Contract
資料1
機密性○情報 ○○限り
農業分野におけるデータ契約ガイドラインのポイント(共⽤型)
平成30年10⽉10⽇
農林⽔産省⾷料産業xx的財産課
Ⅰ.基本的な考え⽅ 第2回検討会資料
機密性○情報 ○○限り
本ガイドラインの検討に当たっては、以下の1〜3の考え⽅を基本とする。
1. データの利⽤に関する契約⼀般に幅広く適⽤され得る経産省ガイドライン(データ編)を踏まえ、農業分野の特殊性の有無について分析し、本ガイドラインに盛り込むべき事項を検討する。
2. 農業分野の特殊性が認められる事項については、契約を締結するに当たって留意すべき事項等を検討し、必要な内容は契約のひな形に盛り込む。
3. 農業関係者の理解が得られやすいよう、ガイドラインにおいては農業現場の具体例等を盛り込む。
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機密性○情報 ○○限り
Ⅱ.農業分野におけるデータ契約の分類について
データ提供者のみが保持するデータを、別の者に提供する際に取り決める契約をいう。
例えば、熟練農業者Aが、xxにわたり作成してきた画像 データを含む栽培記録に関するデータをメーカーB社に有償譲渡する事例が該当する。
農業者A
契約
B社
栽培データ
データ提供
①データ提供型
複数の当事者が関与することにより、従前存在しなかったデータが新たに創出される場⾯において、データの創出に関与した当事者間で、データの利⽤権限について取り決める契約をいう。
例えば、農機メーカーB社が、農業者Aに収量センサー搭載のトラクタをリースし、当該トラクタから収量に関する
農業者 A1、A2、 A3・・
契約
販売
統計データの販売先
データが創出された場合、同データはB社がリースしたトラクターをAが使⽤することによって”創出”されるものである。
収量データ
統計データ
B社
農機メーカー
取得
②データ創出型
プラットフォーム(PF)を利⽤したデータの共⽤を⽬的とする類型の契約をいう。
農業分野では、平成31年4⽉に農業データ連携基盤
(WAGRI)が本格稼働することから、まずWAGRIにおける運⽤を念頭に置きつつ、その他のPFでの活⽤も視野に契約雛形を検討。
なお、PFという性格上、PFの契約当事者は、PF事業者の他、ベンダー等の事業者(やソフトウェアに精通するごく⼀部の農業者)が対象になると想定。
ベンダーA
取得
・・・
農機メーカーB
気象・農地・⽣育予測・統計・・・
農業データ連携基盤
取得
提供 提供
⺠間企業C
・・・
官公庁D
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③データ共⽤型
機密性○情報 ○○限り
Ⅲ.農業分野におけるデータ契約の全体像について
○ 農業関係者が提供または創出させたデータをベンダやメーカ等がプラットフォームに共有さ
の全体像は以下のとおり。
○ PF運営事業者と直接の契約当事者として想定されるのはベンダやxxx等の事業者であり、農業関係者が直接の契約当事者となる場合はICTに精通する⼀部の者に限定されると想定。
せ、第三者のベンダ等にデータ共有させるという⼀般的なデータ流通における契約または規約
農業者A
農業者B
農機メーカC
ICTベンダD
①データ提供型契約または②データ創出型契約
農業関係者とベンダやメーカとの間で締結するデータ契約。
対象となるデータの保持状況や当事者間の貢献等によって、提供型または創出型に類型される。
データ提供規約
データ提供者とPF運営事業者とで締結する規約
ICTベンダE
農機メーカF
データ利⽤規約
プラットフォーム(PF)運営事業者
データ提供利⽤規約
データの提供と利⽤の両⽅を⾏う者と、PF運営事業者とで締結する規約
⼀般的なデータの流れ
データ利⽤者とPF運営事業者とで締結する規約
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(参考)農業データ連携基盤の構造
農業データ連携基盤に関する全国ブロック会議資料を参考に作成
○ 農業データ連携基盤(WAGRI)は、農業ICTサービスを提供する⺠間企業が競合しない領域にお けるデータの共有サービスとして整備を進めている。
○ WAGRIを通じて気象や農地、地図情報等のデータ・システムを提供し、⺠間企業が⾏うサービスの充 実や新たなサービスの創出を促すことで、農業者等が様々なサービスを選択・活⽤できるようにする。
データ・システム利⽤者
農 業 者 等
農業者等が、それぞれの経営形態等に応じて農業関連サービスを選択・活⽤
農機メーカーA 農機メーカーB ICTベンダーC ICTベンダーD
WAGRIを通じてデータ・システムを取得し、新たな農業関連サービスを開発
農業データ連携基盤(WAGRI)
・ WAGRI運営事業者も確認できない領域。
・ 農業者等との合意に基づき、農業データ連携基盤に接続する事業者等が、「どのデータ」を、「誰」に公開するか、⾃由に設定可能。
Publicデータ 気象や⼟地、地図情報等に関する様々なデータ・システムを提供(有償提供を含む)
Private(Closed) データ
気象
API
農地
API
地図
API
センサ
API
生育予測
API
土壌
API
統計
API
「安全」に⾃分のデータを保存・管理
データ・システム提供者
WAGRIを通じてデータ・システムを提供
⺠間企業 ⺠間団体 ⺠間企業 ⺠間企業 ⺠間企業 農研機構
官公庁
Masterデータ
PublicやPrivateデータのマスター系を定義したデータを提供
認証⽅式
Open ID Connectを利⽤ 4
Ⅳ.データ共⽤型契約 経産省GLとの検討項⽬の⽐較
○
○
経産省GLでは、データ共⽤型契約におけるモデル的な契約条項案は⽰されていない。
データGL案のモデル条項との間で対応する事項(条項)について、次⾴以降でその対応関係を整理。
このため、経産省GLにおける共⽤型契約に係る「利⽤規約における主要事項」と農業
農業データGL案 契約条項案 | 経産省GL 利⽤規約における主要事項 |
第1条(定義) 第2条(プラットフォームの利⽤許諾)第3条(提供データの提供⽅法) 第4条(提供データに関する適切な取得および保証/⾮保証) 第5条(データ提供者による提供データのデータ利⽤者への提供)第6条(データ利⽤者による提供データの利⽤) 第7条(提供データの管理) 第8条(プラットフォーム事業者の運営責任等) 第9条(プラットフォーム事業者による利⽤サービスの提供)第10条(責任の制限等) 第11条(派⽣データ等の取扱) 第12条(データ漏えい等の場合の対応及び責任)第13条(秘密保持義務) 第14条(規約の解除) 第15条(プラットフォームからの脱退)第16条(不可抗⼒免責) 第17条(規約上の地位の譲渡)第18条(通知) 第19条(存続条項)第20条(完全条項)第21条(準拠法) 第22条(紛争解決) | 1 提供データまたは利⽤データ・利⽤サービスの利⽤を許諾する範囲(利⽤範囲) 2 提供データに関するデータ提供者の責任 (保証/⾮保証) 3 派⽣データ等の成果物の権利関係 4 監査及び苦情・紛争処理 5 プラットフォーム事業者の義務・責任 6 データ提供差者・データ利⽤者の義務・責任 7 利⽤規約違反時の制裁措置 8 脱却時・終了時における提供データや成果物の取扱 5 |
0.データ共⽤型契約モデルの作成にあたっての基本的考え⽅
○ プラットフォーム(PF)を中⼼として、データのやり取りを、①データ提供者とプラットフォーム事業
○ したがって、直接的な契約関係は、①データ提供者とPF事業者(データ提供契約)、②PF事業者と
データ利⽤者間(データ利⽤契約)で発⽣し、データ提供者とデータ利⽤者は直接的な権利関係に⽴たない。
者(PF事業者)、②PF事業者とデータ利⽤者間で⾏われることを特徴とする。
①契約当事者
○
○
個別契約という形ではなく、すべての契約者との間で同⼀内容の契約条件に同意する“規約”とする。規約とする理由は、①個々に契約条件を交渉して決定するのに時間やコストがかかるとともに、
契約管理のコストが発⽣。②データ提供者やデータ利⽤者にとっても、画⼀的な契約が採⽤されれば、 他のデータ提供者等と⽐べて不利な条件設定がされていないという安⼼感が得られ、PFに参加しやすくなる、と整理。
その上で、①データ提供者・PF事業者間のデータ利⽤提供規約、②PF事業者・データ利⽤者間のデー
供利⽤規約として作成し、データ提供者・データ利⽤者のいずれに対しても、1つの規約で対応することを 基本とする。
タ利⽤者間のデータ利⽤契約、の2つの規約を作成することも可能だが、本GLとしては、1つのデータ提
②契約フォーム
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1.利⽤範囲
経産省GLにおける基本的な考え⽅ | 農業データ契約GLの契約雛形の対応⽅向 |
<総論> 利⽤範囲について、具体的に規定する場合や包括的に規定する場合のいずれの場合においても、利⽤範囲が、データ提供者・プラットフォーム事業者間及びデータ利⽤者・プラットフォーム事業者間の権利義務や責任関係を画するものとなるため、データ提供者及びデータ利⽤者において予測可能性を担保し得る内容とすることが求められる。 ① オープン型PFである場合、提供データをデータ利⽤者が広く共⽤・活⽤し得ることについて、データ提供者・PF事業者間の利⽤規約に、オープン型PFである旨や利⽤範囲の規定を明記しておくことが、将来の紛争予防のために望ましい。 ② 対象となる提供データの種類及び範囲を適切に 選択することが重要。例えば、他の事業者に開⽰ すると⾃社の競争⼒を削ぐ可能性があるデータと、他の事業者に開⽰しても⾃社の競争⼒には直接に は影響がない、または、影響が⼩さいデータを切り分けた上で、まずは後者のデータを優先的に提供データとすることが考えられる。 ③ PF事業者が第三者に加⼯・分析等を委託等する可能性がある場合には、どのような事業者とどのような事業を⾏い得るのかについて、利⽤範囲の条項において明確化することが望ましい。 | ① 本GLの規約雛形で想定するPFは、規約に同意するデータ利⽤者なら誰でも参加を許諾する オープンPFとし、その旨を規約雛形に明記。 (第2条第1号) ② 利⽤制限を設定するデータを「プライベート・ データ」、それ以外のデータであって何ら制限なく利⽤できるものを「パブリック・データ」と定義し、データ提供者の選択に基づき、提供データのプライベート・データとパブリック・データの区別を設定できる旨を規定。(第1条第12号・第 13号)また、データの提供範囲等を利⽤規約上で定める⽅法も考えられるが、本GLでは、PFの管理画⾯上でプライベート・データとパブリック・データの区別を設定する⽅法を想定。(第5条第3項)これにより、他の農業者に開⽰すると ⾃らの競争⼒を削ぐ可能性があるデータを提供する場合、データ提供者は、PFの管理画⾯で当該データをプライベート・データとして利⽤制限を設定することにより対応。 ③ PF事業者が第三者に加⼯・分析等を委託等する可能性があるものの、当該第三者まで含めると契約関係が複雑になり、本GL利⽤者の理解をかえって阻害する可能性があると考えられるため、本GLの規約雛形では取り扱わないことで整理。 |
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2.提供データに関するデータ提供者の責任(保証/⾮保証)
経産省GLにおける基本的な考え⽅ | 農業データ契約GLの契約雛形の対応⽅向 |
<総論> 提供データに関して、データ提供者がどのような責任を負うのか、または負わないのかについて、利 ⽤規約に規定することが考えられる。 ① 提供データが違法または不正な⼿段で得られた データではないことについてデータ提供者に責任を負わせるため、具体的な法令名等は記載せず包括的にその旨を表明保証させる場合もあれば、逆に、データ提供者が⼀切当該責任を負わない旨を規定する場合もある。 ② 提供データに個⼈情報が含まれる場合には、P Fにおいて共⽤・活⽤することについて本⼈の同意を得たことをデータ提供者に表明保証させる場合もあれば、提供データが⾮個⼈情報であることをデータ提供者に表明保証させる場合もある。 | <総論> データ提供者ができるだけ安⼼して、かつ無償また はできるだけ安価な対価でデータ提供してもらうことを優先し、提供データの原則的⾮保証を規定し(第4条第3項)、提供データについて責任を負担すべき場合を限定的に規定。 ① 農業関係者は⾃⾝が提供したデータがどのようにして、また誰に利⽤されることになるのか⾮常にセンシティブになるのが通常であり、農業関係者の利益保護とPF事業の継続性を担保する観点から、予め農業関係者にデータ提供に係る同意書を取得する旨を規定。(第4条第2項) また、事後に元のデータ提供者(主に農業関係者を想定)との間でトラブルとなり、場合によって元のデータ提供者からデータ利⽤停⽌や損害賠償が請求されるリスクを回避する⼿段として、データ提供者は、適法かつ適切な⽅法によって提供データが取得されたものである旨を表明保証することを規定。 (第4条第1項) ② 個⼈情報保護法を遵守する観点から、データ提供者は、事前に個⼈情報等を含んだデータを提供する旨や含まれる個⼈情報等の項⽬をPF事業者に明⽰させるとともに、データの⽣成等について個⼈情報保護法に定められた⼿続を実践していることを保証させる旨を規定。(第3条第2項・第3項) |
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3.派⽣データ等成果物の権利関係
経産省GLにおける基本的な考え⽅ | 農業データ契約GLの契約雛形の対応⽅向 |
<総論> PF参加者間において定義に齟齬が⽣じない よう、また、派⽣データ、派⽣サービスに相当することについての共通認識が持てるよう、留意すべき。 ① “PF事業者が派⽣データ、派⽣サービスを創出するに当たり⽣じた知的財産権”、 “データ利⽤者が利⽤データ、利⽤サービスを共⽤・活⽤するに当たり⽣じた知的財産 権”に分けて整理することに留意すべき。 ② データ利⽤者において利⽤データ、利⽤ サービスを共⽤・活⽤するに当たり⽣じた成果物の利⽤により得る利益の分配について、 個別のケース毎に分けて整理する必要。また、利益への提供データの寄与度や分配すべき者 の範囲を算定し難いことを踏まえて、利益分配しない場合もある。 | <総論> 「派⽣データ」「利⽤サービス」「利⽤サービス」等の定義を規定。(第1条) ① 派⽣データの作成または利⽤に関し、新たにPF事業 者によって創出された知的財産権は、別段の規定や当事者間で別途合意をした場合を除き、PF事業者に帰属する旨を規定。(第11条第6項)また、PF事業者が新たに作成する派⽣データについて、データ提供者及びデータ利⽤者に提供することができるとともに(第11条第2項)、当該派⽣データの利⽤⽅法等について規定(同条第3項・第4項)。 また、データ利⽤者が提供データを利⽤して新たな成 果物やサービスを構築しようとするときは、利⽤範囲として予め設定されている場合を除き、事前にデータ提供者に通知し承諾を得なければならず、また、知的財産権の帰属は、データ利⽤者とデータ提供者の間で誠実に協議し決定する旨を規定。(第6条第6項) ② 利益に対する貢献度や分配すべき者の範囲の算定が難しく、また、完全に営利⽬的で設置PFの例はまだ少なく社会的な基盤としてPFが整備された結果、利益分配 というものが馴染まない例が多いと思われることから、利益分配についての条項は設定しないことと整理。(ただし、利益分配を⾏うPFが全く想定されない訳ではないことから、提供型等で⽰した利益分配の⽅法を参照するよう規定。) |
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4.監査及び苦情・紛争処理
経産省GLにおける基本的な考え⽅ | 農業データ契約GLの契約雛形の対応⽅向 |
<総論> ○ PFの事業運営に対する信頼性を維持するために、PF事業者がデータ提供者及びデータ利⽤者に対して書⾯による報告を求めたり、書⾯の開⽰を求めたり、場合によっては、実地監査権を利⽤ 規約に規定する場合もある。⼀⽅で、データ提供者またはデータ利⽤者がPF事業者に対する監査権を有する旨を規定する場合もある。 ○ PFに対する信頼性を維持する観点から、デー タ提供者及びデータ利⽤者のための苦情申出先や、データ提供者及びデータ利⽤者間で紛争が⽣じた 場合の解決⼿段等を予め利⽤規約に規定する場合もある。 ○ 第三者による苦情申出(例えば、⾃社に関するデータが同意なく第三者によりPFに提供されており、直ちに提供を⽌めて欲しい等)に関する対 応⽅針を予め利⽤規約に規定する場合もある。 | <総論> 経産省GLでは、PFの信頼性維持のオプションとして、監査及び苦情・紛争処理に係る規定を置く選択肢があげられており、⼀般的にはこのような対応が可能となるPFも考えられるものの、農業分野で想定され得るPFにおいては、監査を受けるデータ提供者、データ利⽤者またはPF事業者が、そのような監査の要求に耐え得るだけの⼈員を揃えてい ることが想定されるかどうか等を慎重に考慮して対応する必要があるとともに、監査権を認めるとしても、監査の内容としてどこまで認めるのか、それに対する対応義務をどこまで認めるのか等について慎重な検討が必要な理由から、本GLでは、監査や苦情処理に係る規定は置かないことと整理。 |
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5.プラットフォーム事業者の義務・責任(責任限定)
経産省GLにおける基本的な考え⽅ | 農業データ契約GLの契約雛形の対応⽅向 |
① PF事業者は、提供データを収集・保管する⽴場にあるため、⼤量に収集する提供データの内容や質を網羅的に確認する義務を負うことは難しい⾯があるものの、⼤量また多様な提供データを収集し、保管する事業を⾏っている以上、⼀定程度のサイバーセキュリ ティ対策を⾏うことが要求され、提供データ、利⽤ データ及び利⽤サービスの安全管理に関する義務を負わせるのが適切な場合も多いと考えられる。 ② PF事業者について提供データ等の保管義務または 消去義務を規定する場合もある。また、PF事業者は、いつでも提供データを提供でき、いつでも利⽤データ または利⽤サービスの提供を受けられることが要請さ れる。⼀⽅で、通信障害や天変地異等の不可抗⼒に よって、このような提供義務等を果たせないこともあるため、どのような場合に当該義務等を免れるかにつ いての責任限定について利⽤規約に定めておくことが望ましい。 | ① 経産省GLと同様、PF事業者には、⾃らが管理するシステムのセキュリティを適切なものにす ることが求められる。このため、本GLでは、 「同種同等のプラットフォームで利⽤されるのと 同種同等のセキュリティ」を備えてPFを適切に管理する旨を規定。(第8条第1項) ② 農業分野では、公共の利益のために無償または実費程度でPF事業を運営する事例が想定される中で、営利⽬的でPF事業を運営している者と同等の責任負担を認めることは妥当ではないと思われること等の理由により、規約で明⽰的に開⽰した事項を除き、PF事業者が、PFの運営に関して⼀切保証をせず責任も負担しない旨の規定を採 ⽤。(第8条第2項) |
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6.データ提供者・データ利⽤者の義務・責任(責任限定)
経産省GLにおける基本的な考え⽅ | 農業データ契約GLの契約雛形の対応⽅向 |
① データ提供者に対する責任として、正確性、完全性、有効性及び安全性について責任を負わせたり、逆に責任を限定するため⾮保証とする旨を規 定することが考えられる。 ② データ提供者に対して、個⼈情報が含まれる提 供データの場合に、PFを通じた共同利⽤や第三者提供について法令に基づく必要な措置を課す旨を規定したり、個⼈情報から匿名加⼯情報を作成した場合は識別⾏為を禁⽌する等、法律上求められる義務を規定する場合もある。 ③ データ利⽤者に対し利⽤データを第三者に提供することを禁⽌する義務を課したりすることが考 えられる。その他、データ提供者及びデータ利⽤ 者の双⽅に対し、PFに不正アクセスを⾏わない等の禁⽌⾏為を規定することが考えられる。 | ① データ提供者ができるだけ安⼼して、かつ無償またはできるだけ安価な対価でデータ提供してもらうことを優先し、提供データの原則的⾮保証を規定し(第4条第3項)、提供データについて責任を負担すべき場合を限定的に規定。<再掲> ② 個⼈情報保護法を遵守する観点から、データ提供者は、事前に個⼈情報等を含んだデータを提供 する旨や含まれる個⼈情報等の項⽬をPF事業者 に明⽰させるとともに、データの⽣成等について個⼈情報保護法に定められた⼿続を実践していることを保証させる旨を規定。(第3条第2項・第 3項)<再掲> ③ データ利⽤者の責務として、データ・コンタミネーションを避けるよう他のデータと区別し、善良な管理者の注意をもって管理・保管する義務を規定。(第7条第1項) |
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7.利⽤規約違反時の制裁措置
経産省GLにおける基本的な考え⽅ | 農業データ契約GLの契約雛形の対応⽅向 |
<総論> PFの運営に対する信頼性を維持するため、デー タ提供者、データ利⽤者またはPF事業者が利⽤規 約に違反したときの制裁措置を規定することが考えられる。 ○ 利⽤規約違反時の制裁措置を規定する場合には、その前提として、利⽤規約違反⾏為をどのように して認定するかについての⼿続規定を置くことも 考えられる。 | 規約の解除事由にあたる場合であっても、⼀定の事項の場合には、解除だけではなく、PFに対するアクセスの⼀時停⽌措置を講じたほうが適切な場合もあると思われるため、本GLでは、データ提供者またはデータ利⽤者において⼀定の規約違反があった場合、PF事業者が、当該違反者に対するプラットフォームへのアクセス停⽌措置を講ずることができる旨を規定。(第14条第6項) |
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8.脱却時・終了時における提供データや成果物の取扱
経産省GLにおける基本的な考え⽅ | 農業データ契約GLの契約雛形の対応⽅向 |
<総論> データ提供者またはデータ利⽤者がPFから脱退した場合、当該者が提供したデータまたは共⽤・活 ⽤した結果⽣じた成果物等をどのように扱うかという問題が⽣じ得る。 ○ 例えば、データ提供者がPFから脱退した場合であっても、当該提供データをデータ利⽤者が共 ⽤・活⽤して得た成果物等には何ら影響を及ぼさない旨を規定しておくことも考えられる。 ○ ⼀⽅で、脱退時や終了時と同時または直ちに、当該データ提供者の提供データの共⽤・活⽤を停 ⽌する場合もあれば、⼀定期間経過後に共⽤・活 ⽤を停⽌とする場合もある。 ○ また、遡及的無効または将来的無効のいずれを採⽤する場合であっても、PF事業者等における 提供データ等の消去義務を定める場合がある。 ○ (データは所有権の客体とはなり得ないため、データの返還請求権は当然には⽣じないと考えられるため、)PFからの脱退時や終了時に、データ提供者またはPF事業者にデータの返還請求権を認めるか否かについて定めておく必要がある。 | 〇 脱退をしたデータ提供者およびデータ利⽤者は、それ以降、PFへのアクセス権、PFを通じて⼊⼿したデータおよび利⽤サービスの利⽤権をいずれも 喪失する旨を規定。(第15条第1項) 〇 脱退時まで利⽤していた提供データおよび派⽣ データについては、PF事業者の求めに従い、PFを通じて受領した提供データおよび派⽣データを⾃ ⼰のシステムから削除または消去しなければならな いとともに、それを証明する書類をPF事業者に提出しなければならない旨を規定。(第15条第2項) 〇 データ提供者がPFから脱退をした場合、第5条第4項に準じて、データ提供者はプラットフォーム事業者に対して、データの削除等を求めることができる旨を規定。(第15条第3項) ただし、第5条4項に準じるため、データ提供者はデータ利⽤者に対しては同様の請求をすることが できないし、データ提供者が有償で提供データを提供していた場合には、プラットフォーム事業者に対しても、提供データの削除請求をすることはできない。 |
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(参考)今後の予定
○ 本検討会は全4回程度実施することを想定。
○ 農業データ保護・利活⽤推進事業の作業結果を踏まえつつ、ガイドラインに盛り込む事項等について検討。
○ 本年中を⽬途に農業分野のデータ契約ガイドラインを策定。
【第1回】
【第2回】
【第3回】
【第4回】
趣旨説明 現状の把握
現状のデータ契約の実態の整理
ガイドラインに盛り込む事項の検討
提供型・創出型ガイドライン案の議論
共⽤型
ガイドライン案の議論
・農業法⼈、ICTベンダー等へのヒアリング等により事例を把握
・事例から農業分野特有の課題を抽出し、類型分けした上で対応の⽅向性を検討
・類型毎の契約書についても検討
ガイドライン策定・公表
パブリックコメント
検討会
3⽉29⽇ 7⽉13⽇ 9⽉20⽇ 10⽉10⽇(予定) 年内
農業データ事業
※ 適宜、関係機関・弁護⼠等による会合を開催(⾮公開)