静岡銀行(頭取 柴田 久)では、SDGs への取り組みの一環として、大村興業㈱(社長 大村智紀)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(※)」契約を締結しましたので、その概要をご案内します。
2021.11.30
xx興業㈱と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の契約を締結
静岡銀行(頭取 xx x)では、SDGs への取り組みの一環として、xx興業㈱(社長 xxxx)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(※)」契約を締結しましたので、その概要をご案内します。
※企業活動が環境・社会・経済のいずれかの側面において与えるインパクトを包括的に分析し、特定されたポジティブインパクトの向上とネガティブインパクトの低減に向けた取り組みを支援する融資
1.契約日 11 月 30 日(火)
2.融資金額 1 億 7 百万円
3.資金使途 設備資金
4.xx興業㈱の取り組みについて(詳細は「評価書」をご参照ください)
〇同社は、医療機器や体外診断用医薬品、研究用試薬など医療製品の開発・製造に取り組んでいます。製造する感染症検査キットは、新型コロナウイルス、インフルエンザ、マイコプラズマ等、さまざまな感染症の拡大防止に寄与し、医療分野を通じた社会貢献を実践されています。
〇今回、同社の企業活動が社会・環境・経済に与える主なインパクトを、以下のとおり評価しました。
環境面 | ・環境負荷の低減(ムリ・ムラ・ムダを排除した高い生産性による廃棄物や使用電力の削減、包装資材や端材のリサイクル、LED 照明の導入) ・環境保全対策(法令を遵守した薬品処理など) |
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社会面 | ・医療分野を通じた社会への貢献(医療機器や体外診断用医薬品、研究用試薬の製造) ・女性活躍の推進(フェムテック製品の製造、女性の積極的な雇用、女性の働きやすい職場の醸成) ・高品質、低不良率の維持(品質会議や防虫会議等の継続による品質x xシステムの構築) |
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経済面 | ・高付加価値生産体制の構築(高い凍結乾燥技術を有し、多品種少量生産を実現) ・他企業との連携(他企業と連携した処方開発や工程開発などの実施) |
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5.その他
(1)インパクト評価/国連環境計画金融イニシアティブが提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」およびポジティブインパクトファイナンスタスクフォースが提唱した「インパクトファイナンスの基本的考え方」に基づき、一般財団法人静岡経済研究所が㈱日本格付研究所の協力を得て評価を実施
(2)モニタリング体制/一般財団法人静岡経済研究所とともに「ポジティブ・インパクト金融原則」に従い構築した内部管理体制のもと、インパクト評価で特定した KPI について、融資期間中における借入人のインパクトパフォーマンスのモニタリングを実施
【ご参考】xx興業㈱の概要
所 在地 | xxxxxxx 00-0 | 創 業 | 1986 年(昭和 61 年)2 月 |
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
評価対象企業:xx興業株式会社
2021 年 11 月 30 日
一般財団法人 静岡経済研究所
目 次
静岡経済研究所は、静岡銀行が、 xx興業株式会社(以下、xx興業) に対してポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するに当たって、xx興業の企業活動が、環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響およびネガティブな影響)を分析・評価しました。
分析・評価に当たっては、株式会社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」および ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則った上で、中小企業※1に対するファイナンスに適用しています。
※1 IFC(国際金融公社)または中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業
<要約>
xx興業は、医療機器や体外診断用医薬品などを取り扱う製造業者である。医療機器製造事業、体外診断用医薬品事業、研究用試薬事業の合計が売上高全体の約 50%を占め、医療分野を通して社会に貢献している。フェムテック製品の製造に注力しており、自社でも女性の雇用割合が高いなど、女性の社会進出を積極的に支援している。
また、高い凍結乾燥技術を有し、研究用試薬や化粧品などの長期保存を可能とするなど付加価値を高めることが可能である。パート従業員を含めた社内教育体制も充実しており、品質の高い製品を製造することに強みを持つ。徹底したxx・xx・xxの排除により、CO2 排出量・廃棄物削減にも努めている。
本ファイナンスでは、以下のインパクトが特定され、それぞれに KPI が設定された。
【ポジティブ・インパクトの増大】
分類 | テーマ | 取組内容 | KPI(指標と目標) | インパクトレーダー | SDGs |
社会 | 2030 年までに、医療 | ||||
医療分野を通した 社会貢献 | 医療機器や体外診断用医薬品、研究用試薬の製造 | 分野(医療機器、体外診断用医薬品、研究用試薬)の売上高 を現状より+165%増 | 健康と衛生 | ||
加させる |
女性活躍の推進 | フェムテック製品の製造、女性の積極的な雇用、女性の働きやすい職場の醸成 | ①2030 年までに、フェムテック製品の売上高を現状より+420%増加させる ②2030 年までに、女性従業員を現状より +177%増加させる | 雇用 | ||
徹底した従業員教育 | 新入社員教育計画や年次教育計画の策定、体系的な教育体制の整備 | 年次教育計画の実行を継続し、現状の従業員教育体制を維持する | 雇用 | ||
経済 | 高付加価値生産体制 | 高い凍結乾燥技術を有し、多品種少量生産体制、高品質生産体制を構築 | 2030 年までに、経常利益率を現状より+ 14.5pt 増加させる | 経済の収れん | |
他企業との連携 | 他企業と連携した処方開発や工程開発などの実施 | 2030 年までに、他企業と9件の連携を行う | 経済の収れん |
【ネガティブ・インパクトの低減】
分類 | テーマ | 取組内容 | KPI(指標と目標) | インパクトレーダー | SDGs |
環境 | 環境負荷低減 | ①ムリ・ムラ・ムダを排除した高い生産性による廃棄物や使用電力の削減 ②包装資材や端材のリサイクル ③LED 照明の導入 | ①2030 年までに、非再生エネルギー由来電力の使用量を現状から 10%削減させる ②2030 年までに、段ボール、包装用ラップ、端材のリサイクル業者への委託率 100%を維持する ③2030 年までに、本社・原工場、第二工場、第三工場の LED照明導入率 100%を達成する | 資源効率・ 資源安全確保 気候変動廃棄物 | |
環境保全対策 | 法令を遵守した薬品などの処理 | 法令に則った処理を継続し、各種許認可・登録を維持する | 大気水 土壌 | ||
社会 | 高品質低不良率 | QMS の構築、品質会議や防虫会議を通した高品質生産体制の維持 | 品質マニュアルの遵守を継続し、ISO13485および QMS の適合性を維持する | 健康と衛生 | |
従業員の安全確保 | 定期的な安全巡察の実施、AED の設置 | 2カ月に1度の安全巡察を継続し、製造現場での労働災害を0件に抑える | 雇用 |
今回実施予定の「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の概要
契約日および返済期限 | 2021 年 11 月 30 日~2036 年 11 月 28 日 |
金額 | 107,100,000 円 |
資金使途 | 設備資金 |
モニタリング期間 | 15 年0ヵ月 |
企業概要
企業名 | xx興業株式会社 |
所在地 | 沼津xx 26−1 |
事業所・工場 | 原工場 (沼津xx 26−1) 第二工場(沼津xx 1734-2) 第三工場(xxxxxx 0000-5) |
従業員数 | 112 名(男性 25 名、女性 87 名) |
資本金 | 1,000 万円 |
業種 | 医療機器、体外診断用医薬品、研究用試薬等製造業 |
許認可・登録 | ISO9001、ISO13485 体外診断用医薬品製造業登録医療機器製造業登録 化粧品製造業許可 第三種医療機器製造販売業許可菓子製造業許可 |
主要取引先 | <原工場> アドテック㈱、xx製薬㈱、㈱キアゲン、JNC㈱、 xxx機械エンバイロメント㈱、㈱タウンズ、xx工業㈱ など <第二工場> 赤武㈱、㈱ケルン、不二化成品㈱、㈱ヨシザワ など <第三工場> サーモフィッシャーサイエンティフィック㈱、xx製菓㈱、 東亜富士巧業㈱、㈱xx製作所、フジモリ産業㈱ など |
沿革 | 1986 年 有限会社xx興業設立、事務所新設 1989 年 工場新設 1992 年 資本金 1,000 万円に増資、xx興業株式会社に組織変更 2005 年 体外診断用医薬品製造業許可取得 2008 年 化粧品製造業許可、菓子製造業許可取得 2010 年 医療機器製造業許可取得 2013 年 化粧品製造販売業許可、第三種医療機器製造販売業許可取得 2018 年 本社・原工場を現在地へ移転 |
(2021 年 11 月 30 日現在)
1. サプライチェーンにおける役割および特徴
大村興業は医療機器や体外診断用医薬品、研究用試薬などを取り扱う製造業者である。同社が営む事業は、医療機器メーカーなどからの受託製造と製薬会社や医療系ベンチャーなどからの依頼に基づく開発製造に大別され、医療機器、体外診断用医薬品、研究用試薬、食品関連、樹脂製品、化粧品の6事業に分類される。同社の 2021 年 8 月期の売上高は医療機器、体外診断用医薬品、研究用試薬の合計で 49.5%と、医療分野で約半分のウエイトを占める。なお、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うインフルエンザ患者の激減により、インフルエンザ検査キットの 受注が減少したことで、体外診断用医薬品事業は新型コロナウイルス感染症拡大前より大幅に縮小している。一方、医療機器事業は受注が順調に推移し、大きく売上を伸ばしている。
<2021 年8月期の事業別売上割合>
工場は原工場、第二工場、第三工場の3工場体制となっており、子会社として有限会社セイエイ(以下、セイエイ)が存在する。本社の研究開発室では研究用試薬や体外診断用医薬品の開発を行い、原工場で医療機器などの製造を、第二工場では樹脂製品の一次加工、二次加工を 行っている。第三工場では食品関連などの組立、検査、梱包を担っており、セイエイはxx興業や 他社から化粧品や研究用試薬、一般生活用雑貨などの充填加工、一次包装、二次包装を請け負っている。
<事業部編成>
事業部 | 施設名 | 事業内容 |
第一事業部 | 研究開発室 | 研究用試薬、体外診断用医薬品の開発製造 |
原工場 | 医療機器、体外診断用医薬品、化粧品、研究用試薬の製造 | |
第二事業部 | 第二工場 | 樹脂製品の一次加工、二次加工 |
第三事業部 | 第三工場 | 食品関連、樹脂製品の組立、検査、梱包 |
セイエイ | 化粧品、研究用試薬などの充填加工、一次包装、二次包装 |
研究用試薬事業では、主に PCR 試薬や DNA 研究試薬といった遺伝子研究用試薬の開発製造を行っている。顧客からの問合せがあったら打合せを行い、依頼に基づき試薬を設計、試作を
開始する。試作品の機能性や安全性、安定性を評価検討し、製造工程・方法の検証であるバリデーションを経て、本生産に入る。
<研究用試薬開発製造の流れ>
医療機器事業では、主に滅菌綿棒などの検品・包装作業を請け負っている。顧客から納品された商品は、xx興業独自の検品システムでスムーズかつ正確に検品し、ラベルの貼付や包装を行 う。その後、輸入部材に貼付されているラベルなどを外国語表記から日本語表記に変更する。単純なアッセンブリの請負だけでなく、適切な包装材料の提案から試作、設計開発まで幅広くサポートできる体制を整えている。
<医療機器製造の流れ>
体外診断用医薬品事業では、インフルエンザなどの検査キットをクラス 100,000 のクリーンルーム内で受託製造しており、原料の受入試験から製品出荷までの一貫生産が可能となっている。xx興業では、検査に適合した原料を特性に合わせて保管しており、体外診断用医薬品の製造を受 託するとロットサイズに合わせて原料を秤量し、バリデートされた手順や条件で溶解、混合する。充 填機で容器に定められた容量を正確に充填後、顧客のニーズに合わせてキャッピングし、ラベルの貼付、検品が行われる。製品が出荷されるまでの間は、温度や湿度が徹底的に管理された保管倉庫にて保管される。
<体外診断用医薬品製造の流れ>
化粧品事業では、医療分野でノウハウを蓄積した凍結乾燥技術を応用したスキンケア製品の製造を受託している。顧客の要請に従い秤量・調液した後、容器への充填、凍結乾燥工程を経て、キャッピング、ラベルの貼付、包装を行う。クリーンルーム内での化粧品の凍結乾燥製造ラインは全国的にも希少であり、他社との差別化につながっている。
<化粧品製造の流れ>
樹脂製品事業は、xx興業の祖業であり、35 年もの間積み重ねた樹脂成型技術により工業部品や自動車部品、日用雑貨など幅広いカテゴリーの製品を受託製造している。金型の設計・制作から射出成形機や真空成型機、ブロー成形機、押出成形機での一次加工、切断や折り曲げ、圧着などといった二次加工まで一手に請け負っており、顧客の要望に合わせた製品設計も可能である。日用雑貨などの消費財については、組立や包装にも対応しているため、完成品までの一切をワンストップで委託できる環境となっている。
<樹脂製品製造の流れ>
食品関連事業は、菓子製造業許可を取得した第三工場にて、和菓子・洋菓子類のセットアップや化粧箱へのロット・賞味期限印字、健康食品の瓶詰めやパッケージングなどの最終包装を請け負っている。オーダーに合わせたオリジナルラインを構成することや熟練のスタッフによる作業工程を設け ることで、機械化が困難なニーズにも対応している。
以上のように、xx興業は医療分野や自動車部品、食品関連など様々な産業の製品を受託製造しており、「要求以上のクオリティ」を合言葉に、顧客の大切な事業を支える総合受託メーカーとして、日本の産業に貢献している。
2. 業界の動向
【医療機器等製造業者に求められる厳しい品質管理システム】
医療機器や体外診断用医薬品は人体に重大な影響を与える可能性があることから、製造する事業者には、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機 法)」に基づき公布された省令である「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(QMS 省令)」を遵守することが求められる。QMS 省令は、医療機器産業に特化した品質マネジメントシステムである ISO13485 に準拠して 2005 年に制定された省令であり、原材料の品質から製造工程を製造設備などのハードウェアの管理と工程管理システムなどのソフトウェアの管理の両面から成り立っている。
xx興業は、このような非常に厳しい品質管理を求められる医療機器、体外診断用医薬品の製造を受託するために、各種手順書の整備や従業員教育の徹底、製造設備の設置などを行い、 ISO13485 認証を取得するなど徹底した品質管理体制を構築した。
【研究用試薬の製造に耐え得る企業】
研究用試薬は、多くの分野に利用されるため品種が非常に多岐にわたる。また、研究用という性質上、1品種を大量に製造することは少ないため、研究用試薬を製造する事業者は多品種少量生産体制を整える必要がある。さらに、試薬の種類によっては火災や爆発、人体における中毒など危険性の高いものも含まれるため、取扱いに細心の注意を払った厳格な管理体制が求められる。そのほか、新試薬の開発に加え、既存試薬の品質向上や生産性向上などを目的とした改良も要求されるため、研究開発も重要となってくる。
そして、研究用試薬製造業者の最重要ポイントとして挙げられるのが、安定した品質の実現である。研究に使う試薬であるため、均一な品質とすることが求められ、そのためには作業の標準化や原料受入れから製造の各工程における品質検査、生産設備の計画的な保守点検などが必須とな る。
xx興業では、研究用試薬の製造に耐え得る企業となるために、多品種少量生産を前提とした工場レイアウトや流動性の高い従業員の育成、薬品の厳格な取扱い体制の構築、研究開発室の設置、品質マニュアルの策定などを行っている。
3. インパクトの特定および KPI の設定
<インパクトの別>
ポジティブ・インパクトの増大
<分類>社会
<インパクトレーダーとの関連性>健康と衛生
<SDGs との関連性>
3.3 2030 年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。
3.b 主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS 協定) 及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特にすべての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS 協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。
<KPI(指標と目標)>
2030 年までに、医療分野(医療機器、体外診断用医薬品、研究用試薬)の売上高を現状より+165%増加させる
<インパクトの内容>
xx興業は、「永遠に存続・継続・発展する経営を目指す」、「従業員とその家族の幸せを考 え、社員が誇りを持って働ける企業体質を構築する」、「社会に貢献できる人財育成を目指す」という理念の下、主に医療機器や体外診断用医薬品、研究用試薬といった医療分野の製品を受託製造している。全事業のうち医療分野の売上高が52%と過半数を占め、製造する感染症検査キットはインフルエンザやRSウイルス、アデノウイルス、マイコプラズマなど非常に多くの種類に対応している。検査キットはイムノクロマト法によるものであり、簡便性、迅速性に優れた製品となっている。新型コロナウイルス感染症が蔓延した2020年からは、新型コロナウイルス感染症のPCR検査キットや抗原検査キットも製造し、理念の通り医療分野を通して社会に貢献している。社会への貢献が従業員の誇りにつながり、高い品質の維持や研究開発の原動力となることで、永続的に成長・発展する企業を目指している。
設立当初は、自動車部品などの樹脂製品の受託製造や日用雑貨の組立・検品・梱包作業を請け負っていたが、製造工程の質の高さを買われ、体外診断用医薬品の製造を受託した。これを 機に、更なる信頼と実績を積み上げ、許認可の必要な工程も受託するために製薬会社を退職した
人材を雇いQMS(Quality Management System)を構築、順調に医療分野の事業を拡大していった。現在では、自社に研究開発室を設置し、蓄積されたノウハウや豊富な設備を活用して、他社と共同で研究用試薬を開発するまでに至る。医療系ベンチャー企業などの新製品開発のサポートや量産化を実現している。
このように、xx興業は感染症検査キットなどの製造を通して、様々な感染症の拡大防止に貢献している。また、医療機器や研究用試薬の開発・製造を手掛けることで、市場に多くの医療製品を供給することが期待される。
静岡銀行は、xx興業の医療分野での社会への貢献度を定量的に確認するために、医療機器、体外診断用医薬品、研究用試薬の3事業の総売上高をモニタリングしていく方針である。
<インパクトの別>
ポジティブ・インパクトの増大
<分類>社会
<インパクトレーダーとの関連性>雇用
<SDGs との関連性>
5.6 国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画及び北京行動綱領、ならびにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する。
8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
<KPI(指標と目標)>
①2030 年までに、フェムテック製品の売上高を現状より+420%増加させる
②2030 年までに、女性従業員を現状より+177%増加させる
<インパクトの内容>
xx興業は、フェムテック製品の受託製造を通して女性の社会進出を支援しようとしている。フェムテックとは、female(女性)と technology(技術)を掛け合わせた造語であり、女性特有の健康課題を技術で解決する商品やサービスを意味する。
設立当初から人手が必要なアッセンブリ工程を多く請け負っていた同社は、女性従業員の割合が高く、女性の労働環境に高い関心を持っていた。そのような中、世界経済フォーラムが 2021 年
3月に発表した各国のジェンダーギャップ指数で、日本の順位は 156 カ国中 120 位※と先進国の中で最低レベルの結果となるなど、日本の女性の活躍推進体制の遅れを目の当たりにしたxx興業は、このような現状を改善しようと卵子凍結保存キットなどといったフェムテック製品の製造に取り掛かっている。
卵子凍結保存キットは、女性のキャリア形成が進む一方で深刻化する少子化の解決が期待される製品である。10 代から 20 代前半のうちに、健康な卵子を多く採取・凍結保存することで将来の妊娠可能性を飛躍的に高められる。出産の機会と引き換えにキャリア形成をあきらめることなく、出 産もキャリア形成も両立させられるため女性の社会進出に大きく貢献できる製品となっている。
また、xx興業自らも女性の雇用に積極的であり、活躍の場を提供している。全従業員 112 名のうち、女性従業員が 87 名と女性の割合が 77.7%となっている。なかでも、製造現場で働く準社員とパート従業員の女性が多く、主婦層が多数を占めるため、柔軟に休暇を取得できるよう多能工化を進めるなど社内体制の整備に努めており、準社員とパート従業員の有給休暇取得率は 100%となっている。そのほか、本社・原工場ではパート従業員を含めた全従業員を対象に、社長
および工場長との面接を年に2回実施している。作業や設備、労働環境の改善案、要望を直接申し入れる機会を設けることで、働きやすい職場を醸成している。さらに、5S を心掛けることで製造現場をクリーンに保ち、作業の効率化だけでなく女性従業員から好評な職場環境を維持することができている。
<xx興業の従業員構成>
男性 | 女性 | |
正社員 | 19 | 6 |
嘱託社員 | 2 | 0 |
準社員 | 4 | 16 |
パート | 0 | 56 |
実習生 | 0 | 9 |
合計 | 25 | 87 |
このように、フェムテック製品を普及させることで女性の社会進出を支援し、自らも女性を積極的に雇用することで、xx興業は女性活躍の場を広げている。これらは、ジェンダー平等を実現し女性の権利の保護に貢献する。
静岡銀行は、xx興業の女性活躍推進への貢献度を定量的に確認するために、フェムテック製品の売上高と女性従業員数をモニタリングしていく方針である。
※資料:世界経済フォーラム「The Global Gender Gap Report 2021」
<インパクトの別>
ポジティブ・インパクトの増大
<分類>社会
<インパクトレーダーとの関連性>教育、雇用
<SDGs との関連性>
4.4 2030 年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。
<KPI(指標と目標)>
年次教育計画の実行を継続し、現状の従業員教育体制を維持する
<インパクトの内容>
xx興業では、教育訓練手順書に基づいた新入社員育成計画や年次教育計画を策定しており、全従業員の教育を徹底している。正社員の教育はもちろん、実際に作業現場で働くパート従業員への教育にも注力することで、高い品質を維持している。
新入社員育成計画は、新規採用者を対象に会社概要、製品および業務上の基本的な注意事項について教育を行う。人事異動によって他部署に配属された従業員を対象とした、所属部門の役割、QMS や製造技術に関する基本的要件などの基礎教育も含まれる。
年次教育計画は、期初である9月に各部門の責任者が作成し、講義形式の教育とOJT形式の訓練を実施する。具体的には、xx興業全体で行う医薬品製造分野の座学や各部署で行う具体的な製造方法の指導などを通して知識の更新や技術を向上させており、外部のセミナーにも積極的に参加し、受講内容の社内への還元、部署内での共有を行うことで更なるスキルアップを図っている。パート従業員にも、毎朝の工程の確認や一度作業してから時間が経った工程の再教育といった指導が徹底されており、技術の高いパート従業員はリーダーに任命され時給が高くなるなど、技術向上に対するモチベーションの維持も図られている。
このように教育された従業員のスキルは、xx興業独自のスキルチェック表で「誰」が「どの製品」の
「どの工程」を作業できるかが管理されており、パート従業員を含めた全従業員の年次教育計画に反映されている。
また、xx興業は社内の品質管理体制を監査する QMS 内部監査員の育成にも注力してお り、資格取得の補助も行っている。受験料や交通費、宿泊費を含めた資格取得費用を全面的にxx興業が負担し、就業時間扱いで講習会に参加させるなど、従業員の資格取得をサポートすることで、現在では、6名の資格保有者がおり、社内の監査体制の強化および品質の維持につながっている。
このように、xx興業は従業員教育に積極的に取り組んでおり、社内教育体制を整備することで従業員のスキルアップを図っている。これらは、働きがいのある人間らしい仕事に必要な技能を備える人材の増加に貢献している。
静岡銀行は、xx興業の従業員のスキルアップへの貢献度を定量的に確認するために、年次教育計画の実行度合いをモニタリングしていく方針である。
<インパクトの別>
ポジティブ・インパクトの増大
<分類>経済
<インパクトレーダーとの関連性>経済の収れん
<SDGs との関連性>
8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。
<KPI(指標と目標)>
2030 年までに、営業利益率を現状より+14.5pt 増加させる
<インパクトの内容>
xx興業は、様々な技術や工夫を取り入れることで高い付加価値を生み出すことを得意として いる。特に、既存製品や工程に改良を加え、現在よりも性能を高めることや生産効率を向上させることに強みを持つ。このようなことができるのは、創業当時から多品種の受託製造を行うことで技術力が培われ、ノウハウを蓄積した人材を確保していったからである。
研究開発室で行われていることは、まさに製品の改良・改善であり、医療系ベンチャー企業や大手製薬メーカーの試作品や製品をxx興業が製品化、量産化しており、付加価値の創造につながっている。製品化の段階で、工程を改良することで保存性を高めるなど高付加価値化させることも可能である。
このように蓄積された技術や設備、人材により事業化した例が化粧品事業である。xx興業で受託製造している化粧品はすべて、医療分野で培った凍結乾燥技術を応用し、使用期限を通常よりも大幅に延長した製品となっている。クリーンルーム内での化粧品の凍結乾燥製造ラインは国内でも珍しく、全国の消費者への安定供給を支えている。
また、xx興業は多品種少量生産体制を整えている点も大きな強みとなっている。工場には特定の製品の専用ラインを設けず、汎用機を用いて小ロット生産に特化した製造エリアを複数設置 し、従業員の多能工化を積極的に進めている。誰でも安定した品質の製品を製造できるよう各種手順書を整備し、多能工化されたパート従業員を多く確保することで、柔軟な生産計画と低コスト体質を実現している。
このようなxx興業の高付加価値創造体質は、自社の利益を増幅させ高い経済生産性を達成することに貢献している。
静岡銀行は、xx興業の高付加価値生産体制を定量的に確認するために、営業利益率をモニタリングしていく方針である。
<インパクトの別>
ポジティブ・インパクトの増大
<分類>経済
<インパクトレーダーとの関連性>経済の収れん
<SDGs との関連性>
9.5 2030 年までにイノベーションを促進させることや 100 万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとするすべての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。
17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。
<KPI(指標と目標)>
2030 年までに、他企業と9件の連携を行う
<インパクトの内容>
xx興業は、中小企業では珍しく医療分野の研究開発室を設け、医療機器メーカーや製薬メーカー、医療系ベンチャーなど、様々な企業と連携している。これまでの大手企業との取引実績や凍結乾燥技術をはじめとした高い技術力、小回りの利く多品種少量生産体制などを評価され、顧客から製品開発などの引き合いが多い。また、静岡県が主導する「ファルマバレープロジェクト」にも参画しており、これまでに、大手製薬メーカーと口腔ケア製品を共同開発するなどの実績がある。
静岡県は医薬品・医療機器の生産額が全国トップレベルであり、県東部の集積産業である医療分野の成長を推進している。xx興業の医療分野製品の受託製造や研究開発室での試薬の開発製造は、このような静岡県の推進策と合致しており、xx興業は今後もファルマバレープロジェクトを通した共同開発・研究に積極的に取り組む方針を示している。
静岡銀行では、xx興業の科学研究の促進、パートナーシップの推進への貢献度を定量的に確認するために、他企業との連携件数をモニタリングしていく方針である。
<インパクトの別>
ネガティブ・インパクトの低減
<分類>環境
<インパクトレーダーとの関連性>
資源効率・資源安全確保、気候変動、廃棄物
<SDGs との関連性>
11.6 2030 年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。
12.2 2030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
<KPI(指標と目標)>
①2030 年までに、非再生エネルギー由来電力の使用量を現状から 10%削減させる
②段ボール、包装用ラップ、端材のリサイクル業者への委託率 100%を維持する
③2030 年までに、本社・原工場、第二工場、第三工場の LED 照明の導入率 100%を達成する
<インパクトの内容>
xx興業は、製造工程のムリ・ムラ・ムダを排除することで CO2 排出量や廃棄物の削減に努めている。不具合防止のためのキャッパーの使用変更、凍結乾燥工程で熱伝導率を高めるためのアルミトレーやアルミカバーの取付け、センサーやカメラを活用した自動化・効率化など多くの工夫を凝らしている。また、同社は通常であれば生産効率の悪くなる多品種少量生産を行うことに強みを持つ が、綿密な生産計画を組むことで効率的な生産を可能としている。人の面では、従業員を多能工化に教育することで流動性を高めると同時に非常時にも対応できるよう人繰りに余裕を持たせ、物の面では、在庫および資材手配状況の迅速かつ正確な把握や各工程の進捗の共有により柔軟で生産効率の高い計画を達成している。生産性を改善する風土が社内全体に浸透しており、使用 電力や廃棄物の削減につながっている。
また、仕入れた原料などに使われている段ボールや包装用ラップなどといった包装資材、プラスチック2次加工工程で発生する端材はリサイクル業者へ全て委託し、再資源化している。xx興業が製品を保管する際は、プラスチックコンテナを使用することで包装資材の使用量削減を図っている。 LED 照明の導入にも積極的であり、本社・原工場では 85%、第三工場では 80%の導入率となっている。今後は、さらなる CO2 排出量の削減を図るべく、第二工場への導入も検討している。
このように、xx興業は効率化や包装資材などのリサイクル、LED 照明の導入により、持続可能な資源の利用や事業活動で生じる CO2 排出量・廃棄物の削減に貢献している。
静岡銀行は、xx興業の環境負荷低減への貢献度を定量的に確認するために、非再生エネルギー由来電力の使用量、包装資材などのリサイクル業者への委託率、各施設の LED 照明の導入率をモニタリングしていく方針である。
<インパクトの別>
ネガティブ・インパクトの低減
<分類>環境
<インパクトレーダーとの関連性>大気、水、土壌
<SDGs との関連性>
12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
<KPI(指標と目標)>
法令に則った処理を継続し、各種許認可・登録を維持する
<インパクトの内容>
xx興業では、医療分野の製品を受託・開発製造しているため、通常の処理方法では廃棄できない薬品などを取り扱っている。これらは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)や毒物及び劇物取締法、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)によって、大気や水質、土壌の保全のために適切な取扱いや処理方法が定められている。同社では、ドラフトチャンバーを用いた適切な取扱いや特別管理産業廃棄物処理業者へ委託を行うなどの環境保全対策を講じており、同社の事業で生じる大気、水質、土壌汚染リスクの低減させている。
静岡銀行は、xx興業の環境保全対策が継続されていることを確認するために、法令に則り各種許認可・登録を維持することをモニタリングしていく方針である。
<インパクトの別>
ネガティブ・インパクトの低減
<分類>社会
<インパクトレーダーとの関連性>
健康と衛生、資源効率・資源安全確保
<SDGs との関連性>
3.3 2030 年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。
3.b 主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS 協定) 及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特にすべての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS 協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。
12.2 2030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
<KPI(指標と目標)>
品質マニュアルの遵守を継続し、 ISO13485 および QMS の適合性を維持する
<インパクトの内容>
xx興業が製造する医療機器や体外診断用医薬品、化粧品などは、高い品質を維持できなければ消費者に健康被害などを生じさせるリスクを負っている。同社では、そのような被害を発生させないために高品質かつ低不良率の生産工程となるよう工夫を凝らしている。
前述の徹底した社内教育体制の整備により従業員のスキルを常に向上させるだけでなく、製品 毎に製品標準書を用意することで製造工程の再現性を高め、品質を安定させている。QMS の各部門責任者によって毎月開催される品質会議では、社内の工程不良に関する報告やその対策などを議論し、クレームの件数や対応策などを共有している。社長も参加する防虫会議では、防虫を専門とする企業が工場内をモニタリングすることで課題を見つけ出し、指摘事項について改善・対応策を検討、これまでに除湿器の設置、各種虫進入路の補修、緑地帯の整備、殺虫剤噴霧器の設置、モニタリング機器の増設など多くの対策を実行している。
医療機器などの検品工程においても、検査項目の細分化や専用検査治具の開発、検査員の適時適切な休憩の確保などを行い、高い水準の検品システムを維持している。
これらの品質管理体制を体系化するために、2021 年9月に ISO13485 認証を取得してい る。さらに、認証を取得して終わりではなく、QMS 内部監査員を各部門に設置し、相互監査体制
を構築することで高いレベルでの品質管理体制を維持している。その結果、xx興業の製造した製品は大規模な回収に至るような事象を1度も発生させていない。
食品関連事業や樹脂製品事業などについても、ISO9001 認証を取得しており、高い品質を維持する体制を整えている。
このように、xx興業は高品質かつ低不良率を維持し続けており、顧客および最終消費者の安全を確保し、感染症の拡大防止に貢献している。
静岡銀行は、xx興業の高い品質管理体制の維持を確認するために、品質会議や防虫会議の継続、各種認証の維持をモニタリングしていく方針である。
<インパクトの別>
ネガティブ・インパクトの低減
<分類>社会
<インパクトレーダーとの関連性>雇用
<SDGs との関連性>
8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
<KPI(指標と目標)>
2カ月に1度の安全巡察を継続し、製造現場での労働災害を0件に抑える
<インパクトの内容>
xx興業は、従業員が安全に安心して働ける職場作りにも注力している。製造設備への巻き込み防止カバーの取付けや危険箇所への安全柵の設置などはもちろん、xx社長、工場長、製造管理者による本社・原工場全域の設備・環境などを目視点検する安全巡察を2カ月に1度行い、 不具合箇所や不具合予測箇所を確認することで労働災害リスクを低減させている。
また、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症対策として消毒液の設置なども行っており、万が一、従業員が体調を崩した際に対応できるよう担架や簡易ベッドも用意されている。
そのほか、AED(自動体外式除細動器)を本社・原工場に設置しており、万が一従業員が心停止した際に利用できる環境を整えている。
このような、xx興業の従業員の安全を考えた職場作りは、労働者の権利の保護に貢献している。
静岡銀行は、xx興業の安全な職場環境の維持を確認するために、安全巡察の実施の継続および製造現場での労働災害件数をモニタリングしていく方針である。
4. 地域課題との関連性
大村興業が本ポジティブ・インパクト・ファイナンスの KPI を達成することによって、目標とする 10年後の売上高、従業員数を確認した。
「平成 27 年静岡県産業連関表」を用いて、静岡県経済に与える波及効果を試算すると、この目標を達成することによって、xx興業は、静岡県経済全体に年間 25 億円の波及効果を与える企業となることが期待される。
【ファルマバレープロジェクトへの参画】
静岡県は、“世界一の健康長寿県の形成”を目指し、県東部地域を中心に地域の民産学官が協働した医療健康産業クラスターである「ファルマバレープロジェクト」を推進している。
2001 年、医薬品・医療機器の生産額が全国トップレベルを誇る静岡県の中でも、大手製 薬・医療機器メーカーの工場や研究拠点が多く集まる県東部地域に、富士山麓先端医療産業集積構想(ファルマバレー構想)が策定された。以降、構想が実現化するにつれ、「ファルマバレープロジェクト」の名称が定着し、「健康増進・疾病克服」と「県民の経済基盤の確立」を両輪に、地元企業の高い技術力を活用しながら、県民や患者、医療現場のための、ものづくり・ひとづくり・まちづくり を展開し、地域の活性化が図られている。
県内の医療の質の向上を中心に健康長寿社会の実現に向けて、プロジェクトは着実に進んでおり、産学官の連携と世界に開かれたネットワークから、共同研究数は 39 機関 52 テーマ、地域企業による事業化・製品化は 45 件など、県民や患者の視点に立った多くの成果が生まれている。
xx興業は、ファルマバレープロジェクトに参画しており、日々、他企業との連携を模索している。また、高い技術力を活用した医療機器や体外診断用医薬品、研究用試薬を製造することは、同プロジェクトの理念に沿うものであり、静岡県の目指す健康社会の実現に貢献する。
【沼津市環境基本計画】
xx興業の所在する沼津市は、2021 年度から 2030 年度を計画期間とした「第2次沼津市環境基本計画」を策定している。
この環境基本計画は、「脱炭素社会」、「循環型社会」、「自然共生社会」、「環境教育」の4つの目指す社会と、「低炭素で暮らしやすいまち」、「気候変動に適応するまち」、「資源が循環するまち」、「自然や豊かな生態系が持続するまち」、「快適な生活環境のまち」、「環境を大切にする人づ くり」の6つの環境目標を設定し、具体的な数値目標なども定め、沼津市の自然的・社会的条件 を考慮した環境の保全および創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的としている。また、市・市民・事業者・滞在者が一体となって取組みを進めていく上での指針となるなど、重要な役割も果たしている。
xx興業が取り組む活動のうち、ムリ・ムラ・ムダの排除や LED 照明の導入による CO2 排出量の削減は「脱炭素社会」に、ムリ・ムラ・ムダの排除や包装資材・プラスチック端材のリサイクルによる廃棄物の削減・再資源化は「循環型社会」に、法令を遵守した薬品などの処理による大気、水 質、土壌汚染リスクの低減は「自然共生社会」に資する活動であり、地元である沼津市の抱える課題の解決に貢献するものである。
<沼津市の環境基本計画>
取組みの方向
①総合的な地球温暖化対策
②低炭素な交通の普及とまちづくり
③省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの
④二酸化炭素の吸収促進
①健康、産業・経済活動、市民生活・
②農業・林業・水産業に関する適
③水環境・水資源に関する適
④自然生態系に関する適
⑤自然災害・沿岸域
①ごみ減量・資
②適正なご
③不法
④
自然や豊かな生態系が持続するま
快適な生活環境
環境教育
自然共生社会
資源が循環するまち
循環型社会
気候変動に適応するまち
低炭素で暮らしやすいまち
脱炭素社会
環境目標
目指す社会
5. マネジメント体制
大村興業では、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組むにあたり、組織横断的なプロジェクトチームを結成。xx社長が陣頭指揮を執り、社内の制度や計画、日々の業務や諸活動等を棚卸しすることで、自社の事業活動とインパクトレーダーや SDGs との関連性について検討を重ねた。
本ポジティブ・インパクト・ファイナンス実行後においても、xx社長を最高責任者とし、xxxxを実行責任者とした総務部内に設置されたプロジェクトチームを中心として、全従業員がxxとなって、KPI の達成に向けた活動を実施していく。
最高責任者 | 代表取締役社長 xxxx |
xx責任者 | 次長 xxxx |
担当部署 | 総務部 |
6. モニタリングの頻度と方法
本ポジティブ・インパクト・ファイナンスで設定した KPI の達成および進捗状況については、静岡銀行と大村興業の担当者が定期的に会合の場を設け、共有する。会合は少なくとも年に1回実施するほか、日頃の情報交換や営業活動の場等を通じて実施する。
静岡銀行は、KPI 達成に必要な資金およびその他ノウハウの提供、あるいは静岡銀行の持つネットワークから外部資源とマッチングすることで、KPI 達成をサポートする。
モニタリング期間中に達成した KPI に関しては、達成後もその水準を維持していることを確認する。なお、経営環境の変化などにより KPI を変更する必要がある場合は、静岡銀行と大村興業が協議の上、再設定を検討する。
以 x
x評価書に関する重要な説明
1.本評価書は、静岡経済研究所が、静岡銀行から委託を受けて実施したもので、静岡経済研究所が静岡銀行に対して提出するものです。
2.静岡経済研究所は、依頼者である静岡銀行および静岡銀行がポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するxx興業から供与された情報と、静岡経済研究所が独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。
3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合させるとともに、ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に整合させながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所から、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに関する第三者意見書の提供を受けています。
<評価書作成者および本件問合せ先>
一般財団法人静岡経済研究所
研究部 研究員 xx xx
x400-0000
xxxxxxxx 0-00 xxxxx 0 x XXX:000-000-0000 FAX:000-000-0000
第三者意見書
2021 年 11 月 30 日
株式会社 日本格付研究所
評価対象: xx興業株式会社に対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社静岡銀行 |
評価者:一般財団法人静岡経済研究所 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナ
ンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、静岡銀行がxx興業株式会社(「xx興業」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、静岡経済研究所による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定した PIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシアティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、インパクト分析ツールを開発した。静岡銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際し、静岡経済研究所と共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、静岡銀行及び静岡経済研究所にそれを提示している。なお、静岡銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義を、PIF 原則等で参照している IFC(国際金融公社)の定義に加え、中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業としている。
JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえで PIF 原則との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包摂的 で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体 である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的 とした中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では
52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
静岡銀行及び静岡経済研究所は、本ファイナンスを通じ、xx興業の持ちうるインパクトを、UNEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析を行った。
この結果、xx興業がポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、静岡銀行が PIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 静岡銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
お客さま | ①PIFの申込み | 当行 | ②PIF評価依頼 | 静岡経済研究所 | レビュー依頼 | JCR |
③インパクトの包括分析・特定 | ||||||
⑤目標・KPI等の協議 | ④インパクトの還元 ⑥目標・KPI等の報告 | コメントバック レビュー依頼 | ||||
⑨融資実行 PIF評価書交付 | ⑧PIF評価書作成 | ⑦目標・KPI等の評価 コメントバック |
(出所:静岡銀行提供資料)
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100人以下など。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(2) 実施プロセスについて、静岡銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、静岡銀行からの委託を受けて、静岡経済研究所が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めた PIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本 PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全て静岡経済研究所が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、静岡経済研究所が、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及び ESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして
定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人であるxx興業から貸付人である静岡銀行及び評価者である静岡経済研究所に対して開示がなされることとし、可能な範囲
で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
(第三者意見責任者) 株式会社日本格付研究所
サステナブル・ファイナンス評価本部長
xx xx
担当xxアナリスト 担当アナリスト
xx xx
xx x
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・xxな立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候債イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:00-0000-0000 FAX:00-0000-0000