5.PIF 評価書 添付資料をご参照ください。
2023 年 3 月 13 日
愛知xx!社会医療法人との
「めいぎんポジティブインパクトファイナンス」契約締結について
~社会医療法人xxxのサステナブル経営をサポート~
名古屋銀行(xx xx xx)は、社会医療法人xxx(理事長 xx xx)と「めいぎんポジティブインパクトファイナンス」の契約を締結いたしましたのでお知らせします。
社会医療法人におけるポジティブインパクトファイナンスの契約締結は、愛知県内では初となります。
当行は、今後もグループ一体となり、銀行の既存のビジネスモデルに捉われない持続可能な収益機会の創出及び付加価値の高いサービスを提供し、さまざまなお客さまの経営課題解決を通じて地域社会とともにxxを創造してまいります。
記
1.契約締結日 2022 年 12 月 21 日(水)
2.融 資 金 額 150 百万円
3.モニタリング期間 5 年
4.資 金 使 途 設備資金(新規介護施設の開設資金)
5.PIF 評価書 添付資料をご参照ください。
※株式会社格付投資情報センター(R&I)のセカンドオピニオンは、下記URL をご参照ください。
xxxxx://xxx.x-x.xx.xx/xxxxxx/xxx/xxxxx.xxxx
6.社会医療法人xxxの概要
代 表 者 | xx xx |
本社所在地 | xxxxxxxxxxxxxxxx 00 xx |
業 種 | 総合病院、リハビリ病院、介護事業、クリニック等 |
設 立 年 月 | 1951 年 4 月 |
<記念盾贈呈式の様子>
株式会社名古屋銀行
執行役員 本店営業部長 x xx
社会医療法人xxx理事長 xx xx x
株式会社名古屋銀行 常務取締役 xx xx
参考:「めいぎんポジティブインパクトファイナンス」の取り扱い開始について
xxxxx://xxx.xxxxxx.xxx/xxxxxxx/xxxxx/00000000xxxxxx_XXX.xxx
以 上
ポジティブインパクトファイナンス評価書
~社会医療法人xxx~
2023 年 3 月 13 日株式会社名古屋銀行
法人営業部 法人コンサルティンググループ
はじめに
株式会社名古屋銀行は、社会医療法人xxx(以下、xxx)に対し、めいぎんポジティブインパクトファイナンス(以下、めいぎんPIF)を実行した。
本件取組にあたって、株式会社名古屋銀行は国連環境計画金融イニシアティブ(以下、UNEP FI という。)が策定した「ポジティブインパクト金融原則」及び、環境省が策定した「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則り、xxxの企業活動における包括的なインパクトを分析し、充実したサステナビリティ経営に向けた KPI を設定した。
借入人概要
借入企業 | 社会医療法人xxx |
所在地 | xxxxxxxxxxxxxxxx 00 xx |
売上高 | 9,707 百万円 |
事業内容 | 総合病院、回復期リハビリ病院、クリニック、介護事業等 |
融資条件概要
融資形態 | 証書貸付 |
融資金額 | 150,000,000 円 |
資金使途 | 設備資金 |
融資期間 | 20 年 |
1. 企業情報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①概要
②沿革
③経営理念・経営方針
2. 事業内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①急性期医療
②回復期医療
③慢性期医療
④介護福祉事業
⑤人材育成事業
3. SDGs・ESG 活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①健康経営
②女性活躍
③子育てサポート
④利用者とのコミュニケーション
⑤地域貢献活動
4. インパクトの特定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①インパクトマッピングによるインパクト分布
②インパクト分布図
③国内のインパクトニーズ
5. 測定する KPI・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①ポジティブインパクトの拡大
②ネガティブインパクトの縮小
6. インパクト管理体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7. モニタリング方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8. 総括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1. 企業情報
①会社概要
会社名 | 社会医療法人xxx |
開業年月 | 1951 年 4 月 |
理事長 | xx xx |
決算日 | 3 月 31 日 |
事業所 | ・社会医療法人xxx 総合上飯田第一病院(以下、総合上飯田第一病院)xxxxxxxxxxxxxx 0 xx 00 xx ・社会医療法人xxx 上飯田リハビリテーション病院(以下、上飯田リハビリテーション病院) xxxxxxxxxxxxxx 0 xx 00 xx ・社会医療法人xxx 上飯田クリニック(以下、上飯田クリニック)xxxxxxxxxxxxxx 0 xx 00 xx ・xx訪問看護ステーション xxxxxxxxxxxxx 0 xx 00 xx XX xx 0X ・xx訪問看護ステーション平安通 xxxxxxxxxxxxxxx 0 xx 000 xx ・xx複合型サービスセンター平安通 xxxxxxxxxxxxxx0xx 000 x ・xx複合型サービスセンターxxx xxxxxxxxxxxx0xx 00 xx ・住宅型有料老人ホームこもれびの家 平安通 xxxxxxxxxxxxxx 0 xx 000 xx ・あいせいケアステーション xxxxxxxxxxxxxx 0 xx 000 xx ・xx居宅介護支援事業所 xxxxxxxxxxxxx 0 xx 00 xx XX xx 0X ・xxx看護専門学校 xxxxxxxxxxxxx 000 xxx 0 |
事業内容 | 病院、診療所、住宅型有料老人ホーム、居宅サービス等の運営 |
xxxシンボルマーク
「あいちゃん」
②沿革
年月 | 概要 |
1947 年 | 上飯田第一病院開設 |
1951 年 4 月 | xxxxxxxxxxに医療法人xxx 上飯田第一病院開設(20 床) |
1955 年 9 月 | 名古屋市昭和区天日町にxxxx病院開設(75 床) |
1959 年 5 月 | 上飯田第一病院看護婦寮(鉄筋 4 階)完成 |
1962 年 3 月 | 上飯田第一病院本館(鉄筋 3 階)完成(106 床) |
1965 年 6 月 | xxxx病院を閉鎖しxxxxxxxxxxxxxxxに楠第一病院として新築移 転開設(125 床) |
1968 年 3 月 | 名古屋市北区上飯田北町に上飯田第一病院新病棟開設(211 床) |
1968 年 8 月 | 楠第一病院 5、6 階増築完成(245 床) |
1973 年 11 月 | 上飯田第一病院(鉄筋 7 階)新築移転(205 床) |
1974 年 3 月 | 旧上飯田第一病院を改築し人工透析部(20 床)を設置 |
1975 年 8 月 | 楠第一病院を医療法人xxとして分離 |
1978 年 3 月 | 上飯田第一病院職員単身寮若草苑新築(鉄筋 4 階) |
1982 年 3 月 | 名古屋市北区上飯田北町に若草苑を改築し上飯田第二病院を開設(50 床) |
1985 年 10 月 | 上飯田第二病院増築完成(71 床) |
1987 年 4 月 | 人工透析部を上飯田第一病院附属上飯田クリニックとして分離し開設(19 床) |
1987 年 4 月 | 上飯田第一病院増床(225 床) |
1987 年 4 月 | xxxxxxxxxxにxxx看護専門学校を開校 |
1987 年 7 月 | 上飯田第二病院増床(100 床) |
1990 年 5 月 | 上飯田第一病院増改築完成 |
1990 年 6 月 | 名古屋市北区上飯田北町に上飯田クリニック新築移転 |
1991 年 6 月 | 上飯田第一病院を総合上飯田第一病院に名称変更 |
1995 年 6 月 | 上飯田第二病院を療養型病床群として増改築(90 床) |
1996 年 4 月 | xxxxxxxxxxにxx訪問看護ステーション開設 |
1996 年 11 月 | 上飯田第二病院を全病床長期療養型病床群へ移行 |
1997 年 7 月 | 上飯田第二病院 4F にリハビリ室増設 |
1999 年 12 月 | 上飯田第二病院 財団法人日本医療機能評価機構 認定取得 |
2001 年 4 月 | 介護保険施行に伴い上飯田第二病院全床医療型療養病床とする |
2001 年 4 月 | 上飯田第二病院にて回復期リハビリテーション病棟新設(療養 45 床、回復期リハビ リテーション 45 床) |
2001 年 12 月 | 総合上飯田第一病院新病棟(南館入院棟)完成(225 床) |
2002 年 6 月 | 上飯田第二病院を回復期リハビリテーション病棟へ移行(全床回復期リハビリテーシ ョン 90 床) |
2002 年 12 月 | 総合上飯田第一病院xx(外来棟)改修工事完了 |
2004 年 11 月 | xxxxxxxxxxに あいせいデイサービスセンター開設 |
2005 年 4 月 | xx居宅介護支援事業所を総合上飯田第一病院内からxxxx沿いの CK ビルに移 転再開 |
2005 年 6 月 | 総合上xx第一病院から医療法人xxx総合上xx第一病院に名称変更 上飯田第二病院から医療法人xxx上xxxxxxxxxxx病院に名称変更 上飯田クリニックから医療法人xxx上xxxxxxxに名称変更 |
2005 年 6 月 | 医療法人xxx上飯田リハビリテーション病院 財団法人日本医療機能評価機構 認 定更新 |
2006 年 2 月 | 医療法人xxx総合上xx第一病院 財団法人日本医療機能評価機構 認定取得 |
2006 年 4 月 | 医療法人xxx総合上xx第一病院が臨床研修病院の指定を受ける |
2006 年 4 月 | 名古屋市北区東部地域包括支援センター開設(名古屋市委託事業) |
2008 年 9 月 | 医療法人xxx総合上飯田第一病院xx(外来棟)に健診センター開設 |
2009 年 12 月 | 医療法人xxx上飯田リハビリテーション病院 財団法人日本医療機能評価機構 認 定更新 |
2010 年 1 月 | 医療法人xxx上飯田リハビリテーション病院増築工事完了 |
2010 年 1 月 | 院内託児所を現在の場所に移転 |
2011 年 1 月 | 名古屋市北区東部地域包括支援センターから名古屋市北区東部いきいき支援センタ ーに名称変更 |
2011 年 2 月 | 医療法人xxx総合上xx第一病院 財団法人日本医療機能評価機構 認定更新 |
2011 年 5 月 | xxxシンボルマーク「あいちゃん」商標登録完了 |
2012 年 6 月 | 医療法人xxx総合上飯田第一病院南館(入院棟)増築工事完了 |
2012 年 7 月 | 医療法人xxx総合上飯田第一病院南館(入院棟)に腎センター開設 |
2012 年 9 月 | 医療法人xxx上飯田リハビリテーション病院 増床(98 床) 医療法人xxx上飯田クリニック 病床数変更(11 床) |
2013 年 1 月 | 医療法人xxx総合上飯田第一病院南館(入院棟)増床(230 床) 医療法人xxx上飯田クリニック 病床数変更(6 床) |
2013 年 3 月 | 医療法人xxx総合上飯田第一病院xx(外来棟)に内視鏡センター開設 医療法人xxx総合上飯田第一病院xx(外来棟)に乳腺センター開設 |
2013 年 6 月 | 名古屋市北区東部いきいき支援センター閉鎖 |
2013 年 7 月 | xxxxxxxxxにあいせいデイサービスセンター新築移転 |
2014 年 4 月 | 社会医療法人に移行 |
2014 年 10 月 | 社会医療法人xxx総合上飯田第一病院南館(入院棟)に地域包括ケア病棟開設 (一般 192 床、地域包括ケア 38 床) |
2014 年 10 月 | xxxxxxxxxxにあいせいケアステーション開設 |
2016 年 1 月 | 社会医療法人xxx総合上飯田第一病院南館(入院棟)増床(236 床) (一般 196 床、地域包括ケア 40 床) 社会医療法人xxx上飯田クリニック 病床数変更(0 床) |
2019 年 12 月 | 社会医療法人xxx総合上飯田第一病院南館(入院棟)の地域包括ケア病棟増設 (一般 148 床、地域包括ケア 88 床) |
2020 年 4 月 | 名古屋市北区東xxx町にあいせいケアステーションを移転 xxxxxxxxxxxにxx訪問看護ステーション平安通開設 名古屋市北区東xxx町にxx複合型サービスセンター平安通開設名古屋市北区東xxx町にこもれびの家平安通開設 |
2022 年 6 月 | あいせいデイサービスセンター閉鎖 |
2022 年 10 月 | xxxxxxxxxにxx複合型サービスセンターxxx開設 社会医療法人xxx総合上飯田第一病院に回復期リハビリテーション病棟開設 236 床(一般 148 床、地域包括ケア 48 床、回復期リハビリ 40 床) |
総合上飯田第一病院 上飯田リハビリテーション病院
上飯田クリニック
ケア複合施設 平安通
・xx訪問看護ステーション平安通
・xx複合型サービスセンター平安通
・こもれびの家 平安通
・あいせいケアステーション
xxx看護専門学校
xx複合型サービスセンターxxx
③基本理念、経営方針
xxxは経営理念において、「信頼され愛される病院」を掲げている。具体的には安定した医療と介護サービスの提供と救急医療に対応することで、地域社会に「安心・安全」を提供することが重要であると位置づけている。また、地域の人々とのつながりを重視し、地域に根差した医療機関で、人々に寄り添ったサービスの徹底、さらには全職員及びその家族の健康についても言及し、病院の内側外側のすべての人々の幸福を尊重した理念となっている。
「地域の人々の医療に貢献したい」という理念のもと、1951 年の開院以降 70 年以上の歴史を地域と共に歩んできたxxxは、多様化する時代と人のニーズに対応し、急性期医療を担う総合上飯田第一病院をはじめとし、各事業部で幅広いネットワークを築き、地域の皆さまの健やかな暮らしを支援し、地域社会に大きく貢献している。
また、インフォームド・コンセント(説明に基づく選択と同意)を基本として、患者自身の権利として以下の権利を尊重することを掲げている。
「患者、患者の家族は医療の内容、その危険性および回復の可能性について理解できる言葉で説明を受け、十分な納得と理解の上で適切な医療を選択し、受けることができ、受けている医療の内容について、自身の希望を伝えることができる」ことを発信し、患者目線でのホスピタリティ充実に努めてい る。
2. 事業内容
xxxは、急性期医療として総合上飯田第一病院を中心として、リハビリテーション等の回復期医療である上飯田リハビリテーション病院、人工血液透析等の慢性期医療である上飯田クリニック、介護福祉事業としてxx訪問看護ステーション等 7 施設に加え、人材育成事業であるxxx看護専門学校を運営する社会医療法人である。
すべての施設は名古屋市北区に位置しており、基本理念の通り地域の医療・介護における「安心・安全」を担っている。
(1) 急性期医療(総合上飯田第一病院)
職員数 | 771 人 |
届出病床数 | 急性期病棟:148 床 地域包括ケア病棟:88 床(※2022.10 時点で地域包括ケア 48 床、回復 期リハビリ 40 床) |
標榜科目 | 内科、脳神経内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、腎臓内科、小児科、外科、脳神経外科、整形外科、リハビリテーション科、消化器外科、乳腺外科、ペインクリニック外科、眼科、耳鼻いんこう科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、老年精神科、放射線 科、麻酔科、形成外科 |
特殊診療 | 総合診療科、血管外科、健診センター、甲状腺・内分泌センター、乳腺センター、内視鏡センター、人工関節・関節鏡センター、腎センター、緩和ケアセンター、ワクチン外来、ペインクリニック外来、緩和ケア相談外来、乳房形成外来、スポーツ外来、耳鳴・難聴外来、物忘れ評価外来、肝炎治療外来、認知症評価外来、腫瘍外来、脊椎外来、 骨粗鬆症評価外来 |
一日平均外来患者数 | 468.2 人 |
一日平均入院患者数 | 192.6 人 |
時間内救急車搬送患者数 | 901 人 |
時間外救急車搬送患者数 | 1,572 人 |
総手術件数 | 3,473 人 |
全身麻酔手術件数 | 1,497 人 |
(xxx:2021 年紀要より抜粋) |
xxxの中核をなす総合上飯田第一病院は、一般病床、地域包括ケア病棟を有し、急性期から慢性期までの切れ目ない医療サービスを提供している。外来科目は、脳神経内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、腎臓内科、小児科、外科など 24 の診療科を有する。
救急医療体制を整備し、時間内及び時間外救急車搬送についても地域医療機関として最大限の受入れ体制を整え、数多くの救急患者を受け入れている。
この幅広い診療科と特殊診療を包括的に網羅する総合上飯田第一病院の知名度は、地域において突出しており、後述の回復期医療や慢性期医療等の組織と連携することで、地域の人々に精神的な安心を提供している。発症から回復まで、また介護によって寄り添うことでxxxは地域住民にとって一番近い存在の医療機関である。
また、チーム医療として「緩和ケアチーム」、「栄養サポートチーム」、「認知症サポートチーム」、
「倫理コンサルテーションチーム」等を組織しており、患者の心のケアや健康管理、ガバナンスの徹
底にも注力している。
「緩和ケアチーム」は、患者やその家族のさまざまななやみを解決していくことで、生活の質
(Quality Of Life:QOL)を改善しようとするアプローチである。病気の進行度や余命には関係な く、病気による何らかの苦痛を、積極的に相談にのり、解決策を探すことで QOL の改善を図ること
を目的としている。入院中の患者や家族が、緩和ケアチームの援助を希望する場合、悩みや苦痛等の問題を詳しくヒアリングし、主治医と連携をとりながらチームで解決策を相談する。患者それぞれによって異なる問題を毎週水曜日にカンファレンスで検討し、提案や解決策を患者やその家族へ提供している。精神的な苦痛等を和らげるための一環としてコンサートイベントやクリスマスパーティーも主催し、心のケアも行っている。また、緩和ケアセンターを創設し、入院患者だけでなく、外来での対応もしており、より多くの患者の身体・精神の健全な改善をサポートしている。
カンファレンスの様子 主催コンサート
「認知症サポートチーム」は、急性期の医療機関も、認知症の行動・心理症状(BPSD)を有している高齢者の医療に対応できるよう求められていることを背景として、2010 年 10 月から活動が開始となり、2011 年 4 月より委員会が設置された。各診療科で入院している認知機能低下の患者に対し、よりよい医療や療養生活ができるよう活動している。具体的には、入院している認知症患者に対して、よりよい医療や療養生活が送れるようサポートしたり、介護される家族に対して退院に向けてのアドバイスを実施したりする。
認知症サポートチーム介入の流れ
「倫理コンサルテーションチーム」は医療現場には様々な臨床倫理の問題に対応する。2022 年 6 月にチームを立ち上げ、職員が直面した倫理的な問題について相談を受けている。必要に応じて院内の各部門や医療チームと連携して多職種で話し合う体制をとり、患者にとって最善の治療方針が実現で
きるようサポートする。
また、xxxxx・xx・xxxxxx(ACP)をはじめとした医療・ケアの考え方を職員全体が理解し、協力して患者の診療にあたれるよう、定期的に倫理カンファレンスや職員倫理研修などを企画することで倫理観の共通認識を行き渡らせている。
倫理コンサルテーションに関する組織構成
総合上飯田第一病院の医療設備は最先端の医療を提供するために、最新かつ高性能な画像診断機器を導入し、病気の早期発見、早期治療を目指している。
マルチスライス CT
3 テスラ MRI
トモシンセシスガイド下マンモトーム
デジタルマンモグラフィ
最新鋭の 128 スライス CT は、国内導入 1 号機であり、新開発の検出器をはじめとする数多くの最新技術が搭載されている装置である。
高精細な画像をわずか数秒で取得可能であり、息止めの負担を軽減することができる。また、被ばく線量を従来より抑え患者にとってより優しい CT 検査を提供する。
3 テスラ MRI 装置には、世界最高水準の最先端技術が搭載されており、高精細な MRI 画像が撮影できる。 特に頭部における撮影能力が飛躍的に向上し高品質な診断が可能になっている。また、内径が 70cmと大きいので閉塞感が少なく、従来装置よりも検査空間が広くなっており、快適に MRI 検査を受けることが出来る。
組織の一部を採取して「がん」の確定診断をおこなうための検査設備。細胞診やxx検(CNB)よりも採取する組織量が多く、より確実に確定診断をすることができる。2018 年 6 月にトモシンセシス(3D)で撮影可能なマンモトーム装置を導入し、より緻密で、円滑な検査が可能となっている。
乳房専用の X 線撮影装置でおこなうレントゲン撮影の検査設備であり、乳がんの早期発見に欠かすことのできない、有効な画像診断の 1 つ。マンモグラフィ検査により、乳がんの初期症状である微細な石灰化や、セルフチェック、触診ではわかりにくい小さなしこりを画像として捉えることができる。マンモグラフィの撮影は、女性の放射線技師が担当する。
経鼻内視鏡
カプセル内視鏡
鼻からの挿入を可能にした経鼻内視鏡により、苦痛の少ない検査を可能にしている。直径 5.5mm で、従来の内視鏡スコープのおよそ半分の先端径を実現した『経鼻内視鏡』を駆使し『鼻からの内視鏡検査』という、全く新しい手技を実践している。
直径 11mm、長さ 26mm の錠剤の形状をした小腸観察用のカプセル内視鏡で、内部にはレンズ、発光ダイオード、ボタン電池、発信器などが内蔵されている。カプセル内視鏡は、消化管内をぜん動運動に乗って進みながら、1 秒間に 2 枚の画像を撮影する。ボタン電池の駆動時間は 68 時間程度で、その後、カプセル内視鏡自体は便中に排出されるため、使い捨てとなる。
また、総合上飯田第一病院では健康診断や人間ドックの展開により地域住民の健康管理、病状の早期発見にも貢献している。総合病院に附属する健診センターという特徴を生かし、前述の最先端設備などの器機を取り揃え半日ドック、脳ドック、乳がん検診、子宮がん検診など様々な診断メニューを揃えている。また、全項目を自施設で行い、迅速かつ正確な結果をもとに二次検査や治療の必要となった受診者を速やかに当院の各診療科へ紹介する。受診者にとっては、検査から受診、そして治療へと一つの組織で対応してもらえる為、「安心感」が得られる仕組みとなっている。
総合健診センター
総合上飯田第一病院はxxxの根幹を担う医療機関として多様な病状に対応できる外来と入院施設を保有しており、後述のリハビリテーション病院や介護施設と連動した治療が可能となっている。
(2) 回復期医療(上飯田リハビリテーション病院)
職員数 | 194 人 |
届出病床数 | 98 床 |
標榜科目 | リハビリテーション科、内科、神経内科 |
一日平均患者数 | 91.2 人 |
新規入院患者数 | 435 人 |
(xxx:2021 年紀要より抜粋)
上飯田リハビリテーション病院は、さまざまな病気や外傷からの回復期の状態にある患者に対し て、社会復帰をめざした回復期リハビリテーションを行うための専門病院である。全床「回復期リハビリテーション病棟」の認可を受けており、最短の期間で最高の機能回復をされて社会復帰できるように、科学的根拠に基づく質の高いリハビリテーションを高密度・高頻度で実施している。
「回復期リハビリテーション病棟」として、急性期病院である総合上飯田第一病院から受け継いだ患者の自宅復帰・ 社会復帰をめざしたリハビリテーションに機能を特化しており、日曜・祝日も休まない 365 日リハ ビリ体制で切れ目のない中身の濃い入院リハビリテーションを可能にしている。
入院生活やリハビリテーションをサポートするスタッフとして、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・介護士・薬剤師・管理栄養士・医療ソーシャルワーカーなどの専門スタッフがチームを組んで情報共有を行い、365 日体制で連携して対応することで上記の濃密な治療が可能となっている。
上飯田リハビリテーション病院のサポート体制
基本方針として「患者さんの生命・人権を尊重し看護職・介護職としての自信と誇りと責任をもって最善の看護介護の提供に努めます。」を掲げ、定期的に患者の状況や今後の方向性などについて、主治医、リハビリ、病棟、医療ソーシャルワーカーの担当者同士で情報を共有するために話し合いを行いながら治療にあたっている。
具体的なリハビリテーションメニューは、「理学療法」、「作業療法」、「言語聴覚療法」から構成されている。
「理学療法」は脳血管障がいや骨折などにより生じた身体機能の障がいに対し、筋力強化練習や促通運動(身体機能を向上させる運動)を行い、またそれに伴う動作能力(起き上がり・立ち上がり・歩行など)の障がいに対して動作練習を行うことで障がいされた能力の改善・向上を図る。そのほかには装具や車椅子・杖などの検討や、後述の作業療法士などとともに家庭で介護をする家族に対し住宅改修の助言、適切な介助方法の指導も行っている。
「機能向上運動では、ストレッチや筋力強化練習など身体作りをし、患者の状態に合わせて、促通技術を選択、適応させ最適な治療を提供する。また、装具・歩行補助具やリハビリテーション機器も充実しており、患者の症状や回復度合に合わせたリハビリが可能となっており、起居動作、車椅子などからの移乗動作、移動動作(歩行動作、階段昇降)など、その動作ができない原因を検討し、その方に適した動作方法の練習・指導を行う。
機能向上運動
「作業療法」は、さまざまな疾病や外傷などによって生じた心身機能・xx脳機能の低下に対し、作業活動を通じて、トイレや食事など日常生活動作が改善するように援助するものである。新たな生活を想定して、実際に患者の自宅の様子を見て、福祉用具などの選定も行う。
身体機能改善練習を通じて、麻痺や骨折などを患った患者に対して、今後の生活の問題となる点を検討し、作業活動を通じて実際の生活に必要な筋力・関節の動き、体力など身体機能の回復を図る。認知症やxx脳機能障がいに対しても、日常生活に支障をきたす問題点を検討し、改善をめざして
サポートする。
具体的な方法として、PAS システムを使用した電気刺激により神経や筋肉に刺激を与え、麻痺した筋肉の機能維持や改善を図ったり、金銭管理を行ったり、xx脳機能バランサーなどの机上での課題に取り組んで日常生活の行動を修練する。また、退院後の生活に合わせて、家族指導も行っており、車椅子に移る・歩く・トイレ動作などの介助方法を中心にサポート方法も指導している。
PAS システム 家事動作練習
「言語聴覚療法」は、言語、聴覚、発声・発音、認知などの各機能のコミュニケーションや認知機能(xx脳機能)に障がいのある患者に対して言語練習などを行い、日常生活のコミュニケーション能力の向上を支援する療法である。また、嚥下障がいの患者には嚥下造影検査を行い、より安全な摂食方法を指導する。
上手く言葉が使えない(聞く、話す、読む、書く)患者に対して絵カードなどを用いて言語練習を行い、日常生活のコミュニケーション能力の向上をめざしたり、前述の嚥下機能改善練習では、むせるなどで上手く食事が食べられない患者や経管栄養の患者に対して、嚥下造影検査(VF)を行って、結果をもとに練習を行いより安全な摂食方法を指導したり、肉体的な動作だけでなく、言語サポートや栄養摂取の改善もこの療法で実施される。
失語症練習 嚥下機能改善練習
これらの療法は専属のスタッフがそれぞれの患者を担当し、入院患者だけでなく、通所リハビリとして在宅の患者に対しても支援を実施している。
また、施設内においては、入院患者や通院患者が精神的にリラックスできる環境づくりに努めており、病棟には食堂やキッチン、談話ルームといったコミュニケーションが図られる憩いの場が設置されている。
<.. image(椅子の上に置かれている部屋 中程度の精度で自動的に生成された説明) removed ..>
憩いの場、談話スペース
上飯田リハビリテーション病院では、2020 年度 95.7%、2021 年度 94.5%の在宅復帰率の実績があり、回復期医療の根底を支えている施設として、名古屋市北部において欠かすことのできない生活インフラとなっており、これまでの実績をもとに地元住民からの信頼も厚く、高齢社会における医療機関として、最も重要な役割を担っている。
(3) 慢性期医療(上飯田クリニック)
職員数 | 常勤 20 人 非常勤 35 人 |
標榜科目 | 内科、外科、泌尿器科 |
透析療法 | 血液透析(HD)、血液ろ過透析(オンラインHDF) |
(xxx:2021 年紀要より抜粋)
上飯田クリニックでは慢性期医療の中でも透析医療を実施する医療機関である。透析医療は患者の高齢化に対応することが重要課題になっており、腎臓だけではなくさまざまな臓器の合併症を持った高齢者の透析患者も多い。上飯田クリニックにおいては、安心して長く通院して血液透析を受けてもらうため、患者の送迎、透析時間中におこなう腎臓リハビリテーション、体組成計を使用した適正体重の決定など個々にあわせたサービスを継続しつつ、ニーズ、社会状況にあわせてサポートを実施している。
<.. image(キッチンの流し台 低い精度で自動的に生成された説明) removed ..>
実際の院内には透析コンソール 42 台により午前 2 コース、午後、夜間 1 コースの 4 コースで実施している。隣接する総合上飯田第一病院やそのほかの医療機関と連携をしながら患者へ透析治療を提供している。
透析施設及び透析設備
また、透析治療は安全配慮が重要であり、常に最大限の対策を講じる必要がある。上飯田クリニックにおいては、様々なリスクに対応する為の施策が実施されており、患者が安心・安全に透析治療を行える環境を整えている。
腎不全になると免疫力が低下しやすくなる為、感染予防の徹底と的確な対応ができる体制作りを行っている。感染に対する日々の予防や発生した場合の原因の調査、感染拡大を防ぐ方策を討議し、感染対策マニュアルを整備、スタッフ対象の勉強会を定期的に行うことで、全員が透析患者・透析室の特殊性を十分理解し、正しい知識を持って感染対策を実施している。また、クリニック内で発生したヒヤリハット・インシデントを委員会内で報告し、重要案件に対して予防策や改善策を検討し、職員に周知徹底している。
<.. image(人, 屋内, 若い, 少年 が含まれている画像 自動的に生成された説明) removed ..>
クリニック内の換気、空気清浄 透析設備の点検・管理
上記のような安全対策に加え、上飯田クリニックでは患者の為の送迎サービスも行っている。一人での通院が困難な場合や通院にリスクを抱える患者の為に地元に密着した透析機関としてのサービスである。
<.. image(道路脇に停まっているトラック 中程度の精度で自動的に生成された説明) removed ..>
送迎サービス
また、透析患者の食生活についても管理栄養士のもとで様々なメニューの提供や相談に対応している。透析患者にとって食事の管理は重要であるが、上飯田クリニックにおいては制限される食事の中でも、患者に充実した食生活を提案しており、一人ひとりに適した食事を提供したり、年間行事に合わせた食事メニューを提供したりすることで、患者の精神的な安定にもつながっている。
<.. image(テーブルの上の食事と飲み物 自動的に生成された説明) removed ..>
小さく切り分けられた料理 行事に合わせた特別メニュー
上飯田クリニックの慢性期治療は、透析患者の身体的負担のみならず、精神的な安定にも多くの配慮が見られる。慢性期治療は医療機関と患者の共有する時間が多く、数年から数十年にわたって人生を共にすることも多くある。その中で、上記のような配慮や患者目線での医療サービスの提供は、地元医療機関として貴重な存在であり、大きな責任と責務がある中で、従業員一丸となって透析患者のサポートを行っている。
(4) 介護福祉事業(愛生訪問看護ステーション他 7 施設)
施設名 | 介護サービスの種類 |
愛生訪問看護ステーション | 訪問看護、介護予防訪問看護 |
愛生訪問看護ステーション 平安通 | 訪問看護、介護予防訪問看護 |
愛生複合型サービスセンタ ー平安通 | 看護小規模多機能型居宅介護 |
愛生複合型サービスセンタ ー辻本通 | 看護小規模多機能型居宅介護 |
こもれびの家平安通 | 住宅型有料老人ホーム |
あいせいケアステーション | 訪問介護(身体介護、生活援助)、総合事業(予防専門型、生活支援 型)、自費サービス、居宅介護 |
愛生居宅介護支援事業所 | 居宅介護支援 |
(愛生会:2021 年紀要より抜粋)愛生会では現在、7 施設で介護福祉事業を展開している。提供する介護サービスは多岐にわたり、訪問看護、住宅型有料老人ホーム、看護小規模多機能型居宅介護等で多様なニーズに対応している。
① 愛生訪問看護ステーション
② 愛生訪問看護ステーション平安通
<.. image(男性と女性 自動的に生成された説明) removed ..>
<.. image(建物の前に立つ男性たち 中程度の精度で自動的に生成された説明) removed ..>
③ 愛生複合型サービスセンター平安通
愛生訪問看護ステーションは看護師・理学療法 士・作業療法士・言語聴覚士が在籍し、看護とリハビリの両面から、ケアマネジャーや主治医と連携し、安心して在宅生活を継続できるよう支援する。「24 時間対応体制」体制を整えており、名古屋市北区を中心に地域の医療機関、居宅介護支援事業所と協力し在宅療養生活を支えている。
愛生訪問看護ステーション平安通は平安通地区の訪問看護を手掛ける。特に同じ敷地内にある「こもれびの家平安通」と愛生複合型サービスセンター平安通の利用者の健康管理や問題が起きた場合に迅速な対応をとる。
老人ホームとの併設により、利用者が安心して生活することができる。
愛生複合型サービスセンター平安通は看護小規模多機能型居宅介護施設である。
自宅からの通いを中心として、訪問や泊まりを組み合わせた介護サービスに、訪問看護が加わった看護と介護を一体的に提供する介護サービスを提供することで、利用者の多様なニーズ対応することが可能となっている。
④ 愛生複合型サービスセンター辻本通
<.. image(建物, 屋外, 草, ストリート が含まれている画像 自動的に生成された説明) removed ..>
⑤ こもれびの家平安通
<.. image(家具のあるリビングルーム 中程度の精度で自動的に生成された説明) removed ..>
⑥ あいせいケアステーション
<.. image(人, 屋内, 座る, グループ が含まれている画像 自動的に生成された説明) removed ..>
⑦ 愛生居宅介護支援事業所
愛生複合型サービスセンター辻本通は 2022 年 10月より開業した看護小規模多機能型居宅介護施設である。愛生複合型サービスセンター平安通が本体となり、サテライト機能としての役割を担いながら、本体では対応が困難な喀痰吸引対応が可能となっており、喀痰吸引研修を受けた介護士と看護師が中心として利用者を支援する。
こもれびの家平安通は愛生複合型サービスセンター平安通の 2 階に併設されている。ペースト食など入居者に合わせた食形態を提供したり、レクリエーションを実施したりするなどして、互いに向き合うコミュニケーションを大切しながら、利用者の「自宅」として、より豊かで快適な日々を送れるよう、きめ細かいサービスを提供している。
あいせいケアステーションは、高齢者や障がいのある利用者が安心して自宅で生活できるよう、訪問介護員(ホームヘルパー)を自宅に派遣する。身体介護では入浴や排泄、食事介助、移動介助などを行い、生活援助サービスでは調理や掃除、洗濯、買い物代行などを行う。
愛生居宅介護支援事業所は要介護者とその家族等に対し希望などを聞き、現状の環境を踏まえケアプランを提案する。
ケアプランは利用者の立場に立ち、医療・保健・福祉にわたる指定居宅サービスや地域の公私サービスを組み合せ提供されるよう調整を図る。
愛生会の介護福祉事業は、地域密着と利用者の安心安全に最も重きを置いており、様々なニーズに対応しながら、人材や設備を充実させている。地域の高齢者や要介護者にとってなくてはならない存
在であり、愛生会が運営する総合上飯田第一病院や上飯田リハビリテーション病院との連携により、迅速かつ適切なサポートが可能となっている。
(5) 人材育成事業(愛生会看護専門学校)
<.. image(テーブル 自動的に生成された説明) removed ..>
受験者数、入学者数、国家試験合格率推移(愛生会:20221 年紀要より抜粋)
愛生会看護専門学校は愛生会の理念に基づき、名古屋市北部を中心とした地域の人々の健やかな暮らしを守るため、「地域とともに、人とともに」の心を大切にし、救急医療から在宅支援まで、安
心・安全な地域医療に貢献する看護師を育成することを使命として昭和 62 年に開校し、900 人を超える卒業生を輩出している。
愛生会看護専門学校の特徴は、愛生会が運営する総合上飯田第一病院や、上飯田リハビリテーション病院との連携により、実習の場が多く、教師側のサポートも非常に手厚い点があげられる。多くの卒業生が在籍している病院で実習が可能な為、実際に働くビジョンが明確になり、実践的なスキルが生徒に身に付いていく仕組みが形成されているのは一般的な看護学校の中でも特筆すべき特徴であ る。
カリキュラムにおいては看護形態機能学が特徴的で、人体の構造と機能を生活の視点から理解する構成になっている。消化器の構造と機能は「食べる・排泄する」という生活行動から学びながら、一方的な授業ではなく、複数の教員でチームティーチング形式で行う。運動生理学をエアロビックダンスエクササイズをしながら自分の体で検証していく授業構成となっている。
<.. image(建物, 屋外, フロント, 座る が含まれている画像 自動的に生成された説明) removed ..> <.. image(カウンターの上に立っている男性たち 低い精度で自動的に生成された説明) removed ..>
校舎 実習風景
3. SDGs・ESG活動
(1) 健康経営
<.. image(グラフィカル ユーザー インターフェイス が含まれている画像 自動的に生成された説明) removed ..>
愛生会は「愛生会健康宣言」として上記の宣言を実施している。この健康宣言には、組織体制と取組体制がきめ細かく整備されており、従業員の精神および身体のケアが充実している。
<.. image(ダイアグラム 自動的に生成された説明) removed ..><.. image(ダイアグラム 自動的に生成された説明) removed ..>
組織体制 取組体制
また、社外評価として 2022 年度において 4 年連続で「健康経営優良法人(ホワイト 500)」に認定されている。
「①健康診断を受け、自己管理に努めます ②心の健康に留意します ③健康的な生活習慣を心がけます」を行動指針として、健康意識を高め、職員とその家族の健康保持推進のため毎年 9 月を「健康増進月間」と定めている。実践として健康アプリ上でのウォーキング大会の開催等、イベントを通じて健康意識の向上を図っている。
職員の働き方に対するアプローチとしては、有給取得率の向上に努めたり、資格取得者への祝い金支給制度を設けたりすることによってモチベーションアップを促進している。
モチベーションアップの取組
(2) 女性活躍
愛生会は女性職員への働き方改革についても多様な施策を行っている。この取組は厚生労働省の「えるぼし認定(3 段階目)」を取得するなど、外部からの認定評価も獲得している。えるぼし認定 3 段目は最高位(プラチナ除く)であり、ワークライフバランスの充実を進めるほか女性特有の健康課題に対する研修の開催等、女性活躍の支援を実施している。また、看護師用の職員寮もあり、多様な働き方の選択肢を提供している。
<.. image(ロゴ 自動的に生成された説明) removed ..> <.. image(屋内, 子供, 部屋, 若い が含まれている画像 自動的に生成された説明) removed ..>
(3) 子育てサポート
女性活躍支援の取組
上記の女性活躍の中でも、「くるみん」(子育て支援企業認定)取得をはじめとして、子育てサポートにも様々な取組を実施している。具体的な取組としては時短制度の導入による子育て支援や、マタニティサポート相談窓口の開設、育児休暇からの復職支援に注力している。
また、保育園の待機児童問題が深刻化している中、安心して仕事に従事できるよう院内託児所を設けており、多くの医師・看護師たちが活用している。
子育てサポートの取組
(4) 利用者とのコミュニケーション
愛生会は季刊誌を発行することで情報発信や、利用者とのコミュニケーション充実を図っている。加えて、サービス向上委員会を設置し、「患者さんからの声」として様々な要望に応えたり、満足度調査を公開したりすることで、利用者のより良い環境で医療が行われることに尽力している。
特に季刊誌においては、愛生会の施設の案内だけではなく、レシピの公開や地域における連携した医院の紹介、ストレッチ講座など、利用者が読みやすく興味のある情報を提供することで、より身近な存
在として施設を利用してもらう気配りが随所に盛り込まれている。
季刊誌「道しるべ」
また、愛生会は動画配信サイトにて患者や利用者、地域住民へむけて情報発信を行っている。動画では、認知症予防のストレッチ、管理栄養士のおすすめレシピ、愛生会看護専門学校のオープンキャンパスの様子を伝えている。
(5) 地域貢献活動
動画配信サイトの投稿動画
愛生会は名古屋市北部の医療機関、介護・看護施設として、地域と様々な連携をしている。前述の青 空コンサートや、乳がん経験者のためのフィットネス講座、糖尿病患者の為の食生活講座など(※新型 コロナウイルス感染拡大防止のため、中止となっている場合もある)医療関係のイベントが中心である。また、地域住民の会を開催し、地域のニーズの確認、対応を行っている。
交流の場の提供として、認知症カフェとして認知症に対する啓発活動と理解を目的に 2016 年度よりあいちゃんカフェを開設、活動を継続してきた。現在は会場を地域のコミュニティセンターへ移行し、定
員を制限して 2 カ月に 1 回開催している。さらに、地域住民が健やかな生活を維持できるよう、近隣商業施設にて毎月「あいちゃん健康倶楽部」を開催している。
また、名古屋市北区の区民の地域に対する愛着心(ふるさと意識)を高めるとともに、心の豊かさとぬくもりが感じられる街づくりを推進するための趣旨に賛同し、2019 年より区民祭り(きたきたフェスタ)に参加している。
あいちゃんカフェの様子
あいちゃん健康倶楽部の様子 きたきたフェスタ参加の様子
愛生会看護専門学校においては、学生による地域の夏祭りへの参加、県営名古屋空港での総合防災訓練参加など、医療介護にとどまらず地域のインフラとして重要な役割を果たしている。
<.. image(人, 屋外, 道路, 男 が含まれている画像 自動的に生成された説明) removed ..>
夏祭りの様子 防災訓練の様子
愛生会のSDGs・ESG活動は、職員のESや利用者のCSの向上を意識した取組となっており、そのための組織委員会設立や制度の制定などガバナンスも統制されている。
また、自治体との連携や地域に密着したイベントの開催を通して、地域社会になくてはならない存在となっている。
4. インパクトの特定
①インパクトマッピングによるインパクト分布
名古屋銀行は事業性評価におけるビジネスモデル(非開示)により愛生会の主要、関連業種を特定し、UNEP FI が推奨するインパクトマッピングからポジティブインパクト及びネガティブインパクトの分布を調査した。愛生会の業種カテゴリは多岐に渡る為、分布図は主要業種の掲載に限定する。
分布図中の「★★」は重要な影響があるカテゴリ、「★」は影響があるカテゴリを示す。愛生会の事業活動については「★★」「★」の影響をすべて検討する。
また、愛生会の事業の特性上、医療機関という大きなカテゴリが大部分を占める為、本項におけるインパクト分析は、「川上の事業」は「愛生会の事業」としてカテゴライズする。
加えて、「川下の事業」としてはエンドユーザーである一般市民が大半である。グループ内での連携や、地域の医療機関との連携はあるが、それらは上記同様に「愛生会の事業」としてカテゴライズする。
分析の対象となる事業活動がインパクトマッピングの業種分類に含まれる特定の事業の場合、当該事業とは無関係なインパクトカテゴリについては検討しない。
「雇用」に関しては多くの事業においてポジティブ・ネガティブの両面の影響がある。全社的な人事戦略・雇用管理などの横断的な対応について別途検討する。
②インパクト分布図
・愛生会の事業(掲載は主要業種のみ)
インパクトカテゴリ | 同社事業 | |||||||||||
【 | 8530 高等教育 | 】 | 【 | 8610 病院事業 | 】 | 【 8620 】 医療業及び歯科医療業 | 【 8690 】 その他の保健衛生事業 | 【 8730 】 高齢者・障害者用居住ケアサービス業 | 【 8810 】 宿泊施設のない高齢者・障害者向け社会事業 | |||
Positive | Negative | Positive | Negative | Positive | Negative | Positive | Negative | Positive | Negative | Positive | Negative | |
ポジティブ | ネガティブ | ポジティブ | ネガティブ | ポジティブ | ネガティブ | ポジティブ | ネガティブ | ポジティブ | ネガティブ | ポジティブ | ネガティブ | |
水(入手) | ||||||||||||
食料 | ||||||||||||
住居 | ★ | |||||||||||
健康・衛生 | ★★ | ★★ | ★★ | ★ | ★ | ★ | ||||||
教育 | ★★ | |||||||||||
雇用 | ★★ | ★ | ★★ | ★ | ★★ | ★ | ★★ | ★ | ★★ | ★ | ★★ | ★ |
エネルギー | ||||||||||||
移動手段 | ||||||||||||
情報 | ||||||||||||
文化・伝統 | ||||||||||||
人格と人の安全保障 | ★ | ★ | ★ | |||||||||
正義 | ||||||||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||||||||
水(質) | ||||||||||||
大気 | ||||||||||||
土壌 | ||||||||||||
生物多様性と生態系サービス | ||||||||||||
資源効率・安全性 | ||||||||||||
気候 | ★ | ★ | ||||||||||
廃棄物 | ★ | ★ | ★ | ★ | ★ | ★ | ||||||
包括的で健全な経済 | ★★ | ★ | ★ | ★ | ★ | |||||||
経済収束 | ★ |
愛生会の事業については、病院事業、医療業、保健衛生事業、ケアサービス事業を中心にインパクト分析を実施する。これらの業種においては、住居、健康・衛生、雇用、人格と人の安全保障、包括的で健全な経済においてポジティブがみられる一方で、廃棄物においてネガティブインパクトがみられる。
愛生会は、愛知県内でも数少ない社会医療法人であり、名古屋市北区を中心とした総合病院である総 合上飯田第一病院を中心に、回復期医療、慢性期医療、介護福祉を手掛けており、発症から回復、継続 治療を含め、様々な場面での医療・介護サポートを充実させている。この多角的な医療活動は健康・衛 生に対する最大のポジティブインパクトである。また、人材育成事業として専門学校も開設しており、 教育面においてもポジティブインパクトがみられる。これらの医療、教育活動は住居や教育、健康・衛 生といった生活の充実に必要不可欠である。また、愛生会は一方的な受け身での診療や医療・介護活動 だけでなく、情報発信やイベントの企画・運営、地域社会や自治体との連携を通じて、より身近な存在 として地域に密着している。このような他の病院や医療施設とは一線を画す取組はインパクト分析にお いて特筆すべき点である。また、雇用面においても、研修等によりワークライフバランスの充実を図り、託児所の設置による子育てサポート支援も、ジェンダー平等の観点から先進的な取組を実施している。
上記を踏まえると、ポジティブインパクトの拡大とは、愛生会の医療事業の拡大と更なる治療方法の確立による地域住民に安心、安全を提供することにほかならない。加えて、愛生会の健康経営における職員に対する働き方改革等に向けた取組を評価し、KPI を設定する。
また、ネガティブインパクトについては廃棄物の削減や気候変動への対応について KPI を設定する。
尚、特に重要なインパクトカテゴリと対応するSDGsのゴールは、下記の通りである。
※対応するSDGsのゴール
③国内のインパクトニーズ
環境省が策定した「インパクトファイナンスの基本的考え方」における国内のインパクトニーズは下記の図によって表される。特に取り組むべき SDGs を赤色、取り組むべきであるが不十分な SDGs を黄色、その他を緑色としているものである。
名古屋銀行が特定した愛生会のインパクトと対応する SDGs のゴール「3、4、5、8、9、11、12、17」に対して、全て赤色もしくは黄色のゴールに該当するものとなっており、国内のインパクトニーズとの整合的である。
5. 測定するKPI
①医療・介護施設としての機会提供等による社会面・経済面でのポジティブ拡大
②モチベーションアップの改革や福利厚生充実による社会面でのポジティブ拡大・ネガティブ縮小
③地元地域貢献、自治体連携による社会面でのポジティブ拡大
④廃棄物削減等によるネガティブ縮小
6. インパクトの管理体制
愛生会は片岡理事長を中心としてサステナビリティ経営充実の為の施策を各事業部及び管理本部が連携してSDGsの施策を検討・実施・検証する体制が整っている。
めいぎん PIF におけるインパクトについては、片岡理事長と管理本部が中心となり、管理・達成へ向けた施策を実施する。
インパクト管理者
最高責任者 | 理事長 片岡 祐司 |
管理責任者 | 管理本部長 堀尾 雅広 |
管理部署 | 管理本部 |
7. モニタリング方法
愛生会に対するめいぎん PIF のモニタリングは、インパクト管理者と名古屋銀行の担当者(法人営業部サステナビリティ推進担当及び営業店担当者)により年 1 回以上の協議を通して実施する。年 1 回以上の協議は、下記のプロセスで行われる。
項目 | 内容 |
1.内容報告・実績開示 | 設定した KPI の達成度を確認する。 |
2.検証・精査 | 達成度について開示された情報を名古屋銀行が確認する。 |
3.修正の検討 | 達成度・進捗度を検証し KPI の修正を検討する。 |
4.追加の検討 | 形骸化を防ぐ為、KPI の追加や削除を検討する。 |
名古屋銀行は上記のプロセスにおいて、自行のサポート及びアドバイスを実施する。また、モニタリング実施状況については、株式会社格付投資情報センターに対し、包括的な年次レビューを受ける。
8. 総括
愛生会の事業内容及びインパクト調査の結果、手がける事業それぞれにポジティブ及びネガティブな影響を確認した。愛生会が KPI 達成を目指すことで社内、地域社会への大きな貢献が想定され、UNEP FI の「ポジティブインパクト金融原則」、ESG及びSDGsの観点からも十分な適合性を確認した。