再委託は、受注者の責任の下で行っていただきますが、日本国民の税金を原資とする本事業の特性を考慮の上、本ガイドラインを参照し、可能な限り JICA が定める調達のルール(会計規程等)に準じて再委託を行うようお願いします。
現地再委託ガイドライン
1.本ガイドラインの目的
本ガイドラインは、受注者が現地や特例的に日本国内他において業務の一部をコンサルタント等に再委託(以下「再委託」という。)する場合に、踏まえるべき原則及び手続きを取りまとめたものです。
再委託は、受注者の責任の下で行っていただきますが、日本国民の税金を原資とする本事業の特性を考慮の上、本ガイドラインを参照し、可能な限り JICA が定める調達のルール(会計規程等)に準じて再委託を行うようお願いします。
また、受注者と JICA との業務委託契約では、原則として業務の再委託を禁じています。このため、特記仕様書にて再委託が可能と定めた業務以外は、再委託を行うことはできません。
なお、印刷・製本、資料整理、翻訳・通訳、会場借上等の軽微な業務の再委託については、本ガイドラインは適用されません。
2.再委託先等の選定
JICA との業務委託契約締結後、契約書の特記仕様書で定めた再委託可能な業務の範囲の中 で、受注者は、仕様書作成、再委託先選定及び契約締結等の手続きを、自らの責任の下に行うこととなります。
なお、特記仕様書に定めのない業務を新たに再委託する必要が生じた場合や、再委託の履行中に、自然災害など予測困難な事態が発生し、当初の業務を大きく変更せざるを得ない場合 は、業務xx者は速やかに監督職員に報告・相談願います。
双方にて協議を行い、契約変更等の対応を行うこととします。
3.契約相手方の選定方法
業務の規模(予定価格)によって、以下表のとおり適切な選定方式を決定します(注1)。詳細は別紙「xx表(選定~契約~精算)」を参照ください。
予定価格 | 選定方式 |
1,000 万円超 | 競争入札 |
1,000 万円以下 | 見積競争、企画競争又は見積合わせ(注2) |
(注1)〈協力準備調査(海外投融資)〉においては、当該調査募集要項の記載によります。
(注2)見積合わせは、可能な限り、200 万円以下の再委託契約に限定してください。
(1) 競争入札による選定
予定価格が 1,000 万円を超える再委託を実施する場合には、原則、競争入札により納入業者を選定します。最低コストに基づく選定(最低価格落札方式)の他、技術面や業務従事予定者の能力・資格の評価等が必要な場合は、技術評価と入札価格を総合的に判断し選定することができます。(総合評価落札方式)
なお、入札会を行う際には JICA 在外事務所並びに支所及び出張所(以下「JICA 在外事務所等」という。)の所員(又は、企画調査員、ナショナルスタッフ、現地派遣中の調査団員等)の立会が必要です(注3)。
(注3)日本国内における再委託契約について入札を行う場合は、契約交渉時点で、国内再委託契約相手先や再委託契約金額の妥当性などと共に、入札執行の方法も個別に協議し確認します。
(2) 企画競争(プロポーザル方式)による選定
社会調査やコンピュータープログラムの構築など、技術面や業務従事予定者の能力・資格の評価等が必要な案件では、企画競争(プロポーザル方式)により技術評価を行 い、再委託先を選定することも可能です。
その場合の具体的手続きは、当該国の商習慣や国際機関等の類似事例を十分参考にし、受注者で検討してください。
(3) 特命随意契約
競争性・xx性・透明性の観点から、競争に拠らず特定の者との随意契約(特命随意契約)を締結することは、真にやむを得ない場合(当該業務に必要な技術が同者にしかないことが明らかで、同者と契約しないと目的を達することができない場合等)に限り可能です。
特命随意契約を行う場合は、JICA と受注者間の契約交渉時に、再委託業務内容、特命理由(特命の者と契約せざるを得ない具体的な背景・理由、及び計上金額根拠)を確認いたします。
JICA との契約締結後、再委託先を選定する前に、2 者打合簿にて再委託する業務x x、特命随意契約の理由を改めて確認し、監督職員の合意を得てください。合意が得られない場合は、選定方式を見直していただきます。
再委託契約の締結前に、相手方に対して見積書及び必要に応じてプロポーザル(技術提案書)の提出を依頼し、これらを受領後、その内容を精査し、契約交渉を経て、再委託契約を締結してください。
再委託契約締結後は、監督職員に提出する再委託契約に係る報告の中で、経緯・理由について特に詳細に明記してください。
主な調達の種類とその概要は下表のとおりです。
調達の種類 | 調達方法の概要 |
競争入札 | 競争参加者が一堂に会し、価格を記入した札を厳封にて提出し、予定価格の範囲内で最も安価な価格を提示したものを契約者として選定する。競争参加者の募集方法として、公告(ウェブサイトや掲示等)により、広く一般から募る「一般競争入 札」と、複数者を指名して行う「指名競争入札」がある。どちらの入札にも、価格評価により選定する「最低価格落札方式」、技術(提案)と価格を評価し選定する 「総合評価落札方式」を採ることができる。 (総合評価落札方式) 調達概要を示した公告を行い、競争参加資格を有する参加希望者より技術提案書の提出を受けた後、予定価格の範囲内で入札を行い、入札者が示す価格と技術提案の内容を総合的に評価し、落札者を決定する。 |
見積競争 | 複数者(なるべく 3 者以上)に対して、以下の手順を明示した見積依頼書を配布し、手続きを行う。 ①価格競争であることを明示し、 ②見積り提出期限を設定し、 ③提出期限後に封函された見積書を一斉開封し(非公開。ただし関係者複数人の面前において)、 ④その結果、発注者にとって有利な価格を提示した業者の順に契約交渉を行い、契約相手方を決定する。 見積競争参加者の募集方法は、「競争入札」と同様に、公告による「一般見積競争方式」と、複数者指名による「指名見積競争方式」がある。 |
企画競争(プロポーザル方 式) | 調達概要(業務の仕様)を示した公示/複数指名を行い、競争参加希望者よりプロポーザル(技術提案書)の提出を受け、最も優れた内容の提案を行った者を契約交渉相手として選定する。 |
見積合わせ | 複数者に対して、見積書の提出を求め、見積依頼条件に照らし、発注者にとって最も有利な見積を提示した者を、契約交渉相手方として選定する。 |
なお、JICA 調達・派遣業務部では、JICA 在外事務所等が物品・機材を調達する際に参照する入札図書雛型、見積依頼書雛型(英文。契約書等を含む。)等を準備していますので、これらを参照したい場合は、調達・派遣業務部調達推進第二課(xxxx0@xxxx.xx.xx)まで連絡してください。
4.契約の締結と JICA への報告
(1) 打合簿による報告
業務xx者は、再委託先を選定し、契約を締結した後は速やかに、監督職員に選定経緯と契約内容を打合簿の様式をもって報告してください。この際、見積書の写し等を提出する必要はありませんが、JICA で選定手続きにおける関連書類を確認する場合がありますので、書類は適切に保管ください。
打合簿には、選定の報告書と契約書(※)の写し(英語以外の言語の場合、xxもしくは英文の翻訳)を添付してください。
※調達金額が 200 万円以下の再委託契約については、発注書・請書により契約内容が明らかとなり、履行が確保されている場合には、これらの書類をもって契約書作成に代えることが可能です。
(2) 契約の基本的項目
契約書に含めるべき基本的な項目は以下のとおりですが、契約書に関しても受注者がその責任と権限の下に、再委託先と協議の上、作成願います。
その際、契約署名者は業務xx者名としてください。
① 契約件名
② 契約年月日
③ 契約金額
④ 業務内容
⑤ 業務の履行期限又は期間
⑥ 支払い条件(前払、出来高払等)及び方法
⑦ 履行の監督又は検査
⑧ 契約の解除
⑨ 危険負担
⑩ 契約内容の変更又は履行中止の場合の損害負担
➃ 成果品の検査・引渡し後の契約不適合責任およびその保証期間
⑫ 紛争の解決方法
⑬ 成果品の所有権及び著作権の帰属
⑭ 第三者に及ぼす損害の責任
⑮ その他(準拠法、使用言語等)
なお、調達先との契約交渉で前払金等を要求された場合は、再委託成果品の納入検査前に契約相手方が債務不履行を起こした際に前払金等の債権回収できる手段(前払保証書の取付、出来高払の設定)を受注者の責任において十分に検討してください。
前払等に関し受注者が受ける損害については、受注者の責任の下で解決することになります。(業務委託契約約款第9条)
(3) 再委託先、再委託内容の確認
再委託について、受注者が選定経緯及び契約書(写)を提出した際、JICA は再委託先に対して、再委託の内容に関する事実(再委託契約の有無、契約金額、契約業務内容)の確認を行い、受注者からの報告内容と相違がないことを確認する場合があります。
確認は原則、面談方式で行いますが、JICA 在外事務所等が無い場合や再委託先が遠隔地に所在する場合などは電話等によって行います。
5.履行確認
受注者と再委託先との間での契約締結後、受注者は成果品を完成させるために再委託先の監理・監督を行い、業務の履行を適宜確認します。
再委託業務の内容に変更が生じた場合は、JICA 事業担当課に相談の上、当該変更に係る打合簿または変更契約書を締結してください。また、受注者と再委託先との間の契約においても、必要な変更契約書を締結してください。
当該再委託契約において、調査報告書などの成果品を定めている場合については、業務xx者は当該再委託業務の成果品を検査します。
なお、再委託業務は受注者自らの責任で行いますので、監督職員は再委託先が受注者に提出した成果品の検査は行いません。
業務xx者は、検査合格確認後、引渡しを受けた再委託成果品に対する検査調書(受注者が、再委託先との契約書等の関連書類に基づき、成果品の内容、数量が契約に適合し、当該再委託契約が完全に履行されたことを、再委託の対価の支払前に確認した書面)を作成し、監督職員に対し、その内容を打合簿の様式をもって報告し、再委託業務の成果品を提示します。
(補足)令和 2 年 4 月施行の日本における改正民法においては、「瑕疵(改正前民法 570 条)」
という文言は使われなくなり、「契約の内容に適合しないもの(改正後民法 562 条)」と
いう文言になりました。併せて、改正後民法 566 条において、「売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。」と規定しています。
業務対象国の法令に合わせて、検査不合格の場合の履行の追完や検査合格・引渡し後の契約不適合責任保証期間を設定し、その期間内に契約不適合が判明した場合には、業務対象国の法令に従って再委託先が対応することを明記するなど、当該規定を再委託契約の内容に含めてください。
監督職員は業務xx者からの報告を受け、(個別の再委託業務ではなく)本体契約業務全体の適切な進捗を監督する立場から、必要な確認を行います。
なお、再委託の成果品は、受注者が文書管理に係る規程を独自に定めている場合は、当該規程に基づいた保管・廃棄を行ってください。
規程が定められていない場合は、5 年間保管するようご協力願います。この際、データ等については 2 次加工したものを保管してください。
6.支払
履行が確認された後、契約に定められた条件に基づいて支払いを行います。
支払いに当たっては、支払いの事実確認を容易なものとするため、現金による支払いではなく、可能な限り銀行振込としてください。
JICA が実施する調達では原則、100%後払いとしています。
前払は、契約が履行されない場合のリスクが生じるため、一定の範囲内に限定し(JICA 会計細則では契約金額の 40%を限度としています)、さらに銀行保証等を取付けるといった措置を取ることとしています(上掲 4.(2)参照)。
商習慣等により多額の前払が必要とされる場合は、監督職員と協議してください。
7.精算
精算時には JICA へ契約金額精算報告書を提出します。必要書類は「再委託 xx表」をご参照ください。
JICA は、精算報告書の確認時に、再委託費が契約書に基づき支払いがなされたかを確認します。
8.第三者による抽出検査
JICA は毎年、JICA と締結した本事業に係る業務委託契約を含むすべての契約のうち業務対象国において再委託がある契約を対象に、当該再委託業務の実施結果に関する抽出検査を実施しています。
同検査では、JICA 本部、または JICA 在外事務所等が傭上する第三者が、再委託業務が契約書に基づき実施されたかどうかを確認します。
検査対象案件を実施した受注者には、JICA の抽出検査への協力を個別に依頼しますので、その際は必要な資料の提供等についてご協力をお願いします。
以上
別紙:再委託 xx表(選定~契約~精算)
民間連携事業 業務委託契約 契約管理ガイドライン別添3.現地再委託ガイドライン