)
★事例★ 急な予定を想定したシフト体制
・ 子どもの発熱等で急に帰らなければならないのは、本人が一番つらい。余分に人を配置するわけにはいかないが、シフトを組む段階で、突然帰らなければならなくなることを想定し、代替可能なシフトを組むようにしています。(医療・介護)
・ 子どもが小さいと病気をしたり、短時間勤務で短縮される時間分の代替がつかないので、職場運営には厳しいところはありますが、就業継続をサポートしていきたいので、担当や勤務表の組み方で工夫しています。(保育)
・ 復職後、業務に慣れるまで期間雇用者の勤務シフトに合わせて、正社員を勤務させ、フォローを行っています(小売)
(2)運用に迷ったら ~制度運用Q&A~
この Q&A は育児・介護休業法に定める要件等に基づいた一般的な内容となっています。自社で利用する際、人事労務担当者は【注意点】について労使協定の締結有無等自社の状況に応じて定めてください。
①有期契約労働者の育児休業に関する Q&A(上司向け)
この Q&A は有期契約労働者について、育児休業を開始するまで、休業中、復帰時の各段階で想定される諸問題とそれに対する対応方針・対応例を取りまとめたものです。育児休業のより円滑な取得を進めるための、確認・検討の材料としてご活用ください。
【育児休業の取得まで】
Q:育児休業の申出が可能な有期契約労働者の範囲を教えてください
A:以下の要件の何れも満たす方は、育児休業をすることができます。ただし、労使協定で除外されている方(申出日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかである方、または、一週間の所定労働日数が2日以下の方等)を除きます。
①雇用期間が継続して1年以上ある者
②養育する子が1歳に達する日(以下「1歳到達日」という。)を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者(当該子の1歳到達日から1年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く。)
詳細は、【社内問合窓口】までお問合せください。
【注意点】上記は、育児・介護休業法第5条(育児休業の申出)に定める要件です。労使協定の締結有無等自社の状況に応じて定めてください。
Q:男性でも育児休業を取得することができますか
A:取得できます。
Q:育児休業が取得できない有期契約労働者は産前産後休暇も取れないのでしょうか?
A:契約内容により育児休業が取得できない方であっても、女性については産前・産後休業は取得することができます。
Q:有期契約労働者が取得可能な育児休業の期間を教えてください
A:原則として、xが出生した日から1歳の誕生日の前日までの期間で、本人が申し出た期間です。また、
1歳の誕生日以後の期間についても、「当該申出に係る子について、本人またはその配偶者が、当該子の1 歳到達日において育児休業をしている場合」 で、以下の何れかに該当する場合は、1歳6か月に達するまでの期間、育児休業を取得することができます。
①保育所における保育を希望し、申込を行っているが、子が1歳に達する日後の期間について保育所に入所できない場合
②子が1歳に達する日後の期間について、常態として当該子の養育を行う予定であった配偶者(子の親)がつぎの何れかに該当した場合
1) 死亡したとき
2) 負傷、疾病または身体上若しくは精神上の障害により子の養育が困難となったとき
3) 婚姻の解消その他の事情により、常態として子と同居しなくなったとき
4) 6週間以内(多胎妊娠の場合は14週間)に出産する予定であるか、または産後8週間を経過しないとき
(パパ・ママ育休プラス制度・両親ともに育児休業を取得する場合の特例について)
平成22年6月の育児・介護休業法の改正により、父母ともに育児休業を取得する場合(父母が同時に育児休業を取る場合のみならず、父母が交代で育児休業を取る場合も含みます。)には、上記の「1歳の誕生日の前日までの期間」を「1歳2か月の誕生日の前日までの期間」 に読替え適用します。
※この場合も育児休業を取得できる期間は、これまでどおり、1 年間になります。すなわち、子が 1 歳 2 か月までの間に、父の場合、育児休業期間の上限は1年間、母の場合、産後休業期間と育児休業期間を合わせて1年間となります。詳細は、【社内連絡窓口】までお問合せください。
【注意点】上記は、育児・介護休業法に定める要件です。法定以上の取得可能な期間(例:3歳まで)や要件等については、自社の状況に応じて定めてください。
Q:産前・産後休業、育児休業の期間中に受け取れる国からの給付金等について教えてください
被保険者区分 | 受け取れる給付金等 |
雇用保険→被保険者ではない 健康保険→被保険者ではない | なし |
雇用保険→被保険者である 健康保険→被保険者でない | 育児休業給付金 |
雇用保険→被保険者である 健康保険→被保険者である | 出産手当金、出産育児一時金、育児休業 給付金 |
A: 産前・産後休業の期間中は健康保険から「出産手当金」「出産育児一時金」が、育児休業の期間中は雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。これらの給付金等が支給されるためには、対象期間中にそれぞれ健康保険、雇用保険の被保険者であることが必要ですので注意が必要です。支給額などの詳細は、【社内問合窓口】までお問合せください。
※パパ・ママ育休プラス制度を利用した場合に、以下の要件をすべて満たすときは、子供が1歳2か月に達する日の前日までの間に最大1年まで育児休業給付金が支給されます。
①育児休業開始日が、1歳に達する日の翌日以前である場合。
②育児休業開始日が、配偶者が取得している育児休業期間の初日以後である場合。
③配偶者が子供の 1 歳に達する日以前に育児休業を取得していること。
※「出産育児一時金」は国保もしくは被保険者の扶養家族でも支給されます。
※育児休業開始日前の雇用保険の被保険者期間が短い方は育児休業給付金が支給されないケースが
あります。詳細は【社内問合窓口】までお問合せください。
Q:復帰時の所属や契約内容に関する説明はどのように行うとよいでしょうか?
A:本人の不安払拭および復帰時のトラブル防止の観点から、産前・産後休業、育児休業に入る前に、復帰時の職務に関する取扱い(①就業の場所、②給与、③所定労働時間、等)について説明してください。
【注意点】育児休業からの復帰については、原則として「原職または原職相当職に復帰させることが多く行われている」ことに配慮してください。また、上記②、③について変更を行う場合は、労働条件の変更に該当しますので、労働契約法第8条(労働契約の内容の変更)に則り、本人の同意を得ることが必要です。
Q:妊娠判明後に、上司として留意するべき事項を教えてください
A:本人の体調により程度の差はありますが、妊娠中は重い物を持ったり、長時間立ったままの仕事が辛くなることがあります。こうした仕事は、本人の状態を見ながら、他のメンバーでサポートするよう指導するとよいでしょう。また、つわりがひどい場合などは、急な欠勤や早退が想定されます。こうした状況でも円滑に業務が行われるよう、必要に応じてサポートする体制を構築するとよいでしょう。こうした取組を通じて、本人の不安や他のメンバーの負担感がかなり軽減されるようです。
また、妊娠・出産したこと、産前産後休業の申出・取得をしたことを理由に解雇その他不利益な取扱いをすることは禁止されています。
【育児休業の取得中】
Q:「休業終了予定日」の変更手続きの方法について教えてください
A:育児休業前に申請した「休業終了予定日」について、以下の期日までに申し出ることで、1回に限り繰下げることができます。希望される際は、速やかに【社内問合窓口】までご連絡ください。
①子が1歳に達するまでの休業→「休業終了予定日」の1か月前まで
②子が1歳6か月に達するまでの休業→「休業終了予定日」の2週間前まで
【注意点】上記は育児・介護休業施行規則第 15 条に定める要件です。法定以上の要件については自社の状況に応じて定めてください。
Q:休業中に本人とコミュニケーションをとるべきでしょうか
A:職場から数か月も離れると、復帰に対する不安を感じることがあるようです。本人の希望に応じて、上司から休業中に電話やメール等でコミュニケーションを取り、育児の状況や職場の様子等を情報交換するとよいでしょう。
Q:復帰が近づいた際の実施事項について教えてください
A:休業終了予定日が近づいたら本人と連絡をとり、復帰日の対応や復帰後当面の働き方について話し合うようにしましょう。
【育児休業からの復帰時】
Q:復帰時に想定される課題について教えてください。
A:ご家族のサポート状況にもより程度の差はありますが、復帰時は子どもの急な発熱や保育園の送り迎えなどにより、これまでのような働き方を継続することが難しい場合があります。結果として、遅い時間帯の勤務ができない、残業ができない、保育園が休みの日曜日・祝日などの出勤が難しくなるといった問題が生じることが想定されます。円滑な業務運営を行うためには、こうした課題について、短時間勤務制度等の利用やシフトの組み方等、多面的な対応策を講じておくことが求められます。
Q:復帰時に当面実施すべき事項はどういったものがあるでしょうか?
A:育児期にある労働者が能力を十分に発揮し業務運営に貢献するためには、同僚の理解・協力が欠かせません。育児のためこれまでとは同じ働き方が難しくなるのであれば、本人と相談の上、上司が職場内の理解・協力の促進を図るとよいでしょう。特に、育児の経験がない従業員などに対しては、こうした理解の促進を行うことが重要と考えられます。
その上で、急な遅刻・早退・欠勤が発生することが見込まれること、残業ができないこと等をふまえ、誰もが仕事の幅を広げ、急な遅刻・早退・欠勤時のサポート体制を整える等するとよいでしょう。
また、休業中に業務フローやシステムの変更があると本人が戸惑いを感じるケースがあるようです。復帰後しばらくの期間は指導役/相談役をつけるといった工夫を行うことも考えられます。
Q:職場風土を良好に保つための工夫はどういったものがあるでしょうか。
A:職場全体への働きかけと本人への働きかけの大きく2つの工夫が考えられます。
職場全体への働きかけについては、前述のように、職場内で本人の状況を共有するとともに、上司が、よりこまめに仕事の分担を調整する工夫が考えられます。とりわけ本人が不在で手薄となる時間帯に業務がひっ迫するケースなどでは、こうした対応により他のメンバーも負担感を感じることなく業務を行うことができます。
本人への働きかけについては、職場内での助け合いにより、円滑な業務運営が行われていることに対する理解を深め、助け合いに積極的な参画を促すことが考えられます。
②有期契約労働者の育児休業に関する Q&A(本人向け)
この Q&A は有期契約労働者で育児休業制度の取得を予定されている方向けに作成したものです。ご不明点の確認にご活用ください。
【育児休業の取得まで】
Q:妊娠したことが分かりました。どうしたらよいでしょうか
A:妊娠中は、個人によって状況は異なりますが、一般的に体に大きな負荷がかかる仕事は避ける必要があります。できるだけ早く上司に相談し、仕事の分担などを必要に応じて代えてもらうようにしましょう。
また、給付金等の手続きもありますので、速やかに【社内相談窓口】 へ申し出るようにしましょう。
妊娠中、出産後の女性労働者に対する母性健康管理については、「女性にやさしい職場づくりナビ」
( xxxx://xxx.xxxxx-xxxx.xx.xx )をご参照ください
Q:育児休業の申出が可能な有期契約労働者の範囲を教えてください
A:以下の要件の何れも満たす方は、育児休業をすることができます。ただし、労使協定で除外されている方(申出日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかである方、または、一週間の所定労働日数が2日以下の方等)を除きます。
①雇用期間が継続して1年以上ある者
②養育する子が1歳に達する日(以下「1歳到達日」という。)を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者(当該子の1歳到達日から1年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く。)
詳細は、【社内問合窓口】までお問合せください。
【注意点】上記は、育児・介護休業法第5条(育児休業の申出)に定める要件です。労使協定の締結有無等自社の状況に応じて定めてください。
Q:男性でも育児休業を取得することができますか
A:取得できます。
Q:育児休業が取得できない有期契約労働者は産前・産後休業も取れないのでしょうか? A:契約内容により育児休業が取得できない方であっても、女性については産前・産後休業は取得することができます。
Q:有期契約労働者が取得可能な育児休業の期間を教えてください
A:原則として、xが出生した日から1歳の誕生日の前日までの期間で、本人が申し出た期間です。また、
1歳の誕生日以後の期間についても、「当該申出に係る子について、本人またはその配偶者が、当該子の1 歳到達日において育児休業をしている場合」 で、以下の何れかに該当する場合は、1歳6か月に達するまでの期間、育児休業を取得することができます。
①保育所における保育を希望し、申込を行っているが、子が1歳に達する日後の期間について保育所に入所できない場合
②子が1歳に達する日後の期間について、常態として当該子の養育を行う予定であった配偶者(子の親)がつぎの何れかに該当した場合
1) 死亡したとき
2) 負傷、疾病または身体上若しくは精神上の障害により子の養育が困難となったとき
3) 婚姻の解消その他の事情により、常態として子と同居しなくなったとき
4) 6週間以内(多胎妊娠の場合は14週間)に出産する予定であるか、または産後8週間を経過しないとき
(パパ・ママ育休プラス制度・両親ともに育児休業を取得する場合の特例について)
平成22年6月の育児・介護休業法の改正により、父母ともに育児休業を取得する場合(父母が同時に育児休業を取る場合のみならず、父母が交代で育児休業を取る場合も含みます。)には、上記の「1歳の誕生日の前日までの期間」を「1歳2か月の誕生日の前日までの期間」 に読替え適用します。
※この場合も育児休業を取得できる期間は、これまでどおり、1 年間になります。すなわち、子が 1 歳 2 か月までの間に、父の場合、育児休業期間の上限は1年間、母の場合、産後休業期間と育児休業期間を合わせて1年間となります。詳細は、【社内連絡窓口】までお問合せください。
【注意点】上記は、育児・介護休業法に定める要件です。法定以上の取得可能な期間(例:3歳まで)や要件等については、自社の状況に応じて定めてください。
Q:産前・産後休業、育児休業の期間中に受け取れる国からの給付金等について教えてください
被保険者区分 | 受け取れる給付金等 |
雇用保険→被保険者ではない 健康保険→被保険者ではない | なし |
雇用保険→被保険者である 健康保険→被保険者でない | 育児休業給付金 |
雇用保険→被保険者である 健康保険→被保険者である | 出産手当金、出産育児一時金、育児休業 給付金 |
A: 産前・産後休業の期間中は健康保険から「出産手当金」「出産育児一時金」が、育児休業の期間中は雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。これらの給付金等が支給されるためには、対象期間中にそれぞれ健康保険、雇用保険の被保険者であることが必要ですので注意が必要です。支給額などの詳細は、【社内問合窓口】までお問合せください。
※パパ・ママ育休プラス制度を利用した場合に、以下の要件をすべて満たすときは、子供が1歳2か月に達する日の前日までの間に最大1年まで育児休業給付金が支給されます。
①育児休業開始日が、1歳に達する日の翌日以前である場合。
②育児休業開始日が、配偶者が取得している育児休業期間の初日以後である場合。
③配偶者が子供の 1 歳に達する日以前に育児休業を取得していること。
※「出産育児一時金」は国保もしくは被保険者の扶養家族でも支給されます。
※育児休業開始日前の雇用保険の被保険者期間が短い方は育児休業給付金が支給されないケースがあります。詳細は【社内問合窓口】までお問合せください。
Q:復帰時の所属や契約内容の取扱いはどのようになるのでしょうか?
A:復帰時の取扱いについては、①就業の場所、②給与、③所定労働時間、等について確認しましょう。
【注意点】育児休業からの復帰については、原則として「原職または原職相当職に復帰させることが多く行われている」ことに配慮してください。また、上記②、③について変更を行う場合は、労働条件の変更に該当しますので、労働契約法第8条(労働契約の内容の変更)に則り、本人の同意を得ることが必要です。
【育児休業の取得中】
Q:育児休業終了予定日を子が1歳までの期間としていましたが、保育園が決まりませんでした。休業期間の延長は可能でしょうか。また、その場合の育児休業給付金はどうなるのでしょうか
A:前述のとおり、xが1歳の誕生日以後の期間についても、以下の何れかに該当する場合は、1歳6か月に達するまでの期間、育児休業を取得することができます。また、延長した期間についても雇用保険の被保険者であれば育児休業給付金が支給されます。速やかに【社内相談窓口】まで申し出てください。
①保育所における保育を希望し、申込を行っているが、子が1歳に達する日後の期間について保育所に入所できない場合
②子が1歳に達する日後の期間について、常態として当該子の養育を行う予定であった配偶者(子の親)がつぎの何れかに該当した場合
1) 死亡したとき
2) 負傷、疾病または身体上若しくは精神上の障害により子の養育が困難となったとき
3) 婚姻の解消その他の事情により、常態として子と同居しなくなったとき
4) 6週間以内(多胎妊娠の場合は14週間)に出産する予定であるか、または産後8週間を経過しないとき
【注意点】上記は、育児・介護休業法第5条(育児休業の申出)に定める要件です。法定以上の要件については自社の状況に応じて定めてください。
Q:「休業終了予定日」の変更手続きの方法について教えてください
A:育児休業前に申請した「休業終了予定日」について、以下の期日までに申し出ることで、1回に限り繰下げることができます。希望される際は、速やかに【社内問合窓口】までご連絡ください。
①子が1歳に達するまでの休業→「休業終了予定日」の1か月前まで
②子が1歳6か月に達するまでの休業→「休業終了予定日」の2週間前まで
【注意点】上記は育児・介護休業施行規則第 15 条に定める要件です。法定以上の要件については自社の状況に応じて定めてください。
Q:復帰が近づいた際の実施事項について教えてください
A:休業終了予定日が近づいたら会社と連絡をとり、復帰日の対応や復帰後当面の働き方について話し合うようにしましょう。
復帰後当面の働き方については、保育園への送り迎えなどで働けない時間帯があることが分かっている場合は、シフトの調整や短時間勤務制度などの適用等を事前に相談するようにしましょう。
【育児休業からの復帰時】
Q:復帰時に確認すべき事項はどういったものがあるでしょうか?
A:子どもの急な発熱等で遅刻・早退・欠勤が発生することが見込まれることをふまえ、必要に応じて、サポートの体制を敷けないか上司に相談してみてください。
また、休業中に業務フローやシステムの変更がなかったかを確認し、十分に活躍できる状況を整えましょう。
Q:育児をしながら働くことに伴う様々な状況に対する理解を上司や同僚に持ってもらいたいのですが? A:育児をしながら働くことの様々な状況について、職場内で共有する「場」を設定してもらうように上司に働きかけてみることが考えられます。育児経験が希薄なメンバーが多い職場では、育児の大変さに対する理解度が低いことが想定されるので、こうした取組が有効なようです。
一方で、職場内での助け合いにより、円滑な店舗運営が行われていることを理解し、自らも積極的に努力する姿勢をメンバーにみせていくことも重要なようです。
参考資料
参考資料1.関連法令や支援制度の活用
出産までの間や育児休業中、子育て期間には働く人を経済的に支援する制度や働く環境を守る法律が整備されています。
働く人を経済的に支援する制度については、本人が申請するもの、会社が申請するもの様々ですので、内容を理解して有効活用しましょう。
環 x x 備 の た め の 法 律
妊娠の報告を受けてから産前・産後休業、育児休業を経て職場復帰後に至る間に、対応すべき事項は下記のタイミングで発生します。時期に応じた対応を理解しておき、相互に誤解の生じないように確認しておきましょう。
妊娠
産前6週間
(多胎:産前14週間) 出産
産後8週間 産後休業後 30日間
子が1x xが1歳
2ヶ月
子が1歳
6ヶ月
子が3歳
小学校就学の始期
パパ・ママ育休プラス
子の看護休暇
所定外労働の制限請求
時間外労働(月24時間まで・年150時間まで)の制限請求・深夜業の制限
短時間勤務の措置
母性健康管理措置
12条、13条
妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止
9条
機
会
法用
x
x女等雇
23条1項
24条1項
17条、19条
16条の8
16条の2
育児休業取得等を理由とする不利益取扱いの禁止
10条
5条
育児
・介護休業法
19条
雇用関連
育児時間
67条
産前休業
65条1、2項
母性保護関連
変形労働時間制(フレックスタイム制を除く)下の法定労働時間を超える労働の禁止
時間外・休日労働・深夜業の適用除外請求
66条1~3項
軽易業務への転換請求
65条3項
危険有害業務の就業制限
64条の3
就業関連
労働基準法
解雇制限
努力義務
育児休業
パパ休暇
産後休業
経 済 的 な 支 援
出産から子育て期間中の労働者およびそれを支える事業主を経済的に支援する制度の一覧です。事業主が申請するものと本人が申請するものがあります。事務手続き手順を整理しておき、本人 にはタイミングを逃さないように注意を促し、手続きをするようにしましょう。
【本人から請求、申出】
c.出産育児一時金
・出産後速やかに
・本人が保険者に請求
・直接支払制度もあり
b.出産手当金
・産前産後休業取得時より
・会社経由で本人が請求
e.社会保険料改定の特例
g.育児・介護雇用安定等助成金
(両立支援レベルアップ助成金)
・事業主が申請
・復帰日以後 3 ヶ月間の給与支給後速やかに
・会社経由で本人が申出
f.育児期間における従前標準報酬月額みなし措置
・復帰後、速やかに
・会社経由で本人が申出
(既に退社している場合は、本人が年金事務所へ申出)
妊娠の報告 出産 復帰
産 前 休 業
産 後 休 業 育 児 休 業
【事業主が申請する事項】
a.育児休業給付金
・育児休業開始時:支給資格の確認。
・育児休業開始以降 2 ヶ月ごとに給付金の申請
・本人が申請
(事業主が代理申請可能)
d.社会保険料免除
・育児休業期間中
・事業主が申し出
※「申請すべき事項」の記号は、「経済的な支援」の記載番号
制度名 | 制度概要 | 申請者 | 申請のタイミング | 問合先 |
a.育児休業給付 (雇用保険) | 支給要件を満たした雇用保険の一般被保険者が1 歳未満の子を養育するために育児休業を取得して、賃金が一定水準を下回った場合に給付金を支給。(一定の要件に該当する場合は、子が 1 歳 6 ヶ月に達するまで支給) 無給となった場合の給付金は平成 22 年 4 月 1 日以降に育児休業を開始した場合、休業前賃金の 50%。 | 本人が申請 (事業主が代理申請可能) | 受給資格の確認のみ:育児休業開始の翌日から 10 日以内(受給資格確認と初回支給申請を同時に行う場合は、初回支給申請期限にあわせることが可能です。) 初回申請と支給要件の確認を同時に行う場合:育児休業開始の初日から 4か月経過する日の属する月の末日まで。その後、2 か月に一度。 | 事業所を管轄する公共職業安定所 |
b.出産手当金 (健康保険) | 産前産後休業を取得している健康保険の被保険者で休業中は無給である場合には標準報酬日額の 3 分の 2 を支給。賃金が保障されている時には支給されないが、保障額が出産手当金より少ない時は、差額を支給。 | 会社経由で本人が健康保険の保険者 (組合または全国健康保険協会)に請求 | 産前産後休業取得時より | 事業主 保険者(組合または全国健康保険協会の都道府県支部) |
c.出産育児一時金 (健康保険) | 健康保険の被保険者が分娩した時に出産前後の費用として 42 万円(産科医療補償制度の対象外の出産の場合は 39 万円)を支給。 | 本人が保険者に請求。 健康保険の保険者が病院に費用を直接支払う「直接支払制 度」もあり。 | 出産後速やかに(直接払制度利用の場合には病院に確認ください) | 保険者(組合または全国健康保険協会の都道府県支部)直接支払利用の場合は、出産予定の 病院 |
d.社会保険料の免除 (厚生年金・健康保険) | 育児休業期間中の社会保険料は、被保険者・事業主双方の保険料が免除。免除の期間は育児休業を開始した月から休業を終了した日の翌日が属する月の前月までの期間(ただし子が 3 歳に達するまで)。免除期間中でも被保険者資 格は継続する。 | 事業主が申出 | 育児休業期間中 | 事業主 組合または年金事務所 |
制度名 | 制度概要 | 申請者 | 申請のタイミング | 問合先 |
e.育児休業終了時の社会保険料改定の特例 (厚生年金・健康保険) | 育児休業から復帰した被保険者 (子が 3 歳未満に限る)の負担軽 減のため、復帰後 3 か月間の賃金 のうち、支払基礎日数が 17 日以 上の月を平均し1 等級でも差があれば保険料を改定することがで きる制度。 | 会社経由で本人が申出 | 育児休業終了後速やかに | 事業主 組合または年金事務所 |
参考資料2.有期契約労働者の育児休業等の利用状況に関する調査について
本マニュアルで引用している「有期契約労働者の育児休業等の利用状況に関する調査」は、平成 21 年 12 月から平成 22 年 2 月にかけて実施されました。
対象業種は小売業、飲食業、福祉業、労働者派遣業であり、本部・事業所に対する調査と、そこで働く有期契約労働者に対する調査の2種類を実施しています。なお、本マニュアルでは小売業、飲食業、福祉業の調査結果を引用しています。
■小売業、飲食業、福祉業に対する調査
調査票種 | 配布数 | 最終回収票数 |
本部・法人票(小売・飲食・福祉) | 10762票 | 2769票(25.7%) |
事業所票(小売・飲食・福祉) | 26087票 | 2751票(10.5%) |
労働者票(小売・飲食・福祉) | 30935票 | 3384票(10.9%) |
※事業所票、労働者票は本部・本社を通じて配布を依頼したため、厳密には配布依頼数である、
参考資料3.平成 22 年度有期契約労働者の育児休業等の取得に関する調査について
本マニュアルで引用している「平成 22 年度有期契約労働者の育児休業等の取得に関する調査」
は、平成 22 年 10 月から 11 月にかけて実施されました。
企業調査と労働者調査の2種類を行い、企業調査は、従業員 101 人以上の農林水産業、鉱業、労働者派遣業を除く全業種を対象としています。労働者調査は、20~39 歳の有期契約で働く女性(農林水産業、公務員を除く全業種/子どものいる人はxxが小学校就学前まで)を対象としています。
■平成 22 年度有期契約労働者の育児休業等の取得に関する調査
配布数 | 調査方法 | 最終回収票数等 | |
企業調査 | 10000票 | 郵便による配布・回収 | 1778票(17.8%) |
調査対象数 | 調査方法 |
労働者調査 2056サンプル ネット調査会社のモニターを利用したWeb調査
参考資料4.社内様式例
育児休業に関する規則や休業取得に関する事務体制を整えるためには、種々の申請書などの様式を整えておく必要があります。就業規則の規定例、育児・介護休業法に関する Q&A など下記 URL に掲載されています。
このうち、社内での申請等に必要な様式例を以下に掲載しておきますので、社内様式を作成する際に参考にしてください。その他の資料も必要に応じて、参考にしてください。
【育児・介護休業法関係】 xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxx/0000/00/xx0000-0.xxxx
【社内様式例】
社内様式1:育児休業申出書
社内様式2:〔育児・介護〕休業取扱通知書
社内様式3:〔育児休業・育児のための所定外労働免除・育児のための時間外労働制限・育児のための深夜業制限・育児短時間勤務〕対象児出生届
社内様式4:〔育児・介護〕休業申出撤回届
社内様式5:〔育児・介護〕休業期間変更申出書社内様式6:育児のための所定外労働免除申出書
社内様式7:〔育児・介護〕のための時間外労働制限申出書社内様式8:〔育児・介護〕のための深夜業制限申出書
社内様式9:〔子の看護休暇・介護休暇〕申出書社内様式 10:育児短時間勤務申出書
社内様式 11:〔育児・介護〕短時間勤務取扱通知書例示:育児・介護休業等に関する労使協定の例
社内様式 1
育児休業申出書
人事部長 殿
[申出日]平成 年 月 日
[申出者] 部 課氏 名
私は、育児・介護休業等に関する規則(第 3 条)に基づき、下記のとおり育児休業の申出をします。記
1 休業に係る子の状況 | (1)氏名 | ||
(2)生年月日 | |||
(3)本人との続柄 | |||
(4)養子の場合、縁組成立の年月日 | 平成 年 月 日 | ||
2 1 の子が生まれて いない場合の出産予定者の状況 | (1)氏名 (2)出産予定日 (3)本人との続柄 | ||
3 休業の期間 | 平成 年 月 (職場復帰予定日 | 日から 年 月 日まで平成 年 月 日) | |
4 申出に係る状況 | (1)1 歳までの育児休業の場合は休業開始予定日の 1 か月前、1 歳を超えての休業の場合は 2 週間前に申し出て | いる・いない→申出が遅れた理由 〔 | 〕 |
(2)1 の子について育児休業の申出を撤回したことが | ない・ある→再度申出の理由 〔 | 〕 | |
(3)1 の子について育児休業をしたことが ※ 1 歳を超えての休業の場合は記入の必要はありません | ない・ある 再度休業の理由 〔 | 〕 | |
(4)配偶者も育児休業をして おり、規則第 2 条第 2 項に基づき1歳を超えて休業しようとする場合 | 配偶者の休業開始(予定)日 | ||
平成 年 月 日 | |||
(5)(4)以外で 1 歳を超えての休業の申出の場合 | 休業が必要な理由 〔 | 〕 | |
(6)1 歳を超えての育児休業の申出の場合で申出者が育児休業中でない場合 | 配偶者が休業 している・していない |
(注)期間契約従業員が「育児・介護休業等に関する規則」第 3 条第 1 項なお書きの申出をする場合は、3 のみの記入で足ります。
社内様式 2
〔育児・介護〕休業取扱通知書
殿
平成 年 月 日株式会社 人事部長
あなたから平成 年 月 日に〔育児・介護〕休業の〔申出・期間変更の申出・申出の撤回〕がありました。育児・介護休業等に関する規則(第 3 条、第 4 条、第 5 条、第 7 条、第 8 条及び第 9条)に基づき、その取扱いを下記のとおり通知します(ただし、期間の変更の申出があった場合には下記の事項の若干の変更があり得ます。)。
記
1 | 休業の期間等 | (1)適正な申出がされていましたので申出どおり平成 年 月 日から平成 年 月日まで休業してください。職場復帰予定日は、平成 年 月 日です。 (2)申し出た期日が遅かったので休業を開始する日を平成 年 月 日にしてください。 (3)あなたは以下の理由により休業の対象者でないので休業することはできません。 |
(4)あなたが平成 年 月 日にした休業申出は撤回されました。 (5)(介護休業の場合のみ)申出に係る対象家族について介護休業又は介護短時間勤務ができる日数はのべ 93 日です。今回の措置により、介護休業又は介護短時間勤務ができる日数は残り ( )日になります。 | ||
2 | 休業期間中の取扱い等 | (1)休業期間中については給与を支払いません。 (2)所属は 部のままとします。 (3)・(育児休業の場合のみ)あなたの社会保険料は免除されます。 ・(介護休業の場合のみ)あなたの社会保険料本人負担分は、 月現在で 1 月約 円ですが、休業を開始することにより、 月からは給与から天引きができなくなりますので、月ごとに会社から支払い請求書を送付します。指定された日までに下記へ振り込むか、人事部労務課に持参してください。 振込先: (4)税については市区町村より直接納税通知書が届きますので、それに従って支払ってください。 (5)毎月の給与から天引きされる社内融資返済金がある場合には、支払い猶予の措置を受けるこ とができますので、人事部労務課に申し出てください。 (6)職場復帰プログラムを受講できますので、希望の場合は人事部労務課に申し出てください。 |
3 | 休業後の労 | (1)休業後のあなたの基本給は、 級 号 円です。 (2)平成 年 月の賞与については算定対象期間に 日の出勤日がありますので、出勤日数により日割りで計算した額を支給します。 (3)退職金の算定に当たっては、休業期間を勤務したものとみなして勤続年数を計算します。 (4)復職後は原則として 部で休業をする前と同じ職務についていただく予定ですが、休業 終了 1 か月前までに正式に決定し通知します。 (5)あなたの 年度の有給休暇はあと 日ありますので、これから休業期間を除き平成 年月 日までの間に消化してください。 次年度の有給休暇は、今後 日以上欠勤がなければ、繰り越し分を除いて 日の有給休 暇を請求できます。 |
働条件 | ||
4 | その他 | (1)お子さんを養育しなくなる、家族を介護しなくなる等あなたの休業に重大な変更をもたらす事由が発生したときは、なるべくその日に人事部労務課あて電話連絡をしてください。この場合の休業終了後の出勤日については、事由発生後 2 週間以内の日を会社と話し合って決定していただきます。 (2)休業期間中についても会社の福利厚生施設を利用することができます。 |
(注)上記のうち、1(1)から(4)までの事項は事業主の義務となっている部分、それ以外の事項は努力義務となっている部分です。
社内様式 3
〔育児休業・育児のための所定外労働免除・
育児のための時間外労働制限・育児のための深夜業制限・育児短時間勤務〕対象児出生届
人事部長 殿
[申出日]平成 年 月 日
[申出者] 部 課氏 名
私は、平成 年 月 日に行った〔育児休業の申出・所定外労働免除の申出・時間外労働制限の申出・深夜業制限の申出・育児短時間勤務の申出〕において出生していなかった〔育児休業・所定外労働免除・時間外労働制限・深夜業制限・育児短時間勤務〕に係る子が出生しましたので、(育児・介護休業等に関する規則(第 3 条、第 12 条、第 13 条、第 14 条及び第 15 条)に基づき、下記のとおり届け出ます。
記
1 出生した子の氏名
2 出生の年月日
社内様式 4
〔育児・介護〕休業申出撤回届
人事部長 殿
[申出日]平成 年 月 日
[申出者] 部 課氏 名
私は、育児・介護休業等に関する規則(第 4 条及び第 8 条)に基づき、平成 年 月 日に行った〔育児・介護〕休業の申出を撤回します。
社内様式 5
〔育児・介護〕休業期間変更申出書
人事部長 殿
[申出日]平成 年 月 日
[申出者] 部 課氏 名
私は、育児・介護休業等に関する規則(第 5 条及び第 9 条)に基づき、平成 年 月 日に行った〔育児・介護〕休業の申出における休業期間を下記のとおり変更します。
記
1 当初の申出における休業期間 | 平成 年 月 日から 平成 年 月 日まで |
2 当初の申出に対する会社の対応 | 休業開始予定日の指定 ・ 有 → 指定後の休業開始予定日 平成 年 月 日 ・ 無 |
3 変更の内容 | (1)休業〔開始・終了〕予定日の変更 (2)変更後の休業〔開始・終了〕予定日 平成 年 月 日 |
4 変更の理由 (休業開始予定日の変更の場合のみ) |
(注)1 歳以降に開始する育児休業及び介護休業に関しては休業開始予定日の変更はできません。
社内様式 6
育児のための所定外労働免除申出書
人事部長 殿
[申出日]平成 年 月 日
[申出者] 部 課氏 名
私は、育児・介護休業等に関する規則(第 12 条)に基づき、下記のとおり育児のための所定外労働の免除の申出をします。
記
1 | 申出に係る家族の状況 | (1)氏名 | |||||||
(2)生年月日 | |||||||||
(3)本人との続柄 | |||||||||
(4)養子の場合の縁組成立年月日 | |||||||||
2 | 1 の子が生まれていない場合の出産予定者の状況 | (1)氏名 (2)出産予定日 (3)本人との続柄 | |||||||
3 | 免除の期間 | 平成 | 年 | 月 | 日から | 年 | 月 | 日まで | |
4 | 申出に係る状況 | 免除開始予定日の 1 か月前に申出をしている・いない→申出が遅れた理由 〔 | 〕 |
社内様式 7
〔育児・介護〕のための時間外労働制限申出書
人事部長 殿
[申出日]平成 | 年 | 月 | 日 |
[申出者] | 部 | 課 | |
氏 名 |
私は、育児・介護休業等に関する規則(第 13 条)に基づき、下記のとおり〔育児・介護〕のための時間外労働の制限の申出をします。
記
育 児 介 x
1 | 申出に係る家族の状況 | (1)氏名 | |||||||
(2)生年月日 | |||||||||
(3)本人との続柄 | |||||||||
(4)養子の場合の縁組成立年月日 | |||||||||
(5)同居、扶養の状況 | 同居し扶養をして [いる・いない] | ||||||||
(6)介護を必要とする理由 | |||||||||
2 | 育児の場合、1 | (1)氏名 | |||||||
の子が生まれて | (2)出産予定日 | ||||||||
いない場合の出 | (3)本人との続柄 | ||||||||
産予定者の状況 | |||||||||
3 | 制限の期間 | 平成 | 年 | 月 | 日から | 年 | 月 | 日まで | |
4 | 申出に係る状況 | 制限開始予定日の 1 か月前に申出をしている・いない→申出が遅れた理由 〔 | 〕 |
(注)1‐(5)は、介護のための時間外労働の制限の申出に係る家族が祖父母、兄弟姉妹、孫である場合に記入してください。
社内様式 8
〔育児・介護〕のための深夜業制限申出書
人事部長 殿
[申出日]平成 年 月 日
[申出者] 部 課氏 名
私は、育児・介護休業等に関する規則(第 14 条)に基づき、下記のとおり〔育児・介護〕のための深夜業の制限の申出をします。
記
育 児 介 x
1 | 申出に係る家族の状況 | (1)氏名 | ||||||
(2)生年月日 | ||||||||
(3)本人との続柄 | ||||||||
(4)養子の場合の縁組成立年月日 | ||||||||
(5)同居、扶養の状況 | 同居し扶養をして [いる・いない] | |||||||
(6)介護を必要とする理由 | ||||||||
2 | 育児の場合、1の子が生まれていない場合の出産予定者の状況 | (1)氏名 (2)出産予定日 (3)本人との続柄 | ||||||
3 | 制限の期間 | 平成 | 年 | 月 | 日から | 年 | 月 | 日まで |
4 | 申出に係る状況 | (1)制限開始予定日の 1 か月前に申出をしている・いない→申出が遅れた理由 〔 〕 (2)常態として 1 の子を保育できる又は 1 の家族を介護できる 16歳以上の同居の親族が いる・いない |
(注)1‐(5)は、介護のための深夜業の制限の申出に係る家族が祖父母、兄弟姉妹、孫である場合に記入してください。
社内様式 9
〔子の看護休暇・介護休暇〕申出書
人事部長 殿
[申出日]平成 年 月 日
[申出者] 部 課氏 名
私は、育児・介護休業等に関する規則(第 10 条及び第 11 条)に基づき、下記のとおり〔子の看護休暇・介護休暇〕の申出をします。
x
xの看護休暇 介護休暇
1 | 申出に係る家族の状況 | (1)氏名 | ||||
(2)生年月日 | ||||||
(3)本人との続柄 | ||||||
(4)同居・扶養の状況 | 同居し扶養をして 〔いる・いない〕 | |||||
2 | 申出理由 | |||||
3 | 申出する日 | 平成 年 | 月 | 日 | ||
4 | 備 考 | 取得済日数 今回申出日数残日数 | 日日日 |
(注1)当日、電話などで申し出た場合は、出勤後すみやかに提出してください。
3 については、複数の日を一括して申し出る場合には、申し出る日すべて記入してください。
(注2)子の看護休暇の場合、取得できる日数は、小学校就学前の子が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日となります。
介護休暇の場合、取得できる日数は、対象となる家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日となります。
(注3)1-(4)は、介護休暇に係る家族が祖父母、兄弟姉妹、孫であるxxに記入してください。
社内様式 10
育児短時間勤務申出書
人事部長 殿
[申出日]平成 年 月 日
[申出者] 部 課氏 名
私は、育児・介護休業等に関する規則(第 15 条)に基づき、下記のとおり育児短時間勤務の申出をします。
記
1 | 短時間勤務に係る子の状況 | (1)氏名 | ||||||
(2)生年月日 | 平成 年 月 日 | |||||||
(3)本人との続柄 | ||||||||
(4)養子の場合、縁組成立年月日 | 平成 年 月 日 | |||||||
2 | 1 の子が生まれていない場合の出産 予定者の状況 | (1)氏名 (2)出産予定日 (3)本人との続柄 | ||||||
3 | 短時間勤務の期間 | 平成 | 年 | 月 | 日から 年 月 日まで | |||
※ | 時 | 分から | 時 | 分まで | ||||
4 | 申出に係る状況 | (1)短時間勤務開始予定日の 1 か月前に申し出て | いる・いない→申出が遅れた理由 〔 | 〕 | ||||
(2)1 の子について短時間勤務の申出を撤回した ことが | ある・ない→再度申出の理由 〔 | 〕 |
(注)3‐※欄は、労働者が個々に労働する時間を申し出ることを認める制度である場合には必要となります。
社内様式 11
〔育児・介護〕短時間勤務取扱通知書
殿
平成 年 月 日株式会社 人事部長
あなたから平成 年 月 日に〔育児・介護〕短時間勤務の申出がありました。育児・介護休業等に関する規則(第 15 条及び第 16 条)に基づき、その取扱いを下記のとおり通知します(ただし、期間の変更の申出があった場合には下記の事項の若干の変更があり得ます。)。
記
1 | 短時間勤務の期間等 | ・適正な申出がされていましたので申出どおり平成 年 月 日から平成 年 月日まで短時間勤務をしてください。 ・申し出た期日が遅かったので短時間勤務を開始する日を平成 年 月 日にしてください。 ・あなたは以下の理由により対象者でないので短時間勤務をすることはできません。 |
・(介護短時間勤務の場合のみ)申出に係る対象家族について介護短時間勤務又は介護休業ができる日数はのべ 93 日です。今回の措置により、介護短時間勤務又は介護休業ができる日数は残り( )日になります。 | ||
2 | 短時間勤務期間の取扱い等 | (1)短時間勤務中の勤務時間は次のとおりとなります。 始業( 時 分) 終業( 時 分)休憩時間( 時 分~ 時 分( 分)) (2)(産後 1 年以内の女性従業員の場合)上記の他、育児時間 1 日 2 回 30 分の請求ができます。 (3)短時間勤務中は原則として所定時間外労働は行わせません。 (4)短時間勤務中の賃金は次のとおりとなります。 1 基本賃金 2 諸手当の額又は計算方法 (5)賞与及び退職金の算定に当たっては、短時間勤務期間中も通常勤務をしたものとみなして計算します。 |
3 | その他 | お子さんを養育しなくなる、家族を介護しなくなる等あなたの勤務に重大な変更をもたらす事由が発生したときは、なるべくその日に人事部労務課あて電話連絡をしてください。この場合の通常勤務の開始日については、事由発生後 2 週間以内の日を会社と話し合って決定していただきます。 |
例示 育児・介護休業等に関する労使協定の例
◯◯株式会社と□□労働組合は、◯◯株式会社における育児・介護休業等に関し、次のとおり協定する。
(育児休業の申出を拒むことができる従業員)
第 1 条 事業所長は、次の従業員から 1 歳に満たない子を養育するための育児休業の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。
一 入社 1 年未満の従業員
二 申出の日から 1 年以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員三 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員
(介護休業の申出を拒むことができる従業員)
第 2 条 事業所長は、次の従業員から介護休業の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。
一 入社 1 年未満の従業員
二 申出の日から 93 日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員三 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員
(子の看護休暇の申出を拒むことができる従業員)
第 3 条 事業所長は、次の従業員から子の看護休暇の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。
一 入社 6 か月未満の従業員
二 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員
(介護休暇の申出を拒むことができる従業員)
第 4 条 事業所長は、次の従業員から介護休暇の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。
一 入社 6 か月未満の従業員
二 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員
(所定外労働の免除の申出を拒むことができる従業員)
第 5 条 事業所長は、次の従業員から所定外労働の免除の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。
一 入社1年未満の従業員
二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
(育児短時間勤務の申出を拒むことができる従業員)
第 6 条 事業所長は、次の従業員から育児短時間勤務の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。
一 入社1年未満の従業員
二 週の所定労働日数が2日以下の従業員
(従業員への通知)
第 7 条 事業所長は、第 1 条から第 6 条までのいずれかの規定により従業員の申出を拒むときは、その旨を従業員に通知するものとする。
(有効期間)
第 8 条 本協定の有効期間は、平成◯年◯月◯日から平成◯年◯月◯日までとする。ただし、有効期間満了の 1 か月前までに、会社、組合いずれからも申出がないときには、更に 1 年間有効期間を延長するものとし、以降も同様とする。
平成◯年◯月◯日
◯◯株式会社 | 代表取締役 | ◯◯◯◯ | 印 |
□□労働組合 | 執行委員長 | ◯◯◯◯ | 印 |
[解説]
① 事務所の労働者の過半数で組織する労働組合のない事務所にあっては、従業員代表と協定してください。
② このほか、育児短時間勤務の申出を拒むことができる従業員について、一定の範囲で規定することができます。