フランス保険法学では,保険契約が民法典上の射倖契約に該当するかどう かという問題と,偶然性(l’ aléa)が保険契約においてどのような役割を果 たすのかという問題とがあるが,本稿は前者を対象とするものである。その 意味で,射倖契約に関する直接の規定を有しない日本法には直接的な示唆を 与えることはできないものと思われる2)。本稿がこの一見無意味な議論を取 り扱うのは,フランス保険法学の内在的理解のためである。後述するように,フランスにおいては,日本と異なり,射倖契約に関する定めがある一方,保...