モニタリングは、要求水準書に従って PFI 事業契約書上の民間事業者の義務が適切に履行されているかを確認するものである。モニタリングの結果、その義務が適切に履 行されていないことが判明した場合には、その重要度に応じてサービス対価が減額されるというメカニズムを採用することにより、民間事業者に適切な義務の履行を促すことが 想定されている。しかしながら、わが国においてはこれらの運営段階の契約管理の実務的なノウハウの蓄積がいまだ十分でないことから、これらの課題に対する対応のあり方を 示す必要がある。
資料5
平成 20 年 5 月 2 日
「モニタリング・支払メカニズム」に関する標準契約書モデル及びその解説(案)
1.問題状況
・背景:
運営段階に至った事業が半数を超え、また、運営の比重が高い事業が増加している今日、モニタリングと支払いメカニズムを適切に構築し、運営していくことの重要性が増している。
・課題:
xxxxxxは、要求水準書に従って PFI 事業契約書上の民間事業者の義務が適切に履行されているかを確認するものである。モニタリングの結果、その義務が適切に履行されていないことが判明した場合には、その重要度に応じてサービス対価が減額されるというメカニズムを採用することにより、民間事業者に適切な義務の履行を促すことが想定されている。しかしながら、わが国においてはこれらの運営段階の契約管理の実務的なノウハウの蓄積がいまだ十分でないことから、これらの課題に対する対応のあり方を示す必要がある。
2.基本的な考え方
(1) 要求水準、モニタリング、支払メカニズムの一体的な検討:
・ 支払いメカニズムは、要求水準と連動している必要があり、要求水準の達成状況を確認するためのモニタリングも含めて一体的に作成される必要がある。このため、事業コンセプトおよびそれに基づき作成された要求水準書に従い、モニタリング指標の優先順位付けや絞込みを行うとともに、これらの優先順位が民間事業者に伝わり機能するような支払いメカニズムを構築することが必要である。
・ 要求水準書作成段階において、モニタリング、支払メカニズムも同時に検討し、少なくとも重要な部分については入札段階で応札者に開示すべきである。
(2) 実効的なモニタリングシステムの構築:
・ (1)を踏まえて、入札段階でモニタリングの基本な計画を入札時に示すことし、これに基づき運営開始までに具体的なモニタリング実施計画を作成することが有効である。
・ 運営の比重の高い事業や複数の機能から構成される事業等においては、運営を実際に開始した後に新たに判明または生じる事項も多く、運営開始後一年程度かけてモニタリングの項目、手法等につき、運営の実情にあわせて適合させていく仕組みを導入することが有効である。この場合、受注者のセルフモニタリングのおよび発注者の評価を対照させながら両者の認識を一致させ、モニタリングの基準を共同で具体化していくための場を設定することが有効と考えられる。
・ また、運営の比重の高い事業や複数の機能から構成される事業等においては、SPCによるマネジメント能力の強化、またこれに対応した発注者側の契約管理体制の充実を図ることも重要である。
(3) 建設モニタリング
・ 設計・建設段階のモニタリング(いわゆる建設モニタリング)については、実際に PFI施設において事故が起きた教訓を踏まえ、安全性や環境への配慮等の観点から、その重要性が指摘されている。また、BTO 方式については、完工検査において瑕疵が発見される事例もある。
・ PFIにおいては、設計・建設・維持管理・運営は、民間事業者により行われるものであり、まず第一にSPCによるセルフモニタリングによって対応する枠組みとする必要がある。しかしながら、発注者の技術的ノウハウを反映させること等により、よりセルフモニタリングを効果的に行う観点から、公募段階で発注者の意図を示し、これに合わせてセルフモニタリングの方法を提案させ、それを実施することが考えられる。また、併せて、重要な部分については発注者自らがモニタリングをすることが考えられる。この際、専門的な知識を有する第三者を活用することも考慮すべきである。
(4) 適切な支払メカニズムの構築
・ 減額規定の設定方法: 民間事業者によるサービス提供のインセンティブを働かせるため以下の点に配慮して、減額規定を作成すべきである。
⮚ 減額幅、是正期間等を決定する際には、発注者にとっての重要度に応じて適切に決定する。
⮚ ペナルティが、民間事業者の要求水準未達を是正するための動機付けとして十分な内容であるかを検討する。BOT 方式においてはユニタリーペイメント1を積極的に採用する。
・ 利用量に応じた適切な調整の必要性: 支払いメカニズムが有効に機能するためには、サービス提供量(例:入場者数等)の増大によるコストの増加をサービス対価により適切にカバーする枠組みを構築する必要がある。この際、検討段階で発注者は十分なシミュレーションを行うとともに、施設の収容能力とあわせて上限金額を設定し、これに応じた利用者数の制限を認めること等の方策を検討することも考えられる。
3.具体的な規定の内容
(1) 実効的なモニタリングシステムの構築2:
1) モニタリング内容確定までの手続
(a) モニタリング基本計画書の策定: 要求水準書で提示したアウトプット仕様に
1 ユニタリーペイメントは、施設の設計・建設・維持管理・運営を通じたサービスの提供に対する不可分の対価と考え方で、英国のPFIでかつてから採用されている。
2 要求水準書、モニタリング、支払いメカニズムの一体的検討の具体的な検討のありかたについては、要求水準作成指針参照。
対して、それらの達成状況を計測するためのモニタリング指標を予め検討し、要求水準書の作成と一体的に作成することが必要である。公募段階において、要求水準書の提示とあわせて、アウトプット仕様ごとに、達成状況を見るためのモニタリング指標と、計測の方法、計測の頻度を示す「モニタリング基本計画書」を作成し、提示することが必要である。
(b) モニタリング実施計画書の策定: モニタリング基本計画書、要求水準書、事業者提案、業務仕様書及び契約書に規定されたサービス対価の算定及び支払方法に従い、運営業務開始予定日の[4]月前までにモニタリング実施計画書を両当事者の協議により策定する。
(c) 定期モニタリング委員会の設置: 2(2)に示したとおり、運営の高い事業や複数の機能から構成される事業等については、発注者および受注者により、定期モニタリングにおける評価の事実認定及び確定行為をする場として、定期モニタリング委員会等を設置することが有効である。委員会においては、セルフモニタリングの結果及び発注者の評価を対照させながら、両者の認識を一致させ、モニタリングの基準を共同で作成していくことが想定されている。また、例えば初めの1年間は原則ペナルティを課さないとすることも考えられる。定期モニタリング委員会は、[ ]ヶ月ごとに開催される他、必要に応じて随時開催される。
(d) モニタリングの実施: モニタリング実施計画書に基づき、モニタリングの実施を行う。
(e) 業務改善のための手続: 問題(要求水準未達等)が生じた場合の改善のための手続はその内容によっても異なるが、例えば以下のような順序となる。
① ペナルティポイントの付与
② 業務改善勧告
③ 勧告対象事項の是正状況の確認
④ 業務改善命令
⑤ 当該業務を担当する協力企業等の変更要請
⑥ 契約の解除等
※ 別途、上記の段階に応じて、サービス対価の減額が行われる。
(2) 建設モニタリングの枠組み: 設計・建設段階のモニタリングについても、明確に位置づけることが必要である。建設モニタリングについても、SPC が行うセルフモニタリングと発注者による直接のモニタリングに分けられる。
1) 設計段階
発注者は、設計図書が要求水準書等に合致しているかどうかについて確認する。この際、過去の教訓等を踏まえ、専門職員や外部専門家等の助言・支援を受けるなど、設計内容を評価できる体制を整えることが必要である。
2) 施工段階
① セルフモニタリング
・ 2(3)記載のとおり、PFIにおいては、設計・建設・維持管理・運営は、民間事業者により行われるものであり、まず第一にSPCによるセルフモニタリングによって対応する枠組みとする必要がある。
・ この場合、発注者の技術的ノウハウを反映させることによりセルフモニタリングをより効果的なものとするため、公募段階で発注者の意図を示し、これに合わせてセルフモニタリングの方法を提案させ、それを実施することにより効果的なものとすることが考えられる。具体的には、建設モニタリングの視点等をより明確に伝達するため、設計業務・工事監理業務・工事業務のモニタリングの手続きや特に重点的に工事監理を行う必要がある工種・工程等についての一定の仕様を要求水準書で示した上で、事業者選定において工事監理計画書の概要の提案等の提出を求めることとすることが考えられる。
・ SPC が行う建設モニタリングについては、施工会社の影響下に行われるとなると実効性は確保されないことになる。したがって、施工会社及び設計会社から独立して設計・建設を管理する責任者を確保し、施工会社等から一定程度の独立性を確保した上でモニタリングを行うことが考えられる。
発 注 者
工事監理計画書等の提出
特に重要な事項は
中間確認等により直接モニタリング
SPC
セルフモニタリング
設計会社
工事監理
施工会社
・ ISO9000 に従った監理を行うことによって、工事監理業務の負担を減らす方法もある。
② 発注者によるモニタリング
・ 建設中のモニタリングの必要性: PFIの場合は、セルフモニタリングが基本となるものの、発注者が特に重要と考える点については、発注者自らモニタリングを行うべきである。
・ モニタリングの対象: モニタリングの対象としては、以下のものが考えられるが、以下のうちどれを対象とするか、あるいはその他の内容も含めるかについては、事案の性質に応じて決定すべきである。
・瑕疵があった場合の出戻りの影響が大きい事項(重要な機械設備の出荷検査等)
・完工後の瑕疵発見が困難かつ重要な事項(躯体状況等)等
・施設の安全性に直接関わる事項(天井の振れ止め等)
・地域の環境保全に大きな影響を与える事項(アスベストを含む旧施設の解体等)モニタリングの内容に関して具体的な工種・工程等を予め例示しておくことが望ましい。
・ モニタリングを行う権利: 特に契約書等で明示されたもの以外でも、発注者が必要と判断した場合にはモニタリングを行うことができる旨事業契約書に規定することが望ましい3。
③ 上述した仕組みを機能させるにあたり、発注者、民間事業者、建設会社等の関係者が一同に介する場を設置することも考えられる。
④ 建設段階、運営段階を問わず、モニタリングに必要となる費用の負担者については、明確に規定しておく必要がある。
3 英国 SoPC4 においても、類似の規定がある。
(3) 適切な支払メカニズムの構築:
1) サービス水準維持にためのインセンティブとしての実効性の確保
① 重み付け: ペナルティを考える際には、事業コンセプトに沿った重み付けを行い、発注者の考える重要度が民間事業者に伝わり、機能するような支払いメカニズムとすることが必要である。
② 各指標間の関係: 一つに事由(違反)が複数の指標に関連する場合に二重に減額するのかなど各指標間の関係を明確にする必要がある。例えば、アベイラビリティ
(施設を利用することができる状態に置かれていない場合アベイラビリティなしとされる)とパフォーマンス(施設を利用することができるが要求水準が満たされて場合で、アベイラビリティ違反に比べてペナルティは小さいのが一般である)という概念を用いる場合、同じ事項について二重に減額されることがないように、どのような場合にアベイラビリティに基づくのみがなされ、どのような場合にアベイラビリティとパフォーマンスの双方が減額されるのかを明確に規定しておくことが望ましい。(例:エレベーターが利用できなくなった場合の「アベイラビリティ」に基づく減額が、周辺施設のパフォーマンスの低下を考慮した上で決定されているのであれば、周辺施設でパフォーマンスについての違反があっても減額の対象としない)。
③ 施設整備費部分の扱い: 要求水準を達成しない事象が起きたときのサービス対価の減額幅を検討するにあたっては、施設整備費部分も減額の対象となりえるような仕組み(いわゆるユニタリーペイメント)を導入するかどうかが問題となる。BTOについては確定債権として減額の対象とはならないが4、BOT 方式については、サービス水準維持への強い動機付けをはかるため、ユニタリーペイメントについて積極的に導入をはかる必要がある。なお、この場合、事業の性格に応じ、必要な場合は減額する場合についても一定の限度に留める等の条件を付すことをあわせて検討する必要がある。
④ リカバリーポイント: いわゆるポイント制(要求水準未達に対して減額ポイントを付与し、一定の点数以上になったときに実際に減額する仕組み)を利用する場合は、要求水準に規定されたサービス水準を越えた場合にリカバリーポイントを付すことによって、より柔軟なサービスに対するインセンティブシステムを構築することも考えられる。SOPC4 においても、減額ポイントと相殺するためにのみ使うことのできる「リカバリーポイント」を付与することは考えられるとされている。さらに、事業の性質によっては、相殺のみならずサービス対価の増額につながるボーナ
4 確定債権となる BTO の場合にも、民間事業者の適切な業務の履行のためのインセンティヴとして、損害賠償や瑕疵担保責任の規定等を活用することで、より強い動機付けを働かせることが可能となりうる。
スポイントを付与することも考えられる。
2) 利用量に基づく調整
利用者の増加等により大幅に民間事業者の費用が増加する場合には、原則として利用状況に応じてサービス対価の増加の仕組みとする。具体的には、入場者数が増えることによる民間事業者のコスト増加をカバーできるレベルで、サービス対価の増額規定を設ける。この際、施設の収容能力に見合った上限金額を設定するとともに、利用者数の制限を認めるなど、民間事業者がとれないリスクを負うことのないような仕組みを設けることが必要である。このメカニズムが当初意図したとおりに機能するためには、利用量に応じたサービス対価の増減額の大きさについて、民間事業者のコスト構造の変化を踏まえた設計が必要である。そのためには、支払メカニズムの検討段階において、民間事業者のコスト構造について十分なシミュレーションを行っておく必要がある。
4.留意点
(1) SPC によるマネジメント
運営の比重が高い事業など、SPC の業務範囲がxxに及び、委託先が多岐にわたる場合等においては、各種運営業務を横断的に統括する機能が求められる。英国においては、SPC にこのような運営業務を横断的に見ているファシリティー・ディレクターが置かれている。また、最近の我が国の病院PFIの場合、SPCの業務の一つとして「統括マネジメント業務」を位置づけ、マネジメント能力をモニタリングの対象にするという試みも行われている。
※ 英国では、SPC が各構成企業からは一種独立した立場から全業務を見渡した上でマネジメントをすることが求められている。病院 PFI の場合、この業務については、パフォーマンス指標と KPI の双方が定められている。このような民間事業者の組織管理能力をどのようにモニタリングの仕組みに組み込むかも重要な課題であり、英国では、このような業務について指標が設定されている他、病院PFIでは、KPI5も活用されている。
5KPI:Key Performance Indicator の略。英国では、パフォーマンス指標(各アウトプット 仕様に対応するもの)と同様の意味で用いられる場合と、要求水準の各項目をみるのではなく、業務全体の「傾向」をみる指標という意味で用いられる場合がある。後者の場合、例えば苦情処理の状況やスタッフの定着率などが対象となる。英国病院 PFI では後者の意味での KPI が用いられている(ただし、2007 年に公表された標準要求水準では継続的改善指標(Continuous Improvement Indicators)と名称が変更になっている)。
<我が国のモニタリングの例>
発 注 者
性能発注
①定期報告(日報、月報、四半期報告等)
②(随時)異常事態の報告
③発注者による現場確認、立入調査等
SPC
仕様発注
セルフ
モニタリング
定期報告(日報、月報、四半期報告等)等
受 託 企 業
マニュアル
従業員
(2) 公共側の契約管理体制
契約管理を実効的に行う観点からは、発注者においても、契約管理を継続的に行う体制
(スタッフ、組織、マニュアルの作成等)を確保していく必要がある。このような機能を果たす組織の一例として、各大学における施設部が挙げられる。
(3) モニタリングのフォーム
モニタリングの手段として例えば発注者による日報の閲覧があるが、必ずしも発注者のモニタリングにとって有用な形に整理されておらず、しかも膨大な量の情報が含まれるため、発注者によるモニタリングの手段として実効性に疑問があるなど、モニタリングのための有効なフォームが作成されていない場合がある。モニタリングの際に作成される書類について、両者にとって効果的、効率的なモニタリングが行えるような形でレポートを作成するかについては、モニタリング委員会などで、効率的、効果的にモニタリングを行うフォームを作成していくことが考えられる。
(4) 虚偽報告を防止する仕組み
虚偽報告への対応については、定期的検査及び抜き打ち検査、ヘルプデスク、顧客満足度調査等の複合的な手法を組み合わせることで防止することが必要である。虚偽が発見された場合には、それ自体をペナルティの対象とすべきである。ペナルティを考慮する際には、故意によるものと過失によるものにわけ、前者については特に厳しいペナルテ
ィを課すべきである。発注者が行う各種検査においては、技術的なノウハウのある専門家を活用することも考えられる。さらに官民が共同してセルフモニタリングの仕組みを作ることにより、質の高いセルフモニタリングシステムを作ることも重要である。
定期的検査、
抜き打ち検査
モニタリング体制の
検査
追加モニタリング
(費用は民間負担)
<参考>英国の状況
発注者によるモニタリング
報告
評価
問題が発見された場合
民間事業者によるモニタリング
利用者からの情報
顧客満足度調査
日常的なモニタリング
(基本)
ヘルプデスク
追加モニタリング
(費用は民間負担)
モニタリング体制の検査
定期的検査、抜き打ち検査
日常的なモニタリング
(基本)
ヘルプデスク
顧客満足度調査
(1) モニタリングの実施者:
・ 日常のモニタリングはセルフモニタリングが基本
但し ①発注者による定期的検査及び抜き打ち検査、モニタリング体制の検査の実施
②利用者からの情報を収集する仕組みの構築(ヘルプデスク、顧客満足度調査)
③問題が発見された場合のモニタリング範囲拡大により、モニタリングの実効性を保っている。
※ An Introduction to Building Schools for the Future では、コスト削減のため殆どのモニタリングが「セルフモニタリング」であるが、モニタリングの成功に重要 であるのは「ヘルプデスクシステム」(利用者からの苦情等をxx的に受け付ける窓口)であるとされている。
(2) モニタリング費用:
・ セルフモニタリング活用による費用節約
・ モニタリングの実施者がそれぞれ負担する。ただし、受注者のパフォーマンスが一定の水準に満たない為に行う追加モニタリング又は監査により発注者に発生する負担は、受注者が負担する。
(3) モニタリング指標の在り方:
・ 単純なもの:「初期のプロジェクトにおけるパフォーマンス規定の多くは、複雑に構築 し過ぎた結果効率が悪く、中には日常的手続きの機能性への配慮に欠けるものがあった。原則として、シンプル・イズ・ベスト(簡素が一番)であり、支払メカニズムで目指す
べきは『少ない対象を効果的に測る』ことである。」(SoPC4 7.3.1)
・ 性能(アウトプット)を測る:「インプット仕様からアウトプット仕様への移行を発注者が承認していない場合にも、不必要な複雑さが発生し得る。支払メカニズムはインプ ットではなくアウトプットを測ることに集中すべきである。」(SoPC4 7.3.1)
(4) 質のモニタリングの在り方:
7.9.2 プロジェクトによっては、スタッフの親切度又はケータリングの質など、客観的に計測することは困難であるが、サービス利用者にとっては重要なパフォーマンスの質的側面が関係する場合がある。概して、病院や学校等、複雑な状況下で提供されるサービスの質は、現実的にアベイラビリティ(利用可能性)及 びパフォーマンス基準などにすべてをまとめることはできない。
7.9.3 これを測定する最も簡単な手法は通常の顧客満足度調査を行い低い得点又は 不合格点に対し減額を適用する方法である。顧客満足度調査は、測定可能な明白な事実ではなく個人の感覚に基づくので、結果には幅があり操作されやすいため、金銭的補償の根拠とすることは難しいと良く言われる。しかし、このような調査はパフォーマンスを監視するのに有用な方法であり、減額が最高でもユニタリーチャージ全体に対し通常比較的小さい要素であるとは言え、様々な分野における数多くのプロジェクトでうまく利用されている。例としては、学校事業における校長の満足度が低かったための減額、住宅事業において利用者満足度調査で点数が低かったための減額、そして調査結果の点数が低かった際は受注者にパフォーマンス監査の実行と是正計画の立案を要求する等が含まれる。このようなシステムの長所は、入手したフィードバックが非常に利用価値の高いものであり、優れたサービス提供へのインセンティヴになるという点である。
・ 以下のように、SoPC4 では顧客満足度調査を行い、支払メカニズムに連動させる(但し 通常は少額)ことが推奨されている。
(5)モニタリングの実施にあたっての留意点
・契約締結段階までに以下のことを決定
①発注者から民間事業者へ、モニタリング条件の提示
②民間事業者からセルフモニタリング方法の提案、合意
・契約締結後の発注者の実施内容
①モニタリングに係るマニュアル・ユーザーガイドの整備
②モニタリングのための研修の実施
③契約締結以前から当該PFI事業に関与した担当者の配置
④運営段階に入る前のモニタリングの試行
以上