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改正民法・学習会テキスト
▇▇総連・改正民法リーフ解説版
契約社会の到来!備えよう!「改正民法」
もくじ
1、120 年ぶりの民法改正の基本的な考え方
2、今回の改正は建設産業に大きな影響を及ぼす
3、建設業の請負も物品の売買契約と同じ瑕疵担保責任に統合
ポイント1 瑕疵⇒契約不適合に変わると?
1、契約不適合の 3 パターン
2、改正後は契約不適合によって発注者は4つの請求権を持つ
ポイント2 口約束等の工事はリスク・責任期間が伸びる事も
1、責任期間ルールの変更
2、品質確保法・瑕疵担保履行法(新築瑕疵担保責任保険)は残る
3、請負代金・設計施工監理契約の請求権は引渡時から5年になる
ポイント3 個人保証人の保護・根保証の上限額を決めて契約を!
1、個人保証人(連帯保証)の保護
2、法定利率の変動制導入
まとめ
おわりに
リフォーム工事の請負契約約款の例
2020.2.18
作成・▇▇総連住宅対策部監修・匠総合法律事務所
1、120 年ぶりの民法改正の基本的な考え方
①過去の判例を明文化し分かりやすくする
②用語を誰でもわかる表現に改める
③社会の変化に対応させる・・特に法定金利5%の変更
④国際的取引に対応させる
2、今回の改正は建設産業に大きな影響を及ぼす
建設産業界では、建設業法第 19 条に契約書締結義務が定められているにもかかわらず契約書なしで施工(お客との信頼の証?)する慣習がいまだに残っており、「言った、言わない」紛争が絶えない。今回の民法改正はこうした建設をめぐる古い慣習から脱し、より発注者保護に重きを置くための「双方で決めた内容通りの履行」を約束する請負契約の締結とともに、瑕疵対応におけるこれまでの施工者優位の権利関係を見直し一般の売買契約等と同様の責任を施工者に負わせることとなった。とは言え法はまだ施行されておらず新たな判例もないことから法律家の間でも法の統一的解釈がなされていない部分も多い。
3、建設業の請負も物品の売買契約と同じ瑕疵担保責任に統合
(1)現行の「建物」請負は「物品」売買と違う独特のルールとになっている現行民法では、物品売買の場合における売主の瑕疵担保責任は、原則として
買主が隠れた瑕疵の存在を「知った時から1年」以内に請求をすることで責任追及が可能とされている(現行民法570条、566条3項。)。そして、▇▇で定められた買主による責任追及の方法としては、損害賠償請求と、瑕疵により契約目的達成ができない場合における契約の解除が存する(現行民法570条、566条1項。なお、買主による瑕疵の補修請求や、代替物の引き渡し請求等は、▇▇には規定されていないが、債務の完全履行請求権として当然に認められているとの解釈論が存する)。
他方、建物請負の場合における請負人の瑕疵担保責任の期間としては、上記物品売買のルールと異なり、引き渡し時を起算点として、原則として引き渡しから5年間、コンクリート造の建築物については引き渡しから10年間の責任期間が定められている(現行民法638条1項)。
また、建物請負の場合における請負人の瑕疵担保責任※1の責任追及方法については、物品売買のルールと異なり、損害賠償のみならず修補請求が可能であることが明記されると共に、瑕疵が重大でない場合において、修補に過分の費用を要するときは、修補請求ができないとの規定(現行民法634条1項但し書き)や、注文者において、契約の解除ができないとの規定(現行民法63
5条1項但し書き)等、物品売買における売主の瑕疵担保責任とは異なる独特のルールが定められている。
※1 瑕疵担保責任とは
建物請負契約において、建物の完成・引渡し後に工事内容に瑕疵があった場合に、建築主から出される契約解除・瑕疵補修・損害賠償などの請求権に対して負うべき担保責任。なお、瑕疵とは、建物の使用価値を減少させる隠れた欠点・傷・欠陥や、契約図書などに適合しない工事部分などを指す。
(2)改正後は建物請負の場合も物品売買のルール(契約不適合責任)に統一改正民法では、「瑕疵」の用語はわかりづらいとされ、「種類、品質又は数
量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」(契約不適合)との用語に置き換えられた(改正民法562条)。
また現行民法に存在した、建物請負人の瑕疵担保責任に関する規定は、改正民法においてはそのほとんどが削除され、物品売買の契約不適合責任に関するルール(改正民法562条以下)を準用することとされたため(民法5
59条)、建物請負の場合も、物品売買における契約不適合責任のルールに従い処理されることとなった。 【民法 559 条、改正民法 562 条】
結果>これまでは軽微な瑕疵について多額な費用を要する注文者による補修請求や一方的な解除を制限し、建物の請負人を保護するルールが存在したが、改正後は建物請負についても一般的な物の売買と同様に請負契約や仕様書・設計図書等に基づいた施工そして引渡しになっていない場合(契約不適合)、解除の主張等があり得る※2 こととなる。
また、責任期間について、注文者側が契約不適合を「知った時」を起算点とするルールが適用されることになったため、請負人にとっては、改正前に
「引き渡しから〇年」と比較し、実質的には責任期間が延びる事となり得る。
※2 瑕疵による解除
現行民法においても、判例上、建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合という限定的なケースにおいては、注文者側から建て替え費用相当額の損害賠償請求が認容されていた(最高裁平成 14 年 9 月 24 日判決・集民 207 号 289 頁)。
このような限定的なケースにおいては、現行民法においても、瑕疵による契約解除を
認めたのと実質的には同等であると評されていたが、改正民法では、現行民法に存した、
建物請負については契約解除ができないとの規定(現行民法635条1項但し書き)が削除され、解除については民法の一般規定によって行うことが可能であるとされており
(民法559条、改正民法564条)、▇▇上は、解除について、現行民法のような制限
は存在していない。
【建物請負における現行の瑕疵担保責任と改正後の契約不適合責任の主な相違】
現行民法の瑕疵担保責任 | 改正民法の契約不適合責任 | |||
責任期間 | 引き渡し時から起算 | 注文者が契約不適合を知った時から起算 | ||
追完請求 | 修補請求のみ明記 | 修補請求のほか、代替物の引き渡し、不足分の引き渡し請求が明記 | ||
契約解除 | ▇▇上瑕疵による解除は不可 (ただし、建て替えざるを得ない重大な瑕疵については建替相当額の賠償請求が可能) | 催告により、可 不適合が軽微である場合、不可 | ||
損害賠償請求 | 無過失責任 | 請負人が免責事由の存在を立証することにより免責の余地がある | ||
代金減額請求 | ▇▇上存在せず | 催告により、可 ただし、契約不適合が発注者の責めに帰すべき事由による場合、不可 | ||
ポイント1 瑕疵⇒契約不適合に変わると?
1、契約不適合の 3 パターン
(1)約定違反型
請負契約で明確に決められた内容等の施工がされていない場合。
したがって契約書、仕様書、見積書、設計図書、打合せメモがどのように記載されているかが、改正民法施行後は大変重要になる。
(2)施工精度型
一般的な施工水準となっていない場合。
出来上がったものが仕様書やカタログ(双方できめた性能や設備、設置個所、寸法通りかどうか、使用材が図面に記載された寸法になっているか、省エネや耐震性能をみたしているか、壁の塗装色がカタログとおなじかなど)と一致しない。
(3)法律違反型
約款に記載されていないが、世間一般として守られることが当たり前な基準が、守られていない。(建築基準法・同施行令や告示、瑕疵担保保険会社の設計施工基準、フラット 35 などの融資を受ける場倍の条件となる設計施工基準など)
2、改正後は契約不適合によって発注者は4つの請求権を持つ
発注者は損害賠償請求や契約解除、追完請求や代金減額請求ができるようになる。 【改正民法 562~564 条を追加】
① 追完(修補)請求・・・(改正民法 562 条 1 項)
(※3 但し書き)・・ただし施工者は発注者に不相当な負担を課するものでないときは発注者が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる
②代金減額請求・・・・・(改正民法 563 条 1 項、2 項、3 項)
③契約の解除・・・・・・(改正民法 564 条、541 条、542 条)
④損害賠償請求・・・・・(改正民法 564 条、415 条 2 項)
解説①④追完(修補)請求と損害賠償請求
発注者は契約不適合を知った時、まず「ちゃんと補修して完成させてください(履行してください)」という「追完(修補)請求」を受注者に行うのが原則となる。
「追完(修補)請求」を受けた受注者が、相当の期間内に修補を行わない場合などは、発注者は損害賠償請求も可能となる。
※3 契約不適合の補修方法の相当性に関する立証責任は受注者
契約不適合について、過剰な修補請求を受けた場合、受注者は、発注者に不相当な負担を課するものでない方法であれば、発注者が請求した方法と異なる補修方法をとることができる。
具体的には、より安価な方法で、適切に補修できる、という場合には、受注者側の提案する補修の方法により補修(追完)義務を果たすことが可能であることになる。
したがって、過剰な修補請求に対しては、「当社が相当と考える補修は実施する」と回答することが重要となるが、当社が回答する内容である「より安価な方法で適切に補修でき
る」ことの立証責任は、受注者側に存する。
解説②代金減額請求
契約不適合があった場合、発注者は相当の期間を定めて修補するよう催告し、期間内に是正(履行の追完)されない場合に、注文者は受注者に代金減額請求
(補修費用相当分等)をすることができる。なお双方で契約不適合の補修を望まず代金減額で合意した場合も可。
例>雨漏りのクレームが代金減額請求になると想定されるケース
「屋根の張替工事完了の1か月後、雨漏りが発生」
発注者:「雨漏りするから直してほしい」と施工者に伝える受注者:「うちに施工ミスはない」と対応を拒絶
発注者:外部に「調査」を依頼したところスレート張替施工ミスが判明発注者:代金減額を請求
解説③契約の解除(発注者の都合による完成前の解除)
請負者が仕事を完成しない間は、発注者はいつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。 【現民法 641 条⇒改正なし】
発注者は受注者の故意・過失がなくても受注者の損害を賠償することで契約を解除しやすくなった。そのため受注者には請負の出来高による報酬の請求権が明文化された。
対策>出来高の算定ができるようにしておく
受注者が報酬を請求する場合に出来高を算出することになる。出来高とは工事の出来形部分と現場搬入済みの工事材料代金を合算したものを指す。算定方法は、施工が完成した部分の全体に占める割合を算出し、請負総額にその割合をかけて算出する方法と請負代金から未施工部分を完成させる費用を差し引く方法などがある。そのほかに工事関係物件の後片付け代も協議によって対象になる。
解説③契約の解除(仕事の完成後の解除)
現民法 635 条「仕事の目的物に瑕疵がある場合、発注者は契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない」が削除され、発注者は、完成した建物に契約不適合が存在し、補修がなされないときは、請負契約の解除を主張することができる。
【改正民法 564 条、541 条、542 条】
契約不適合責任として建物の完成後も契約不適合があり補修されない場合は、請負契約の解除が認められることになる。その場合、建物の撤去による原状回 復が原則となり、請負代金の返還と合わせて非常に重い負担を負せられ危険性 がある。そこでは発注者が催告※4 による契約解除を行う場合、契約期間を経過 したときにおける債務の不履行が「契約及び取引上の社会通念に照らして軽微 である場合」には契約解除ができない。【改正民法 541 条・但し書】や報酬の請
求権【改正民法 634 条⇒新設】の準用が考えられる。
※4 催告とは
債務者が契約通り債務をはたさないとき債権者が債務者に履行を催促すること
ポイント2 口約束等の工事はリスク・責任期
間が伸びる事も
1、責任期間ルールの変更
現在>現行法の請負契約では、基本1年・木造住宅は引渡しから5年・非木造は 10年がたつと瑕疵担保責任を請求する発注者の権利が自動的になくなる除斥期間※5となっている。不法行為責任※6も引き渡しから20年で除斥。
【現民法第637条・638条⇒削除】
改正後>建物の構造による差はなくなり全て契約不適合を注文者が知った時から1年以内に「通知」をすれば、権利が保全され、以後は「権利を行使できる時から10年間」(建物請負の場合は建物を引き渡した時から10年)と「権利を行使できることを知った時から5年間」のどちらか早く到来した方とする「時効期間
(消滅時効)※7」が到来しない限り、契約不適合責任の追及が可能となる。不法行為も引き渡しから20年の消滅時効へ
【改正民法637条、166条1項・724条】
解説>請負・売買契約とも契約不適合の「通知」を、契約不適合を知った時から1年以内に行った後は、上記引き渡しから10年又は知った時から5年間の時効期間に統一されるため10年を過ぎて発注者から損害賠償などを求められた際や瑕疵を発見していながら5年過ぎた後になって補修を求められた等の場合、請負者が発注者に「時効がすでに過ぎている」ことを「主張」しないと請負者の債務は消滅しない。 【改正民法167条】
※5 除斥期間とは
権利関係の早期紛争解決をはかるために当事者の意思や利害に関係なく一律に期間 の経過とともに権利・義務が消滅することを指す。瑕疵担保責任などがこれにあたる。
※6 不法行為とは
構造計算や検証をせずに施工し耐震等級1に満たなかった、耐力面材の釘のピッチが大臣認定の仕様でなかったなど建築基準法や告示等に明らかに違反している行為で、特に建築基準法などの違法性が強度で、建物の基礎や構造躯体等に瑕疵があり、危険な建物、あるいは建物としての安全性がない場合。
※7 時効期間(消滅時効)とは
除斥期間と違い、一律に期間を経過したからという理由で自動的に権利・義務が消滅するわけではない。債務者は時効期間が過ぎていることを主張しなければ時効は効力を発揮せず成立しない。
責任期間を短くする約款が必要
民法の規定は任意規定なので契約書で定めた期間が優先される!
参考>▇▇審作成の民間建設工事標準請負約款(乙)
〇契約不適合責任期間等(35条1項)
発注者は引渡しされた工事目的物に関し、引渡しを受けた日から2年以内でなければ、契約不適合を理由とした履行の追完の請求、損害賠償の請求、代金の減額の請求又は契約の解除をすることができない。
2、品質確保法・瑕疵担保履行法(新築瑕疵担保責任保険)は残る
改正民法と同時に可決した改正品確法と改正瑕疵担保履行法では、「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない状態」を「瑕疵」と定義し(改正品確法第2条第5項、改正瑕疵担保履行法第2条2項)、「瑕疵」という用語を残している。
引渡時から10年の瑕疵責任も基本的には変更はないため契約書などを見直 す際には、品確法上の責任については「瑕疵」という用語を用い、民法上の責任については契約不適合という用語を用いる等、用語の使い分けに注意する。
3、請負代金・設計施工監理契約の請求権は引渡時から5年になる
現在>工事施工業者の工事に関する報酬債権は工事完成から、設計・施工監理等の業務に関する報酬債権は図書の作成・引渡しからいずれも3年間で時効消滅。 【現民法・・⇒削除】
改正後>工事・図書完成・図書引渡しからすべて5年に
【改正民法166条1項】
解説>短期消滅時効は一般の債権消滅時効規定に統一され引渡時(債権発生時点と権利行使できることを知った時は同じ)から5年間は報酬債権を行使できるようになる。
なお双方で係争する場合は合意の上で最大5年時効の一時停止(完成猶予)が可能。 【改正民法151条2項】
また現在は、時効を止めるためには訴訟を起こすことが必要だが、改正後は注文者からの契約不適合の補修要求に際し、双方で協議の場を持つことで時効の完成猶予が認められるようになる(これによって訴訟が減る)。
ただし当事者間で権利に関する協議を行う旨の書面による合意が必要。
労働賃金の請求権の除斥期間は現在2年
請負代金の請求権と同様に5年に変えるためには労働基準法の規定(2年)を変える必要があるが、現在当面3年とすべく審議されている。
ポイント3 個人保証人の保護・根保証の上限
額を決めて契約を!
1、個人保証人(連帯保証)の保護
現在>保証人を個人とし、貸金契約等(債務)が被保証債務に含まれる根保証契約に限って、保証人保護のための特則が定められている。
【現行民法465条の2~465条の5】
改正後>
〇個人根保証契約には極度額を定める
継続的な売買や賃貸借の契約、フランチャイズ契約書、代理店契約書などの個人根保証契約については必ず契約締結時に極度額(連帯保証人の責任限度額)を定めなければならない。無い場合の連帯保証条項は無効に。
〇連帯保証契約は▇▇証書が必要に
事業融資の返済債務の保証・根保証について経営者等以外の個人保証(連帯保証)をとる際、保証人となろうとする者は、保証契約の締結前1カ月以内に自ら公証役場に出向き、公証人に保証債務の履行意思の確認をしてもらい、公証人がその内容を表示した▇▇証書を作成する手続きが必要になる(ただし個人であっても融資を受ける法人の取締役や理事・執行役・これに準じる者、株式を過半数有する者等が保証人となる場合は対象外)。
【改正民法465条の6及び9】
〇連帯保証人をつける契約の際、主債務者から連帯保証人に主債務者の財産状況等を情報提供することを義務付け。 【改正民法465条の10】
2、法定利率の変動制導入
現在>民事の法定利率5%、商事の法定利率6%
改正後>法定利率は年3%とする。3年ごとに変動する 【改正民法404条2項】
まとめ
①改正民法施行前に請負契約が終わっている物件に新法は適用されない
原則として、改正民法が適用されるのは法施行日以降に新たに締結される請負契約。したがって2020年3月末までに請負契約を締結したものは現行民法の適用となる。ただし不法行為責任については2020年3月末までに引き渡しから20年に達していない場合は改正民法の対象となるので要注意。
②請負契約書や仕様書・図面の作製と適切に対応した施工
適切な請負契約書や仕様書・図面の作製はもちろんの事、契約内容や仕様書に対応した施工が必要。
③宣伝に際してはチラシやHP等の宣伝文句に注意
「健康改善」や「環境改善」を実現できるかのような期待(妄想)を抱かせ、契約不適合と誤解されるキャッチコピー等を避ける必要がある。
④リフォーム・内装・設備工事関係は保証書対策も
従来の見積だけで工事をしてしまう場合、現民法では1年の瑕疵担保責任期間を主張することができたが、改正民法では、約款の定めがない場合、引き渡しから10年の時効期間が経過するまで、発注者が契約不適合を知った時から1年間、契約不適合に関する責任追及をなし得るため、大きなリスクを抱えることになる。
少額のリフォーム工事こそ引き渡し時を起算点として、1~2年の責任期間を定めた「保証書」を発行し責任期間を短縮させることが重要になる。
保証期間後は有料のアフターサービスとして補修にあたることで収益確保にもつながる。
また引渡し時に発注者に契約不適合のないことを確認させる竣工確認立会証を双方で確認し、その場で手直しの確認と引き渡しを完了させることも重要。
⑤請負者側は、万が一解約されても報酬(出来高)を請求できるように準備
あらかじめ材料の拾出しや㎡単価・人工、設備機器等の仕様書をしっかり作成し、納品書は保存しておく必要がある。
⑥大手住宅メーカー・パワービルダー等との請負契約は要注意
レオパレスや▇▇ハウスなどの違法建築事件が民法改正後に発生した場合に懸念されることは、買主(消費者)から売主(住宅販売業者)に売買契約に基づく瑕疵のクレームが行くと、売主(発注者)が受注者との請負工事契約に基づく債務不履行(施工不良や施工ミス)責任を負わせ、長きにわたって(10年を超えて)買主に対応させる事態が想定される。
改正民法施行後は「無償補修は経年劣化に対するアフターサービスであって、契約に適合していなかったからではない!通常の施工方法で行っており引渡しの時点で債務は履行している」との証拠と主張が必要になる可能性がある。
また10年を過ぎて無償の補修要求があった場合には時効消滅を主張し相手の債権を消滅させる必要も。 (▇▇▇▇弁護士)
⑦建材店等との商取引の際の連帯保証では根保証額に注意
個人根保証契約については、個人の責任範囲を限定させる目的から、必ず契約締結時に極度額(連帯保証人の責任限度額)を定めなければならない(無い場合の連帯保証条項は無効)となるため、個人の連帯保証の責任が許容範囲に収まるように交渉することが大切。
おわりに
契約約款は不測の事態に自社(自者)を守るための備えです!請負契約を結ばない工事受注は無限責任を負わされます。
建築請負者として、契約不適合を理由とした履行の追完の請求、損害賠償の請求、代金の減額の請求又は契約の解除を極力避けるために従来の請負契約書と契約約款を見直して、あらためて自社の施工能力範囲にあったものに作り直しましょう。
2020年2月18日
リフォーム工事の請負契約約款の例
書籍「住宅会社のための建築工事請負契約約款モデル条項の解説」
▇▇弁護士編集代表・匠総合法律事務所著より
<リフォーム工事請負契約約款>一部抜粋
第1条(総則)
1、発注者及び受注者は、各々が対当な立場において、お互いに協力し、▇▇を守り、誠実に本契約を履行します。
2、請負者は、この契約書・契約約款・設計図書および添付のお見積書に基づいて、リフォーム工事を完成させます。本契約締結後にお見積りとその他の書類に食い違いがあることが判明した場合、発注者および受注者は、誠実に対応を協議するものとします。
3、注文者は、本契約に基づいて、リフォーム工事代金の支払いを完了します。
第12条(完成・引渡し)
1、受注者は、リフォーム工事の完成後、速やかに発注者との間で完成の確認を行うものとします。
2、前項の完成確認後、発注者及び受注者は、受注者所定の様式による完成検査立会証を作成します。
3、完成確認の際、手直しが必要な事項が生じた場合には、完成検査立会証の手直し項目欄に、当該手直し事項を記載するものとし、受注者は、建築実務における健全な実行慣行に従い、誠実に手直し工事を施工するものとします。
4、第2項の完成検査立会証の作成後、受注者は発注者に対し、最終請負代金(追加変更工事含む)の請求書を発行することができ、発注者は目的物の引渡しと引き換えに最終請負代金の支払を完了するものとします。
5、発注者は、前項の引渡しの際は、受注者所定の様式による引渡し確認書に署名又は記名及び捺印して引渡しの完了を確認するものとします。
13条(契約不適合責任)
1、本契約の目的物に、「種類、品質または数量」に関して本契約の内容に適合しない状態(以下契約不適合)があることが判明した場合、発注者は、受注者に対して、本契約の目的物の引渡しを受けた日から別紙に定める「保証の範囲と期間」に限り、契約不適合の修補を求めることができます。
なお本契約における数量に関して本契約の内容に適合しない状態とは、確定設計図書の 内容に照らして、施工数量又は施工面積が不足する状態にあることをいうものとします。
2、前項の場合、受注者は、発注者に不相当な負担を課するものでないときは、発注者が請求した方法と異なる方法で契約不適合の修補をすることができます。また、契約不適合が重要でなく、かつ、その修補に過分な費用を要する時は、発注者は修補を求めることができません。
3、以下の各号に該当する場合には、発注者が受注者に対し、不適合の程度に応じて請負代金の減額を請求することができます。
(1)第一項本文の場合において、発注者が相当の期間を定めて修補を催告し、その期間内に受注者は修補を行わないとき。
(2)契約不適合が重要でなく、かつ、修補に過分な費用を要するとき。
(3)発注者、受注者にて代金減額の合意に至ったとき。
4、前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、発注者は、同項の催告をすることなく、直ちに請負代金の減額又は損害賠償を請求することができます。ただし、単に発注者が受注者に対する信頼を失った場合は、下記(1)(2)には該当しないものとします。
(1)修補が不能であるとき
(2)受注者が修補を行うことを拒絶する意思を明確に表示したとき。
(3)本契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
5、受注者に対し本条の請求をした場合、発注者は、受注者からの要請があるときは、当該契約不適合に関し、受注者に調査の機会を与えなければなりません。この場合の調査費用は、調査個所に発注者が主張する契約不適合が存することが確認された場合には受注者の負担とし、発注者が主張する契約不適合が存しないことが確認された場合には発注者の負担とします。
6、発注者が適切なメンテナンスと怠ったことにより生じた契約不適合については、発注者は、第1項ないし第3項による請求をすることはできません。
7、発注者は、受注者に対し契約不適合があることを知った日から1年以内に、本契約の目的物に契約不適合がある旨を通知しないときは、発注者はその契約不適合を理由として修補の請求、請負代金の減額の請求、損害賠償の請求及び本契約の解除をすることができません。ただし、受注者が、その契約不適合を知り、又は重大な過失により知らなかったとき※は、この限りではありません。
※重大な過失により知らなかったとき
「わずかな注意さえあればたやすく契約に不適合を予見できるのに漫然とこれを見過ごこと」(重過失)によって知らなかったときのこと。
8、造作、装飾、家 具などについては発注者が引渡しを受けるときに直ちに受注者に補修、取替え又は代替品を求めなければ、前項の規定に関わらず受注者は責めを負わない ものとします。
14条(発注者の中止・解除権)
1、発注者は、リフォーム工事の完成前において発注者にやむを得ない事由のあるときは、中止要請書・解約通知書の作成その他の受注者が相当と認める方法により、リフォーム工事を中止し、又は本契約を解除することができます。
2、前項に基づく中止・解除により、受注者に損害が生じた場合は、受注者は、発注者に対してその損害の賠償(工事済み 部分及び発注済み工事材料に関する請負代金相当額並びに過失利益を含みます)を求めることができます。
