分析・評価に当たっては、株式会社格付投資情報センターの協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」および環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル ポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則った上で、包括的なインパクトを分析した。
株式会社xx鉄工所
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
2024年3月13日
第四北越リサーチ&コンサルティングは、第四北越銀行が株式会社xx鉄工所(以下、xx鉄工所)に対してポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するに当たって、同社の企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響およびネガティブな影響)を分析・評価した。
分析・評価に当たっては、株式会社格付投資情報センターの協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」および環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル ポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則った上で、包括的なインパクトを分析した。
目 次
1.企業概要
(1)企業概要 1
(2)沿革 1
(3)事業内容 2
(4)社訓 4
(5)サステナビリティ方針 4
2.インパクトの特定
(1)事業性の評価 6
(2)バリューチェーン分析 10
(3)インパクトレーダーによる分析 10
(4)特定したインパクト 14
(5)インパクトニーズの確認 20
3.インパクトの評価
(1)生産性の向上 24
(2)働きがいのある職場づくり 25
(3)環境負荷の低減 26
4.モニタリング
(1)インパクトの管理体制 27
(2)モニタリング方法 27
1.企業概要
(1)企業概要
企 業 名 | 株式会社xx鉄工所 |
本社所在地 | xxxxxxxx0 xx 00 x00 x |
創 業 | 1953 年11 月 |
設 立 | 1959 年12 月 |
資 本 金 | 2,500 万円 |
売 上 高 | 20 億36 百万円(2023 月4 月期) |
従業員数 | 128 名(2023 年4 月時点) |
事業内容 | 医療機器、流体機器(コントロールバルブ、ポンプ)、真空機器に関する部 品の精密加工・製造 |
(2)沿革
1953年11月 | xxxxxx00xxにて開業 |
1959年12月 | 有限会社xx鉄工所に組織変更 |
1960年 8月 | xxxxx0xx0x0xに本社工場移転 |
1989年11月 | 株式会社xx鉄工所に組織変更 第1増設 工事完成(983㎡) |
2004年11月 | xx工場完成(延べ561.268㎡) |
2006年10月 | エコアクション21 認証取得 |
2009年 6月 | ISO9001:2000 認証取得(本社) |
2010年 2月 | ISO9001:2008 に移行(本社) |
2011年 6月 | 資本金 2,500万円に増資 |
2012年 4月 | 軽xx工場完成(延べ1,200㎡) |
2014年 5月 | 「スクリューローター加工方法(特許第5540352号)」特許登録 |
2014年 6月 | JIS Q 9100:2009 認証取得 ISO9001:2008 認証取得(xx工場・軽xx工場) |
2017年 3月 | 経済産業省 中小企業庁「はばたく中小企業・小規模事業者300社」 2017年版 に選定 |
2018年 5月 | 軽xx第二工場完成 |
2019年 5月 | 新潟県経済振興賞(新潟博覧会記念財団主催) 受賞 |
2020年 4月 | 愛知営業所を開所 |
2022年8月 | 次世代育成支援対策推進法に基づく認定企業として「xxxん認定」 |
(3)事業内容
xx鉄工所は、主力である人工透析用ポンプなどの医療機器部品や石油化学プラント用のバルブ部品、半導体製造装置部品など、幅広い分野での金属加工を手掛けている。
近年は板金加工事業にも参入を果たし、金属加工全般を一貫して受注できる体制を構築している。さらに、航空機産業や電気自動車への販路開拓を進めているほか、一般消費者向けの行燈「JAPAN DON―じゃぱんどん―」を製造・販売するなど、事業内容をさらに拡大させている。
【同社の主な加工技術例】
【真空ポンプ用 不等-等リード スクリューシャフト】 【薄肉パイプ加工(切削一体型で超薄肉パイプ) 】
【特殊ポンプ・バルブの摺動部品へステライト溶接】 【ステンレスキッチン用取手】
【工具ボックス】 【じゃぱんどん(行燈)】
資料:xx鉄工所のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxxxxxxx/
【同社の拠点】
【本社工場-多品種小ロット機械加工工場-】 ステンレス鋳物の流体機器部品 小ロット~中ロットに対応
【xx工場-汎用旋盤・溶盛・溶接工場-】ポンプバルブの基準加工とステライト溶接・ポンプ部品溶接技術
【軽xx工場-大ロット機械加工工場-】 大ロット品、3D-CAM/CAM に対応した自動化推進工場
【軽xx第二工場-レーザー・板金加工工場-】レーザーとパネルベンダー機によりオーダーメイドの小ロット品にも対応
【品質物流工場-Quality&Logistics Factory-】素材の受入から切断、管理。製品最終検査から出荷作業までを円滑に管理
【愛知営業所-新しい技術と提案を形にする拠点-】 関西地域の情報発信拠点として2020年に開所
資料:同社の会社案内
(4)社訓
同社は「熱意、挑戦、奉仕」を社訓としている。そのため創業以来、熱意を持って新しい技術に果敢に挑戦し、分野を問わず、お客様に満足いただける物づくりを追求してきた。
その結果、石油精製用のポンプ、バルブの修理工場からスタートした後、製造業へとシフトし、医療機器部品、半導体製造装置部品、化粧品・食料品メーカーで使用する部品などへと活動のフィールドをxx、拡大させてきた。
また、社訓は「現状に満足せず、常にチャレンジし続ける」という同社の社風につながっており、常に最新鋭の設備を導入するとともに、それを活用できる人材の育成を通じて、技術力の向上にも注力してきた。特に、「やってみる」という考えを大切にしながら、従業員一人ひとりが小さな改善を具現化する姿勢が根付いており、その蓄積がお客様への提案力向上へと結び付いている。
【常にチャレンジし続ける同社の社風を表す事例:
複合加工機を改造し6軸複合加工機を開発することで、
150時間要していた加工時間を15時間に短縮】
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxxxxxxxxx_xxxxxxxx/
(5)サステナビリティ方針
同社には「次世代の社会に貢献するものづくり」という会社創業以来の理念がある。その実現に向けた取り組みを進めることで、SDGs の掲げる持続可能な社会の実現に貢献することを表明している。特に、Environment(環境)、Social (社会)、Safety(安全)、Quality(品質)の4つを重点分野に位置づけている。
また、SDGs の取り組みを本格化させるために、2023年11月に「SDGs 取組方針」と年間の活動計画を定めている。具体的には以下のようなゴールを掲げている。
【同社のサステナビリティ方針】
重点分野 | 取組姿勢 |
Environment(環境) ものづくりを通じて、環境負荷低減に貢献します | ・「⾦属製品製造⼯場として⾃然との調和を意識し、環境問題を認識すると共に、環境経営システムを構築・運⽤し維持することにより継続的な改善に取り組む。」を信念に、地球の共存が人類の共通認識であることを認識し、事業活動すべての面で、環境の保全を最重要課題として行動し、持続可能発展を目指します。 ・この基本理念をもとに、環境問題に取り組んでいます。 |
Social (社会) 社会に必要とされる企業で ありつづけたい | ・事業活動を行うにあたり、お客様、協力会社、社会、社員等全てのステークホルダーの立場を尊重するとともに、信頼される企業としての品格を保 ち、ステークホルダーとの共存、共栄を図ります。 |
Safety(安全) 安全性と生産性を両立させます | ・企業活動を通じて社会・経済に貢献することを目標に、グローバル社会で の安全で快適な環境づくりのため、すべての事業活動において常により高い安全性の実現を目指します。 |
Quality(品質) 品質をすべての企業活動の基本として向き合います | ・目標とする品質を作り出す技術を確保するために、社員全体で考えて取組み、挑戦し続ける体制を築きあげます。 |
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxx_xxx/
【同社のSDGs 取組方針①】
SDGs の目標 | 主な取組内容 | SDGs の目標 | 主な取組内容 |
・高品質な医療機器部品を製造することで人々の健康に貢献する。 ・健康経営を推進する。 ・ストレスチェックの受診率 100%を目指す。 ・ユースエール認証を取得し、連続取得する。 | ・技術提案やアイデア、新技術開発の提案件数を増加させる。 ・顧客満足度の向上を目指す。 ・製品不良率を削減する。 | ||
・社内資格の取得率を向上させる。 ・国家資格、外部認定資格の受験率を上昇させる。 ・実習室の活用を通じて製品の理解を向上させる。 ・SDGs についての従業員教育 を推進する。 | ・切粉や一般・産業廃棄物のリサイクル率を向上させる。 |
資料:同社の提供資料
【同社のSDGs 取組方針②】
SDGs の目標 | 主な取組内容 | SDGs の目標 | 主な取組内容 |
・ハラスメント教育を推進する。 ・xxxん認定を連続取得する。 ・男性の育児休暇取得率を向上させる。 | ・二酸化炭素(CO₂)を削減する ・植樹を毎年実施する。 | ||
・付加価値向上、生産性向上を目指す。 | ・協力会社の納期遵守率向上と不良率削減を通じて、ともにさらなる成長を目指す。 |
資料:同社の提供資料
2.インパクトの特定
(1)事業性の評価
①幅広い対応力
同社の主力事業は上記に示したとおり、人工透析用ポンプなどの医療機器部品や石油化学プラント用のバルブ部品、半導体製造装置部品のほか、板金事業などにも対応しており、金属加工に関するお客様のニーズに幅広く対応できる点が強みとなっている。
②一貫体制
また、一貫生産体制を構築していることも強みとなっている。最適な材料の選定から、自動切断機による切断、加工方法の選定と形状提案を進めながら、製品の加工・組立・検査まで一貫生産することで、製品のコストダウンやリードタイム短縮による生産性向上につなげている。充実した生産設備を活用しながら、製品1個から数千個単位までのロット受注に対応するなど、多品種少量生産体制と量産体制の双方を整えている。
【同社の一貫生産体制】
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxxxxxx/
【材料調達】
国内外に鋼材ネットワークがあり、国内からは丸棒・鍛造品・アルミダイキャストなどを調達する一方、中国をはじめとした海外からは鋳造品などの材料を仕入れている。
[国内の調達例]
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxxxxxx/
【切断】
自動切断機を4台保有し、常時無人稼働運転している。
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxxxxxx/
【加工】
汎用旋盤から6軸複合加工機までを駆使して、多彩な難削材の加工技術を保有している。また、熟練溶接工による溶接技術にも定評があり、切削加工と溶接、板金加工と溶接などを組み合わせた様々なニーズに対応している。
[切削加工]
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxxxxxx/
[溶接加工]
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxxxxxx/
【特殊加工】
協力会社と連携しながら、特殊加工処理にも対応している。
[研磨] [表面処理]
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxxxxxx/
【組立】
様々な製品の加工から組立まで、幅広く対応している。
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxxxxxx/
【品質管理】
材料受入から工程検査、出荷検査に至るまで、各工程で徹底した検査を実施している。
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxxxxxx/、xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxx_xxx/
③提案力の高さ
提案力の高さも同社の強みとなっている。
高温や高圧などの厳しい条件にも耐えられるポンプやバルブの製品づくりを進めてきたため、お客様からその技術力が高く評価されている。
また、同社の技術力は汎用技術とハイテク技術を融合させている点に特徴があり、従来からの汎用技術をベースにしながら、その中から生まれる発想の転換をハイテク技術に組み合わせて、時代の一歩先を行く技術へと発展させている。
こうした技術力の高さに加え、社内のチームや協力会社との協力関係を活かすことで、お客様の要望に対しては、品質・コスト・環境に配慮した技術提案を軸に、軽量化や部品点数削減といった様々な提案実績を積み上げている。
【バルブメーカーへの回転構造部品点数の削減提案事例】
現行の製品はハンドルの回転機構の動きが円滑ではないことが課題であり、その解消にはコストを要することが懸念となっていたことから、同社の生産技術部にて構造の簡素化、加工の容易化を計り、回転機構の円滑化と部品点数の削減によるコストダウンを提案。
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxxxxxxxxx_xxxxxxxx/
(2)バリューチェーン分析
同社は人工透析用ポンプなどの医療機器部品や石油化学プラント用のバルブ部品など、幅広い分野での金属加工を主力している。
具体的には、鋼材商社などから原材料を仕入れて、自社内で切断から加工・組立・品質管理に至るまで一貫した生産体制を敷いている。同社で加工等を施した製品は医療機器や石油化学プラント用機器、半導体製造装置などを取り扱うメーカーなどに販売されている。
なお、一般消費者を対象とした行燈「JAPAN DON―じゃぱんどん―」を開発・製造し、EC サイトなどを通じて販売している。県内の照明メーカーや印刷会社、漫画家など連携しながら、企画から設計・製造までを担い、地元である♛崎市の「ふるさと納税」の返礼品にも選定されている。
【バリューチェーン分析の図】
xxの事業
同社の事業
xxの事業
鋼材
メーカー
鋼材商社
切断
加工・
特殊加工
組立
品質
管理
医療機器、石油化学プラント用機器等を取り扱うメーカー
(3)インパクトレーダーによる分析
①インパクトの検証
上記のバリューチェーン分析の結果をもとに、UNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)が提供するインパクトレーダーを用いて、包括的なインパクト分析をすると、以下の表のようになる。これは同社が属する業種の「ポジティブインパクト」(以下 PI)と「ネガティブインパクト」(以
下 NI)が社会的側面、環境的側面、経済的側面を反映した22のインパクトカテゴリのうち、どのカテゴリに発現するのかを明らかしたものである。
具体的には、同社のxxの事業について、国際産業標準分類上の業種カテゴリである「第一次鉄鋼製造業(ISIC:2410)」「建築材料、金物類及び配管・暖房設備機器卸売業(同4663)」を適用し、発生するインパクトを検証した。
同様に、同社の事業については、「流体動力装置製造業(同2812)」「その他のポンプ、圧縮機、タップ及び弁製造業(同2813)」、また同社のxxの事業については、「医療及び歯科用機器・備品製造業(同3250)」「その他の一般機械製造業(同2819)」「その他の特殊産業用機械製造業(同2829)」を適用し、発生するインパクトを検証した。
【インパクトレーダーによる分析】
xxの事業 | 同社の事業 | xxの事業 | ||||||||||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 【2410】第一次 鉄鋼製造業 | 【4663】 建築材料、 金物類及び配管・暖房設 備機器卸売業 | 【2812】 流体動力装置 製造業 | 【2813】 その他のポンプ、圧縮機、 タップ及び弁 製造業 | 【3250】 医療及び歯科用機器・備品 製造業 | 【2819】 その他の一般機械製造業 | 【2829】 その他の特殊産業用機械製 造業 | |||||||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | 〇 | 〇 | ||||||||||||
食料 | ||||||||||||||
住居 | 〇 | 〇 | ||||||||||||
健康・衛生 | 〇 | 〇 | ◎ | |||||||||||
教育 | ||||||||||||||
雇用 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
エネルギー | 〇 | |||||||||||||
移動手段 | ||||||||||||||
情報 | ||||||||||||||
文化・伝統 | ||||||||||||||
人格と人の安全保障 | ||||||||||||||
xx・xx | ||||||||||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||||||||||
水(質) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||
大気 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||
土壌 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||||
生物多様性と生態系サービス | 〇 | |||||||||||||
資源効率・安全性 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||||
気候 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||
廃棄物 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||
包括的で健全な経済 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||||
経済収束 |
注1:◎は大きな影響があり、〇は影響ありを示す。 注2:国際産業標準分類(International Standard Industrial Classification:ISIC)のカテゴリ
②xxの事業
xxの事業においては、同社と関連性が高いインパクトについて検証を加えた。
同社のxxの事業で発生するインパクトについては、「土壌」「資源効率・安全性」のカテゴリで発生するNI が同社との関連性が高くなっている。xx事業で鋼材等を製造・加工する際に、土壌を汚染したり、エネルギー・水・鉄などを過度に利用したりする場合に、NI が発現する。
同社では、仕入先と連携しながら、環境関連法規、条例およぴその他の規制を遵守するほか、環境に優しい原材料の調達を進めていくことを確認している。
• 7.3 2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
• 12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通して化学物質や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。
③同社の事業
【雇用】
同社の事業で発生するインパクトをみると、「雇用」のカテゴリについて、労働によって従業員の生活が支えられるというPI と、労働環境によっては従業員の健康状態が害されるというNI が発現する。
同社では、「ノー残業デー」を週1回実施するなど、所定外労働時間の削減に取り組むことで、従業員のワークライフバランスの向上に努めている。また、女性従業員が全体の約40%を占める中、女性の育児休暇取得率が100%を達成していることから、職場復帰のサポートの充実にも取り組んでいる。さらに、男性の育児休暇取得率の向上も目指すなど、より一層、働きやすい職場環境の整備を進めている。
【同社工場の様子】
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxx_xxxxxxx/ 、同社の提供資料
1 SDGs の17の目標に紐づく169のターゲットのうち、該当するターゲットを示している。
「SDGs とターゲット新訳」制作委員会「SDGs とターゲット新訳 SDGs&Targets」 xxxxx://xxxx.xx/xxx/XXXx000XXXXXXX_xxx0.0.xxx
SDGs では、以下のターゲットに該当すると考えられる。
• 5.5 政治、経済、公共の場でのあらゆるレベルの意思決定において、完全で効果的な女性の参画と平等なリーダーシップの機会を確保する。
• 8.5 2030年までに、若者や障害者を含むすべての女性と男性にとって、完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を実現し、同一労働同一賃金を達成する。
• 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある人々を含め、すべての労働者を対象に、労働基本権を保護し安全・安心な労働環境を促進する。
【水(質)、大気、土壌、資源効率・安全性、気候、廃棄物】
「水(質)」「大気」「土壌」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」といった環境的側面におけるカテゴリについては、製品等の切削・加工・組立・輸送などの過程で、水質汚染や大気汚染、土壌汚染、エネルギーの過剰な利用、温室効果ガスの排出、廃棄物の発生といった NI が発現する。
同社では、2006年10月に環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステム「エコアクション21」の認証を取得しており、環境方針を定めるとともに、電力消費量の削減や化石燃料の削減、水使用量の削減などに取り組んでいる。
SDGs では、以下のターゲットに該当すると考えられる。
• 12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通して化学物質や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。
• 12.5 2030年までに、廃棄物の発生を、予防、削減(リデュース)、再生利用(リサイクル)や再利用(リユース)により大幅に減らす。
• 13.3 気候変動の緩和策と適応策、影響の軽減、早期警戒に関する教育、啓発、人的能力、組織の対応能力を改善する。
【包括的で健全な経済】
「包括的で健全な経済」のカテゴリについては、同社が品質に優れた製品を販売先であるxx産業に安定的かつ迅速に提供することで、経済が活性化するという PI が発現する。
同社では多軸の工作機械をはじめたとした各種生産設備を活用することで、品質とコストを両立させながら、単品から量産品まで対応できる体制を整えている。
SDGs では、以下のターゲットに該当すると考えられる。
• 9.1 経済発展と人間の幸福をサポートするため、すべての人々が容易かつxxに利用できることに重点を置きながら、地域内および国境を越えたインフラを含む、質が高く信頼性があり持続可能でレジリエントなインフラを開発する。
【水】
「水」のカテゴリで PI が発現するとされているが、同社の事業は水のアクセスとは直接関係しないため除外した。
④xxの事業
xxの事業においては、同社と関連性が高いインパクトについて検証を加えた。
同社のxxの事業で発生するインパクトについては、「健康・衛生」のカテゴリで発生する PI
が同社との関連性が高いとみられる。
同社では人工透析用ポンプなどの医療機器部品をxx産業に供給しており、販売先と密接に連携しながら、これまで積み重ねた技術と新しい要素を組み合わせ、より品質の高い製品の提供を続けていくことで、PI の拡大に貢献していく方針にある。
SDGs では、以下のターゲットに該当すると考えられる。
(4)特定したインパクト
下図は「バリューチェーン分析」「インパクトレーダーによる分析」の結果を踏まえて、同社のバリューチェーンが与えるインパクトを可視化したものである。
ポジティブインパクト
従業員の働きがい 経済発展 健康の維持・増進
鋼材
メーカー
7.3 12.4
xxの事業
同社の事業
鋼材商社
切断
加工・
特殊加工
組立
品質
管理
5.5
8.5
8.8
8.5
8.8
9.1
12.4
12.5
xxの事業
医療機器、石油化学プラント用機器等を取り扱うメーカー
13.3
3.8
環境への悪影響 労働負荷 環境への悪影響
ネガティブインパクト
2 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ (UHC):すべての人々が、基礎的な保健サービスを必要なときに負担可能な費用で受けられること。
以上を踏まえて同社のインパクトを下記のように特定した。
① 生産性の向上
② 働きがいのある職場づくり
③ 環境負荷の低減
①生産性の向上
同社では、「Product Innovation」(技術革新を推進し生産性向上と共に品質向上)をスローガンに掲げ、品質とコストの両立でお客様に満足いただくことを目指している。特に、2009年6月に品質マネジメントシステム「ISO9001」、2014年6月に航空宇宙・防衛産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格「JIS Q 9100」の認証を取得するなど、全行程にわたり品質管理を徹底しており、高品質な製品づくりに取り組んでいる。
また、経済産業省 中小企業庁「戦略的基盤技術高度化支援事業」の支援を受けながら、東北大学との共同研究により、スクリューローター加工方法の特許を2014年5月に取得している。本技術の確立により従来に比べて加工時間を10分の1に短縮させた一方、半導体やxx電池などの製造の際に、生産性向上や省エネ化・低コスト化に貢献するなど、技術力の向上を通じて、新製品開発・新分野進出にも積極的に挑戦している。
さらに、工場ごとの進捗の見える化、在庫・仕掛在庫のリアルタイムの確認なども実現させている。具体的には、4工場ごとに異なっていた生産管理、資産管理、工程管理などのオペレーションを統一し、各工場の操業状態をリアルタイムに画面で全従業員が確認・共有できるようにしている。進捗入力用のタブレットをすべての工作機械に装備し、各工程の進捗状況が随時、把握できるほか、検査データもタブレットで入力することで業務効率化を進めている。
今後については、展示会や商談の場を通じて、省電力化・溶接レスといった様々な技術提案件数をさらに増加させる一方、DX の活用により工場内の業務効率化などを進めることで、品質・納期の面でお客様の満足度をより一層高めていく方針である。
このインパクトはUNEP FI のインパクトレーダーでは「包括的で健全な経済」などのカテゴリに該当し、経済的側面の PI を拡大させる。
【スクリューローターの加工技術】 【同社工場での作業風景】
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxxxxxxxxx_xxxxxxxx/
SDGs では、以下のターゲットに該当すると考えられる。
• 9.1 経済発展と人間の幸福をサポートするため、すべての人々が容易かつxxに利用できることに重点を置きながら、地域内および国境を越えたインフラを含む、質が高く信頼性があり持続可能でレジリエントなインフラを開発する。
②働きがいのある職場づくり
同社では、人材育成に力を入れており、勤続年数を重ねるごとに専門知識を深めながら、自らの意思で積極的に仕事へ取り組もうとする働きがいのある職場づくりを進めている。
入社後の新入社員教育や職場でのOJT 教育のほかに、社内の幹部やリーダー、従業員が志を一つにして生産性向上を図るための研修会「xx団結プロジェクト」を5か年計画で立ち上げている。本プロジェクトでは外部講師などを招きながら、月に1度の研修会を重ねている。
加えて、♛崎市・♛崎商工会議所・地元企業の3者が一体で運営する「♛崎技術開発振興協会」が主催する「ものづくりマイスター・カレッジ」をはじめとした外部研修への参加を通じて、従業員の技能検定試験の受験・合格を後押ししている。現在、国家資格である「機械加工(数値制御旋盤作業)1級」「機械加工(マシニングセンタ作業)1級」の技能検定を取得している従業員が各2名在籍するなど、以下のような資格保有状況となっている。
【資格取得者】
資格取得実績 | 保有者数 |
技能検定 機械加工(数値制御旋盤作業)1級 | 2名 |
技能検定 機械加工(数値制御旋盤作業)2級 | 6名 |
技能検定 機械加工(マシニングセンタ作業)1級 | 2名 |
技能検定 機械加工(マシニングセンタ作業)2級 | 3名 |
技能検定 機械検査(機械検査作業)2級 | 2名 |
日本非破壊検査協会 非破壊試験技術者資格(浸透深傷試験)レベル2 | 1名 |
日本非破壊検査協会 非破壊試験技術者資格(浸透深傷試験)レベル1 | 3名 |
職業訓練指導員 免許 | 2名 |
日本溶接協会 ステンレス鋼溶接技能者(TN-FV) | 1名 |
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxx_xxxxxxx/
また、「納品した自社の部品等が先方の企業で、どのように使用されているのかを知りたい」といった従業員の要望を受けて、2019年に社内に「実習室」を設置した。実習室では、自社部品が組み込まれた完成品を組立・分解することで、「なぜこのような加工が必要なのか」「なぜこの精度が大事か」などを知り、お客様の製品をより詳しく理解する機会となっている。さらに、実際に製品製造に携わった外部講師を実習室に招き、開発時の苦労などを学ぶ研修会なども実施している。
【実習室での活動状況】
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxx_xxxxxxx/
【xxxん認定通知書交付式】 【勤務時の様子】
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/0000/00/00/000/、 xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxx_xxxxxxx/
一方、従業員一人ひとりが輝いて働ける職場づくりを目指して、ワークライフバランスの推進にも注力している。
同社では、毎週水曜日を「ノー残業デー」に設定するなど、所定外労働時間の削減・休日勤務の禁止などに取り組んでいる。さらに、育児支援にも力を入れており、2022年8月に次世代育成支援対策推進法に基づく認定企業として「xxxん認定」を取得している。女性従業員の育児休暇取得率が100%を達成しているほか、男性への制度説明を強化することで、男性の育児休暇取得率の向上にも努めている。さらに、短時間勤務制度の活用も促し、育児などへの支援を進めている。なお、新潟県「ハッピー・パートナー企業(新潟県男女共同参画推進企業)」(男女がともに働きやすく、仕事と家庭生活等が両立できるように職場環境を整えて女性労働者の育成・登用などに積極的に取り組む企業等を登録する制度)への登録も済ましている。
加えて、提携している美容院利用への補助制度を設けているほか、都内の総菜配送会社と契約して、社内の専用冷蔵庫に総菜が定期的に届くサービスを社員食堂の代わりに導入している。豚の角煮やサバの煮付けなど、管理栄養士が監修した安全で健康的な総菜が1個100円で購入できるようにしている。近隣にコンビニエンスストアが少ないこともあり、1人暮らしの従業員を中心に、昼食時や夕食用に利用されている。
今後については、技能検定などの取得を促進するなど、人材育成に引き続き力を入れていく方針である。また、若年層の従業員の知識と技術、そして意識の向上を目指すとともに、勤続年数の長い従業員を中心に多能工化を図るため、保有すべき技術力・専門知識を3段階に分けた社内評価制度の資格取得者数を増加させる方針である。さらに、「xxxん認定」を毎期連続して取得することを目指し、男女ともに育児がしやすい環境の整備や、経済産業省・日本健康会議
「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」の認定も視野に入れながら、従業員が心身ともに健康で働ける環境の整備にも力を入れていく予定である。
このインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「雇用」のカテゴリに該当し、社会的側面の PI を拡大させる一方、社会的側面の NI を緩和させる。
SDGs では、以下のターゲットに該当すると考えられる。
• 5.5 政治、経済、公共の場でのあらゆるレベルの意思決定において、完全で効果的な女性の参画と平等なリーダーシップの機会を確保する。
• 8.5 2030年までに、若者や障害者を含むすべての女性と男性にとって、完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を実現し、同一労働同一賃金を達成する。
• 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある人々を含め、すべての労働者を対象に、労働基本権を保護し安全・安心な労働環境を促進する。
③環境負荷の低減
同社は、⾃然との調和を意識し、事業活動の全ての面で、環境保全を最重要課題として位置づけて行動している。
前述したとおり、2006年10月に環境マネジメントシステム「エコアクション21」の認証を取得したほか、2014年5月に「環境方針」を制定している(2020年5月に改訂)。本方針では基本理念と活動方針を定めており、特にa)環境関連法規、条例およぴその他の規制の遵守、b)電力消費量や化石燃料(灯油・ガソリン)の削減などを通じた CO₂排出量の削減、c)廃棄物の削減と
資源としての再利用の促進、d)水使用量の削減、e)環境に優しい物品への切り替え(グリーン調
達の実施)などを掲げている。
また、こうした「環境方針」を達成するための組織体制や環境経営目標の項目と数値(実績と今後の目標数値)を決め、その内容を「環境経営レポート」として適宜、公表しながら、進捗状況を管理している。
今後については、「エコアクション 21」に基づき、環境負荷の低減活動を継続する方針にある。引き続き、電気・ガス・燃料(灯油・ガソリン)などの使用量の削減、一般廃棄物およぴ産業廃棄物の排出量削減、水使用量の削減、グリーン調達の促進に加えて、梱包資材のリサイクル率100%の維持、従業員に対する環境教育の推進などにも取り組んでいく予定である。
このインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「気候」「廃棄物」のカテゴリに該当し、環境的側面の NI を緩和する。
SDGs では、以下のターゲットに該当すると考えられる。
• 12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通して化学物質や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。
• 12.5 2030年までに、廃棄物の発生を、予防、削減(リデュース)、再生利用(リサイクル)や再利用(リユース)により大幅に減らす。
• 13.3 気候変動の緩和策と適応策、影響の軽減、早期警戒に関する教育、啓発、人的能力、組織の対応能力を改善する。
【環境経営レポート】 「環境方針」
資料:同社のWebsite xxxxx://xxx.xx00.xx/xxxx/xxxx/0000000.xxx、xxxxx://xxx.x-xxxxxx.xx.xx/xxx_xxx/
(5)インパクトニーズの確認
①日本におけるインパクトニーズ
同社の事業は日本、特に首都圏のお客様向けに行われていることから、日本のインパクトニーズ(SDGs の17の目標別の達成度)と同社のインパクトとの関係を確認した。
本評価書で特定したインパクトに対応するSDGs の目標は、以下の5点である。
• 目標5 ジェンダー平等を達成し、すべての女性・少女のエンパワーメントを行う
• 目標8 すべての人々にとって、持続的でだれも排除しない持続可能な経済成長、完全かつ生産的な雇用、働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を促進する
• 目標9 レジリエントなインフラを構築し、だれもが参画できる持続可能な産業化を促進し、イノベーションを推進する
• 目標12 持続可能な消費・生産形態を確実にする
• 目標13 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を実施する
「Sustainable Development Report 2023」をもとに日本のインパクトニーズをみると、目標の「5」「12」「13」は「大きな課題が残っている」、「8」は「重大な課題が残っている」と位置付けられている。したがって、日本のインパクトニーズと同社のインパクトは整合していると判断できる。
【 Sustainable Development Report 2023 】
資料:SDSN のWebsitehttps://xxxxxxxxxx.xxxxxxxx.xxx/xxxxxxxx/xxxxx
②海外におけるインパクトニーズ
同社では国内だけではなく、海外の協力会社からも材料を調達しているため、海外のインパクトニーズとの関係についても整合性を確認した。特に関連度の高い国は合弁会社などを有する中国である。
前述したとおり、本評価書で特定したインパクトに対応する同社のSDGs の目標は以下の5点である。
• 目標5 ジェンダー平等を達成し、すべての女性・少女のエンパワーメントを行う
• 目標8 すべての人々にとって、持続的でだれも排除しない持続可能な経済成長、完全かつ生産的な雇用、働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を促進する
• 目標9 レジリエントなインフラを構築し、だれもが参画できる持続可能な産業化を促進し、イノベーションを推進する
• 目標12 持続可能な消費・生産形態を確実にする
• 目標13 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を実施する
「Sustainable Development Report 2023」をもとに中国のインパクトニーズをみると、目標の「8」は「重大な課題が残っている」と位置付けられている。したがって、中国のインパクトニーズと同社のインパクトは整合していると判断できる。
【 Sustainable Development Report 2023 】
資料:SDSN のWebsitehttps://xxxxxxxxxx.xxxxxxxx.xxx/xxxxxxxx/xxxxx
③新潟県におけるインパクトニーズ
同社の主な事業地域である新潟県では、「新潟県 SDGs xx都市計画」を策定している。新潟県では、2030年のあるべき姿を
豊かな自然としなやかに共存する「住んでxxx新潟」
とし、経済、社会、環境の各側面のあるべき姿を以下のとおり公表している。
【経済】 将来を支えるイノベーションの創出と持続可能な産業構造への転換
【社会】 安全・安心で持続可能な地域づくりとこれを支える人づくり
【環境】 気候変動への対応と県土の保全、豊かな自然との共存・xxへの継承
本評価書で特定した同社のインパクトである「①生産性の向上」は、【経済】の側面である「将来を支えるイノベーションの創出と持続可能な産業構造への転換」に貢献するものである。また、
「②働きがいのある職場づくり」は、【社会】の側面である「安全・安心で持続可能な地域づくりとこれを支える人づくり」、「③環境負荷の低減」は、【環境】の側面である「気候変動への対応と県土の保全、豊かな自然との共存・xxへの継承」につながるものである。したがって、新潟県が目指す SDGs の方向性と、同社が目指すSDGs の取り組みは整合していると判断できる。
【新潟xxx都市計画における2030年のあるべき姿(経済・社会・環境の側面別)】
資料:新潟県「新潟県 SDGs xx都市計画」 xxxxx://xxx.xxxx.xxxxxxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxxxxxx/000000.xxx
④第四北越銀行が認識する社会課題との整合性
第四北越銀行は第四北越フィナンシャルグループとして、地域の持続的な成長を実現するため、2019年5月に「第四北越フィナンシャルグループ SDGs 宣言」を制定し、地域が抱える社会・環境課題などの解決に向けて取り組んでいる。「第四北越フィナンシャルグループ SDGs 宣言」は、以下のとおり5つの宣言で構成されている。
• 宣言1 | 地域経済・社会 | 地域経済とコミュニティの活性化に貢献します |
• 宣言2 | 高齢化 | 高齢者の安心・安全な生活を支えます |
• 宣言3 | 金融サービス | より良い生活をおくるための金融サービスを提供します |
• 宣言4 | ダイバーシティ | ダイバーシティ・働き方改革を推進します |
• 宣言5 | 環境保全 | 持続可能な環境の保全に貢献します |
本評価書で特定した同社のインパクトである「①生産性の向上」は、「宣言1 地域経済・社会 地域経済とコミュニティの活性化に貢献します」と方向性が一致している。また、「②働きがいのある職場づくり」は、「宣言4 ダイバーシティ ダイバーシティ・働き方改革を推進します」、「③環境負荷の低減」は、「宣言5 環境保全 持続可能な環境の保全に貢献します」に寄与する。
以上のように、第四北越銀行が目指すSDGs の方向性と、同社のSDGs の取り組みは整合していると判断でき、SDGs 達成に向けた資金需要と資金供給とのギャップを埋めることにつながるものである。
【第四北越フィナンシャルグループ SDGs 宣言】
資料:第四北越銀行のWebsite xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxx/xxx/xxxxx.xxxx
3.インパクトの評価
(1)生産性の向上
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | • 経済的側面のポジティブインパクトを拡大 |
インパクトエリア・トピック | 「包括的で健全な経済」 |
関連するSDGs | |
取組方針・取組内容 | • DX の活用により工場内の業務効率化や生産性向上に取り組み、製品の品質や対応スピードを向上させて顧客満足 度を高める。 |
KPI | 【お客様満足度調査】 ※品質、納期、対応スピード、苦情対応の4項目を各5点、合計 20点で顧客が回答 • 2030年度までにお客様満足度調査の結果を本社工場で平均18.5点にする。 (2022年度実績:17.7点/20点) • 2030年度までにお客様満足度調査の結果を軽xx工場で平均18.0点にする。 (2022年度実績:16.0点/20点) |
(2)働きがいのある職場づくり
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | • 社会的側面のポジティブインパクトを拡大 • 社会的側面のネガティブインパクトを緩和 |
インパクトエリア・トピック | 「雇用」 |
関連するSDGs |
|
取組方針・取組内容 | • 「xxxん認定」(次世代育成支援対策推進法に基づき、子育てサポート企業として一定の基準を満たした企業に対して厚生労働大臣が認定)の継続取得に取り組むとともに、育児休暇取得率の維持・向上を目指して、より働きやすい環境を整備する。 • 経済産業省・日本健康会議「健康経営優良法人(中小規 模法人部門)」の認定を目指すことで、従業員が心身ともに健康で働ける職場づくりに取り組む。 |
KPI | • 「xxxん認定」を継続する。 (2022年度に取得) • 女性の育児休暇取得率100%を維持し、2030年度までには男性の育児休暇取得率100%とする。 (2022年度実績:女性100%、男性は該当者なし) • 2024年度までに経済産業省・日本健康会議「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」の認定を取得する。 |
(3)環境負荷の低減
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | • 環境的側面のネガティブインパクトを緩和 |
インパクトエリア・トピック | 「気候」「廃棄物」 |
関連するSDGs |
|
取組方針・取組内容 | • 事業を拡大させていく中で、生産活動により発生する CO₂ 排出量の削減にも取り組み、環境に配慮した経営を目指す。 • 事業活動に伴う廃棄物量を削減し、環境への負荷を軽減 する。 |
KPI | • 売上高当たり CO₂排出量を毎年、前年比3.0%以上削減する。 (2022年度実績:0.53t- CO₂/百万円) • 従業員1人当たりの一般廃棄物量を毎年1.5%削減する。 (2022年度実績:88.4kg) |
4.モニタリング
(1)インパクトの管理体制
同社はxx社長を中心に自社業務の棚卸をおこない、本評価書のインパクトの特定や取組方針・取組内容、KPI を策定した。
今後については同氏を中心に、SDGs の推進、本評価書で策定した KPI を管理していく方針にある。
【モニタリング体制】
統括責任者 | 代表取締役 xxx |
担当部署 | 総務部 |
(2)モニタリング方法
本評価書で策定したKPI の進捗状況については、同社と第四北越銀行、第四北越リサーチ&コンサルティングが年に1回は定期的に情報を共有し、その達成状況や課題をモニタリングするとともに、必要に応じて課題解決に向けた提案を行う。
【留意事項】
1. 本評価書の内容は、第四北越リサーチ&コンサルティングが現時点で入手可能な公開情報、同社から提供された情報、同社へのインタビューなどで収集した情報に基づいて、現時点での状況を評価したものであり、将来における実現可能性、ポジティブな成果等を保証するものではない。
2. 第四北越リサーチ&コンサルティングが本評価に際して用いた情報は、第四北越リサーチ
&コンサルティングがその裁量により信頼できると判断したものではあるものの、これらの情 報の正確性等について独自に検証しているわけではない。第四北越リサーチ&コンサルティングは、これらの情報の正確性、適時性、網羅性、完全性、および特定目的への適合性その他一切の事項について、明示・黙示を問わず、何ら表明または保証をするものではない。
3. 第四北越リサーチ&コンサルティングは本評価書を利用したことにより発生するいかなる費用または損害について一切責任を負わない。
4.本文書に関する一切の権利は第四北越リサーチ&コンサルティングが保有している。本文書の全部または一部を自己使用の目的を超えて、複製、改変、翻案、頒布等をすることは禁止されている。