Contract
案件概要書
2020 年 10 月 29 日
1.基本情報
(1) 国名:ミャンマー連邦共和国(以下「ミャンマー」という。)
(2) プロジェクトサイト/対象地域名:ヤンゴン管区
(3) 案件名:アーロンガスコンバインドサイクル火力発電所設備更新計画(Ahlone Gas Combined Cycle Power Plant Replacement Project)
2.計画の背景と必要性
(4) 計画の要約:ヤンゴン管区において、既設のアーロンガスコンバインドサイクル火力発電所及び関連設備を更新することにより、電力供給体制の強化を図り、もって同国の経済発展及び国民の生活向上に寄与することを目的とする。
(1) 本計画を実施する外交的意義
ミャンマーは、中国とインドの間に位置するxxx的に重要な国であり、経済発展の大きな潜在力を有するミャンマーの安定は、地域全体の安定と繁栄に直結する。我が国は、これまでミャンマー政府による民主化、国民和解、経済発展の取組を全面的に支援してきている。
2016 年 11 月、xx総理大臣(当時)とxxx・xx・xx・xx国家最高顧問の会談において、我が国は、ミャンマーの国民和解を経済面から支えるため、同国の州・地域間のバランスのとれた開発を全面的に後押しすべく、9 つの柱からなる「日本・ミャンマー協力プログラム」を発表した。さらに、2017 年 11 月のASEAN 関連首脳会議における日ミャンマー首脳会談において、ヤンゴン都市開発、運輸及び電力の 3分野を中心に具体的協力を加速することで認識を共有している。
本計画は、ミャンマーの増加する電力需要に対応し、電力供給体制の安定・強化を図るために既設の火力発電所及び関連設備の更新を行うものであり、「日本・ミャンマー協力プログラム」の柱の 1 つである「産業発展を可能とするエネルギー協力」の着実な実施に寄与し、ミャンマーの経済発展への貢献が期待されることから外交的意義は高い。
(2) 当該国における電力セクターの開発の現状・課題及び本計画の位置付け
ミャンマーの総発電設備容量は約 6,000MW(2020 年 6 月)であるが、発電源の約 54%を水力発電が占めるため季節変動が大きく、既設発電所の老朽化も進んでいることから年平均出力は約 3,800MW に留まっている。一方、近年の開発・投資の進展により、電力需要は急増しており、電力需給の逼迫が深刻化している。2019 年に 3,798MW を記録した最大電力需要(電力エネルギー省発表)は、2030 年にはハイケースでは約 14,800MW まで増加すると見込まれており(「電力開発計画能力向上プロジェクト」2017 年 JICA 実施)、電力供給体制の強化は喫緊の課題であり、ミャンマー政府が 2018 年 8 月に発表した「Myanmar Sustainable Development Plan(2018- 2030)」においても、電力の安定供給が重要戦略の一つに位置付けられている。
また、2019 年度に国会承認された 2030 年の電源構成計画では、エネルギーセキュリティ・経済性の観点から多様なエネルギー供給源をバランスよく活用することが定
3.計画概要 *協力準備調査の結果変更されることがあります。
められている。電力の安定供給の観点から、水力発電のような季節変動がなく、化石 燃料の中では比較的地球環境への負荷も小さいガス火力の発電設備増強は重要な課 題であり、同電源構成計画では、ガス火力発電の総設備容量を 2020 年時点の 2,469MW から、2030 年には 4,758MW まで増強することが計画されている。また、 同計画達成にあたり、国内で利用可能なガス供給量に制約があることから、発電所新 設のための土地の確保が困難であるヤンゴン管区内においては、既設の発電設備を高 効率設備に更新することで発電設備増強を図る方針である。本計画は、老朽化が進む 既設のアーロンガスコンバインドサイクル火力発電所(設備容量:154.2MW)をxx 率の火力発電設備に更新するとともに、関連設備(変電所等)の改修・更新を行うも のであり、電力供給体制の強化を目指すミャンマー政府の方針に合致するものである。
(1) 計画概要
① 計画内容:
ア)既設のアーロンガスコンバインドサイクル火力発電所の発電設備の更新(設備容量 340MW 級)、関連設備(変電所等)の改修・更新
イ)コンサルティング・サービス(入札補助、施工監理等)
② 期待される開発効果:電力供給体制の強化(設備利用率:18.6~25.1→80%、発電端発電量:205→2,300Gwh/年)により、当国の電力需給バランスの安定化、経済・社会開発の促進への貢献が期待される。
③ 借入人:ミャンマー連邦共和国政府
④ 計画実施機関/実施体制:電力・エネルギー省 発電公社他機関との連携・役割分担:特になし。
⑤ 運営/維持管理体制:発電公社は、過去 40 年以上に亘り火力発電所の施工・運営維持管理を直営で行っており、技術面で特段問題はない。財務面については、中央政府から維持管理予算の配賦がなされる予定であるものの、維持管理に係る中長期の計画・予算状況を協力準備調査にて詳細確認する。
(2) その他特記事項
⚫ 環境社会配慮カテゴリ分類:A
⚫ ジェンダー分類:GI(ジェンダー主流化ニーズ調査・分析案件)
⚫ 本邦技術の活用:限られた敷地内で既設の発電設備を高効率の発電設備(設備容量 340MW 級)に更新するものであり、本邦技術の活用が期待される。
⚫ 他の援助機関の対応:世界銀行は、モン州のタトンガスコンバインドサイクル火力発電所(設備容量 119MW)の建設(2019 年 4 月竣工)を支援。また、ヤンゴンのイワマガスコンバインドサイクル火力発電所(設備容量 300MW)の設備更新を支援中。アジア開発銀行は、ヤンゴンや地方部の送変電・配電整備事業を支援中。
4. 過去の類似案件の教訓と本計画への適用
⚫ 高効率のガスタービンの導入を通じて温室効果ガスの排出削減が見込まれる場合、気候変動の緩和策に資する可能性がある。
ベトナム社会主義共和国向け円借款「オモン火力発電所 2 号機建設計画(I)、(II)」
(評価年度:2019 年度)の事後評価結果等から、協力準備調査の段階でガス供給元の確保について代替シナリオ(他の国内ガス田からの供給や LNG 輸入等)を複数用意しておくなど、慎重な検討が重要であるとの教訓が得られている。上記教訓を踏まえ、本計画においては、協力準備調査にてミャンマーの中長期的なガスの調達・供給計画とその実現性を確認し、本計画へのガス供給にかかる複数の代替シナリオについてミャンマー政府と協議・合意する想定。
以 上
[別添資料]アーロンガスコンバインドサイクル火力発電所設備更新計画 地図
アーロン発電所
ヤンゴン管区
[別添資料]プロジェクトサイトの現況写真
既存のガスタービン | 既存のガスタービン |
コンクリートが劣化した既存の冷却設備 | 既存のスチームタービン設備 |
水漏れが発生している水洗浄用の配管 |