内容などの各種データの入力作業ホームページ作成…HTML(ハイパーテキスト記述言
在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン
厚生労働省では、在宅ワークを安心して行うことができるようにするため、発注者が在宅ワーカーと契約を結ぶ際に守るべき最低限のルールを定めています。
在宅ワーカーのみなさんも、このガイドラインに沿った契約内容となっているか、よく確認しましょう。
在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン
第1 趣 旨
このガイドラインは、在宅ワークの契約に係る紛争を未然に防止し、かつ、在宅ワークを良好な就業形態とするために、在宅ワークの契約条件の文書明示や契約条件の適正化などについて必要な事項を示すものである。在宅ワークの仕事を注文する者は、契約を締結する際には、在宅ワーカーと協議した上で契約の内容を決定するとともに、第3に示す内容を守っていくことが求められる。
第2 定 義
このガイドラインにおける以下の用語の意味は、それぞれに定めるところによる。
(1) 在宅ワーク
情報通信機器を活用して請負契約に基づきサービスの提供等(例えば、テープ起こし、データ入力、ホームページの作成、設計・製図等)を行う在宅形態での就労をいう(法人形態により行っている場合や他人を使用している場合などを除く。)。
*12~15ページの は、チェック欄としてご活用ください。
解 説
* 情報通信機器を活用して在宅形態で自営的に行われる働き方のうち、請負的にサービスの提供を行うものなどを「在宅ワーク」といいます。
在宅ワークには多種多様なものがありますが、ガイドラインの適用対象となる在宅ワークとは、その中でも保護の必要性の高いと考えられる、事業者性が弱いものです。
<主な職種>
文書入力 手書き原稿などのパソコン入力な
どの作業
テープ起こし……講演、座談会などの録音テープの内
容のパソコン入力などの作業
データ入力 各種調査票などの氏名、住所、調査
内容などの各種データの入力作業ホームページ作成…HTML(ハイパーテキスト記述言
語)を用いてホームページを作成する作業
設計・製図 パソコン上で行う設計・製図の作業
* 法人形態により行っている場合や他人を使用している場合などは事業者性が高いと考えられるのでガイドラインの適用対象とはなりません。
* なお、外部記憶媒体(CD-R/CD-RWなど)の提供または受渡しを受けて、原稿を当該外部記憶媒体に入力し、それを納入する場合、家内労働法上の「家内労働」に該当しますので、このガイドラインの適用対象とはなりません。
解 説
* 自らの仕事を注文する者だけでなく、他者から仕事を請け負い、これを個々の在宅ワーカーに注文する者(仲介業者)も当然注文者に含まれます。
* 契約後に疑義を生じ、トラブルが発生することのないよう、注文者は在宅ワーカーと話し合ったうえで、左記①から⑩の基本的な事項について文書で明示しましょう。
* 注文者が特定でき、確実に連絡が取れるよう明確にしておきましょう。
* 仕事の内容について、双方に思い違い、誤解があることが、報酬の支払などへのトラブルにつながりがちですので、内容が明確に分かるように注意しましょう。
* 報酬の支払などに関するトラブルが少なくないので、明確にしましょう。
* 通信費、宅配料金など仕事にかかる経費において、注文者が負担する経費がある場合には、あらかじめその範囲を明確にしましょう。
* 報酬の支払期日は納品日から起算して○日以内とされる場合も多いので、確実に成果物が納品されることが重要です。
* 契約締結後に契約内容に変更が生じることがあるため、契約締結時にあらかじめ契約条件の変更に関する取扱いについて明らかにしておきましょう。
契約条件の変更に当たっては、その後のトラブルの発生を防止するため、新たに契約を締結し直しましょう。その場合には、以前の契約に基づく作業の成果物、報酬などの取扱いについても注文者と在宅ワーカー双方で十分話し合いましょう。
* 成果物が不完全であった場合や在宅ワーカーの責任で契約書に定めた内容が守られなかった場合には、注文者は在宅ワーカーに補修や損害の賠償を求めることがあり得ます。その場合の取扱いに
在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン
(2) 在宅ワーカー
在宅ワークを行う者をいう。
(3) 注文者
在宅ワークの仕事を在宅ワーカーに注文する者をいう。
第3 注文者が守っていくべき事項
(1) 契約条件の文書明示及びその保存
イ 契約条件の文書明示
注文者は、在宅ワーカーと在宅ワークの契約を締結するときには、在宅ワーカーと協議の上、在宅ワーカーに対して、次の①から⑩の事項を明らかにした文書を交付すること。
ただし、契約期間が一定期間継続し、受発注が繰り返されるような場合、各回の受発注に共通する事項を包括的な契約とし、納期等各回の個別の事項をその都度の契約内容として、それぞれ明示することも可能であること。
①注文者の氏名、所在地、連絡先
②注文年月日
③注文した仕事の内容
④報酬額、報酬の支払期日、支払方法
⑤注文した仕事にかかる諸経費の取扱い
⑥成果物の納期、納品先、納品方法
⑦契約条件を変更する場合の取扱い
⑧成果物が不完全であった場合やその納入が遅れた場合等の取扱い(補修が求められる場合の取扱いなど)
解 説
ついて、在宅ワーカーの責任を含めあらかじめ明確にしておきましょう。
* コンピュータープログラム、物品のデザインなど、成果物に知的財産権(著作権、意匠権など)が付与される場合、知的財産権の帰属先、当該権利が注文者に移転される場合の対価、権利が在宅ワーカーに帰属する場合の使用許諾の対価などをあらかじめ明確にしておきましょう。
* 注文者は、個人情報の取扱いを在宅ワーカーに委託する場合、その個人情報が安全に管理されるよう、在宅ワーカーに対して、必要かつ適切な監督を行わなければなりません。そのため、契約範囲外での個人情報の利用を禁止することなど、在宅ワーカーが守るべき個人情報の安全管理に関する事項などをあらかじめ明らかにしておきましょう。
* 在宅ワークは情報通信機器を活用した働き方であり、電子メールでのやり取りが一般的に行われていることから、電子メールによる契約条件の明示も差し支えありませんが、在宅ワーカーから文書の交付を求められたときは、速やかに文書を交付する必要があります。
* 最低賃金とは、最低賃金法による最低賃金、つまり地域別最低賃金および特定最低賃金を意味します。
* 在宅ワーカーの報酬と最低賃金とを比較する際には、標準的な在宅ワーカーの時間当たりの作業量から想定される時間当たりの報酬額をもとに比較するという方法が考えられます。
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⑨成果物に係る知的財産権の取扱い
⑩在宅ワーカーが業務上知り得た個人情報の取扱い
ロ 契約条件の文書保存
注文者は、在宅ワーカーとの契約条件をめぐる紛争を防止するため、上記イの事項を記載した文書を3年間保存すること。
ハ 電子メールによる明示
上記イの①から⑩の事項は、文書の交付に代えて電子メールにより明示してもよい。ただし、その場合でも、在宅ワーカーから文書の交付を求められたときは、速やかに文書をその在宅ワーカーに交付すること。
(2) 契約条件の適正化
イ 報酬の支払
① 報酬の支払期日
報酬の支払期日については、注文者が在宅ワーカーから成果物を受け取った日から起算して30日以内とし、長くても60日以内とすること。
② 報酬の額
報酬の額については、同一又は類似の業務に従事する在宅ワーカーの報酬、注文した仕事の難易度、納期の長短、在宅ワーカーの能力等を考慮することにより、在宅ワーカーの適正な利益の確保が可能となるように決定すること。
なお、報酬の額については、最低賃金を参考にすることも考えられる。
解 説
在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン
ロ 納期
納期については、在宅ワーカーの作業時間が長時間に及ばないように設定すること。その際には、通常の労働者の1日の労働時間(8時間)を目安とすること。
ハ 継続的な注文の打切りの場合における事前予告
同じ在宅ワーカーに、例えば6月を超えて毎月1回以上在宅ワークの仕事を注文しているなど継続的な取引関係にある注文者は、在宅ワーカーへの注文を打ち切ろうとするときは、速やかに、その旨及びその理由を予告すること。
ニ 契約条件の変更
契約条件を変更する場合には、在宅ワーカーと十分協議の上、上記(1)のイに掲げる事項の内容を確認し、文書を交付すること。在宅ワーカーが契約条件の変更に応じない場合であっても、それにより不利益な取扱いを行わないようにし、当初の契約内容を守ること。
ホ その他
成果物が不完全であったこと、その納入が遅れたこと等により損害が生じた場合に、上記(1)のイに基づきあらかじめ契約書において在宅ワーカーが負担すると決めている範囲を超えて責任を負わせないようにすること。
(3) その他
イ 注文者の協力
注文者は、在宅ワーカーが業務を遂行する上で必要な打合せに応じる等、契約内容を履行するために必要な協力を行うことが望ましいこと。
* 「通常の労働者の1日の労働時間(8時間)を目安とする」とは、仕事の納期を定めるに当たって、通常の雇用労働者の1日の所定内労働時間の上限である8時間を在宅ワーカーの作業時間の上限の目安とするという趣旨です。
* 8時間を目安として納期を設定する際には、標準的な在宅ワーカーの時間当たりの作業量から想定される、発注した仕事に必要な作業時間数をもとに設定するという方法が考えられます。
* 継続的に同一の注文者から仕事を得ている在宅ワーカーにおいては、仕事が突然打ち切られると生活設計の変更を余儀なくされることがありますので、その影響をできるだけ小さくするため早めに予告するという趣旨です。
* 打ち切る理由としては、例えば、注文者が「業務量を縮小したため」や在宅ワーカーが毎回のように「納期を守らないため」、「仕事の出来具合に問題があるため」などが考えられますが、いずれにしろ、その理由を在宅ワーカーに明確にすることが必要です。
* 仕事の完成によって報酬が支払われる請負契約の性質から、プロジェクト期間が延長されると報酬の支払時期も遅くなるため、在宅ワーカーの経済的負担が大きくなることが予想されます。
当初の契約に基づく作業の進み具合に応じて報酬の一部を支払う特例を定めるなどの対応が望まれます。
* このガイドラインでは、成果物が不完全であった場合や納期が遅れた場合の取扱いを、文書明示すべき事項としていますが、そのような場合で損害が生じたときに、あらかじめ契約に定められている範囲を超えて在宅ワーカーに責任を負わせないようにしましょう。
損害の発生に関して、注文者側にも責任がある場合は、責任分担を無視して一方的に在宅ワーカーに責任を課すなど、不当な負担を課すことがあってはなりません。
解 説
在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン
ロ 在宅ワーカーの個人情報の保護
注文者は、在宅ワーカーの個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的をできる限り特定すること。また、あらかじめ本人の同意を得ないで、利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱わないこと。
注文者は、在宅ワーカーの個人情報の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じるほか、個人情報の保護に関する法律を遵守すること。
ハ 健康確保措置 VDT作業(注)の適正な実施方法、腰
痛防止策などの健康を確保するための手法について、注文者が在宅ワーカーに情報提供することが望ましいこと。
ニ 能力開発に関する支援
注文者は、在宅ワーカーが能力の開発及び向上を図ることができるように、業務の遂行に必要な技能及びこれに関する知識の内容及び程度その他の事項に関する情報の提供等、在宅ワーカーの能力開発を支援することが望ましいこと。
ホ 担当者の明確化
注文者は、あらかじめ、在宅ワーカーから問い合わせや苦情等があった場合にそれを受け付ける担当者を明らかにすることが望ましいこと。
ヘ 苦情の自主的解決
注文者は、在宅ワーカーから苦情の申出を受けたときは、在宅ワーカーと十分協議する等、自主的な解決を図るように努めること。
(注) VDT作業とは、ディスプレイ、キーボード等により構成されるVDT機器を使用してデータの入力・検索・照合等、文章・画像等の作成・編集・修正等、プログラミング、監視等を行う作業をいう(平成14年4月厚生労働省「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」)。
* 眼精疲労、腰痛などを感じる在宅ワーカーが多く、特にVDT作業対策や腰痛の防止対策が重要です。注文者は、VDT作業の適正な実施方法、腰痛防止対策などの健康を確保するための方法について情報提供を行うことが望まれます。
* 在宅ワークは自営的な働き方であるため、在宅ワーカーは主に自己啓発によって能力開発を行う必要がありますが、習得すべき知識・技能に関する情報は少なく、自己啓発を行いにくい状況にあります。このため、注文者は、在宅ワーカーに必要と思われる能力開発に関する情報を提供するなどにより、在宅ワーカーの能力開発に関する支援を行うことが望まれます。
* 在宅ワーカーが作業を進める中で、問い合わせや苦情を申し出たい場合にすぐに連絡できるようにしておくと、問題の早期発見、トラブル防止に役立ちます。注文者は、それを受け付ける窓口となる担当者の氏名、連絡先をあらかじめ、在宅ワーカーに明らかにすることが望まれます。
* 厚生労働省では、平成14年4月に「VDT作業のための労働衛生管理のためのガイドライン」を策定し、VDT作業における労働衛生管理などに関する事業場での自主的対策を示しています。