の許諾を受け、その対価として、同製品の日本における純売上高の a%のロイヤルティを支払っていました。
輸入貨物に係る関税評価上の取扱い等に関する照会
商標譲渡売買契約に基づき、買手が売手でもある商標権譲渡人へ支払う対価の関税評価上の取扱いについて
照 会 | ||
照会内容等 | ① 輸入貨物の品名 | 履物(税表分類:第 64 類) |
② 照会の趣旨 | 商標譲渡売買契約に基づき、買手が商標権譲渡人へ支払う対価が輸入貨物の課税価格に算入されるか否かについて照会するものです。 | |
③ 取引の概要及び関税評価に関する照会 者の見解とその理由 | 別紙1のとおり。 | |
④ 関係する法令条項等 | 関税定率法第4条第1項 | |
⑤ 添付書類 | 照会の趣旨及びその理由等の照会事項に関する参考資料 |
回 答 | |||
回答年月日 | 平成 28 年 4 月 20 日 | 回答者 | 大阪税関業務部首席関税評価官 |
回答内容 | 別紙2のとおり。 ただし、次のことを申し添えます。 (1) 回答内容は、あくまで照会に係る事実関係を前提としたものであり、具体的な事例において異なる事実がある場合や新たな事実が生じた場合には、回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。 (2) 回答内容は、税関としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありませんのでご留意ください。 |
(別紙1)
1.取引形態図
商標譲渡売買契約
売買契約
輸入者・買手
B社
(本邦)
貨物代金
輸入貨物、仕入書
輸出者・売手
S社
(X国)
商標権譲渡の対価
2.取引の概要
(1)買手(輸入者)であるB社(以下「買手」という。)は、特殊関係のないX国の輸出者であるS社(以下「売手」という。)と履物の売買契約を締結し、売手が製造した履物を輸入しています。当該輸入貨物には、売手が保有する商標が付されています。
(2)買手は、以前は売手とライセンス契約を締結し、これに基づき商標権者である売手から
① 製品の日本での製造及び販売を目的とした商標の独占的使用の権利
② 製品の日本への独占的輸入の権利
の許諾を受け、その対価として、同製品の日本における純売上高の a%のロイヤルティを支払っていました。
(3)今般、買手は、売手と商標譲渡売買契約(以下「譲渡契約」という。)を締結し、商標権譲渡の対価を支払うこととなりましたので、当該譲渡契約締結後は、上記(2)のロイヤルティの支払いはありません。また、当該対価の支払後に、本商標権は買手へ移転し、売手は本商標に関するいかなる権利も保有しないものとされました。
(4)買手は、引き続き売手から当該商標が付された履物を輸入します。
3.関税評価に対する照会者の見解
買手は、譲渡契約によって商標権者である売手から本邦における商標権を購入したことにより、本邦市場における一切の商標権者としての権利を有しており、売手に対して、当該商標の使用の対価は一切支払っていません。したがって、関税定率法基本通達 4-13(4)の場合には該当せず、本件商標譲渡に係る対価は、輸入貨物の課税価格に算入する必要はないと考えます。
(別紙2)
【回答内容】
商標譲渡売買契約に基づき、買手が売手でもある商標権譲渡人へ支払う対価については、以下の理由のとおり、商標権譲渡の対価と確認できることから、法第4条第1項本文規定の現実支払価格を構成せず、また、法第4条第1項各号のいずれの規定にも該当しないことから、輸入貨物の課税価格に算入されません。
【理由】
1.関係法令等
関税定率法(以下「法」という。)第4条第1項本文において、輸入貨物の課税標準となる価格(以下「課税価格」という。)は、当該輸入貨物に係る輸入取引がされた場合において、当該輸入取引に関し買手により売手に対し又は売手のために、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格に、その含まれていない限度において運賃等の額を加えた価格とすると規定されています。
上記「運賃等の額」として、同項第4号において、当該輸入貨物に係る特許権、意匠権、商標権その他これらに類するもの(当該輸入貨物を本邦において複製する権利を除く。)で政令で定めるものの使用に伴う対価で、当該輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみて当該輸入貨物の輸入取引をするために買手により直接または間接に支払われるものは課税価格に算入するとされています。
2.検討
(1)輸入取引の認定について
本件取引において、輸入者は、輸出者との間で注文書(P/O)を作成し、輸入貨物の品名、数量、価格、納期、貿易条件(FOB)等を取り決め、P/Oの内容に基づいて輸出者から輸入者にインボイスが発行されています。
そして、輸入者が提出した輸入申告書及び海外送金依頼書から、これらの書類に基づいて輸入者が輸入申告を行い、輸出者に貨物代金を支払っていることが確認できます。
よって、本邦に拠点を有する輸入者が貨物を本邦に到着させることを目的として、輸出者と売買を行い、実際に当該貨物を本邦に到着させていることから、輸入者と輸出者の間の売買が法第4条第1項に規定する「輸入取引」となり、輸入者が買手、輸出者が売手であると認められます。
(2)商標権譲渡の対価の支払いについて
商標権譲渡の対価は、買手と売手との間で締結された「商標譲渡売買契約」(以下「譲渡契約」という。)に基づき支払われています。
当該譲渡契約によれば、買手が上記対価を支払後、商標権の所有者としての地位は、売手から買手に移転するとされています。そして、買手から提出された資料より、商標権が買手に移転していることが確認できます。
また、当該譲渡契約においては、買手は本邦市場における一切の商標権者としての権利を有する
ことになり、売手に対して、以後、商標権の使用に伴う対価を支払うことはないとされています。よって、当該対価は、譲渡契約に基づく商標権譲渡の対価として支払われたものであり、商標権
の使用に伴う対価として支払っているのではないと認められます。
上記のとおり、買手は、商標権譲渡人でもある売手に対し商標権譲渡の対価を支払いますが、当該商標権譲渡の対価は、輸入貨物の売買契約とは関連がない譲渡契約に基づき商標権を買手に移転させるために買手が譲渡人へ支払うものであり、輸入取引に関して輸入貨物につき売手に対して又は売手のために支払われるものではないことから、当該対価は法第4条第1項本文規定の現実支払価格を構成しません。
また、買手が支払う当該対価は、法第4条第1項第4号に規定する「当該輸入貨物に係る特許権、意匠権、商標権その他これらに類するもの(当該輸入貨物を本邦において複製する権利を除く。)で政令で定めるものの使用に伴う対価」には該当しません。
なお、商標権譲渡の対価は、法第4条第1項第1号に規定する「輸入港までの運賃等」、同項第
2号に規定する「手数料又は費用」、同項第3号に規定する「物品又は役務に要する費用」及び同項第5号に規定する「売手帰属収益」にも該当しません。
3.結論
以上のことから、商標譲渡売買契約に基づき、買手が売手でもある商標権譲渡人へ支払う対価については、商標権譲渡の対価と確認できることから、法第4条第1項本文規定の現実支払価格を構成せず、また、法第4条第1項各号のいずれの規定にも該当しないことから、輸入貨物の課税価格に算入されません。