Contract
滞在期間の延長に当たっての雇用契約の締結・更新の留意事項について
滞在期間を延長し、日本で就労・研修を継続し来年度の国家試験を受験するにあたり、受入れ機関と候補者の間におきまして、新たな雇用契約の締結を行うか、従前の雇用契約の終期までに現在の雇用契約を更新することになります。このたび、受入れ機関及び候補者の事務の便に供するため、関係省庁と協議の上作成した雇用契約書等の参考例を作成しました。下記の留意事項もご参照の上、雇用契約の締結・更新の手続きの際にご参考にして下さい。
記
1 総論
雇用契約書の参考例はあくまで一例であり、労働契約は、その内容について法令で定める基準を遵守した上で、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結すべきものであること。
また、労働者及び使用者は、労働契約の内容について、書面により確認するものであること。なお、在留資格変更の許可に当たっては、雇用契約に基づいた就労・研修を行うことが条件とされていることから、地方入国管理局に雇用契約が存することを証する書面を求められることに留意すること。
協定に基づく枠組みのひな形と同様に労働条件とそれ以外の部分とを同一の契約書に記載することも考えられるが、例としては、労働条件とそれ以外とを別の契約書として作成するものを示したものであること。
2 冒頭部分
一例として、在留資格変更の許可を以て有効とする内容の雇用契約が考えられること。新しい雇用契約とする場合は、現在の雇用契約との関係を明記することが考えられること。
3 労働契約の期間
一例として、平成 26 年度に実施される看護師国家試験・介護福祉士国家試験(以下
「平成 26 年度試験」という。)の不合格が判明した場合に、その時点では翌4月末までのシフトが決まっている例を想定して、雇用契約の期限を4月末日とする場合を示したものであること。
なお、雇用契約の終期が平成 26 年度試験よりも前の場合は、在留資格の変更の許可がなされないこともあるので留意すること。
公務員である場合は、「任用の期間」となること。
4 就業の場所
雇用主が複数の病院を設立している場合であって、就労者を当該複数の施設において就労させることを予定している場合は、当然、契約に明記すること。
なお、「特例インドネシア人看護師候補者又は、特例インドネシア人介護福祉士候補者又は、特例フィリピン人看護師候補者又は、特例フィリピン人介護福祉士候補者(以下、特例看護師・介護福祉士候補者という。)」の我が国での在留は、雇用契約を締結する機関のみならず、就労する施設も指定して許可される。よって、在留資格の申請に当たって、就労者が複数の施設で就労するための許可を受けるため、地方入国管理局に雇用契約書を提出する場合は、適切な在留資格の申請の観点からも、当該雇用契約書に複数の施設で就労することが明記されているべきであること。
5 休暇
現在の雇用契約の休暇の残日数の取扱いを明示した例としていること。
6 宿泊施設
法務省告示第四「特例受入れ機関に関する事項」において、「宿泊施設を確保」することが在留資格の許可の条件の1つとされていること。
7 給与の額
法務省告示第四「特例受入れ機関に関する事項」において、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を特例看護師・介護福祉士候補者が在留資格の許可の条件の1つとされていること。また、厚生労働省告示第二の一の4「特例受入れ機関との雇用契約の要件」において、「雇用契約は、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることを内容とするものでなければならない。」とされていること。
8 研修
就労者は、労働時間内においては、雇用主の指揮命令を受けて、研修に取り組むものであること。
なお、労働時間外の研修の費用負担について、トラブルの未然防止のためあらかじめ別に定めておくことが考えられること。労働時間外においては、雇用主の指揮命令権は無いことから、就労者は労働契約上は何ら研修に取り組む義務は無いこと。
ただし、労働時間の内外を問わず、特例看護師・介護福祉士候補者は、「看護研修改善計画又は介護研修改善計画(以下、研修改善計画という。)」を十分に理解し、これに基づいて、平成 26 年度試験に合格することを目指して精励することを誓約することが要件とされていること。研修改善計画に基づく研修に適切に取り組まない場合、在留資格取り消されることがあるので、留意すること。
また、労働時間の内外を問わず、特例受入れ機関は、研修改善計画に基づいて、候
補者が平成 26 年度試験に合格することを目指すための研修体制を確保し、適切な研修を実施することを誓約することが要件とされていること。研修改善計画に基づく研修を適切に実施しない場合、「特例インドネシア人看護師候補者及び特例インドネシア介護福祉士候補者の雇用管理、研修の実施等に関する指針」(平成 23 年厚生労働省告
示第 192 号)第二の一の3の研修の要件、若しくは、「特例フィリピン人看護師候補
者の雇用管理、研修の実施等に関する指針」(平成 24 年厚生労働省告示第 190 号)第二の三の研修の要件を満たさなくなるおそれがあるので、留意すること。
9 就労者の個人情報の提供
法務省告示及び厚生労働省告示において、就労者の個人情報が含まれる報告を実施するものとされている。そのため、個人情報取扱事業者(個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号)第2条第3項に規定する個人情報取扱事業者をいう。以下同じ。)である雇用主が、その報告を適切に実施するためには、就労者の個人情報を関係行政機関、受入れ調整機関(公益社団法人国際厚生事業団)その他の関連機関に提供されることに同意をとることが必要であること。また、個人情報取扱事業者でない雇用主は、「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成 16 年厚生労働省告示第 259 号)第四に留意し、個人情報取扱事業者が求められる取扱いに準じて、その適正な取扱いの確保に努めるべきであること。
10 雇用契約の終了
有期労働契約(期間の定めのある労働契約)の場合は、労働契約法第 17 条第1項において、「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」と規定されており、たとえ労働者と使用者で一定の事由により解雇することができる旨を合意していた場合であっても、契約期間中、安易な解雇はできないものであること。
地方公務員であって当該自治体の条例等が適用される場合は、その定めを雇用契約書に確認的に規定することが考えられること。
11 帰還費用の負担
法務省告示第四「特例受入れ機関に関する事項」において、「特例看護師・介護福祉士候補者の帰国旅費の確保等帰国担保措置を講じていること」が在留資格の許可の条件の1つとされていること。
12 署名
滞在期間の延長による滞在は、協定の枠組み外であるため、受入れ調整機関及び送り出し調整機関(インドネシア海外労働者派遣保護庁、若しくはフィリピン海外雇用庁)の署名は不要であること。