Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
終身建物賃貸借制度の概要
平成31年2月 国土交通省住宅局安心居住推進課
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
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終身建物賃貸借とは
終身建物賃貸借とは、賃借人が死亡することによって賃貸借契約
が終了する(相続されない)契約をいいます。賃借人は生涯同じ家に住み続けることができるため、賃借人の居住の安定を図ることができます。
この制度は高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年法律第26号)により、平成13年に創設されました。
終身建物賃貸借のイメージ | ||
書面によって契約をする 賃貸人 建物の賃貸借 (認可を受けた 賃借人 事業者) この間は 契約が存続 死 賃借人の死亡をもって 亡 契約終了 (→相続はされない) |
終身建物賃貸借を行うには
● 事業者の手続き
終身建物賃貸借を行うには、所定の手続を行い、都道府県知事から、 終身賃貸事業を行うための認可を受ける必要があります。
※事前に住宅に対して認可を受ければよく、終身建物賃貸借の個別の契約ごとに認可を 受ける必要はありません。
● 利用者の要件
以下の条件を満たす者が、終身建物賃貸借の契約を結ぶことができます。
①自らが居住するため住宅を必要とする60歳以上の高齢者であって、
②・(a)賃借人となる者以外に同居する人がいない者(単身高齢者)
・同居する者が(b)(内縁含む)配偶者(高齢夫婦)
(c)60歳以上の親族(高齢親族)
※60歳以上の高齢者の配偶者は、当該高齢者と同居する場合、自身が60歳未 満であっても入居できます。また、自身が契約者となることも可能です。
終身建物賃貸借のメリット
終身建物賃貸借以外の契約では、賃借人が死亡した
場合、借家権が相続されます。この場合、賃貸人に
・残置物の処理に手間がかかる
・相続人の有無が不明な場合、まず相続人を捜索する必要が生じる
・相続人が複数名存在し、その相続関係が確定していない場合は、全員に対して解除の意思表示を行う必要が生じる
といった負担が生じます。
賃借人の死亡とともに終了し、相続されない借家契約である終身建物賃貸借を用いることで、賃貸人の負担を減ら すことができます。また、高齢者が家を借りやすくなります。
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終身建物賃貸借について
認可の申請
○要件を満たす高齢者を対象に、終身にわたって住宅を賃貸する事業(終身賃貸業)を行おうとする者(終身賃貸事業者)は、以下の事項を記載した事業認可申請書を作成し、都道府県知事に提出しなければなりません。(法第52条、第53条)
<事業認可申請書の記載事項>
①終身賃貸事業者の氏名又は名称及び住所
②賃貸住宅の位置 ③賃貸住宅の戸数 ④賃貸住宅の規模・設備・加齢構造等の対応
⑤整備を行う場合は整備の資金計画 ⑥賃借人の条件に関する事項
⑦賃貸の条件に関する事項 ⑧賃貸住宅の管理の方法
⑨整備の実施事項 ⑩事業の基本方針に照らして適切なものである旨
※サービス付き高齢者向け住宅の登録申請と併せて行う場合は、
②~④を省略可
○事業認可申請書には、以下の書類を添付しなければなりません。(法第53条・省令第32条)
<事業認可申請書の記載事項>
① 認可を申請しようとする者が当該認可に係る賃貸住宅の整備(既存の住宅その他の建物の改良によるものを除く。)をしようとする場合:縮尺、方位、間取り、各室の用途及び設備の概要を表示した各階平面図
② 前号に掲げる場合以外の場合:賃貸住宅の規模及び設備の概要を表示した間取図
③ 賃貸住宅の整備をして事業を行う場合:当該整備に関する工事の完了前に、敷金を受領せず、かつ、終身にわたって 受領すべき家賃の全部又は一部を前払金として一括して受領しないことを誓約する書面
④ その他都道府県知事が必要と認める書類
認可
○都道府県知事は、終身賃貸業に係る認定の申請があった場合、次ページに掲げる基準に適合すると認めるときは、事業の認可をすることができます。(法第54条)
法定の手続(事業者が行うもの) 法定の手続(都道府県知事が行うもの)
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終身建物賃貸借制度の手続フロー①(認可の申請~認可)
認可
○都道府県知事は、終身賃貸業に係る認定の申請があった場合、以下に掲げる基準に適合すると認める
ときは、事業の認可をすることができます。(法第54条)
<認可基準>
①終身賃貸事業者が、事業の遂行に必要な資力・信用・その他必要な能力を有するものであること。
②賃貸住宅が以下の基準に適合するものであること。
(ⅰ)賃貸住宅の規模・設備が国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
(規模:1戸当たり原則25㎡以上、設備:各戸が台所、水洗便所、浴室等を具備していること)
(ⅱ)賃貸住宅の加齢対応構造等が、高齢者が日常生活を支障なく営むために必要な構造及び設備の基準として
国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
(原則として床に段差がないこと、便所・浴室・住戸内の階段に手すりを設けること 等)
③賃貸住宅において終身建物賃貸借をするものであること。
④賃借人となろうとする者から仮入居の申し出があった場合は、終身建物賃貸借に先立ち、1年以内の期間を定 めた定期建物賃貸借をするものであること。
⑤賃貸の条件が、権利金その他の借家権の設定の対価を受領しないものであること等適正に定められていること。
⑥賃貸住宅の管理の方法が国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
⑦基本方針(高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針)に照らして適切であるものであること。 等
通知
○都道府県知事は、事業の認可をしたときは、その旨を事業の認可を受けた終身賃貸事業者(認可事業者)に通知しなければなりません。(法第55条)
※個々の契約を行うたびに認可を受ける必要はありませんが、認可を受けた事業の変更(賃貸の条件等の変更)をしようとするときは、都道府県知事に申請を行い認可を受けなければなりません。
法定の手続(都道府県知事が行うもの)
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終身建物賃貸借制度の手続フロー②(認可~通知)
仮入居
○賃借人となろうとする者(複数名である場合はその全員)から仮に入居する旨の申し出があった場合、終身建物賃貸借に先立ち、仮入居のための1年以内の期間を定めた定期建物賃貸借をしなければなりません。
※賃借人となろうとする者が仮入居の申し出をしなかった場合は不要です。
契約・入居
○賃借人と終身建物賃貸借契約を結びます。
・この契約は、xx証書による等書面によるものでなければなりません。
・契約期間は賃借人の死亡に至るまで存続し、かつ、賃借人が死亡した時に終了するものとします。
○このとき、権利金などの借家権の設定の対価を設定することはできません。
○また、更新料を取ることもできません。
契約の終了
○終身建物賃貸借は、原則として、賃借人の死亡をもって終了します。この契約は、相続されません。
・ただし、賃貸人や賃借人のやむを得ない事情によって解約される場合など、賃借人の死亡以外の事由で契約が終了することも考えられます。
・また、期間の定めのある終身建物賃貸借(期間付死亡時終了建物賃貸借)を締結していた場合は、そ
の契約は期間の満了又は賃借人の死亡によって終了します。
※家賃の全部又は一部を前払金として事業者が受領した場合で、かつ、賃借人の想定居住年数より前に契約が終了した とき、既に支払った分の家賃からそれまでに居住した分の家賃を差し引いた額を返還しなければなりません。
同居者による居住の継続
~終了
○終身建物賃貸借に基づく権利は相続されませんが、賃借人と同居していた者については、居住の保護を 図るため、以下の規定が置かれています。
①短期居住
賃借人と同居する者が賃借人の死亡を知った日から1か月を経過する日までの間は、その者は引き続き当該住宅に住み続けることができます。(法第61条)
②継続居住
①の1か月の間に、賃借人と同居していた者が引き続き当該住宅に住み続ける意思を示した場合、事業者は賃借人と結んでいた 契約と同じ条件の終身建物賃貸借の契約をしなければなりません。(法第62条)
この契約は、賃借人と同居していた者(新たな契約者)の死亡をもって終了し、相続されません。
法定された必須の手続(事業者が行うもの)
法定された任意の手続
賃借人等の申し出に基づき
事業者が行うもの
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終身建物賃貸借制度の手続フロー③(仮入居~契約終了)
①賃借人が1人の場合
賃借人の死亡をもって賃貸契約は終了し、その権利は相続されません。
③賃借人と同居する者がいる場合
書面によって契約をする
②賃借人が複数人の場合
賃借人全員の死亡をもって賃貸契約は終了し、その権利は相続されません。
賃借人
賃借人と同居する者
建物の賃貸借
賃貸人
③賃借人と同居する者がいる場合
賃借人が死亡した場合、その契約は終了します。
ただし、その事実を知った日から1か月以内に、賃借人と同居する者が事業者に対して引き続き同じ住宅に住み続ける旨の申し出をした場合、事業者は最初の賃借人と結んでいた契約と同じ条件で契約を結ばなければなりません。
死亡によって
終了
死
亡
賃借人の死亡を知った日から1か月
以内に、事業者に対し引き続き同じ 住宅に住み続ける旨の申し出
①賃借人が1人の場合
②賃借人が複数人の場合
申し出があった場合、従前の建物の賃貸借と同一の条件で賃借人と同居して
書面によって契約をする
賃貸人
② ① 書面によって契約をする
いた者と契約をしなければならない
賃借人
建物の賃貸借
(認可を受けた
事業者)
賃借人
建物の賃貸借
賃貸人
この間は契約が存続
死 賃借人の死亡をもって
亡 契約終了
(→相続はされない)
② ①
死亡によって終了
亡
死 c
賃借人の一部が 亡くなっても存命の 賃借人の契約は存続
死 賃借人全員の
亡 死亡をもって契約終了
(→相続はされない)
書面によって契約をする建物の賃貸借
この間は契約が存続
死 賃借人の死亡をもって
亡 契約終了
(→相続はされない)
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終身建物賃貸借の期間(期間の定めがない類型)
終身建物賃貸借の期間(期間の定めがある類型)
○契約の更新がない旨の定めがあり、期間が定められた終身建物賃貸借(期 間付死亡時終了建物賃貸借)については、期間の満了又は賃借人の死亡を
賃借人と同居する者がいる場合
書面によって契約をする
建物の賃貸借
もって終了します。
○ただし、期間の定めがない類型と同様に、賃借人と同居する者がいる場合、
賃借人と
同居する者 賃借人
(期間:10年)
(~2028.11)
賃貸人
その者の居住を保護する規定が置かれています。
具体的には、期間満了より前に賃借人が死亡した場合、その事実を知った日から1か月以内に、賃借人と同居する者が事業者に対して引き続き同じ住宅 に住み続ける旨の申し出をした場合、事業者は最初の賃借人と結んでいた契
死
5年
(2023.11)
亡
10年経過する前に賃借人の死亡に よって終了
約と同じ終期の終身建物賃貸借契約を結ばなければなりません。
賃借人の死亡を知った日から1か月 以内に、事業者に対し引き続き同じ住宅に住み続ける旨の申し出
期間満了より早く賃借人が死亡した場合
書面によって契約をする
期間満了の時点で賃借人が存命の場合
書面によって契約をする
申し出があった場合、従前の建物の賃貸借と同一の条件で賃借人と同居して いた者と契約をしなければならない
賃借人
建物の賃貸借
(期間:10年)
賃貸人
賃借人
建物の賃貸借
(期間:10年)
賃貸人
(認可を受けた事業者)
10年間は
書面によって契約をする建物の賃貸借
(~2028.11)
10年経過するより早く
8年 賃借人が死亡
契約が存続
この間は契約が存続
死 期間の満了を待たず、
亡 賃借人の死亡をもって
契約終了
10年
賃借人が生きている場合も、
死
存 賃借人の死亡または
(→相続はされない)
存 10年間が経過すれば
命 契約終了
亡
(期間満了前) 命
期間満了をもって
契約終了
(→原則として契約は更新されない)
(2028.11)
(→相続はされない) 7
終身建物賃貸借の解約等について
認可事業者(賃貸人)による解約の申入れ
○認可事業者(賃貸人)は、以下の場合に限り※、解約の申入れが可能。
※一般の建物賃貸借契約と同様、家賃の不払い、用法義務違反等の債務不履行を理由として
解除することも当然に可能。
(都道府県知事の承認不要)
※真にやむを得ない事由であり、不当な追い出しとならないよう、都道府県知事の承認が必要
(一般の場合には適用される借地借家法第28条の「正当事由」によらない。)
※申入れの日から6月を経過することにより終了(借地借家法第27条第1項)。
① 認可住宅の老朽、損傷、一部の滅失その他の事由により、修繕等に過分の費用を要するに至ったとき。
・「過分の費用」の判断は、家賃の価額その他の事情に照らし、認可基準(法58条第2号)を勘案して適切な規模、構造及び設備等に認可住宅を維持又は回復するのに要する費用が過分かどうかを判断する。
② 賃借人が長期間にわたって居住せず、かつ当面居住する見込みがないことにより、適正な管理が困難と
なったとき。
・賃借人が2人以上いるときは、当該賃借人の全員が居住していないことが必要。
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○入居者(賃借人)は、以下の場合に解約の申入れが可能。
※①~③は、申入れの日から1月を経過することにより終了。④は、設定された解約期日に終了。
○さらに、これとは別に、賃借人に有利な特約を設定しておくことも可能。(例えば、特別な事情を要せず、1ヶ月前に通知することにより解約できる中途解約xx。)
① 療養、老人ホームへの入所その他のやむを得ない事情により、認可住宅に居住することが困難となった
とき。
② 親族と同居するため、認可住宅に居住する必要がなくなったとき。
③ 認可事業者が都道府県知事の改善措置命令に違反したとき。
④ 解約の期日を申入れの日から6月以上経過する日に設定し、解約を申入れたとき。
入居者(賃借人)による解約の申入れ
区分 | 終身建物賃貸借 | 期間付死亡時終了建物賃貸借 | 普通建物賃貸借 | 定期建物賃貸借 |
特定の根拠法 | 高齢者の居住の安定確保に関する法律第52条、第54条 | 高齢者の居住の安定確保に関する法律第57条、第54条、借地借家法第38条 | - | 借地借家法第38条 |
対象建物 | 認可住宅 | (同左) | 全て | (同左) |
対象賃借人 | 高齢単身者、高齢夫婦、高齢親族 | (同左) | 全て | (同左) |
書面契約 | 必要 | (同左) | 不要 | 必要 |
期間又は期限 | 賃借人の死亡に至るまで | 当事者間で定めた期間 (賃借人が死亡した場合は、当該死亡に至るまで) | 当事者間で定めた期間(1年以上)又は期間の定めなし | 当事者間で定めた期間 (1年未満も可) |
契約の更新 | - | 期間が満了すれば必ず終了する ※再契約は可能 | 正当事由がない限り更新される | 期間が満了すれば必ず終了する ※再契約は可能 |
借賃増減請求権 | 借賃の額の増減を請求できる (※賃料を改定しない特約があるときは増減を請求できない) | (同左) | 借賃の額の増減を請求できる (※賃料を増額しない特約があるときは増額を請求できない) | 借賃の額の増減を請求できる (※賃料を増減しない特約があるときは増減を請求できない) |
賃貸人が契約の更新拒絶又は解約の申入れができる場合 | ①老朽、損傷等により、家賃等に照らし、加齢対応構造等の賃貸住宅として維持又は回復するのに過分の費用を要するとき ②賃借人が長期間住宅に居住せず、かつ、当面居住する見込みがなく、適正な管理が 困難なとき | 該当なし | ①建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要する事情 ②賃貸借に関する従前の経過 ③建物の利用状況、現状 ④明渡しの条件等として財産上の給付の申出をした場合のその申出を考慮して正当な事由があると認められる場合 | 該当なし |
賃借人の中途解約(いずれの場合も賃借人に不利とならない特約をもうけることは可) | 以下①~④の場合に申入れが可能 ①療養、老人ホーム等への入所等により、居住することが困難となったとき ②親族と同居するため、居住する必要がなくなったとき ③賃貸人に改善命令違反があったとき (①~③は、申込後1ヶ月を経過することにより終了) ④6ヶ月以前の解約の申入れ | (床面積200㎡未満の住宅) 転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により生活の本拠にできない場合 (申込後1ヶ月を経過することにより終了) ※定期建物賃貸借と同じ | ・期間の定めがある場合は不可 ・期間の定めがない場合はいつでも申入れ可 (申込後3ヶ月を経過することにより終了) | (床面積200㎡未満の住宅) 転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により生活の本拠にできない場合 (申込後1ヶ月を経過することにより終了) |
相続の有無 | なし ※賃借人の死亡後の同居配偶者等の一時居住(1か月)及び申し出に基づく継続居住の契約は認められる | (同左) | あり | (同左) |
譲渡・転貸の可否 | 不可 | (同左) | 賃貸人の同意が有れば可 | (同左) 9 |
終身建物賃貸借制度と他の建物賃貸借制度との比較
終身建物賃貸借を行う上でのバリアフリー(加齢対応構造)基準について
終身建物賃貸借のバリアフリー基準
終身建物賃貸借を行う賃貸住宅は、その加齢対応構造が、段差のない床、浴室等の手すり、介助用の車いすで移動できる幅の廊下その他の加齢に伴って生ずる高齢者の身体の機能の低下を補い高齢者が日常生活を支障なく営むために必要な構造及び設備の基準として国土交通省令で定める基準に適合するものでなければならない。(法第54条第1号ロ)
【既存】建築物の基準
◆単独省令第34条第2項
都道府県知事が既存の住宅に係る法第五十三条に規定する 事業の認可をする場合における法第五十四条第一号ロの国土交通省令で定める基準は、前項の規定にかかわらず(=新築の場合の規定は適用せず)、次に掲げるものとする。
① 便所、浴室及び住戸内の階段には、手すりを設けること。
② その他国土交通大臣の定める基準に適合すること。
【新築】建築物の基準
◆単独省令第34条第1項 (法第五十四条第一号ロの国土交通省令で定める基準)
① 床は、原則として段差のない構造のものであること。
② 主たる廊下の幅は78㎝以上であること。
③ 主たる居室の出入口の幅は75㎝以上とし、浴室の出入口の幅は60㎝以上であること。
④ 浴室の短辺は130㎝以上とし、その面積は2㎡以上であること。
⑤ 住戸内の階段の各部の寸法は、次の各式に適合するものであること。
T≧19.5 R/T≦22/21 55≦T+2R≦65
T 踏面の寸法、 R 蹴上げの寸法
⑥ 主たる共用の階段の各部の寸法は、次の各式に適合するものであること。
T≧24 55≦T+2R≦65
⑦ 便所、浴室及び住戸内の階段には、手すりを設けること。
⑧ 階数が三以上である共同住宅の用途に供する建築物には、原則とし
て当該建築物の出入口のある階に停止するエレベーターを設置すること。
⑨ その他国土交通大臣の定める基準に適合すること。
平成30年9月の省令改正で
既存建築物の基準を緩和しました
(新築の建築物の基準については改正していません)
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)のバリアフリー基準
サ高住の登録を行うためには、その加齢対応構造が、第54条第1号ロの基準又はこれに準ずるものとして国土交通省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものでなければならない。(法第7条第1項第3号)
サ高住の基準は平成30年9月の省令改正では改正していません
◆共同省令第10条 ※
・単独省令第34条第1項の①、⑤、⑥、⑦
・その他国土交通大臣及び厚生労働大臣の定める基準に適合すること
※既存の建築物を改良してサ高住を整備してサ高住の登録を受ける場合に、その建築物の建築材料又は構造方法により、法第五十四条第一号ロに規定する基準をそのまま適用することが適当でない
と認められる加齢対応構造等である構造及び設備について適用されるもの 10
Q. 終身建物賃貸借契約を使うのにはどうすればいいですか。
A.
○ 事業認可申請書を作成・申請し、都道府県知事から認可を受ける必要があります。
○ 申請先は、認可を受けようとする建築物が政令市又は中核市にある場合にはそれぞれの市、それ以外の市町村の場合 は都道府県になります。
○ 事前に認可を受けておけば、個々の契約ごとに認可をとる必要はありません。
Q. 認可を受けるためにはどこに行き、どのような手続きが必要ですか。
A.
○ 認可を受けようとする建築物が政令市又は中核市にある場合にはそれぞれの市、それ以外の市町村の場合は都道府県にお問い合わせください。(なお、担当部署は住宅部局が多いと思われますが、具体的には各市町村・都道府県にご確認ください。)
○ その上で、事業認可申請書等の必要な書類を提出していただくことになります。添付書類は簡素化されており、新築ではない既存住宅の場合、①賃貸住宅の規模及び設備の概要を表示した間取り図、②その他都道府県知事が必要と認める書類、を添付していただければ良いこととなりました。
Q. 入居者との契約時に認可をとるのでは、時間がかかりすぎるのではないですか。
A.
○ 個々の契約ごとに認可をとるのではなく、事前に認可を得ておく制度です。
○ なお、現在入居者がいる場合にも認可申請は可能ですが、認可取得後も現在の入居者には終身建物賃貸借の効果は 及びません。(ただし、現在の入居者と改めて、終身建物賃貸借である旨を明記したxx証書による書面等により賃貸借契約を結び直した場合には、現在の入居者とも終身建物賃貸借契約が可能です。)
Q. モデルの契約書はどこで手に入れることができますか。
A.
よくあるご質問①<申請・認可>
Q. 終身建物賃貸借制度の対象となる入居者(同居者)の範囲はどうなっていますか。認可を受けると、高齢者以外は一切入居できないのでしょうか。
A.
○ 終身建物賃貸借制度の対象となる入居者は、60歳以上ですが、配偶者については60歳未満である者も同居者として認められています。
○ なお、認可を受けた賃貸住宅に高齢者以外の者を普通借家契約等で入居させることは差し支えありません。
Q. 収入や連帯保証人の有無等により高齢者の入居を断ることは可能ですか。
A.
○ 終身建物賃貸借の認可を受けたとしても、収入や連帯保証人の有無等により高齢者の入居を断ることが一切出来ないような制限は条文上はありません。
○ しかしながら、平成29年に住宅セーフティネット法が改正されたことを受け、居住支援法人や代理納付の仕組みのほか、家賃債務保証業者の登録制度などを設け、そのような入居拒否が生じないような施策を講じていますので、こうした制度を活用のうえ、なるべく入居拒否を行わないようにお願いいたします。
Q. 入居希望者にはどのような形で終身建物賃貸借契約ということが伝わるのですか。
A.
○ 入居募集の広告に終身建物賃貸借の認可を受けていることを掲載する方法が一般的だと思われます。
○ なお、終身建物賃貸借契約は宅地建物取引業法における重要事項説明の項目となっているほか、契約時には終身建物賃貸借契約である旨をxx証書による書面等に明記する必要があります。
※住宅の老朽化等による賃借人からの解約の申入れなどは可能であるので、一切の例外なく死ぬまで必ず契約が継続する かのような表示は、景品表示法に抵触する恐れがあり、注意が必要です。
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よくあるご質問②<入居・契約>
Q. 終身建物賃貸借契約を行ってしまうと、悪質な入居者に対しても解除できないのですか。
A.
○ 一般の賃貸借契約と同様、家賃の不払い、用法義務違反等により、信頼関係の破壊が認められる場合には、解除することが可能です。(都道府県知事の承認不要)
Q. 老朽化によりやむを得ず立退きをお願いする場合、通常の賃貸借契約同様、立退料は発生しますか。
A.
○ 老朽化など高齢者居住安定確保法第58条に列挙された認可事業者による解約の申入れ事由は、不当な追い出しとならないよう、都道府県知事の承認が必要となります。
○ その代わり、一般の場合には適用される借地借家法第28条の解約申入れに係る規定は適用されないため、立退料は正 当事由として認められません。
Q. 賃借人の死亡後、同居者が継続入居を希望した場合に、家主が断ることは可能ですか。
A.
○ 同居者は、賃借人の死亡の事実を知った日から1か月の間に限り、居住保護の必要性から引き続き同一の住宅に一時 居住する権利が認められています。
○ さらに、同居者が事業者に対して引き続き同じ住宅に住み続ける旨の申し出をした場合、家主(事業者)は最初の賃借人
と結んでいた契約と同じ条件で契約を結ばなければなりません。
○ この場合、家賃値上げ要求等は出来ません。
Q. 入居者が死亡した場合、残置物の処理や遺体の埋葬は誰が行いますか。
A.
○ 終身建物賃貸借を活用することにより、賃借人の死亡によって確定的に契約が終了するため、居室内への立ち入りが可
能となりますが、残置物の処理や遺体の埋葬については通常の賃貸借契約の場合と取扱いに差はありません。
○ 終身建物賃貸借を利用する場合の標準的な契約書に位置づけられた「残置物の引取り等」に係る条項を契約書に含めておくことにより、残置物の処理が円滑に行える可能性があります。
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よくあるご質問③<退去・解約・契約終了>
Q. 終身建物賃貸借制度と借地借家法との関係はどうなっているのですか。
A.
○ 終身建物賃貸借は、賃借人となれる者を高齢者に限定するとともに、対象となる建物を高齢者向けのバリアフリーの賃貸住宅に限定して、借地借家法第30条の規定(賃借人に不利な特約を無効とする規定)にかかわらず、賃借人が死亡したと きに終了する旨を定めることができることとする制度(借地借家法の特例)です。
Q. 終身建物賃貸借に先立つ仮入居の制度(任意)が設けられている趣旨は何ですか。
A.
○ 終身建物賃貸借は、終身という長期間に及ぶ継続的な契約であることから、実際に居住する体験を通じて慎重に契約締
結手続を進めることが有意義であるためです。
Q. 終身建物賃貸借の認可を受けつつ、セーフティネット住宅の登録をして補助金を受けることは可能ですか。
A.
○ 終身建物賃貸借の認可を受けた住宅を、セーフティネット住宅として登録してはならないという定めはありません。
したがって、入居者を「高齢者」である「住宅確保要配慮者」に限定したセーフティネット住宅として登録を受けていただけ れば、補助金を受けることは可能です。
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よくあるご質問④<その他>