〇同社は総合リサイクル事業者として、鉄・非鉄金属スクラップや廃プラスチック類や、動植物性残渣、冷凍冷蔵機器などに充填されたフロンガスや蛍光灯に含まれる水銀等を 幅広くリサイクルし、資源の有効活用や廃棄物の削減、CO2 排出量の削減に貢献しています。
2022.3.30
㈱xx商店と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の契約を締結
静岡銀行(頭取 xx x)では、SDGs への取り組みの一環として、㈱xx商店(社長 xx xx)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(※)」契約を締結しましたので、その概要をご案内します。
※企業活動が環境・社会・経済のいずれかの側面において与えるインパクトを包括的に分析し、特定されたポジティブインパクトの向上とネガティブインパクトの低減に向けた取り組みを支援する融資
1.契約日 3 月 30 日(水)
2.融資金額 1 億円
3.資金使途 運転資金
4.㈱xx商店の取り組みについて(詳細は「評価書」をご参照ください)
〇同社は総合リサイクル事業者として、鉄・非鉄金属スクラップや廃プラスチック類や、動植物性残渣、冷凍冷蔵機器などに充填されたフロンガスや蛍光灯に含まれる水銀等を幅広くリサイクルし、資源の有効活用や廃棄物の削減、CO2 排出量の削減に貢献しています。
〇今回、同社の企業活動が社会・環境・経済に与えるインパクトを、以下のとおり評価しました。
環境 面 | ・総合リサイクル企業(幅広い品目をリサイクルし、資源の有効活用や廃棄物の削減に努めている) ・周辺環境への悪影響低減(環境マネジメントシステム ISO14001 を駆使し、騒音・振動や、大気・水質・土壌汚染を削減) ・気候変動対策(軽油やガス、電気の使用量を計測し、具体的な対策を取るこ とで CO2 排出量を削減している) |
|
社 会面 | ・働きがいある職場の醸成(人事評価制度の適切な運用や従業員教育の充実による従業員のモチベーション向上) ・安心安全な職場の醸成(有給休暇取得の奨励など労働環境の改善や安全教育を徹底することで従業員が安心して働ける安全な職場を醸成している) |
|
経 済面 | ・委託先との連携を深めることで実現したワンストップサービス(各種専門業者との連携を深めることで、県内事業者の幅広いリサイクルニーズに対してワンストップサービスを提供) |
|
5.その他
(1)インパクト評価/国連環境計画金融イニシアティブが提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」およびポジティブインパクトファイナンスタスクフォースが提唱した「インパクトファイナンスの基本的考え方」に基づき、一般財団法人静岡経済研究所が㈱日本格付研究所の協力を得て評価を実施
(2)モニタリング体制/一般財団法人静岡経済研究所とともに「ポジティブ・インパクト金融原則」に従い構築した内部管理体制のもと、インパクト評価で特定した KPI について、融資期間中における借入人のインパクトパフォーマンスのモニタリングを実施
【ご参考】㈱xx商店の概要
所 在地 | 静岡市葵区xx1丁目 7-39 | 創 業 | 1949 年(昭和 24 年)3 月 |
資 本金 | 12 百万円 | 売 上高 | 1,831 百万円(2021 年 7 月期) |
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
評価対象企業:株式会社xx商店
2022 年3月 30 日
一般財団法人 静岡経済研究所
目 次
(3)委託先との連携を深めることで実現したワンストップサービス 17
静岡経済研究所は、静岡銀行が、 株式会社xx商店(以下、xx商店) に対してポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するに当たって、xx商店の企業活動が、環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響およびネガティブな影響)を分析・評価しました。
分析・評価に当たっては、株式会社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」および ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則った上で、中小企業※1に対するファイナンスに適用しています。
※1 IFC(国際金融公社)または中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業
<要約>
xx商店は、鉄・非鉄金属スクラップの再資源化をコア事業とした総合リサイクル事業者である。鉄・非鉄金属スクラップとして鉄やアルミ、ステンレス、銅などを、産業廃棄物として廃プラスチック類や紙くず、木くず、動植物性残渣、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、がれき類を取り扱っている。冷凍冷蔵機器などに充填されたフロンガスや蛍光灯に含まれる水銀なども回収することができ、県内企業のリサイクルニーズに対して各種専門業者とのネットワークを生かしたワンストップサービスを提供することで、資源の有効活用や廃棄物の削減、CO2 排出量の削減に貢献してい る。
そのほか、人事評価制度の適切な運用などによる従業員のモチベーション向上や騒音・振動対 策、大気・水質・土壌汚染対策などの徹底による周辺環境への悪影響低減に努めている。残業の削減や有給休暇取得の奨励など労働環境の改善にも注力しており、安全教育も徹底することで従業員が安心して働ける安全な職場の醸成を図っている。
本ファイナンスでは、次のインパクトが特定され、それぞれに KPI が設定された。
【ポジティブ・インパクトの増大】
分類 | テーマ | 取組内容 | KPI(指標と目標) | インパクトレーダー | SDGs |
環境 | 鉄やアルミ、ステンレ | ||||
ス、銅などの金属スク | 2030 年までに、年間の | 資源効率・ | |||
ラップから産業廃棄 | 鉄・非鉄金属スクラップ | 資源安全確保 | |||
総合リサイクル | 物、フロン類、水銀ま | の 取 扱 量 を 現 状 の | |||
企業 | で幅広い品目をxx | 17,718tから 20%増 | 気候変動 | ||
イクルし、資源のx | xさせ、21,262tを達 | ||||
効活用や廃棄物の | 成する | 廃棄物 | |||
削減に努めている | |||||
社会 | 働きがいある職場の醸成 | 人事評価制度の適切な運用や従業員教育の充実による従業員のモチベーション向上 | 2030 年までに、作業効率を向上させて、従業員1人当たり取扱量を 20%上昇させる | 教育 雇用 包摂的で 健全な経済 | |
経済 | 各種専門業者との連携を深めることで、県内事業者の幅広いリサイクルニーズに対してワンストップサービスを提供 | ①毎年のフロン類の取 | |||
扱量 100 ㎏を維持す | |||||
委託先との | る | ||||
連携を深める | ②2030 年までに、水 | ||||
ことで実現した | 銀使用製品産業廃棄 | 経済の収れん | |||
ワンストップ | 物の取扱量を現状の | ||||
サービス | 819 ㎏から+81 ㎏増 | ||||
加させ、900 ㎏を達成 | |||||
する |
【ネガティブ・インパクトの低減】
分類 | テーマ | 取組内容 | KPI(指標と目標) | インパクトレーダー | SDGs |
環境 | 周辺環境への悪影響低減 | 環境マネジメントシステム ISO14001 を 駆使し、騒音・振動や、大気・水質・土壌汚染を削減 | 周辺住民からの環境悪化に対する毎年の苦情件数0件を維持する | 健康と衛生大気 水 土壌 | |
2030 年までに、鉄・非 | |||||
気候変動対策 | 軽油やガス、電気の使用量を計測し、具体的な対策を取ることで CO2 排出量を削減している | 鉄金属スクラップ及び産業廃棄物の取扱量 1t当たりの CO2 排出量を現状の 28.3 ㎏ -CO2/tから 15%削 減し、24.0 ㎏-CO2/ | 気候変動 | ||
tを達成する | |||||
社会 | 有給休暇取得の奨 | 労働環境の改善を継続し、労働災害の発生件数を現状の2件から減少させ、毎年0件を達成する | 健康と衛生 | ||
励など労働環境の改 | |||||
安心安全な | 善や安全教育を徹底 | 雇用 | |||
職場の醸成 | することで従業員が安 | ||||
心して働ける安全な | 包摂的で | ||||
職場を醸成している | 健全な経済 |
今回実施予定の「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の概要
契約日および返済期限 | 2022 年3月 30 日~2027 年3年 30 日 |
金額 | 100,000,000 円 |
資金使途 | 運転資金 |
モニタリング期間 | 5年0ヵ月 |
企業概要
企業名 | 株式会社xx商店 |
所在地 | xxxxxxx0xx 0-39 |
事業所 | ・本社工場:xxxxxxx0xx 0-39 ・菊川工場:xxxxx 000 ・xxxx工場:xxxxx 0000-1 |
従業員数 | 24 名(男性 21 名、女性3名) |
資本金 | 1,200 万円 |
業種 | 鉄・非鉄金属リサイクル業、産業廃棄物収集運搬・処分業 |
許認可・登録・免許 | ・金属くず商許可(静岡県)、古物商許可(静岡県) ・廃棄物再生事業者登録(静岡県) ・産業廃棄物収集運搬業許可(静岡市、静岡県、山梨県) ・特別管理産業廃棄物収集運搬業許可(静岡県、山梨県) ・産業廃棄物処分業許可(静岡市、静岡県) ・第一種フロン類充填回収業者登録(静岡県) ・計量証明事業所登録(静岡県) ・建設業許可(解体工事業) |
所属団体 | ・一般社団法人xxxリサイクル工業会 ・一般社団法人日本xx協会 ・一般社団法人静岡県フロン回収事業協会 ・公益社団法人静岡県産業廃棄物協会 ・一般社団法人静岡県計量協会 |
主要取引先 | <仕入先> 菱電旭テクニカ㈱、日東工業㈱、エムエム建材㈱、xxx中央㈱、パナソニック㈱、静岡ガス㈱ <販売先> 旭メタルズ㈱、xx㈱、xxxxx㈱、エムエム建材㈱、トピー工業㈱、㈱スギヤマ、xx通商㈱、東京製鐵㈱ |
沿革 | 1949 年 静岡市葵区城東町にて個人創業 1960 年 法人に改組 1973 年 菊川工場建設・操業開始 2006 年 菊川xx工場建設・操業開始 |
(2022 年3月 30 日現在)
1. サプライチェーンにおける役割および特徴
xx商店は、鉄・非鉄金属スクラップの再資源化をコア事業とした総合リサイクル事業者である。取扱品目は、鉄スクラップをはじめとした鉄・非鉄金属や廃プラスチック類などの産業廃棄物、冷凍冷蔵機器などに充填されたフロンガス、蛍光灯に含まれる水銀など多岐にわたる。ほぼ 100%が静岡県内の排出事業者からの回収であり、浜松市から御殿場市、場合によっては伊豆半島まで回収に行くことがある。
静岡市葵区の本社工場では、主に人の手によって金属スクラップを加工しており、シャーリング機 械による切断加工も行われている。そのほか、事務処理や顧客対応などの本社機能も有している。xx市には、xx工場と菊川xx工場の2工場があり、菊川工場では金属スクラップの加工や産業廃棄物の中間処理が行われており、事務処理や顧客対応も行う工場兼営業所となっている。菊川xx工場は、サイズの大きい金属スクラップの加工やフロンガス・水銀使用製品産業廃棄物の回収、産業廃棄物の中間処理を行っている。
主力の鉄・非鉄金属スクラップ再資源化事業では、廃棄された自動車や家電、建設現場において発生した鉄、アルミ、ステンレス、銅などを納品先である鉄鋼メーカーや非鉄金属メーカー、鋳造業者などが求める品質のスクラップに選別、加工している。解体工事業の許可も有しており、設備の撤去工事から金属スクラップの加工まで一貫した処理を行うことができる。菊川xx工場には、県内 最大級のギロチンプレスが備わっており、あらゆるサイズの金属スクラップにも対応が可能となっている。
<鉄・非鉄金属スクラップ再生事業の流れ>
納品先
xx商店
排出事業者など
同業他社
鋳造業者
機械設備
非鉄金属
メーカー
建設現場
家電
鉄鋼メーカー
切断
・圧縮
選
別
収集運搬
自動車
<2020 年度 鉄・非鉄金属スクラップの取扱量>
品目 | 鉄 | 非鉄 | |||
ステンレス | アルミ | 銅 | その他 | ||
取扱量(t) | 15,977 | 334 | 183 | 70 | 1,154 |
割合(%) | 90.2 | 1.9 | 1.0 | 0.4 | 6.5 |
産業廃棄物収集運搬・処分事業では、廃プラスチック類や紙くず、木くず、動植物性残渣、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず(以下、ガラ陶)、がれき類の7品目を運搬するこ とができ、そのうち動植物性残渣を除いた6品目の中間処理(破砕や圧縮、切断など)が可能となっている。これらの品目には、水銀使用製品産業廃棄物も含まれており、蛍光灯や水銀灯などといった水銀使用製品の取扱いも許可されている。また、xx商店では特別管理産業廃棄物の収集運搬業許可の取得や第一種フロン類充填回収業者の登録もしており、車のバッテリーなどの腐 食性廃酸、冷蔵庫やエアコンなどに含まれるフロン類を回収することが可能となっている。同社で中 間処理した産業廃棄物は委託先にて適切に処理され、再資源化もしくは埋め立て処分される。
<産業廃棄物収集運搬・処分事業の流れ>
品目 | 金属くず | 廃プラスチック類 | がれき類 | 木くず | ガラ陶 | 紙くず | 水銀使用製品産業廃棄物 | フロン類 |
収集運搬 | xx商店 | xx商店 | xx商店 | xx商店 | xx商店 | xx商店 | xx商店 | xx商店 |
中間処理 | xx商店 圧縮切断 | 排出事業者 xx商店 指定処理場 破砕圧縮切断 | xx商店 切断 | xx商店 切断 | xx商店 破砕切断 | xx商店 切断 | xx商店 破砕 | xx商店 抽出 |
収集運搬 | xx商店 | xx商店 | ㈲大宝産業 | xx商店 | xx商店 | xx商店 | xxエンバイ ロメント㈱ 日本通運㈱ 日本貨物鉄道㈱ | xx商店 |
中間処理 | ㈱トーカイ ㈱ tt909 > 破砕 | ㈲大宝産業選別 | ㈱xx町チップ 破砕 | 環境のミカタ㈱ 破砕 | ㈱故紙センター トヨタ 圧縮梱包 | 委託先破壊 | ||
再資源化最終処分 | 鉄鋼メーカー など 再資源化 | 神座興産㈱ 契約処分先 埋立処分 再資源化 | ㈱中和営繕 埋立処分 | 委託先 燃料チップ化 | 委託先 埋立処分 | 委託先 再資源化 | xx興産㈱ 再資源化 | 委託先 再資源化 |
<2020 年度 産業廃棄物の処理量>
品目 | 金属くず | 廃プラスチック | がれき類 | 木くず | ガラ陶 | 混合廃棄物 |
取扱量(㎏) | 420,151 | 145,946 | 4,950 | 2,938 | 514 | 262,960 |
割合(%) | 50.2 | 17.4 | 0.6 | 0.4 | 0.1 | 31.4 |
※混合廃棄物:廃プラスチックや紙くずなど、さまざまな品目が混ざった廃棄物
2. 業界の動向
【地球環境保全の中心的存在となる金属スクラップ】
鉄や非鉄金属スクラップは古くから積極的に再資源化されており、再生資源としての存在感は大きい。廃棄物などをリサイクルし、再生資源として取り扱う再生資源卸売市場での販売額シェアが 66.1%と、約3分の2を鉄・非鉄金属スクラップが占めている。
<国内再生資源卸売市場の内訳推移>
また、2020 年度における日本の CO2 排出量は 1,044 百万tであり、そのうちの約 34%を産業部門が占めている。その中でも、鉄鋼業の CO2 排出量は 131 百万tと産業部門の約 40%(日本全体の約 13%)を占め、産業別で最も多く排出している。
<2020 年 国内産業別 CO2 排出量とシェア(速報値)>
このように、リサイクル市場の中心的存在であり CO2 の多排出産業となっている鉄鋼業は、資源の有効活用や廃棄物削減、CO2 排出量削減の観点から、今後も金属スクラップ再資源化の取組みの拡大が求められている。
xx商店は、コア事業として鉄・非鉄金属スクラップのリサイクルに取り組んでおり、CO2 排出量の少ない生産方法を取り入れている鉄鋼メーカーに金属スクラップを納品することで、国内の再生資源卸売市場を支え、鉄鋼業界全体の CO2 排出量の抑制に貢献している。
以上のようにxx商店の企業概要や特徴および同社が属する業界動向を総合的に勘案した上で、UNEP FI のインパクト評価ツールを用いて網羅的なインパクト分析を実施し、ポジティブ・ネガティブ両面のインパクトが発現するインパクトカテゴリーを確認した。そして、同社の活動が、環境・社 会・経済に対して、ポジティブ・インパクトの増大やネガティブ・インパクトの低減に貢献すべきインパクトを次項のように特定した。
3. インパクトの特定および KPI の設定
<インパクトの別>
ポジティブ・インパクトの増大
<分類>環境
<インパクトレーダーとの関連性>
資源効率・資源安全確保、気候変動、廃棄物
<SDGs との関連性>
12.2 2030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
13.1 すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。
<KPI(指標と目標)>
2030 年までに、年間の鉄・非鉄金属スクラップの取扱量を現状の 17,718tから 20%増加させ、21,262tを達成する
<インパクトの内容>
xx商店は、「できることからはじめよう すべての生命の源 地球を守るために」、「限りある資源を有効活用 循環型社会の構築を目指して」という経営理念の下、地球環境を守るべく、鉄・非鉄金属スクラップや産業廃棄物のリサイクルに取り組んでいる。1949年に祖業である鉄・非鉄金属ス クラップの再資源化事業を開始し、1996年には産業廃棄物の収集運搬・処分業の許可を取得、廃プラスチック類などのリサイクルに取り組み始めた。その後、県内事業者のニーズに応える形で 2002年にフロン類回収業者(現在は第一種フロン類充填回収業者)の登録を行い、2004年に特別管理産業廃棄物(腐食性廃酸)の収集運搬業許可を、2020年には水銀使用製品産業廃棄物の収集運搬・処分業許可を取得し、さまざまな品目を取り扱うことができる総合リサイクル企業へと発展してきた。
xx商店のようなリサイクル業者で加工された鉄スクラップは、鉄鋼メーカーなどに再生資源として納められ新たな鉄鋼製品に生まれ変わる。鉄スクラップが納品される鉄鋼メーカーはすべて電炉メーカー(鉄スクラップを主な原料とし、炉の動力が電気である鉄鋼メーカー)であり、電炉メーカーは高炉メーカー(鉄鉱石を主な原料とし、炉の動力がコークスである鉄鋼メーカー)と比較して、動力や製造工程の違いから生産量当たりのCO2排出量が非常に少ない。xx商店が鉄スクラップの取扱量を拡大することは、廃棄物の削減だけでなくCO2排出量の削減にも貢献することになる。
<高炉メーカーと電炉メーカーの鉄鋼製品製造工程>
製 造 工 程 | |
高炉メーカー | 鉄鉱石 海外 銑鉄 溶銑 鋼 熱間圧延機 鉄鋼 高炉 転炉 顧客処理 など コークス 海外 石炭 工場 コークス ① ② ③ ④ 産出国から原料となる 高炉にて鉄鉱石を 溶銑処理工程で不純物を除去し 圧延処理など行い製品と鉄鉱石や石炭を輸入 還元し鋼のもとと 転炉にて銑鉄を精錬することで なった鉄鋼を顧客へ納品石炭は蒸し焼きされ なる銑鉄をつくる 炭素も除去 コークスとなる |
電炉メーカー | 金属スクラップ 原料スクラップ 配合スクラップ 鋳造・圧延 配合 電炉 炉外精錬 顧客 加工業者 など ① ② ③ ④ 金属スクラップ加工 製造製品の品質要求に 電炉でスクラップを溶解 鋳造、圧延処理などを行い業者から原料となる 合わせてスクラップを 炉外精錬を行い成分を 製品となった鉄鋼を顧客へスクラップを調達 配合 調整 納品 |
また、これまでは、電炉メーカーが生産する鉄鋼製品は原料が鉄以外の合金元素が含まれる鉄スクラップであるため、高炉製鉄鋼製品よりも加工性が低いなどと敬遠されてきたが、元素の混入量を適正に管理する技術が確立され、鉄スクラップによる高付加価値鉄鋼製品の製造が可能になったことや上記のような製造工程の違いから高炉メーカー製の鉄鋼製品と比較してサプライチェーン全体のCO2排出量を削減できることが注目され、需要は拡大傾向にある。
高炉メーカーにおいても、環境保全意識の高まりから、転炉で銑鉄を精錬する工程で10%ほど鉄スクラップを投入することもあり、2020年度の国内需給状況では、国内消費スクラップの約 23.3%は高炉メーカーの転炉で使用されている。
このほか、xx商店では鉄鋼メーカーだけでなく鋳造業者にも納品しており鉄鋼製品を扱うサプライチェーン全体のCO2排出量の削減に貢献しており、日本の産業を支えている。
<2020年度 国内鉄スクラップの需要と供給>
産業廃棄物のリサイクル事業では、再資源化の難しいガラ陶やがれき類などを除いた多くの廃棄物を外部委託先の協力を得てリサイクルしている。取り扱う業者が限られるフロン類や水銀使用製品なども回収することができる。アルミとゴムが混ざった雑品スクラップやプラスチックにアルミがインサートした廃棄物など、これまで地元企業が処理に窮していた廃棄物に関しても、従業員の丁寧な手選別や外部業者との連携によりリサイクルを可能にした。木くずや紙くず、水銀使用製品産業廃棄物はリサイクル率100%を達成しており、廃プラスチック類は70~80%ほどがRPF(固形燃料)にリ サイクルされるなど、県内事業者が排出する廃棄物の削減や資源の有効活用に貢献している。
そのほか、撤去を依頼された機械はスクラップとして再資源化するだけでなく、再利用できる機械 であれば商社を通して新たなユーザーを見つけ、販売することでスクラップ化を避けている。年2回行っているxx工場周辺の自主的な鉄くず拾いの開催や大手サプライヤーが主催する海岸清掃活動にも参画しており、これらも廃棄物の削減や資源の再生利用に資する取り組みである。
2024年には、xx工場を菊川xx工場に集約する大きな設備投資を計画しており、最新の設備を導入することで金属スクラップおよび産業廃棄物の処理能力の更なる拡大を予定している。
このように、xx商店は鉄・非鉄金属スクラップや産業廃棄物のリサイクルを通して、廃棄物の削減や再資源化、CO2排出量の削減に貢献している。今後も、経済活動と環境保全を両立させる静脈産業としての活躍が期待される。これらの取組みは、インパクトレーダーの「資源効率・資源安全確保」、「気候変動」、「廃棄物」に該当する。
静岡銀行は、xx商店の環境保全への貢献度を定量的に確認するために、鉄・非鉄金属スクラップの取扱量をモニタリングしていく方針である。
<インパクトの別>
ポジティブ・インパクトの増大
<分類>社会
<インパクトレーダーとの関連性> 教育、雇用、包摂的で健全な経済
<SDGs との関連性>
4.4 2030 年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。
8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。
<KPI(指標と目標)>
2030 年までに、作業効率を向上させて、従業員1人当たり取扱量を 20%上昇させる
<インパクトの内容>
xx商店では、人事評価制度の適切な運用や充実した従業員教育、大胆な権限の委譲に取り組むことで、従業員のモチベーションを高く保ち、生き生きと働ける職場を醸成することに努めてい る。
xx商店の人事評価制度は、半期に1回、目標の設定と結果のフィードバックを行う体制となっており、賞与支給日である6月と 12 月に実施されている。本社工場の従業員は会長と、xx工場および菊川xx工場の従業員は社長と面談を行い、当期の振り返りや次期目標の設定などと 共に、作業効率や労働環境の改善について話し合う機会を設けている。
従業員の教育に関しては、教育訓練一覧表の作成や有資格者の免許取得状況を管理することで、従業員一人一人に必要な知識や技能を把握し、的確に指導する仕組みを構築している。床上操作式クレーン運転、小型移動式クレーン運転、ガス溶接、車両系建設機械、フォークリフト運転などの業務上取得すべき技能講習による資格については、交通費や受講料などの費用をxx商店が負担するなどの経済的支援や講習時間を就業時間として認めるなどの時間的支援を行っている。資格取得以外にも社内で開催される教育訓練やフォークリフトの安全講習会、一般社団法人静岡県フロンガス回収事業協会のxx者講習会などといった外部講習への積極的な参加を奨励している。資格の取得や研修への参加がある度に、教育・訓練実施報告書を作成することとなって おり、教育の種類や実施日、内容、参加者などを記載することで、教育内容の管理も徹底して行っている。
従業員教育に注力することは、作業効率の向上などにもつながり、xx商店にとって大きなメリットとなるが、従業員にとっても自身の業務の幅や責任・権限が拡大されるなど業務の充実を感じることができ、やりがいの創出に資する取り組みである。実際に、最低限の規則を逸脱しないことを前提
に回収作業の一部を各個人に委ねたり、取引先との買取価格交渉を担当者に任せたりするなど、大胆な権限移譲を行うことで、従業員のモチベーションを向上させている。
このような、xx商店の人事評価制度の適切な運用や充実した従業員教育などは、働きがいのある職場の醸成に貢献している。労働意欲の向上が同社の生産性を高めることにもつながり、好循環を生み出している。これらの取組みは、インパクトレーダーの「教育」、「雇用」、「包摂的で健全な経済」に該当する。
静岡銀行は、xx商店の働きがいある職場の醸成度合いを定量的に確認するために、従業員
1人当たり取扱量をモニタリングしていく方針である。
(3)委託先との連携を深めることで実現したワンストップサービス
<インパクトの別>
ポジティブ・インパクトの増大
<分類>経済
<インパクトレーダーとの関連性>経済の収れん
<SDGs との関連性>
8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。
17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。
<KPI(指標と目標)>
①毎年のフロン類の取扱量 100 ㎏を維持する
②2030 年までに、水銀使用製品産業廃棄物の取扱量を現状の 819 ㎏から+81 ㎏増加させ、 900 ㎏を達成する
<インパクトの内容>
xx商店では、多様化する産業廃棄物のリサイクルニーズに応えるべく、各種専門業者と連携することでワンストップサービスを提供している。xx商店が排出事業者の総合窓口となり、自社での 処理だけでなく外部委託先への委託や紹介を行うことで、顧客は多種多様な産業廃棄物の適切な処理を行うことができる。xx商店へ任せれば間違いなく適切な処理が可能であるという高い安心感や利便性は同業他社との差別化につながり、同社の収益力向上に貢献している。
もちろん、自社での中間処理も幅広く行っており、フロン類が充填された自動販売機や冷蔵冷凍機器、エアコンなどからフロン類を回収・抽出する作業を請け負っている。取扱いが困難な水銀使用製品産業廃棄物を破砕処理し、水銀を回収することも可能であり、回収した水銀を日本で唯一リサイクル処理を行える株式会社xx興産に委託して水銀試薬などにリサイクルすることで、付加価値を創出している。
そのほか、携帯型 X 線金属成分分析器を導入することで作業の効率も改善している。同分析機の導入前は、回収する金属スクラップの成分を確認するにはサンプルを自社に持ち帰り分析するしかなく数日必要だったが、導入後はその場ですぐに結果がわかるので期間短縮、保管コスト削減、 効率向上を図ることができた。鋳造業者など納品先の品質要求に合わせた選別も可能になり品質も向上した。また、2024 年の投資計画では最新の設備を導入する予定であり更なる効率化が見込まれる。
このようなxx商店の各種専門業者との深い連携や自社の多様な中間処理、作業効率・品質の向上などは、リサイクルニーズに対するワンストップサービスの提供や確かなスクラップの納品を可能としており、顧客の信頼を得ることで自社の収益力を向上させている。これらの取組みは、インパクトレーダーの「経済の収れん」に該当する。
静岡銀行はxx商店の高い経済生産性を定量的に確認するために、フロン類の取扱量や、水銀使用製品産業廃棄物の取扱量をモニタリングしていく方針である。
<インパクトの別>
ネガティブ・インパクトの低減
<分類>環境
<インパクトレーダーとの関連性>健康と衛生、大気、水、土壌
<SDGs との関連性>
6.3 2030 年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させる ことにより、水質を改善する。
11.6 2030 年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。
12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
<KPI(指標と目標)>
周辺住民からの環境悪化に対する毎年の苦情件数0件を維持する
<インパクトの内容>
鉄・非鉄金属スクラップのリサイクル事業や産業廃棄物の収集運搬・処分事業は騒音や振動、悪臭などが発生する可能性があり、周辺環境の悪化が懸念される。また、フロン類や水銀なども取り扱っているため有害物質が流出する恐れもあり、大気・水質・土壌汚染リスクも内在する。xx商 店では、環境方針を定め、国際規格である ISO14001 に沿った環境マネジメントシステムを構築し、各種対策を徹底することで悪影響を低減させている。
<環境方針>
鉄・非鉄金属スクラップのリサイクル業者及び活動において、環境汚染の予防を図るため、環境マネジメントシステムを構築し、継続的改❹を行います。
関連する法規及び、弊社が受入を決めたその他の要求事項を遵守します。
(1)排水の維持管理を徹底し、環境汚染の防止に努めます。
(2)省資源、省エネルギー活動の推進を行います。
(3)騒音、振動の低減活動を行います。
この環境方針を社員及び委託業者に周知し、環境に関する意識向上を図るとともに、教育と啓蒙活動を行い、社外にも公開いたします。
具体的な対策として、鉄・非鉄金属スクラップのリサイクル工程や産業廃棄物の中間処理工程において、圧縮施設では鉄骨スレート葺の建物内での作業を中心とし、隣接する民家側の敷地に高さ7mの防音壁を設置している。切断施設では、機械及び油圧ユニット上部を保護カバー鉄板で 覆うことや機械装置及び作業場の隣接境界を 7.85mの鉄板製擁壁で囲うことで騒音を軽減し、水銀使用製品産業廃棄物の破砕施設では、破砕した際に発生する水銀蒸気や粉塵を集塵機 内にある吸着剤で吸着させることで除去している。集塵機のフィルターは年1回、吸着剤は年2回交換することで性能を維持している。
収集運搬時にも、シートを掛けたりワイヤーロープなどで固定したり、ドラム缶に封入しロープなどで転倒しないよう対策を取ることで飛散防止に努めており、保管場所についても、保管物が過剰にな らないよう常に状況を管理し、悪臭や油の流出が無いよう、処理後の廃棄物は鉄製容器に入れ飛散防止を図っている。破砕前の水銀使用製品産業廃棄物が割れて水銀が漏れないよう保管して いるドラム缶の口をクッション材で覆い、破砕後はドラム缶の蓋をバンドで締めるなど有害物質の管理も徹底している。
業務上発生する排水に関しても、同社の敷地内に設置した油水分離槽を通してから排水することで、水質汚染リスクの低減に努めている。回収先においても、万が一油などが漏れた場合に備え て、収集運搬車には中和剤や油吸着マットなどを積んでおり、的確に初動対応ができるようになっている。
また、xx商店では自社の環境方針を運送業者に配布したり、毎月の内部ミーティングで従業員に周知したり、廃棄物処理を受託する際の現地確認にて委託者に提示するなどの教育・啓蒙活動を実践することで、従業員や委託業者などの環境保全意識の向上を図っている。顧客に対して も、ゼロエミッションや環境負荷低減、廃棄物の価値向上などの課題に対して適切な分別の仕方や分別しやすいコンテナの設置方法などといった提案も行っており、自社だけでなくサプライチェーン全体の環境保全活動の充実に注力している。
xx商店では、これらの取組み以外にも環境に配慮した作業を従業員が確実に行えるよう、具体的な作業を文書化した作業手順書を整備している。作業手順書には通常時の作業に加え、発生し得る環境への悪影響やオイル漏れ発生時などの非通常時の作業、環境配慮事項、遵守すべき法規制などが記載されており、作業を行う従業員はこの作業手順書に従うこととなっている。このような従業員教育を徹底することで同社の環境マネジメントシステムは高い水準で維持されており、騒音規制法や振動規制法、水質汚濁防止法、静岡県公害防止条例などの法令や条例を遵守することができている。
<作業手順書に記載されている事項(抜粋)>
遵守すべき法規制
騒音規制法、振動規制法 静岡県公害防止条例、廃掃騒音規制法、振動規
静岡県公害防止騒音規制
静岡
騒音発生防止、荷の飛散防止油漏れ防止、大気汚染防止
大気汚染防止
火災防止 PCBオイル
資源等の消費、有害物質の漏出 タイ不要物の排出、騒音等の発生
資源等の消費、有害物質の不要物の排出
資源等の消費、騒音等の発
緊急時(油漏れ) 有害対応手順
緊急時(地震)対応手順
油水
廃家電引取作業手順
ガス切断
作業手順
引取作業手順
有害物質の漏出、不要物の排出
入荷・出荷時
作業手順
資源等の消費、有害物質の漏出
騒音等の発生
天井走行クレーン
始業前点検
資源等の消費、不要物の排出
騒音等の発生
移動式クレーン
作業手順
騒音発生防止、大気汚染防止
資源等の消費、有害物質の漏出
不要物の排出、騒音等の発生
パワークレーン
作業手順
油漏れ防止
資源等の消費、有害物質の漏出
騒音等の発生
パワークレーン
始業前点検
油漏れ防止
資源等の消費、有害物質の漏出
騒音等の発生
ベーリングプレス機
始業前点検
環境配慮事項
発生し得る環境への影響
作業
このような、xx商店の ISO14001 に沿った騒音・振動対策や悪臭対策、粉塵対策、大気・水質・土壌汚染対策は周辺地域の環境保全に資する。また、従業員だけでなく業務委託先や顧客に対しても環境保全意識の醸成活動、具体的な対策の提案などを行っており、サプライチェーン全体の環境負荷低減にも貢献している。これらの取組みは、インパクトレーダーの「健康と衛生」、
「大気」、「水」、「土壌」に該当する。
静岡銀行は、xx商店の環境への悪影響の低減度合いを定量的に確認するために周辺住民からの環境悪化に対する苦情件数をモニタリングしていく方針である。
<インパクトの別>
ネガティブ・インパクトの低減
<分類>環境
<インパクトレーダーとの関連性>気候変動
<SDGs との関連性>
7.2 2030 年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
13.1 すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。
<KPI(指標と目標)>
2030 年までに、鉄・非鉄金属スクラップ及び産業廃棄物の取扱量1t当たりの CO2 排出量を現状の 28.3 ㎏-CO2/tから 15%削減し、24.0 ㎏-CO2/tを達成する
<インパクトの内容>
xx商店では、各工場の毎月の軽油、ガス、電力の使用量を記録し、事業の中で発生した CO2 の排出量を管理している。管理するだけでなく、デマンドコントローラーを使った使用電力のピークカット、適正なエアコン温度の設定、こまめな消灯、アイドリングストップ削減、効率的な配車などの省エネルギー活動に取り組み、使用量の削減を図ることで、CO2 の排出を抑制している。
2024 年に計画しているxx工場の集約では、最新の省エネ設備を導入することによる使用電力の削減を見込んでいる。建屋の屋根にはxxx発電設備を設置予定であり、創出した電力はすべて自家消費することで事業活動において発生する CO2 排出の抑制が期待される。
このような、xx商店の軽油、ガス、電力の使用量の管理・削減による CO2 排出量削減への取組みは気候変動対策に資する。これらの取組みは、インパクトレーダーの「気候変動」に該当する。
静岡銀行は、xx商店の気候変動への対策度合いを定量的に確認するために CO2 の排出量をモニタリングしていく方針である。
<インパクトの別>
ネガティブ・インパクトの低減
<分類>社会
<インパクトレーダーとの関連性>
健康と衛生、雇用、包摂的で健全な経済
<SDGs との関連性>
8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
<KPI(指標と目標)>
労働環境の改善を継続し、労働災害の発生件数を現状の2件から減少させ、毎年0件を達成する
<インパクトの内容>
xx商店の事業は、人手に頼るところが多く、長時間労働となることや危険な作業を伴うことも 珍しくない。そのような労働環境を改善するために、同社では残業の削減や有給休暇取得の奨励、安全な職場の醸成に積極的に取り組んでいる。
具体的には、金属スクラップや廃棄物の回収作業は日中に終えるよう計画を立てたり、プライベートの用事がある場合には始業時間や就業時間をずらして勤務するなど柔軟な働き方を実践することで残業時間を削減している。金属スクラップの加工や産業廃棄物の中間処理についても、自社の 処理能力を超えて残業にならないよう注意している。
有給休暇取得率は 70%を超えており、取得日数が少ない従業員には社長や上司から声を掛け、取得するよう推進している。従業員も、配車表や担当取引先の稼働状況を確認して、自身や周囲への影響が大きくない日に取得するなどの工夫を凝らしており、会社全体で休暇取得を申請しやすい雰囲気を醸成している。
労働安全面では、クレーンなどのメンテナンス会社やフォークリフトの販売会社などに講師を依頼 し、年に1~2回開催している安全講習会の実施が挙げられる。作業時の注意事項などについ て、座学および現場での確認を行っており、xx商店の作業者は全参加となっている。そのほか、車両には安全装備が付いており、10t車には全車バックモニターを導入し、営業車やトラック、フォークリフトにはドライブレコーダーを設置している。自社設備の点検も欠かしておらず、移動式クレーンは毎年、天井クレーンは毎月、トラックは毎日、異常がないか保守・点検している。
業務上発生してしまった労働災害に関しては、災害・事故報告書を作成することとなっており、発生日時や発生場所、当事者名、状況、発生原因、安全衛生管理状況、防止策などを記載し、即時、再発防止に努めている。
そのほか、火災や台風、地震発生時の対応を訓練しており、訓練の都度、緊急事態訓練記録及び見直し記録表を作成している。訓練の中で認識した改善点も記録表に記載しており、随時、対策を見直し安全性を高めている。
このような、xx商店の労働環境の改善は、従業員が安心して安全に働ける職場の醸成に貢献している。これらの取組みは、インパクトレーダーの「健康と衛生」、「雇用」、「包摂的で健全な経済」に該当する。
静岡銀行は、xx商店の労働環境の改善度合いを定量的に確認するために労働災害の発生件数をモニタリングしていく方針である。
4. 地域課題との関連性
xx商店は、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスの KPI を達成することによって、2030 年の売上高を 18 億円に、従業員数を 24 人にすることを目標とする。
「平成 27 年静岡県産業連関表」を用いて、静岡県経済に与える波及効果を試算すると、この目標を達成することによって、xx商店は、静岡県経済全体に年間 28 億円の波及効果を与える企業となることが期待される。
【静岡市環境基本計画への貢献】
静岡市は、「静岡市環境基本条例(平成 2004 年3月制定)」に基づき「静岡市環境基本計画」を策定し、自然や社会条件に応じた環境の保全に関する施策を実施してきたが計画期間の満了に伴い、2014 年度、計画期間を8年とした「第2次静岡市環境基本計画」を新たに策定した。この計画は、「人々が豊かな環境を育み 環境が健やかな人を育むまち・静岡」を基本方針としており、市民・事業者・市(行政)それぞれが担うべき役割を明らかにし、さまざまな主体が連携、協働しながら積極的な取り組みを促進することを目的としている。さらに、4つの基本目標と 12 の環境目標を設定することで、基本方針の実現を図っている。
<第2次静岡市環境基本方針 基本目標と環境目標>
この計画では、自然環境、資源循環、生活環境、地球環境、環境教育の5つの基本目標があ
る。それぞれに基本目標からさらに細分化した個別目標、取組方針が定められており、これらの目標、方針に則った取組みを市民や事業者、滞在者に求めている。
資料:静岡市「第2次静岡市環境基本方針(概要版)」
xx商店の鉄・非鉄金属、産業廃棄物のリサイクルや周辺環境への悪影響低減、気候変動対策といった多くの活動が、この計画の基本目標ならびに基本方針の達成に資する取組みであり、静岡市の環境課題の解決に貢献している。
【静岡市 SDGs xx都市計画への貢献】
静岡市では、「静岡市 SDGs xx都市計画」を策定し、総合戦略により実現性・実効性を持たせるため戦略中の各項目に SDGs を組み込んでおり、第3次静岡市総合計画で目指す「世界に輝く静岡」の実現を加速するツールとして活用されている。同市において、SDGs の市民認知度は 46.5%となっており、さらに 200 人を超える職員が SDGs を周囲に説明できるくらい理解が進んでいる。2020 年からは「行動の 10 年」とすべく、SDGs を「知る・理解する」から多くの市民が「行動する」状況につなげていくことを標榜している。
xx商店は、SDGs の達成に積極的に取り組んでおり、自社の取組みを公表することで、静岡市の SDGs 促進策を牽引する企業として貢献している。
5. マネジメント体制
xx商店では、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組むにあたり、xx社長が陣頭指揮を執り、社内の制度や計画、日々の業務や諸活動等を棚卸しすることで、自社の事業活動とインパクトレーダーや SDGs との関連性について検討を重ねた。
本ポジティブ・インパクト・ファイナンス実行後においても、xx社長を最高責任者とし、全従業員がxxとなって、KPI の達成に向けた活動を実施していく。
代表取締役社長 xxxx
最高責任者
6. モニタリングの頻度と方法
本ポジティブ・インパクト・ファイナンスで設定した KPI の達成および進捗状況については、静岡銀行とxx商店の担当者が定期的に会合の場を設け、共有する。会合は少なくとも年に1回実施するほか、日頃の情報交換や営業活動の場等を通じて実施する。
静岡銀行は、KPI 達成に必要な資金およびその他ノウハウの提供、あるいは静岡銀行の持つネットワークから外部資源とマッチングすることで、KPI 達成をサポートする。
モニタリング期間中に達成した KPI に関しては、達成後もその水準を維持していることを確認する。なお、経営環境の変化などにより KPI を変更する必要がある場合は、静岡銀行とxx商店が協議の上、再設定を検討する。
以 x
x評価書に関する重要な説明
1.本評価書は、静岡経済研究所が、静岡銀行から委託を受けて実施したもので、静岡経済研究所が静岡銀行に対して提出するものです。
2.静岡経済研究所は、依頼者である静岡銀行および静岡銀行がポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するxx商店から供与された情報と、静岡経済研究所が独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。
3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合させるとともに、ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に整合させながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所から、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに関する第三者意見書の提供を受けています。
<評価書作成者および本件問合せ先>
一般財団法人静岡経済研究所
研究部 研究員 xx xx
x420-0853
静岡市葵区追手町 1-13 アゴラ静岡 5 階 TEL:000-000-0000 FAX:000-000-0000
第三者意見書
2022 年 3 月 30 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: 株式会社xx商店に対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社静岡銀行 |
評価者:一般財団法人静岡経済研究所 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、静岡銀行が株式会社xx商店(「xx商店」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、静岡経済研究所による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定した PIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシアティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、インパクト分析ツールを開発した。静岡銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際し静岡経済研究所と共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、静岡銀行及び静岡経済研究所にそれを提示している。なお、静岡銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義を、PIF 原則等で参照している IFC の定義に拠っている。
JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえで PIF 原則との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的とした中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では
52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
静岡銀行及び静岡経済研究所は、本ファイナンスを通じ、xx商店の持ちうるインパクトを、UEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析を行った。
この結果、xx商店がポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、静岡銀行が PIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 静岡銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
①PIFの申込み | ②PIF評価依頼 | レビュー依頼 | ||||
③インパクトの | ||||||
包括分析・特定 | ||||||
お客さま | ⑤目標・KPI等の協議 | 当行 | ④インパクトの還元 | 静岡経済研究所 | コメントバック | JCR |
⑥目標・KPI等の報告 | レビュー依頼 | |||||
⑨融資実行 | ⑦目標・KPI等の | |||||
PIF評価書交付 | 評価 | |||||
⑧PIF評価書作成 | コメントバック |
(出所:静岡銀行提供資料)
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(2) 実施プロセスについて、静岡銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、静岡銀行からの委託を受けて、静岡経済研究所が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めた PIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本 PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全て静岡経済研究所が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、静岡経済研究所が、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及び ESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人であるxx商店から貸付人である静岡銀行及び評価者である静岡経済研究所に対して開示がなされることとし、可能な範囲で
対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
Japan Credit Rating Agency, Ltd.
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・xxな立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候変動イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:00-0000-0000 FAX:00-0000-0000
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