Contract
一般社団法人 日本商事仲裁協会商事仲裁規則
平成 20 年 1 月 1 日改正・施行
第1章 総則
第1条(目的)
この規則は、日本商事仲裁協会(以下「協会」という)における仲裁に関して必要な事項を定めることを目的とする。
第2条(定義)
1 この規則において「基準日」とは、協会が第15条第1項に定める仲裁申立ての通知を発信した日から3週間を経過する日とする。ただし、被申立人がその日より後に申立ての通知を受領したことを証明したときは、その受領日を基準日とする。
2 前項の規定にかかわらず、協会が第15条第2項に規定する方法により仲裁申立ての通知を発信したときは、その通知が通常到達すべきであった日を基準日とする。
3 この規則において、「当事者」とは、申立人または被申立人をいう。複数の申立人および複数の被申立人は、仲裁人の選任については、それぞれ1人の当事者とみなす。
第3条(この規則の適用)
1 この規則は、当事者が紛争を協会の規則による仲裁または単に協会における仲裁に付する旨の合意(以下「仲裁合意」という)をした場合に適用される。
2 当事者が仲裁合意をしたときは、この規則はその合意の内容となったものとする。ただし、当事者は、仲裁xが同意することを条件として、この規則と異なる合意をすることができる。
第4条(この規則の解釈)
この規則の解釈につき疑義が生じたときは、協会の解釈に従うものとする。ただし、仲裁xが行った解釈は、その仲裁事件において、協会の解釈に優先する。
第5条(仲裁合意)
1 仲裁合意は、当事者全員が署名した文書、当事者が交換した書簡または電報(ファクシミリ装置その他の隔地者間の通信手段で文字による通信内容の記録が受信者に提供されるものを用いて送信されたものを含む)その他の書面によってしなければならない。
2 書面によってされた契約において、仲裁合意を内容とする条項が記載された文書が契約の一部を構成するものとして引用されているときは、その仲裁合意は、書面によってされたものとする。
3 仲裁合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子 計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この規則において同じ)
によってされたときは、その仲裁合意は、書面によってされたものとする。
4 仲裁手続において、一方の当事者が提出した申立書に仲裁合意の内容の記載があり、これに対して他方の当事者が提出した答弁書にこれを争う旨の記載がないときは、その仲裁合意は、書面によってされたものとみなす。
第6条(仲裁x)
1 この規則による仲裁は、第23条から第26条まで、第31条、第45条(第
44条第2項の規定により準用される場合を含む)および第63条の規定によ り選任された単数または複数の仲裁人によって構成される仲裁廷によって行う。
2 仲裁xは、すべての仲裁人が選任された時に成立する。
3 仲裁廷を構成する仲裁人が複数であるときは、その合議によってその中の1人を仲裁xの長に選任しなければならない。
第7条(仲裁xの意思決定)
1 仲裁人の数が複数である場合には、仲裁xの意思は、仲裁判断を含め、仲裁人の過半数をもって決定する。
2 仲裁xの意思の決定について仲裁人の意見が可否同数となったときは、仲裁xの長の決するところによる。
第8条(事務局)
1 この規則による仲裁に関する事務は、協会の事務局が行う。
2 協会の事務局は、仲裁廷または当事者の要請があるときは、審問を録音し、仲裁手続を遂行するために必要な通訳、速記、審問xxを手配する。
第9条(仲裁人名簿)
仲裁人選任の便宜をはかるため、協会は仲裁人名簿を作成し、これを常備する。
第10条(代理および補佐)
当事者は、この規則による手続において、自己の選択する者に代理または補佐をさせることができる。
第11条(用語)
1 仲裁xは、当事者間に別段の合意がない限り、遅滞なく仲裁手続における用語を決定しなければならない。仲裁xは、用語を決定するに当り、通訳および翻訳の要否ならびにその費用の負担割合を考慮しなければならない。
2 仲裁xは、すべての証拠書類について、それを提出する当事者に対し、仲裁手続における用語による翻訳文を添付することを求めることができる。
3 協会と当事者または仲裁人との通信は、日本語または英語により行うものとする。
第12条(手続の期間)
1 当事者は、書面による合意により、第2条第1項、第18条第1項および第1
9条第1項に定める期間を除き、この規則に規定する期間を延長することができる。この場合は、当事者は、遅滞なく仲裁x(仲裁xが成立する前においては協会)にその旨を通知しなければならない。
2 仲裁xは、第65条に定める期間を除き、必要と認めるときは、この規則に規
定する期間(仲裁廷が定める期間を含む)を延長することができる。この場合には、仲裁廷は、遅滞なく当事者にその旨を通知しなければならない。
3 仲裁廷が成立する前においては、協会は、この規則による手続に関する期間を定めることができる。
第13条(免責)
仲裁人、協会または協会の役員もしくは職員は、故意または重過失による場合を除き、仲裁手続に関する作為または不作為について、何人に対しても責任を負わない。
第2章 仲裁手続の開始
第14条(仲裁申立て)
1 仲裁手続開始の申立てをするには、申立人は、次に掲げる事項を記載した仲裁申立書を協会に提出しなければならない。
(1) 紛争をこの規則による仲裁に付託すること
(2) 援用する仲裁合意
(3) 当事者の氏名または名称および住所
(4) 代理人を定める場合、その氏名および住所
(5) 申立人または代理人の連絡先(書面送付場所、電話番号、ファクシミリ番号および電子メールアドレス)
(6) 請求の趣旨
(7) 紛争の概要
(8) 請求を根拠づける理由および証明方法
2 代理人によって仲裁手続を行う場合には、代理人は、仲裁申立書とともに、委任状を協会に提出しなければならない。
3 申立人は、仲裁申立ての際、協会の仲裁料金規程に定める申立料金および管理料金を納付しなければならない。協会は、申立人が申立料金および管理料金を納付しないときは、仲裁申立てがなかったものとみなし、その旨を付記して仲裁申立書を申立人に差し戻すことができる。
4 仲裁手続は、仲裁申立書が協会に提出された日に開始したものとみなす。
第15条(仲裁申立ての通知)
1 協会は、前条第1項から第3項までの規定に適合した仲裁申立てがされたことを確認した後、遅滞なく、被申立人に対し、仲裁申立てがあったことを通知する。この通知には、仲裁申立書の写しを添付する。
2 申立人が相当の調査をしても、被申立人の住所、常居所、営業所、事務所および被申立人が申立人からの書面の配達を受けるべき場所として指定した場所(以下「配達場所」という)のいずれをも知ることができないときは、協会は、被申立人の最後の住所、常居所、営業所、事務所または配達場所にあてて書留郵便その他配達を試みたことを証明することができる方法により発信することにより、仲裁申立ての通知をすることができる。
第16条(仲裁xの成立前における仲裁手続の続行)
協会は、仲裁廷の成立前において、被申立人が仲裁合意の成立または効力につ
いて異議を述べた場合であっても、仲裁廷構成のための手続を進めることができる。この場合において、仲裁合意の成立または効力についての異議の当否は、仲裁xの成立後、第33条第1項の規定に従い仲裁xが判断する。
第17条(仲裁手続分離の申立て)
1 複数の者を被申立人とする仲裁申立てがあった場合において、被申立人が、仲裁xの成立前でかつ基準日から3週間を経過する日までに、書面により仲裁手続分離の申立てをしたときは、申立人は、その被申立人および他の被申立人に対し、あらためてそれぞれ仲裁申立てをしなければならない。
2 前項の場合には、あらためてされた仲裁申立てはすべて、当初の仲裁申立書が協会に提出された日にされたものとみなす。ただし、基準日については、あらためてされた仲裁申立てによる。
3 第1項の規定は、第44条の適用を妨げない。
第18条(答弁)
1 被申立人は、基準日から4週間を経過する日までに、次に掲げる事項を記載した答弁書を協会に提出しなければならない。
(1) 当事者の氏名または名称および住所
(2) 代理人を定める場合、その氏名および住所
(3) 被申立人または代理人の連絡先(書面送付場所、電話番号、ファクシミリ番号および電子メールアドレス)
(4) 答弁の趣旨
(5) 紛争の概要
(6) 答弁の理由および証明方法
2 代理人によって仲裁手続を行う場合には、代理人は、答弁書とともに、委任状を協会に提出しなければならない。
3 答弁書の提出があった場合には、協会は、遅滞なく、当事者、および仲裁人が選任されているときは仲裁人に、その写しを送付する。
4 答弁書に反対請求の申立てが含まれているときは、反対請求については次条の規定による。
第19条(反対請求の申立て)
1 被申立人は、基準日から4週間を経過する日までに限り、申立人の請求に関連 し、かつ同一の仲裁合意の対象に含まれる反対請求の申立てをすることができる。仲裁xは、反対請求を申立人の請求と併合して審理しなければならない。
2 前項の反対請求の申立てについては、第14条、第15条および第18条の規定を準用する。
第20条(申立ての変更)
1 申立人(反対請求の申立人を含む)は、同一の仲裁合意の対象に含まれる限り、申立変更書を協会に提出してその申立て(反対請求の申立てを含む。以下本条において同じ)の変更をすることができる。ただし、仲裁xが成立した後においては、申立変更許可申請書を仲裁xに提出してその許可を得なければならない。
2 仲裁xは、前項の許可をするについて予め相手方当事者の意見を聴かなければならない。
3 仲裁xは、申立ての変更が仲裁手続の進行を著しく遅延し、または相手方当事
者の利益を害し、もしくは、その他の事情にてらしてその申立ての変更を許可することが不適当と認めるときは、第1項の許可を行わないことができる。
4 変更された申立てに対する答弁または反対請求については第18条または第
19条の規定を準用する。ただし、期間については、協会または仲裁xが相手方当事者に申立ての変更の通知を発信した日から3週間を経過する日までとする。
第21条(提出部数)
第14条第1項、第18条第1項(これらの規定を第19条第2項および前条第4項において準用する場合を含む)ならびに前条第1項の規定により当事者が提出する書面の部数は、仲裁人の数(これが定まっていないときは3とする)と相手方当事者の数に1を加えた数とする。ただし、委任状は1部で足りる。
第22条(仲裁申立ての取下げ)
1 仲裁xが成立する前においては、申立人は、協会に対し仲裁申立取下書を提出することにより仲裁申立てを取り下げることができる。
2 仲裁xが成立した後においては、xxxは、仲裁xに対し仲裁申立取下書を提出し、かつ仲裁xの許可を得て仲裁申立てを取り下げることができる。
3 前項の申立てがあった場合には、仲裁xは、被申立人の意見を聴いた上で、被申立人が取下げに遅滞なく異議を述べ、かつ、仲裁手続に付された紛争の解決について被申立人が正当な利益を有すると仲裁xが認める場合を除き、仲裁申立ての取下げを許可しなければならない。
4 前項の規定により仲裁申立てが取り下げられた場合には、仲裁xは、仲裁手続の終了決定をしなければならない。
第3章 仲裁廷
第23条(仲裁人の選任)
1 仲裁人は、当事者の合意に従って選任される。
2 当事者間に仲裁人の選任について合意がない場合には、次条から第26条までの規定に従って選任される。
第24条(仲裁人の数)
1 当事者が基準日から3週間を経過する日までに仲裁人の数に関する合意を協会に通知しないときは、仲裁人は1人とする。
2 いずれの当事者も、基準日から3週間を経過する日までに、仲裁人の数を3人とすることを要求する旨を協会に通知することができる。この場合において、協会が、紛争の金額、事件の難易その他の事情を考慮し、これを適当と認め、その旨を当事者に通知したときは、仲裁人は3人とする。
第25条(仲裁人の選任-仲裁人が1人の場合)
1 前条の規定により仲裁人が1人とされた場合には、当事者は、前条第1項に定める通知期限から2週間を経過する日までに、合意によって仲裁人を選任しなければならない。
2 当事者が前項の期間内に第27条の規定に従い仲裁人の選任通知をしない場合には、協会がその仲裁人を選任する。
3 前項の規定により協会が仲裁人を選任する場合において、当事者がいずれの当事者の国籍とも異なる国籍を有する仲裁人を選任することを求めたときは、協会はこれを考慮するものとする。
第26条(仲裁人の選任-仲裁人が3人の場合)
1 第24条第2項の規定により仲裁人が3人とされた場合には、その旨の通知を協会が当事者に発信した日から3週間を経過する日までに、当事者はそれぞれ1人の仲裁人を選任しなければならない。
2 当事者が前項の期間内に第27条の規定に従い仲裁人の選任通知をしない場合には、協会がその仲裁人を選任する。
3 当事者が選任した仲裁人または前項の規定により選任された仲裁人は、協会が、
2人の仲裁人が選任された旨の通知を仲裁人に発信した日から3週間を経過する日までに、さらに1人の仲裁人を選任しなければならない。
4 仲裁人が前項の期間内に第27条の規定に従い仲裁人の選任通知をしない場合には、協会がその仲裁人を選任する。
5 前項の規定により協会が仲裁人を選任する場合には、前条第3項の規定を準用する。
第27条(仲裁人の選任通知)
1 当事者または仲裁人が仲裁人を選任したときは、仲裁人の受諾書を添えて、遅滞なく協会にその氏名、住所、連絡先(電話番号、ファクシミリ番号および電子メールアドレス)および職業を記載した仲裁人選任通知書を提出しなければならない。協会は、当事者が仲裁人を選任した場合には、相手方当事者およびすでに選任されている仲裁人に対し、仲裁人がさらに 1 人の仲裁人を選任した場合には、当事者に対し、それぞれ遅滞なくその写しを送付する。
2 協会が仲裁人を選任したときは、遅滞なく当事者およびすでに選任されている仲裁人に、その者の氏名、住所、連絡先(電話番号、ファクシミリ番号および電子メールアドレス)および職業を通知する。
第28条(仲裁人のxx・独立)
1 仲裁人は、xxかつ独立でなければならない。
2 仲裁人への就任の依頼を受けてその交渉に応じようとする者は、依頼をした者に対し、自己のxx性または独立性に疑いを生じさせるおそれのある事実の全部を開示しなければならない。
3 仲裁人に選任された者は、遅滞なく協会に対し、自己のxx性または独立性に疑いを生じさせるおそれのある事実の全部を開示し、またはそれがない事実を表明する書面を提出しなければならない。協会は、当事者に対し、遅滞なくその写しを送付する。
4 仲裁人は、仲裁手続の進行中、当事者および協会に対し、自己のxx性または独立性に疑いを生じさせるおそれのある事実(すでに開示したものを除く)の全部を遅滞なく、書面によって開示しなければならない。
第29条(仲裁人の忌避)
1 当事者は、仲裁人のxx性または独立性を疑うに足りる相当な理由があるときは、その仲裁人を忌避することができる。
2 仲裁人を選任し、または仲裁人の選任について推薦その他これに類する関与を
した当事者は、選任後に知った事由を忌避の原因とする場合に限り、その仲裁人を忌避することができる。
3 仲裁人の忌避の申立てをしようとする当事者は、仲裁人の選任通知を受領した日または第1項に定める事由のあることを知った日から2週間を経過する日までに、忌避の原因を記載した申立書を協会に提出しなければならない。
4 前項の申立てがあった場合には、協会は、遅滞なく、申立書の写しを添えて、相手方当事者および仲裁人に忌避の申立てがあった旨を通知する。
5 協会は、当事者および仲裁人の意見を聴いた上で、忌避審査委員会に諮り、忌避の当否について、決定する。
第30条(仲裁人の解任)
仲裁人が任務を遂行せずもしくは任務の遂行を不当に遅延しているとき、または法律上もしくは事実上仲裁人が任務を遂行することができないときは、協会はその仲裁人を解任することができる。
第31条(仲裁人の補充)
1 仲裁人が辞任または死亡したときは、協会は、遅滞なく当事者およびその他の仲裁人にその旨を通知しなければならない。
2 当事者間に別段の合意がない限り、辞任または死亡した仲裁人が当事者または他の仲裁人によって選任された者である場合には、選任した当事者または仲裁人は、前項の通知を受けた日から3週間を経過する日までに、新たな仲裁人を選任しなければならない。辞任または死亡した仲裁人が協会によって選任された者である場合には、協会は、その旨を知った日から3週間を経過する日までに、新たな仲裁人を選任しなければならない。
3 当事者または他の仲裁人が前項の期間内に第27条の規定に従い新たな仲裁人の選任通知をしないときは、協会が新たな仲裁人を選任する。
4 前2項の規定は、第29条による忌避の申立てに対し、協会が忌避の原因があると認める決定をした場合、および前条の解任の場合における新たな仲裁人の選任について準用する。
第4章 仲裁手続
第1節 審理手続 第32条(審理手続の指揮)
1 審問その他の審理手続は、仲裁xの指揮の下に行う。
2 仲裁xは、当事者を平等に扱い、当事者が主張、立証およびこれに対する防御を行うに十分な機会を与えなければならない。
3 仲裁xは、いずれかの当事者が意見の陳述または証拠の申し出を行わない場合であっても、仲裁手続を進めることができる。
4 仲裁廷は、紛争の迅速な解決に努めなければならない。
5 仲裁xは、その成立後速やかに、当事者と協議し、審理手続の予定を立てなければならない。
6 当事者が審理手続において提出する書面は、仲裁人、相手方当事者および協会に送付し、仲裁xから当事者に対する通知は、その写しを協会に送付するものと
する。
7 前項により当事者が提出する書面は、仲裁xが適当と認める場合には、ファクシミリまたは電磁的記録によることができる。
第33条(仲裁権限に対する異議申立て)
1 仲裁xは、仲裁合意の存否または効力に関する主張についての判断その他自己の仲裁権限の有無についての判断を示すことができる。
2 仲裁xは、自己が仲裁権限を有しないと判断する場合には、仲裁手続の終了決定をしなければならない。
第34条(審問期日)
1 審問の期日および場所は、仲裁xが当事者の意見を聴いた上で決定する。審問期日が2日以上にわたる場合には、できる限り連続する日に開かなければならない。
2 審問の期日および場所が決定されたときは、仲裁廷は、遅滞なくこれを当事者に通知しなければならない。期日を連続する日に開く場合には、1個の通知で足りる。
3 審問期日においては、意見の陳述および証拠調べを行う。
4 当事者双方から審問期日の変更の申し出があったときは、その期日を変更しなければならない。当事者の一方から審問期日の変更の申し出があったときは、仲裁xは、やむを得ない事情があると認める場合に限り、期日を変更することができる。
5 前項の申し出は、審問期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。
第35条(当事者出席の原則)
1 審問期日は、当事者双方の出席の下に開くことを原則とする。
2 当事者の一方または双方が、正当な理由がなく欠席した場合には、欠席のまま審問期日を開くことができる。
3 当事者の一方が欠席した場合には、出席した当事者の主張と立証に基づいて審理を進めることができる。
第36条(主張書面の提出)
1 当事者は、仲裁xが定める期間内に、法律および事実に関する主張を記載した書面(以下「主張書面」という)を仲裁廷に提出しなければならない。
2 仲裁xは、当事者から提出された主張書面の受領を確認しなければならない。
第37条(証拠の申し出・証拠調べ)
1 当事者は、その請求または防御の根拠となる事実を立証する責任を負う。
2 仲裁廷は、必要があると認めるときは、当事者から申し出がない証拠を取り調べることができる。
3 証拠調べは、審問期日外においても行うことができる。この場合においては、当事者に立会いの機会を与えなければならない。
4 当事者は、仲裁廷に対し、相手方当事者にその所持する文書の提出を命じることを申し立てることができる。
5 仲裁廷は、前項の申立てがあった場合において、相手方当事者の意見を聴いた
上で、取調べの必要があると認めるときは、法律により提出を拒む正当な理由があると認める場合を除き、その提出を命じることができる。
第38条(仲裁xによる鑑定人の選任)
1 仲裁xは、鑑定人を選任し、必要な事項について鑑定をさせ、文書または口頭によりその結果の報告をさせることができる。
2 仲裁xは、鑑定人が前項の規定による報告をした後、当事者が要請したときは、審問の期日において鑑定人に対し質問する機会を与えなければならない。
第39条(仲裁廷の権限の委譲)
仲裁xは、必要があると認めるときは、当事者の同意を得て、仲裁xを構成する仲裁人の1人またはxxに審理手続の一部をさせることができる。
第40条(非公開・守秘義務)
1 仲裁手続およびその記録は、非公開とする。
2 仲裁人、協会の役員、職員、当事者およびその代理人または補佐人は、仲裁事件に関する事実または仲裁事件を通じて知り得た事実を他に漏らしてはならない。ただし、その開示が法律に基づきまたは訴訟手続で要求されている場合には、この限りでない。
第41条(実体判断の基準)
1 仲裁xが仲裁判断において準拠すべき法は、当事者が合意により定めるところによる。
2 前項の合意がないときは、仲裁xは、仲裁手続に付された紛争に最も密接な関係がある国の法令であって事案に直接適用されるべきものを適用しなければならない。
3 仲裁xは、当事者の明示された求めがある場合に限り、前2項の規定にかかわらず、xxと善により判断することができる。
第42条(仲裁地)
1 当事者間に別段の合意がない限り、仲裁xは、第14条第1項に定める仲裁申立書を申立人が提出した協会の事務所の所在地とする。
2 仲裁xは、前項の規定による仲裁地にかかわらず、適当と認めるいかなる場所においても、仲裁手続を行うことができる。
第43条(手続参加)
1 仲裁手続の当事者となっていない者であっても、その者および仲裁手続の当事者全員の同意があるときは、申立人として仲裁手続に参加し、またはこの者を被申立人として仲裁手続に参加させることができる。
2 前項の手続参加が仲裁xの成立前である場合には、仲裁人の選任は第45条の規定により行い、仲裁xの成立後である場合には、その構成に影響を及ぼさない。
3 仲裁xは、第1項の同意がある場合であっても、手続参加が仲裁手続を遅延させると認めるときその他相当の理由があるときは、手続参加を許さないことができる。
4 手続参加の申立てについては第14条の規定を準用する。ただし、手続参加が許されなかった場合には、同条第3項の管理料金は返還するものとする。
第44条(同一手続による複数の仲裁申立ての審理)
1 協会または仲裁xは、複数の仲裁申立てであって、その請求の趣旨が相互に関連するものについて、必要があると認めるときは、各仲裁申立ての当事者全員の書面による合意を得て、これを同一の手続によって審理することができる。ただし、複数の仲裁申立てが同一の仲裁合意に基づくものであるときは、当事者の合意を必要としない。
2 前項の規定により、複数の仲裁申立てが同一の手続によるものとされた場合には、仲裁人の選任については、前条第2項の規定を準用する。
第45条(仲裁人の選任-第三者による手続参加の場合)
1 第三者が、仲裁xの成立前に、第43条の規定によって仲裁手続に参加し、または参加させられた場合には、申立人、被申立人および第三者の合意によって、単数または複数の仲裁人を選任する。
2 第三者が仲裁手続に参加した日から3週間を経過する日までに、仲裁人の数が合意されない場合または合意された数の仲裁人の選任が行われない場合には、協会は、それぞれ適当と考える数または合意された数の仲裁人を選任する。
第46条(中間判断)
仲裁xは、仲裁手続中に生じた争いにつき相当と認めるときは、これを裁定する中間判断をすることができる。この場合には、第54条第1項、第55条第1項および同条第2項の規定を準用する。ただし、理由の記載は省略することができる。
第47条(和解の試み)
当事者全員の書面または口頭による承諾がある場合には、仲裁xは、和解を試みることができる。
第48条(暫定措置または保全措置)
1 仲裁xは、当事者の申立てにより、紛争の対象について仲裁廷が必要と認める暫定措置または保全措置を講じることを命じることができる。
2 仲裁xは、前項の暫定措置または保全措置を講じるについて、相当な担保を提供すべきことを命じることができる。
第49条(審理終結・再開)
1 仲裁xは、手続が仲裁判断に熟すると認めるときは、審理の終結を決定することができる。審問期日外においてこの決定をするときは、適当な予告期間をおかなければならない。
2 仲裁xは、必要があると認めるときは、審理を再開することができる。審理の再開は、原則として審理終結の日から3週間を経過する日以後には行わないものとする。
第50条(仲裁手続の終了)
1 仲裁手続は、仲裁判断または仲裁手続の終了決定があった時に、終了する。
2 仲裁xは、第22条第4項または第33条第2項の規定による場合のほか、仲裁手続を続行する必要がなく、または仲裁手続を続行することが不可能であると認めるときは、仲裁手続の終了決定をしなければならない。
3 仲裁xの任務は、仲裁手続が終了した時に、終了する。ただし、第56条から第58条までの規定による行為をすることができる。
4 第54条第1項、第3項、第4項および第5項ならびに第55条の規定は、本条の決定について準用する。
第51条(責問権)
当事者が仲裁手続に関する違背を知りまたは知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。ただし、放棄することができないものはこの限りでない。
第52条(書面のみによる審理手続)
1 当事者は、いつでも書面による合意により書面のみによる審理を求めることができる。この場合において、すでにされた手続の効力は失われない。
2 書面のみによる審理手続にこの規則の規定を適用することがその性質に反するときは、仲裁xの定めるところによる。
第2節 仲裁判断
第53条(仲裁判断の時期)
1 仲裁xは、手続が仲裁判断に熟すると認めて審理を終結したときは、その日から5週間を経過する日までに、仲裁判断をしなければならない。ただし、仲裁xは事件の難易その他の事情により必要があると認めるときは、その期間を8週間以内の適当な期間とすることができる。
2 仲裁xは、前項の審理終結に当り、仲裁判断をする時期を当事者に知らせなければならない。
第54条(仲裁判断)
1 仲裁判断書には、次の事項を記載し、仲裁人が署名をしなければならない。た だし、第4号の記載は、当事者がこれを要しない旨を合意している場合および次 項に規定する場合には省略するものとし、省略の理由を記載しなければならない。
(1) 当事者の氏名または名称および住所
(2) 代理人がある場合は、その氏名および住所
(3) 主文
(4) 判断の理由
(5) 判断の年月日
(6) 仲裁地
2 仲裁xは、仲裁手続の進行中に和解した当事者が要請した場合には、和解の内容を仲裁判断とすることができる。この場合には、和解の内容を仲裁判断にした旨を記載しなければならない。
3 仲裁xは、仲裁判断書において、管理料金、仲裁人報償金および手続に必要な費用について、それらの合計額とその当事者間の負担割合を記載しなければならない。
4 前項の負担割合に基づき一方の当事者が他方の当事者に対して償還すべき額 があるときは、仲裁xは、仲裁判断書の主文において、その額を支払うべき旨の命令を記載しなければならない。
5 仲裁人の数が複数の場合において、仲裁判断書に署名をしない仲裁人があると
きは、仲裁判断書にその理由を記載しなければならない。
6 仲裁判断は、終局的であり当事者を拘束する。
第55条(仲裁判断書の送付)
1 仲裁判断書は、協会に保管されるものとする。
2 協会は、仲裁人の署名のある仲裁判断書の写しを手交、配達証明付書留郵便またはその受領を証明できるその他の方法によって、当事者に送付しなければならない。
3 前項の送付は、仲裁人報償金および手続に必要な費用の全額が協会に納付された後に行う。
第56条(仲裁判断の訂正)
仲裁xは、当事者の申立てによりまたは職権で、仲裁判断における計算違い、誤記その他これらに類する誤りを訂正することができる。
第57条(仲裁xによる仲裁判断の解釈)
当事者は、仲裁xに対し、仲裁判断の特定の部分の解釈を求める申立てをすることができる。
第58条(追加仲裁判断)
当事者は、仲裁手続における申立てのうち仲裁判断において判断が示されなかったものがあるときは、仲裁xに対し、その申立てについての仲裁判断を求める申立てをすることができる。
第5章 簡易手続
第59条(簡易手続の適用)
1 申立ての請求金額または請求の経済的価値が 2,000 万円以下の場合には、この章に定める規定により仲裁を行う。ただし、次に掲げる場合には、この章の規定は適用しない。
(1) 当事者が基準日から2週間を経過する日までに簡易手続によらない旨の合意を協会に通知した場合
(2) 当事者が基準日から2週間を経過する日までに仲裁人の数を複数とする合意を協会に通知した場合
(3) 第61条の規定に従い反対請求の申立てがあり、その請求金額または請求の経済的価値が 2,000 万円を超える場合
2 主たる請求に附帯する利息その他の果実、損害賠償、違約金または費用の価額は、前項の請求金額または請求の経済的価値に算入しない。
3 請求の経済的価値の算定ができないときもしくは極めて困難であるとき、または請求の経済的価値に関し当事者間に争いがあるときは、第1項の経済的価値は 2,000 万円を超えるものとみなす。
第60条(簡易手続に適用する規定)
1 簡易手続は、第61条から第67条までの規定による。
2 この章に定めのない事項については、他の章の規定を適用する。
第61条(反対請求の申立ての期限)
被申立人は、第59条に定める申立ての請求金額または請求の経済的価値が 2,000 万円以下の場合には、基準日から2週間を経過する日までに限り、第19条に規定する反対請求の申立てをすることができる。
第62条(申立ての変更の禁止)
申立人または反対請求の申立人は、いずれもその申立てを変更することができない。
第63条(仲裁人の選任)
1 仲裁人は1人とする。
2 当事者は、基準日から4週間を経過する日までに合意によって仲裁人の選任をしなければならない。
3 当事者が前項の期間内に第27条の規定に従い仲裁人の選任通知をしない場合には、協会がその仲裁人を選任する。
4 前項の規定により協会が仲裁人を選任する場合において、当事者がいずれの当事者の国籍とも異なる国籍を有する仲裁人を選任することを求めたときは、協会はこれを考慮するものとする。
5 第23条から第26条までおよび第45条の規定は簡易手続には適用しない。
第64条(審問期日の制限)
仲裁xは、審問を1日に限り開くことができる。ただし、やむを得ない事由がある場合には、追加の審問を1日に限り開くことができる。
第65条(仲裁判断の期限)
1 仲裁xは、その成立の日から3カ月以内に仲裁判断をしなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、協会は、仲裁人と全当事者との合意があるとき、または仲裁人が心身の故障その他仲裁人としての任務を遂行できない事由のため前項の期間内に仲裁判断をすることができないと認めるときは、前項の期間を延長することができる。ただし、いずれの場合においても、協会が延長する期間は、
3カ月を限度とする。
第66条(手続参加および併合審理に関する規定の適用の排除)
第43条および第44条の規定は、簡易手続には適用しない。
第67条(読替規定)
第2条第1項本文および第17条第1項の規定が適用されるときは、第2条第
1項本文中の「3週間」とあるのは「1週間」と、第17条第1項中の「3週間」とあるのは「4週間」とそれぞれ読み替えるものとする。
第6章 補則
第68条(料金等の納付義務)
当事者は、仲裁料金規程に定める料金、仲裁人報償金および手続に必要な費用の協会に対する納付について、連帯して責任を負う。
第69条(料金および費用の負担)
当事者は、仲裁料金規程に定める料金および手続に必要な費用を次に定めるところにより負担しなければならない。
(1) 申立料金は、仲裁手続開始の申立てをする当事者が負担する。
(2) 管理料金および手続に必要な費用は、仲裁xが仲裁判断において定める割合に従って負担する。
第70条(仲裁人報償金の負担)
当事者は、協会の定める仲裁人報償金を等額負担しなければならない。ただし、仲裁xは、事情によりこれと異なる負担割合を定めることができる。
第71条(協会に対する納付)
1 当事者は、仲裁人報償金および手続に必要な費用に充当するため、協会の定める金額をその定める方法に従い、その定める期間内に協会に納付しなければならない。
2 当事者が前項の納付をしないときは、協会は、仲裁xに対し、仲裁手続を停止しまたは終了することを求めることができる。ただし、他方の当事者がその分についても納付したときは、この限りでない。
3 仲裁手続が終了した場合において、第1項の規定により納付された額および管理料金の額の合計額が、第54条第3項の規定により仲裁xが定めた管理料金、仲裁人報償金および当事者が協会に支払う手続に必要な費用の合計額を超えるときは、協会は、その差額を当事者に返還しなければならない。
第72条(当事者が仲裁手続に関して支出した費用)
当事者間に別段の合意がない限り、仲裁xは、当事者が仲裁手続の遂行に要した代理人の報酬および費用の全部または一部を仲裁手続に必要な費用として認めることができる。
附 則(平成4年10月1日施行)
1 この規則は平成4年10月1日から施行する。
2 平成3年6月1日改正された商事仲裁規則は廃止する。
3 この規則の施行前に手続が開始された仲裁事件については、なお従前の例による。ただし、当事者の合意により、その後の手続をこの規則によって行うことができる。この場合、従前の規則により行われた手続はその効力を失わない。
附 則(平成9年10月1日施行)
1 この規則は平成9年10月1日から施行する。
2 この規則の施行前に手続が開始された仲裁事件については、なお従前の例による。ただし、当事者の合意により、その後の手続をこの規則によって行うことができる。この場合、従前の規則により行われた手続はその効力を失わない。
附 則(平成16年3月1日施行)
1 この規則は平成16年3月1日から施行する。
2 この規則の施行前に手続が開始された仲裁事件については、なお従前の例による。ただし、当事者の合意により、その後の手続をこの規則によって行うことができる。この場合、従前の規則により行われた手続はその効力を失わない。
附 則(平成18年7月1日施行)
1 この規則は平成18年7月1日から施行する。
2 この規則の施行前に手続が開始された仲裁事件については、なお従前の例による。ただし、当事者の合意により、その後の手続をこの規則によって行うことができる。この場合、従前の規則により行われた手続はその効力を失わない。
附 則(平成20年1月1日施行)
1 この規則は平成20年1月1日から施行する。
2 この規則の施行前に手続が開始された仲裁事件については、なお従前の例による。ただし、当事者の合意により、その後の手続をこの規則によって行うことができる。この場合、従前の規則により行われた手続はその効力を失わない。
一般社団法人 日本商事仲裁協会仲裁料金規程
平成 16 年 3 月 1 日 改正・施行
第1条(申立料金・管理料金)
1 申立人が仲裁の申立てにあたって納付すべき申立料金および管理料金は次のとおりとする。
申立料金:52,500 円 | |
管理料金: 請求金額または請求の経済的価値 | 料 金 の 額 |
5,000,000 円以下の場合 5,000,000 円を超え 10,000,000 円 以下の場合 10,000,000 円を超え 20,000,000 円 以下の場合 20,000,000 円を超え 100,000,000 円 以下の場合 100,000,000 円を超え 1,000,000,000 円 以下の場合 1,000,000,000 円を超え 5,000,000,000 円 以下の場合 5,000,000,000 円を超える場合 | 210,000 円 210,000 円に 5,000,000 円を超える額の 3.15%に相当する額を加えた額 367,500 円に 10,000,000 円を超える額の 1.575%に相当する額を加えた額 525,000 円に 20,000,000 円を超える額の 1.05%に相当する額を加えた額 1,365,000 円に 100,000,000 円を超える 額の 0.315%に相当する額を加えた額 4,200,000 円に 1,000,000,000 円を超える 額の 0.2625%に相当する額を加えた額 14,700,000 円 |
経済的価値の算定ができない、または極めて困難である請求 | 請求ごとに 1,050,000 円 |
2 利息、損害金等を継続的に生ずる請求については、請求金額に申立ての日から
1年間に生ずる利息、損害金等の額を加えた額によって管理料金を算定する。
第2条(請求金額の変更と管理料金)
申立人が管理料金を納付した後に請求を増額または追加したときは、変更後の請求につき前条を適用して得た金額を管理料金とする。ただし、前条第2項中「申立ての日」とあるのは「請求を増額または追加した日」と読み替えるものとする。
第3条(すでに納付された管理料金の額の当否についての決定の請求)
当事者または日本商事仲裁協会(以下「協会」という)は、前2条の規定によりすでに納付された管理料金の額の当否について仲裁xによる決定を求めることができる。この決定があったときは、協会は、申立人に対し、管理料金とすでに納付された金額との差額の支払いを求めることができ、または納付された金額から管理料金を差し引いた残額を返還しなければならない。
第4条(仲裁申立ての取下げと管理料金)
1 申立人が、仲裁手続開始後30日以内で、かつ、仲裁人がひとりも選任されていないときに仲裁申立てを取り下げた場合には、協会は、管理料金の全額を返還する。
2 前項の規定は商事仲裁規則第5章の簡易手続による仲裁には適用されない。
第5条(簡易手続による仲裁に適用される仲裁申立ての取下げと管理料金)
商事仲裁規則第5章の簡易手続が適用される場合において、仲裁手続開始後
10日以内で、かつ、仲裁人が選任されていない場合に、申立人が仲裁申立てを取り下げたときは、協会は管理料金の全額を返還する。
第6条(反対請求の申立てについての適用)
前5条の規定は、被申立人による反対請求の申立てについて適用する。
* 上記料金には、協会の審問室の使用料金は含まれていません。
一般社団法人 日本商事仲裁協会仲裁人報償金規程
平成 20 年 1 月 1 日 改正・施行
第1条(この規程の適用)
この規程は、日本商事仲裁協会(以下「協会」という)の商事仲裁規則に基づく仲裁における仲裁人報償金等に適用される。
第2条(仲裁人報償金)
仲裁人報償金は、[時間単価×仲裁時間]を基本額とし、別表に定める上限の範囲内で、事件の難易、審理の迅速性、各仲裁人の事情、第三仲裁人の機能その他の事情を考慮し、この規程に基づき各仲裁人ごとに協会が決定する。
第3条(仲裁時間・時間単価)
1 仲裁時間は、審問時間に仲裁手続のために合理的に必要とされた準備その他の時間を加えたものとする。ただし、仲裁人が仲裁手続のために必要とした移動の時間(移動時間中仲裁手続の準備等のため必要とした時間を除く)については、この二分の一を仲裁時間に加えるものとする。
2 時間単価は、3万円から8万円までの範囲内において、仲裁人の経験、事件の難易等を考慮し、協会が決定する。ただし、第三仲裁人の時間単価は、他の仲裁人の時間単価を下回らないものとする。
3 前項の規定にかかわらず、全当事者の合意がある場合には、協会は、時間単価につき別途取り決めることができる。
4 仲裁判断の起案等仲裁xから授権されて、一部の仲裁人が授権された事項を処理した場合には、この場合の[時間単価×処理に要した時間]を、前3項の規定に基づき算出された額に加算して得られた額を、前条の基本額とする。
5 仲裁人は、協会に対し、仲裁手続のために合理的に必要とされた準備その他の時間および第1項ただし書の移動の時間を月毎に報告するものとする。
第4条(時間単価の逓減)
1 仲裁時間が60時間を超過した場合には、その後の時間単価は、当初時間単価の50%を限度として、50時間毎に当初時間単価の10%ずつ逓減するものとする。ただし、第3条第4項の時間単価はその仲裁人の当初の時間単価とする。
2 前項の時間の計算に当たっては、第3条第1項ただし書の移動の時間を算入しない。
第5条(仲裁人報償金の減額)
仲裁人が仲裁手続中に辞任その他の理由により仲裁人でなくなった場合は、協会は、その事情を考慮して、第2条から第4条までの規定に基づき算出された仲裁人報償金を減額することができる。
第6条(仲裁人報償金審査委員会)
1 仲裁人または当事者は、第2条から第5条までの規定の適用が妥当でないと考える場合は、その旨を協会に申し立てることができる。ただし、この申立ては、できる限り速やかに行うものとし、遅くとも審理終結までにしなければならない。
2 協会に対し前項の申立てがあった場合は、仲裁人報償金審査委員会(以下「審査委員会」という)が申立ての妥当性につき審査するものとし、審査委員会は申立てが妥当と認めた場合には、第2条から第5条までの規定にかかわらず、妥当な報償金額を決定することができる。
3 審査委員会が前項の規定に基づいてした決定は、最終的なものとし、その決定した報償金額は争うことができない。
第7条(仲裁人報償金の支払い)
1 協会は、仲裁人が仲裁判断をした場合または申立てが取り下げられた場合は、遅滞なく、仲裁人報償金を支払う。
2 協会は、仲裁人が辞任その他の理由により仲裁人でなくなった場合は、遅滞なく、その仲裁人に関する仲裁人報償金を支払う。
第8条(仲裁人費用)
1 仲裁人は、仲裁手続の遂行に必要な範囲内で、交通費、宿泊費、食事代その他の実費を、商事仲裁規則第69条に規定する「手続に必要な費用」として協会から支払いを受けることができる。
2 交通費には、航空運賃、電車賃およびタクシー代が含まれる。
3 第1項の費用は、仲裁人から協会に対して証明書類の提出があったときに、協会から支払われる。
仲裁人報償金規程の別表
仲裁人報償金の上限
1 単独仲裁人の場合
請求金額または請求の経済的価値 | 上限額 |
20,000,000 円以下 | 10.5% |
20,000,000 円を超え 100,000,000 円以下の場合 | 2,100,000 円+20,000,000 円を超える額の 2.625% |
100,000,000 円を超え 500,000,000 円以下の場合 | 4,200,000 円+100,000,000 円を超える額の 1.575% |
500,000,000 円を超え 1,000,000,000 円以下の場 合 | 10,500,000 円+500,000,000 円を超える額の 0.42% |
1,000,000,000 円を超え 5,000,000,000 円以下の場 合 | 12,600,000 円+1,000,000,000 円を超える額の 0.105% |
5,000,000,000 円を超える 場合 | 16,800,000 円+5,000,000,000 円を超える額の 0.084% |
経済的価値の算定ができない、または極めて困難である場合 | 協会が定める |
2 複数仲裁人の場合
(単独仲裁人の場合の上限)×(仲裁人の数)×(0.8)を以て算出される額を上限とする。