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札幌市役務契約に係る企画競争実施要領運用ガイドライン
平成27年3月25日管財部長決裁
目 | 次 | |
第1 | 企画競争と総合評価の違い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 1 |
第2 | 企画競争が想定される契約 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 1 |
第3 | 企画競争実施要領の目的(第1条) | |
1 | 実施要領の制定の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 2 |
2 | 実施要領の適用の対象 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 3 |
第4 | 企画競争実施の可否の検討(第3条関係) | |
1 | 企画競争の可否判断(方針伺等) ・・・・・・・・・・・・・・・ | 4 |
2 | 実施委員会に対する提案説明書作成等の依頼 ・・・・・・・・・・ | 6 |
3 | 実施伺 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 6 |
第5 | 企画競争実施委員会の設置等(第4条関係) | |
1 | 企画競争実施委員会の設置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 7 |
2 | 実施委員会の職務 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 9 |
第6 | 提案説明書の記載事項(第5条関係) | |
1 | 提案説明書の記載事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 10 |
2 | 評価項目等の設定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 12 |
第7 | 公募型企画競争の参加資格等(第6条関係) | |
1 | 札幌市競争入札参加資格者名簿 ・・・・・・・・・・・・・・・・ | 13 |
2 | 公募型企画競争の参加者の資格 ・・・・・・・・・・・・・・・・ | 15 |
3 | 名簿に登録されていない者を参加させる場合 ・・・・・・・・・・ | 16 |
第8 | 公平性を確保するための措置(第7条関係) ・・・・・・・・・・ | 18 |
第9 | 指名型企画競争の参加者案の策定等(第8条、第9条関係) | |
1 | 参加者案の策定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 20 |
2 | 指名の通知 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 20 |
第10 | 参加表明手続(第10条関係) ・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 22 |
第11 | 参加資格の審査等(第11条関係) | |
1 | 企画競争執行者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 22 |
2 | 参加資格の審査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 23 |
3 | 参加資格確認の通知 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 23 |
第12 | 参加資格の喪失等(第12条関係) | |
1 | 参加資格を有しないこと等が判明したときの措置 ・・・・・・・・ | 24 |
2 | 参加資格を有しないこととなった者等に対する通知 ・・・・・・・ | 25 |
第13 | 評価委員会の評価方法等(第13条関係) | |
1 | 実施委員会の評価方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 26 |
2 | 評価対象者への通知等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 27 |
第14 | 企画競争の成立等(第14条関係) | |
1 | 提案説明書への記載 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 27 |
2 | 公募型企画競争の場合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 28 |
3 | 指名型企画競争の場合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 28 |
第15 | 契約候補者との協議(第15条関係) ・・・・・・・・・・・・・・ | 29 |
第16 | 参加資格等についての苦情の申立て(第16条関係) | |
1 | 苦情の申立て ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 30 |
2 | 苦情の申立てに対する回答 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 30 |
3 | 再苦情の申立て ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 31 |
第17 | 評価についての疑義の申立て(第17条関係) | |
1 | 評価についての疑義の申立てに関する手続き ・・・・・・・・・・ | 31 |
2 | 再度の申立て ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 32 |
第18 | 苦情の申立て等による企画競争の執行の影響(第18条関係) ・・・ | 32 |
第19 | 秘密の保持(第19条関係) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 33 |
第20 | 提出された提案書類の著作権について | |
1 | 著作権とは | |
概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 34 | |
他の権利との比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 35 | |
著作物とは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 36 | |
著作権の内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 37 | |
職務著作 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 38 | |
2 | 企画競争における留意事項 | |
提案説明書記載事項案 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 39 | |
契約条項案 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 40 |
公募型企画競争の標準的な事務フロー
番号 | 市長 | 企画競争実施委員会 |
1 | ●企画競争の可否判断(方針伺) ●企画競争実施委員会の設置等 ●企画競争実施委員会に対する提案説明書作成等の依頼 | |
2 | ●提案説明書の作成、評価基準の設定、参加資格案の設定等 | |
3 | ●公募型企画競争の実施伺 ●告示及び公告 | |
4 | ●意向申出書及び提案書類の受領 ●参加資格の確認 ●参加資格確認結果の通知 ●実施委員会に対する参加資格確認結果の報告及び評価依頼 | |
5 | ●提案書類、ヒアリングに基づく評価 ●評価の確定、契約候補者の選定 ●市長に対する確定した評価及び契約候補者の報告 | |
6 | ●選定結果に係る書面の作成 ●評価対象者への通知 | |
7 | ●契約候補者との協議 | |
8 | ●役務の調達伺(第1次伺) ●見積書の徴取 ●契約締結伺(第2次伺) ●契約締結 |
指名型企画競争の標準的な事務フロー
番号 | 市長 | 企画競争実施委員会 |
1 | ●企画競争の可否判断(方針伺) ●企画競争実施委員会の設置等 ●企画競争実施委員会に対する提案説明書作成等の依頼 | |
2 | ●提案説明書の作成、評価基準の設定、参加者案の策定等 | |
3 | ●指名型企画競争の実施伺 ●指名通知 | |
4 | ●提案書類の受領 ●実施委員会に対する評価依頼 | |
5 | ●提案書類、ヒアリングに基づく評価 ●評価の確定、契約候補者の選定 ●市長に対する確定した評価及び契約候補者の報告 | |
6 | ●選定結果に係る書面の作成 ●評価対象者への通知 | |
7 | ●契約候補者との協議 | |
8 | ●役務の調達伺(第1次伺) ●見積書の徴取 ●契約締結伺(第2次伺) ●契約締結 |
第1 企画競争と総合評価の違い
価格のみによる競争がふさわしくない場合の選定方式には、企画競争のほかに、価格その他の条件が本市にとって最も有利なものをもって申込みをした者を落札者とする総合評価一般競争入札(以下「総合評価」という。)がある。違いは、次のとおりである。
企画競争は随意契約であるのに対し、総合評価は競争入札である。
契約の相手方を選定するにあたり、企画競争では価格が高い、安いということを評価せず(すなわち、予定価格という上限はあるにせよ、金に糸目を付けず純粋に企画等を求める。)、総合評価ではそれについても評価する。
本市の企画競争では、評価の客観性等を踏まえ、原則、複数の外部委員(学識経験を有する者、専門的な知識を有する者その他調達契約に関連する他部局の長)を実施委員とすることとしているが、総合評価においても同様の理由から、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号。以下「自治令」という。)第167条の10の2第4項、第5項の規定により、落札者決定基準を定めようとするときなどに学識経験者の関与が必要とされているが、その方法は意見聴取に留まっている。
項 目 | 企画競争 | 総合評価 |
契約区分 | 随意契約 | 競争入札 |
評価方法 | 企画のみ | 価格+企画 |
外部委員の関与 | 原則として、実施委員会の委員として2人以上の外部委員を選任しなければならない | 落札者決定基準を作成するに当たっては、2人以上の学識経験者の意見を聴かなけ ればならない |
第2 企画競争が想定される契約
企画競争が想定される契約は概ね以下のとおりである。
都市計画調査、地域・地区計画調査、総合計画調査、分野別計画調査、市場・経済調査、環境影響調査、広報計画調査、複数の分野にまたがる調査など、広範かつ高度な知識と豊かな経験を必要とする役務
ポスターや記念品のデザインなど、象徴性、記念性、芸術性、創造性が求められる役務
【留意事項】
役務契約として発注できるのは、あくまでもデザインや製作図面等(サンプル品を含む。)であり、採用したデザインや製作図面等に基づき製作された物を取得するためには、別途物品購入等の手続きを経る必要がある。
催事企画、システム開発など、高度な技術力と企画・開発力を求められる役務
前例が少なく特殊な実験又は診断・解析を必要とする役務
第3 企画競争実施要領の目的(要領第1条)
(目的)
第1条 この要領は、別に定めがあるものを除き、札幌市(交通局、水道局及び病院局を除く。以下同じ。)が発注する役務(札幌市工事施行規程(平成4年訓令第4号)及び札幌市小額工事の施行及び契約事務の適正化に関する規程(昭和 45 年訓令第8号)の適用対象となるものを除く。以下同じ。)に係る企画競争の実施について、その統一的な事務手続きの詳細を定めるとともに、契約の公平性、透明性、競争性を確保するために必要な措置を講じ、併せて参加資格等についての苦情の申立てに係る制度を整備すること等により、企画競争に対する市民の信頼を確保することを目的とする。
1 実施要領の制定の目的
札幌市役務契約に係る企画競争実施要領(以下「実施要領」という。)は、本市が発注する役務契約に係る企画競争の実施における、契約の公平性、透明性、競争性を確保するために必要な規定を設け、併せて苦情申立てに係る制度の整備を行うなど、統一的な事務手続きの詳細を定めることで、企画競争に対する市民の信頼を確保しようとしたものである。
企画競争は、随意契約における相手方を選定するための方法の一つであり、予算の制限はあるにせよ、金額では計れない面を企画案等に求めるものであるから、競争入札とは違い経済性の原則は働かない。
地方自治法第2条第14号では、「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を上げるようにしなければならない。」と規定されているため、経済性の原則が働かない企画競
争はこの規定に矛盾しているとの批判は避けがたいものである。しかし、一方で、行政ニーズの複雑化・多様化に対応するため又は一定の政策目的を達成させるためには、企画競争の実施は必要不可欠な一面を有しており、その存在意義は徐々に高まってきているのが現状である。
このため、企画競争を実施する場合には、前提として随意契約によることとした判断が適法に行われていなければならない。しかし、適法な判断のもと本要領に従った適正な事務手続きを行ったとしても、経済性の原則が働かない以上、企画競争を実施してまで締結した契約の履行結果が当初の事業目的を達し得ない場合には、市民からの信頼は到底得られるものではない。したがって、単に適法かつ適正な事務手続きを行うのでなく、真に企画競争によることが必要か否かの判断が極めて重要であり、また、市民に対する説明責任を全うするためには、履行結果に対する検証が必要と考えられる。
2 実施要領の適用の対象
実施要領は、本市が発注する役務契約全般に適用されるものであるが、公共建築物に係る基本設計など、その後の実施設計に向けて一貫した手続きを行う必要があるなどの理由により、国土交通省が定める基準や札幌市設計プロポーザル方式施行要領(平成13年4月9日助役決裁)の定めるところに従って実施するものにあっては、これらの基準又は要領が、実施要領第1条で規定する「別に定めるもの」に該当するものとして、適用除外とすることができる。
第4 企画競争実施の可否の検討(要領第3条)
(企画競争によることができる調達契約)
第3条 企画競争によることができる調達契約は、その性質又は目的が競争入札に適しないもののうち、次の各号に掲げるいずれかに該当すると認められるものとする。
高度な創造性、技術力、専門的な知識又は経験を必要とするもの
先進的な事業など最適なサービスの提供方法又は発注仕様を定めることが困難なもの
2 前項の規定に基づき企画競争を実施しようとするときは、公募型企画競争によるものとする。ただし、調達契約が次の各号に掲げるいずれかに該当するときは、指名型企画競争によることができる。
調達契約の性質又は目的が公募型企画競争に適しないとき
その性質又は目的により企画競争に加わるべき者の数が公募型企画競争に付する必要がないと認められる程度に少数であるとき
公募型企画競争に付することが不利と認められるとき
1 企画競争の可否判断
方針伺
企画競争は、随意契約における相手方の選定方法の一つとして位置付けられるものであり、その性質又は目的が競争入札に適しないもののうち、高度な創造性、技術力、専門的知識等が求められる場合について実施することができる。
したがって、企画競争を実施しようとするときは、あらかじめその可否を慎重に判断する必要があるため、方針伺により、その判断を詳細に明記する必要がある。この方針伺は契約締結の一連の手続きであることから、その専決する者は、札幌市事務専決規程(平成11年訓令第7号)別表中「業務委託(設計等を除く。)契約の締結」で定められた者とする。
なお、当該方針伺に明記する企画競争の可否判断の詳細は、以下ア及びイとなるが、指名型企画競争によるときは、これに加えてウも明記しなければならない。ア 調達契約の性質又は目的が競争入札に適しない理由
イ 次に掲げる事項のいずれか
高度な創造性、技術力、専門的な知識又は経験が必要とされる理由
先進的な事業など最適なサービスの提供方法又は発注仕様を定めること
が困難とされる理由
ウ 指名型企画競争によるときは、その理由(詳細は以下を参照のこと。)
企画競争の手法
より提案能力の優れた者等を募るとともに、契約の相手方の選定に係る公平性、
透明性、競争性を図る観点から公募型企画競争を原則としているところである。しかし、次の要件を満たす場合には、例外的に指名型企画競争を実施することができる。
なお、以下の要件は、地方自治法上一般競争入札が原則とされるところ、例外的に指名競争入札によることができる要件を定めた自治令第167条の規定を、指名型企画競争に厳格に準用したものである。
ア 発注しようとする役務の性質又は目的が公募型企画競争に適しないとき
以下イ、ウのいずれにも該当しないが、発注しようとする役務の性質又は目的が公募型企画競争に適しない場合があることを想定した規定であるが、弾力的な運用をすべきではなく、限定的に解釈すべきである。
イ その性質又は目的により企画競争に加わるべき者の数が公募型企画競争に付する必要がないと認められる程度に少数であるとき
この場合は、参加資格を満たす者をすべて指名することとなる。ウ 公募型企画競争に付することが不利と認められるとき
概ね次に該当する場合が考えられる。
関係企業が通謀して、公募型企画競争の公正な執行を妨げることとなるおそれがあるとき
通謀した一部の悪徳事業者が、本市事務事業を委託するに当たり、暴力団等を使って他の正常な事業者を脅迫させるなど公正な公募型企画競争の執行を妨げるような行為をし、企画競争に参加した者は、結局これら一部の悪徳事業者に限定されてしまう恐れがあるときをいう。
公募型企画競争に付するときは契約上の義務違反のおそれがあり本市の事業に著しく支障を来すおそれがあるとき
単に損害賠償だけでは補填されないような支障を来すもの。例えば、ある事業を委託した場合において、履行が遅延された場合には、直ちに当該事業に著しい支障を来すものをいう。
なお、公募型企画競争においても、参加するに当たって必要な資格を定め、その資格を有する者に限って競争に参加させることで不良不適格業者を排除することが可能であるから、上記ア、ウの理由により指名型企画競争を
行うことができる場合とは、この方策によっては不良不適格業者の排除が十分でない場合に限定して考えるべきである。
2 実施委員会に対する提案説明書作成等の依頼
方針伺後は、あらかじめ設置した実施委員会に対して、提案説明書の作成、評価基準の設定、参加資格案の設定等の依頼を行うこととなる。
3 実施伺
実施委員会において提案説明書の作成等を行った後は、関係書類を添付して、企画競争の実施伺を経て、公募又は指名の通知を行うこととなる。
第5 企画競争実施委員会の設置等(要領第4条)
(企画競争実施委員会)
第4条 前条の規定に基づき企画競争を実施しようとするときは、別表に定める部長等、課長等、係長等をもって組織する企画競争実施委員会(以下「実施委員会」という。)を設置するものとする。
2 実施委員会の委員(以下「実施委員」という。)には、前項で定める委員のほか、学識経験を有する者、専門的な知識を有する者その他調達契約に関連する他部局の長(以下「外部委員」という。)を2人以上置くものとする。ただし、外部委員を選任しない理由を明らかにした場合にあっては、この限りでない。
3 実施委員会は、次に掲げる職務を行うものとする。提案説明書の作成
評価項目及びそのウエイト、評価基準、ヒアリング(プレゼンテーションを含む。以下同じ。)の有無、採点が同点の場合の取扱その他契約候補者の選定に必要な事項の設定
公募型企画競争による場合における参加資格案の設定指名型企画競争による場合における参加者案の策定 評価の確定及び契約候補者の選定
その他企画競争の実施について必要な事項の設定
4 前3項に定めるもののほか、実施委員会の組織及び運営に関する事項は、それぞれ市長が別に定めるものとする。
1 企画競争実施委員会の設置
附属機関に該当する場合
本市職員の身分を有しない外部委員を選任した企画競争実施委員会(以下「実施委員会」という。)は、地方自治法第138条の4第3項で規定する附属機関となるが、札幌市附属機関設置条例(平成26年条例第43号。以下「設置条例」という。)
第2条第1項(設置条例別表2に該当する附属機関)において既に設置されている機関とみなされるため、別途設置に関する要綱を定める必要はない。しかし、その組織及び運営その他実施委員会に関し必要な事項は、設置条例第7条の規定に基づき各部局において運営要綱を制定し、委員の選定方法、実施委員会の招集手続き、決議方法その他の実施委員会の組織運営等に関する事項(詳細は以下
のとおり。)を定める必要がある。
なお、附属機関の運用に関しては、総務局行政部が作成した「附属機関等ハンドブック」を参照すること。
附属機関に該当しない場合
実施委員会が上記の附属機関に該当しない場合(委員が本市職員のみで構成されている場合)は、設置要綱を制定することとする。
実施委員会の構成
実施要領で定める実施委員会の構成は次のとおりである。
委員長 | 契約担当部長等 |
委 員 | 契約担当課課長等契約担当課係長等 |
役務発注課課長等役務発注課係長等 | |
※ 契約担当課と役務発注課が同一の場合は、役務発注担当課課長等及び係長等は、委員長が適当と認める他の課長等又は係長等とする。 |
+
・本市職員の身分を有しない者
・本市職員
2人以上の外部委員
外部委員の選任について
外部委員とは、①学識経験を有する者、②専門的な知識を有する者、③その他調達契約に関連する他部局の長のことをいい、原則として2人以上選任することとなるが、2人以上の外部委員を選任しない理由を明らかにすることで、選任を不要とする取り扱いも可能となる。
外部委員の導入目的は、評価の客観性及び専門的な見地から評価の実効性を図
ることにあるため、上記①から優先して選任を検討することを要する。
なお、調達契約に関連する他部局の長を外部委員として選任することが可能となっているため、外部委員の選任を不要とする取り扱いは、極めて限定的なものとなる。
外部委員の詳細は以下のとおりである。ア 学識経験を有する者
一般に、専門領域の学問で評価を受け、豊富な経験と高い見識があると社会的に認められる人と定義されており、通常は大学教授のことをいうが、その他国や他の自治体など公的団体の職員もこれに含めることとした。
イ 専門的な知識を有する者
上記ア以外の者であって、専門的な知識を有する者のことをいい、例えば、公認会計士、中小企業診断士、社会保険労務士、調査研究機関の職員、民間企業の職員のことをいう。
ウ 調達契約に関連する他部局の長
調達契約に関連する事務・事業を所管し又は関連する事務・事業の発注実績が豊富な他部局の長のことをいう。
報酬について
附属機関に該当する実施委員会の外部委員(本市職員の身分を有していない者に限る。)に対して報酬を支払うときは、その支出科目は報酬(01節)となる。
実施委員会運営要綱等で定める事項
上記のとおり、実施委員会の組織及び運営その他実施委員会に関し必要な事項について運営要綱を制定する必要がある。この運営要綱で定める事項は概ね次のとおりである。なお、設置条例別表1に該当する附属機関は別途運営規則を制定しているため、当該運営規則を参考とされたい。
また、附属機関に該当しない実施委員会については、設置要綱を制定する必要があるが、設置要綱で定める事項は運営要綱で定める事項と同様である。
ア 目的等
附属機関は、地方自治法第138条の4第3項の規定により、法律又は条例に 設置根拠を求めるものであるから、実施委員会が附属機関に該当する場合には、
設置根拠が条例にあることを明確にするため、必ず次のような規定を設けること。
(目的)
第1条 ○○実施委員会は、札幌市附属機関設置条例第2条第1項の規定に基づく附属機関(同条例別表2の「受託者の選定に係る委員会」に該当)であり、この要綱は
○○実施委員会の運営について定めるものとする。
なお、附属機関に該当しない実施委員会の設置要綱は、以下のとおりとなる。
(設置)
第1条 札幌市役務契約に係る企画競争実施要領第4条の規定に基づき、○○課で実施する企画競争における提案書類の評価及び契約候補者の選定等を行うため、□□実施委員会を設置する。
イ 委員会の構成に関する事項
委員の人数、委員長に関する事項、委員長に事故があったとき又は欠けたときにおける職務の代理に関する事項などの定めを設ける。
ウ 委員長の運営に関する事項
招集権者及び招集方法、定足数、決議方法、議長に関する事項などの定めを設ける。
エ 庶務に関する事項
2 実施委員会の職務
実施委員会は以下の職務を行うこととなる。
提案説明書の作成
評価項目及びそのウエイト、評価基準、ヒアリング(プレゼンテーションを含む。以下同じ。)の有無、採点が同点の場合の取扱その他契約候補者の選定に必要な事項の設定
公募型企画競争による場合における参加資格案の設定
指名型企画競争による場合における参加者案の策定
評価の確定及び契約候補者の選定
その他企画競争の実施について必要な事項の設定
第6 提案説明書の記載事項(第5条関係)
(提案説明書の記載事項)
第5条 前条第3項第1号の提案説明書は、告示(札幌市物品・役務契約に係る入札等情報の公表に関する事務取扱要領(平成25年12月2日財政局契約管理担当局長決裁)第7条の規定に基づく告示をいう。)で明らかにする事項のほか、次の各号に掲げる事項を記載するものとする。
調達契約の詳細(調達契約の内容、調達を行う必要性、達成すべき目的など)予算規模
参加手続に関する事項(企画競争の参加に必要な書類の入手方法、積算書及び提案書類の作成・提出方法、質疑応答など)
前条第3項第2号により設定した事項
企画競争において参加者が1名であった場合の取扱いに係る事項選定結果の通知方法、結果に対する質問方法等
その他必要と認める事項(提案書類の作成に係る費用の負担、提出された提案書類の著作権に関する事項など)
1 提案説明書の記載事項
提案説明書は、一般競争入札における入札説明書に位置付けられるものである。企画競争の参加者は当該提案説明書の記載事項を判断して企画提案を行うこととなるため、実効性のある企画提案を行わせるためには、必要な情報はすべて提案説明書に記載されている必要がある。したがって、提案説明書の記載を簡略化する目的で説明会を開催することは、その開催の方法によっては、参加者が、他の参加者を認知し得ることとなり、競争性の阻害を誘発するおそれがあるため、厳に慎むべきである。
なお、提案説明書の記載事項は、概ね以下のとおりである。
告示で明らかにする事項
公募型企画競争を実施する場合における参加者の公募に当たっては、一般競争入札と同様、札幌市物品・役務契約に係る入札等情報の公表に関する事務取扱要領(平成25年12月2日契約管理担当局長決裁。以下「公表要領」という。)第7条の規定に基づき告示が必要となるため、当該告示で明らかにする事項を提案説明書に記載することとなる。
指名型企画競争にあっては、前述した告示を行う必要はないが、同様の事項を提案説明書に記載することとなる。
調達契約の詳細(調達契約の内容、調達を行う必要性、達成すべき目的など)
企画競争に参加する者に対して、どのようなコンセプトのもと企画を立案すればよいのかを示す項目である。
予算規模
企画競争は予定価格の範囲内で、価格によらず企画のみを求めるものであるから、予算規模を示すことにより、同一条件のもとで競争が可能となり、競争の効果が最大限発揮されることが期待できる。
参加手続に関する事項(企画競争の参加に必要な書類の入手方法、積算書及び提案書類の作成・提出方法、質疑応答など)
より提案能力の優れた者等を募る必要から、原則、公募型企画競争によること
としている。このため、当該企画競争に参加するための手続きに関する事項を明確に示すことが必要となる。
なお、質疑応答に関する事項については、その内容により企画を見直す場合が想定されるため、原則、各参加者が共有できるようインターネット上で公表すること。また、当該公表は、各参加者において企画の修正等が可能となるよう、提案書類の提出期限日から余裕をもった日に行うこと。
評価項目及びそのウエイト、評価基準等
上記の項目と合わせ、どのような点を踏まえた企画を求めているのかを明確にすることにより、より密度の高い企画の提案が期待できる。
その他、ヒアリングの有無、実施委員会における採点が同点の場合の取扱いなどを示すこととなる。特に採点が同点の場合の取扱いについては、企画競争の趣旨を踏まえ、単なるくじ引きによるのではなく、例えば、重視されるべき評価項目(複数の場合もある)に係る評価の高い者や資力・信用・履行能力の高い者を最優秀者とし、それでも同着の場合にはくじ引きを併用するなどの方法が考えられる。
企画競争において参加者が1名であった場合の取扱いに係る事項詳細は第14を参照のこと。
選定結果の通知方法、結果に対する質問方法等
その他必要と認める事項(参加資格の喪失、提案書類の作成及び提出に係る費
用の負担、提出された提案書類の著作権に関する事項など。)
参加資格の喪失は第12を、著作権に関する事項は第20を参照のこと。
2 評価項目等の設定
企画提案の優劣に応じて段階的に点数を付与する評価を行う場合は、次の事項に留意して設定する。
評価項目
契約の性質又は目的を達するため、高度な創造性、技術力等を求めて企画競争
を実施することとなる。したがって、その評価項目は自ずと高度な創造性、技術力等に関する事項が主体となるため、これを踏まえた適切な評価項目を設定すること。
積算額を評価項目とする場合について
提案内容に対して積算額が妥当であるか否かを評価することとなる。したがっ て、総合評価のように、積算額の低い順から高い点数を付与することはできない。なお、統一的な積算方法が確立されていない役務については、この項目を評価
するのは困難と考えられる。
評価項目ごとの配点
項目の重要度や事業実施上の必要性から決定する。 点数の基準
ア 評価項目ごとに、評価ポイントや配点をもとにして、提案内容の優劣に応じて付与する点数の基準を定める。
イ 原則として提案内容の優劣に応じて、例えば次のように段階的に点数を付与
するものとする。 | ||
<例> 特に優れている | ・・・ | 10点 |
優れている | ・・・ | 8点 |
普通 | ・・・ | 6点 |
やや不十分 | ・・・ | 4点 |
不十分 | ・・・ | 2点 |
ウ 一番優れている者に満点を付与し、他の者には点数を付与しないなど異例の基準とする場合は、その趣旨を明確にすること。
第7 公募型企画競争の参加資格等(第6条関係)
(公募型企画競争の参加資格等)
第6条 公募型企画競争に参加することができる者は、札幌市物品・役務契約等事務取扱要領(平成20年3月28日財政局理事決裁。以下「事務取扱要領」という。)第3条に掲げる要件のほか、次の各号に掲げる要件のすべてを満たす者とする。
事務取扱要領第85条第1項及び第2項の規定に基づき定めた要件
事務取扱要領第94条の共同請負を認めるときは、当該共同請負人がそれぞれ単独で又は他の者と共同して参加していないこと
その他必要と認める事項
2 前項の規定に関わらず、調達契約の性質又は目的から、やむを得ず事務取扱要領第3条に規定する参加資格者ではない者の参加を認める場合にあっては、札幌市競争入札参加資格審査等取扱要領(平成14年9月18日財政局理事決裁。)第3条第1項各号のいずれにも該当しないことを要件とする。
1 札幌市競争入札参加資格者名簿
競争入札に参加するためには自治令第167条の4の要件を満たす必要があり、必要に応じて第167条の5、第167条の5の2に基づき定めた要件がある場合には、当該資格を満たす必要がある。
そこで、各発注部局の便宜を図るため、札幌市競争入札参加資格審査等取扱要領
(平成14年9月18日財政局理事決裁。以下「審査要領」という。)の規定に基づき、契約類型ごとに共通すると考えられる資格を抽出し、これを満たした者の名簿(札幌市競争入札参加資格者名簿)を作成しているところである。当該名簿に登録されるための主な要件は、次表のとおりである。
本市の競争入札参加資格
法令上の要件 | 審査要領で定める本市の名簿登録要件 | |
自治令第 167条の4 | 以下のいずれにも該当しない者 ●契約を締結する能力を有しない者 ●破産者で復権を得ない者 ●暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第32条第1項各号に掲げる者 ●契約の履行に当たり、故意に工事、製造その他の役務を粗雑に行い、又は物件の品質若しくは数量に関して不正の行為をしたとき ●競争入札又はせり売りにおいて、その公正な執行を妨げたとき又は公正な価格の成立を害し、若しくは不正の利益を得るために連合したとき ●落札者が契約を締結すること又は契約者が契約を履行することを妨げたとき ●地方自治法第234条の2第1項の規定による監督又は検査の実施に当たり職員の職務の執行を妨げたとき ●正当な理由がなくて契約を履行しなかつたとき ●契約により、契約の後に代価の額を確定する場合において、当該代価の請求を故意に虚偽の事実に基づき過大な額で行つたとき ●上記の一般競争入札に参加できないこととされている者を契約の締結又は契約の履行に当たり代理人、支配人その他の使用人と して使用したとき。 | 同左 なお、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第32条第1項各号に掲げる者」については、以下の「札幌市暴力団の排除の推進に関する条例第 2条第2号に規定する暴力団員又は同条例第7条に規定する暴力団関係事業者」に包含される。 |
自治令第 167条の5 | 契約の種類及び金額に応じ、工事、製造又は販売等の実績、従業員の数、資本の額その他の経営の規模及び状況 | ●以下のいずれにも該当しない者 ・審査基準日の直前1年間において、 1期の決算における製造、販売、請負等の実績高がない者 ・不渡手形又は不渡小切手を発行して、銀行当座取引を停止された者で、2年を経過しない者 ・市区町村税又は消費税・地方消費税を滞納している者 ・札幌市暴力団の排除の推進に関する条例第2条第2号に規定する暴力団員又は同条例第7条に規定する暴力団関係事業者 ●札幌市競争入札参加資格審査等取扱要領運用指針で定める、業種別の資格 要件等を満たす者 |
随意契約(企画競争)においては、競争入札のように参加者の資格に関する規定は存在しないが、登録事業者が存在するのであれば、特段の事情のない限りその中から選定することを原則としているところである。ただし、調達契約の性質又は目的から、やむを得ず登録事業者以外の者の参加を認める場合が想定されるため、このような場合には、例外的に企画競争への参加を認めることができることとした。
なお、提案書類等の提出期限日までに名簿登録がなされればよいので、企画競争実施のスケジュールに余裕を持たせる工夫が必要である。
【札幌市競争入札参加資格者名簿の登録】
原則、毎月15日までに登録申請を行い、かつ、必要書類を提出したうえで審査が完了すると、翌月1日付で名簿に登録されることとなる。したがって、例えば、企画競争の公告期間の初日を月の初日とし、かつ、提案書類等の提出期限を当該月の翌月の初日以降とすることで、名簿に登録されていない者も、当該名簿に登録したうえで企画競争に参加することが可能となる。
2 公募型企画競争の参加者の資格
公募型企画競争の参加者の資格は以下のとおりである。
札幌市物品・役務契約等事務取扱要領(平成20年3月28日財政局理事決裁。以下「事務取扱要領」という。)第3条に掲げる要件
札幌市競争入札参加資格者名簿に登載され、かつ、以下の要件を満たした者である。
ア 同一の企画競争において、事業協同組合等の組合と当該組合員とが同時に参加していないこと
イ 会社更生法による更生手続開始の申立てがなされている者又は民事再生法による再生手続開始の申立てがなされている者(手続開始決定後の者は除く。)等経営状況が著しく不健全でないこと
ウ 札幌市競争入札参加停止等措置要領(平成14年4月26日財政局理事決裁)に基づく参加停止措置を受けていないこと
事務取扱要領第85条第1項及び第2項の規定に基づき定めた要件以下に掲げるものを参加資格として定めることができる。
ア 自治令第167条の5の2の規定に基づく事務所の所在地
イ 審査要領第8条の規定に基づく等級区分がある業種については、当該等級区分
ウ 審査要領第9条第1項の規定に基づく取扱業種
エ 契約の履行確保から、必要に応じて次に掲げる書類の提出
契約の履行に必要な許可、資格又は届出書の写し
契約の履行に必要な設備機器を保有している又は使用できることを証する書類
同様の業務における過去の実績を証する書類
その他市長が認めたもの
【共同請負について】
契約規則第 29 条に基づく共同請負による場合は、事務取扱要領第 94 条に基づきあらかじめ管財部長の合議が必要となる。これは、共同請負における各請負人は、それぞれ契約当事者となるため、何らかの事故が発生した場合には権利義務関係が複雑化するおそれがある。したがって、安易に共同請負によることがないよう事前にその必要性を判断するとともに、共同請負によることを認める場合にあっては、各請負人間の権利義務関係に関する取扱いを確認することとしている。
事務取扱要領第94条の共同請負を認めるときは、当該共同請負人がそれぞれ単独で又は他の者と共同して参加していないこと
その他必要と認める事項
3 名簿に登録されていない者を参加させる場合
上記1のとおり、名簿に登録されていない者を参加させる場合には、企画競争のスケジュール調整の検討を第一とする。このスケジュール調整ができず、やむを得ず名簿に登録されていない者を参加させる必要があるときは、名簿登録事業者と同等の審査を行ったうえ参加させる必要がある。なお、名簿登録に当たっての審査項目及び確認書類は次表のとおり。
本市の名簿登録に当たっての審査項目及び確認書類
資格要件(以下のいずれにも該当しない者) | 確認書類 |
特別の理由がある場合を除くほか、契約を締結す る能力を有しない者及び破産者で復権を得ない者 | ・登記事項証明書 ・申出書 |
札幌市との入札及び契約等において、次のいずれかに該当すると認められる者及びその者を代理人、支配人その他の使用人又は入札代理人として使用する者(※) ア 契約の履行に当たり、故意に工事、製造その他の役務を粗雑に行い、又は物件の品質若しくは数量に関して不正の行為をした者 イ 競争入札又はせり売りにおいて、その公正な執行を妨げた者又は公正な価格の成立を害し、若しくは不正の利益を得るために連合した者 ウ 落札者が契約を締結すること又は契約者が契約を履行することを妨げた者 エ 地方自治法第234条の2第1項の規定による監督又は検査の実施に当たり職員の職務の執行を妨げた者 オ 正当な理由がなくて契約を履行しなかった者 カ 契約により、契約の後に代価の額を確定する場 合において、当該代価の請求を故意に虚偽の事実に基づき過大な額で行った者 キ この号(キを除く。)の規定により競争入札に参加できないこととされている者を契約の締結又は契約の履行に当たり代理人、支配人その他の 使用人として使用した者 | ・申出書 |
審査基準日の直前1年間において、1期の決算における製造、販売、請負等の実績高がない者 | ・貸借対照表 ・損益計算書 |
不渡手形又は不渡小切手を発行して、銀行当座取引を停止された者で、2年を経過しない者 | ・申出書 |
市区町村税又は消費税・地方消費税を滞納している者 | ・納税証明書(市区町村税及び消費税) |
札幌市暴力団の排除の推進に関する条例(平成25年条例第6号)第2条第2号に規定する暴力団員又は同条例第7条に規定する暴力団関係事業者に該 当する者 | ・誓約書 |
※ ただし、その事実があった後、既に3年を経過した者、又はこれらの事由により既に札幌市競争入札参加停止等措置要領(平成14年4月26日財政局理事決裁)に基づく参加停止の措置を受けた者については、この限りでない。
※ 貸借対照表等の財務諸表は、経営状況を評価する場合に必須となる。
第8 公平性を確保するための措置(第7条関係)
(公平性を確保するための措置)
第7条 市長は、第10条の規定に基づき企画競争参加意向申出書(以下「参加意向申出書」という。)を提出した者(以下「意向申出者」という。)が、次の各号に掲げるいずれかに該当するときは、当該意向申出者の評価からの除外、実施委員の新たな選任その他の公募型企画競争の公平性を確保するために必要な措置を講ずるものとする。
実施委員として外部委員(札幌市職員の身分を有していない者に限る。以下この条において同じ。)を選定したときは、当該外部委員が意向申出者の役員(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)第2条第3項の役員をいう。以下同じ。)又は使用人であるとき
意向申出者が出資団体等(地方自治法第221条第3項で規定する法人をいう。以下同じ。)である場合は、次のいずれかに該当するとき
ア 実施委員(外部委員は除く。)が当該出資団体等の役員であるとき
イ 実施委員(外部委員は除く。)が当該出資団体等に派遣され又は出向しているとき
企画競争を実施した場合において、提出された提案書類等を評価するに当たっては、提案した者と実施委員が以下に示す一定の関係にある場合には、当該評価の公平性が 疑われることとなる。したがって、当該提案した者を評価から除外するか、あるいは、 実施委員を新たに選定するなど、公平性を確保するための必要な措置を行わなければ ならない。
実施委員として本市職員の身分を有していない外部委員を選定したときは、当該外部委員が参加者の役員(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和 22年法律第54号)第2条第3項の役員をいう。以下同じ。)となっているとき
【実施委員会】
同一人
【提案者:株式会社○○】
実施委員C
実施委員D実施委員E
監査役B
取締役A
実施委員B(学識経験者等)
実施委員A(学識経験者等)
出資団体等が参加者である場合は、次のいずれかに該当するとき
ア 実施委員(本市職員の身分を有していない外部委員は除く。)が当該出資団体等の役員となっているとき
イ 実施委員(本市職員の身分を有していない外部委員は除く。)が当該出資団体等に派遣され又は出向しているとき
【実施委員会】
同一人
【提案者:一般財団法人○○】
実施委員C
実施委員D実施委員E
監事B
理事A
実施委員B
実施委員A
【実施委員会】
同一人
【提案者:一般財団法人○○】
実施委員C
実施委員D実施委員E
○○部長B
事務局長A
実施委員B
実施委員A
【私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第2条第3項の役員】
理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役若しくはこれらに準ずる者(※1)、支配人又は本店若しくは支店の事業の主任者(※2)をいう。
※1 これらに準ずる者とは、相談役、顧問、参与等の名称で、事実上役員会に出席するなど会社の経営に実際に参画している者をいう。
※2 事業の主任者とは、本店総支配人、支店長、営業本部長などをいう。
【出資団体等】
企画競争の公平性を確保するため一定の資本・人的関係にある者を排除する必要がある。この一定の資本・人的関係のある者の範囲については、地方自治法第221条の規定により予算執行に関する市長の調査権等が及ぶ者であって、かつ、同法第243条の3の規定によりその経営状況等が議会に報告される者と整理した。
第9 指名型企画競争の参加者案の策定等(第8条、第9条関係)
(指名型企画競争における参加者案の策定等)
第8条 前2条の規定並びに事務取扱要領第17条、第87条、第88条及び第89条の規定は、指名型企画競争を実施する場合における参加者案の策定について準用する。
(指名の通知)
第9条 市長は、指名型企画競争の参加者を指名したときは、提案書類の提出期限日の21日前までに、各被指名者に対し、指名通知書により通知するものとする。
2 前項の指名通知書には、提案説明書、契約条項、提案書類その他企画競争の実施に必要な書類を添付するものとする。
1 参加者案の策定
参加者の資格
指名型企画競争における参加者の資格については、公募型企画競争の場合と同じである。
なお、指名型企画競争においては、参加者案の策定を実施委員会で審議するまでに、上記第7及び第8の要件を確認しておくこととなる。
参加者の数
指名する参加者の数は、予定価格に応じて、以下のとおりである。なお、参加
者の数が規定する数に満たない場合は、その全員を指名する。
ア | 300万円未満 | 3人以上 | |
イ | 300万円以上 | 1,000万円未満 | 5人以上 |
ウ 1,000万円以上 3,000万円未満 7人以上エ 3,000万円以上 10人以上
2 指名の通知
指名通知書の交付
実施委員会で参加者案を策定し、契約締結専決権者が当該参加者案に基づき指
名したときは、各被指名者に対して指名通知書を交付することとなる。この指名通知書には、提案説明書、契約条項、提案書類その他企画競争の実施に必要な書類を添付する。
通知の時期
指名競争入札においては、契約規則第17条の規定により予定価格に応じた通知時期が規定されている。しかし、この規定を指名型企画競争において準用すると、最短で提案書類提出期限日の2日前に通知すればよく、これでは、当該企画競争に参加しようとする者は、提案するために必要な日数を確保することができないため、公募型企画競争と同様の期間を担保するため、提案書類提出期限日の21日前までに通知することとした。
【期間の計算】
民法第 140 条(初日不算入)、第 141 条(末日の終了もって満了)の規定は、将来にわたる期間の計算について適用されるものであるが、過去に遡るときにも準用されるべきと解されている。
例えば、提案書等提出期限日を 6 月 22 日とした場合、その 21 日前に指名の通知をす
る必要がある。この場合の期間の計算は、初日不算入により 6 月 22 日は算入せず、6 月
21 日を第1日目とし、遡って 21 日目が 6 月 1 日となる。したがって、6 月 1 日よりも前に通知するということは、少なくとも、5 月 31 日までには通知しなければならないことになる。すなわち、通知した日の翌日から提案書等提出期限日の前日までの日数が 21日以上確保されていなければならない。
5 月 | 6 月 | |||||||||
31 | 1 | 2 | 3 | 4 | ・・・・・・ | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
この間が 21 日以上あればよい
21 日目 遡ってカウントする
1日目
通知日 提出期限日
【民法】
第140条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
(期間の満了)
第141条 前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。
第10 参加表明手続(第10条関係)
(参加表明手続)
第10条 市長は、公募型企画競争に参加を希望する者から、参加意向申出書及び参加資格の審査に係る書類その他必要と認める書類を指定した期日までに徴するものとする。
市長は、公募型企画競争を実施する場合において、提案書類の提出を希望する者から参加意向申出書及び参加資格の審査に係る書類等を徴することとし、事前に参加資格の確認を行うこととした。
これは、提案書類の評価には一定の期間を要することや、本市職員のみならず原則として学識経験者等の外部委員が評価に関与することとなるため、一般競争入札のように参加資格の事後審査を認めた場合、参加資格のない者の提出した提案書類を評価するおそれがあり、徒労に終わることを回避するためである。
なお、手続きの流れは以下のとおりとなる。
参加意向申出書を徴し、参加資格を満たすことが確認できた者に対してのみ提案書類の提出を求める方法
参加意向申出書及び提案書類を同時に徴し、参加資格を満たすことが確認できた者の提出した提案書類のみ評価する方法
第11 参加資格の審査等(第11条関係)
(参加資格の審査等)
第11条 契約担当課の課長等又は当該課長等から指名を受けた係長等(以下「企画競争執行者」という。)は、意向申出者の参加資格を審査するものとする。
2 市長は、前項の審査の結果を当該意向申出者に対して適当な方法により通知するとともに、実施委員会に報告するものとする。
3 前項の意向申出者に対する通知のうち、参加資格を満たさなかった者に対する通知は、参加資格を満たさなかった旨及びその理由を記載した書面により行うものとする。
1 企画競争執行者
企画競争を実施する過程において、参加者からの参加意向申出書、提案書類等の企画競争の実施に必要な書類の受領や各種通知行為、参加資格の審査について、競争入札における入札執行者に準じた立場の者を設置し、これを執り行わせるため、契約担当課の課長等又は当該課長等から指名を受けた係長等を企画競争執行者と
した。
2 参加資格の審査
公募型企画競争において、企画競争執行者は、提案書類の評価に当たり事前に参加資格の審査が必要となる。この参加資格の審査は後の評価の前提となるものであり、仮に当該審査に不備があったときは、公平な競争が行われたとは言い難く、優れた企画等を求めようとした趣旨が損なわれることとなるため、個々の契約ごとに設定した参加資格の審査に当たっては、可能な限り書面に基づき行うよう努めること。
3 参加資格確認の通知
市長は、提案説明書であらかじめ指定する日までに、参加資格の審査の結果を適当な方法により通知するとともに、実施委員会に報告するものとする。
参加資格を満たすことが確認できた者に対する通知は、口頭、FAX等の簡易な方法によることも可能であるが、参加資格を満たすことが確認できなかった者に対しては、理由を記載した書面により行うこととなる。これは、参加資格の審査に不備があったため、参加資格を満たしているにもかかわらず当該企画競争から排除された者がいた場合、公平な競争が行われたとは言い難く、優れた企画等を求めようとした趣旨が損なわれることとなるため、参加資格の審査の徹底を促すとともに、札幌市入札及び契約の過程に関する苦情処理要綱(平成14年12月24日財政局理事決裁。以下「苦情処理要綱」という。)で規定する随意契約によるものの例により、企画競争から排除された者は苦情を申し立てることができるものとし、当該申立ての機会を確保しようとするものである。なお、詳細は第16以下に示す。
第12 参加資格の喪失等(第12条関係)
(参加資格の喪失等)
第12条 前条の規定に基づき参加資格を有することが確認できた者又は被指名者が、次条第2項の規定に基づき評価が確定するまで(同項の契約候補者にあっては契約を締結するまで。)の間において、次の各号に掲げるいずれかに該当するときは、当該調達契約に係る企画競争における提案書類は受け付けず、若しくは評価をせず、又は契約候補者としての選定を取り消すものとする。
告示で示した参加資格又は被指名者を選考した基準を満たしていないことが判明し、又は満たさないこととなったとき
提案書類に虚偽の記載をしたことが判明したとき
不正な利益を図る目的で実施委員等と接触し、又は利害関係を有することとなったとき
2 前条第2項及び第3項の規定は、前項の場合について準用する。
1 参加資格を有しないこと等が判明したときの措置
公募型企画競争の場合
参加資格を有することは企画競争における提案書類の評価の前提のため、参加意向申出書を提出した者に対する参加資格の確認は厳格に行うところである。しかし、何らかの事情により当該確認に遺漏があった場合又は事後的に参加資格を失うこととなった場合において、当該参加資格のない者又は事後的に参加資格を失った者の提案書類を評価したうえでその者と契約を締結することが可能とするならば、契約の公平性、透明性、競争性が損なわれることとなる。このことは、参加資格を満たしていたとしても、提出された提案書類に虚偽の記載があった場合等についても同様である。
したがって、参加資格を有することについて企画競争執行者の確認を受けた者が、参加資格を確認したときから評価が確定するまで(契約候補者にあっては契約を締結するまで。)において、次のいずれかに該当するときは、提案書類を受付けず、若しくは既に提出された提案書類の評価は行わず、又は契約候補者としての選定を取り消すことで、契約の公平性、透明性、競争性を確保することとした。
ア 参加資格を満たしていないことが判明し、又は満たさないこととなったときイ 提案書類に虚偽の記載をしたことが判明したとき
ウ 不正な利益を図る目的で実施委員等と接触し、又は利害関係を有することと
なったとき
【不正な利益を図る目的で実施委員と接触等をしたとき】
企画競争に参加した者が、自己の評価を有利にするために、故意に実施委員と利害関係を有しようと接触する場合が想定される。特に外部委員(本市職員の身分を有しない者)は本市事務室内に常駐しているわけではないため、当該外部委員が不正に巻き込まれないよう、企画競争の実施が終了するまでは、当該企画競争に参加した者が容易に外部委員を知ることができない環境を確保する配慮が必要となる。
企画競争に参加した者が、単に接触したに過ぎないときは、当該接触した者を企画競争から排除するだけで問題はないと考えられるが、利害関係を有するに至ったときは、利害関係の当事者双方を企画競争から排除することとなる。場合によっては、企画競争そのものを中止することも考えられるため、慎重に判断すること。
指名型企画競争の場合
指名型企画競争においては、あらかじめ参加者の選定に係る基準を設け、当該
基準を満たしていることを十分に確認したうえで指名することとなるが、当該確認の遺漏又は事後的に基準を満たさなくなった場合等が想定されるため、その取扱いは公募型企画競争と同様のものとした。
2 参加資格を有しないこととなった者等に対する通知
契約の公平性、透明性、競争性を確保するため、企画競争の参加者に対して上記
1の措置を執ることとなったときは、その者に対して理由を記載した書面により通知することとなる。この通知の趣旨は、第11の3と同様である。
なお、当該通知とともに、実施委員会にその旨を報告することとなる。
第13 実施委員会の評価方法等(第13条関係)
(実施委員会の評価方法等)
第13条 実施委員会における評価方法は、次の各号に掲げるいずれかの方法によるものとする。
各実施委員が独立して評価点を算出し、その評価点の合計値又は平均値に基づき実施委員会が評価を確定する方法
各実施委員が独立して良否を判断し、その良否の数をもって実施委員会が評価を確定する方法
その他適切であると認められる方法
2 実施委員会は、評価対象者(前項の規定に基づき評価を受けた者をいう。以下同じ。)ごとの評価を確定し、最も優秀な者を契約候補者として選定するとともに、当該選定結果を明らかにした書面を添えて市長まで報告するものとする。
3 市長は、前項の報告を受けたときは、その旨を評価対象者に対し通知するものとする。
1 実施委員会の評価方法
企画競争における提案書類の評価に当たっては、あらかじめ定められた基準に基づき客観的かつ公平な評価を行う必要がある。また、評価の客観性及び専門的な見地から評価の実効性を図るため、原則として複数の外部委員を実施委員として選任することとした。しかし、これらの対策を講じたとしても、実際の評価そのものが適正でないとするならば、その効果は損なわれることとなる。
そこで、実施委員による実際の評価方法については、各実施委員が他の実施委員からの干渉を受けることなく独立して評価を行なえるよう又は各実施委員が平等に意見を述べられるような配慮が必要となる。
なお、評価の最も優秀な者が複数存在するときは、提案説明書で定めた方法に基づき契約候補者を選定することとなる。
以下に評価方法の一例を示す。
各実施委員が独立して評価点を算出し、その評価点の合計値又は平均値に基づき実施委員会が評価を確定する方法
各実施委員が独立して良否を判断し、その良否の数をもって実施委員会が評価
を確定する方法
その他適切であると認められる方法以下に一例を示す。
ア 実施委員全員の協議により評価を確定する方法
イ 専門的な見地が求められる評価項目については外部委員が、その他の項目に
ついては外部委員以外の者が評価点を算出し、各評価点の合計値に基づき実施委員会が評価を確定する方法
2 評価対象者への通知等
実施委員会が契約候補者を選定したときは、当該選定結果を明らかにした書面を添えて市長まで報告する。なお、評価対象者への通知は市長が行う。
第14 企画競争の成立等(第14条関係)
(企画競争の成立等)
第14条 公募型企画競争を実施した場合において、意向申出者が1名であったときは、次の各号に掲げるいずれかの方法によるものとする。
意向申出者が提出した提案書類を審査し、あらかじめ設定した最低評価基準点を超える場合は、当該意向申出者を契約候補者とする方法
評価項目・参加資格等を見直し、改めて公募型企画競争を実施する方法
2 指名型企画競争を実施した場合において、提案書類の提出者が1名であったときは、次に掲げるいずれかの方法によるものとする。
改めて参加者を選定し指名型企画競争を実施する方法
評価項目・選定基準等を見直し、改めて企画競争を実施する方法
1 提案説明書への記載
提案者が1者であった場合における取扱いを本市が任意に決定できるとした場合、仮に、公募型企画競争において、提案者が契約担当課の望まざる者であった場合には、正当な理由がないにもかかわらず当該提案者を排除できるような参加資格を設定し、改めて公募型企画競争を実施することも可能となる。また、指名型企画競争においては、改めて公募型企画競争を実施するのであれば当該提案者も参加することが可能となるが、指名替え等により排除された場合には提案した労力が報われないこととなる。これでは契約の公平性、透明性、競争性が確保されたとは言い難く、市民に対してもあらぬ疑念を抱かせることとなる。
したがって、契約の公平性、透明性、競争性を確保するとともに、提案者が予期せずに不利益を被ることがないよう、提案者が1者であった場合の取扱いを提案説明書の記載事項としたところである。
2 公募型企画競争の場合
一般競争入札を実施した場合において応札者が1者であったときは、公募したことにより、当該一般競争入札に参加するか否か、参加するとして入札金額をどのように見積もるのかを判断しているため、既に実質的な競争が行われているものと考えることができる。したがって、その者が予定価格の範囲内で入札した場合は、当該一般競争入札は有効に成立することとなる。
一方、公募型企画競争の場合は、事業の目的を達するために、価格ではなく企画のみを求める必要があることから、公募したことにより既に競争が行われたものとして有効に成立するとしたならば、仮に提案者の提案内容が粗悪なものであったときには、当該事業の目的を達することができない。したがって、提案者が1者であったときの取扱いは、以下のいずれかの方法によることとした。
意向申出者が提出した提案書類を審査し、あらかじめ設定した最低評価基準点を超える場合は、当該意向申出者を契約候補者とする方法(あらかじめ提案説明書に明記した場合に限る。)
評価項目、参加資格等を見直し、改めて公募型企画競争を実施する方法
なお、この場合は、正当な理由なく、当初の参加者を排除するような参加資格等の設定は慎むこと。
3 指名型企画競争の場合
指名競争入札においては、事前に履行が可能であるか否かを調査のうえ指名することとなるため、原則、参加者が1者であることは想定できないが、何らかの事情により参加者が1者であった場合には、広く競争が行われたとは言えないため、一般競争入札、指名替え又は仕様内容・資格要件等を見直したうえで改めて指名競争入札を行うこととしている。
指名型企画競争の場合も同様に、事前にその資格を調査する過程において提案が可能であるか否かを確認することとなるが、何らかの事情により提案者が1者であった場合には、指名競争入札と同様に、公募型企画競争、指名替え又は評価項目・選定基準等を見直したうえで改めて指名型企画競争を行うこととなる。
第15 契約候補者との協議(第15条関係)
(契約候補者との協議)
第15条 市長は、第13条第2項の規定に基づき選定した契約候補者と調達契約に係る詳細について協議を行うものとする。この場合において、契約候補者が提案書類に記載した事項の変更は、原則として認めないものとする。
2 前項の協議が整ったときは、札幌市契約規則(平成4年規則第9号)、事務取扱要領その他の関係規程に基づき、特定者を相手方とする随意契約の方法により契約を締結するものとする。この場合において、事務取扱要領第91条第2項第1号の規定に基づく被指名者選考委員会の開催及び見積参加者選考調書の作成は、それぞれ第13条第2項の規定に基づく実施委員会による評価対象者の評価の確定及び契約候補者の選定並びに同条第3項の書面の作成をもって代えるものとする。
契約締結専決権者は、契約候補者を選定したときは、当該契約候補者と調達契約に係る詳細について協議を行うこととなる。この協議は、提案を受けた内容を実現させるために必要な事項を仕様書に落とし込む作業を想定しているが、評価対象項目として提案を受けた事項を変更することは、企画競争の実質が損なわれることとなるため厳に慎むべきである。しかし、企画競争における提案者は、必ずしも評価対象項目のみを提案するわけではないため、評価対象項目とはならない事項についてあえて提案された事項については、企画競争の実質を損なわない限りにおいて変更することは可能である。
また、仕様書の内容によっては、当初示した契約条項を変更しなければならない場合も想定されるため、改めて契約の履行に伴い適用を受ける法令等及び契約条項についての確認が必要である。
第16 参加資格等についての苦情の申立て(第16条関係)
(参加資格等についての苦情の申立て)
第16条 第11条第2項及び第12条第1項の規定に基づく通知を受けた者は、札幌市入札及び契約の過程に関する苦情処理要綱(平成14年12月24日財政局理事決裁。以下「苦情処理要綱」という。)の規定の例により、苦情の申立てをすることができるものとする。この場合において、当該申立てをすることができる期間は、当該通知を受けた日の翌日から起算して10日(札幌市の休日を定める条例(平成2年条例第23号)に規定する休日を除く。)以内とする。
2 前項の規定により苦情の申立てをした者が、当該申立てに対する回答になお不服があるときは、札幌市入札及び契約の過程等に関する再苦情処理要綱(平成22年8月3日財政局理事決裁)の規定の例により、再苦情の申立てを行うことができるものとする。
3 第1項の規定に基づき苦情の申立てをした者は、苦情処理要綱の規定に基づく苦情の申立てはできないものとする。
1 苦情の申立て
第11の3及び第12の2のとおり、参加資格を満たさなかった等の通知を受けた者は、苦情処理要綱で規定する随意契約によるものの例により、苦情の申立てをすることができるものとした。これは、本来苦情処理要綱にて随意契約の相手方とならなかった理由に係る苦情を申し立てることが可能であるが、申し立て期間が契約締結後、契約の相手方を公表した日の翌日から起算して10日(札幌市の休日を定める条例で規定する休日を除く。)とされており、このままでは、疑義のある者は、起算日までは申立てをすることができないこととなる。したがって、同要綱の特則を置くことで、当該起算日を第11の3又は第12の2による通知を受けた日の翌日とした。
2 苦情の申立てに対する回答
苦情の申立てがあったときは、当該申立てのあった日の翌日から起算して5日
(札幌市の休日を定める条例で規定する休日を除く。)以内に書面により回答をすることとなり、当該書面には以下3の再苦情の申立てができる旨を教示することとなる。
なお、苦情の申立てに対する回答を受けた者は、改めて苦情処理要綱に基づく苦情の申立てはできない。これは、以下3により再苦情の申立てができ、苦情処理要綱に基づく苦情の申立て及び札幌市入札及び契約の過程等に関する再苦情処理要綱(以下「再苦情処理要綱」という。)に基づく再苦情の申立てと同様に二審制が
確保されることになるからである。
3 再苦情の申立て
上記2の申立てに対する回答になお不服のある者は、当該回答を受け取った日の翌日から起算して10日(札幌市の休日を定める条例で規定する休日を除く。)以内に、再苦情処理要綱の規定の例により、札幌市入札・契約等審議委員会に対し、再苦情の申立てを行うことができるものとした。
第17 評価についての疑義の申立て(第17条関係)
(評価についての疑義の申立て)
第17条 評価対象者は、自らの評価に疑義があるときは、第13条第3項の規定に基づく通知があった日の翌日から起算して3日(札幌市の休日を定める条例に規定する休日を除く。)以内に、市長に対し、自らの評価について疑義の申立てをすることができるものとする。
2 市長は、前項の規定に基づく申立てに対する回答を行うときは、あらかじめ実施委員会の議を経るものとする。
3 前2項の規定を除き、評価についての疑義の申立てに係る手続きに関しては、前条の規定を準用する。
1 評価についての疑義の申立てに関する手続き
評価対象者は、自らの評価に疑義があるときは、自らの評価についての疑義の申立てをすることができるものとした。これは、本来苦情処理要綱にて随意契約の相手方とならなかった理由に係る苦情を申し立てることが可能であるが、第16と同様の理由から苦情処理要綱の特則を置いたものである。
したがって、この場合の手続きについては、第16で示す手順を準用することとしたが、違いは以下の2点となる。
申立て期間
契約候補者の選定結果に係る通知を受けた日の翌日から起算して3日(札幌市の休日を定める条例で規定する休日を除く。)以内に、第16の手順に準じて、自らの評価についての疑義の申立てをすることができることとした。申立て期間を 10日としなかったのは、総合評価における評価点に係る疑義の申立て期間との整合性を図ったためである。
回答に当たっての事前手続き
あらかじめ実施委員会の議を経るものとした。これは、疑義の申立てが、実施
委員会によって確定された評価に対するものであるため、回答に当たっても実施委員会としての考え方を踏まえて行う必要があるからである。
なお、当該回答を受けた者は、改めて苦情処理要綱に基づく苦情の申立てができないのは、第16で示すとおりである。
2 再度の申立て
第16で示す手順により、評価についての疑義の申立てに対する回答になお不服があるものは、当該回答を受け取った日の翌日から起算して10日(札幌市の休日を定める条例で規定する休日を除く。)以内に、再苦情処理要綱の規定の例により、札幌市入札・契約等審議委員会に対し、再度の申立てを行うことができるものとした。
第18 苦情の申立て等による企画競争の執行の影響(第18条関係)
(苦情の申立て等による企画競争の執行の影響)
第18条 前2条の規定は、原則として、企画競争の執行を妨げないものとする。
疑義の照会は、原則として企画競争の実施に影響はないものとしている。したがって、企画競争の実施中において疑義の申立てがなされ又は契約締結後に疑義の申立てがなされた場合において、当該疑義の申立てが認められ参加資格を有すること等が確認できた場合であっても、原則としてその者を企画競争に参加させる必要はなく又は既に締結した契約を解除する必要はないが、このことに関して本市に契約締結上の過失が認められるときは、その者が契約の成立を信頼して支出した費用等(信頼利益)の賠償を求められる場合がある点に留意すること。
なお、苦情の原因となった事実につき、本市の過失の有無・程度、企画競争の進行状況その他の事情を総合的に勘案して、契約担当課の判断により企画競争を中止することも可能であるが、この場合、参加者全員に事情を説明したうえで理解を得ることが必要となる。
第19 秘密の保持(第19条関係)
(秘密の保持)
第19条 企画競争に係る選定結果を除き、この要領に基づき参加者から提出された提案書類は公にすることにより参加者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害することのないよう慎重に取り扱うものとし、原則として、ホームページ等での公表はしないものとする。ただし、札幌市情報公開条例(平成11年条例第41号)に基づき公開請求があったときは、非公開情報を除いて、公開請求者に公開する。
企画競争に係る選定結果については、公表要領の規定に基づき公表するところであるが、企画競争に参加した者から提出された提案書類は、企業の生産技術・営業・販売上のノウハウに関する情報や、経営方針・経理・人事等の事業活動を行ううえでの企業の内部管理に属する情報といった公開することにより法人の正当な利益を害するような情報(以下「非公開情報」という。)が含まれる可能性が高いため、慎重に取り扱う必要がある。以上のことから、原則として、ホームページ等での公表は行わないものとする。
ただし、札幌市情報公開条例に基づく公開請求があった場合は、非公開情報を除いて、公開請求者に公開することになるので留意すること。また、参加者等から個別に情報提供を求められた場合は、非公開情報を除いて情報提供するよう努めることとする。
第20 提出された提案書類の著作権について
1 著作権とは
概要
著作権法は、文化の発展を目指して、これら広範な創作的表現(著作物)について、創作した者(著作者)と利用を望む者との利害を調整する社会的ルールを定めたものである。
著作者の権利は、以下の図のとおり著作者人格権と著作権に分かれる。
著作者の権利
著作者人格権
※ 譲渡不可
著作権(財産権)
※ 譲渡可能
公表権、氏名表示権同一性保持権
複製権、上演権
譲渡権、翻案権など
著作者人格権とは、著作者にとって自己の創作的な活動から生まれた著作物は正に自らの分身であるから、それを他人が無断で公表したり、改変したりすると、著作物に対する著作者の思い入れや感情が損なわれ、あるいは社会的評価が低下するなど、著作者の人格的な利益を害することとなるため、そうした著作者の人格的利益を保護するための権利であるとされている。なお、この著作者人格権は性質上、著作者の一身に専属するものであるから、他人に譲渡することができない。
一方、著作者は、著作者人格権とは別に、財産権たる著作権を取得する。この著作権は他人に複製を許したり、譲渡したりすることができる権利である。
このように、著作権法は、著作者に著作物に関する独占的な権利(著作者人格権、著作権)を与えるとともに、他人に利用を許諾することや著作権を譲渡することで利益を得る途を認めている。つまり、著作権法は、著作者に独占権を付与することを通じて、著作物が生み出されるための基盤を提供し、ひいては著作物の創作活動を誘引している。
また、著作物が人々に享受され、次なる創作活動への礎となってはじめて社会
にとっての存在意義を発揮する。そこで、著作権法は、権利侵害となる利用行為類型や権利の存続期間などを限定することで、著作者の権利が無制約に強い権利とならないように配慮している。
他の権利との比較ア 所有権との比較
書籍を購入した者は、当該書籍は自分のものであるとの感覚を抱く。この感覚は、当該書籍の有体物としての側面を対象とするものであり、これを担保する法律上の権利が所有権である。
一方、このことを当該書籍の著作者の立場から見ると、著作者は、当該書籍に書かれた内容は自身のものであるとの感覚を抱く。この感覚は、当該書籍の無体物としての側面を対象とするものであり、これを担保する法律上の権利が著作権である。
このように、所有権と著作権は、いずれもある対象について、「自分のもの」だという感覚に法的な強制力を与える権利である点で似ているが、両者は、その対象とする側面が異なるため、同時に併存しうる権利である。
イ 商標権との比較
商標権は、商品やサービスの付加される商標という標識(ブランド)を特許庁に登録することで、その使用を独占する権利である。いわゆる偽ブランド品が横行すると、真正品と信じて購入した者が被害を受けるだけでなく、真正品を販売する主体も市場を失うこととなる。単に偽ブランド品の販売分でなく、仮に偽ブランド品の品質が劣悪で評判が落ちれば、それ以上に真正品の販売数が減少する可能性がある。そこで、標識に化体した営業上の信用を保護するために、標識の無断使用を禁止する権利が商標権である。
このように、商標権は標識に化体した営業上の信用を保護するものであるから、営業上の信用が化体している限り、法的に保護する必要がある。したがって、商標権は、更新登録により永久にでも存続しうる権利とされている。
これに対して著作権は、著作者の創作物を保護の客体としている。そして、創作の誘引に足りるだけの期間、独占権を認めれば十分であるため、原則として著作者の死後50年経過により消滅する。
ウ 特許権
特許権とは、物の発明(自然法則を利用した技術的思想のことをいう。以下同じ。)にあってはその物の生産・使用・譲渡等をする行為を、方法の発明にあってはその方法の使用をする行為等を独占する権利のことである。
一方、著作権は、著作物(思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもののことをいう。以下同じ。)を独占する権利のことである。
このように、特許権の客体は思想そのものであり、著作権の客体は著作者の思想等が表現された著作物である点に違いがある。
著作物とは
【著作権法第2条第1項第1号】
著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
著作権法第2条第1項第1号では上記のとおり定義されている。著作物として認められるためには、次の要件をすべて満たす必要がある。
ア 思想又は感情を含むこと
単なる事実、データは除かれる。なお、ここでいう思想、感情とは、芸術的又は学問的に高度なものである必要はなく、著作者の何らかの考えや気持ちが表れているという程度で足りる。
イ 創作的であること
高度のレベルのものは要求されていないが、著作権は、人間の知的創作活動を奨励するために付与されるものであるから、いかに多大な労力や費用をかけたとしても、「他人の作品の模倣」や「ありふれた表現」は除かれる。
ウ 表現したものであること
著作物というためには、著作者の思想、感情が外部に認識可能な形で表現されていることが必要となる。したがって、著作者の頭の中にとどまっている単なる「アイデア」は保護されない。
エ 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属すること
著作権は文化の発展に寄与することを目的として付与されるものであるか
ら、産業の発展に寄与することを目的とした特許法又は意匠法で保護される
「工業製品」などは除かれる。
著作権の内容
著作者の権利として認められるものは、概ね以下のとおりである。
権利の内容 | 説明 | |||
著作人格権 | 公 表 | 権 | いまだ公表されていない著作物を公表する かしないかを決定できる権利 | |
氏名表示 | 権 | 著作物に著作者名を表示するかしないか、表示するとすれば実名か変名かを決定でき る権利 | ||
同一性保持権 | 自分の著作物の内容や題号を、自分の意に 反して無断で改変されない権利 | |||
コピーやデジタルデータ化など、著作物を | ||||
複 | 製 | 権 | ||
形のあるものに再製することに関する権利 | ||||
著作権を公衆向けに譲渡することに関する | ||||
譲 | 渡 | 権 | ||
権利 | ||||
著作権 | ||||
(財産権) | 公衆送信 権 | ホームページに掲載するなど、著作物を公 | ||
衆向けに送信することに関する権利 | ||||
著作物を変形等により、創作的に加工する | ||||
翻 | 案 | 権 | ことによって二次著作物を創作することに | |
関する権利 |
職務著作
【著作権法第15条第1項】
法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
法人等の内部においてはその従業者によって多数の著作物が作成される。それは、法人等の発意に基づき職務上作成された著作物であるにもかかわらず、もし、法人等がこれを利用しようとする際に、いちいち当該従業者に許諾を得なければならないとすると、法人等の業務に支障を来すおそれがあることから、円滑な事業活動を確保しようとする使用者の保護の観点と、ある著作物が法人等の名義で公表されているにもかかわらず、その権利を当該法人等が有していないということになると、これを利用しようとする第三者にとっては誰に許諾を得ればいいのかがわからないことから、著作物の円滑な利用を促進しようとする当該第三者の保護の観点から認められていると考えられている。
職務著作が認められる要件は次の要件をすべて満たす必要がある。ア その著作物をつくる「企画」を立てるのが法人等であること。 イ 法人等の「業務に従事する者」が創作すること
ウ 「職務上」の行為として創作されること
エ 「公表」する場合に「法人等の著作名義」で公表されるものであることオ 「契約や就業規則」に「職員を著作者とする」という定めがないこと
2 企画競争における留意事項
企画競争を実施した場合における各提案者が提出した提案書は、その内容によっては著作物性が認められる場合があるため、後日の紛争を避けるためにも、あらかじめ提案説明書において著作権その他の知的財産権に関する取扱いについて定めを設ける必要がある。以下、広告物のデザインに関する企画競争(コンペ方式)を想定した提案説明書記載事項案及び契約条項案を示す。
提案説明書記載事項案
○ その他
著作権等に関する事項
ア 企画案の著作権は各提案者に帰属する。
イ 札幌市が本件企画競争の実施に必要と認めるときは、企画案を札幌市が利用(必要な改変を含む。)することに許諾するものとする。この場合は、あらかじめ提案者に通知するものとする。
ウ 提案者は、札幌市に対し、提案者が企画案を創作したこと及び第三者の著作権、著作人格権及びその他特許権、商標権を含むいかなる知的財産権を侵害するものではないことを保証するものとする。
エ 企画案の利用について、第三者から権利侵害の訴えその他の紛争が生じたときは、提案者は、自己の費用及び責任においてこれを解決するものとし、かつ委託者に何らかの損害を与えたときは、その損害を賠償するものとする。
オ 提出された企画案その他本件企画競争の実施に伴い提出された書類について、札幌市情報公開条例(平成 11 年条例第 41 号)に基づき公開請求があったときは、同条例の定めるところにより公開する場合がある。
ア 著作権の帰属及び著作物の利用に関する事項
契約候補者を選定する段階においては、札幌市が各企画案の著作権を取得する必要はないが、企画案のコピー、デジタルデータ化など著作物を複製する場合や、ホームページに掲載する場合などが想定されるため、企画競争の実施に必要な範囲で利用することができるよう、その旨の定めを設けた。
イ 第三者の知的財産権を侵害するものではない旨の表明
企画競争の参加者が提出した企画案において、第三者が著作権を有する著作物や商標権を有するマークなどを一部でも利用すると、権利侵害として争いが
生じるおそれがある。このようなトラブルを未然に防ぐことを目的として、第三者の知的財産権を侵害するものではないことを保証する旨の定めを設けた。
ウ 情報公開に関する事項
契約締結後において、札幌市情報公開条例に基づく公開請求があった場合には、非開示事項に該当しない限り公開することをあらかじめ周知する必要があることから、その旨の定めを設けた。
契約条項案
(著作権の譲渡)
第○条 受託者は、委託者に対し、本件契約に基づく成果物(以下「本著作物」という。)に関連する著作権(著作権法(昭和 45 年法律第 48 号)第
27 条及び第 28 条に規定する権利を含む。)を、譲渡するものとする。
(著作者人格権)
第○条 受託者は、成果物に関する著作者人格権を、委託者又は委託者が指定する第三者に対して行使しないものとする。
(保証)
第○条 受託者は、委託者に対し、受託者が本著作物を創作したこと及び第三者の著作権、著作人格権及びその他特許権、商標権を含むいかなる知的財産権を侵害するものではないことを保証する。
2 本著作物の利用について、第三者から権利侵害の訴えその他の紛争が生じたときは、受託者は、自己の費用及び責任においてこれを解決するものとし、かつ委託者に何らかの損害を与えたときは、その損害を賠償するものとする。
ア 著作権の譲渡に関する事項
成果物であるデザインに基づき、広告物の製作を別発注するため、著作権の譲渡に関する定めを設けた。
イ 著作者人格権不行使特約
著作人格権は一身専属的な権利であるため、本市が受託者から著作権の譲渡を受けたとしても、著作者人格権(公表権、氏名表示権、同一性保持権)は受託者に帰属したままである。このため、別途広告物の製作を発注した場合において、当該製作された広告物に、著作者が自らの氏名を表示するよう著作者人格権に基づく氏名表示権の行使が想定される。また、著作権の譲渡は翻案権等
(著作物の改変等により二次的著作物を創作することができる権利)を含むこ
ととなるが、仮に当該翻案権等に基づき本市が成果物の改変等をする場合には、著作者から著作者人格権に基づく同一性保持権の行使が想定されるため、これ を未然に防ぐ必要から著作者人格権の不行使に関する規定を設けた。
なお、この規定の効力には争いがあるが、著作者人格不行使特約の有効性を認めた裁判例(東京地裁平成13年7月2日判決宇宙戦艦ヤマト事件)も存在するため、これに対応できるようにしたものである。
【東京地裁平成 13 年7月2日判決宇宙戦艦ヤマト事件】
本件譲渡契約により、原告と被告東北新社との間で、原告は同被告から対価の支払を受けて、本件各著作物を含む対象作品についての著作権及びあらゆる利用を可能にする一切の権利を譲渡し、かつ、原告が譲渡の対象とされている権利を専有していることを保証したことが約されたことは明らかである。そうすると、被告東北新社(又は、その許諾を受けた者)による本件各著作物を利用する行為が、原告の著作者人格権を害するなど通常の利用形態に著しく反する特段の事情の存在する場合はさておき、そのような事情の存在しない通常の利用行為に関する限りは、原告は、本件譲渡契約によって、原告の有する著作者人格権に基づく権利を行使しない旨を約した(原告が同被告に対して許諾した、あるいは、請求権を放棄する旨約した。)と解するのが合理的である。
ウ 第三者の知的財産権を侵害するものではない旨の表明上記イと同様の趣旨である。