企 業 名 株式会社タイメック 所 在 地 岐阜県関市武芸川町八幡 7 番地の1 代 表 者 棚橋 雄二 事業内 容 工作機械、設備機械等の板金加工環境関連機器の開発、製造、販売人工大理石製品の開発、製造、販売 資 本 金 6,200 万円 設 立 1979 年 4 月 19 日 第三者評価機関 株式会社 格付投資情報センター評価レポート:https://www.r-i.co.jp/rating/esg/index.html
2024 年 5 月 31 日
株式会社タイメックとの
ポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結について
岐阜信用金庫(理事長 xx xx)は、持続可能な社会への貢献を共に実現するため、株式会社タイメック(代表取締役 xx xx)と、「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の契約を締結いたしましたのでお知らせします。
岐阜信用金庫は、引き続き、地域金融機関としての責任を果たし、ポジティブ・インパクト・ファイナンスの普及と持続可能な社会を実現するために、お客さまの目標にあわせたサポートを行い、ポジティブな社会的、環境的、経済的なインパクトの実現に積極的に取り組
んでいきます。
記
【契約内容】
実 行 日 | 2024 年 5 月 31 日 |
融 資 金 額 | 250 百万円 |
期 間 | 10 年 |
資 金 使 途 | 事業資金 |
【企業概要】
企 業 名 | 株式会社タイメック |
所 在 地 | xxxxxxxxxxx 0 xxx0 |
代 表 者 | xx xx |
事業x x | 工作機械、設備機械等の板金加工環境関連機器の開発、製造、販売 人工大理石製品の開発、製造、販売 |
資 本 金 | 6,200 万円 |
設 立 | 1979 年 4 月 19 日 |
第三者評価機関 | 株式会社 格付投資情報センター |
以 上
株式会社タイメック
ポジティブインパクトファイナンス評価書
発行日:2024 年 5 月 31 日
発行者:岐阜信用金庫 ソリューション営業部
岐阜信用金庫は、株式会社タイメック(以下、「タイメック」)に対してポジティブインパクトファイナンス(以下、「PIF」)を実施するにあたって、同社の事業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト
(ポジティブインパクトおよびネガティブインパクト)を分析・評価した。この分析・評価は、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した PIF 原則および PIF 実施ガイド(モデル・フレームワーク)、ESG 金融ハイレベル・パネルにおいてポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、岐阜信用金庫が開発した評価体系に基
づいている。
目次
1.企業情報
企業名 | 株式会社タイメック |
本社所在地 | xxxxxxxxxxx 0 xxx 0 |
代表者 | xx xx |
資本金 | 6,200 万円(資本準備金を含む) |
売上高 | 1,195 百万円(2023 年 10 月期) |
設立 | 1979 年 4 月 |
事業内容 | 工作機械、設備機械等の板金加工 |
環境関連機器の開発、製造、販売 | |
人工大理石製品の開発、製造、販売 | |
従業員数 | 76 名(2024 年 4 月) |
資格・認証 | ISO9002 認証、ISO9001 認証 |
1969 年 | xx板金として創業開始 |
1979 年 | 東海機工株式会社として法人設立 |
1992 年 | 株式会社タイメックに社名変更、本社工場をxxxxxxxxxに新 設移転 |
1994 年 | 中国人研修生受け入れの為、岐阜国際同友金属協同組合設立 |
1999 年 | ISO9002 認証取得(1994 年度版) |
2001 年 | 東京営業所設立 |
2002 年 | ISO9001 認証取得(2000 年度版) |
上海xx克金属製品有限公司設立、各務原営業所 建材事業部設 立 | |
2005 年 | 東京営業所移転、建材事業部移転、現代表取締役が代表取締役へ 就任 |
2006 年 | 新組立工場増設 |
2009 年 | 自社ブランド『エコラシリーズ』開発 |
2010 年 | FJK グループ設立 |
2013 年 | 各務原工場(総合研究所・工場)設立 |
①社是
②経営ビジョン
総務課
経理課
営業部
業務部
製造課
業務課
営業課
建材事業部
③組織体制
金属事業部
代表取締役
機械・塗装・組立工程
溶接工程
前工程
生産管理課
品質保証課
CAD課
製造部
営業課
同社は岐阜県関市に本社を構える金属加工業であり、レーザー切断、タレパン加工、曲げ加工、溶接、機械加工、組立て(アッセンブリー)までの一貫対応体制により高品質な金属加工技術を工作機械、土木建設機械、特注建築金物など多様な産業に提供し、サプライチェーンを支えている。また、近年では自社ブランド建材製品の展開に進出し、ユニバーサルデザインに特化した製品提供により地域の快適な生活の実現に貢献している。
同社は創業以来の中核事業である金属加工事業による工作機械、建設機械サプライチェーンの 高度化、安定化への貢献に加え、近年では金属加工事業で培ってきた加工技術、生産管理技術を活用した独自の建材事業を展開し、地域の住みよい生活環境の実現に貢献している。
① 金属加工事業
同社の祖業であり、現在までの中核事業である。
創業当初より得意とする溶接加工に加え、事業展開とあわせて加工範囲を拡大し、現在では CAD/CAM データの製作、材料切断、曲げ加工、溶接加工、機械加工、塗装加工、アッセンブリー組立加工までの一貫対応体制を整備し、高品質な工作機械部品、建設機械部品等を低コスト、短納期にて提供している。
<同社本社工場の概要>
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同社では本社工場にて金属加工事業を展開しており、広大な敷地内に各加工工程を効率的に配置することで機械部品製造に関する高品質、低コスト、短納期一貫提供を実現している。
|
同社では大型製品の加工を得意としており、過去にはトンネル型枠やビルの外周養生枠などの加工実績を有している。また、特注品への対応を得意としており、加工依頼に対し柔軟に対応 し、各産業のものづくりに貢献している。 |
<同社における一貫対応体制のもとでの加工工程の概要イメージ>
設計、 CAD/CAM データ作成 | 顧客図面より部品の作図・展開を行い、レーザー加工機、各種 NC データの作成、切断材の形状、寸法指示を通じて製品形状を高度に再現して いる。 | |
材料切断加工 | ファイバーレーザー加工機、 CO2 レーザー加工機を整備し、素材の厚みに応じて使い分け品質と効率を両立させており、夜間無人加工にて高生 産性を実現している。 | |
曲げ加工 | ブレーキプレスを用いて鋼板、アルミ板、ステンレス板の曲げ加工に対応し、桁の高い深曲げや R 曲加工を含む複合加工、丸棒曲げ加工、自社製作金型による特殊曲げにも対 応している。 |
溶接加工 | 社内「溶接技能検定」、社外 「溶接技能競技会」への参加等を通じた熟練工の育成を通じ、薄物から厚物まで多様な形状に対応した高品質溶 接を実現している。 | |
機械加工 | 5軸加工機をはじめとする先端設備を整備し、溶接加工後の面精度、穴精度を確保している。 | |
塗装加工 | 社内に塗装専用工場を整備し、主に下塗り(プライマー)をベースに、上塗り、黒染め、メッキ、焼付塗装等を内製化している。 | |
アッセンブリー組立加工 | アッセンブリー組立専用工場にて大型装置の組立まで対応し、パーツ製造から装置としての組立までの一貫対応を実 現している。 |
同社創業以来の中核技術である溶接加工について、社内外の技能検定、競技会も活用しながら日々技術向上に努めており、大型物件にも対応した高精度な溶接加工技術は同社の強みの一つとなっている。 |
同社における一貫対応体制の中でも、溶接工程についてはロボット溶接も使用しながら熟練技術による高精度な溶接技術を強みとしており、社内外の溶接技能検定、溶接技能競技会を活用しながらの熟練技術の向上に日々努めている。
② 建材事業
オリジナル、ユニバーサルデザインに特化したキッチンカウンター・洗面カウンターの専門メーカーとして、金属加工事業を通じて培ってきた加工技術を活用しながら自社ブランド建材の開発、製造、提供を実施している。
アクリル系人工大理石、ポリエステル系人工大理石を用いた同社オリジナル建材は、あらゆる状況において機能性を持ち、またシンプルで美しく高いデザインでありながらも耐久性に優れ、汚れや傷がつ きにくく、メンテナンスが簡単で長期間使用でき、高品質で美しく、快適な生活を実現するために必要な要素を網羅した製品として、顧客ニーズを確認しながら常に製品品質やデザインの改善に取り組んでいる。
<アクリル系人工大理石とは> アクリル系人工大理石は、メタクリル酸メチル(MMA)を原料として作られるソリッド材を用いた穴開け、接着、カット、曲げ等の二次加工が容易で施工性にも優れた建築材料である。 天然石の風合いを持ち、美しい意匠性・優れた耐熱性や耐衝撃性、メンテナンス性により、キ ッチンの天板、洗面カウンター、玄関収納など多くの用途で使われている。 |
<ポリエステル系人工大理石とは> ポリエステル系人工大理石は、ポリエステル樹脂と無機化合物を原料として作られる人工大理石である。 耐熱性、耐衝撃性はアクリル系人工大理石より若干劣りますが、コスト面で優れているため、 洗面カウンター、玄関収納等によく使用されている。 |
<同社オリジナルブランドにおける建材製品の一例>
同社では誰もが暮らしやすい住宅の実現のため、これからの住空間のスタンダードを目指し洗面カウンターを中心とした建材製品の開発、提供に取り組んでいる。 | |
同社ユニバーサルデザイン洗面は障害を持つ人にも、持たない人にも優しい機能とデザインを採用しており、大げさな手すり等はついていないが利用者の立場に立って使いやすさを極めた形の製品となっている。 |
同社建材事業ではオリジナル、ユニバーサルデザインに特化したキッチンカウンター・洗面カウンターの専門メーカーとして、金属加工事業を通じて培ってきた加工技術を活用しながら「エコラシリーズ」をはじめとする自社ブランド建材の開発、製造、提供を実施している。
1 個単位からの受注への対応や、オーダーメイド対応などxx、個別への細やかな対応力も同社建材事業の特徴となっている。
カウンター1 個単位からのオーダーメイド対応を可能とする同社建材製品は、全国のコンビニエンスストア・ファーストフード店、マンション、保育施設等へ納入されている。 |
近年では 3D プリンターの活用により原寸大から縮小した模型を活用することにより、顧客イメージをより具現化した提案を可能としており、またポリエステル系人工大理石製建材を製造する際に利用する「型」の製造事業者とのイメージの共通化を図り、製品精度の向上、製造効率の向上を図ってい る。
また、同社ではキッチンカウンター・洗面カウンターの製造に特化しているが、水回り設備一式として導入したいという顧客ニーズへ応えていくため地域内同業他社と FJK グループを設立し、他社製浴槽等とセットでの提案に取り組むことで多様なニーズへの対応力を強化している。
2.サステナビリティ
同社では工作機械分野、建設機械分野を主力とし、創業以来金属加工技術を磨き上げている。顧客図面を基とした CAD/CAM データの製作、材料切断、曲げ加工、溶接加工、機械加工、塗装加工、アッセンブリー組立加工までの一貫対応体制にて高品質な機械部品を低コスト、短納期にて提供している。
また、近年では金属加工技術を活用しながら建材部品の開発、提供にも取り組んでおり、ユニバーサルデザインの自社ブランド建材の提供を通じて暮らしやすい社会の実現に貢献している。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
【CAD データ製作からアッセンブリーまでの一貫生産体制のもとでの高品質金属加工の提供】
・一貫生産体制のもとで高品質な工作機械部品、建設機械部品を低コスト、短納期で提供し、工作機械サプライチェーン、建設機械サプライチェーンの高度化、安定化に貢献している。
・CAD データ、CAM データの製作においては原材料の歩留まり、各加工工程の効率を考慮した設計にて素材ロス、作業ロスを最小化している。
・材料切断加工では薄板~厚板に対応したレーザー加工機の活用により多様な素材厚の加工を実現し、夜間無人運転により高生産性を実現している。
・曲げ加工では鋼板、アルミ板、ステンレス板に対応し、極小物から 4m までの長尺ワーク加工を実現している。桁の高い深曲げや R 曲加工を含む複合加工、丸棒曲げ加工等に対応しているほ か、社内製作の簡易金型による特殊曲げにも対応している。
・同社が特に得意とする溶接加工では、社内で熟練工を育成し薄物溶接から厚物溶接まで幅広く高品質な溶接を可能としている。
・より高精度な製品製造に向け、面・穴精度の必要となる切削加工、旋削加工環境を整備し、溶接物などひずみの出るワークや、製缶物等ビビりのでるワークの加工を得意としている。
・塗装加工では社内塗装環境にて主に下塗り(プライマー)をベースに、上塗り、黒染め、メッキ、焼付塗装等を内製化している。
・金属加工事業工場敷地内にアッセンブリー組立専用工場を設け、小型~大型部品まで多様な部品の組立に対応しており、リピート製品については社内で専用マニュアルを整備し、効率化、品質確保を両立している。
【ユニバーサルデザイン住空間を企画する建材事業の展開】
・人工大理石によるカウンターや洗面台を自社ブランド建材製品として開発、提供しており、ユニバーサルデザインの採用により多様な利用者にとって優しい機能とデザインを特徴としている。
・建材製品については1個単位からの受注、オーダーメイド受注に対応しており、金属加工事業で培ってきた生産管理技術により確かな納期管理を実現し製品を安定提供している。
同社では製造過程の効率化を中心に製造に関する過剰なエネルギー使用の防止、廃棄物発生の抑制に取り組んでいる。また、再生エネルギーの積極使用やペーパーレス化の推進を通じて、環境に配慮した事業活動に積極的に取り組んでいる。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
【製造環境における環境配慮の推進】
・生産設備の計画的な省エネ設備への更新、効率的な加工プログラムの開発、利用により、生産過程における過剰なエネルギー使用の抑制に取り組んでいる。
・同一敷地内に各加工工程別の工場を配置し、過剰な製品や仕掛品移動を削減することで製造過程における過剰なエネルギー使用の抑制に取り組んでいる。
【歩留まり向上への取り組みを通じた廃棄物の発生抑制、廃棄物の適正処理、リサイクル推進】
・顧客図面からの部材形状の抽出作業において、鋼材の歩留まりを考慮し端材ロスの低減に努めており、NC データ作成時に部品の取り合わせを考えるネスティング作業においてもロス材の低減に努めることで廃棄物の発生を抑制している。
・工場内で発生する廃棄物については分別処理の徹底、リサイクル可能廃棄物のリサイクル業者への引き渡しを徹底しており、一部廃資材については有効活用のため協力会社へ販売している。
・集排じん装置の整備を通じ、塗装作業時等の社外への汚染物質流出阻止施策を徹底している。
【再生エネルギー活用やペーパーレス化推進を通じた環境保全】
・xxx発電システムを導入し、業務で使用するエネルギーにおける再生エネルギー活用を推進している。
・社内照明 LED 化推進を通じて、事務所、工場のエネルギー使用量の削減に取り組んでいる。
・DX 化を通じたペーパーレス化を推進しており、総務処理を中心にコピー用紙の使用量を削減している。
同社では一人ひとりの従業員がやりがいを持ち、いつまでも安心して働くことのできる職場づくりに取り組んでいる。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
【従業員のスキルアップ支援】
・社内各業務、工程別の標準化、チェックシート作成を推進し、習得が必要となるスキルを把握できる環境を整備している。また、作業標準化を通じて対応可能要員の拡大、作業負荷の分散につなげている。
・半年に 1 度の上長面談を通じて個々の目標設定、実績振り返りの機会、スキルチェックの機会を創出している。
・業務上必要となる資格取得については会社負担にて取得を支援するとともに、資格を用いる業務には手当を設定することで従業員の資格取得に向けたモチベーション向上を図っている。
・工程別の品質目標の達成に向け、月次での工程別改善ミーティングの開催などを通じて現場レベルでの業務改善を促進、実践できる環境を整備している。
・業務関連の研修に加え、金融教育などに取り組み従業員が多様な分野に関心を持ちスキルを高められる環境を整備している。
【多様な人材が働き続けやすい職場環境の形成】
・再雇用制度の活用による高齢者就業機会の創出、産休・育休制度、時間単位での年次有給休暇の利用制度等により従業員のワーク・ライフ・バランス確保に努めている。また、労働条件については従業員 1 名 1 名と面談のうえ個々の状況を勘案し決定し、多様な人材が柔軟に働き続けられる環境整備に努めている。
・受注スケジュールに基づく繁閑見込みについて社内全体で共有し、案件納期を遵守しながらも各従業員が有給休暇を取得しやすい環境を整備している。
・外国人実習生(ベトナム人、インドネシア人)の積極採用、技術講習に加えて社宅を完備し、国内での生活支援を実施している。
【従業員が心身ともに健やかに働き続けられる職場環境の形成】
・作業着の支給、安全関連備品の支給など、従業員が健やかに働き続けられる職場環境整備に努めている。また、業務災害総合保険への加入、従業員への積極的な制度周知を通じて安心して働き続けられる職場環境の形成に努めている。
・社内サークル活動を推奨し、活動費を支給することで従業員間のコミュニケーションを促進している。
・若手従業員を中心とした新規採用プロジェクトなど、プロジェクト型の取り組みを多く採用することで部門横断でのコミュニケーションを促進するとともに、自分たちの職場の魅力を整理し、一緒に働きたいメンバー像の検討を進め働きやすい職場づくりを推進している。
・従業員の誕生日にはケーキ券を配布するほか、家族手当については第 5 子まで支給し、小学校入学時には文房具セットを配布するなど従業員のみでなくその家族までを対象とした福利厚生制度の充実を図っている。
同社ではよき企業市民として地域とともに発展し、社会の繁栄を目指すため地域貢献への取り組みを積極的に実施している。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
・行政や地域教育機関、地域他事業者等と連携しながらの地域向け工場見学イベントの定期開催を通じたものづくりの魅力の発信に積極的に取り組んでいる。
|
同社が立地する岐阜県関市では、地域ものづくり事業者による関のものづくりの現場を見学・体験する「関の工場参観日」イベントが開催されており、同社もこのイベントに企画段階から積極的に関与し、ものづくりの魅力を発信している。 当日は「xx」をテーマに螺旋階段付きの滑り台を製造し、モノができあがる過程を示すこと で、ものづくりの魅力を発信し、イベント終了後は関市に寄贈した。 |
・社内に災害対策用備蓄品等を整備し、地域の防災拠点としての機能を整備することで地域防災体制の強化に貢献している。
3.インパクトの特定
インパクトの特定のため、同社主力事業についてバリューチェーン分析を実施した。
金属加工事業においては CAD/CAM データの製作、材料切断、曲げ加工、溶接加工、機械加工、塗装加工、アッセンブリー組立加工までの一貫対応体制のもと、鉄板や H 鋼など金属素材へ各種加工を実施し、工作機械部品、建設機械部品として組み上げ納品している。
建材事業においては、同社が扱う建材はアクリル系人工大理石製カウンター、ポリエステル系人工大理石製洗面シンク等が中心となっている。
アクリル系人工大理石製カウンターについては、板の状態で仕入れた部材に切断、切削加工等を実施し、カウンターとして成形し建設事業者等へ納品している。
ポリエステル系人工大理石製洗面シンクについては樹脂原料を混合し、型へ流し込むことで成形、焼き上げ工程を経て成形された製品に切削加工、研磨加工等を実施し製品化して建設事業者等へ納品している。
同社のバリューチェーン図(図は同社提供資料をもとに岐阜信用金庫にて作成)
xxの事業
同社の事業
xxの事業
金属素材
製造業
CAD/ CAM
データ設
計
切断
加工
曲げ
加工
溶接・仕上機械
加工
塗装
加工
アッセンブリー
加工
工作機械
メーカー等
建設機械メーカー等
金属加工事業
樹脂素材
製造業
成形加工
乾燥・焼き上げ
加工
切削・研磨加工
建設事業者等
建材事業
先述のバリューチェーン分析の結果をもとに、インパクトマッピングを実施する。
同社の事業およびxx・xxの事業を国際産業標準分類(ISIC)上の業種カテゴリに適用させた上、UNEP FI が提供するインパクトレーダーを用いて「ポジティブインパクト」(以下 PI)と「ネガティブインパクト」(以下 NI)を想定する。
① 金属加工事業
同社の事業については「金属の処理・塗装・機械加工業(ISIC:2592)」を、xxの事業については
「鉄鋼鋳造業(ISIC:2431)」を、xxの事業については「金属成形機械及び工作機械製造業
(ISIC:2822)」、「鉱業、採石業及び建設業用機械製造業(ISIC:2824)」をそれぞれ適用し、発生するインパクトの検証を行った。
◎:主要カテゴリ ○:関連カテゴリ
xxの事業 | 同社の事業 | xxの事業 | ||||||
① | ② | ① | ② | |||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 【2431】鉄鋼鋳造業 | 【2592】 金属の処理・塗装・機械加工業 | 【2822】 金属成形機械及び工作機械製造業 | 【2824】 鉱業、採石業及び建設業用機械 製造業 | ||||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | ||||||||
食糧 | ||||||||
住居 | ○ | ○ | ||||||
健康・衛生 | ○ | |||||||
教育 | ||||||||
雇用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
エネルギー | ||||||||
移動手段 | ||||||||
情報 | ||||||||
文化・伝統 | ||||||||
人格と人の安全保障 | ||||||||
xx・xx | ||||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||||
x(質) | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
大気 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
土壌 | ◎ | ○ | ○ | |||||
生物多様性と生態系サービス | ||||||||
資源効❹・安全性 | ◎ | ○ | ○ | ○ | ||||
気候 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
廃棄物 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
包括的で健全な経済 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
経済収束 |
上表のうち、xxの事業、xxの事業については同社事業活動の与える影響が軽微なものとなるため、分析を省略している。
同社の事業① 金属の処理・塗装・機械加工業(ISIC:2592)
PI | 「雇用」「包括的で健全な経済」 |
NI | 「雇用」「水(質)」「大気」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」 |
【社会面】
◆「雇用」
従業員の雇用の創出という PI と、労働形態によっては労働者の健康状態が脅かされるという NIが発現する。
同社では再雇用制度の活用による高齢者就業機会の創出や外国人実習生の積極的な受入を通じて PI を拡大している。また、作業マニュアルの策定や推奨資格の取得支援を通じた従業員のスキルアップ環境の整備も実施している。さらに、産休・育休制度や時間単位で取得ができる年次有給休暇制度を設けるなど、多様な人材が活躍できる場を提供している。これらの取り組みを通 じて、PI を拡大している。そのほか、地域イベント等を通じた製造業の魅力を発信しつつ、女性従業員でも製造現場に入れる職場環境を整えることで、女性活躍を推奨し PI を拡大している。
一方、工場での作業は一定の危険があることから、作業時の安全確保体制の整備など労働環境の改善を通じて NI の緩和に努めている。
上記は SDG5「ジェンダー平等を実現しよう」、SDG8「働きがいも経済成長も」に該当する。
□「8.5:2030 年までに、若者や障害者を含むすべての女性と男性にとって、完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事を実現し、同一労働同一賃金を達成する。」
□「8.8:移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある人々を含め、すべての労働者を対象に、労働基本権を保護し安全・安心な労働環境を促進する。」
【環境面】
◆「水(質)」「大気」
事業活動に伴い、環境汚染や過剰なエネルギー利用など環境負荷が発生し、NI が発現する。同社では材料歩留まりの向上への取り組みや塗装作業時の社外への汚染物質流出阻止施策、発生する廃棄物の分別の徹底等により、NI の緩和に努めている。
上記は、SDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
□「12.4:2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通じて化学物資や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。」
◆「資源効率・安全性」「気候」
非効率な製造過程や不良品の発生により資源効率が悪化し、また過剰な温室効果ガスの発生は気候に悪影響をもたらすという NI が発現する。
同社では生産設備の定期的な省エネ設備への更新、効率的な加工プログラムの開発、利用な ど、製造工程における省エネルギー化の推進に加え、照明設備の LED 化など付帯設備に関しても省エネルギー化を推進するとともに、社内処理の DX 化を通じたペーパーレス化の推進や、自家消費型xxx発電システムを使った再生エネルギーの活用などを通じて NI の緩和に努めている。上記は SDG12「つくる責任つかう責任」、SDG13「気候変動に具体的な対策を」に該当する。
□「12.4:2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通じて化学物資や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。」
◆「廃棄物」
製造過程で発生する廃棄物や老朽化した機械の適正な処分がおこなわれないことに起因する産業廃棄物の増加という NI が発現する。
同社では材料歩留まりの向上を通じた廃棄物の削減、リサイクル可能廃棄物のリサイクル業者への引き渡しによって NI の緩和に努めている。
上記は SDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
□「12.4:2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通じて化学物資や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。」
【経済面】
◆「包括的で健全な経済」
事業活動により地域経済が活性化するという PI が発現する。
同社では一貫生産体制のもとでの継続的な改善活動を通じた生産性向上により、製造可能量の拡大、短納期対応を実現し、工作機械や建設機械部品の安定提供を支え、PI を拡大している。
上記は SDG9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に該当する。
② 建材事業
同社の事業については「家具製造業 ISIC:3100)」を、xxの事業については「プラスチック及び合 成ゴム素材製造業(ISIC:2013)」を、xxの事業については「建築工事業(ISIC:4100)」をそれぞれ適用し、発生するインパクトの検証を行った。
◎:主要カテゴリ ○:関連カテゴリ
xxの事業 | 同社の事業 | xxの事業 | ||||
② | ② | ③ | ||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 【2013】 プラスチック及び 合成ゴム素材製造業 | 【3100】家具製造業 | 【4100】建築工事業 | |||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | ||||||
食糧 | ||||||
住居 | 〇 | ◎ | ||||
xx・xx | ○ | ○ | ||||
教育 | ||||||
雇用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
エネルギー | ○ | ○ | ||||
移動手段 | ||||||
情報 | ||||||
文化・伝統 | ○ | |||||
人格と人の安全保障 | ○ | |||||
xx・xx | ||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||
水(質) | ◎ | 〇 | ○ | |||
大気 | ○ | ○ | ○ | |||
土壌 | ◎ | 〇 | ○ | |||
生物多様性と生態系サービス | ○ | |||||
資源効❹・安全性 | ○ | ○ | ○ | |||
気候 | ○ | ○ | ◎ | |||
廃棄物 | ◎ | 〇 | ◎ | |||
包括的で健全な経済 | ○ | ○ | ○ | |||
経済収束 |
上表のうち、同社事業における「雇用」については同社の事業①と重複するため記載を省略する。また、xxの事業は同社事業が与える影響が軽微と判断されるため分析を省略し、xxの事業は
「健康・衛生」のみを分析対象とし、その他のカテゴリは同社事業活動が与える影響については軽微なものとなるため、分析を省略している。
同社の事業② 家具製造業(ISIC:3100)
PI | 「住居」「雇用」「包括的で健全な経済」 |
NI | 「雇用」「水(質)」「大気」「土壌」「資源効率・安全性」「気候」 「廃棄物」 |
【社会面】
◆「住居」
住宅建築は人々の居住空間を創出し、暮らしや安全を守るという PI が発現する。
同社では高品質な自社ブランド建材製品の開発、提供により、PI を拡大している。さらに、自社ブランド建材製品においてユニバーサルデザインを採用し、多様な人々が使いやすい住環境の創出に貢献することで PI を拡大している。
上記は SDG11「住み続けられるまちづくりを」に該当する。
【環境面】
◆「水(質)」「大気」「土壌」
プラスチック製品の製造工程において水質や大気、土壌への汚染が発生する可能性があるという NI が発現する。
同社では製品製造時に使用する薬品等について適切に回収する仕組みを構築するとともに、使用時においても飛散防止に努め、NI の緩和に努めている。
上記は SDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
□「12.4:2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通して化学物質や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。」
◆「資源効率・安全性」「気候」
非効率な製造プロセスによるエネルギーの過剰利用や温室効果ガスの排出量増加が懸念さ れるという NI が発現する。
同社では 1 日内の製造サイクルを固定化し、乾燥工程などについて複数台を同時に対応するなどの製造効率化を推進し、NI の緩和に努めている。
上記は SDG12「つくる責任つかう責任」、SDG13「気候変動に具体的な対策を」に該当する。
◆「廃棄物」
製造工程での廃棄物の発生により環境問題が発生する可能性があるという NI が発現する。 同社では人工大理石製建材の製造過程で発生する端材を最小限とすることに加え、切削加工や研磨加工で発生する廃棄物についても適正に分別、処理することを徹底し、NI の緩和に努め
ている。また、建材製造において発生した人工大理石端材については一般社団法人日本人工大理石リサイクル協会へ引き渡しリサイクル処理を委託している。
上記は SDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
【経済面】
◆「包括的で健全な経済」
事業活動により地域経済が活性化するという PI が発現する。
同社では自社ブランド建材製品について地域内同業他社との連携体制のもと、介護、保育など特殊ニーズを抱える分野を重点対象として既製品では対応できない需要に小ロット対応を進めることでPI を拡大している。
上記は SDG9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、SDG11「住み続けられるまちづくりを」に該当する。
xxの事業③ 建築工事業(ISIC:4100)
PI | 「健康・衛生」 |
NI | 「健康・衛生」 |
【社会面】
◆「健康・衛生」
快適な住環境は居住者の健康や福祉を支えるという PI が発現する。一方、住環境の形態や使用する資材によっては居住者の健康や福祉を害するという NI が発現する。
同社では自社ブランド建材製品においてユニバーサルデザインを採用し、介護分野や保育分野などの多分野で採択されることで、多様な人々が使いやすい住環境の創出に貢献し PI を拡大している。
上記は SDG3「すべての人に健康と福祉を」、SDG11「住み続けられるまちづくりを」に該当する。
下図は「バリューチェーン分析」「インパクトマッピング」の結果を踏まえて、同社のバリューチェーンが与えるインパクトを可視化したものである。
経済
SDG9
社会
SDG3 SDG5 SDG8 SDG11
ポジティブインパクト
xxの事業
同社の事業
xxの事業
金属素材
製造業
CAD/
CAM
データ設計
切断
加工
曲げ
加工
溶接・仕上機械
加工
塗装
加工
アッセンブリー
加工
工作機械
メーカー等
建設機械
メーカー等
金属加工事業
樹脂素材
製造業
成形加工
乾燥・焼き上げ
加工
切削・研磨加工
建設事業者等
建材事業
社会
SDG8
環境
SDG12 SDG13
ネガティブインパクト
以上を踏まえて同社のインパクトを下記の 3 つに特定した。
【重要なインパクト】
「加工技術の適用範囲拡大を通じたサプライチェーン高度化への貢献」
「環境負荷全般の低減推進」
「働きがいがあり魅力的な職場環境の創出」
① 加工技術の適用範囲拡大を通じたサプライチェーン高度化への貢献:SDG9
同社は CAD/CAM データの製作、材料切断、曲げ加工、溶接加工、機械加工、塗装加工、アッセンブリー組立加工までの一貫対応体制のもと、高精度な工作機械部品、建設機械部品等を低コスト、短納期で提供し、主要分野である工作機械、建設機械の高機能化、普及の促進に貢献している。
現状は主要加工原料について鉄素材を中心としているが、今後ステンレスやアルミなど非鉄金属素材の加工技術を社内に構築し、主要取引先からの非鉄金属素材加工ニーズに応えていくことで同社技術の適用範囲を拡大し、工作機械業界、建設機械業界の下支えを更に強化していく方針としている。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「包括的で健全な経済」のカテゴリに該当し、経済的側面の PI を拡大すると考えられる。
② 環境負荷全般の低減推進:SDG12、13
同社では鋼材の歩留まりを考慮し端材ロスの低減に努め、NC データ作成時に部品の取り合わせを考えるネスティング作業においてもロス材の低減に努めることで廃棄物の発生を抑制し、収益性の向上と環境負荷抑制を両立させている。
また、業務上発生する廃棄物については分別処理の徹底、リサイクル可能廃棄物のリサイクル業者への引き渡しを徹底しており、一部廃資材については有効活用のため協力会社へ販売することで環境負荷の抑制を図っている。
製造環境においても省エネ型設備への計画的な更新、工場敷地内の加工環境の効率的配置 により製品や仕掛品移動頻度を削減することで製造過程における過剰なエネルギー使用の抑制に取り組んでおり、また照明の LED 化や自家消費型xxx発電システムの活用による事業環境 全体としての省エネルギー化の推進、総務部門を中心とした DX 化推進によるペーパーレス化などにより、環境負荷を抑制した事業展開に取り組んでいる。
今後、事業活動に伴う CO2 排出量の見える化に取り組み、CO2 排出量の月次推移実績に基づく CO2 排出量削減計画の立案、実行に取り組んでいく方針であり、製造工程における継続的な改善活動と、現状総務部門を中心に取り組んでいる DX 化を製造部門にも適用していくことでの業務効率化、環境負荷抑制を強化していく。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーで「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」のカテゴリに該当し、環境的側面の NI を緩和すると考えられる。
③ 働きがいがあり魅力的な職場環境の創出:SDG5、8
・多様な人材の雇用促進
同社では再雇用制度の制定、活用による高齢者就業機会の創出、外国人実習生の積極雇用を通じて地域における多様な人材の雇用創出に貢献している。
また、従業員個々の状況を勘案した労働条件の設定や、業務繁閑を社内共有しながらの年次 有給休暇の取得推奨、時間単位での年次有給休暇の利用制度の活用等を通じて従業員それぞれがワーク・ライフ・バランスを確保しながら働き続けやすい職場環境の形成に努めており、従業員当人のみでなくその家族も含めた福利厚生制度の充実を図ることで働き続けやすい職場環境の実現を目指している。
今後においても、従業員の意見を取り入れながら多様な人材が働ける環境の整備、改善に継続的に取り組み、就業規則等についても整備を進めるとともに、健康経営優良法人の認定取得を通じて従業員が安心して働き続けられる職場環境を構築していくことで多様な人材の確保、育成に努め、持続可能な地域経済への貢献を強化していく。
・従業員のスキルアップ支援
社内各業務、工程別の標準化、チェックシート作成を推進し、習得が必要となるスキルを把握できる環境を整備し、OJT に加えて業務上必要となる資格の取得支援を通じて従業員の多能工化、スキルアップを支援する環境を整備し人材育成を図っている。また品質目標の達成に向け、工程別改善ミーティングの開催などを通じて現場レベルでの改善を促進、実践できる環境を整備してお り、部門横断型のプロジェクト推進を通じて従業員間のコミュニケーションを促進しながら自社業務への理解を深められる土壌を整備している。
今後においても、業務上必要となる技術についてスキルマップの整備を通じて体系化を図るととも に、業務上必要となる技術講習のみでなく、金融教育や健康教育などにも積極的に取り組み、従業員が多様な分野に関心を持ちスキルを高められる環境整備を推進していくことで更なる社内人材の育成と同社の価値向上を図っていく。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「雇用」のカテゴリに該当し、社会的側面の PI を拡大すると考えられる。
① 日本におけるインパクトニーズ
同社売上の大半は日本国内におけるものであり、国内における SDG インデックス&ダッシュボードを参照し、そのインパクトニーズと同社のインパクトとの関係性を確認した。
本 PIF において特定したインパクトに対応する SDGs のゴールは、以下の 5 点である。
「 5:ジェンダー平等を実現しよう」
「 8:働きがいも経済成長も」
「 9:産業と技術革新の基盤をつくろう」
「12:つくる責任、つかう責任」
「13:気候変動に具体的な対策を」
国内における SDG ダッシュボード上では、「9」に関しては「達成に近づいている」とされているものの、
「5」、「12」、「13」に関しては「大きな課題が残る」、「8」に関しては「重要な課題が残る」とされており、同社における加工技術の適用範囲拡大を通じたサプライチェーン高度化への取り組み、環境負荷全般の低減への取り組み、働きがいがあり魅力的な職場環境の創出への取り組みなどが、日本国内におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
(出典:SDSN)
② 岐阜県におけるインパクトニーズ
同社の事業活動は立地する岐阜県を中心に行われていることから、「岐阜県 SDGs xx都市計画」を参照し、岐阜県内における SDGs 達成に向けての課題を確認した。
下記の通り、岐阜県では「<環境>美しい清流とそれを育む豊かな森の保全と活用」、「<経済>
「清流の国ぎふ」ブランドと変化に強い地域経済の確立」、「<社会>誰もが活躍し生きがいを感じられる地域社会の構築」を 2030 年のあるべき姿と設定し SDGs 達成に向けた課題を設定しており、同社における加工技術の適用範囲拡大を通じたサプライチェーン高度化への取り組み、環境負荷 全般の低減への取り組み、働きがいがあり魅力的な職場環境の創出への取り組みなどが、岐阜県におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
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(出典:岐阜県第 2 期 SDGs xx都市計画の概要)
③ 岐阜信用金庫との親和性
◆「ぎふしん SDGs 宣言」
以下の 3 項目を SDGs 達成に向けた重点課題としている。
(1)持続可能な地域の経済成長のための活動
(2)持続可能な地域産業の基盤構築のための活動
(3)持続可能なまちづくりのための活動
◆親和性の確認
本件 PIF の取り組みに際し特定した当社のインパクトである「加工技術の適用範囲拡大を通じたサプライチェーン高度化への貢献」については、「ぎふしん SDGs 宣言」の(1)、(2)、(3)と、「環境負荷全般の低減推進」については「ぎふしん SDGs 宣言」の (2)、(3)と、「働きがいがあり魅力的な職場環境の創出」については、「ぎふしん SDGs 宣言」の (3)と親和性があり、相互に協力しあうことで、
「経済」「社会」「環境」の 3 つの側面に渡り、持続可能な開発に関する枠組みとして、良質な効果が発生するものと思われる。
以上から、本件 PIF の取組みは追加性のある PI 創出支援を行うものであり、その本源的目的との合致を確認したうえで SDGs 達成に向けた資金需要と資金供給とのギャップを埋めることを目指すものである。
4.KPI の設定
特定したインパクトの発現状況を今後も継続的に測定可能なものとするため、先に特定したインパクトに対し、インパクトの種類、インパクトカテゴリ、関連する SDGs、内容・対応方針および目標と KPI を整理、設定する。
■加工技術の適用範囲拡大を通じたサプライチェーン高度化への貢献
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 経済的側面においてポジティブインパクトを拡大 |
インパクトカテゴリ | 「包括的で健全な経済」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・工程別品質目標に基づいた、高品質で短納期、低コストで生産できる一貫生産体制のブラッシュアップ継続 ・主要取引先からの受注量拡大に向けた、非鉄金属素材(ステンレス・アルミ等)の加工技術向上およびニーズの把握 ・加工対象素材の拡充に向けた設備投資の計画的な実行 |
目標とKPI | ・2030 年 10 月期までに全社売上高 19 億円以上を達成する。 (2023 年 10 月期実績:12 億円) ・2028 年 10 月期までに非鉄金属素材の加工に対応した新工場を稼働させ、加工体制を構築する。 ・2030 年 10 月期までに非鉄金属素材加工部門の売上高 3 億円以上を達成する。 (2023 年 10 月期実績:なし) ※2031 年 10 月期以降の目標は改めて設定 |
■環境負荷全般の低減推進
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 環境的側面においてネガティブインパクトを緩和 |
インパクトカテゴリ | 「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」 |
関連する SDGs |
|
内容・対応方針 | ・事業活動に伴う CO2 排出量の月次推移を把握する体制を整備し、排出量の削減施策を検討、実行に移す。 ・工場内設備の計画的な更新、効率的な配置などによる省エネルギー化を推進する。 ・ペーパーレス化の適用範囲を総務部門から製造部門まで拡大し、全 社でコピー用紙の使用量削減に努める。 |
目標とKPI | ・2030 年 10 月期までに CO2 排出量を 2023 年 10 月期比で 30%削減する。 ・2030 年 10 月期までにコピー用紙の使用量を月間 1 万枚以下へと削減する(現状:月間3万枚)。 ※2031 年 10 月期以降の目標は改めて設定 |
■働きがいがあり魅力的な職場環境の創出
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 社会的側面においてポジティブインパクトを拡大 |
インパクトカテゴリ | 「雇用」 |
関連する SDGs |
|
内容・対応方針 | ・就業規則の見直しやスキル向上の支援強化、女性従業員も入りやすくなるような製造現場づくりなどを進め、従業員の意見を取り入れな がら健康的で魅力的な職場環境を創出していく。 |
目標とKPI | ・2030 年 10 月期までに多様な人材の雇用を通じて従業員数を 120 名へと拡大する(2024 年 4 月時点:76 名)。 ・2030 年 10 月期までに女性従業員数を 20 名規模まで拡大し、女 性リーダー1を 5 名登用する (2024 年 4 月時点:女性従業員 5 名)。 ・従業員向け金融教育、健康教育を毎年実施する。 ・2026 年 10 月期までに健康経営優良法人認定を取得し、継続する。 ※2031 年 10 月期以降の目標は改めて設定 |
1 リーダーとは、勤続年数や職務能力、人事評価などを総合的に勘案した上で、4~5 人の小集団をまとめる役割を持つ従業員。
5.モニタリング
同社では、xx社長を中心に自社業務の棚卸を行い、本 PIF におけるインパクトの特定、並びに KPI の設定を行った。
今後については、以下の体制を中心とした同社プロジェクトチームが柱となって SDGs の推進、本 PIF で設定した KPI の進捗管理を行っていく方針である。
【モニタリング体制】
統括責任者 | 代表取締役 | xx xx |
プロジェクトリーダー | 経営企画室 | xx xx |
本 PIF で設定した KPI および進捗状況については、同社と岐阜信用金庫の担当者が定期的な場を設けて情報共有する。情報共有については、少なくとも年に 1 回実施することに加え、日々の情報交換や営業活動を通じて実施していく。
下記の通り融資返済期限と同一期間にて定める。
モニタリング期間 (返済期限) | 10 年間 (2034 年 5 月 20 日) |
【留意事項】
1.本評価書の内容は、岐阜信用金庫が現時点で入手可能な公開情報、株式会社タイメックから提供された情報や同社へのインタビューなどで収集した情報に基づいて、現時点での状況を評価したものであり、将来における実現可能性、ポジティブな成果等を保証するものではありません。
2.岐阜信用金庫が本評価に際して用いた情報は、岐阜信用金庫がその裁量により信頼できると判断したものではあるものの、これらの情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。岐阜信用金庫は、これらの情報の正確性、適時性、網羅性、完全性、および特定目的への適合性その他一切の事項について、明示・黙示を問わず、何ら表明または保証をするものではありません。
3.本評価書に関する一切の権利は岐阜信用金庫に帰属します。評価書の全部または一部を自己使用の目的を超えての使用(複製、改変、送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳及び翻案等を含みます)、または使用する目的で保管することは禁止されています。