(SILAIS)
3-2-4-1 施工方針/調達方針
(1) 事業実施体制
本計画の責任機関及び実施機関は、保健省(MINSA)である。コンサルタント契約、並びに業者契約の署名者は、保健大臣(大臣の任命者を含む)である。ボアコ保健局(XXXXXX)は、保健省の地方出先機関であり、ボアコ県の保健医療行政を執行している。本計画の対象病院であるボアコ病院(国立)は、保健省第二次医療サービス局の管轄下におかれているが、ボアコ保健局の監督の下でその医療サービスを行っている。
日本法人
コンサルタント
ボアコ病院 (国立)
ボアコ保健局
(SILAIS)
第二次医療サービス局
保健省 (MINSA)
日本法人
建設会社/商社
保健大臣 (契約書署名者)
建設/機材契約
コンサルタント契約
責任機関実施機関
計画対象病院
図3-17 事業実施体制図
交換xx(E/N)以降の関連書類等に関する内容確認・承認手続きは、以下の手順で実施さ
れることが確認されている。
プロジェクト委員会による審査
(機材関連)
委員会による審査
(建設関連)
委員会による審査
委員会による審査
技術関連書類
- 入札条件書
- 技術仕様書
- 図面
- その他
契約書類
- コンサルタント契約書
- 建設工事契約書
- 機材工事契約書
- その他
保健省(MINSA)による承認
保健省(MINSA)受入
コンサルタント
コンサルタント
図3-18 入札図書等の承認手続き
- 113 -
なお、保健省は首都マナグアにあり、そこから 90km 離れた地方のボアコ市がプロジェクトサイトであることから、保健省ではより円滑な業務推進を促すために、下記に示すように、保健省の地方出先機関であるボアコ保健局やボアコ病院関係者を含むプロジェクト委員会の設立を計画している。
マナグア ボアコ
保健省 (MINSA) (責任機関/実施機関)
プロジェクト委員会
(計画対象病院)
医療サービス
(レファラル等)
保健医療行政
第一次医療施設
法務局
インフラ・技術開発局
第二次医療サービス局
ボアコ病院
(国立)
計画・投資局
- 水道公社
- 電力会社
- 排水担当部局
- 交通担当部局
- その他
局
部
ボアコ市役所その他関連部
ボアコ 保健局
(SILAIS)
保健大臣
図3-19 プロジェクト委員会組織図
プロジェクト委員会の主要メンバー並びに主たる機能等は以下に示すとおりである。プロジェクト委員会メンバー(予定)
• 委員長:計画・ 投資局投資課長
• メンバー:計画・ 投資局
第二次医療サービス局インフラ・技術開発局法務局
ボアコ保健局(SILAIS)ボアコ病院
プロジェクト委員会の主たる機能
契約書署名などを含むプロジェクトの実施
銀行取極・支払授権書の手続き(手数料含む)建築許可・その他必要となる許可申請
関税・国内での税その他各種税金の免税
陸揚げ港における荷揚げ・通関手続きの確保
プロジェクトに係る関係者とのアポイント(手数料含む) プロジェクトの迅速な実施に必要なその他必要事項の実施
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(2) コンサルタント
E/N が締結された後、保健省は日本国法人コンサルタント会社と本協力対象事業の詳細設計及び施工監理に係るコンサルタント契約を締結し、日本国政府よりコンサルタント契約の認証を受ける。本協力対象事業を円滑に実施するためには、E/N 締結後速やかにコンサルタント契約を行うことが重要である。コンサルタントは契約締結後、保健省と協議の上、本基本設計調査報告書に基づき詳細設計図(入札図書)を作成し、前記承認手続きの流れに沿って保健省の承認を得る。この詳細設計図書に基づき、入札業務及び施工監理業務を実施する。
(3) 工事請負業者
本協力対象事業に係る工事は、施設の施工を行う建設工事、及び機材の調達・据付を行う機材工事からなる。建設工事業者は、一定の資格を有する日本国法人の中から、入札参加資格制限付一般競争入札により選定される。
保健省は、入札により選定された工事請負業者と工事契約を締結し、日本国政府より工事契約の認証を受ける。
(4) 現地コンサルタントの活用
工事監理については、日本人の常駐監理者以外に現地の建築技術者を活用する。また、本協力対象事業は医療施設であり、機械設備・電気設備の工事比率が一般の建物より高く、清浄度が要求される建物でもあるので設備技術者も活用する。
(5) 建設業者の活用と派遣技術者
ニカラグア国の建設業者の規模は、大手と言われている建設会社においても3~4社であり、その会社規模を公的に示すデータはほとんど公表されていない。
大規模な建設と言われるものは、政府発注のインフラ工事以外は、米国、日本などからの援助工事、あるいは外国企業投資案件である。一般的に工事実績は建築工事よりも道路、橋などの土木工事の比率が圧倒的に高い。同国の建設工事会社の中に、日系企業はないが、我が国の ODA 関連の建築工事を下請業者として手がけている会社は複数ある。日本国法人の建築請負業者は、日本人技術者の下に現地の建築技術者を雇用して、工程・品質・安全管理面 を中心とした内容チェックや技術指導を木目細かく行う必要がある。
本協力対象事業は、ニカラグア国にとって最新の医療施設であり、手術室や検査室などでは、比較的高度な品質管理の求められる工事が含まれている。従って、その分野に関しては経験豊かな日本人専門技術者による技術指導、施工管理が不可欠である。特に、医療機材などの特殊な分野においては、日本などから専門技術者の派遣を計画する必要がある。
- 115 -
(1) 仮設計画
本協力対象事業の建設予定地は、ボアコ市北東の郊外に位置している。人家は疎らで、北西に向かってなだらかな上り勾配のある敷地ではあるが、山間地にあるボアコ市の中では稀な平坦地である。建築工事現場に設置する仮囲いは、第三者への障害事故等の防止、警備・保安上の安全確保などを考慮して、波形鉄板を使用する。敷地内に仮設事務所、下小屋、資材置場、加工場などを設置する。
(2) 資材調達
ボアコ市内には金属製品を取り扱う商店で、小規模の鋼材や衛生陶器などが販売されているが、本協力対象事業に必要な建設資機材のほとんどはマナグア市で調達し、内陸輸送によってボアコ市内の建設現場へ搬入することになる。なお、マナグア市内には輸入品の代理店や建材店が集まっており、調達は比較的容易である。これらの建設資材のほとんどは、コスタリカ、ブラジル、メキシコなどの近隣諸国産であるが、恒常的にニカラグア国内市場に出回っている。
本協力対象事業における日本国産の資機材調達については、輸送距離が非常に長くなることから、コスト面や工程管理および維持管理面でも不利となるので、特殊な病院設備などのような建設資機材のみを日本から調達する。
(3) 特殊工法
コンクリートの調達はボアコ市内に生コンプラントがなく、マナグア市からの供給では遠距離すぎて品質に支障が生ずるので、建設現場にバッチャープラントを設置する。
ニカラグア国では躯体コンクリートの打設方法として、梁下までの柱を打設した後に、梁とスラブを打設する2段打ち工法が一般的に行われている。現地業者はこの工法に熟練しており、日本で一般的な柱・梁スラブ一体打ち工法は不慣れであることから、本協力対象事業では2段打ち工法を採用する。
現地での一般的なアルミ製建具等のガラス取付け工法としては、片面はシーリング材、もう一方はサッシに直付けという、我が国では馴染みのない工法が見られる。この工法の採用は、建具の製作費やガラスの加工取付け費を安くするためと思われるが、アルミ部材の熱伸びや地震によるガラスの破損が懸念されるため、日本で一般的な両面シーリング材でガラスを固定する工法を採用する。
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本協力対象事業を円滑に遂行するために、日本国側とニカラグア国側との主な工事負担区分を下表に示す。
表3-33 工事負担区分
日本国側工事負担内容 | ニカラグア国側工事負担内容 |
1.建築工事 (標準な固定家具、造作、診察xxの内部の仕切りカーテンを含む) | 1.敷地の確保・整地工事など 敷地の確保・造成整地、埋設物除去、樹木伐採・抜根、本計画病院への移転 |
2.電気設備工事 受変電設備、動力及び幹線設備、電灯・コンセント設備、電話設備、放送設備、避雷設備、自動火災報知設備 3.給排水衛生・空調換気設備工事 給水設備、排水設備、給湯設備、ガス設備、衛生器具設備、消火設備、空調設備、換気設備 4.特殊設備工事 発電機設備、ナースコール設備、ガス漏れ警報設備、医療ガス設備、排水処理設備、上水処理設備、焼却炉設備、厨房設備、洗濯設備 5.外構工事 敷地内の道路、造園、植栽、駐車場、外灯 6.医療機材工事 医療機材の調達・据付工事診療家具 | 2.外構工事 敷地周辺の門及び塀、造園、植栽、敷地までのアクセス道路の整備 3.各インフラ引込み接続工事 電気:敷地内の電柱上にある断路器までの配線および接続 電話:施設内 MDF までの配線および接続 (施設内の電柱は日本側) 水道:敷地内までの給水管の引き込み、バルブ止め。水源となる敷地外の井戸の改修もしくは新設およびポンプ、量水器の設置。 排水:敷地内最終桝および最終桝から放流先の川までの埋設排水管 雨水:敷地外側溝および放流先の川までの側溝 4.家具・什器・備品 カーテン(カーテンレールは日本国側)、ブラインド、一般家具、 一部の既設厨房機器および洗濯機器の移設・据付 |
5. 一部の既存機材の移設・据付 | |
6.建築確認等の許認可申請と取得 | |
7. 日本国側工事負担以外の全ての必要経費 |
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日本国法人コンサルタント会社は保健省とコンサルタント契約を締結し、本協力対象事業の詳細設計(入札図書作成等)及び入札、施工監理業務を実施する。
施工監理の目的は、工事が設計図書どおりに実施されているか否かを含めて、工事契約内容の適正な履行を確保するものである。施工期間中の指導、助言、調整を行いながら品質確保、工程管理等を行う。この施工監理は、次の業務により構成されている。
(1) 入札及び契約に関する協力
建設及び機材工事の請負業者を決定するために必要な入札図書等を作成し、入札公告、入札参加願の受理、資格審査、入札説明会の開催、入札図書の配布、応札書類の受理、入札結果の評価等の入札業務を行う。更に落札した工事請負業者と保健省との工事契約の締結に関する助言、協力を行う。
(2) 工事請負業者に対する指導、助言、調整
施工工程、施工計画、建設資機材調達計画、医療機材調達・据付計画等の検討を行い、工事請負業者に対する指導、助言、調整を行う。
(3) 施工図、製作図等の検査及び確認
工事請負業者から提出される施工図、製作図、書類等を検討し、必要な指示の上確認を与える。
(4) 建設資機材、医療機材の確認
工事請負業者が調達しようとする建設資機材、医療機材と工事契約図書との整合性を確認する。
(5) 工事検査
必要に応じ、建築用部品及び医療機材の製造工場における検査、工事試験への立会い、品質及び性能確保に関する検査を実施する。
(6) 工事進捗状況の報告
施工工程と施工現場の状況を把握し、工事進捗状況を両国関係機関に報告する。
(7) 完成検査及び試運転
建築及び建築付帯設備、医療機材の竣工検査及び試運転検査を行い、工事契約図書に記載された性能が確保されていることを確認し、検査報告書を保健省に提出する。
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(8) 施工監理体制
コンサルタントは、前述の業務を遂行するために、現場常駐監理者を1名配員する。更に、工事の進捗に応じ各専門分野の技術者を現場に派遣し、必要な協議、検査、指導、調整を行う。一方、日本国内側にも担当技術者を配置し、現地との連絡業務及びバックアップ体制を確立する。また、日本国政府関係機関に対し、本協力対象事業の進捗状況、支払手続、竣工引渡し等に関する必要事項を報告する。
施工監理体制は、図 3-20 のとおりである。
コンサルタント
建 築 設 計
構 造 設 計電気設備設計
外 務 省
プロジェクト
マネージャー
ジョブ・
キャプテン
機械設備設計
JI CA
積
算
医療機材計画
監
理
[日 本 国
内 ]
工事請負業者の
日本国内責任者
[ニカラグア国内]
現場常駐監理者 ローカル
スタッフ
工事請負業者
工事責任者
( 建設工事及び機材工事)
ボアコ県病院
現地サブコン 現地サブコン 現地サブコン 現地サブコン
保健省
JICA 事務所
日本大使館
図3-20 施工監理体制
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(1) 一般状況 1) 材料
セメント : ニカラグア国製の普通ポルトランドセメントを使っている。
骨 材 : 細骨材には山砂と岩石を砕いたものがあり、川砂は一般的に使われていない。粗骨材は玉砂利、火山岩の砕石がある。現地では、火山岩の砕石を主に用いることが多い。
骨材は構造用砕石及び砕砂(JIS A 5005)に適合していることなどが必要である。
練り混ぜ水: 建設予定地には上水がなく地下水を用いることになるので、事前にその水質試験を行っておく必要がある。水質試験は JIS A 5308 附属書 9(レディーミクストコンクリートの練混ぜに用いる水)に準じて行うことが考えられる。
混 和 剤: 計画スランプ値の 15cm に対してAE減水剤を用いる。
2) 練り混ぜ
建設予定地から最も近いコンクリートプラントはマナグア市にあり計画地からは車で約 90 分程度の距離である。マナグア市内のコンクリートプラントには、移動式簡易バッチャープラントがあることから、建設予定地に同様なプラントを設営することを計画する。
3) コンクリート打設
現地の生コン業者は、ポンプ車か定置式のポンプを保有している。本工事では、ポンプ車または一輪車による直打ちによる方法が考えられる。
型枠は柱、梁、床ともにxxを積板にしたものが一般的に用いられている。
4) 強度
現地調査結果によれば、コンクリート強度は18~24N/mm2(28日シリンダー強度)が使用されている。
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(2) 品質管理
コンクリートの品質管理は、ニカラグア国で一般的に行われている管理方法によるが、日本の建築工事標準仕様書のコンクリート工事(JASS5)の管理方法についても、必要に応じて取り入れるものとする。
標準養生された供試体強度と構造体強度とが相違することから、日本の JASS5 に準じて、設計基準強度+3N/mm2 を品質基準強度とする。調合強度は、試し練りにより設定する。28日管理によるテストピースの圧縮強度試験により、品質基準強度を超えていることを確認する。この際、X-R 管理図を作成する。
第三者的な試験機関が、計画地の近傍に存在しないので、現地に試験室を設けて標準養生可能な水槽を設営する。供試体の圧縮試験は、第三者機関で行うことを基本とし、試験頻度は打設日毎、かつ、150m3 に 1 回とする。現地の施工状況を考慮すると、打設頻度が多くなることが考えられため、50m3 を目安に第三者機関で行うことが考えられる。なお、ニカラグア国ではシリンダー・テストピースを用いており、試験規格は米国材料規格(ASTM)に従って品質管理されている。
フレッシュコンクリート中の塩化物量試験は、日本で一般的に行われている方法によって、 0.3kg/m3 以下であることを確認する。
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(1) 建築資機材
本協力対象事業は医療施設の建設であることから、資機材調達に当ってはその施設用途に合致するように、清潔さを保ち、清掃し易く、しかも堅牢な資機材の選定を行うものとする。なお資機材等の材料規格は、現地で一般的な ASTM に適合したものとするが、基準のないものについては JIS に準じて選択する。その調達方針は以下のとおりである。
1) 現地調達
施設竣工後の修繕、維持管理を容易にするために、使用する資機材は可能な限り現地調達とする。その際品質レベルや調達数量を確認し、工事工程等に悪影響のないように配慮する。なお、輸入品であっても同国市場で自由に入手し得る資機材(輸入手続きをとらなくても恒常的に市場に出回っているもの)は、現地製品として取り扱う。
建設予定地は、ボアコ市街(現ボアコ病院)から約4km にあり、首都マナグア市からは約 90km に位置している。資機材がボアコ市内で調達できない場合でも、マナグア市から2時間程度で陸送可能である。マナグア市から建設予定地までは、舗装された国道が整備されているが、建設予定地手前の約 600mは未舗装の道路である。しかしニカラグア国側負担による舗装工事の実施が確認されている。
2) 輸入調達
現地での入手が困難、要求品質を満たせない、供給量が不安定と判断される資機材については、日本または第三国からの輸入調達とする。この場合、工事請負業者は輸入・通関に関して、保健省と連絡を取りながら、諸手続が円滑に行われるようにする必要がある。
また、日本ないし第三国から調達した場合の“価格+梱包輸送費”と“現地調達による価格”とを比較して、前者の方がかなり安くなる場合には輸入調達とする。
ニカラグア国の主要貿易港は、太平洋側のコリント港である。日本とコリント港間にはコンテナー船が毎月2回運行されている。コリント港で輸入通関・荷捌後、マナグア市経由でボアコ市郊外の建設予定地へ陸送されることになる。運搬距離は約 250km、5時間程度なので1日で搬入できる。なお、医療機材は従前通り保健省倉庫にいったん保管された後、建設予定地へ陸送される。
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3) 調達計画
主要な建設資機材を、現地調達、第三国調達、及び日本調達に区分し、その選択理由を含めて表 3-34 に示す。
表3-34 主要建設資機材の調達計画
工事種別 | 材 料 | 現地調達 | 日本調達 | 第三国調達 | 備 考 |
鉄筋コンクリート工事 | ポルトランドセメント | ○ | 現地産品で問題なし。 | ||
細骨材 | ○ | 砕砂、山砂を一般的に使用。 | |||
粗骨材 | ○ | 砕石を一般的に使用。 | |||
異形鉄筋 | ○ | ASTEM規格の外国製品が現地調達 可能。 | |||
型枠 | ○ | 現地産品の品質が不均一なので 転用を期待できない。打放し用小幅板は現地調達可能。 | |||
鉄骨工事 | 鉄骨(小型で一般的 な鋼材) | ○ | 現地産はなく、大断面以外の製品 はブラジル、メキシコ産が流通。 | ||
鉄骨(正面側ガラス 庇下地鉄骨) | ○ | 品質と製作精度の面から日本x x。 | |||
組積工事 | 窓下PC水切、屋上PC xx | ○ | 現地製作にて対応可能。 | ||
コンクリートブロック | ○ | 現地産品で問題なし。 | |||
ベンチレーションブロック | ○ | 現地製作にて対応可能。 | |||
防水工事 | 屋根RC軒樋:瀝青ゴ ムシート塗膜防水 | ○ | 現地産品はないが、現地代理店を 通じて調達可能。 | ||
エポキシ塗膜防水(ガラ ス繊維補強材入り) | ○ | 同上 | |||
ポリサルファイド系シーリング材(取合部、外壁意匠目地、サッシュ廻り抱き 部) | ○ | 近隣諸国からの入手も困難なので日本調達。 | |||
シリコン・シーリング材(ガ ラス廻り、サッシュ本体用) | ○ | 現地産品はないが、現地代理店を 通じ調達可能。 | |||
左官工事 | セメントモルタル | ○ | 現地産品で問題なし。 | ||
タイル工事 | ホモジニアス磁器タイル (295x295、195x195、 95x95) | ○ | 現地産品はないが、近隣諸国からの輸入品が市場に流通。 | ||
石工事 | 石材 | ○ | 同上 | ||
テラゾーブロック 300×300 | ○ | 現地産品はあるが、サイズは300□ のみ。本磨き品はなく、貼った後水磨きで仕上げるのが一般的。 | |||
木工事 | 造作用木材 | ○ | 伐採が制限されている。一般的に防虫処理、乾燥管理がなく、使用 する場所を限定して採用。 | ||
屋根工事 | 屋根瓦 | ○ | 現地産品で問題なし。 |
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工事種別 | 材 料 | 現地調達 | 日本調達 | 第三国調達 | 備 考 |
金属工事 | 軽量天井下地(Tバ ー用) | ○ | 現地産品はないが、現地代理店を 通じて調達可能。 | ||
軽量天井下地(二重 張り用) | ○ | 耐久性、品質から日本調達。 | |||
化粧金物・手摺 | ○ | 現地 | で調達可能な材料で対応。 | ||
病室用カーテンレール | ○ | 現地製品には品質に問題あり。 | |||
アルミトップライト | ○ | 止水と耐風上の難点があり、品質 と機能から日本調達。 | |||
ルーフドレーン、ステンレス竪樋 ステンレス床ピット蓋、枠 アルミ製天井点検口、 ステンレスエキスパンション金 物、ピット内部タラップ ステンレスストレッチャーガード | ○ | 現地製品もなく、外国製品も調達困難で、品質と機能面から日本調達。 | |||
木製建具工事 | 扉、建具枠 | ○ | 現地産品で問題なし。 | ||
金属製建具工事 | アルミ製建具 | ○ | 現地産品はないが、現地代理店を 通じて調達可能。 | ||
鋼製建具 | ○ | 現地で調達可能。 | |||
鋼製建具(エアータイト) | ○ | 品質と機能上から日本調達。 | |||
X線遮蔽扉、窓 | ○ | 同上 | |||
建具金物 | ○ | 錠前はマスターキーシステムの機能性と耐久性から日本製品。ドアークローザー 等も日本製。 | |||
ガラス工事 | 普通ガラス 6mm | ○ | 現地製品はないが、スペイン製品が 流通。 | ||
ガラスブロック | ○ | 現地産品はないが、現地代理店を 通じて調達可能。 | |||
塗装工事 | 内部ペイント | ○ | 現地産品で問題なし。 | ||
外部ペイント | ○ | メインテナンスを考えて、現地産 品で計画。 | |||
内装工事 | 石膏ボード | ○ | 現地産品はないが、現地代理店を 通じて調達可能。 | ||
岩綿吸音板 | ○ | 同上 | |||
ロックウール | ○ | 同上 | |||
硅酸カルシウム板 | ○ | 同上 | |||
PVC天井廻り縁 | ○ | 現地生産品はなく、外国製品も入手困難。 |
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工事種別 | 材 料 | 現地調達 | 日本調達 | 第三国調達 | 備 考 |
仕上ユニット工事 | 流し台・医療用流し台 | ○ | オーダーメード品で現地調達可能。深底ステンレスシンクも現地代理店で調達 可能。 | ||
吊り戸棚 | ○ | 現地産品で問題なし。 | |||
木製造作家具 | ○ | 同上 | |||
室名札、案内板等、 ビル銘板 | ○ | ○ | 現地産品で問題なし。ビル銘板は 日本から調達。 | ||
可動間仕切壁 | ○ | 品質と性能から日本調達。 | |||
外構工事 | インターロッキングブロック(アト キン) | ○ | 現地生産品で問題なく、公道にも 使用されている。 | ||
縁石 | ○ | 現地産品で問題なし。 | |||
アルミ製旗竿 H12m | ○ | 現地産品はないが、現地代理店を 通じて調達可能。 | |||
亜鉛メッキグレーチンング | ○ | 現地産品で問題なし。 | |||
ステンレスグレーチング | ○ | 現地産品はない。品質と機能上か ら日本調達。 | |||
鋼製ゲート | ○ | 現地で調達可能。 | |||
ステンレス車止めポール | ○ | 品質から日本調達。 | |||
機 械 設 備工 事 | 空調機 | ○ | 現地代理店を通じて調達可能。 | ||
送排風機 | ○ | ○ | 現地代理店を通じて調達可能。低騒音型xxxは日本調達。 | ||
吹出口・吸込口 | ○ | 現地 | 代理店を通じて調達可能。 | ||
フィルター | ○ | 同上 | |||
ダクト材 | ○ | 同上 | |||
ポンプ | ○ | 同上 | |||
衛生器具 | ○ | ○ | 現地で調達可能。 但し、特殊なものは日本調達。 | ||
FRPパネルタンク | ○ | 品質と機能上から日本調達。 | |||
銅管 | ○ | ○ | 現地代理店を通じて調達可能。冷媒配管用被覆銅管は日本調達。 | ||
鋼管類 | ○ | ○ | 現地で調達可能。特殊なものは日本調達。 | ||
PVC管 | ○ | 現地代理店を通じて調達可能。 | |||
保温材 | ○ | 同上 | |||
消火機器 | ○ | 同上 | |||
厨房機器 | ○ | 同上 | |||
洗濯設備 | ○ | 同上 | |||
医療ガス | ○ | 同上 | |||
焼却炉 | ○ | 同上 |
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工事種別 | 材 料 | 現地調達 | 日本調達 | 第三国調達 | 備 考 |
電 気 設 備工 事 | 変圧器 | ○ | 現地代理店を通じて調達可能。 | ||
発電機 | ○ | 同上 | |||
盤類 | ○ | ○ | 現地代理店を通じて調達可能。 但し、特殊なものは日本調達。 | ||
電線管 | ○ | 現地代理店を通じて調達可能。 | |||
ボックス類 | ○ | 同上 | |||
電線 | ○ | ○ | 現地で調達可能。特殊なものは日 本調達。 | ||
ケーブル | ○ | ○ | 同上 | ||
照明器具 | ○ | ○ | 現地で調達可能。但し、クリーン 仕様など特殊なものは日本調達。 | ||
配線器具 | ○ | ○ | 現地代理店を通じて調達可能。 但し、医療用特殊器具は日本調達 | ||
電話機器 | ○ | 現地代理店を通じて調達可能 | |||
放送機器 | ○ | ○ | 現地代理店を通じて調達可能。 但し、特殊なものは日本調達。 | ||
自動火災報知器 | ○ | 品質と機能上から日本調達。 | |||
ナースコール機器 | ○ | 同上 | |||
避雷機器 | ○ | ○ | 特殊避雷器は日本調達。 |
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(2) 医療機材の調達
ニカラグア国においては、国際的に認知されるような品質を有する機材が製造されていないことなどから、本計画では基本的にニカラグア国製品の調達はしない。
既存施設では、1993 年の日本の無償資金協力案件によって調達された日本製機材の維持管理が、現在でもひと通り行われていることから、本計画での機材は、原則として日本から調達することとする。しかしながら、以下の機材については、アフターサービスに関して製造業者の代理店が重要になること、調達対象を日本製品に限定することで入札において競争が成立せず、xxな入札が確保できなくなることを避けるために、第三国製品の調達も考慮する。
表3-35 第三国製品の調達を検討すべき機材
計画番号 | 機材名 | 第三国製品 | 計画番号 | 機材名 | 第三国製品 | ||
メンテナンス | xxな入札 | メンテナンス | xxな入札 | ||||
1 | X 線一般撮影装置 | ○ | ○ | 33 | 手術灯、移動式 | ○ | ○ |
2 | 移動式 X 線撮影装置 | ○ | ○ | 34 | 麻酔器 | ○ | ○ |
3 | 超音波診断装置 | ○ | ○ | 39 | 光線治療器 | ○ | ○ |
4 | X 線小物器具セット | ○ | 40 | 保育器 | ○ | ○ | |
5 | フィルム現像機 | ○ | ○ | 42 | 卓上型蒸気滅菌器 | ○ | |
7 | 心電計 | ○ | ○ | 43 | 除細動装置 | ○ | ○ |
9 | 冷蔵庫 | ○ | 45 | インファントウォーマー | ○ | ○ | |
12 | ピペット振とう器 | ○ | 46 | 酸素ボックス | ○ | ||
13 | 水平振とう器 | ○ | 52 | 検診台 | ○ | ||
14 | 電子天秤 | ○ | 53 | 冷凍手術器 | ○ | ||
15 | 恒温水槽 | ○ | 54 | パルスオキシメーター | ○ | ○ | |
17 | フリーザー | ○ | 63 | ベッド(A) | ○ | ||
19 | スターラー | ○ | 64 | ベッド(B) | ○ | ||
20 | 血液保冷庫 | ○ | 65 | ベッド(C) | ○ | ||
22 | 高圧蒸気滅菌装置(A) | ○ | ○ | 66 | ベッド、小児用 | ○ | |
23 | 高圧蒸気滅菌装置(B) | ○ | ○ | 67 | 整形外科ベッド | ○ | |
25 | 患者監視装置 | ○ | ○ | 68 | 分娩台 | ○ | |
26 | 手洗装置、三人用 | ○ | ○ | 70 | 処置ベッド | ○ | |
27 | 手洗装置、二人用 | ○ | ○ | 80 | 床頭台 | ○ | |
31 | 電気メス | ○ | ○ | 81 | オーバーヘッドテーブル | ○ | |
32 | 手術灯、天吊 | ○ | ○ | 85 | ギブスカッター | ○ |
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(1) ソフトコンポーネント導入の背景
本計画において対象病院側は、病院施設および機材の運用・維持管理を適切に行うために、無償資金協力実施後、病院施設・医療機材の維持管理に対応できる院内メンテナンス部門の増員とニカラグア国内の代理店等と連携を図ることを計画している。
医療機材、施設のメンテナンススタッフはそれぞれ1名のみであるが、医療機材に関しては、当該病院で 10 年以上の経験者が、メンテナンスや修理作業を行っている。一方、施設に関しては、現状の病院の施設に特殊な設備機器がないことも1つの理由と考えられるが、系統だった日常点検や定期的なメンテナンスを行っておらず、故障した場合に修理を行うといった状況にある。
メンテナンス会社の CEMED(Centro de Mantenimiento de Equipos Medicos)がマナグアにあり、この会社が病院内で修理できない機器類の故障修繕等を担っているが、定期的なメンテナンスサービスのようなことは行っていない。したがって、新病院の維持管理についても、これまでと同様に病院内での対応が必要な状況である。
本計画により施設規模も大きくなり、既存の病院に比べ、特殊な機器も増えるため、安定した病院運営のためには、施設のメンテナンスは今までよりも重要視されなければならない。そのためには、現状の1名のスタッフだけでは、機能しないことは明白であり、また、スタッフの増員だけでは、施設の経営に負担をかけることにもなりかねないものと考えられる。
また、医療廃棄物の処理についても問題視されている。医療廃棄物を処理する先がなく、病院施設内にも焼却炉がないため、病院敷地内での埋設処理となっており、非常に危険な状況にある。これは、将来的にも環境汚染へとつながりかねない状況であると考えられる。
これらの問題のうちメンテナンスについては、病院側が、病院機能の一部として維持管理 部門の重要性を認識し、適切な維持管理体制を構築するとともに、各スタッフが自覚し、技 術能力の向上を図ることで改善が期待される。また、医療廃棄物処理についても、分別を基 本とした院内の廃棄物の収集・処理体制を構築するとともに、本計画で設置される焼却炉を 安全かつ有効に活用する能力を各スタッフが有することで改善が期待されものと判断される。
したがって、これらを目的としたソフトコンポーネントを実施し協力を行うものとし、維持管理部門において実現を期待される項目は以下のものが上げられる。
・ 施設のメンテナンススタッフの維持管理の重要性の認識および必要な技術レベルの向上
・ 日常および定期的なメンテナンスなど適切な維持管理の運用
・ 消耗品・交換部品の購入、機器更新および外部委託にかかる費用に関する予算計画の作成
・ 本計画により導入される焼却炉を活用した安全な医療廃棄物処理と分別収集体制の構築
(2) ソフトコンポーネントの目標
保健省、SILAIS ならびに対象病院に維持管理の重要性を認識させ、施設の適切な維持管理手法を定着させることにより、安定した病院運営を可能とすること。また、医療廃棄物処理体制を構築し、病院内および病院外にも危険のない安全な病院運営を可能とすることを目標とする。
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(3) 施設の維持管理
1) ソフトコンポーネントの内容
日本側は、邦人コンサルタントとして、以下の技術者3名を選任し国内作業にて、技術移転に必要な書類を整理し、代表として1名を現地に派遣し、病院側へ技術移転を行う。
1. 施設維持管理マネージメント技術者(1):空調設備、衛生設備、特殊設備対応
2. 施設維持管理マネージメント技術者(2):受変電設備、弱電設備対応
3. 医療廃棄物管理マネージメント技術者 :医療廃棄物収集システム対応
現地技術指導の実施に当たっては、施設施工の監理常駐者および施工者と連携し、邦人コンサルタントの不在期間も、国内からの指示などを行い、継続的に指導を実施することにより効率的な技術移転を図る。
現地指導が始まるまでに、病院側には、チーフエンジニア(予算計上権限を有する)、建築補修、電気設備技術者、空調・給排水設備技術者 、特殊設備技術者、廃棄物管理者といった役割をもつ人員が必要であり、病院側でこれらの人員を確保するよう要望する。
また、本計画においての自立発展性を確保するため、計画作成は参加型とし、ワークショップを行いながら計画や内容をまとめていく手法を取り入れる。
表3-36 活動内容と対象者
項 目 | 内 容 | 対象者 |
施設維持管理の技術習得 | ・ 維持管理の事例紹介 ・ 作業フローチャート、業務マニュアル、各種書類フォーマットの作成の指導 ・ 機器台帳・保守管理台帳作成の指導 ・ 交換部品発注・在庫管理手法の指導 | 院長 事務・管理部門代表 新規メンテナンススタッフ |
施設維持管理計画の作成 | ・ メンテナンス項目の設定、記録の整理などの指導 ・ 維持管理計画、年間維持管理予算計画作成の指導 ・ 翌年度の予算計画作成の指導 | 保健省 SILAIS 院長 事務・管理部門代表 新規メンテナンススタッフ |
医療廃棄物処理体制の構築 | ・ 有害な廃棄物、分別収集の事例紹介 ・ 対象病院内で発生する廃棄物を整理し、具体的な分別計画の作成に協力 ・ 焼却炉に関する情報を伝達し、廃棄物の焼却 計画をおよび維持管理計画案の作成指導 | 院長 事務・管理部門代表各診療部門代表 看護部門代表 新規メンテナンススタッフ |
※代表は1人とは限らず、数人の参加対象者とする場合もある。
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2) ソフトコンポーネントスケジュール
ソフトコンポーネントによる現地での技術指導は2回とする。
1回目:講義、マニュアル作成指導等
2回目:新設された施設、設備機器を活用した指導
表3-37 ソフトコンポーネントスケジュール(案)
月 項目 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
施設工事 | 着工 | 完成 | |||||||||||||
病院建設 | |||||||||||||||
ソフトコンポーネント (ニカラグア) | 1回目 | 2回目 | |||||||||||||
ソフトコンポーネントによる現地での技術指導は2回程度を想定しており、1回目には各責任者、維持管理担当者に対して、維持管理の方法や具体的な事例を紹介するとともに、新施設の内容や設備システムの維持管理上の留意点などについて説明し、維持管理について認識の深度化を図る。その後、ワークショップを実施し新施設に必要な維持管理方法を洗い出し、業務フォーマットや作業フローチャートを見直し、新施設に関する維持管理マニュアルの作成指導を行う。この時期に機器選定が終了、一部機器が現場に搬入されているため、これらの設備機器に対しても維持管理に必要な図書を作成指導する。
2回目は 1 回目の現地指導で作成された各種書類の作成状況および完成度の確認を行い、維持管理技術、管理計画体制および医療廃棄物処理についての最終指導を行う。また、維 持管理予算計画作成の最終指導を行う。
3) ソフトコンポーネントの成果品
① 維持管理マニュアル
業務分担、作業フローなど業務内容を整理したガイドラインを作成する。
② 機器台帳
各機器の調達、廃棄など対象病院の資産管理上、重要な書類として整理する。台帳に記載するデータは下記のものを予定する。
・設備・機器:設備・機器名称、型式、製造番号、メーカー名、同電話番号、同担当者
・代 理 店:代理店名、同電話番号、同ファックス番号、同担当者
・分 類:分類、管理番号、管理部署、設置場所、納入年月日、廃棄年月日
・保 守:年間保守契約の有無、設備の概要、用途、関連保守情報、交換部品、消耗品
③ 保守管理台帳
修理、点検を行うごとに故障日時、点検理由、故障原因、修理内容等を記録し、故障発生の原因を解析でき、故障防止に利用できるように整理する。
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④ 年間維持管理計画・予算計画
日常点検内容、定期点検の内容および回数などを年間のスケジュールとして作成し、交換部品および消耗品などにかかる費用を整理する。
⑤ 医療廃棄物収集処理マニュアル・焼却炉運用維持管理マニュアル
廃棄物の処理方法、分別方法、保管方法、処理方法などを整理し、安全な処理をするためのマニュアルを整理する。焼却処理を行う際の留意点を整理し、焼却炉の効率的な運用と焼却路からの有害ガスなどが発生しないよう安全な運転をするためのマニュアルを整理する。
4) 相手国実施機関の責務
本ソフトコンポーネントはニカラグア国側の自立発展性を確保するために行われる。したがって、各指導は可能な限りニカラグア国側の自発的な活動を促す手法をとる必要がある。よって、ニカラグア国側実施機関は本ソフトコンポーネントへの十分な理解と協力が必要となる。
具体的には、保健省、SILAIS、対象病院の各責任者による本協力の目標と実施要領への理解と配慮がまず必要である。また、最も重要な点はソフトコンポーネント実施のための要員の適切な配置が必須であり、従ってソフトコンポーネント実施前に、一定の技術レベルを持った施設維持管理技術者を数名、新雇用する必要がある。これらの技術者に対して日本側からソフトコンポーネントとして、技術指導・協力を行うことになる。またソフトコンポーネント実施期間中および完了以後も実施機関である保健省、SILAIS、対象病院の院長をはじめとする各責任者は対象病院責任管理者として、施設・医療機材の維持管理について継続的に指導・管理を実施することが要求される。
(4) 医療機材の維持管理
ボアコ病院には、10 年以上の機材維持管理に関する経験を有し医療機材の基本的な保守・修理を行うことができる技術者がいる。またこの技術者のレベルでは対応が困難な機材については、医療機材メンテナンス会社である CEMED の支援が得られる維持管理体制を有している。
ボアコ病院には、国際協力機構青年海外協力隊から臨床検査技師1名が 1999 年 12 月から約2年間派遣された。病院当局もその成果に満足していることから、本計画の維持管理に係る技術支援としては、無償資金協力スキームによるソフトコンポーネントよりも、技術協力期間のより長い青年海外協力隊からの派遣を希望していることが判明した。ニカラグア国側との協議を通じて、青年海外協力隊員の派遣要請を提出することになったので、本計画では医療機材の維持管理に関するソフトコンポーネントは実施しないこととする。
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本プロジェクトの E/N が締結された後の実施工程は、図 3-20 に示すとおりである。その業務内容は、コンサルタントによる詳細設計業務、入札業務、及び工事請負業者による工事とコンサルタントによる施工監理業務から構成される。
(1) 詳細設計業務
ニカラグア国保健省と日本国法人コンサルタント会社は、本プロジェクトの詳細設計(入札用図書類の作成)と施工監理に関するコンサルタント契約を締結し、日本国政府からその契約書の認証を受ける。この後、コンサルタントはニカラグア国保健省と協議の上、本基本設計調査報告書に基づき入札図書を作成し、ニカラグア国保健省の承認を得る。
詳細設計(入札図書作成)にかかる期間は、3.5 ヶ月と予想される。
(2) 入札業務
入札業務に係る期間は、3ヶ月と予想される。
(3) 工事請負業者による工事とコンサルタントによる施工監理業務
工事契約を締結した後、工事請負業者は工事に着手する。同時にコンサルタントは施工監理業務を実施する。
工事期間は 15 ヶ月と予想される。
なお、本プロジェクトは、規模・工期などを考慮して国債案件として実施されるが、2005 年度
(詳細設計)、2006 年度(入札、工事)に分けて実施する。
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現地調査
現地確認
(詳細設計:3.5ヶ月)
国内作業
(入札:3ヶ月)
国内作業
基礎工事
(工事:15ヶ月)
躯体工事
設備・内装工事
(機材調達)
送
据付・調整
輸
調達
製造・
(施設建設)
準備・仮設工事
施工
・ 調達
入札
札
入
詳細設計
15
14
13
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
業務
月
図3-21 業務実施工程
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ニカラグア国側で負担する主要事項は、以下のとおりである。
(1) 手続き関連
1) 本協力対象事業に関する一切の税金の免除
無償資金協力事業は免税が原則である。本計画に関連する日本法人、日本人、建設資材、機材等に対して課せられる各種税金について免税されるように、保健省が関係機関に対して必要な措置を講じることで合意されている。
免税は事前申請が原則であり、保健省を窓口として事前に書類を提出し、大蔵省が発行するレターにより免除される。
付加価値税の免税申請手続きの流れは、工事請負業者(申請者)→保健省→大蔵省→保健省→工事請負業者の順で、工事請負業者に免税許可書が発行される。
輸入関税の免税申請手続きの流れは、工事請負業者(申請者)→保健省→外務省→大蔵省
→工事請負業者の順である。
2) 本協力対象事業に関する建築許可に必要な許認可の申請及び取得。
3) 銀行取り極め(B/A)及び支払授権書(A/P)発行並びにそれらに伴う手数料の負担。
4) 輸入資機材の迅速な荷揚げ、免税措置、通関手続きの保証及び迅速な国内輸送の確保。
5) 認証された契約に基づく資機材の供給及び業務の遂行を図る日本人に対して、ニカラグア国への入国及び同国での滞在に必要な便宜供与。
6) 認証された契約に基づく資機材の供給及び業務の遂行を図る日本人に対して、ニカラグア国内での関税・各種税金の一切の免除。
7) 無償資金協力により建設された施設及び調達された機材の効果的な運用並びに維持管理を図るための予算措置。
(2) 関連工事
1) 協力対象敷地の造成・整地。
2) 協力対象敷地までの排水設備の引込み。
3) 協力対象敷地までの給水設備の引込み。
4) 協力対象敷地までの電気及び電話の引込み。
5) アクセス道路の舗装。
6) 協力対象敷地廻りの塀、又は柵の設置。
7) 一般家具・備品の購入。
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(3) 病院移転関連
1) 事前準備、広報活動。
2) 協力対象施設への一部の既存物品(家具・備品、厨房機器、洗濯機器、医療機材等)の移設、据付。
3) 患者の移送。
4) 新病院での職員実地訓練。
(4) その他
無償資金協力によって調達されるもの以外で必要となる費用の負担。
これに関連して、上記 の相手国側負担工事の実施スケジュールを表 3-38 に示す。
表3-38 ニカラグア国負担工事スケジュール
先方負担工事項目 | 2006(平18) | 2007(平19) | 2008( | 平20) | ||||||||||||||||||||||||||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |||
先方負担事業 | 関連工事等 | 1. 建設予定地の造成・整地 | 1. | |||||||||||||||||||||||||||||
2. 排水設備の整備 | 2. | |||||||||||||||||||||||||||||||
3. 給水設備の整備 | 3. | |||||||||||||||||||||||||||||||
4. 電気・電話の引き込み | 4. | |||||||||||||||||||||||||||||||
5. 道路舗装 | 5. | |||||||||||||||||||||||||||||||
6. 塀・柵の設置 | 6. | |||||||||||||||||||||||||||||||
7. 一般家具・備品の購入 | 7. | |||||||||||||||||||||||||||||||
病院移転計画 | 第1ステージ | 事前準備、広報 | 活動 | |||||||||||||||||||||||||||||
第2ステージ | 既存物品の移動 | |||||||||||||||||||||||||||||||
第3ステージ | 患者の移送 | |||||||||||||||||||||||||||||||
第4ステージ | 新病院での職員 | 実地訓練 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) 要員計画
現ボアコ病院は、総スタッフ数 216 人により病床数 82 床の総合病院として運営されている。保健省は、現在の医療サービスの回復と、111 床に増床する本建替え計画のため、下表の
ように、段階的な整備を行う計画である。なお、増員については 2007 年~2009 年に全国で 900 人(ポスト)の予算が財務省で承認されており、その 10%ぐらいをボアコ病院に優先的に配員する計画である。また、この増員計画とは別に、国連や EU 等の支援により遠隔地を含む全国への医療従事者の増・配員計画も進められており、ボアコ病院への増員により他への悪影響はないことを確認した。なお、医療従事者においては、現在全国的に失業者が多いこと、キューバへの留学生の帰国が 2006 年から開始されることなどにより、要員確保は十分可能であると判断できる。
表3-39 ボアコ病院要員数
2005 年 要員数 現状 | 2007 年 増員数 計画 | 2008 年 増員数 計画 | 2009 年 増員数 計画 | 2009 年 計画要員数 | |
管理職員 | 25 | 0 | 0 | 1 | 26 |
専門医と一般医 | 18 | 5 | 8 | 4 | 35 |
看護師 | 73 | 21 | 21 | 16 | 131 |
一般職員 | 97 | 9 | 10 | 7 | 123 |
維持管理者 | 2 | 8 | 1 | 0 | 11 |
合 計 | 215 | 43 | 40 | 28 | 326 |
出典:ヒアリングによる
近隣の第二次病院との比較の結果、ボアコ病院の計画要員数及び年間予算は表 3-40 のとおり、標準的であることを確認した。
表3-40 他県第二次病院との要員数比較
ボアコ病院 | グラナダ病院 | チョンタレス病院 | ||||||
病 | 床 | 数 | 111 | 床 | 139 | 床 | 173 | 床 |
医 | 師 | 35 人 3.17 床/医師 | 66 人 2.11 床/医師 | 42 人 4.12 床/医師 | ||||
看 | 護 | 士 | 131 人 0.85 床/看護士 | 168 人 0.83 床/看護士 | 136 人 1.27 床/看護士 | |||
職 | 員 | 数 | 326 人 2.93 人/床 | 440 人 3.17 人/床 | 400 人 2.31 人/床 | |||
年間予算 | 1,800 16 | 万C$ 万C$/床 | 2,700 19 | 万C$ 万C$/床 | 2,400 14 | 万C$ 万C$/床 |
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(2) 維持管理計画
1) 施設(建築、機械設備、電気設備)
事務・管理部門の中に施設の維持管理部門があり、その要員は1名のみである。現状では系統だった日常点検や定期的なメンテナンスが、十分に行えていない状況にある。現状の病院施設内には、特殊な機器がないため、このような状況下でも運用が可能となっていると考えられる。しかしながら、本計画施設においては、建築面では特別なメンテナンスを必要とするような仕上げ材料を使う予定はないものの、設備面では専門の知識が必要なシステムや機器が設置される。このため、専門技術をもった維持管理要員が必要となる。維持管理の体制としては、維持管理計画を作成および管理するメンテナンス部門の統括 者と、その下で本計画施設のメンテナンスに必要な知識をもった電気、空調および給排水
設備技術者を置くことが必要と考えられる。
また、医療廃棄物による環境汚染が出ないよう、廃棄物の分別収集を徹底し適切な処理を行う必要がある。本計画施設において設置される焼却炉は、医療廃棄物を処理することを目的に設置されるが、これを安全かつ有効に活用するためには、焼却ごみ選別の知識を持った要員も必要とされる。
したがって、継続的に本計画施設の病院機能を適切に発揮させるためのメンテナンスには、表 3-41 のような人員構成がのぞまれる。人数については、ソフトコンポーネント実施時に担当毎に1人を整えられるようにし、将来的には病院の運営時間内における交代要員や夜間の管理体制を考慮した人員を補充するよう要望する。
表3-41 施設の維持管理に必要な人員構成
名 称 | 人員 | 内 容 |
チーフエンジニア | 1名 | 施設全体の定期的なメンテナンス計画の作成と管理(機材含む)(予算計上の権限を持つ人員) |
建築補修 | 1名 | 木工、組立、塗装などの簡易な補修 |
電気設備技術者 | 1名 (3名) | 高圧受電トランスおよび自家発などの受変電設備の管理。照明器具などの交換、保守。 |
空調・給排水設備技術者 | 1名 (2名) | 空調機、送風機、フィルター、ポンプなどの単体機器類のメンテナンス業務。 |
特殊設備技術者 | 1名 | 浄化槽および浄水処理設備などのシステム設備のメンテナンス業務。 |
廃棄物管理者 | 1名 | 廃棄物の分別収集および焼却処理と回収処理の廃棄物の選 別。焼却炉の運転管理・保守 |
(○名)は将来的に望まれる数
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2) 医療機材
本計画によって調達される医療機材は、基本的にボアコ病院のメンテナンス室によって維持管理される。ただし、以下に示す 15 アイテムについては、保健省がメンテナンス会社の CEMED(Centro de Mantenimiento de Equipos Medicos)とメンテナンス契約を結ぶことによって、ボアコ病院は同社から定期的な保守点検や必要な修理などが受けられる。
医療機材のメンテナンス体制を表 3-42 に示す。
表3-42 医療機材の維持管理体制
保健省
インフラ技術開発局
(医療機材担当部署)
メンテナンスの依頼
メンテナンス室
(医療機材担当)
事務・管理部
病棟部
メンテナンス契約
契約内容についてCEMED 社
から病院に通知される
【計画機材】
(1)X 線一般撮影装置 (9) シリンジポンプ (2)移動式X 線撮影装置 (10)輸液ポンプ (3)超音波診断装置 (11)除細動装置 (4)X 線フィルム現像機 (12)麻酔器 (5)高圧蒸気滅菌器(A) (13)心電計 (6)高圧蒸気滅菌器(B) (14)電気メス (7)インファントウオーマー (15)保育器 (8)患者監視装置
右 15 アイテム以外の計画機材
CEMED
病院長
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現在のボアコ病院には機材のメンテナンススタッフが1名おり、医療機材のメンテナンスを行っている。しかし、本計画では医療機材のアイテム・数量が現有機材に比して飛躍的に増加するので、医療機材関連のメンテナンス業務を確立させる必要がある。現在主として医療機材のメンテナンスを担当しているスタッフの他に1名を増員して、2名にする計画である。さらにこの2名については、本計画での調達機材が搬入・据付られるまでに、ニカラグア国側負担で以下のような研修が計画されている。
・医療機材(部品・消耗品等)の維持管理システムの確立
日本の無償資金協力(1996-98 年)で建設されたグラナダ病院のメンテナンス部門では、「グラナダ県地域保健強化プロジェクト(2002 年8月~2004 年 11 月)」を通じて、医療機材の維持管理体制等に係る技術指導を受け、適切な機材管理が確立されている。そこで、医療機材のメンテナンス担当者がグラナダ病院で維持管理に関する研修を受けて技術レベルを向上させ、差し当たり機材が納入されるまでに機材台帳を確実に整理・管理できるようにする。この研修員受入れについては、グラナダ病院当局の了承が得られている。
・医療機材の保守管理、修理の強化
メンテナンススタッフ2名が、前述の CEMED で機材の保守管理及び修理に関する技術的研修を受ける計画があり、ボアコ病院と CEMED との間で協定書が既に締結されている。本計画で機材が納入されるまでに実施される予定である。
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3-5-1 協力対象事業の概算事業費
(1) 日本国負担経費
日本国の負担経費は次のとおりである。但し、この額は交換公文上の供与限度額を示すものではない。
表3-43 概算総事業費
(建築延べ床面積:約 5,740 ㎡)
約 1,382 百万円
費 目 | 概算事業費(百万円) | |||
施設 | 本棟 | 962 | 1,013 | 1,181 |
外構 | 51 | |||
家具・備品 | 0 | |||
機材 | 168 | |||
実施設計・施工監理 | 192 | |||
ソフトコンポーネント | 9 |
(2) ニカラグア国負担経費
ニカラグア国側負担経費は次のとおりである。
表3-44 ニカラグア国側負担経費
(US ドル)
工事費目 | 経 費 |
①建設予定地の造成・整地 | (造成・整地完了) |
②排水設備の整備 | 17,000 |
③給水設備の整備 | 19,600 |
④電気・電話の引き込み | 15,200 |
⑤道路舗装 | 336,200 |
⑥塀・柵の設置 | 109,800 |
⑦一般家具・備品の購入 | 82,000 |
⑧病院移転費用 | 2,200 |
合 計 | 582,000 (約 61 百万円) |
(3) 積算条件
①積算時点 平成 17 年5月(2005 年5月)
②為替交換レート 1US ドル=105.96 円
③施工期間 詳細設計、工事期間は業務実施工程に示したとおりである。
④その他 本計画は、日本国政府の無償資金協力の制度に従い、実施されるものとする。
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(1) 維持管理費
本計画施設が完成した後の年間維持管理費の試算結果を表 3-45 に示す。
表3-45 維持管理費の試算結果
(単位:コルドバ)
費 目 | 開設年度 | 2 年目以降 |
① 電気料金 | 1,814,400 | 1,814,400 |
② 電話料金 | 104,779 | 104,779 |
③ 燃料費 | 28,650 | 28,650 |
④ 水道料金 | 583,200 | 583,200 |
⑤ 医療ガス料金 | 334,690 | 334,690 |
⑥ LPガス料金 | 60,990 | 60,990 |
⑦ 建物維持費 | - | 220,000 |
小計 ①~⑦(施設維持費) | 2,926,709 | 3,146,709 |
⑧ 消耗品・試薬代 | 1,790,946 | 1,790,946 |
⑨ 交換部品代 | 618,059 | 618,059 |
小計 ⑧~⑨(機材維持費) | 2,409,005 | 2,409,005 |
計 ①~⑨ | 5,335,714 (34,682,141 円) | 5,555,714 (36,112,141 円) |
(交換レート:1C$=6.5 円)
①電気料金 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1,814,400 C$/年 本計画施設の契約電力は 300kW と想定される。使用電力は、平均して契約電力の 60%程
度と想定され 180kW となる。
また、料金単価はボアコ病院の 2004 年の電力使用量及び電気料金支払いの実績により、
2.8 C$/kWh と想定される。したがって、想定電気料金は下記のように算出される。
表3-46 電気料金
単価 (C$/kWh) | 使用量 (kW) | 時間 (h/日) | 日数 (日/月) | 月使用量 (kWh/月) | 月料金 (C$/月) | 年料金 (C$/年) |
2.8 | 180 | 10 | 30 | 54,000 | 151,200 | 1,814,400 |
②電話料金 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 104,779 C$/年 電話料金は、電話の使用頻度によるので、本計画施設での使用状況を下記のように想定
して算出する。
県内通話 : 3min/回×120 回/日県外通話 : 3min/回×5回/日国際通話 : 3min/回×1回/日
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回線使用料 259.94 C$/回線/月
国内通話料金(県内) | 0.390 | C$/min | |
国内通話料金(県外) | 1.299 | C$/min | |
国際通話料金 | 表3-47 電話料金 | 28.495 | C$/min |
電話料金 | 料金 (C$) | 回線数 | 通話時間 (min/回) | 回数 (回/日) | 日数 (日/月) | 月料金 (C$/月) | 年料金 (C$/年) |
回線使用料 | 259.940 | 10 | - | - | - | 2,599 | 31,193 |
県内 | 0.390 | - | 3 | 120 | 25 | 3,507 | 42,094 |
県外 | 1.299 | - | 3 | 5 | 25 | 487 | 5,846 |
国際 | 28.495 | - | 3 | 1 | 25 | 2,137 | 25,646 |
合計 | 8,731 | 104,779 |
③燃料費・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28,650 C$/年 現地での停電頻度実態は、計画停電による1ヶ月1回、1回当り5時間程度である。そ
こで、年間 60 時間の停電が発生するものと想定して、燃料費を算出する。なお、本計画での発電機容量は 150kVA である。
表3-48 発電機用と焼却炉用燃料費
単価 (C$/L) | 使用量 (L/h) | 時間数 (h/月) | 月使用量 (L/月) | 月料金 (C$/月) | 年料金 (C$/年) | |
発電機用焼却炉用 | 9.55 | 50 | 5 | 250 | 2,387.5 | 28,650 |
④水道料金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・583,200C$/年本計画施設における水の想定使用量は 90 ㎥/日と想定される。
また、料金単価はボアコ病院の 2004 年の水道使用量及び水道料金支払いの実績により、
18 C$/㎥と想定される。したがって、想定水道料金は下記のように算出される。
表3-49 水道料金
単価 (C$/㎥) | 使用量 (㎥/日) | 日数 (日/月) | 月使用量 (㎥/月) | 月料金 (C$/月) | 年料金 (C$/年) |
18 | 90 | 30 | 2,700 | 48,600 | 583,200 |
⑤医療ガス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・334,690C$/年 本計画施設における医療ガスは酸素と窒素であり、ボアコ病院の 2004 年のボンベ本数の
使用実績から、その使用量を想定し算出する。
表3-50 医療ガス料金
単価 (C$/本) | 本数 (本/年) | 年料金 (C$/年) | |
酸素 | 333 | 930 | 309,690 |
窒素 | 250 | 100 | 25,000 |
計 | - | - | 334,690 |
- 142 -
⑥LP ガス料金 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60,990C$/年 本計画施設におけるLPガスの使用量は、ボアコ病院の 2004 年のLPガスボンベ本数の
使用実績から、本計画施設における使用量を想定し算出する。
表3-51 LP ガス料金
単価 (C$/本) | 本数 (本/年) | 年料金 (C$/年) | |
厨房用 | 642 | 70 | 44,940 |
乾燥機用 | 25 | 16,050 | |
計 | - | - | 60,990 |
⑦建物維持費・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 220,000 C$/年
(2年目以降)本計画施設では外部・内部仕上げ用に、維持・管理が比較的容易な材料を選択する。外
部仕上げにおよびメンテナンスの容易なモルタル塗装仕上げとする。
内部仕上げについては、いずれも清掃程度ですむような維持費の安価な仕上げ材を計画する。
従って、建物の内外装、屋根防水補修、電気及び給排水・空調機器の修理部品・交換部品購入等に要する建物維持費としては、現時点で日本の事例の1/2 から1/3 程度と想定し、 40C$/㎡/年とする。
5,700 ㎡ × 40 C$/㎡/年 = 220,000 C$/年
⑧消耗品・試薬代・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1,790,946 C$/年医療機材に関する消耗品・試薬の維持管理費を下記に示す。
〔消耗品・試薬〕
(1)X 線一般撮影装置 | (スクリーン、X 線フィルム) | 5,000 | 件 | × | @ | 115 | = | 575,000 |
(2)移動式 X 線撮影装置 | (スクリーン、X 線フィルム) | 5,000 | 件 | × | @ | 115 | = | 575,000 |
(3)超音波診断装置 | (ゲル、記録紙) | 15,000 | 件 | × | @ | 45 | = | 675,000 |
(4)フィルム現像機 | (現像液、定着液) | 10,000 | 件 | × | @ | 120 | = | 1,200,000 |
(5)心電計 | (ペースト、記録紙) | 1,800 | 件 | × | @ | 280 | = | 504,000 |
(6)顕微鏡 | (オイル、ランプ) | 48,560 | 件 | × | @ | 5 | = | 242,800 |
(7)遠心機 | (チューブ) | 76,000 | 件 | × | @ | 5 | = | 380,000 |
(8)ヘマトクリット遠心機 | (チューブ) | 48,000 | 件 | × | @ | 8 | = | 384,000 |
(9)高圧蒸気滅菌装置(A) | (記録紙、インク) | 12 | ヶ月 | × | @ | 26,500 | = | 318,000 |
(10)高圧蒸気滅菌装置(B) | (記録紙、インク) | 12 | ヶ月 | × | @ | 26,500 | = | 318,000 |
(11)患者監視装置 | (電極、記録紙) | 3,000 | 術 | × | @ | 300 | = | 900,000 |
(12)手洗滅菌装置 3 人 | (フィルター、ランプ) | 1 | 台 | × | @ | 272,000 | = | 272,000 |
(13)手洗滅菌装置 2 人 | (フィルター、ランプ) | 1 | 台 | × | @ | 215,000 | = | 215,000 |
(14)麻酔器 | (吸着剤) | 3,000 | 術 | × | @ | 650 | = | 1,950,000 |
(15)光線治療器 | (アイマスク) | 3 | 台 | × | @ | 10,000 | = | 30,000 |
(16)保育器 | (フィルター) | 6 | 台 | × | @ | 64,000 | = | 384,000 |
(17)除細動装置 | (ゼリー、記録紙) | 625 | 件 | × | @ | 1,000 | = | 625,000 |
(18)インファントウォーマー | (プローブカバー) | 6 | 台 | × | @ | 30,000 | = | 180,000 |
(19)胎児心拍検出器 | (ゼリー) | 8,600 | 検体 | × | @ | 90 | = | 774,000 |
(20)冷凍手術器 | (N2O ボンベ) | 2,400 | 件 | × | @ | 100 | = | 240,000 |
- 143 -
(21)吸引器(小) | (カテーテル) | 8 台 | × | @ | 19,000 | = | 152,000 |
(22)吸引器(大) | (カテーテル) | 3,700 術 | × | @ | 100 | = | 370,000 |
(23)輸液ポンプ | (輸液カテーテル、成人) | 1,200 患者 | × | @ | 15 | = | 18,000 |
(輸液カテーテル、小児) | 600 患者 | × | @ | 15 | = | 9,000 | |
(24)シリンジポンプ | (シリンジ) | 460 患者 | × | @ | 30 | = | 13,800 |
(25)ネブライザー | (マウスピース、マスク) | 5 台 | × | @ | 10,000 | = | 50,000 |
_________________________________________
消耗品 小計 ¥11,354,600 (C$=6.34 円) C$1,790,946
⑨交換部品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・618,059 C$/年医療機材に関する交換部品の維持管理費を下記に示す。
〔交換部品〕
(1) X 線一般撮影装置※1 | (管球) | 1 | 台 | × | @ | 700,000 | = | 700,000 |
(2) 移動式 X 線撮影装置※2 | (管球) | 1 | 台 | × | @ | 400,000 | = | 400,000 |
(3) シャウカステン、大 | (蛍光灯) | 1 | 台 | × | @ | 20,000 | = | 20,000 |
(4) 心電計 | (患者ケーブル) | 1 | 台 | × | @ | 35,200 | = | 35,200 |
(5) 蒸留水製造装置 | (ヒーター) | 1 | 台 | × | @ | 25,200 | = | 25,200 |
(6) 高圧蒸気滅菌装置(A) | (フィルター等) | 1 | 台 | × | @ | 550,600 | = | 550,600 |
(7) 高圧蒸気滅菌装置(B) | (フィルター等) | 1 | 台 | × | @ | 550,600 | = | 550,600 |
(8) 患者監視装置 | (リード、プローブ) | 3 | 台 | × | @ | 49,000 | = | 147,000 |
(9) 無影灯、天吊、親 | (ランプ) | 3 | 台 | × | @ | 96,500 | = | 289,500 |
(10)無影灯、移動式 | (ランプ) | 3 | 台 | × | @ | 52,500 | = | 157,500 |
(11)光線治療器 | (ランプ) | 3 | 台 | × | @ | 8,000 | = | 24,000 |
(12) 保育器 | (プローブ) | 6 | 台 | × | @ | 33,000 | = | 198,000 |
(13) シャウカステン、小 | (蛍光灯) | 11 | 台 | × | @ | 5,000 | = | 55,000 |
(14) 卓上型蒸気滅菌器 | (ヒーター等) | 2 | 台 | × | @ | 25,500 | = | 51,000 |
(15) 除細動装置 | (ECG ケーブル) | 2 | 台 | × | @ | 15,800 | = | 31,600 |
(16)インファントウオーマ | (プローブ) | 6 | 台 | × | @ | 33,000 | = | 198,000 |
(17)パルスオキシメーター | (プローブ) | 2 | 台 | × | @ | 80,000 | = | 160,000 |
(18)診察灯 | (ランプ) | 16 | 台 | × | @ | 14,800 | = | 236,800 |
(19)ネブライザー | (チューブ等) | 5 | 台 | × | @ | 17,700 | = | 88,500 |
_________________________________________
交換部品 小計 ¥3,918,500 (C$=6.34 円) C$ 618,059
_________________________________________
計 ¥15,273,100
(C$=6.34 円) C$2,409,005
※1.X 線一般撮影装置の管球は 3 年に 1 度交換するものと仮定する。(¥2,100,000÷3=700,000)
※2.移動式X 線撮影装置の管球は 3 年に 1 度交換するものと仮定する。(¥1,200,000÷3=400,000)
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(2) 財務状況 1) 現状
表 3-52 はボアコ病院の予算内訳である。支出の中で特徴的な事項は、電気代等の光熱費に較べて水道代が相対的に大きい、2004 年の医薬品費が前年の3倍程に急上昇している、建物及び医療機材の維持管理費が少額でしかも年度ごとの変動幅が大きいなどがあげられる。
表3-52 ボアコ病院予算推移及び開院時の予測値
(単位:コルドバ)
注)完成後予測については次の条件で算出した。
*1: 2000-2004年の前年比率の平均値である110.5%を採用 *2: 2000-2004年の前年比率の平均値である102.1%を採用
*3: ヒアリングした各職員の給与により2009年の要員人数で試算 *4: 表3-45②電話料金の試算値
*5: 表3-45④水道料金の試算値 *6: 表3-45①電気料及び③燃料費の試算値合計
*7: 表3-45⑤医療ガス⑥LPガス⑦建物維持費の試算値合計 *8: 表3-45⑧消耗品・試薬代⑨交換部品代の試算値合計
*9: 2000-2004年の平均金額を採用 *10: 2002-2004年の平均金額を採用
*11: 2000-2004年の前年比率の平均値である105.7%を採用
出典:ボアコ病院収支表より作成
*1
項目 | 年 | 2000年 | 2001年 | 2002年 | 2003年 | 2004年 | 2008年 (開院時予測金額) | |
金額 | 金額 | 金額 | 金額 | 金額 | ||||
収入 | 保健省 | 前年比 | 8,039,539.01 | 8,644,194.42 | 8,912,447.04 | 11,089,123.85 | 11,868,138.72 | 17,694,232.35 |
107.52 | 103.10 | 124.42 | 107.03 | |||||
その他 | 前年比 | 776,971.47 | 785,681.59 | 839,376.50 | 784,327.94 | 838,583.47 | 1,674,011.44 | |
101.12 | 106.83 | 93.44 | 106.92 | |||||
収入計(A) | 前年比 | 8,816,510.48 | 9,429,876.01 | 9,751,823.54 | 11,873,451.79 | 12,706,722.19 | 19,368,243.79 | |
106.96 | 103.41 | 121.76 | 107.02 | |||||
支出 | 人件費 | (1) | 4,902,666.56 | 5,502,735.87 | 5,761,074.57 | 6,084,776.81 | 6,863,509.13 | 11,385,180.32 |
前年比 | 112.24 | 104.69 | 105.62 | 112.80 | ||||
(1)/(13) | 65.34% | 66.03% | 66.87% | 60.00% | 55.00% | 59.19% | ||
電話・FAX通信費 | (2) | 47,810.14 | 57,367.31 | 51,829.51 | 56,176.87 | 48,285.21 | 104,779.00 | |
前年比 | 119.99 | 90.35 | 108.39 | 85.95 | ||||
水道代 | (3) | 232,042.97 | 159,063.31 | 363,791.16 | 440,229.04 | 456,708.41 | 583,200.00 | |
前年比 | 68.55 | 228.71 | 121.01 | 103.74 | ||||
光熱費 | (4) | 473,528.15 | 562,511.59 | 553,324.63 | 654,064.75 | 781,643.05 | 1,843,050.00 | |
前年比 | 118.79 | 98.37 | 118.21 | 119.51 | ||||
その他建物維持費 | (5) | 0.00 | 1,221.56 | 9,720.00 | 30,591.35 | 0.00 | 615,680.00 | |
小 計 | (6) | 753,381.26 | 780,163.77 | 978,665.30 | 1,181,062.01 | 1,286,636.67 | 3,146,709.00 | |
前年比 | 103.55 | 125.44 | 120.68 | 108.94 | ||||
(6)/(13) | 10.04% | 9.36% | 11.36% | 11.65% | 10.31% | 16.36% | ||
医療機材維持管理費 (7) | 500,730.16 | 514,438.97 | 549,204.30 | 616,434.58 | 1,044,973.83 | 2,409,005.00 | ||
前年比 | 102.74 | 106.76 | 112.24 | 169.52 | ||||
医薬品費 | (8) | 500,730.16 | 504,177.08 | 489,204.30 | 1,356,276.02 | 2,261,599.32 | 1,022,397.00 | |
前年比 | 100.69 | 97.03 | 277.24 | 166.75 | ||||
小 計 | (9) | 1,001,460.32 | 1,018,616.05 | 1,038,408.60 | 1,972,710.60 | 3,306,573.15 | 3,431,402.00 | |
前年比 | 101.71 | 101.94 | 189.97 | 167.62 | ||||
(9)/(13) | 13.35% | 12.22% | 12.05% | 19.45% | 26.50% | 17.84% | ||
車輌維持管理費 | (10) | 2,600.00 | 8,480.00 | 16,472.66 | 26,093.09 | 17,789.84 | 20,118.00 | |
前年比 | 326.15 | 194.25 | 158.40 | 68.18 | ||||
その他 | (11) | 843,198.53 | 1,023,070.04 | 821,109.66 | 876,211.56 | 1,003,568.19 | 1,252,699.30 | |
前年比 | 121.33 | 80.26 | 106.71 | 114.53 | ||||
小 計 | (12) | 845,798.53 | 1,031,550.04 | 837,582.32 | 902,304.65 | 1,021,358.03 | 1,272,817.30 | |
前年比 | 121.96 | 81.20 | 107.73 | 113.19 | ||||
(12)/(13) | 11.27% | 12.38% | 9.72% | 8.90% | 8.19% | 6.62% | ||
支出計(B) | (13) | 7,503,306.67 | 8,333,065.73 | 8,615,730.79 | 10,140,854.07 | 12,478,076.98 | 19,236,108.62 | |
前年比 | 111.06 | 103.39 | 117.70 | 123.05 | ||||
収支バランス (A)-(B) | 1,313,203.81 | 1,096,810.28 | 1,136,092.75 | 1,732,597.72 | 228,645.21 | 132,135.17 | ||
前年比 | 83.52 | 103.58 | 152.50 | 13.20 |
*2
*3
*4
*5
*6
*7
*8
*9
*10
*11
- 145 -
2) 財務状況と維持管理費
本協力対象事業完成後(2008 年)の維持管理費は、毎年 5,555,714C$と試算されるが、その内訳は施設維持費が 1,286,637C$、機材維持費が 3,306,573C$である。この数値は、前述の表 3-45 にて試算した維持管理費を用いて、表 3-52 の予算推移から注釈付き条件に則って、開院時の収支予測を行ったものである。
有料病床が 6 床から 10 床になる(1.67 倍)こと、対象地域の人口増(1.1 倍)の予測から診療収入の増加が見込まれ、2008 年の開院時は 132,135.17C$(約 86 万円)の余剰金が期待できる。さらには道路整備による患者増(1999-2000 年の道路整備時には4倍増)が見込まれ、新たに加入する社会保険制度による診療収入の増加も見込まれることから、施設・機材の維持管理に支障をきたすようなことにはならないものと判断される。
- 146 -
1) 本計画の実施機関である保健省はマナグア市にあり、プロジェクトサイトはボアコ市にあることなどから、本プロジェクトを円滑に推進するために、保健省、保健省の地方出先機関であるボアコ SILAIS、及びボアコ病院関係者を含むメンバーから構成されるプロジェクト実施委員会を設立し、トップダウンによる効率的なプロジェクト運営体制を構築する。
2) 本計画施設の新築工事に先立って、ニカラグア国側工事として建設予定地の造成・整地、及びインフラ設備の整備、アクセス道路の舗装が行われるが、新築建物の着工時期に支障をきたさないように、日本側としてもその工事内容・期間等について事前に検討し、必要に応じてニカラグア国側と協議し、調整する。
3) 本計画は老朽化した既存病院の移転・新設であり、新病院への入院患者の移動や引き続き使用予定の現有機材の移設などに際しては、現病院での診療活動を出来るだけ長く維持しつつ、かつ新病院竣工後早期に開院できるようにしなければならない。そのためには、ニカラグア国側関係者が、一般住民・患者への広報活動を含む新病院移転計画を立案し、全ての関係者に対して、その計画内容を事前に十分周知徹底させておく必要がある。
4) 本プロジェクト終了後の施設及び機材の円滑かつ有効な活用を図るためには、施設・機材のメンテナンスを含む運営・維持管理予算の確保が不可欠である。
- 147 -
4-1 プロジェクトの効果
(1) 期待される直接効果
本プロジェクトの実施に伴い下記のような直接効果が期待される。
① 下位レベル医療施設からのレファラル患者数の増加
ボアコ病院における施設設備及び医療機材の老朽化等により、病院本来の機能が低下していることから、現在下位レベルの医療施設から直接マナグア等へ搬送されているレファラル患者が、本案件実施後はボアコ病院へ搬送されることにより、下位レベル医療施設からのレファラル患者数(6,919 件/年)が増加する。
② 外来患者数、入院患者数、手術件数の増加
レファラル体制およびボアコ病院のサービスが改善することに伴い、外来患者数
(20,519 件/年)、入院患者数(22,953 件/年)、手術件数(3,262 件/年)が増加する。
③ 実践的な研修活動の実施
現在のところボアコ病院や第一次医療施設関係者に対する各種研修事業が、研修設備の不十分なボアコ SILAIS 事務所で実施されている。本計画施設の管理棟の中に研修室が設置されることから、ボアコ病院の診療設備も活用しながら、より実践的な研修活動が円滑に実施できるようになる。
④ ソフトコンポーネントの実施
保健省、SILAIS ならびに対象病院に維持管理の重要性を認識させ、施設の適切な維持管理手法を定着させることにより、安定した病院運営を可能とする。また、医療廃棄物処理体制を構築し、病院内及び病院外にも危険のない安全な病院運営を可能とする。
(2) 期待される間接効果
本件プロジェクトの実施に伴い下記のような間接効果が期待される。
① 施設環境の整備による患者サービス内容の改善や診療費収入の増加
病床数の増加、手術室の充実、検査用諸室・機材の整備などによって、患者の病状に応じた適切な医療サービスの実施が可能となり、同時に病院運営の効率化および患者から徴収する診療費収入の増加が見込まれ、病院の財政的自立性を現在より高めることができる。
- 149 -
② ニカラグア国における第二次医療施設整備のモデル病院
本プロジェクトによりボアコ病院が、第二次医療施設として適正に機能するように改善され、当該地域のレファラル体制が整備強化される。また、今後その他の SILAIS での第二次医療施設を整備する際のモデルケースとすることができる。
(3) 成果指標の策定
本プロジェクトの目標達成を示す成果指標として、ボアコ病院における下位レベル医療施設からのレファラル患者を含む受診者数の増加とする。その他の成果指標としては、入院患者数の増加、手術件数の増加を用いることとする。(詳細については、別添資料の事業事前計画表(基本設計時)を参照のこと)
- 150 -
本プロジェクトによって建設される病院施設が、前述の直接的・間接的効果を発揮するのに不可欠な、円滑かつ効果的に運営されるためには、さらに以下の点について改善・整備される必要がある。
(1) 本協力対象事業によって新築される施設に関して、適切な運営および維持管理に必要な予算の確保、医療スタッフ等への十分なトレーニングの実施などによって、施設・機材が良好な状態で継続的に使用できるようにしておく必要がある。
(2) 現在のところ、必ずしも十分に発揮されていないボアコ県内のレファラル機能を強化するために、ボアコ SILAIS の管轄下にある下位医療機関との協力・協調体制を確立して、予防医療も含めた地域医療サービスの向上に結びつける必要がある。
(3) 医療機材の突発的な故障に備えての修理費についても、妥当な金額を予算措置しておくことによって迅速な対処が可能となり、医療サービスの低下を最小限に止めることができる。さらに将来の機材更新が円滑にできるように、主要機材の耐用年数・経年劣化などを考慮 の上で、機材購入のための積立金などを計画しておく必要がある。
(4) 新病院の健全な経営による自立的発展を目指すためにも、適切な財務・資金計画の立案や収支状況の正確な把握が実行され、その結果が着実に病院運営に反映される必要がある。なお診療費の設定に当たっては、住民の所得状況や診療サービスの内容などをベースとするが、その際貧困層に対する配慮も重要である。
(5) ボアコ病院施設の維持管理技術の確立のために、ソフトコンポーネントを活用した短期専門家派遣による技術移転が計画されている。したがって、新築されるボアコ病院の建築・機械設備・電気設備分野などに係る維持管理要員が、この短期専門家の派遣時期までに確保されている必要がある。
(6) 本計画施設が完成した後の病院移転は、ニカラグア国側負担事業であるが、新病院での診療活動に支障をきたさないように、事前に綿密な移転計画を作成し、確実に実行されなければならない。
- 151 -
本プロジェクトを我が国の無償資金協力によって事業実施することについては、以下の事項などから、その妥当性を有するものと判断できる。
(1) 裨益対象
本協力対象施設はボアコ市郊外のトリニダット地区に移転新築される医療施設であることから、直接的な裨益対象はボアコ県の住民(約 17 万人)となる。また同病院は、ボアコ県及び隣接地域内での唯一の第二次医療施設でもあることから、同病院の診療対象圏内に居住する約 25 万人の住民も、間接的な恩恵を得ることができる。
(2) プロジェクト目的の整合性
研修機能をも併せ持ったボアコ病院の施設・機材を整備することにより、同県内でのトッ プレファラル病院に相応しい医療サービス内容が提供できるようになる。さらにボアコ病院の整備は、「国家保健5ヵ年計画」(2005~2009 年)に示されている“ニカラグア国内の保健医療サービスの確立に重要となる7県病院の中でも優先順位の高い施設”とも整合している。
(3) 我が国の援助政策
我が国の対ニカラグア国別援助計画(平成 14 年 10 月)によれば、援助重点分野のひとつに「保健・医療」があげられており、その中で施設及び機材の整備、並びにその維持管理能力の強化が重点課題とされている。本プロジェクトの実施によって、ボアコ県の保健・医療事情が改善され、同国の貧困緩和・経済成長による民政の安定化へつなげられるとすれば、我が国の援助方針にも合致するものである。
(4) 自立発展性の確保
ボアコ及びグラナダ SILAIS を対象地域として、2005 年後半から実施予定の日本の「思春期リプロダクティブヘルスプロジェクト」とも関連して、本計画に対するニカラグア国側のオーナーシップは高い。本プロジェクトを円滑に推進するために、保健省・ボアコ SILAIS・ ボアコ病院などの幹部から構成されるプロジェクト委員会の設立が合意されている。さらに、ボアコ病院は保健省直轄の国立病院であり、本計画施設の病院建物と医療機材の運営・維持 管理に必要な予算措置も確約されている。
(5) 施設改善の必要性
現状のボアコ病院は、ハリケーン被害を受けた後での応急措置として、病院へ改造された施設であるため、主要部門の配置状況や床面積分布などを含めて、第二次医療施設としての不備な面が多い。加えて厳しい気象条件等により建物も老朽化している。このため病院の運営面でも、診療活動が非効率になっているほか、医療機材についても耐用年数を超えたものが多く、使用可能な機材数の不足も著しい有様である。このような状況から、本プロジェクトによって病院施設を新築し改善することの必要性は非常に高い。
- 152 -
本プロジェクトの実施によって、本計画病院はボアコ SILAIS で唯一の第二次医療機関として、地域住民のニーズに合致したより適切な医療サービスを提供できるようになる。同時にボアコ県内の医療従事者に対する研修機能も整備されることから、県内医療施設における診療レベルの向上にも寄与することから、本プロジェクトに対して我が国の無償資金協力を実施することの妥当性が十分確認される。
また、本プロジェクトの運営・維持管理についても、相手国側によって、必要な要員・予算の準備されることが本件調査を通じて確認されていることから、この点についても問題ないと考えられる。
さらに、前述(4-2課題・提言)の諸点が改善・整備されれば、本プロジェクトの実施をより円滑かつ効果的に推進し得ると思料される。
- 153 -
1. 調査団員・氏名
2. 調査行程
3. 関係者(面会者)リスト
4. 討議議事録(M/D)
5. 事業事前計画表(基本設計時)
6. 参考資料/入手資料リスト
<基本設計調査時> 2005 年4月 10 日 ~ 5月6日
No. | 氏 | 名 | 担当分野 | 所 | 属 | 先 | |
1 | 池田 | 則宏 | 総括 | 独立行政法人国際協力機構無償資金協力部 第3グループチーム長 | |||
2 | 向山 | ゆみ | 技術参与 | 厚生労働省国立国際医療センター国際医療協力局派遣協力第一課 | |||
3 | 吉野 | 賢哉 | 計画管理 | 独立行政法人国際協力機構無償資金協力部 第3グループ保健医療チーム | |||
4 | 井川 | 正博 | 業務主任/建築計画 | 株式会社日本設計 | |||
5 | 富永 | 直樹 | 建築・設備設計 | 株式会社日本設計 | |||
6 | 鈴木 | 誠 | 機材計画 | ㈱フジタプランニング | |||
7 | 松岡 | 昭雄 | 施工計画/積算 | 株式会社日本設計 | |||
8 | 杉田 | 雅子 | 調達計画/積算 | ㈱フジタプランニング | |||
9 | 山川 | 清利 | 通訳 | 株式会社日本設計 | |||
10 | 染川 | 信行 | 設備計画〔補佐団員〕 | 株式会社日本設計 |
<基本設計調査概要説明時> 2005 年9月4日 ~ 9月 13 日
No. | 氏 | 名 | 担当分野 | 所 | 属 | 先 | |
1 | 山田 | 章彦 | 総括 | 独立行政法人国際協力機構 ニカラグア駐在員事務所 主席駐在員 | |||
2 | 向山 | ゆみ | 技術参与 | 厚生労働省国立国際医療センター国際医療協力局派遣協力第一課 外科医師 | |||
3 | 井川 | 正博 | 業務主任/建築計画 | 株式会社日本設計 | |||
4 | 鈴木 | 誠 | 機材計画 | ㈱フジタプランニング | |||
5 | 山川 | 清利 | 通訳 | 株式会社日本設計 | |||
6 | 富永 | 直樹 | 建築・設備設計 〔補佐団員〕 | 株式会社日本設計 |
基本設計調査日程
官ベース団員 | コンサル団員 | |||||||||
総 括 | 技術参与 | 計画管理 | 業務主任/ 建築計画 | 建築・ 設備設計 | 通訳 (西語) | 機材計画 | 機材調達 計画/積算 | 施工計画/積算 | 設備設計 (補佐) | |
1 | 4月 10 日(日) | 成田 → ヒューストン経由 → マナグア | ||||||||
2 | 11 日(月) | JICA 事務所表敬・打合せ、外務省表敬 日本大使館表敬 | ||||||||
3 | 12 日(火) | 保健省表敬 ボアコ県病院視察、建設予定地視察 | ||||||||
4 | 13 日(水) | グラナダ病院視察 | 成田→ マナグア | |||||||
5 | 14 日(木) | アスンシオン病院視察、パパヤル保健所(C/S)視察 機材計画、調達計画はボアコ県病院にて現状機材の調査 | ||||||||
6 | 15 日(金) | 保健省協議 | ||||||||
7 | 16 日(土) | ロベルト・カルデロン病院調査 | ||||||||
8 | 17 日(日) | サン・ファン→ マナグア | 団内協議、資料整理 | |||||||
9 | 18 日(月) | ボアコ県病院、ボアコ保険局、ボアコ市協議 | ||||||||
10 | 19 日(火) | 保健省協議(ミニッツ案等)、私立メトロポリタン病院視察 | 成田→マナグア | |||||||
11 | 20 日(水) | ミニッツ署名、日本大使館・JICA 事務所報告 | 現地委託見積依頼 | |||||||
12 | 21 日(木) | マナグア発 → ヒューストン着 | ボアコ県病院、ボアコ保険局協議 ボアコ県病院現況調査 | |||||||
13 | 22 日(金) | ヒューストン発 → | 保健省協議 | ボアコ市インフラ調査ボアコ県病院現況調査 機材調達計画はマナグア市にて調査 | ||||||
14 | 23 日(土) | → 成田着 | 団内協議、資料整理 | |||||||
15 | 24 日(日) | 団内協議、資料整理 | ||||||||
16 | 25 日(月) | 保健省協議 | ボアコ市インフラ調査ボアコ県病院現況調査 機材調達計画はマナグア市にて調査 | |||||||
17 | 26 日(火) | 保健省協議 | ボアコ市インフラ調査ボアコ県病院現況調査 機材調達計画はマナグア市にて調査 | |||||||
18 | 27 日(水) | 保健省協議 | ボアコ市インフラ調査ボアコ県病院現況調査 機材調達計画はマナグア市にて調査 | |||||||
19 | 28 日(木) | 保健省、県病院、保険局テクニカル・メモ打合せ (医療事情、建築計画) | グラナダ病院視察 | |||||||
20 | 29 日(金) | 保健省、県病院、保険局 テクニカル・メモ打合せ(機材、設備)マナグア市インフラ調査 | ||||||||
21 | 30 日(土) | 団内協議、資料整理 建築/設備設計と施工計画はマナグア市にて資材調査 | ||||||||
22 | 5月 1 日(日) | 団内協議、資料整理 | ||||||||
23 | 2 日(月) | 団内協議、資料整理 | ||||||||
24 | 3 日(火) | 日本大使館報告 JICA 事務所報告 テクニカル・メモ署名 | マナグア市機材調査 | マナグア市インフラ調査 | ||||||
25 | 4 日(水) | マナグア →ヒューストン | ||||||||
26 | 5 日(木) | ヒューストン → | ||||||||
27 | 6 日(金) | → 成田 |
基本設計調査概要説明日程
日順 | 月/日 | 曜日 | 日 程 |
1 | 9/4 | 日 | 調査団員 成田発 → ヒューストン → マナグア着 |
2 | 9/5 | 月 | JICA 事務所表敬・打合せ、日本大使館表敬、保健省表敬・打合せ |
3 | 9/6 | 火 | 保健省で協議(基本設計概要書の説明) |
4 | 9/7 | 水 | 保健省で協議(施設計画、機材計画の詳細説明、運営維持管理計画) |
5 | 9/8 | 木 | 保健省で協議(予算措置、要員計画、ミニッツ案) |
6 | 9/9 | 金 | ミニッツ署名、JICA 事務所・日本大使館報告 |
7 | 9/10 | 土 | 建築資機材・医療機材事情等の現況確認調査他 |
8 | 9/11 | 日 | マナグア発 → ヒューストン着 |
9 | 9/12 | 月 | ヒューストン発 → |
10 | 9/13 | 火 | → 成田着 |
ニカラグア国関係者
1. Ministerio de Salud(保健省)
Lic. Margarita Gurdián López : Ministera de Salud(保健大臣) Dr. Douglas Lópee Fernandez : Asesor de Hospital(病院顧問) Dr. Felix Ruiz : Director Inversion(投資課課長)
Dr. Sergio Osorno : Director Infraestructura(インフラ課課長) Dr. Alvaro Alvarado : Director Infraestructura(インフラ課課長) Sra. Margarita Gurdian : Departamento de Infraestructura(インフラ課) Ing. Hector Navarrette : Departamento de Planificación(計画課)
Dr. Eliseo Arauz : Departamento de Planificación(計画課)
Dra. Edda Failma Quiroz : Dirección de Nacional Hospital(国立病院部門) Ing. Alexander Ugga : Dirección de Tecnico(技術部門)
Sr. Carlos Hermogenes Bonilla : Asesoria Legal (法律顧問)
2. Ministerio de Relaciones Exteriores(外務省)
Sr. Juan Marcos Garcia : Director General(アジア・アフリカ局長)
Sr. Alejandro Maltez : Asesor Cooperación Financiera No Reembolsable de Japón
(日本国無償資金協力担当顧問)
3. Boaco SILAIS(ボアコ保健事務所)
Dr. Armando Incer : Director(保健局長)
Dr. Mario Icaza E : Sub Director(副保健局長)
4. Hospital de Boaco(ボアコ県病院)
Dr. Pedroz Sanchez W. : Director(院長)
5. Hospital de Granada(グラナダ県病院)
Dra. Yelba Logo U : Directora(院長)
6. Amed Campos Corea C/S(パパヤル保健所)
Dr. Horancho Alfredo Moreno : Medico General(一般医) Dr. Elvira Castilla E : Medico General(一般医)
7. Hospital de Chontales(チョンタレス病院)
Dr. Janet Gonzalez : Sub-Director(副院長)
日本国関係者
8. 在ニカラグア日本大使館
加賀美 充洋 :大使
渡辺 直人 :参事官
大宮 和仁 :二等書記官
9. JICA ニカラグア駐在員事務所
山田 章彦 :首席駐在員
加藤 憲一 :駐在員
田口 本光 :開発計画専門家
Sra. Elisabeth Hernandez :現地職員
<基本設計調査時>
1. 案件名 |
ニカラグア共和国 ボアコ病院建設計画 |
2. 要請の背景(協力の必要性・位置付け) |
保健セクターに関するニカラグア国の状況は、中米諸国の中でも乳児死亡率(32/1,000 出生)や妊産婦死亡率(120/100,000 出生)等の保健指標が高く、周辺国のホンジュラス(32/1,000 出生、 110/100,000 出生)やコスタリカ(9/1,000 出生、29/100,000 出生)と比較しても医療水準が低い状態にあり、今後とも保健医療分野における一層の改善が必要とされている。ニカラグア国では、 2003 年に策定された国家開発計画(2003~28 年)のなかで、「医療、教育等のサービス向上」や「弱者保護強化」を掲げている。これを受けて保健省においては、国家保健計画(2004~15 年)を策定し、「保健医療サービスへのアクセス拡大・質の改善」や「大西洋側地域における保健改革」を進め ている。 ニカラグア国では全国を 17 の保健行政地域に分割し、それぞれの地域に保健省の出先機関として保健局(SILAIS 事務所)が設置されている。これは地方分権化による地域レベルでの保健医療政策を円滑に実施するための制度(地域統合保健サービスシステム:SILAIS Sistemas Locales de Atencion Integral de Salud)であり、国民に公平で効率的な保健医療サービスを提供することを目的に、疾病の予防と治療の包括化を図ることによって、保健医療分野の改革を推進している。 保健省では、中期的な取り組みとして国家保健5ヶ年計画を策定し、早急に整備等が必要な第二次医療施設として7病院を指定しているが、この中にボアコ病院も含まれている。これら7県の共通点は、いずれの病院も老朽化が著しく進んでいることである。特に、ボアコ病院は、その医療サービス対象地域がボアコ県内のみでなく、大西洋側地域の他県の住民(道路事情や地理的観点からボアコへのアクセスが容易な地域)も対象としていることから、保健省では、整備が必要な7病院のうちボアコ病院をもっとも優先度の高い病院として位置づけている。 現在のボアコ病院は、首都マナグアから北東に約 90km のボアコ市にあり、同県にある第一次医療施設(保健センター:7箇所、保健ポスト:27 箇所)の最終レファラル病院として位置づけられている国立の第二次医療施設である。同病院は 1916 年に設立されたが、1988 年にハリケーン「フアナ」により破壊されたことから、ボアコ市内にあるエネルギー公社の倉庫と事務所を応急措置として病院へ改修し医療活動を続け、今日に至っている。このような経緯から、建物そのものが病院として建設されたものではないことから、ボアコ病院は適正、且つ十分な医療サービスを提供することが困難な状況にあり、安全面、衛生面での不具合が生じている。 我が国はこれまでに、本計画と類似した「グラナダ病院建設計画」(150 床、延床約 7,500 ㎡;1998年竣工)」等の医療施設建設、医療機材供与などの無償資金協力や、技術協力の「グラナダ地域保健強化プロジェクト」(2000 年~2004 年)を実施しており、同国の医療事情の改善を継続的に支援して来た。このような背景のなか、ニカラグア国政府は日本国政府に対して同病院の施設・機材の整備を目的とする無償資金協力を要請し、これを受け本基本設計調査が実施されることとなった。 |
3. プロジェクト全体計画概要 |
(1) プロジェクト全体計画の目標 ボアコ病院において保健医療サービスが改善される 《裨益対象の範囲及び規模について》 ニカラグア国ボアコ市住民(約 17 万人)とその近隣地域住民(約 25 万人) (2) プロジェクト全体計画の成果施設/機材が整備・調達される (3) プロジェクト全体計画の主要活動 ア 施設を整備する/機材を調達するイ 技術訓練を実施する ウ 上記施設・設備を使用して医療活動を実施する (4) 投入(インプット) ア 日本側(=本案件):無償資金協力 13.82 億円 (連携技術協力プロジェクト:ニカラグア国思春期リプロダクティブ・ヘルス 強化プロジェクト) イ 相手国側 (ア) 必要な人員 (イ) 施設・機材の運営・維持管理に係る経費 (5) 実施体制 実施機関:ボアコ病院 主管官庁:ニカラグア国保健省 |
4. 無償資金協力案件の内容 |
(1) サイト ニカラグア国ボアコ県ボアコ市 (2) 概要 ① ボアコ病院の新設(外来/中央診療棟、病棟、管理棟、サービス棟、機械棟) ② 上記新設施設運営に必要かつ、移設使用の困難な既存機材の更新および数量不足機材の補充 ③ ボアコ病院を対象に維持管理システム、医療廃棄物処理システムに関する技術指導 (3) 相手国側負担事項 ① 建設予定地の造成・整地 ② 排水設備の整備 ③ 給水設備の整備 ④ 電気・電話の引き込み ⑤ 道路舗装 ⑥ 本計画病院への移転 ⑦ その他(塀・柵・ブラインド・一般家具等) |
(4) 概算事業費 概算事業費:14.43 億円(無償資金協力 13.82 億円、ニカラグア国側負担 約 0.61 億円) (5) 工期 詳細設計・入札期間を含め約 21.5 ヶ月(予定) (6) 貧困、ジェンダー、環境及び社会面の配慮 検査系や感染系等の特殊排水は中和・滅菌槽にて適切な処理を行う。 |
5. 外部要因リスク |
経済政策に変動がない。想定を超える自然災害が発生しない。 |
6. 過去の類似案件からの教訓の活用 |
特になし |
7. プロジェクト全体計画の事後評価に係る提案 |
(1) プロジェクト全体計画の目標達成を示す成果指標 ボアコ病院における施設設備及び医療機材の老朽化等により、病院本来の機能が低下していることから、現在下位レベルの医療施設から直接マナグア等へ搬送されているレファラル患者が、本案件実施後はボアコ病院へ搬送される。また、レファラル体制およびボアコ病院のサービスが改善することに伴い、外来患者数、入院患者数、手術件数が増加する。 *手術件数には中絶手術および帝王切開手術を含む。 (2) その他の成果指標 なし (3) 評価のタイミング 施設完工および機材据付完了以降(2008 年以降) |
項 目 | 2004 年(実施前) | 2008 年(実施後) |
下位レベル医療施設からのレファレル 患者数の増加 | 6,919 件/年 | 増加 |
外来(専門・救急)患者数の増加 | 20,519 件/年 | 増加 |
入院患者数の増加 | 22,953 件/年 | 増加 |
手術件数の増加 * | 3,262 件/年 | 増加 |
番号 | 名 称 | 形態 | オリジナル /コピー | 言語 | 発行機関(収集先) | 発行日 |
保健省関連、共通資料 | ||||||
1 | Estragegia Reforzada de Crecimiento Económico y reducción de pobreza | 印刷 | オリジナル | 西語 | ニカラグア政府 (保健省) | 07/2001 |
2 | National Development Plan Proposal - Summary | 印刷 CD | コピー | 英語 西語 | ニカラグア政府 (保健省) | 2001 |
3 | Política Nacional de Salud 2004-2015 | 印刷 CD | オリジナル | 西語 | 保健省(保健省) | 05/2004 |
4 | Plan Nacional de Salud 2004-2015 | 印刷 CD | オリジナル | 西語 | 保健省(保健省) | 09/2004 |
5 | Plan Quinquenal de Salud 2005-2009 | CD | コピー | 西語 | 保健省(保健省) | 05/2005 |
6 | Normativa de los Servicios Diferenciados (有償サービス規定) | 印刷 | オリジナル | 西語 | 保健省(保健省) | 1995 |
7 | Indicadores Básicos de Salud | 印刷 | オリジナル | 西語 | 保健省(保健省) | 2004 |
8 | Guias de Diseno Hospitalario para America Latina | 印刷 | コピー | 西語 | 保健省(保健省) | 1991 |
9 | Indicadores Básicos de Salud | 印刷 | オリジナル | 西語 | 保健省(保健省) | 2002、2003 |
10 | Gestión y Manejo de Desechos Sólidos Hospitalarios | CD | オリジナル | 西語 | 保健省(保健省) | 1998 |
11 | Evaluacion Ambiental de Emplazamieto de Infraestructura de Salud | 印刷 | コピー | 西語 | 保健省(保健省) | |
12 | Histograma de Certificacion Ambiental del Sitio | 印刷 | コピー | 西語 | 保健省(保健省) | |
13 | Numero de Camas Segun Hospitales y Centros de Salud con Camas del Pais Nicaragua 2004 | 印刷 | コピー | 西語 | 保健省(保健省) | 2004 |
14 | Consultas Medicas por SILAIS, Segun Tipo de Establecimiento de salud Nicaragua ano 2004 | 印刷 | コピー | 西語 | 保健省(保健省) | 2004 |
15 | Sitios donde INETER Hizo Investigaciones o Reconocimientos de Deslizamientos | 印刷 | コピー | 西語 | 保健省(保健省) | 2005/4/26 |
ボアコ病院関連 | ||||||
16 | Compromiso de Gestión entre MINSA Central / SILAIS Boaco y Hospital Jose Nieborowsky | 印刷 | コピー | 西語 | 保健省(ボアコ病院) | 01/2005 |
17 | Informe Annual de Morbilidad por Egresos Hospital Jose Nieborowski | 印刷 | コピー | 西語 | 保健省(ボアコ病院) | 2000~2004 |
18 | 医療廃棄物データ CD ソフト稼動不可 | CD | オリジナル | 西語 | 保健省(保健省) | 確認必要 使用不可 |
19 | ボアコ病院 水道・電気・電話・燃料他 年間使用量および年間料金データ | 印刷 | コピー | 西語 | ボアコ病院 | |
気象関連 | ||||||
20 | 10010_geologico_periodos 地質データ | Data File | オリジナル | 西語 | ニカラグア 国土地理院 | |
21 | 10011_edafologico 地質データ | Data File | オリジナル | 西語 | ニカラグア 国土地理院 | |
22 | 10012_suelos_prof 地質データ | Data File | オリジナル | 西語 | ニカラグア 国土地理院 | |
23 | Seismo-near-boaco 地震発生時テキストデータ | Data File | オリジナル | 西語 | ニカラグア 国土地理院 | 確認必要 |
24 | ハリケーン データ 発生日のみ | 印刷 | コピー | 西語 | 保健省(保健省) | データ不足 |
25 | 地震 データ 発生日および規模 | 印刷 | コピー | 西語 | 保健省(保健省) | データ不足 |
26 | 気象データ CD CD 読込不可 | CD | オリジナル | 西語 | ニカラグア 国土地理院 | 確認必要 使用不可 |
27 | 気象データ MUIMUI | 印刷 | オリジナル | 西語 | ニカラグア 国土地理院 |
番号 | 名 称 | 形態 | オリジナル /コピー | 言語 | 発行機関(収集先) | 発行日 |
28 | 同上 FD FD 読込 不明 | FD | オリジナル | 西語 | ニカラグア 国土地理院 | 確認必要 使用不可 |
29 | 気象データ MANAGUA | 印刷 | オリジナル | 西語 | ニカラグア 国土地理院 | |
30 | 同上 FD FD 読込 不明 | FD | オリジナル | 西語 | ニカラグア 国土地理院 | 確認必要 使用不可 |
31 | mapa-boaco 地震発生地点マップデータ | Data File | オリジナル | 西語 | ニカラグア 国土地理院 | |
インフラ関連 | ||||||
32 | 計画地周辺 既存井戸に関する 報告書 | 印刷 | コピー | 西語 | ENACAL | |
33 | 計画地周辺 別井戸水質データ | 印刷 | コピー | 西語 | ENACAL | |
34 | 計画地周辺 電気配線ルートおよび 報告書 | 印刷 | コピー | 西語 | UNION FENOSSA | |
35 | 排水に関する基準 令 3395 | 印刷 | コピー | 西語 | ボアコ環境局 |