Q&A
消防業務賠償責任保険に関するQ&A
2022年 7月
一般財団法人 全国消防協会
引受幹事保険会社 東京海上日動火災保険株式会社
Q&A
(1)主契約について
Q1‐1:再燃火災による事故も対象になるのですか?
A1‐1:対象となります。ただし、あくまでも消防本部側に重過失があり、賠償責任を負担するケースに限ります。消防本部の過失認定は、極めて難しい判断を伴いますので、過去の判例や裁判所等の判断により決定されます。
Q1‐2:なぜ、消防施設の瑕疵による賠償責任は補償されないのですか?
A1‐2:本保険では補償対象としていません。全国的に普及している「全国市長会」「全国xxx」の制度で補償されているため本保険では補償対象としていません。「全国市長会」「全国xxx」制度へのご加入をご検討ください。
Q1‐3:許可、認可、命令等、行政処分の誤りによる、休業損害・営業補償等の賠償責任は対象になりますか?
A1‐3:対象となりません。本保険は、第三者の身体・生命および財物を直接的に害したことについて消防本部が負担する法律上の賠償責任を補償する保険となっており、行政処分等により、身体・財物の損害な く間接的に生じた営業損害等は対象となりません。(主契約における人格権侵害事故は除く。)ただし、行政処分等により身体障害・財物損壊が発生した場合には補償対象となります。
※最終的な判断は保険約款に従います。
Q1‐4:非常備消防の行為により、消防本部が負った賠償責任も対象となりますか?
A1‐4:対象業務に合致すれば、対象となります。ただし、非常備消防が単独で行った行為等で消防本部に賠償責任が発生しない場合は対象となりません。
※最終的な判断は保険約款に従います。
Q1-5:ドローンを使って、消防業務を行い、万が一、他人の身体や財物に損害を与えた場合補償されますか?
A1‐5:消防本部に賠償責任が発生した場合は補償の対象となります。
(2)「初期対応費用」「人格権侵害」について(救急救命業務では対象となりません。)
Q2‐1:「初期対応費用」「人格権侵害」とはどのような補償ですか?
A2‐1:以下の補償内容になります。
①初期対応費用とは
業務に起因する他人の身体障害(当費用においては「発生のおそれ」を含みます)や財物損壊、人格権侵害事故について、消防本部が負担した初期の段階で必要となる事故調査費用や対人事故の被害者に対する見舞金・見舞品購入費用、担当者等を現場に派遣するための交通費、通信費などで社会通念上妥当な金額に対して保険金をお支払いします。結果として、消防本部に法律上の賠償責任が発生しないことが判明した場合でも補償されます。
支払限度額は、1事故100万円(対人事故の場合、被害者1名につき見舞金・見舞品購入費用は支払限度額の内枠で10万円限度)となります。
②人格権侵害とは
業務に伴う不当な身体の拘束や、口頭・文書・図面等による表示により、他人の自由、名誉またはプライバシーを侵害した場合の賠償責任を補償します。
支払限度額は、1名50万円/1事故・保険期間中100万円となります。
Q2‐2:「初期対応費用」や「人格権侵害」では、実際にどのような事故が補償されますか?
A2‐2:以下のような事故例・支払いが補償されます。(※実際の支払いに関しては保険約款に従います。)
<初期対応費用>
救助時に事故が発生し消防本部側の責任が判明していないが、被傷者にお見舞品を配布した。
<人格権侵害>
・失火者を間違えて公表し、名誉・プライバシ一侵害として訴えられた。
・救助現場における発言によって、人格権の侵害と訴えられた。
Q2‐3:「初期対応費用」で使用する約款(特約条項)はどのようなものですか?
A2‐3:下記特約条項となります。初期対応費用担保特約条項
第1条(初期対応費用の支払)
当会社は、賠償責任保険普通保険約款(以下「普通保険約款」といいます。)第1条(保険金を支払う場合)の規定にかかわらず、同条に規定する事故またはこの保険契約に付帯される特別約款もしくは特約条項に規定する事故について、被保険者が初期対応費用(その額および使途が社会通念上、妥当と認められるものに限ります。)を支出したことによって被る損害に対して、保険金を支払います。
第2条(用語の定義)
この特約条項において、次の用語の意昧は、次の定義によります。
用語 | 定義 |
初期対応費用 | 次の費用のうち、前条の事故に対応するために直接必要なものをいいます。ア.事故現場の保存、事故状況の調査・記録、写真撮影または事故原因の調 査の費用 イ.事故現場の取り片付け費用 ウ.被保険者の役員または使用人を事故現場に派遣するための交通費・宿泊費等の費用 エ.通信費 オ.事故が他人の身体の障害である場合において、被害者に対する見舞金もしくは香典または見舞品購入費用。ただし、1事故において被害者1名につき保険証券の「見舞費用支払限度額」欄記載の額を限度とします。 カ.書面による当会社の事前の同意を得て支出された新聞等へのお詫び広告の掲載費用 キ.その他アからカまでに準ずる費用。ただし、他人の身体の障害以外の事故について被保険者が支払った見舞金または見舞品購入費用を含みません。 |
第3条(責任の限度)
当会社は、1回の事故について、第1条(初期対応費用の支払)の損害の額が保険証券のこの特約条項の欄に記載された免責金額を超過する場合に限り、その超過額のみに対して、保険金を支払います。ただし、当会社が支払う保険金の額は、保険証券のこの特約条項の欄に記載された支払限度額を限度とします。
第4条(普通保険約款等との関係)
この特約条項に規定しない事項については、この特約条項に反しないかぎり、普通保険約款ならびにこの保険契約に付帯される特別約款および他の特約条項の規定を適用します。
初期対応費用 追加特約条項
第1条(初期対応費用の支払)
この保険契約において当会社が保険金を支払うべき他人の身体の障害を被保険者が発生させたおそれがある場 合は、当会社は、初期対応費用担保特約条項(以下「初期対応特約」といいます。)第1条(初期対応費用の支払)
(1)に規定する事故が発生したものとみなします。
第2条(普通保険約款等との関係)
この特約条項に規定しない事項については、この特約条項に反しないかぎり、賠償責任保険普通保険約款、施設所 有(管理)者特別約款および初期対応特約ならびにこの保険契約に付帯される他の特約条項の規定を適用します。
Q2‐4:「人格権侵害」で使用する約款(特約条項)はどのようなものですか?
A2‐4:下記特約条項となります。人格権侵害担保特約条項
第1条(保険金を支払う場合)
(1)当会社は、賠償責任保険普通保険約款(以下「普通保険約款」といいます。)第1条(保険金を支払う場合)の規定にかかわらず、この特約条項が付帯される特別約款またはこの保険契約に付帯される他の特約条項(以 下「特約」といいます。)の第1条(保険金を支払う場合)に規定する「施設」の所有、使用もしくは管理、「仕事」もしくは「業務」の遂行もしくはその結果、「生産物」または「警備業務」の遂行に関し、いずれかの事由に伴う不当行為によって発生した人格権侵害(以下「事故」といいます。)について被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対して、この特約条項により、保険金を支払います。
(2)当会社は(、1)の不当行為が保険証券記載の保険期間(以下「保険期間」といいます。)中に日本国内において行われた場合に限り、保険金を支払います。
第2条(用語の定義)
この特約条項において、次の用語の意味は、それぞれ次の定義によります。
用語 | 定義 |
不当行為 | 次のいずれかの行為をいいます。ア.不当な身体の拘束 イ.口頭または文書もしくは図画等による表示 |
人格権侵害 | 他人の自由、名誉またはプライバシーの侵害をいいます。 |
第3条(保険金を支払わない場合)
当会社は、普通保険約款第7条(保険金を支払わない場合)および第8条(保険金を支払わない場合)ならびに特約の「保険金を支払わない場合」に規定する損害のほか、直接であるか間接であるかにかかわらず、次のいずれ かの事由に起因する損害に対しては、保険金を支払いません。
① 最初の行為が保険期間の初日の前に行われ、その継続または反復として行われた不当行為
② 事実と異なることを知りながら、被保険者によって、または被保険者の指図により行われた不当行為
③ 被保険者によって、または被保険者の了解もしくは同意に基づいて行われた犯罪行為(過失犯を除きます。)
④ 被保険者による採用、雇用または解雇に関して行われた不当行為
⑤ 広告・宣伝活動、放送活動または出版活動
第4条(責任の限度)
普通保険約款第4条(責任の限度()1)の規定にかかわらず、当会社は、1回の事故について、普通保険約款第
2条(損害の範囲)②から⑤までに規定する費用を除き、損害の額が保険証券のこの特約条項の欄に記載された免責金額を超過する場合に限り、その超過額(保険証券のこの特約条項の欄に縮小支払割合の記載がある場合は、その超過額に保険証券記載の縮小支払割合を乗じた額とします。)に対して、保険金を支払います。ただし、当会社が支払う保険金の額は、保険証券のこの特約条項の欄に記載された支払限度額を限度とします。
第5条(読替規定)
(1)この特約条項において、普通保険約款第5条(保険責任の始期および終期()3)の規定中「発生した事故」とあるのは、「行われた不当行為に起因して発生した事故」と読み替えます。
(2)この特約条項において、保険料に関する規定の変更特約条項を下表のとおり読み替えます。
保険料に関する規定の変更特約条項の規定 | 読替前 | 読替後 |
第2節第1条(保険料の払込方法等()2) | 初回保険料払込前の事故 | 初回保険料払込前に行われた不当行為に起因して発生した事故 |
第2節第1条(2)、第2節第5条(第2回目以降の保険料不払の場合の免責等()1)および第4節第1条(保険料の返還、追加または変更()4) | 生じた事故 | 行われた不当行為に起因して発生した事故 |
第2節第1条(3)②および(4)①ならびに第4節第4条 (保険料を変更する必要がある場合の事故発生時等の取り扱い()1)①、②および(2) | 事故の発生の日 | 不当行為が行われた日 |
第3節第1条(保険料不払による保険契約の解除) (2)および第4節第4条(3) | 発生した事故 | 行われた不当行為に起因 して発生した事故 |
第4節第4条(5)③ | 事故の発生の日時 | 不当行為が行われた日時 |
第6条(普通保険約款等との関係)
この特約条項に規定しない事項については、この特約条項に反しないかぎり、普通保険約款および特約の規定を適用します。
(3)「バイスタンダー見舞金」について
Q3‐1:「バイスタンダー見舞金」とは?
A3‐1:バイスタンダー(各消防本部が管轄する地域内における救急現場に居合わせた者)が救急業務に協力し、偶発的な事故により感染症の罹患が疑われ、感染症の検査を受けた場合の検査費用(「感染症 のおそれがある場合の検査費用」を対象)として見舞金をお支払いするものです。(ただし、応急手当を実施した事実および手当の実施に伴うものであることを被保険者である消防本部が客観的に判断で きる場合に限ります。)
Q3‐2:P28記載の「医療機関で感染検査を実施したことを証明する書類」とは具体的にどのようなものですか?
A3‐2:客観的に見て、バイスタンダーご本人が、P27の「応急手当に係る見舞金支給基準」に記載されている
「感染症」の検査を実施したことが分かるものをいいます。
「診療明細書」「検査結果報告書」「感染検査結果報告書」「HIV検査報告書」等、書類内に、P27記載の感染検査の項目が記載されているものが該当します。
Q3-3:P28記載の(1)応急手当に係る見舞金支給基準 7 見舞金請求(2)に記載されている、「見舞金の請求を第三者に委任する場合」に該当する例を教えてください。
A3-3:未xxの場合等です。未xx者の場合は、親権者が代理人となって請求をいただくことになります。
(他のケースにつきましては個別の判断となります。)
Q3-4:P28記載の(1)応急手当に係る見舞金支給基準 7 見舞金請求(2)に記載されている、「委任を証する書類」はどういったものでしょうか?
A3-4:P31に雛形を記載しております。「委任状」と「代理人の本人確認書類(写)」をご提出ください。
Q3-5:新型コロナウイルスの感染疑いによる検査費用は支払対象になりますか?
A3-5:P27記載の「応急手当に係る見舞金支給基準」に含まれていないため、対象外となります。
Q3‐6バイスタンダー見舞金は直接バイスタンダー本人に送金は可能ですか?
A3‐6:バイスタンダー見舞金に関しては、消防本部の指定口座に送金します。バイスタンダー本人への直接送金はできません。
(4)救急救命士特別約款について
Q4‐1:「救急救命士特別約款」とはどのような保険ですか?
A4‐1:日本国内において救急救命士の資格に基づき、病院または診療所に搬送するまでの間に傷病者に対して行った救急救命処置を原因として、第三者の身体・生命を害したことについて消防本部が負担する法律上の賠償責任を補償する保険です。
Q4‐2:救急救命士個人が負った賠償責任も対象となりますか?
A4‐2:対象となりません。本特約は消防本部が負担する賠償責任を補償する保険となっております。
Q4‐3:「救急救命士特別約款」のみの加入はできますか?
A4‐3:特約のみの加入はできません。主契約にご加入いただいたうえで、本特約にご加入ください。
(5)加入手続きについて
Q5‐1:保険期間の途中で特約の追加は可能ですか?
A5‐1:可能です。ただし毎月20日締切り、翌月1日補償開始となります。取扱代理店まで連絡してください。
(6)変更手続きについて
Q6‐1:消防本部の合併や消防事務の受託等により管轄エリアが変更になった場合はどのようにしますか?
A6‐1:管轄エリアの変更等により、当初の保険料算出に使用した基準日(2022年4月1日)時点の人口が変更となる場合は変更後の管轄エリアに該当する基準日時点の人口で保険料を再算出し、残り期間分の保険料を追加でいただくことになります。詳細については取扱代理店まで連絡してください。
(7) 自転車の事故について
Q7-1:自転車使用中、万が一他人の身体や財物に損害を与えた場合補償されますか?
A7‐1:業務遂行に起因している場合は対象になります。(対象となる業務はP2参照)
(対象になる例)
職員が、消火設備の点検のため、自転車で現場に向かった際に、歩行者と衝突した事故