Contract
2024 年 1 月 31 日
各位
株式会社 三十三銀行
株式会社xx工務店との「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約締結について
株式会社三十三銀行(頭取:xx xx)は、持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、株式会社xx工務店(社長:xx x)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(※)」契約を締結しましたのでお知らせいたします。
本件の取り組みにあたっては、株式会社三十三総研(社長:xx xx)がインパクト分析・特定のうえ評価書を作成し、株式会社日本格付研究所がポジティブ・インパクト金融原則との適合性を確認しました。今後も「三十三フィナンシャルグループSDGs宣言」のもと、企業活動を通じてSDGsの達成に貢献することで、持続可能な社会の実現に努めてまいります。
(※) 企業活動が「社会・経済・環境」のいずれかに与えるインパクトを包括的に分析・特定し、ポジティブインパクトが期待できる活動と、ネガティブインパクトを低減する活動を支援するもので、借入人様によるSDGs達成への貢献度合いを評価指標とし、借入人様から情報開示を受けながら当行がその過程を定期的にモニタリングするものです。
1. 融資概要
(1) | 契約日 | 2024年1月31日 |
(2) | 融資金額 | 100百万円 |
(3) | 期間 | 3年 |
(4) | 資金使途 | 運転資金 |
2. 借入人概要
(1) 企業名
(2) 所在地
(3) 事業内容
株式会社xx工務店
xxxxxxxx0xx0x00x
当社は、三重県伊勢市に本社を置き、三重県全域と愛知県の一部地域を営業エリアとする建設会社である。「きちんと考え、きちんと作る。」をモットーに法人・公共建築事業、注文住宅事業、リフォーム・リノベーション事業を展開している。土地購入から計画・設計施工、さらに完成引き渡し後のアフターフォローまでワンストップで対応する自社設計施工を強みとしている。また実施設計から完成までに関わる業者との全ての打合せを当社が行うことによって、
予算や計画の大幅変更を回避することができる強みがある。
(本社事務所)
(松阪市子ども発達総合支援センターそだちの丘)
(2017年 中部建築賞受賞)
(4) 従業員数
56名(2023年11月20日現在)
3. 特定インパクトと測定するKPI
(1) 経済面・
社会面
包摂的で健全な経済(ポジティブ)、雇用(ポジティブ)
・2025年度までに女性従業員数を25名以上
(2023年11月20日現在 20名)
・2025年度までに女性リーダー職を1名以上
(2023年11月20日現在 0名)
(2) 社会面 住居(ポジティブ)、保健・衛生(ポジティブ)
・新築住宅請負件数年間 23 件以上
(2020年度~2022年度 平均23.6件/年)住居(ポジティブ)
・2023 年度~2026 年度のリフォーム(請負金額 10 百万円以上)累計件数 60 件以上
(2020 年度~2022 年度 3 年間累計:30 件)
・定期訪問によるアフターフォロー実施率100%を維持教育(ポジティブ)、雇用(ポジティブ)
・2025年度までに下記資格の合計保有者数30名以上
一級建築士 7名 1級建築施工管理技士 12名
1級建築施工管理技士補 2名
1級土木施工管理技士 2名
1級管工事施工管理技士 1名 (2023年11月20日現在)合計 24人
保健・衛生(ネガティブ) | ||
・休業を要する労働災害発生件数 年間 0 件 (2018 年度~2022 年度までの累計発生件数 3 件) | ||
・2025年度までにxxxん制度(厚生労働省)の認定を新たに取得 | ||
(3) | 社会面・環境面 | 住居(ポジティブ)、エネルギー(ポジティブ)、気候(ポジティブ) |
・新築住宅のうち、ZEH 仕様件数 年間 20 件以上 (2020 年度~2022 年度 平均 10.0 件/年) | ||
(4) | 環境面 | 気候(ネガティブ) |
・2025 年度までに使用車両の HV 割合を 50%以上 (2023 年 11 月 20 日現在 15 台中 4 台 27%) |
4. お問い合わせ先
(1) 三十三銀行
ソリューション営業部(担当:xx、連絡先: 059-354-7144)
(2) 三十三総研
調査部(担当:xx、連絡先: 059-354-7102)
コンサルティング業(担当:xx、連絡先: 059-351-7417)
以上
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
2024 年1月 31 日株式会社三十三総研
三十三総研は、三十三銀行が、株式会社xx工務店に対してポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するにあたって、株式会社xx工務店の活動が、環境・社会・経済に及ぼすインパクト
(ポジティブな影響及びネガティブな影響)を分析・評価しました。
分析・評価にあたっては、株式会社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」及びESGハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブ・インパクト・ファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、中小企業※1に対するファイナンスに適用しています。
※1 IFC(国際金融公社)または中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業
目次
1.評価対象の概要 2
2.株式会社xx工務店の概要 2
2-1.基本情報
2-2.経営方針と事業内容
2-3.サスティナビリティに関連する活動
3.UNEP FI インパクトレーダーとの関連性 16
3-1.経済面のインパクト
3-2.社会面のインパクト
3-3.環境面のインパクト
4.測定するKPIと SDGsとの関連性 21
4-1.経済面・社会面(ポジティブ)
4-2.社会面(ポジティブ)
4-3.社会面(ネガティブ)
4-4.社会面・環境面(ポジティブ)
4-5.環境面(ネガティブ)
4-6.その他 KPI を設定しないインパクトについて SDGs との関連性
5.サスティナビリティ管理体制 27
6.モニタリング 27
7.総合評価 27
1.評価対象の概要
企業名 | 株式会社xx工務店 |
借入金額 | 100,000,000 円 |
資金使途 | 運転資金 |
契約日及び返済期限 | 2024 年1月 31 日 ~ 2027 年1月 25 日 |
2.株式会社xx工務店の概要
2-1.基本情報
本社所在地 | xxxxxxxx0xx0x 00 x |
従業員数 | 56 名(2023 年 11 月 20 日現在) |
資本金 | 47,750,000 円 |
業種 | 建築一式工事、土木一式工事、総合建設業 |
取引先 | 官公庁(三重県ほか)、民間(社会福祉法人、学校法人ほか)、一般顧客 |
沿革 | 1978 年 伊勢市xxにてxx工務店を個人創業 1984 年 有限会社xx工務店を設立 1993 年 株式会社xx工務店に組織変更 1994 年 資本金 2,500 万円に増資 2000 年 伊勢市xxに新社屋完成、本社を移転 2010 年 ISO9001 認証取得 2011 年 アメーバ経営を導入 ISO14001 認証取得 「男女がいきいきと働いている企業」として三重県より認定 2014 年 「三重のおもてなし経営企業」として選出 伊勢ショールーム完成 2015 年 資本金 4,000 万円に増資 2019 年 資本金 4,775 万円に増資 2020 年 志摩ショールーム完成 |
2021 年 ISO45001 認証取得 2022 年 愛知県名古屋市xx区に名古屋営業所開設 | |
事業拠点 | [本社]xxxxxxxx0xx0x 00 x [名古屋営業所]xxxxxxxxxxxxx0xx 000 xx [伊勢ショールーム]xxxxxxxxx 000 xx0 [志摩ショールーム]三重県志摩市阿児町鵜方 393-232 |
2-2.経営方針と事業内容
【経営方針】
xx工務店株式会社(以下、xx工務店)は、三重県伊勢市に本社を置き、三重県全域と愛知県の一部地域を営業エリアとする建設会社である。 “きちんと考え、きちんと作る。”をモットーに、法人・公共建築事業、注文住宅事業、リフォーム・リノベーション事業を展開して、地元の職人やパートナー企業とともに、地産地消の建設会社として夢と希望に溢れた職場づくりと、顧客に愛され尊敬される会社を目指している。
⮚ 社是
「xx」―誠を尽くせば天に通ずる―
⮚ 経営理念
営業エリア
一、我社は全従業員、大工さんの物心両面の幸福を追求、実現を目的にすると共に、パートナー企業様と共に成長発展することを目的とする集団である。
一、我社は社業を通じて社会の進歩、向上、発展に貢献する集団である。
一、我社は現状に甘んじることなく、常に革新にチャレンジし続ける開拓者の集団である。
⮚ モットー
⮚ Mind xx工務店の想い
わたしたちxx工務店は 1978 年の創業以来、たくさんのお客様や地域の方々、関連業者様に支えられながら“きちんと考え、きちんと作る。”をモットーに今日まで社業を成長・発展し続けることができました。
社是である「xx」-誠を尽くせば天に通ずる-はxx工務店に集う全社員の羅針盤となる考え方です。わたしたちは「人として何が正しいか」を判断基準とし、心の在り方や考え方を全社員・大工さんと共に学ぶ時間を定期的に設け人間力育成に真剣に取組んでいます。
当社は「法人・公共建築事業」「注文住宅事業」「リフォーム・リノベーション事業」と多岐に渡る事業を展開しています。全ての事業に共通して、お客さまに本当に喜んでいただける建物をきちんと考え、きちんと施工する事により、変化する時代の中で建築を通じ必要とされる会社であり続け社会の進歩・向上・発展に貢献していきたいと思っています。
創業以来、様々な建築に携わらせて頂き培ってきた豊富な経験と確かな技術を活かした、計画性と品質の高い施工をお約束します。また、お客さまそれぞれが思い描かれる「しあわせ」のカタチを共に考え、将来までを見据えたプロとしてのご提案をさせて頂きます。
お客様の「しあわせ」実現のために。現状に甘んじることないチャレンジ精神を持ち、変化を恐れない集団。それがxx工務店の「Mind」です。
【事業内容】
xx工務店の事業は、法人・公共建築事業、注文住宅事業、リフォーム・リノベーション事業の3つで構成されている。「建築を通じてお客様に喜んでいただける建物づくり」を目指し、豊富な経験から得たノウハウと技術力を活かした施工を行っている。
土地購入から計画・設計施工、さらに完成引き渡し後のアフター フォローまでワンストップで対応する自社設計施工を強みとし、当初資金計画~プラン図作成~概算見積まで一貫して行うことで顧客の要望に沿った設計プランをスムーズに提案している。さらに、実 施設計から完成までに関わる業者との全ての打合せをxx工務店 が行うことによって、予算や計画の大幅変更を回避することができる。
事業部門別売上高構成比(2022年度)
8%
注文住宅事業
13%
法人・公共建築事業
79%
リフォーム・リノベーション事業
ワンストップ自社設計施工の流れ(xx工務店 HP より)
(1)法人・公共建築事業
法人・公共建築事業は売上構成の79%を占める主力事業であり、児童福祉施設、医療・障害支援施設、官庁・公共工事から、企業の工場・店舗・事務所、鉄骨・RC 造のマンションまで多岐にわたる建物の新築・改修を手掛けている。「建築の力で社会の活性化」を目指し、計画から施工までのワンストップ対応により、工期や予算など顧客の課題解決につながる提案を行っている。
《施工事例》
イノチオホールディングス㈱ 本社屋
(2020 年度グッドデザイン賞受賞)
松阪市子ども発達総合支援センターそだちの丘
(2017 年 中部建築賞受賞)
(2)注文住宅事業
注文住宅事業は売上構成の 13%を占め、洋風・和風・平屋の3つの基本タイプを揃えて、伊勢と志摩の各ショールームを拠点に事業展開している。環境・景観・家族構成・年齢・生活
スタイル・将来を見据えた設計によって、建物の美しさを永く保ち設備に頼り過ぎず快適な暮らしができる注文住宅は、(公財)日本デザイン振興会のグッドデザイン・ベスト 100 や三重県建築賞を受賞するなど高い評価を受けている。家づくりにおける「こだわりの4つの柱」として、
「①建物を支える盤石な基礎」「②地震に強い頑丈な骨組み」「③夏涼しくて、冬暖かい」「④機能からxxxしさ」を掲げ、安心・安全・快適な住まいを提供している。
《施工事例》
「志摩の家」
(2021 年度グッドデザイン・ベスト 100 受賞)
K邸
(第 38 回 三重県建築賞 住宅部門 知事賞)
<xx工務店の「こだわりの4つの柱」>
① 建物を支える盤石な基礎
建物の床下前面に 13 ㎜の鉄筋を 200 ㎜ピッチに組んで配筋してコンクリートを打設す
るベタ基礎を標準仕様とする。建物を「面」で支えて加重を分散することができ、さらにコーナーベースを設けることで、地震の揺れに対してより強度を発揮する。
ベタ基礎と床下配管
コーナーベース補強
② 地震に強い頑丈な骨組み
床の根太にプレカット加工した 90 ㎜角の木材を、910 ㎜×910 ㎜ピッチで細かく組み込
むプラットホーム工法を採用し、地震や強風などによる水平力に対して優れた剛性を発揮して、高い耐久性能と耐震性能を生み出す。また、建物全体に地震や火災に強い耐震ボード「ダイライト」を施工し、垂直方向に対するひねり剛性を高める。
プラットホーム工法
ダイライト施工
③ 夏涼しくて、冬暖かい
基礎から外壁、屋根面まで家全体に難燃発泡ウレタン断熱材「フォームライト SL」を吹き付けることによって、建物全体に魔法瓶のような断熱効果を生み出す。ウレタン断熱材は、経年による変化も見られないため、xxに渡り安定した断熱・気密効果を発揮する。
断熱効果比較(同社 HP より)
④ 機能からxxxしさ
⮚奥行きのある庇
庇を深くして、雨と紫外線から外壁やコーキング※を守り、建物をより永く美しいままに保つ。また、夏の暑い日には室内に影を落し、冬の寒い日には室内に光を通して室内温度を調整する。雨の日に窓をあけて家中を換気することもでき、建物デザイン自体が省エネルギーにもつながる。
※ 気密・水密性を保つために、材料の接合部や継ぎ目などの隙間を埋める詰め物。
イメージ図・画像(xx工務店 HP より)
⮚オリジナル建具、オリジナル製作家具
xxx(2,400 ㎜) まである手づくりの木製建具「上吊りハイドア」を標準仕様とする。部屋を広く見せるだけでなく、レールをなくすことで掃除が容易となるほか、引き戸をゆっくり閉めるソフトクローズ機能により開閉時の音と安全性にも配慮している。さらに、収納スペースを確保するため、デッドスペースに設置でき、高いデザイン性のオリジナル
製作家具設置の提案を行っている。
オリジナル建具(ハイドア)
オリジナル製作家具
(3)リフォーム・リノベーション事業
リフォーム・リノベーション事業は売上構成の8%を占め、住まいの小規模修繕工事から間取全体のリノベーションまで多岐にわたる施工実績は年間 300 件以上にのぼる。「傷んだ部分を復旧するだけでなく、より快適な暮らしを営むことができる空間づくり」をモットーに、顧客の家族構成やライフスタイルに合ったリフォームを提供している。
リフォーム前(築 25 年)とリフォーム後(xx工務店 HP より)
2-3.サスティナビリティに関連する活動
【公共施設・民間施設の建築事業を通じた地域社会への貢献】
児童・福祉施設、医療、障害支援施設などの公共施設や、企業の工場・倉庫、店舗、事務所などの民間施設の建築事業を通して、地域経済の発展に貢献している。強みでもある初期計画から施工まで一貫したワンストップ対応によりローコスト施工を実現し、顧客の様々な要望へ迅速に対応している。これまでに培った技術力・ノウハウを活かして、公共施設・民間施設の更なる受注増加を目指している。
【快適で環境に配慮した住まいの提供】
(1)地域の風土に根ざした住宅
降水量が多く高温多湿な三重県の気候風土に根ざした心地よい家づくりを設計コンセプト・考え方とし、「建物デザイン自体が省エネルギーであること」、「永きに渡り美しさが保たれること」、「設備に頼りすぎないものであること」を重視した家づくりを行っている。設計段階で建築予定地に何度も足を運び、周辺環境も考慮したうえで敷地全体の最良の使い方を提案し、住む人にとって快適で、健康や衛生に配慮した住まいを提供している。xx工務店が提供する住宅は、深い庇と大きな窓、xxxまである上吊りハイドアによって四季を通じて最適な採光・採風を実現し、ペアガラスの窓やウレタン吹き付けによる高い断熱・気密性能によって部屋ごとの温度差やカビ・ダニの発生の抑制に効果を発揮している。
(2)環境に配慮した住宅
外皮平均熱貫流率(UA)※が 0.6 W/㎡・K 以下のZEH(Net Zero Energy House)基準に相当する水準の「断熱等性能等級5」、一次エネルギー消費量削減率が 20%以上の「一次エネルギー消費量等級6」の優れた住宅性能を備えた住宅によって、省エネルギーな暮らしを提供している。また、ZEHビルダーとしてxxx発電システムや省エネ設備を取り入れてエネルギー消費量をゼロ以下にするZEH住宅の普及にも注力しており、「地元工務店でつくるZEH」をキャッチコピーに宣伝広告やSNSでZEH住宅の情報を発信している。新築だけでなく、xxx発電システムや蓄電設備などのZEH仕様へのリフォームを通して、再生可能エネルギーを創出し、「省エネ」と「創エネ」機能を組み合わせて環境に配慮した住宅の提供を通じて、CO2排出量の削減に貢献している。
※ 外皮平均熱貫流率(UA)は、室内と外気の熱の出入りのしやすさの指標。値が小さいほど熱が出入りしにくく、断熱性能が高い。
(3)住む人の家族構成やライフスタイルに合ったリフォーム・リノベーション
小規模なポイント修繕から大規模な間取全体のリノベーションまで、顧客の予算に合わせたリフォーム事業を展開している。建物の状況や周辺環境の詳細な事前調査に基づき、住む
人の家族構成やライフスタイルに合わせたリフォームを提供し、家族の健康や衛生の改善、省エネルギーな暮らし、建物の長寿命化に貢献している。
【アフターフォローの充実】
「家づくりは、建ててからが顧客との本当の付き合いが始まる」の考えを徹底し、住宅オーナーとのコミュニケーションを大切にして、住宅引き渡し後のアフターフォローにも注力している。住宅引き渡し後、1年・3年・5年・10 年目に専任のアフター担当者が定期訪問を行い、2週間毎に開くアフター会議にて住宅に関する困りごとなどのアフター依頼事項への対応方針を協議し、故障・劣化による補修等を行う。そのほか、住宅オーナーの『「手作りの家」友の会』を組織化して、木工体験などを行う「友の会・感謝祭」を毎年開催し、住宅オーナーとの親睦を深めている。
「手作りの家」友の会 感謝祭
【協力業者との協力体制を通じた地域社会への貢献】
xx工務店の家づくりは、社員大工・職人と、確かな技術と豊富な経験を持つ専属の大工・職人をはじめとする地域の協力業者が施工を担っている。協力業者とともに「パートナー会」を結成してxx工務店の建築事業を支える協力体制を構築し、特に高い施工レベルを必要とする木造建築を担う専属大工は「棟梁会」を結成して、施工業務だけでなく人材育成においても緊密な協力体制を築いている。「パートナー企
専属大工による施工
業と共に成長発展する」との経営理念を掲げ、協力業者との協力体制を強化することによって、協力業者のビジネス機会拡大や雇用創出など、建築事業を通じて地域社会に貢献している。
【品質管理の徹底】
<品質方針>
“善きことを思い、善きことをする”を実行し、次のことがらの実現を目指す。
1. お客様の満足度を向上する。
2. 品質管理システム(QMS)の有効性を継続的に改善する。
高品質な建築事業を展開するため、上記の品質方針を掲げて ISO9001(品質マネジメントシステム)に基づく品質管理体制を構築している。建築予定地については地盤のゆがみなどにより建物が傾く「不同沈下」を防ぐため、第三者機関による綿密な地盤調査を行い、地盤の状況に応じた基礎の仕様や地盤改良工事を実施している。施工については独自の施工基準を制定して工事毎
の品質のバラつきを防止するとともに、現場監督による自主検査に加えて品質管理専任の担当者が品質検査を行うことによって高品質の施工を実現している。
【安全衛生管理の徹底】
<安全衛生方針>
“善きことを思い、善きことをする”を実行し、次のことがらの実現を目指す。
1. 労働安全衛生に関する社内規定を整備し、リスク管理を行って、当社の労働安全衛生マネジメントシステムを有効に機能させ、継続的に改善する。
2. 安全衛生の関連法規制、同意するその他の要求事項を順守する。
3. 作業リスク(特に墜落、飛来落下、交通事故)を低減させ、労働災害ゼロを推進する。
4. 従業員の健康衛生面に配慮し、疾病の予防に努め、健全で快適な職場づくりに努める。
5. 当社が実施する安全衛生に関連した機会に従業員の積極的な協議及び参加を促進する。
上記の安全衛生方針を掲げ、ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)に基づく安全衛生管理体制を構築して、建築現場における安全性の向上と従業員の健康衛生面への配慮に努めている。
(1)パートナー会パトロールの実施
「パートナー会」の協力業者とともにパートナー会パトロールを毎月実施して、チェックリストに基づいて建築現場の安全面や整理整頓状況を点検し、改善指導を行っている。パトロール実施後には実施メンバーによる反省会を開いて災害事例の研究、熱中症対策、安全運転などについて意見交換を行い、常に安全で健康的な職場づくりに努めている。
パートナー会パトロール
(2)安全大会の開催
「パートナー会」の協力業者とともに安全大会を毎年開催している。大会では、協力業者に対する安全貢献表彰、現場の安全を誓う「安全宣言」発表、事故防止につながる健康関連セ ミナーなど、安全作業の徹底と労働災害事故の防止への認識を高めることを目的としている。
安全大会
(3)残業抑制と有給休暇取得促進
安全衛生委員会を毎月開催して従業員の就労時間と有給休暇取得状況を各チームリーダーが確認し、残業時間が規定を超過している、または有給休暇取得日数が少ない従業員に対して直接指導を行うことによって、長時間残業の防止、有給休暇制度の適切な運用に努めている。
(4)従業員の健康管理の取り組み
健康で働きやすい職場環境の実現に向けて、従業員の心身両面での健康管理の取り組みを行っている。定期健康診断では再検査が必要な従業員に対して受診を促しているほか、 webによるストレスチェックを毎年実施し、安全衛生委員会で各チームリーダーが結果を確認して従業員のメンタルヘルス不調を未然防止している。
【従業員の能力向上支援】
(1)経営哲学(フィロソフィ)の共有を通じた人材育成
経営哲学(フィロソフィ)をまとめた80項目からなる「xx工務店フィロソフィ手帳」を作成して、従業員および専属大工が職務を遂行するうえでの指針とし、強い連帯感を持ち顧客に喜ばれる人材の育成を目指している。全ての従業員と専属大工を対象にフィロソフィ勉強会を毎週実施し、フィロソフィについての意見交換を通して社内の方針に対する理解を深め、「自分たちは正しいことをしている」という自信につなげている。
また、本社とショールームの各部門を8個のチームに分けて、チームリーダーの下でチーム毎に業績管理や労務管理を行うアメーバ(小集団)経営を実践している。従業員一人ひとりがフィロソフィに基づいて行動することによって、顧客からの信頼と受注の獲得に結びつくようになり、各チームの成果向上にもつながっている。
xx工務店フィロソフィ手帳 フィロソフィ勉強会
(2)若手社員大工の育成
国勢調査(総務省)によると、建設やリフォーム業に従事する大工の数は全国で約29万人
(2020年)と、20年前の約64万人(2000年)から半減しており、建築現場の労働力不足が深刻化している。「腕の良い職人を自分たちで育てる」という方針のもと、若手の社員大工を育成するため、社内の熟練棟梁のもとで大工としての技術を習得する取り組みを実施している。
(3)社内・社外研修の実施
社内・社外研修を通じて積極的に人材育成を行っている。社内研修では、フィロソフィとアメーバ経営の理解を深める研修、システムや各種書類作成など業務上の知識を高める研修を実施し、社外研修では、ビジネスマナーや安全運転など外部の専門講師による研修を活用している。また、新卒採用者には社会人としての基礎を身に付け、経営方針や業務内容を理解するため、約2週間の社内・社外研修を行っている。その
ほか、レベルアップ研修として外部の建築士を講師に招き
「設計勉強会」を毎月実施している。「きちんと考え、きちんと作る」のモットーのもと、設計部門を中心に営業、工務、リフォーム、広報など全ての部門が参加して設計デザインだけでなく建築や環境に対する理解を深める取り組みを行
っている。
設計勉強会
(4)業務に関連する資格取得のサポート
従業員の業務に関連する資格取得を推進している。資格取得に向けた講習にできる限り参加できるよう、講習期間中は工事責任者とならないシフトを組み、講習に通いやすいよう優先的にスケジュールを組めるようにしている。また、建築関連の専門学校と提携して割安な受講料により受講者の費用負担を軽減しているほか、資格を取得した際に一時金を支給する報奨金制度を実施して経済的な支援も行っている。
<各種有資格者数> 2023 年 11 月 20 日現在
一級建築士 | 7名 |
1級建築施工管理技士 | 12 名 |
1級建築施工管理技士補 | 2名 |
1級土木施工管理技士 | 2名 |
1級管工事施工管理技士 | 1名 |
二級建築士 | 10 名 |
2級建築施工管理技士 | 6名 |
2級土木施工管理技士 | 2名 |
宅地建物取引士 | 3名 |
【社内IT 化の取り組み】
社内の IT 化にも積極的に取り組んでおり、施工管理クラウドサービスを活用して業務効率の改善を図っている。現場情報と日々の進捗状況をxx管理して、社内だけでなく協力業者とも情報共有することによって作業負荷を分散し、従業員の長時間労働の抑制や移動に係るエネルギー使用量の削減につなげている。
【地元雇用の重視】
インターンシップを通じた大学生の新卒採用のほか、地域に根ざした企業として地元での雇用を重視しており、本社のある伊勢市内の工業高校から毎年新卒採用を行っている。さらに、中学生と高校生を対象に職場体験や施工現場の見学を通して地元の建築業への関心を深めてもらう取り組みを行っており、職業の学びの場を提供することによって、地元での持続的な雇用創出に貢献している。
【ダイバーシティ経営の推進】
女性従業員の活躍機会を拡大するため、育児休暇からの復帰や時短勤務など柔軟な働き方を取り入れて、従業員が安心して働ける環境づくりに取り組んでいる。総務・経理部門のほか、リフォーム営業、設計(一級/二級建築士)、工務(現場監督)の各部門で女性従業員が活躍しており、 2011 年、三重県の「男女がいきいきと働いている企業」認証登録を受けている。今後は管理職育成の研修制度を新たに設け、女性の管理職登用の実現を目指している。
【環境負荷低減の取り組み】
<環境方針>
“善きことを思い、善きことをする”を実行し、次のことがらの実現を目指す。
1. 環境関連の法律、規制及び当社が同意するその他の要求事項を順守するとともに、この環境方針に沿って、当社の環境マネジメントシステムを確立し、継続的改善に努める。
2. 事業活動を通じて、建設リサイクルの促進に積極的に取組み、循環型社会の実現に貢献する。
3. 環境汚染の防止に配慮し、環境保全活動を推進する。
4. 地球温暖化防止のために、石油燃料の節減を推進する。
(1)環境マネジメントシステム(ISO14001)の認証取得
上記の環境方針を掲げ、ISO14001(環境マネジメントシステム)に基づき環境に配慮した事業活動を行っている。
(2)解体工事での有害物質の適切な対応
建築物の解体時、周辺の土壌や水質に影響を与える可能性があるフロンガスの有無を確認し、専門業者の協力のもとで適切に取り扱っており、フロンガスの漏れによる環境への悪影響を未然に防止している。また、吸入すると深刻な健康被害を引き起こす可能性のあるアスベスト含有についても確認のうえ、専門業者の協力のもとで適切に取り扱っており、アスベスト飛散による大気汚染への対応を厳格に行っている。
(3)CO₂排出量削減
事業活動を通してCO₂排出量削減に取り組んでいる。具体的には、現場移動用、営業用を合わせて 15 台の車両を保有しており、ガソリン車から HV への切り替えを進めてガソリン使用量を削減している。そのほか本社と伊勢ショールームにxxx発電設備を設置して自社の使用電力の一部を再生可能エネルギーで賄っている。
(4)廃棄物の適切な処理
建築現場で発生する廃棄物の適切な処理に努めている。具体的には廃棄物の発生を抑制するために、現場で使用する養生材をリースで利用しているほか、見積時・着工時にできる限り廃棄物の発生を抑えることができるような資材・設計・工法などを提案している。また、廃棄物を委託する際には、電子マニュフェストを使用して、処分やリサイクルの情報を正確に把握し、適切な管理を行っている。
【地域社会への貢献】
地域清掃、ボランティア活動などの活動を通して地域社会に貢献している。
地域貢献活動の取り組み |
三重県営サンアリーナ 花の広場(伊勢市)の花もも 3,000 本植樹に参加 |
伊勢市社会福祉協議会主催の伊勢市ボランティアフェスティバルに参加 |
熊本地震被災地の復興支援活動に参加 |
xx公園(伊勢市)の清掃活動に参加 |
養護老人ホーム万亀会館(伊勢市)に歩行補助・転倒防止の為のオーダーメイドシューズを贈呈 |
社会貢献型私募債発行を通して、伊勢工業高校に超音波カッター2台、トルクドライバー1個を贈呈 |
伊勢市内の中学生と高校生を対象に、職場体験、施工現場の見学を受け入れ |
3.UNEP FI インパクトレーダーとの関連性
本ファイナンスでは、xx工務店の事業を国際標準産業分類における「建築工事業」として整理した。その前提のもとで UNEP FI のインパクト分析ツールを用いた結果、「住居」「保健・衛生」
「雇用」「エネルギー」「包摂的で健全な経済」「経済収束」に関するポジティブ・インパクト、「保健・衛生」「雇用」「エネルギー」「文化・伝統」「人格と人の安全保障」「水(質)」「大気」「土壌」「生物多様性と生態系サービス」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」に関するネガティブ・インパクトが分析された。
一方、事業活動等を踏まえ、本ファイナンスで特定されたxx工務店のインパクトは以下の通りである。
※色の濃い項目がxx工務店のインパクト領域
3-1.経済面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
(ポジティブ)経済収束 | 公共施設・民間施設の建築事業を通じた地域社会への貢献 | ・初期計画から施工まで一貫したワンストップ対応による公共施設や民間施設の建築を通して地域経済の発展に貢献している。 |
協力業者との協力体制を通じた地域社会への貢献 | ・協力業者とともに「パートナー会」を結成して協力体制を構築し、協力業者の事業発展と地域の雇用創出に貢献している。 | |
品質管理の徹底 | ・ISO9001(品質マネジメントシステム)に基づく品質管理体制を構築し、高品質の施工を実現している。 | |
包摂的で健全な経済 | ダイバーシティ経営の推進 | ・育児休暇からの復帰や時短勤務など柔軟な働き方を取り入れて、従業員が安心して働ける環境づくりに取り組んでいる。 |
地元雇用の重視 | ・地元の工業高校から毎年新卒採用を行っており、中学生と高校生を対象に職業の学びの場を提供して、地元での持続的な雇用創出に貢献している。 |
3-2.社会面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
(ポジティブ)住居 | 地域の風土に根ざした住宅 | ・四季を通じて最適な採光・採風と、高い断熱・気密性能によって、三重県の気候風土に根ざした心地よい住宅を提供している。 |
環境に配慮した住宅 | ・高断熱でエネルギー消費性能に優れた住宅により省エネルギーな暮らしを提供している。 ・xxx発電システムや省エネ設備を備えたZ EH仕様の新築・リフォームにより、再生可能エネルギーを活用した省エネルギーな暮らしを提供している。 | |
住む人の家族構成やライフスタイルに合ったリフォーム・リノベーション | ・小規模なポイント修繕から大規模な間取全体のリノベーションまで、住む人の家族構成やライフスタイルに応じたリフォームを提供している。 | |
アフターフォローの充実 | ・住宅引き渡し後、1年・3年・5年・10 年目に専任のアフター担当者による定期訪問を実施し、 |
故障・劣化による補修等を行っている。 ・「手作りの家」友の会を組織化して、住宅オーナーとのコミュニケーションを図っている。 | ||
xx・xx | 地域の風土に根ざ した住宅 | ・「住居」を参照 |
教育雇用 | 経営哲学(フィロソフィ)の共有を通じた人材育成 | ・全従業員と専属大工を対象にフィロソフィ勉強会を毎週実施し、社内方針の理解を深めるとともに、強い連帯感を持ち顧客に喜ばれる人材を育成している。 |
若手社員大工の育成 | ・若手社員大工育成のため、社内の熟練棟梁のもとで、技術習得に取り組んでいる。 | |
社内・社外研修の実施 | ・社内・社外研修、外部の建築士による設計勉強会を実施して人材を育成している。 | |
業務に関連する資格取得のサポート | ・資格講習への参加に支障のない勤務の配慮、資格取得時の報奨金制度により、従業員の業務に関連する資格取得を支援している。 | |
雇用 | ダイバーシティ経営の推進 地元雇用の重視 | ・「包摂的で健全な経済」を参照 ・「包摂的で健全な経済」を参照 |
エネルギー | 環境に配慮した住 宅 | ・「住居」を参照 |
(ネガティブ)xx・xx | パートナー会パトロールの実施 | ・協力業者とともにパートナー会パトロールを毎月実施し、建築現場の安全面や整理整頓状況の点検と改善指導を行っている。 |
安全大会の開催 | ・協力業者とともに安全大会を毎年開催し、安全作業の徹底と労働災害事故の防止への認識を高めている。 | |
残業抑制と有給休暇取得推進 | ・安全衛生委員会を毎月開催して就労時間と有給休暇取得状況を確認し、長時間残業の防止と有給休暇制度の適切な運用に努めている。 |
従業員の健康管理の取り組み | ・健康診断、ストレスチェックを実施し、従業員の心身両面での健康管理を行っている。 | |
雇用 | 社内IT化の取り組み | ・施工管理クラウドサービスを活用して、社内だけでなく協力業者とも情報を共有し、作業負荷の分散、長時間労働の抑制、移動に係るエネ ルギー使用量の削減を図っている。 |
3-3.環境面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
(ポジティブ)気候 | 環境に配慮した住宅 | ・「住居」を参照 |
(ネガティブ)水(質) 大気 土壌 資源効率・安全性気候 廃棄物 | 環境マネジメントシステム( ISO14001 )の認証取得 | ・ISO14001(環境マネジメントシステム)に基づき環境に配慮した事業活動を行っている。 |
水(質) 大気土壌 | 解体工事での有害物質の適切な対応 | ・解体工事の際、フロンガス、アスベスト含有の 有害物質の有無を調査し、専門業者の協力のもと適切に対応している。 |
気候 | CO₂排出量削減 | ・現場移動、営業活動で使用する車両について、ガソリン車からHVへxx切り替えを進めている。 ・本社、伊勢ショールームにxxx発電設備を設置し、自社の使用電力の一部を再生可能エ ネルギーで賄っている。 |
廃棄物 | 廃棄物の適切な処理 | ・見積時、着工時にできる限り廃棄物の発生を抑えるための資材・設計・工法などの提案を行っている。 ・廃棄物を委託する際、電子マニュフェストを使 用して処分・リサイクルの管理を行っている。 |
なお、インパクト分析ツールで発出したネガティブ・インパクトのうち、xx工務店のインパクトと特定しなかったものについては、以下記載の理由に基づく。
「エネルギー」についてはガスや電力などエネルギー関連の工事を行っていないこと、「文化・伝統」については文化遺産の破壊、損傷につながる工事を行っていないこと、「人格と人の安全保障」については工事に際して強制労働・児童労働がないこと、「生物多様性と生態系サービス」については生態系に影響を及ぼす工事を行っていないことからネガティブ・インパクトには当たらないことを確認している。
4.測定するKPI とSDGsとの関連性
xx工務店は本ファイナンス期間において以下の通り KPI を設定する。
4-1.経済面・社会面(ポジティブ)
特定インパクト | 包摂的で健全な経済 雇用 | |
取組、施策等 | 【ダイバーシティ経営の推進】 ・育児休暇からの復帰や時短勤務など柔軟な働き方を取り入れて、従業員が安心して働ける環境づくりに取り組んでいる。 | |
借入期間におけるKPI | ・2025 年度までに女性従業員数を 25 名以上 (2023 年 11 月 20 日現在 20 名) ・2025 年度までに女性リーダー職を1名以上 (2023 年 11 月 20 日現在 0名) | |
関連するSDGs | 5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの 機会を確保する。 |
4-2.社会面(ポジティブ)
特定インパクト | 住居 保健・衛生 | |
取組、施策等 | 【地域の風土に根ざした住宅】 ・四季を通じて最適な採光・採風と、高い断熱・気密性能によって、三重県の気候風土に根ざした心地よい住宅を提供している。 | |
借入期間におけるKPI | ・新築住宅請負件数 年間 23 件以上 (2020 年度~2022 年度 平均 23.6 件/年) | |
関連するSDGs | 11.1 2030 年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。 12.8 2030 年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つよ うにする。 |
特定インパクト | 住居 | |
取組、施策等 | 【住む人の家族構成やライフスタイルに合ったリフォーム・リノベーション】 ・小規模なポイント修繕から大規模な間取全体のリノベーションまで、住む人の家族構成やライフスタイルに応じたリフォームを提供している。 【アフターフォローの充実】 ・住宅引き渡し後、1年・3年・5年・10 年目に専任のアフター担当者による定期訪問を実施し、故障・劣化による補修等を行っている。 | |
借入期間におけるKPI | ・2023 年度~2026 年度のリフォーム(請負金額 10 百万円以上)累計件数 60 件以上 (2020 年度~2022 年度 3年間累計 30 件) ・定期訪問によるアフターフォロー実施率 100%を維持 | |
関連するSDGs | 11.1 2030 年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。 12.8 2030 年までに、人々があらゆる場所におい て、持続可能な開発及び自然と調和したラ |
イフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。 |
特定インパクト | 教育 雇用 | |
取組、施策等 | 【若手社員大工の育成】 ・若手社員大工育成のため、社内の熟練棟梁のもとで、技術習得に取り組んでいる。 【社内・社外研修の実施】 ・社内・社外研修、外部の建築士による設計勉強会を実施して人材を育成している。 【業務に関連する資格取得のサポート】 ・資格講習への参加に支障のない勤務の配慮と、資格取得時の報奨金制度により、従業員の業務に関連する資格取得を支援している。 | |
借入期間におけるKPI | ・2025 年度までに下記資格の合計保有者数 30 名以上 (2023 年 11 月 20 日現在)一級建築士(7名) 1級建築施工管理技士(12 名) 1級建築施工管理技士補(2名) 1級土木施工管理技士(2名) 1級管工事施工管理技士(1名) 合計 24 人 | |
関連するSDGs | 4.4 2030 年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成 人の割合を大幅に増加させる。 |
4-3.社会面(ネガティブ)
特定インパクト | 保健・衛生 |
取組、施策等 | 【パートナー会パトロールの実施】 ・協力業者とともにパートナー会パトロールを毎月実施し、建築現場の安全面や整理整頓状況の点検と改善指導を行っている。 【安全大会の開催】 ・協力業者とともに安全大会を毎年開催し、安全作業の徹底 |
と労働災害事故の防止への認識を高めている。 【残業抑制と有給休暇取得推進】 ・安全衛生委員会を毎月開催して就労時間と有給休暇取得状況を確認し、月 45 時間を超える長時間残業の防止と有給休暇制度の適切な運用に努めている。 | ||
借入期間におけるKPI | ・休業を要する労働災害発生件数 年間0件 (2018 年度~2022 年度までの累計発生件数 3件) ・2025 年度までにxxxん制度(厚生労働省)の認定を新たに取得 | |
関連するSDGs | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労 働環境を促進する。 |
4-4.社会面・環境面(ポジティブ)
特定インパクト | 住居 エネルギー気候 | |
取組、施策等 | 【環境に配慮した住宅】 ・高断熱でエネルギー消費性能に優れた住宅により、省エネルギーな暮らしを提供している。 ・太陽光発電システムや省エネ設備を備えたZEH仕様の新築・リフォームにより、再生可能エネルギーを活用した省エ ネルギーな暮らしを提供している。 | |
借入期間におけるKPI | ・新築住宅のうち、ZEH 仕様件数 年間 20 件以上 (2020 年度~2022 年度 平均 10.0 件/年) | |
関連するSDGs | 7.2 2030 年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。 7.3 2030 年までに、世界全体のエネルギー効率 の改善率を倍増させる。 |
4-5.環境面(ネガティブ)
特定インパクト | 気候 |
取組、施策等 | 【CO₂排出量削減】 ・現場移動、営業活動で使用する車両について、ガソリン車 |
から HV へ順次切り替えを進めている。 | ||
借入期間におけるKPI | ・2025 年度までに使用車両の HV 割合を 50%以上 (2023 年 11 月 20 日現在 15 台中 HV4台 27%) | |
関連するSDGs | 7.3 2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。 12.2 2030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な使用を達成する。 |
4-6.その他KPIを設定しないインパクトと SDGsとの関連性
事業活動 | 関連するSDGsのターゲット | SDGsの ゴール |
<経済面> 公共施設・民間施設の建築事業を通じた地域社会への貢献 | 9.1 すべての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靭(レジリエント)なインフラを開発する。 | |
協力業者との協力体制を通じた地域社会への貢献 | 8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の 設立や成長を奨励する。 | |
品質管理の徹底 | 8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベ ルの経済生産性を達成する。 | |
地元雇用の重視 | 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、な らびに同一労働同一賃金を達成する。 | |
<社会面> 経営哲学(フィロソフィ)の共有を通じた人材育成 | 4.7 2030 年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様 性と文化の持続可能な開発への貢献の理 |
解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識 及び技能を習得できるようにする。 | ||
従業員の健康管理の取り組み | 3.4 2030 年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて 3 分の 1 減少させ、精神保健及び福祉を促進する。 | |
社内IT化の取り組み | 8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベ ルの経済生産性を達成する。 | |
<環境面> 環境マネジメントシステム (ISO14001)の認証取得 | 12.6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込む よう奨励する。 | |
解体工事での有害物質の適切な対応 | 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大 気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 | |
廃棄物の適切な処理 | 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大 気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 |
5.サスティナビリティ管理体制
山口工務店では、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組むにあたり、山口毅社長を最高責任者、山口圭造常務取締役を管理責任者とし、各部署が日々の業務やその他活動を棚卸し、自社の事業活動とインパクトレーダー、SDGsの 17 のゴール・169 のターゲットとの関連性について検討を行った。
本ポジティブ・インパクト・ファイナンスの実行後、返済期限までの間において、山口社長を中心にKPIの達成状況を定期的に確認・協議を行うなど、推進体制を構築し、各部署において実
行していく。
最高責任者 | 代表取締役社長 山口 毅 |
管理責任者 | 常務取締役 山口 圭造 |
担当部 | 経営管理チーム |
6.モニタリング
本件で設定したKPIの進捗状況は、山口工務店と三十三銀行の担当者が年に1回以上の会合を設けることで確認する。モニタリングの結果、当初想定と異なる点があった場合には、三
十三銀行は、山口工務店に対して適切な助言・サポートを行い、KPIの達成を支援する。
7.総合評価
本件はUNEP FIの「ポジティブ・インパクト金融原則」に準拠した融資である。山口工務店は、上記評価の結果、本件融資期間を通じてポジティブな成果の発現とネガティブな影響の低
減に努めることを確認した。また、三十三銀行は年に1回以上その成果を確認する。
本評価書に関する重要な説明
1.本評価書は、三十三総研が、三十三銀行から委託を受けて作成したもので、三十三総研が三十三銀行に対して提出するものです。
2.三十三総研は、依頼者である三十三銀行及び三十三銀行がポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する山口工務店から供与された情報と、三十三総研が独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。
3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合させるとともに、ESG金融ハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に整合させながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所から、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに関する第三者意見書の提供を受けています。
〈本件問合せ先〉
株式会社三十三総研
調査部 主任研究員 中田 丈仁
〒510-0087
三重県四日市市西新地 10 番 16 号第二富士ビル4階
TEL:059-354-7102 FAX:059-351-7066
第三者意見書
2024 年 1 月 31 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: 株式会社山口工務店に対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社三十三銀行 |
評価者:株式会社三十三総研 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、三十三銀行が株式会社山口工務店(「山口工務店」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、株式会社三十三総研による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定したPIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシア ティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、イ ンパクト分析ツールを開発した。三十三銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際 し、三十三総研と共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国 内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分 析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、 中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、三十三銀行及び三十三総研 にそれを提示している。なお、三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義 を、PIF 原則等で参照している IFC(国際金融公社)の定義に加え、中小企業基本法の定義 する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業としている。
JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえでPIF 原則との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的とし
た中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1 定義
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
三十三銀行及び三十三総研は、本ファイナンスを通じ、山口工務店の持ちうるインパクトを、UNEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析を行った。
この結果、山口工務店がポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2 フレームワーク
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、三十三銀行がPIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(出所:三十三銀行提供資料)
(2) 実施プロセスについて、三十三銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、三十三銀行からの委託を受けて、三十三総研が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めたPIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全て三十三総研が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、三十三総研が、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及びESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして
定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人である山口工務店から貸付人である三十三銀行及び評価者である三十三総研に対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評
価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
(第三者意見責任者) 株式会社日本格付研究所
サステナブル・ファイナンス評価部長
梶原 敦子
担当主任アナリスト
川越 広志
担当アナリスト
菊池 理恵子
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・公平な立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候債イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026