ex. ア 条件明示する必要がある場合にも係わらず、土質に関する一切の条件明示がない場合 ex. ア 土質柱状図は明示されているが、地下水位が不明確な場合 ex. ア 設計図書に明示された土質が現地条件と一致しない場合
工事請負契約における設計変更ガイドライン
平成29年12月大阪市
目 次
1 | 設計変更ガイドラインの目的 ·············································· | 1 |
2 | 設計変更が不可能なケース ················································ | 1 |
3 | 設計変更が可能なケース ·················································· | 2 |
(1)設計図書に誤謬又は脱漏がある場合の手続き(契約書第19条第1項第2号) | 3 | |
(2)設計図書の表示が明確でない場合の手続き(契約書第19条第1項第3号) ·· (3)設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が 一致しない場合の手続き(契約書第19条第1項第4号) ···················· | 4 5 | |
(4)工事中止の場合の手続き(契約書第21条) ······························ | 6 | |
(5)受注者からの請求による工期の延長(契約書第22条) ···················· | 7 | |
(6)発注者の請求による工期の短縮(契約書第23条) ······················ | 7 | |
4 | 設計変更手続きフロー ···················································· | 8 |
5 | 条件明示について ························································ | 9 |
6 | 指定・任意の使い分け ···················································· | 9 |
建設工事は、道路・河川・公園・下水道施設・建築物等多岐にわたる公共施設を地形、地質、天候などの自然条件や騒音、振動、交通の確保、地元や施設管理者の要望等の社会的な制約条件の中で建設されるという性質を有している。
当初設計に当たっては、現場条件を十分に踏まえ、可能な限り条件明示を行った上で設計図書を作成し、発注することは当然である。しかしながら、建設工事の性質から、当初設計段階では想定し得なかった条件変更や新たな対応が必要となる場合が多くあり、設計変更を避けることは困難である。
本ガイドラインは、本市の工事請負契約約款を踏まえ、設計変更に当たっての留意事項や過去の設計変更の事例より設計変更が可能であると思われる具体例を示すことで、工事請負契約におけるxx性、透明性を確保し、設計変更の適正化・円滑化を目的とするものである。
2 設計変更が不可能なケース
【基本事項】
◆下記のような場合においては、原則として設計変更できない。
1 設計図書に条件明示のない事項において、発注者と「協議」を行わず受注者が独自に判断して施工を実施した場合
2 発注者と「協議」をしているが、協議の回答がない時点で施工を実施した場合
3 「承諾」で施工した場合
4 工事請負契約書・共通仕様書・標準仕様書に定められている所定の手続きを経ていない場合(契約書第 19 条~25 条、共通仕様書・標準仕様書)
5 正式な書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合
※契約書第 27 条(臨機の措置)については別途考慮する。
承諾 : 受注者自らの都合により施工方法等について監督職員に同意を得るもの
⇒ 設計変更不可
協議 : 発注者と書面により対等な立場で合意して発注者の「指示」によるもの
⇒ 設計変更可能
【基本事項】
◆下記のような場合においては設計変更が可能である。
1 仮設(任意仮設を含む)において、条件明示の有無に係わらず当初発注時点で予期しえなかった土質条件や地下水位等が現地で確認された場合。
(ただし、所定の手続きが必要。)
2 当初発注時点で想定している工事着手時期に、受注者の責によらず、工事着手出来ない場合。
3 所定の手続き(「協議等」)を行い、発注者の「指示」によるもの。
(「協議」の結果として、金額の変更を行わない場合もある。)
4 受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を実施する場合。
5 受注者の責によらない工期の延期・短縮を行う場合で協議により必要があると認められるとき。
【留意事項】
◆設計変更にあたっては下記の事項に留意し受注者へ指示する。
1 当初設計の考え方や設計条件を再確認して、設計変更「協議」にあたる。
2 当該事業(工事)での変更の必要性を明確にし、設計変更は契約書第 20 条にもとづき書面で行う。
(規格の妥当性、変更対応の妥当性(別途発注ではないか)を明確にする。)
3 設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた都度、遅滞なく行うものとする。
(契約書第 19 条第1項第2号) <設計変更可能なケース>
○受注者は、xxx上、設計図書が誤っていると思われる点を発注者に確認すべきであり、発注者は、それが本当に誤っている場合には設計図書を訂正する必要がある。また、設計図書に脱漏がある場合には、受注者としては、自分で勝手に補って施工をつづけるのではなく、発注者に確認して、脱漏部分を訂正してもらうべきである。
受注者
発注者
「契約書第 19 条(条件変更等)第1項第2号」に基づき、その旨を直ちに監督職員に通知
発注者は第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更
受注者及び発注者は第 24 条、第 25 条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
ex. ア 条件明示する必要がある場合にも係わらず、土質に関する一切の条件明示がない場合
イ 条件明示する必要がある場合にも係わらず、地下水位に関する一切の条件明示がない場合ウ 条件明示する必要がある場合にも係わらず、交通整理員についての条件明示がない場合エ 工事施工上必要な材料名について、図面ごとに一致しない場合
オ 建築、電気設備及び機械設備の各分野の設計内容が互いに整合していない場合
(契約書第 19 条第1項第3号) <設計変更可能なケース>
○設計図書の表示が明確でないことは、表示が不十分、不正確、不明確で実際の工事施工にあたってどのように施工してよいか判断がつかない場合などのことである。この場合においても、受注者が勝手に判断して、施工することは不適当である。
受注者
発注者
「契約書第 19 条(条件変更等)第1項第3号」に基づき、条件明示が不明確な旨を直ちに監督職員に通知
発注者は第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更
受注者及び発注者は第 24 条、第 25 条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
ex. ア 土質柱状図は明示されているが、地下水位が不明確な場合
イ 水替工実施の記載はあるが、作業時もしくは常時排水などの運転条件等の明示がない場合
ウ 図面の記載内容が読み取れない場合
一致しない場合の手続き
(契約書第 19 条第1項第4号) <設計変更可能なケース>
○自然的条件とは、例えば、掘削する地山の高さ、埋め立てるべき水面の深さ等の地表面の凹凸等の形状、地質、湧水の有無又は量、地下水の水位、xxxの除去すべき物の有無。 また、人為的な施工条件の例としては、地下埋設物、地下工作物、xx(捨)場、工事用道
路、通行道路、工事に関係する法令等が挙げられる。
受注者
発注者
「契約書第 19 条(条件変更等)第1項第4号」に基づき、設計図書の条件明示と現地条件とが一致しないことを直ちに監督職員に通知
調査の結果、その事実が確認された場合、発注者は第4項・第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更
受注者及び発注者は第 24 条、第 25 条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
ex. ア 設計図書に明示された土質が現地条件と一致しない場合
イ 設計図書に明示された地下水位が現地条件と一致しない場合
ウ 設計図書に明示された交通誘導員の人数等が規制図と一致しない場合
エ 前頁の手続きにより行った設計図書の訂正・変更で、現地条件と一致しない場合
オ 設計図書に明示された想定支持地盤と実際の工事現場が大きく異なる事実が判明した場合カ 設計図書に明示されていないアスベスト含有建材を発見し、調査及び撤去が必要となった
場合
キ 設計図書に明示された配管・配線等と実際の工事現場における配管・配線等が大きく異なる事実が判明した場合
ク その他、新たな制約等が発生した場合
○受注者の責に帰することができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められる場合の手続き
受注者
発注者
地元調整や予期しない現場条件等のため、受注者が工事を施工することができない
発注者より、一時中止の指示(契約上一時中止をかけることは発注者の義務)
受注者は、共通仕様書などに基づき、基本計画書を作成し、発注者の承諾を得る。
「契約書第 21 条(工事の中止)第1項」により、発注者は工事の全部又は一部の施工を原則として一時中止しなければならない。
受注者からの中止事案の確認請求も可。
承諾した基本計画書に基づき、施工監督及び設計変更を実施
基本計画書に基づいた施工の実施
発注者は、現場管理上、最低限必要な施設・人数等を吟味し、基本計画書を承諾
不承諾の場合は、基本計画書を修正し、再度承諾を得る。
ex. ア 設計図書に工事着工時期が定められた場合、その期日までに受注者の責によらず施工できない場合
イ 警察、河川・鉄道管理者等の管理者間協議が未了の場合 ウ 管理者間協議の結果、施工できない期間が設定された場合
エ 受注者の責によらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合
オ 設計図書に定められた期日までに詳細設計が未了のため、施工できない場合カ 予見できない事態が発生した(地中障害物の発見等)場合
キ 工事用地の確保が出来ない等のため工事を施工できない場合
ク 設計図書と実際の施工条件の相違又は設計図書の不備が発見されたため施工を続けることが困難な場合
ケ 埋蔵文化財の発掘又は調査、その他の事由により工事を施工できない場合
コ 同一現場内に建築、電気設備、機械設備等複数の工事があり、一部の工事で大幅な施工の遅延が生じ、他の契約済みの工事の施工ができない場合
○受注者は、関連工事の調整協力、その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができない場合は、発注者へその理由を明示した書面により工期延長変更を請求することができる。
受注者
発注者
発注者は第2項に基づき、必要があると認められるときは、工期を延長しなければならない。請負代金についても必要と認められるときは変更を行う。
「契約書第 22 条(受注者の請求による工期の延長)第1項」に基づき、その理由を明示した書面により監督職員に通知
協議
受注者及び発注者は第 24 条、第 25 条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定め
る
ex. ア 設計図書に明示された関連工事との調整に変更があり、工期の延長が生じた場合イ その他受注者の責めに帰することができない事由により工期の延長が生じた場合
(6)発注者の請求による工期の短縮
(契約書第 23 条) <設計変更可能なケース>
○発注者は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に書面にて請求することができる。
受注者
発注者
発注者は、「契約書第 23 条(発注者の請求による工期の短縮等)第1項」に基づき、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を書面により受注者に請求。
受注者は発注者からの請求に基づき、工期短縮を図るための施工計画を発注者に提出し、承諾を得る。
協議
受注者及び発注者は第 24 条、第 25 条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
ex. ア 工事一時中止にともない工期延長が予想され、工期短縮が必要な場合イ 関連工事等の影響により、工期短縮が必要な場合
ウ その他の事由(地元調整、関係機関調整など)により工期の短縮が必要な場合
受注者
発注者
契約書第 19 条第1項第1号~5号に該当する事実を発見
受注者:立会い 発注者:直ちに調査の実施
【第 19 条第2項】
通知し確認を請求
【第 19 条第1項】
調査結果のとりまとめ
意見
【第 19 条第3項】
受理
調査終了後 21 日以内にその結果を通知(とるべき措置がある場合、当該指示を含む)
必要があると認められるときは設計図書の訂正又は変更
【第 19 条第4項】
変更内容・変更根拠の明確化、変更図面、変更数量計算書等の変更設計図書の作成
必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更
【第 19 条第5項】
協議 (1)工期の変更【第 24 条】 (2)請負代金額の変更【第 25 条】
施工条件は、契約条件となるものであることから、設計図書の中で明示するものとする。また、明示された条件に変更が生じた場合は、契約図書の関連する条項に基づき、適切に対応するものとする。
6 指定・任意の使い分け
【基本事項】
指定・任意については、工事請負契約書第1条第3項に定められているとおり、適切に扱う必要がある。
1 任意については、その仮設、施工方法の一切の手段の選択は受注者の責任で行う。
2 任意については、その仮設、施工方法に変更があっても原則として設計変更の対象としない。
3 ただし、指定・任意ともに当初積算時の想定と現地条件が異なることによる変更は行う。
■自主施工の原則
契約書第1条第3項により、設計図書に指定されていなければ、工事実施の手段、仮設物等は受注者の裁量の範囲
契約書第1条第3項
仮設、施工方法その他の工事目的物を完成するために必要な一切の手段については、契約書及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める。
◎ 発注者の指定事項以外は受注者の裁量の範囲
【指定と任意の考え方】
x x | 任 意 | |
設計図書 | 施工方法等について具体的に指定する | 施工方法等について具体的には指定しない |
施工方法等の変更 | 発注者の指示又は承諾が必要 | 受注者の任意(施工計画書等のx x、提出は必要) |
施工方法の変更がある場合の設計変更 | 設計変更の対象とする | 設計変更の対象としない。 |
条件明示の変更に対応した設計変更 | 設計変更の対象とする | 設計変更の対象とする。 |