本投資法人のLTVは、原則としてLTV水準の上限を60%としています。しかし、新たな資産の取得や資産評価の変動等により、上記の上限を超える可能性があります。
3【投資リスク】
(1)リスク要因
以下において、本投資口への投資に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、今後本投資法人が投資法人債(以下「本投資法人債」といい、短期投資法人債を含むことがあります。)を発行する場合、これらの事項は、本投資法人債への投資に関してもリスク要因となる可能性があります。ただし、以下は本投資口又は本投資法人債への投資に関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。以下における不動産に関する記述は、不動産信託受益権その他の不動産関連資産についてもほぼ同様に当てはまりますが、資産としての種類の違いに応じて、この他にも発生する可能性のあるリスクがあります。また、本書に記載の事項には、特に本投資法人及び本資産運用会社の目標及び意図を含め、将来に関する事項が存在しますが、別段の記載のない限り、これらの事項は本書の日付現在における本投資法人及び本資産運用会社の判断、目標、一定の前提又は仮定に基づく予測等であって、不確実性を内在するため、実際の結果と異なる可能性があります。
本投資法人は、可能な限りこれらリスクの発生の回避及びリスクが発生した場合の対応に努める方針ですが、回避及び対応が結果的に十分であるとの保証はありません。
・以下に記載するリスクが現実化した場合、分配金の額が低下し、又は本投資口若しくは本投資法人債の市場価格若しくは取引価格が下落する可能性があり、その結果、各投資家が投資した金額を回収できなくなる可能性があります。
・各投資家は、自らの責任において、本項及び本書における本項以外の記載事項を慎重に検討した上で本投資口又は本投資法人債に関する投資判断を行う必要があります。
① 一般的なリスク A.投資口・投資証券の商品性に係るリスク B.投資口又は投資法人債の市場性に係るリスク C.投資口の払戻しがないことに係るリスク D.投資口又は投資法人債の価格の変動に係るリスク E.投資口の希薄化に係るリスク F.金銭の分配に係るリスク G.投資法人債の償還・利払いに関するリスク H.総資産に対する有利子負債の比率に係るリスク I.投資法人の資金調達に係るリスク J.収益及び費用、キャッシュフローの変動に係るリスク
K.投資主の権利が株主の権利と同一でないことに係るリスク L.投資法人の法律上、税制上、その他諸制度上の取扱いに係るリスク
② 投資法人の関係者及び仕組みに係るリスク A.業務委託に係るリスク B.資産運用会社に係るリスク C.投資法人の登録取消リスク D.投資法人の倒産リスク
E.本投資法人及び本資産運用会社の歴史が浅いことによるリスク F.スポンサーへの依存に係るリスク
③ 不動産に係るリスク A.不動産の流動性に係るリスク B.専門家報告書等に係るリスク C.不動産の瑕疵に係るリスク D.土地の境界等に係るリスク E.収入及び支出に係るリスク F.プロパティ・マネジメント会社に係るリスク G.建物の毀損・滅失・劣化に係るリスク H.建築基準法等の規制に係るリスク I.共有物件に係るリスク J.区分所有建物に係るリスク
K.借地権に係るリスク L.底地物件に係るリスク M.開発物件に係るリスク N.匿名組合出資持分への投資に関するリスク O.有害物質に係るリスク P.地球温暖化対策に係るリスク Q.不動産の所有者責任に係るリスク R.不動産の偏在に係るリスク S.テナント集中に係るリスク T.転貸に係るリスク U.マスターリースに係るリスク
V.テナント等による不動産の使用に基づく価値減損に係るリスク W.売主の倒産等の影響に係るリスク X.フォワード・コミットメント等に係るリスク Y.賃料保証会社に係るリスク Z.固定資産の減損に係る会計基準の適用に係るリスク AA.商業施設に係るリスク
BB.ホテルに係るリスク CC.物流施設に係るリスク DD.築古物件に係るリスク EE.資産の組入れ・譲渡等に関するリスク
④ 不動産信託受益権に係るリスク A.信託受益者として負うリスク B.不動産信託受益権の流動性に係るリスク C.不動産信託受託者の破産等の倒産手続に係るリスク D.不動産信託受託者の信託違反に伴うリスク E.不動産信託受益権の準共有等に係るリスク
⑤ 税制に係るリスク A.導管性の維持に関する一般的なリスク
B.過大な税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク C.借入れに係る導管性要件に関するリスク D.資金不足により計上された利益の全部を配当できないリスク E.同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク F.投資口を保有する投資主数について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク G.税務調査等による更正のため追加的な税金が発生するリスク H.不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク I.一般的な税制の変更に関するリスク
J.減損会計の適用に関するリスク K.納税遅延に係る延滞税等の発生に関するリスク
⑥ その他
A.投資主優待制度に関するリスク
① 一般的なリスク A.投資口・投資証券の商品性に係るリスク
投資口又は投資証券は、株式会社における株式又は株券に類似する性質を持ち、投資金額の回収や利回りの如何は、投資法人の収益又は財産及び業務の状況に影響され、投資金額以上の金額の回収を図ることができるか否かは定かではありません。
本投資口に対して投下された投資主からの投資金額については、いかなる保証も付されておらず、また、本投資口は金融機関の預金等と異なり、預金保険等の対象ではありません。
したがって、投資法人につき、投資主総会での決議等に基づく通常の清算手続が開始され又は倒産手続により清算される場合、投資主は、投資法人の全ての債権者への弁済の後でなければ、配当又は分配を受けることはできません。特に倒産手続に基づく清算の場合には、債権の弁済後の投資法人の資産が投資口全ての投資金額に不足し、投資主が投資金額を回収できない可能性があります。
B.投資口又は投資法人債の市場性に係るリスク
本投資法人の資産総額の減少、本投資口の売買高の減少その他により、東京証券取引所の定める有価証券上場規程に規定される不動産投資信託証券の上場廃止基準に抵触する場合には、本投資口の上場が廃止されます。本投資口の上場市場における売却が困難又は不可能となった場合には、本投資口の売却を希望する投資主は、相対による売却による他なく、本投資口を希望する時期や売却価格を含む条件で換価できないか、全く換価できない可能性があり、これにより損害を被る可能性があります。
また、投資法人債は一般に上場されないことから、流動性は低く、希望する時期や価格で売却することができず、その償還期限前に換金することが困難となる可能性があり、これにより損害を被る可能性があります。
C.投資口の払戻しがないことに係るリスク
本投資口については、投資主からの請求による払戻しは行われません。したがって、投資主が本投資口を換価するためには、これを売却することが必要となります。本投資口の売却が困難となった場合には、希望する時期や売却価格を含む条件で換価できないか、全く換価できない可能性があり、これにより損害を被る可能性があります。
D.投資口又は投資法人債の価格の変動に係るリスク
投資口又は投資法人債の譲渡価格や当初の投資金額については、いかなる保証も付されていません。投資口の市場価格は、金利動向や為替相場等の金融環境の変化に影響されることがあるほか、投資口の売買高及び需給バランス、不動産投資信託証券以外の金融商品に対する投資との比較における優劣、不動産投資信託証券市場以外の金融商品市場の変動、市場環境や将来的な景気動向等によって左右され、場合によっては大幅に変動することがあります。特に、金利上昇局面においては、投資口の分配金利回りの魅力が相対的に低下し、投資口の市場価格が下落する可能性があります。また、投資法人債についても、金利動向や不動産市場その他の市場環境、信用格付の変更等によりその価値が変動し、取得価格を下回るおそれがあります。さらに、投資口及び投資法人債は、不動産投資信託証券市場の動向、不動産市場の趨勢、不動産賃貸市場の需給バランス、不動産の賃貸需要を左右することのある経済の全般的状況、法制又は税制の変更等、不動産関連市場を取り巻く要因による影響を受けることもあります。
また、投資口が取引所において一時的に大量に売却される場合、投資口の市場価格が大幅に下落する可能性があります。
E.投資口の希薄化に係るリスク
投資法人は、その事業遂行のために必要に応じて資金を調達しますが、その資金調達が投資口の追加発行により行われる場合には、既存の投資主が有する投資口の投資法人の発行済投資口の総口数に対する割合が希薄化し、また、投資口1口当たりの純資産額の減少等のため投資口の投資利回りが低下し、投資口の価値が下落する可能性があります。また、期中において投資口が追加発行される場合、その期の投資口保有期間にかかわらず、既存の投資口と同額の金銭の分配がなされるため、既存の投資口への分配額に影響を与える可能性があります。さらに、今後、投資口の追加発行がなされる場合、市場における投資口の需給バランスに悪影響を与える場合があり、その結果、投資口の価格が悪影響を受けるおそれがあります。
F.金銭の分配に係るリスク
本投資法人は前記「2 投資方針 (3)分配方針」に記載の分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、本投資法人による金銭の分配の有無、金額及びその支払は、いかなる場合においても保証されるものではありません。想定している不動産等の取得又は売却が行われない場合やその時期に変更
が生じた場合、資産から得られる賃料収入の低下、保有資産の売却による損失や減損損失、建替えに伴う除却損等の損失の発生、現金不足等により、予想されたとおりの分配を行えない可能性があります。
また、本投資法人は、前記「2 投資方針 (3)分配方針」に記載のとおり、一時的な利益超過分配を実施することがありますが、利益を超えた金銭の分配は、出資の払戻しに相当するため、利益を超えた金銭の分配が実施された場合、本投資法人の純資産は減少することになります。また、これにより手元資金が減少することとなるため、想定外の事象等により本投資法人の想定を超えて資本的支出を行う必要が生じた場合などに手元資金の不足が生じる可能性や、機動的な物件取得にあたり資金面での制約となる可能性があります。
G.投資法人債の償還・利払いに関するリスク
本投資法人の信用状況の悪化その他の事由により、本投資法人債について元本や利子の支払が滞ったり、支払不能が生じるおそれがあります。
H.総資産に対する有利子負債の比率に係るリスク
本投資法人のLTVは、原則としてLTV水準の上限を60%としています。しかし、新たな資産の取得や資産評価の変動等により、上記の上限を超える可能性があります。
投資法人のLTVの値が高まれば高まるほど、一般的に、分配可能金額が金利変動の影響を受け易くなり、その結果投資主への分配金額が減少するおそれがあります。
I.投資法人の資金調達に係るリスク
本投資法人は、本書記載の財務方針に従い、借入れ又は投資法人債の発行による資金調達を行います。投資法人が資金調達を行う場合、借入れ又は投資法人債の条件は、その時々の金利実勢、投資法人の収益及び財務状況、一般的な経済環境のほか、投資法人債に係る信用格付、貸付人の自己資本比率規制その他の法的・経済的状況等の多くの要因に従って決定されるため、投資法人が必要とする時期及び条件で機動的に借入れ又は投資法人債の発行を行うことができる保証はありません。
なお、既存の借入れについて返済期限が到来した場合に、同一の借入先からほぼ同一の条件で新規の借入れを行う借り換えについても、かかる借り換えができなくなることや、金利、担保提供、財務制限条項等の点でより不利な条件での借入れを余儀なくされる可能性があります。
借入れについては、貸付人の保全措置の一環として、他の債務のための担保提供の制限、本投資法人の収益状況や財務状態(負債比率(LTV)及び元利金支払能力を判定する指標に係る財務制限条項を含みます。)が一定の条件を下回った場合における担保の提供、キャッシュリザーブ積立額の付加及び当該積立額による期限前弁済、追加借入れ等の制限、その他本投資法人の収益状況や財務状態及び業務に係る約束や制限が課されることがあり、本投資法人の借入れにはこのような約束や制限が課されています。このような約束や制限が本投資法人の運営に支障をもたらし、又は投資主に対する金銭の分配等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、かかる約束や制限に違反した場合、本投資法人は借入金について期限の利益を失うことがあります。
また、借入れにあたり、本投資法人は、保有する資産又はその原資産の全部又は一部を貸付人に対して担保に供することがあります。この場合、本投資法人は、被担保債権を弁済しない限り、担保対象たる資産を処分し、又は不動産たる建物の建替等を行うにあたり、貸付人の承諾を取得する等の制限を受けることとなります。その結果、本投資法人が必要とする時期及び条件で資産や不動産を処分できないおそれがあります。
さらに、予測し難い経済状況の変更により、変動金利の場合における利払額の増加その他本投資法人の借入れや投資法人債に係る負担が増加することがあり、投資主に損害を与える可能性があります。また、本投資法人の資産の売却等により借入金の期限前返済を行う場合には、期限前返済コスト(違約金等)が発生する場合があります。この場合、当該コストはその発生時点における金利情勢によって決定される場合がある等、予測し難い経済状況の変更により、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
投資法人が資金を調達しようとする場合には、借入れのほか、投資法人債の発行又は投資口の追加発行の方法によることがあります。投資口の追加発行により資金調達を行う場合、投資口の発行時期及び価格はその時々の不動産市況により左右され、場合により、投資法人の希望する時期及び条件でこれを発行することができないおそれがあります。また、投資法人債又は短期投資法人債の発行を行う場合、様々な財務制限条項や誓約事項が規定されることがあります。かかる財務制限条項等に抵触する場合、本投資法人は投資法人債についての期限の利益を喪失することがあり、その場合、他の借入金についても期限の利益を喪失することとなり、投資主又は投資法人債権者に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
また、投資法人は、新投資口発行による資金調達に金融機関からの借入金を加えることにより一定のレバレッジを効かせた物件取得を行いますが、運用不動産の価格が下落した場合には、レバレッジ効果が働き、不動産価格の下落幅以上に投資口の価値が下落するおそれがあります。
なお、本投資法人は、中長期的な安定収益の確保と運用資産の持続的成長の実現を目的として、主要な金融機関からの調達を中心とした安定したバンク・フォーメーションを構築し、コミットメントラインを含めた多様な借入方法を検討の上、固定・変動比率や返済期限の分散等に配慮する方針ですが、これらの財務方針が実現できる保証はなく、また意図した効果をもたらす保証もありません。
J.収益及び費用、キャッシュフローの変動に係るリスク
本投資法人が取得し、保有する運用不動産からの賃料収入は、運用不動産の稼働率の低下、賃料水準の低下、テナントによる賃料の支払債務の不履行・遅延等により、大きく減少する可能性があります。テナント数が少ないオフィスビルやその他の用途の不動産において、テナントの退去、テナントによる賃料不払又は遅延が生じた場合には、キャッシュフローに与える影響は大きくなります。
前記の賃料収入の減少だけでなく、退去するテナントへの敷金・保証金の返還、多額の資本的支出、未稼働運用不動産の取得、売却損の発生による再投資の資金規模の縮小等により、投資主への分配金額に悪影響を及ぼす可能性があります。
他方、運用不動産に関する減価償却費、公租公課、保険料、建物管理業務に係る費用、維持修繕費用及び借地借家料等の費用の増大や、運用不動産の売却に当たって売却損が生じた場合には、投資主への分配金額等の減少その他の悪影響を及ぼす可能性があります。
K.投資主の権利が株主の権利と同一でないことに係るリスク
本投資法人の投資主は、投資主総会を通じて、一定の重要事項につき本投資法人の意思決定に参画できるほか、本投資法人に対して一定の権利を行使することができますが、かかる権利は株式会社における株主の権利とは同一ではありません。例えば、金銭の分配に係る計算書を含む本投資法人の計算書類等は、役員会の承認のみで確定し(投信法第131条第2項)、投資主総会の承認を得る必要はなく、投資主総会は決算期ごとに招集されるわけではありません。また、投資主総会に出席せず、かつ議決権を行使しないときは、当該投資主はその投資主総会に提出された議案(複数の議案が提出された場合において、これらのうちに相反する趣旨の議案があるときは、当該議案のいずれをも除きます。)について賛成するものとみなされます(投信法第93条第1項、規約第14条第1項)。さらに、本投資法人は、資産の運用に係る業務その他の業務を本資産運用会社その他の第三者に委託しています。これらの要因により、投資主による資産の運用に係る業務その他の業務に対する統制が効果的に行えない可能性もあります。
L.投資法人の法律上、税制上、その他諸制度上の取扱いに係るリスク
投資法人に関する法律上、税制上、その他諸制度上の取扱い若しくは解釈が大幅に変更され、又は新たな法律が制定される可能性があり、それに伴い、投資法人の現在の運用方針、運営形態等の変更が必要となる可能性があります。その結果、投資法人の存続、収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、投資法人は、投信法上、検査をはじめとする規制当局の監督を受けることとされていますが、投資法人が、金融庁その他の規制当局から行政処分を受けた場合や処分勧告がなされた場合、投資法人の運営に支障を及ぼしたり、投資法人に対する評価ひいては投資法人の投資口の価値が悪影響を受けたりするなどの可能性があります。
② 投資法人の関係者及び仕組みに係るリスク A.業務委託に係るリスク
投資法人は、資産の運用以外の行為を営業として行うことができず、使用人を雇用することはできません。資産の運用については、投資法人は、「資産運用会社にその資産の運用に係る業務の委託をしなければならない」こと(投信法第198条第1項)となっています。また、投信法には、投資法人が、「資産保管会社にその資産の保管に係る業務を委託しなければならない」こと(投信法第208条第1項)、並びにその資産の運用及び保管に係る業務以外の業務に係る事務であって投信法第117条に定めるものを、投信法施行規則で定めるところにより他の者に委託しなければならないことが定められています。したがって、投資法人の業務全般が円滑に執行されるか否かは、資産運用会社、資産の保管に係る業務の委託を受けている資産保管会社及び投資法人の投信法第117条に定める事務の委託を受けている一般事務受託者の能力や信用性に依拠することになります。
金商法上、資産運用会社は投資運用業の登録が必要とされており、また、投信法上、資産保管会社は一定の要件を満たす法人に資格が限定されており、一般事務受託者については、投資法人の設立時及び設立後に新たに行う一般事務受託者との契約締結時に、不適当な者でないことの調査が執行役員及び監督役員により
行われています。しかし、それぞれの業務受託者において、業務遂行に必要とされる人的・財産的基盤が今後も維持されるとは限らず、かかる人的・財産的基盤が損なわれた場合には、業務遂行が十分に行われず、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者の業務遂行は適正に行われることが必要であるため、金商法及び投信法上、これらの者はそれぞれ、投資法人に対して善管注意義務を負い、また、投資法人のため忠実義務を負いますが、そのいずれかが職務遂行上、善管注意義務又は忠実義務に反する行為を行った場合は、結果として投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
投資法人の規約に記載されている資産運用の対象及び方針等の基本的な事項の変更には、投資主総会の承認が必要ですが、資産運用会社は、より詳細な投資方針を定める運用ガイドライン又はこれに類する投資方針に係る社内規程を、投資主総会の承認を経ることなく、変更することが可能です。そのため、投資法人の投資主の意思が反映されないまま、運用ガイドラインが変更される可能性があります。
その他、資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者のそれぞれが、破産手続又は会社更生手続その他の倒産手続等により業務遂行能力を喪失する場合においては、投資法人はそれらの者に対する債権の回収に困難が生じるおそれがあり、さらに資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者との契約を解約し又は解除することが求められることがあります。そのような場合、投資法人は、投信法上、資産の運用、資産の保管及び一般事務に関しては第三者へ委託することが義務付けられているため、日常の業務遂行に影響を受けることになります。また、委託契約が解約又は解除された場合には、新たな資産運用会社、資産保管会社又は一般事務受託者を選定し、これらの者に対して上記各業務を委託することが必要とされます。しかし、投資法人の希望する時期及び条件で現在と同等又はそれ以上の能力と専門性を有する第三者を選定し、上記各業務及び事務を委託できるとの保証はなく、そのような第三者を速やかに選定できない場合には、投資法人の収益等が悪影響を受けるおそれがあります。
B.資産運用会社に係るリスク
投信法上、投資法人は、資産の運用行為しか行えず、また資産運用会社にその資産の運用に係る業務を委託しなければならないため、投資法人の資産の運用成果は、資産の運用に係る業務を行う資産運用会社の業務遂行能力に依拠することになります。資産運用会社についての主なリスクは、以下のとおりです。
ア.資産運用会社の運用能力に係るリスク
資産運用会社は、投資法人に対し善管注意義務を負い、また、投資法人のために忠実義務を負いますが、資産運用の結果に対して何らの保証を行うものではありません。また、金商法上、資産運用会社は投資運用業の登録が必要であり、金融庁等の監督官庁による監督を受けており、その信用力の維持には一定限度の制度的な裏付けがありますが、金商法はその運用能力まで保証するものではありません。監督官庁により金融商品取引業者としての登録の取消しを含む処分等がなされた場合には、投資法人の資産運用業務にも影響が生じ、結果として投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
投資法人は、一般的には運用能力の不足する資産運用会社を解任することができますが、他方、投資法人は、投信法上、資産の運用に係る業務を資産運用会社に委託しなければならないため、解任するまでに後任の資産運用会社の選定が必要になります。かかる選定に時間を要することがあり、その期間中は、能力不足と判断された資産運用会社による運用資産の運用が続くことになります。また、後任の資産運用会社が適切な運用能力を有することが保証されているわけでもありません。それらの場合には、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
イ.資産運用会社の行為に係るリスク
資産運用会社は、投資法人に対し善管注意義務を負い、また、投資法人のために忠実義務を負いますが、さらに資産運用会社の行為により投資法人が損害を被るリスクを軽減するため、金商法において資産運用会社の業務遂行に関して行為準則が詳細に規定されています。
しかしながら、資産運用会社が、行為準則に反し、又は法定の措置を適正に取らない場合には、投資主に損害が発生するリスクがあります。
その他、投資法人の資産運用会社に関し、その株主、その役職員の出向元企業又はその関係会社等といった関係者が、投資法人の資産又は不動産について、その取得又は運用に関する取引に関与する可能性があります。また、金商法上、資産運用会社自身による投資活動は禁止されていません。そのような場合、上記のとおり、金商法により一定の行為が禁止され、その結果、投資法人、ひいては投資主の利益が害されないように法的な規制はなされていますが、個別具体的には、実質的にどのような基準でこれらの取引がなされた場合に金商法の規制が遵守されたかが一義的には明らかではなく、したがって、結果として資産運用会社が自己又は第三者の利益を図るため、投資法人の利益を害することとなる取引を行わないとの保証はありません。
本資産運用会社では、上記リスクを回避するため、投信法の定める利害関係人等との取引及びこれに準ずる取引について、本資産運用会社の社内規程である利害関係者取引規程、投資委員会規程、コンプライアンス委員会規程等に基づき、本資産運用会社の投資委員会及びコンプライアンス委員会において審議し、また、本投資法人の役員会の事前承認を得るものとすることで、利益相反の可能性のある行為に対して十分な対応をとることとしていますが、上記リスクを完全に排除できるとの保証はありません。
また、本資産運用会社が、その業務に関する法令に違反し、金融庁その他の規制当局から行政処分を受けた場合や処分勧告がなされた場合、本資産運用会社による本投資法人の運用業務の円滑な遂行に支障を及ぼしたり、本資産運用会社及び本投資法人に対する評価ひいては本投資法人の投資口の価値が悪影響を受けたりするなどの可能性があります。
C.投資法人の登録取消リスク
投資法人は、資産の運用を行うために投信法に基づき投資法人としての登録を受けますが、一定の事由が発生した場合、かかる登録を取り消される可能性があります。登録が取り消されると、投資法人は解散することとなります。投資法人が解散し、清算する場合には、投資主又は投資法人債権者は、当初の投資金額の回収を期待できない可能性があります。
D.投資法人の倒産リスク
投資法人は、一般の法人と同様に、その資産を超える負債を有する状態となる可能性があります。投資法人は現行法上の倒産手続として破産法上の破産手続、民事再生法上の再生手続及び投信法上の特別清算手続に服します。投資法人につき、これらの倒産手続を回避するための特別の制度や保証はありません。
投資法人におけるこれらの法的倒産手続により、投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
E.本投資法人及び本資産運用会社の歴史が浅いことによるリスク
本投資法人は、2017年9月11日に設立され、2018年7月27日に東京証券取引所不動産投資信託証券市場に上場し、その後資産運用を開始していますが、その運用実績は限られています。また、本資産運用会社にとって、本投資法人が資産運用業務を行う初めての投資法人であるために、今後の実績を予測することは困難です。
F.スポンサーへの依存に係るリスク
スポンサーであるタカラレーベンは、本資産運用会社の発行済株式の60%を直接保有する本資産運用会社の親会社であり、子会社である株式会社レーベンコミュニティと併せて本投資法人の投資口を発行済投資口の総口数の約4.2%保有している投資主でもあります。また、スポンサーであるPAGは、本資産運用会社の発行済株式の30%を直接保有するPAG Real Estate Holding Limitedの親会社の完全子会社であり、同じくPAGグループに属するPAG JREIT Co-Invest Limitedは本投資法人の投資口を発行済投資口の総口数の約2.2%保有している投資主です。スポンサーであるヤマダ電機は、本資産運用会社の発行済株式の5%を直接保有しており、本投資法人の投資口を発行済投資口の総口数の約0.2%保有している投資主でもあります。また、各スポンサーは、スポンサー・サポート契約に基づき物件情報の提供等のスポンサー・サポートを本資産運用会社に提供しており、さらに、PAGは本資産運用会社の一部の役職員の出向元でもあります。本投資法人は、物件情報の提供等を通じた外部成長や保有資産の管理・運営に関するノウハウの提供等を通じた内部成長について、スポンサーと密接な関連性を有しているため、本投資法人の成長性に対するスポンサーの影響は、相当程度高いということがいえます。
したがって、本投資法人が各スポンサーとの間で、本書の日付現在と同様の関係を維持できなくなった場合や各スポンサーグループの信用力が悪化した場合には、本投資法人の運営や取引先及び金融機関との関係に重大な悪影響が及ぶ可能性があります。
また、本投資法人は、スポンサーグループとの間で、物件の売買その他の取引を行うことがあり、この場合、スポンサーグループが、自己又はその顧客の利益を図るために本投資法人の投資主の利益に反する行為を行う可能性があります。かかる利益相反リスクに対する対策については、後記「第二部 投資法人の詳細情報 第3 管理及び運営 2利害関係人との取引制限 (2) 本投資法人の自主ルール ① 利害関係者取引規程」をご参照ください。本投資法人及び本資産運用会社は、これらの対策を含め、投資主の利益を害することがないよう適切と考えられる体制を整備していますが、これらの体制及び対策にもかかわらず、スポンサーが本投資法人の利益に反する取引を行った場合には、投資主に損害が発生することがあります。
なお、各スポンサーは、スポンサー・サポート契約に基づき、各スポンサー又はそのグループ等が保有又は開発する一定の適格不動産等を売却しようとする場合、原則として、本資産運用会社以外の第三者に対する情報提供に遅れることなく、当該適格不動産等を特定して、当該適格不動産等に関する情報を提供するものとされており、タカラレーベン及び共立メンテナンスとの間のスポンサー・サポート契約では、本資産運用会社に対して原則として、優先交渉権を付与するものとされていますが、本投資法人への売却を義務づけるものではありません。
なお、スポンサー・サポート契約の有効期間は、契約締結日から3年とされ、自動更新されることとされておりますが、更新拒絶等によりスポンサー・サポート契約が終了した場合、スポンサーからのサポートの提供が受けられなくなるおそれがあります。
③ 不動産に係るリスク
投資法人が投資対象とする不動産及び不動産信託受益権の信託財産である不動産については、以下のリスクがあります。
A.不動産の流動性に係るリスク
不動産は、それを譲渡する場合、流通市場の発達した有価証券と比較すると、相対的に流動性が低いという性格を有します。また、売買時に相当の時間と費用をかけてその物理的状況や権利関係等を詳細に調査
(デューディリジェンス)することもあります。デューディリジェンスの結果、当該不動産の物理的状況や権利関係等について重大な欠陥や瑕疵等が発見された場合には、流動性が低下したり、売買価格が下落する可能性があります。その他、不動産もそれ以外の資産と同様、経済変動等によりその市場価格は変動します。
また、投資採算の観点から希望した価格や時期その他の条件での物件取得ができず、又は物件取得資金を調達できない等の事情により、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考えるポートフォリオを実現できない可能性があります。さらに、投資法人が不動産を取得した後にこれらを処分する場合にも、投資採算の視点から希望どおりの価格や時期その他の条件で売却できない可能性があります。これらの結果、投資法人の投資方針に従った運用ができず、投資法人が悪影響を受ける可能性があります。
B.専門家報告書等に係るリスク
不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価格は、個々の不動産鑑定士(鑑定評価機関)の分析に基づく、分析の時点における不動産鑑定士(鑑定評価機関)による評価を示したものにとどまります。また、その評価の目的・方法は、必ずしも転売や再取得の場合における市場価格を算出することではありません。加えて、同じ不動産について鑑定等を行った場合でも、不動産鑑定士(鑑定評価機関)、評価方法又は調査の方法若しくは時期によって鑑定評価額や調査価格が異なる可能性があります。したがって、かかる鑑定及び価格調査の結果は、現在及び将来において当該鑑定評価額や調査価格による売買を保証又は約束するものではなく、不動産が将来売却される場合であっても当該鑑定評価額又は当該調査価格をもって売却されるとは限りません。特に、不動産の市場価格が大幅に変動する市場環境にあっては、不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価格が、市場における実勢価格と大幅に乖離する可能性もあります。
本投資法人では、不動産を取得するに際して、建物の構造、耐震性、法令や条例の適合状況、有害物質等の有無、隣地との境界等について、建設会社、不動産業者、リサーチ会社等の専門業者からのエンジニアリング・レポート(建物状況評価報告書)、地震リスク評価報告書等を取得しています。建物状況評価報告書及び地震リスク評価報告書等には、建物の評価に関する専門家が、設計図書等の確認、現況の目視調査及び施設管理者への聞取りを行うことにより、現在又は将来発生することが予想される建物の不具合、必要と考えられる修繕又は更新工事の抽出及びそれらに要する概算費用及び再調達価格の算出並びに建物の耐震性能及び地震による損失リスク等を検討した結果が記載されており、本投資法人では、これらの専門業者からの報告書等をもとに取得対象資産の欠陥及び瑕疵の有無、耐震性能評価の確認を行っています。しかし、専門業者から提供されるこれらの諸資料の内容とその精度には限界があり、提供される資料の内容、依頼を受けた専門家の能力、売主やその前所有者やテナントの協力の程度、調査が可能な書面等の範囲及び時間的な制約等から、取得対象資産に欠陥、瑕疵等が存在しないことを保証又は約束するものではなく、本投資法人による取得後に、取得した不動産に欠陥や瑕疵等が判明する可能性があります。
また、不動産の地震リスク分析の結果算出されるPMLも個々の専門家の分析に基づく予想値に過ぎません。PMLは、予想損失額の再調達価格に対する比率で示されますが、将来地震が発生した場合、予想以上に多額の復旧費用が必要となる可能性があります。
C.不動産の瑕疵に係るリスク
不動産は、物件ごとに個性を持ち、代替性が低いという性質を有しています。したがって、既に取得した不動産(不動産信託受益権の原資産たる不動産を含みます。以下同じです。)又は今後取得する不動産に一定の瑕疵があった場合、投資法人は損害を被ることがあります。かかる瑕疵には、例えば、建物の構造、用いられる材質、地盤、特に土地に含有される有毒物質、地質の構造等に関する欠陥や瑕疵等があり、また、不動産には様々な法規制が適用されているため、法令上の規制違反の状態をもって瑕疵とされることもあり得るほか、工事における施工の不具合、施工報告書の施工データの転用・加筆等が瑕疵とされることもあり得ます。また、建物の施工を請負った建設会社又はその下請業者において、建物が適正に施工されない場合があり得るほか、免震装置、制振装置その他の建築資材の強度・機能等の不具合や基準への不適合がないとの保証はありません。さらに、不動産に関する権利が第三者の権利により制限を受け、又は第三者の権利を侵害していることもあり得ます。また、不動産の売買においては、特約で排除されていない限り、その対象となる不動産に隠れた瑕疵があった場合には、売主は、民法第570条により買主に対して瑕疵担保責任を負うことになります(買主は瑕疵があることを知った日から1年以内に解除権又は損害賠償請求権の行使をすることができます。)。したがって、投資法人が特定の不動産の買主となる場合、不動産に係る物理的、法的な瑕疵があり、それが隠れたものである場合には、上記に従い、投資法人は売主に対して瑕疵担保責任を追及することができます。
しかし、売主が既に解散・清算されている場合、又は売主が倒産し、若しくはその主要な資産が投資法人に売却した不動産のみであったためにその資力が十分でない場合には、買主である投資法人は、実際には売主との関係において上記の瑕疵担保責任による保護を受けることができず、損害を被ることになります。また、個別の事情により、売買契約上売主が瑕疵担保責任を負担する期間を限定し、又はこれを全く負わない旨の特約をすることがあります。さらに、売主が表明・保証した事項が真実かつ正確であるとの保証はなく、表明・保証は法律上の制度ではないため、個別の事情により、売主が行う表明・保証の対象、これに基づく補償責任の期間又は補償金額が限定され、あるいは表明・保証が全く行われない場合もあり得ます。
不動産信託受益権においても、直接の売買対象である不動産信託受益権又はその原資産である不動産に隠れた瑕疵があった場合については、上記と同様のリスクがあります。そこで、不動産の信託契約及び受益権譲渡契約において、売主に信託設定日等において既に存在していた原資産である不動産の瑕疵について瑕疵担保責任を負担させ、又は一定の事実に関する表明及び保証を取得することがあります。しかし、このような責任を負担させても上記のように実効性がない場合及びそもそも責任を負担させなかった場合には、当該不動産の実質的所有者である投資法人がこれを負担することになり、予定しない補修費用等が発生し、投資法人の収益が悪影響を受ける可能性があります。また、当該瑕疵の程度によっては、補修その他の措置を執ったとしても、不動産の資産価値の減耗を防ぐことができない可能性があります。
なお、投資法人は、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号。その後の改正を含みます。以下「宅地建物取引業法」といいます。)上、宅地建物取引業者とみなされ(同法第77条の2第2項)、投資法人が宅地建物取引業者でない者に対して不動産を売却する場合には、宅地建物取引業法上、不動産の売主として民法上負う瑕疵担保責任を完全に排除することができません(同法第40条)。したがって、投資法人又は不動産信託受託者が不動産の売主となる場合には一定限度の瑕疵担保責任を負うことになる場合があります。
加えて、わが国の法制度上、不動産登記にはいわゆる公信力がありません。したがって、不動産登記簿の記載を信じて取引した場合にも、買主は不動産に係る権利を取得できないことや予想に反して当該不動産に第三者の権利が設定されていることがあり得ます。このような場合、上記と同じく、投資法人は売主等に対して法律上又は契約上許容される限度で責任を追及することとなりますが、その実効性があるとの保証はありません。
D.土地の境界等に係るリスク
わが国においては、土地の境界が曖昧であることが稀ではありませんが、隣地の所有者若しくは占有者からの境界確認書その他境界を確定させる書面が取得できない場合、又は境界標の確認ができないまま当該不動産を取得する場合には、後日、このような不動産を処分するときに事実上の障害が発生する可能性や、境界に関して紛争が発生し、所有敷地の面積の減少、損害賠償責任の負担等、これらの不動産について予定外の費用又は損失が発生する可能性があります。同様に、越境物の存在により、不動産の利用が制限され賃料に悪影響を与える可能性や、越境物の除去費用等の追加負担が投資法人に発生し、投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
E.収入及び支出に係るリスク
一般的に投資法人の収入は、投資法人が取得する不動産等の賃料収入に主として依存します。不動産に係る賃料収入は、不動産の稼働率の低下等により大きく減少する可能性があるほか、賃借人との協議や賃借人からの請求等により賃料が減額されること等により減少する可能性があります。
また、退去するテナントへの預り敷金及び保証金の返還、多額の資本的支出、不動産の取得等に要する費用、その他不動産に関する支出が状況により増大する可能性があります。
また、賃貸借契約において、賃貸借契約が更新される際の更新料、敷金の一部を借主に返還しない旨のいわゆる敷引、契約期間中に賃借人が解約した場合の違約金に関して敷金・保証金の没収について規定することがありますが、かかる規定は状況によってはその全部又は一部が無効とされ、その結果本投資法人に予定外の収入の減少や費用負担が発生する可能性があります。
不動産からの収入の減少及び不動産に関する支出の増大の、双方又は一方の事由が生じた場合、投資法人の収支が悪影響を受ける可能性があります。
F.プロパティ・マネジメント会社に係るリスク
一般に、建物の保守管理、テナントの管理を含めた不動産の管理状況等の良否は、建物を管理するプロパティ・マネジメント会社の能力、経験、ノウハウによるところが大きく、投資法人においても、管理の良否及びその結果としての収益性の確保について、プロパティ・マネジメント会社の業務遂行能力に大きく依拠することになります。投資法人が、プロパティ・マネジメント会社を選定するに当たって、その候補業者の資質・経験・ノウハウを慎重に考慮し、十分な能力を持つ業者を資産運用会社に選定させる場合でも、選任に係る調査は完全であるとは限らず、選定されたプロパティ・マネジメント会社における人的・財産的基盤が優良である保証はありません。また、仮に選任時点では優良であってもそれが将来にわたって維持されるとの保証もありません。プロパティ・マネジメント会社の業務遂行能力に大きな変化があった場合やプロパティ・マネジメント会社が交替する場合等、当該不動産の管理状況が悪化し、収益の悪化等により投資法人が損失を被るおそれがあります。
G.建物の毀損・滅失・劣化に係るリスク
建物の全部又は一部は、突発的な事故又は地震や風水害等の天災地変によって、毀損、滅失又は劣化する可能性があります。このような場合には、毀損、滅失した個所を修復するため予期せぬ費用が発生するばかりでなく、一定期間建物が稼働不能となることを余儀なくされ、賃料収入が減少して、費用が増加することで投資法人が損害を受ける可能性があります。また、完全な修復が行われたか否かにかかわらず、評価額が下落するおそれもあります。
本投資法人は、火災・水害等による損害を補償する火災保険(特約による利益補償としての財産保険、家賃保険を含むことがあります。)又は賠償責任保険等を一般的に付保します。このような複数の保険を組み合わせることによって、予期せざるリスクが顕在化した場合にも、かかる保険による保険金をあてることで、原状回復を行うことが一定程度期待できます。ただし、個々の不動産に関する状況により保険契約が締結されない可能性、保険金の上限額を上回る損害が発生する可能性、保険でカバーされない災害や事故(戦争やテロ行為等に基づくものは必ずしも全て保険でカバーされるとは限りません。また、通常の火災保険では地震による火災はカバーされません。)が発生する可能性、又は保険会社が当該保険会社の財務状態の如何にかかわらず保険金を完全に支払わず、若しくは支払が遅れる可能性も否定できません。また、保険金が支払われた場合でも、行政上の規制その他の理由により、建物を事故発生前の状態に回復させることができない可能性があります。
加えて、天災地変とりわけ広い地域に被害をもたらす大地震が起った場合、本投資法人の保有する不動産のうち複数の建物が同時に天災地変の影響を受ける可能性は否定できません。本投資法人は取得する資産について地震保険を付保することを原則として予定していないため、地震によりこれらの資産に損害が生じた場合には保険によりこれをカバーすることはできません。また、将来、地震保険を付保したとしても対人的被害の賠償については、保険でカバーされないこともあります。
H.建築基準法等の規制に係るリスク
不動産のうち建物は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する基準等を定める建築基準法の規制に服します。その建築時点(正確には建築確認取得時点)においては、建築基準法上及び関連法令上適格であった建物でも、その後の建築基準法等の改正に基づく規制の変更により、変更後の規制のもとでは不適格になることがあります。たとえば、建築基準法は、耐震基準について1981年にいわゆる新耐震基準を採用し、それ以降に建築されるべき建物にはそれ以前とは異なる耐震基準が適用されています。
その他、不動産は、様々な規制の下にあり、国の法令のほか、各地方公共団体の条例や行政規則等による規制があることもあります。例えば、駐車場の付置義務、住宅の付置義務、福祉施設の付置義務等のほか、これらの義務に関連して、建物の新築・増築に際して地方公共団体等と協議する義務等を課されることがあります。また、道路指定により敷地面積・容積率が結果として減少することもあります。そして、これらの規制も、随時改正・変更されています。
法規制の変化によりかつて法令に適合していながら後日適合しなくなった建物を「既存不適格」と呼ぶことがあります。既存不適格の建物は、これを改築したり、建替えたりしようとする際に、従前の建物と同等の建ぺい率・容積率・高度・設備等を維持できなくなり、追加の設備が必要とされ、又は建替自体が事実上困難となる可能性があります。このような場合には、不動産の資産価値や譲渡価格が下がり、その結果、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
以上のほか、土地収用法(昭和26年法律第219号。その後の改正を含みます。)や土地区画整理法(昭和 29年法律第119号。その後の改正を含みます。)のような私有地の収用・制限を定めた法律の改正等により、不動産の利用、用途、収用、再開発、区画整理等に規制が加えられ、又はその保有、管理、処分その他の権利関係等に制限が加えられることがあり、その結果、関連する費用等が増加し、又は不動産の価値が減殺される可能性があります。
I.共有物件に係るリスク
不動産を単独で所有している場合に比べ、共有不動産は、法的に様々な側面で制約を伴います。
まず、共有者間で別段の定めをした場合を除き、共有物の変更に当たる行為には共有者全員の合意を要し
(民法第251条)、変更に当たらない管理は共有者の持分の過半数で決定する(民法第252条)ものとされています。したがって、特に投資法人が持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営について投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため(民法第249条)、他の共有者によるかかる権利行使によって、投資法人の当該不動産の利用が妨げられる可能性があります。
共有不動産を賃貸する場合、賃料債権は不可分債権であり、敷金返還債務は不可分債務であると一般的には解されています。したがって、他の共有者(賃貸人)の債権者が当該共有者の持分の割合を超えて賃料債権全部を差し押さえ、又は他の共有者がテナントからの敷金返還債務をその持分の割合に応じて履行しない場合に、投資法人が敷金全額を返還せざるを得なくなる可能性があります。これらの場合、投資法人は、差し押さえられた賃料のうち自己の持分に応じた金額の支払や返還した敷金のうち他の共有者の持分に応じた金額の償還を当該他の共有者に請求することができますが、当該他の共有者の資力の如何によっては、支払又は償還を受けることができない可能性があります。共有不動産に課税される固定資産税等の公租公課、共有不動産の修繕費、保険料等にも、他の共有者が債務を履行しない場合につき、同様の問題があります。
また、不動産を共有する場合、他の共有者から共有物の分割請求(民法第256条)を受ける可能性があります。分割請求が権利の濫用等として排斥されない場合で、現物による分割が不可能であるとき又は著しくその価値を損なうおそれのあるときは、投資法人の意向にかかわらず、裁判所により共有物全体の競売を命じられる可能性があります(民法第258条第2項)。共有者間で不分割の合意をすることは可能ですが(民法第256条)、合意の有効期間は5年以内とされています。しかも、不動産に関する不分割特約は、その旨の登記をしなければ当該不動産の共有持分の譲受人等第三者に対抗できないことがあります。また、共有者において、破産手続、会社更生手続又は民事再生手続が開始された場合は、特約があっても、管財人等は分割の請求をすることができます。ただし、共有者は、破産手続、会社更生手続又は民事再生手続の対象となった他の共有者の有する共有持分を相当の対価で取得することができます(破産法第52条、会社更生法第60条、民事再生法第48条)。
共有者は、原則として、自己の共有持分を自由に処分することができます。したがって、投資法人の意向にかかわりなく他の共有者が変更される可能性があります。これに対し、共有者間の協定書等において、共有者が共有持分を処分する場合に他の共有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履践義務等が課される場合があります。この場合は、投資法人の知らない間に他の共有者が変動するリスクは減少しますが、投資法人がその共有持分を処分する際に制約を受けることになります。
また、他の共有者の共有持分に抵当権又は根抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、共有されていた不動産全体について、当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて当該抵当権の効力が及ぶことになると考えられています。したがって、投資法人の保有する共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、分割後の投資法人の不動産についても、他の共有者の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶこととなるリスクがあります。
以上のとおり、共有不動産については、単独所有の場合と比べて上記のような制限やリスクがあるため、既に述べた流動性のリスクや、それらのリスクを反映した価格の減価要因が増す可能性があります。
J.区分所有建物に係るリスク
区分所有建物とは建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。その後の改正を含みます。以下
「区分所有法」といいます。)の適用を受ける建物で、単独所有の対象となる専有部分と共有となる共用部分(建物の躯体、エントランス部分等)から構成されます。区分所有建物の場合、建物及びその敷地(以下
「区分所有物件」といいます。)の管理及び運営は、区分所有法の規定に従い、また、区分所有者間で定め
られる管理規約その他の規則(以下「管理規約等」といいます。)がある場合にはこれに服します。管理規約等は、原則として、区分所有者数及びその議決権(管理規約等に別段の定めのない限り、区分所有者の所有する専有部分の床面積の割合)の各4分の3以上の多数決によらなければ変更できません(区分所有法第31条)。なお、建替決議等においてはさらに多数決の要件が加重されています。不動産が区分所有物件の一部である場合、投資法人単独では上記決議要件を満足することが難しいため、区分所有物件の管理及び運営について投資法人の意向を十分に反映させることができない可能性があります。
さらに、他の区分所有者が自己の負担すべき区分所有建物の共有部分に係る公租公課、修繕費又は保険料等の支払又は積立を履行しない場合、投資法人が不動産の劣化を避けるため、その立替払を余儀なくされるおそれがあります。これらの場合、投資法人は、他の区分所有者に係る立替払金の償還を請求することができ、かかる請求権については区分所有法第7条により担保権(先取特権)が与えられていますが、当該他の区分所有者の資力の如何によっては、償還を受けることができない可能性があります。
各区分所有者は、原則として、自己の所有する専有部分を自由に処分することができます。したがって、投資法人の意向にかかわりなく他の区分所有者が変更される可能性があります。これに対し、管理規約等において、区分所有者が専有部分を処分する場合に他の区分所有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履践義務等が課されている場合があります。この場合には、投資法人の知らない間に他の区分所有者が変動するリスクは減少しますが、投資法人が専有部分を処分する際に制約を受けることになります。
また、各区分所有者は、自己の所有する専有部分を自由に賃貸し、その他使用収益することができます。投資法人の不動産である専有部分の価値や収益は、このような他の区分所有者による使用収益の状況によって影響を受ける可能性があります。他方、区分所有建物のテナントが投資法人から賃借した専有部分と他の区分所有者から賃借する専有部分を一体的に利用するため、投資法人が所有する専有部分と他の区分所有者が所有する専有部分との間の物理的な仕切りが撤去されていることがあります。この場合、残存する仕切りの状況によっては、他の専有部分と構造上区分されていないものとされ、隣接する他の区分所有者の専有部分と合わせた部分を共有しているものと解されるおそれがあり、当該部分の管理、運営、処分、登記による対抗要件具備や物件の価値に悪影響を及ぼすおそれがあります。
区分所有建物の専有部分を所有するために区分所有者が敷地に関して有する権利(所有権の共有持分等)を「敷地利用権」といいますが、区分所有法は、原則として、専有部分と敷地利用権を分離して処分することを禁止し(区分所有法第22条)、不動産登記法は「敷地権の登記」の制度を用意しています。しかし、敷地につき、敷地権の登記がなされていない場合には、専有部分と敷地利用権を分離して処分されたときに、その処分の無効を善意の第三者に主張することができません。また、区分所有建物の敷地が数筆の土地であり、各区分所有者が、これらの土地の一部について単独で敷地利用権を有している場合(いわゆる分有形式)には、専有部分と敷地利用権を分離して処分することが可能とされています。分離処分がなされると、区分所有物件を巡る権利関係が複雑になるため、既に述べた不動産に係る流動性のリスクや、それらのリスクを反映した価格の減価要因が増す可能性があります。
K.借地権に係るリスク
投資法人は、借地権(土地の賃借権及び地上権)と借地権設定地上の建物(以下「借地物件」といいます。)に投資することがありますが、借地物件は、土地建物ともに所有する場合に比べ、特有のリスクがあります。
まず、借地権は、土地の賃借権の場合も地上権の場合も、永久に存続するものではなく、期限の到来により消滅し、借地権設定者側に正当な事由がある場合には更新を拒絶されることがあり、また、借地権者側に地代不払等の債務不履行があれば解除により終了することもあります。借地権が消滅すれば、建物買取請求権が確保されている場合を除き、建物を取り壊して土地を返還しなければなりません。仮に、建物買取請求が認められても投資法人が希望する価格で買い取られる保証はありません。
さらに、敷地が売却され、又は抵当権の実行により処分されることがありますが、この場合に、投資法人が借地権について民法、建物保護ニ関スル法律(明治42年法律第40号。その後の改正を含みます。)又は借地借家法(平成3年法律第90号、その後の改正を含みます。以下「借地借家法」といいます。)等の法令に従い対抗要件を具備しておらず、又は競売等が先順位の対抗要件を具備した担保権の実行によるものである場合、投資法人は、譲受人又は買受人に自己の借地権を主張できないこととなります。
また、借地権が土地の賃借権である場合には、これを取得し、又は譲渡する場合には、賃貸人の承諾が必要です。かかる承諾が速やかに得られる保証はなく、また、得られたとしても承諾料の支払を要求されることがあります。その結果、投資法人が希望する時期や売却価格を含む条件で借地物件を処分することができないおそれがあります。
また、投資法人が借地権を取得するに際して保証金を支払うこともあり得ますが、借地を明渡す際に、敷地所有者の資力が保証金返還に足りないときは、保証金の全部又は一部の返還を受けられないおそれがあります。
L.底地物件に係るリスク
本投資法人は、第三者が賃借してその上に建物を所有している土地、いわゆる底地を取得する場合があります。借地権は、定期借地権の場合は借地契約に定める期限の到来により当然に消滅し、普通借地権の場合には期限到来時に本投資法人が更新を拒絶しかつ本投資法人に更新を拒絶する正当事由がある場合に限り消滅します。借地権が消滅する場合、本投資法人は借地権者より時価での建物買取を請求される場合があります(借地借家法第13条等)。普通借地権の場合、借地権の期限到来時に更新拒絶につき上記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に予測することは困難であり、借地権者の行う時価での建物買取請求が本投資法人の希望する価格によるとの保証もありません。
また、借地権者の財務状況が悪化した場合又は倒産手続の対象となった場合、借地契約に基づく土地の賃料の支払が、敷金及び保証金等で担保される範囲を超えて延滞する等の場合は本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。借地契約において賃料等の借地契約の内容について定期的に見直しを行うこととされている場合には、賃料の改定により賃料が減額されると、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。借地権者は借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求をすることができ、これにより、当該底地から得られる賃料収入が減少し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
M.開発物件に係るリスク
投資法人が、竣工後に不動産や不動産信託受益権を取得するためにあらかじめ開発段階で当該不動産等の売買契約等を締結する場合、既に稼働中の物件につき売買契約を締結して取得する場合に比べて、a)開発途中において、地中障害物、埋蔵文化財、土壌汚染等が発見されることがあり、これらが開発の遅延、変更又は中止の原因となる可能性、b)工事請負業者の倒産又は請負契約の不履行により、開発が遅延、変更又は中止される可能性、c)開発コストが当初の計画を大きく上回る可能性、d)天災地変により開発が遅延、変更又は中止される可能性、e)行政上の許認可手続により開発が遅延、変更又は中止される可能性、 f)開発過程において事故又は近隣等との間で紛争等が生じる可能性、g)竣工後のテナントの確保が当初の期待を下回り、見込みどおりの賃貸事業収入を得られない可能性、h)その他予期せぬ事情により開発が遅延、変更又は中止される可能性等の固有のリスクがあります。これらの結果、開発中の物件からの収益が投資法人の予想を大きく下回る可能性があるほか、予定された時期に収益等が得られなかったり、収益等が全く得られなかったり、予定されていない費用、損害又は損失を投資法人が被る可能性があり、そのため投資法人の収益等が重大な悪影響を受ける可能性があります。
N.匿名組合出資持分への投資に関するリスク
本投資法人は、その規約に基づき、不動産に関する匿名組合出資持分への投資を行うことがあります。本投資法人が匿名組合に出資する場合、匿名組合の営業者が本投資法人による出資金額を不動産等に投資することになりますが、当該不動産等に係る収益が悪化した場合、当該不動産等の価値が下落した場合、意図されない課税が生じた場合や匿名組合財産に係る不動産等が想定した価格で売却できない場合等には、当該匿名組合出資持分より得られる運用益や分配される残余財産の減少等により、本投資法人が営業者に対して出資した金額を回収できない等の損害を被る可能性があります。また、匿名組合出資持分については契約上譲渡が禁止若しくは制限されている場合があり、又は、確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図しても、適切な時期及び価格で譲渡することが困難となる可能性があり、又は、予定より低い価額での売買を余儀なくされる可能性があります。また、匿名組合出資持分への投資は、営業者が開発する新規物件に係る優先交渉権の取得を目的として行われることがありますが、かかる優先交渉権により本投資法人が当該新規物件を取得できる保証はありません。
O.有害物質に係るリスク
土地については、一般的に産業廃棄物等の有害物質が埋蔵されている可能性は否定できず、不動産たる土地に係る有害物質が埋蔵されている場合には当該土地の価格が下落する可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替や洗浄が必要となる場合には、予想外の費用が発生する可能性があります。さらに、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は不動産信託受託者を通じて間接的に、投資法人がかかる損害を賠償する義務を負担する可能性があります。
土壌汚染等に関しては、土壌汚染対策法が制定され、2003年2月より施行されています。同法に規定する特定有害物質に係る一定の施設を設置していた場合や土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがあると認められる場合には、その土地の所有者、管理者又は占有者等は、かかる汚染
の状況について調査報告を命じられ、又は当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他必要な措置を講ずべきことを命じられることがあります。この場合、投資法人に多額の負担が生じる可能性があり、また、投資法人は支出を余儀なくされた費用についてその原因となった者やその他の者から常に償還を受けられるとは限りません。
また、建物について、一般的に建材等にアスベスト、PCBその他の有害物質を含む建材又は設備が使用され、又は過去に使用されていた可能性があります。かかる場合には、当該建物の価格が下落する可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために建材の全面的又は部分的交換が必要となる場合には予想外の費用が発生する可能性があります。さらに、有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は不動産信託受託者を通じて間接的に、投資法人がかかる損害を賠償する義務を負担する可能性があります。また、環境関連法令につき、将来不動産に関して規制が強化され、不動産の所有者に大気、土壌、地下水 等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務が課され又は過失がなくても責任を問われることとなる
可能性があります。
P.地球温暖化対策に係るリスク
法律又は条例により、地球温暖化対策として、一定の不動産の所有者に温室効果ガス排出に関する報告や排出量制限の義務が課されることがあります。これらの制度設計又は拡充に伴い、排出量削減のための建物改修工事を実施したり、排出権あるいは再エネクレジットなどを取得する等の負担を余儀なくされる可能性があります。
Q.不動産の所有者責任に係るリスク
土地の工作物(建物を含みます。)の設置又は保存に瑕疵があり、そのために第三者に損害を与えた場合には、第一次的にはその占有者、そしてその占有者が損害の発生を防止するに必要な注意を行っていた場合には、その所有者が損害の賠償義務を負うとされ、この所有者の義務は無過失責任とされています(民法第 717条)。したがって、投資法人の不動産の設置又は保存に瑕疵があり、それを原因として、第三者に損害を与えた場合には、直接又は不動産信託受託者を通じて間接的に、投資法人が損害賠償義務を負担するおそれがあります。
本投資法人は、不動産に関し、賠償責任保険その他の適切な保険を付保する方針ですが、保険契約に基づいて支払われる保険金の上限額を上回る損害が発生しないとの保証はなく、また、保険事故が発生した場合に常に十分な金額の保険金が適時に支払われるとの保証はありません。
R.不動産の偏在に係るリスク
本投資法人は、前記「2 投資方針」に記載された投資方針に基づき資産の運用を行いますが、その運用資産が一定の地域、特に首都圏に偏在するおそれがあります。したがって、一定地域における収益環境等の変化が本投資法人の収益に悪影響を及ぼすおそれがあります。
さらに、本投資法人の運用資産が近接して所在する場合には、相互に競合し、その結果、本投資法人の収益に悪影響を与えるおそれがあります。
S.テナント集中に係るリスク
不動産が一又は少数のテナントに賃貸される場合には、当該テナントの資力、退去、利用状況等により、当該不動産の収益が大きく影響を受けるおそれがあります。
かかるテナントが賃料の支払能力を失った場合や賃料の減額を要求する場合には、収益が大きく圧迫されます。さらに、かかるテナントが退去する場合には、後継テナントの誘致に時間を要する場合があり、その誘致に要する期間と条件次第では、投資法人の収益が悪影響を受けるおそれがあるほか改装等のために多額のコスト負担が生じる可能性があります。その結果、物件の稼働率が大きく減少し、代替テナント確保のために賃料水準を引き下げざるを得なくなり、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があり、とりわけシングル・テナント物件においては、かかる影響は多大なものとなり得ます。さらに、かかるシングル・テナントが退去する場合には、敷金等の返還のため一度に多額の資金の出捐を余儀なくされ、一時的に当該不動産の収益が急激に悪化することがあります。
加えて、このようなシングル・テナント物件等においては、当該テナントとの間で、優先購入権や処分禁止に関する合意がなされることがあり、物件の所有権又はこれらを信託財産とする信託の受益権を第三者に売却しようとする場合に、当該テナントに優先購入権が与えられている等の事情により、物件の自由な売却その他の処分が制限される場合があります。かかる合意がなされている場合、取得及び売却により多くの時間や費用を要し、さらには価格の減価要因となる可能性があります。
T.転貸に係るリスク
ア.転借人に係るリスク
本投資法人は、その保有する不動産等の全部又は一部を転貸させる権限を与えた上で賃借人に一括して賃貸することがあります。このように、賃借人に不動産等の全部又は一部を転貸させる権限を与えた場合、投資法人は、不動産等に入居するテナントを自己の意思により選択できなくなったり、退去させられなくなる可能性があります。また、賃借人の賃料が転借人から賃借人に対する賃料に連動する場合、転借人の信用状態等が、投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
イ.敷金等の返還義務に係るリスク
賃貸借契約が合意解約された場合その他一定の場合には賃貸人が転貸人の地位を承継し、転貸人の転借人に対する敷金等の返還義務が賃貸人に承継される可能性があります。
U.マスターリースに係るリスク
本投資法人が保有する不動産等において、プロパティ・マネジメント会社が当該不動産等の所有者である投資法人又は信託受託者との間でマスターリース契約を締結してマスターリース会社となり、その上でエンドテナントに対して転貸する場合があります。
投資法人又は信託受託者がマスターリース契約を締結する場合、マスターリース会社の財務状態の悪化により、マスターリース会社の債権者がマスターリース会社のエンドテナントに対する賃料債権を差し押さえる等により、マスターリース会社から賃貸人である投資法人又は信託受託者への賃料の支払が滞る可能性があります。
V.テナント等による不動産の使用に基づく価値減損に係るリスク
本投資法人は、テナントの属性や資力を勘案の上、賃貸借契約を締結するか否かを決定し、また、締結後も、プロパティ・マネジメント会社を通じてその利用状況を管理していく所存ですが、個々のテナントの利用状況をつぶさに監督できるとの保証はなく、また、本投資法人の承諾なしにテナントによる転貸借や賃借権の譲渡がなされるおそれもあります。また、一部のテナントの属性により、又は、一定の反社会的勢力が賃貸人の承諾なくして建物の一部を占拠する場合等に、当該不動産が全体として悪影響を受けることがあります。このような場合には、本投資法人は、直ちにこれに対応する所存ですが、当該不動産の価値が減損し、本投資法人の収益に悪影響が及ぶおそれがあります。
W.売主の倒産等の影響に係るリスク
投資法人が不動産等を取得した後に、売主について破産手続、民事再生手続、会社更生手続等の倒産手続が開始された場合、当該不動産等の売買契約又はその対抗要件具備行為は、倒産した売主の管財人等により否認される可能性があります。この場合、不動産等は、破産財団等に取戻される一方で、投資法人が売主に支払った売買代金等の返還請求権は、倒産手続における平等弁済の対象となり、著しく低い金額しか回収できないことがあります。倒産手続が開始されない場合であっても、売主の財務状況が劣悪である場合には、当該不動産等に係る売買契約が当該売主の債権者により詐害行為を理由に取り消される可能性があります。また、いわゆる真正売買の問題として、裁判所又は管財人等が、投資法人を買主とするある売買取引を、 その実質に従い又はその他の理由により、担保付融資取引の性質を持つ取引であると法的に評価し、その結果、当該不動産等がなおも売主(倒産手続であればその財団等)に属すると判断することがあります。この場合には、投資法人は、あたかも当該不動産等についての担保権者であるかのように取り扱われ、担保権
(とみなされた権利)の行使に対する制約を受けることとなります。特に、会社更生手続では、担保権の実行は会社更生手続に従って行われ、弁済金額が切下げられることとなるなど、担保権の実行を手続外で行える破産手続等に比較して、投資法人はより大きな損害を受けるおそれがあります。
また、上記否認の問題は、売主の前所有者(投資法人から見て前々所有者等)が倒産した場合にも生じ得ます。すなわち、投資法人が、不動産等を取得した際に、前所有者である売主が前々所有者から否認を主張される原因があることを認識していた場合には、かかる否認の効力が転得者である投資法人にも及ぶことになります(破産法第170条、会社更生法第93条、民事再生法第134条)。
以上のとおり、投資法人又はその売主の売買契約が否認され、詐害行為取消権の行使を受け、又は真正売買性が否定された場合には、投資法人に損害が生じるおそれがあります。
本投資法人においては、売主等の財務状況等も十分に検討した上で投資を決定しますが、売主又はその前所有者に関する正確な財務情報が入手できる保証はなく、上記リスクが現実化するおそれは否定できません。
X.フォワード・コミットメント等に係るリスク
本投資法人は、不動産等を取得するにあたり、いわゆるフォワード・コミットメント(先日付の売買契約であって、契約締結から一定期間経過した後に決済・物件引渡しを行うことを約する契約)等を行うことがあります。不動産売買契約が、買主の事情により解約された場合には、買主は債務不履行による損害賠償義務を負担することとなります。また、損害額等の立証にかかわらず、不動産等売買価格に対して一定の割合の違約金が発生する旨の合意がなされることも少なくありません。フォワード・コミットメント等の場合には、契約締結後、決済・物件引渡しまでに一定の期間があるため、その期間における市場環境の変化等により本投資法人が不動産取得資金を調達できない場合等、売買契約を解約せざるを得なくなった場合には、違約金等の支払により、本投資法人の財務状態が悪化する可能性があります。
Y.賃料保証会社に係るリスク
本投資法人は、保有物件のうち住宅において、一部のエンドテナントについて賃料保証会社の滞納賃料保証システムを導入する場合があります。滞納賃料保証システムは、マスターリース会社、エンドテナント及びエンドテナントの賃料債務等に係る保証人たる賃料保証会社の三者間の保証契約に基づくものであり、当該保証契約上、エンドテナントにおいて賃料の滞納が発生した場合、マスターリース会社が賃料保証会社に代位弁済を請求することが可能ですが、賃料保証会社が破産その他の法的倒産手続等に入った場合、マスターリース会社が同社から当該代位弁済の履行を受けることができなくなる可能性や、エンドテナントが賃料相当額を賃料保証会社に支払っている場合には、その回収が困難となる可能性があります。また、賃料保証会社の滞納賃料保証システムに加えて、賃料保証会社にエンドテナントからの賃料の収納代行を委託している場合もあります。このような場合において、賃料保証会社が破産その他の法的倒産手続等に入った場合、賃料保証会社によって回収済みの賃料を回収することができなくなる可能性があります。このように、賃料保証会社からの回収が不可能又は困難となった結果、当該物件の収益ひいては本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
Z.固定資産の減損に係る会計基準の適用に係るリスク
固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 2002年8月9日))及び固定資産の減損に係る会計基準の適用指針(企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第6号 2003年10月31日)によれば、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった不動産等については、一定の条件の下で回収可能額を反映させるように固定資産の帳簿価額を減額する会計処理
(減損処理)を行うこととされています。今後、本投資法人の保有する不動産等の市場価格及び収益状況によっては減損処理を行う可能性があり、本投資法人の損益に悪影響を及ぼす可能性があります。
AA.商業施設に係るリスク
本投資法人の投資対象には商業施設が含まれますが、商業施設には、他の用途の不動産に比べ、以下のような特有のリスクがあります。
まず、商業施設に係る収益は、消費者の全体的な消費傾向、小売産業の全体的動向、商業施設の商圏内の競争状況、人口動向等に大きく依存しています。また、本投資法人が、テナントとの間で売上歩合賃料を採用している場合、テナントの売上減少が、賃料収入に直接的な悪影響を与えることになります。
また、商業施設は、その立地条件により、テナントの業態を大きく変更することは困難であることが多く、運用資産のテナントの業態が、消費性向の変化に伴い競争力を失うことにより、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、商業施設においては、賃借人が多額の敷金及び保証金を長期間にわたって無利息又は低利で賃貸人に預託することが多く、本投資法人は、これらの資金を活用することを想定しています。しかしながら、賃貸市場の動向、賃借人との交渉等により、本投資法人の想定よりも敷金及び保証金の預託額が少なくなり、又は預託期間が短くなる可能性があります。この場合、必要な資金を借入れ等により調達せざるを得なくなり、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、商業施設のテナントは、単一のテナント又は少数の核となる大規模テナントに賃貸される傾向が強く、これらのテナントの財務状況や収益の悪化による悪影響を受けやすいという傾向にあります。さらに、商業施設に関するテナントとの賃貸借契約の期間は、比較的長期間であることが一般的ですが、このような契約においては、多くの場合、賃料等の賃貸借契約の内容について、定期的に見直しを行うこととされています。賃料改定により賃料が減額された場合、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、定期的に賃料等を増額する旨の規定が賃貸借契約にある場合でも、賃借人との交渉いかんによっては、必ずしも、規定通りに賃料を増額できるとは限りません。
加えて、商業施設のテナントの選定においては、テナントのその時々の集客力や将来性等も勘案してテナントを選定するため、必ずしも信用力が十分でなく、結果的に期待された収益や成長が実現できなかった場合など、テナントの信用力の悪化に伴い、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、商業施設が都市計画法に定める特定大規模建築物に該当する場合には、当該施設の所在地の用途地域の定めによっては、2007年11月施行の都市計画法の改正に伴い、建築基準法上のいわゆる既存不適格建築物となっている可能性があります。なお、いわゆる既存不適格に関するリスクについては、前記「H.建築基準法等の規制に係るリスク」をご参照ください。
また、大規模小売店舗立地法(平成10年法律第91号。その後の改正を含みます。)等の行政法規の変更により、商業施設の競争力が悪影響を受けるなどにより、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性もあります。
BB.ホテルに係るリスク
本投資法人の投資対象にはホテルが含まれますが、ホテルには、他の用途の不動産に比べ、以下のような特有のリスクがあります。
まず、ホテルに係る収益は、消費者の全体的な行動傾向、旅行者の動向、ホテルの商圏内の競争状況、集客力等に大きく依存しています。また、本投資法人が、テナントとの間でホテルの営業利益に連動する変動賃料を採用している場合、テナントの営業利益の減少が、賃料収入に直接的な悪影響を与えることになります。例えば、ホテルの収益には季節性があり、営業期間ごとの収益に大幅な変動が生じる可能性があることに加え、収益を正確に予測することは容易でなく、大きな変動の可能性があります。
ホテルは、全世界、各国、各地域の経済、景気、市場動向といった一般景気変動の影響を強く受けるほか、ビジネス顧客の動向、立地周辺の観光施設やイベントの状況等にも左右される観光客の動向の影響、消費者の消費性向を含むライフスタイルや嗜好性の変化による影響、政治状況や為替要因による訪日外国人旅行者の動向の影響を受ける可能性があります。また、戦争やテロ等の不安定な社会情勢を含むカントリーリスク、地震や風水害等の不測の自然災害、伝染病・疫病の国内外における流行のほか、航空会社、空港施設、鉄道会社等のストライキといった交通機関のトラブルや、交通運賃の上昇、天候不順等の外的要因により、宿泊業界は長期間にわたり悪影響を受ける可能性があります。
また、ホテルは、観光地間の競争や、同一地域内におけるホテル間の競争が激しく、これらの競争による影響を強く受けます。加えて、周辺環境・交通環境等の変化や、近隣に存在する大規模施設の集客力に大きく依存している場合における当該施設の移転、閉鎖若しくは営業停止又は集客力の低下などにより、ホテルの集客力が悪影響を受ける可能性があります。
これらの結果、テナントが退去し、又はテナントから賃料減額請求がなされることにより、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、ホテルは、一般的に賃貸面積が大きい上、個別のテナント向けの特別仕様の物件が多く大幅な仕様変更が困難であることや、その運用にあたって専門のノウハウが必要となり、既存テナントが退去した場合に代替テナントとなりうる者が限定され、代替テナントが入居するまでの空室期間が相対的に長期化する可能性があります。その結果、当該物件の稼働率が大きく減少し、又は代替テナント確保のために賃料水準を引き下げざるを得なくなり、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、ホテルにおいては、賃借人が多額の敷金及び保証金を長期間にわたって無利息又は低利で賃貸人に預託することが多く、本投資法人は、これらの資金を活用することを想定しています。しかしながら、賃貸市場の動向、賃借人との交渉等により、本投資法人の想定よりも敷金及び保証金の預託額が少なくなり、又は預託期間が短くなる可能性があります。この場合、必要な資金を借入れ等により調達せざるを得なくなり、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、ホテルは、単一のテナントに賃貸される傾向が強く、特定のテナントの財務状況や収益の悪化、運営能力の低下、退去その他の事情による悪影響を受けやすいという傾向にあります。さらに、ホテルに関するテナントとの賃貸借契約の期間は、比較的長期間であることが一般的ですが、このような契約においては、多くの場合、賃料等の賃貸借契約の内容について、定期的に見直しを行うこととされています。賃料改定により賃料が減額された場合、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、定期的に賃料等を増額する旨の規定が賃貸借契約にある場合でも、賃借人との交渉如何によっては、必ずしも、規定通りに賃料を増額できるとは限りません。
また、ホテルでは、施設及び設備の陳腐化を回避するために、定期的な更新投資がホテルの競争力維持のために不可欠となります。さらに、ホテルのグレードやイメージを維持するために相応の資本的支出が求められる場合があります。施設及び設備の運営維持費、並びにその更新投資の負担がホテルの売上等に比べて過大である場合、又は施設及び設備の更新投資が期待されたホテルの売上若しくは収益の増加につながらなかった場合には、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これらの理由により工事が
行われる場合には、ホテルが相当期間閉鎖され、テナントが収益を得ることができないことにより、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
CC.物流施設に係るリスク
本投資法人の投資対象には物流施設が含まれますが、物流施設には、他の用途の不動産に比べ、以下のような特有のリスクがあります。
まず、物流施設は他の用途と比較して市場規模が小さく、短中期的に需給バランスが緩和する可能性があります。また、物流施設の周辺の市街地化等、周辺環境が変動することにより、テナント需要が後退し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、現状の船舶、鉄道、航空機、自動車による物流輸送の役割が、技術革新や、インフラの利便性の変化、環境関連法規の制定による規制等により大きく変化した場合、それぞれを主要な輸送手段とする物流施設の役割が衰退することとなり、当該物流施設のテナント需要が低下する可能性があります。海外との輸送拠点として使用される物件については、テナント需要は為替等の経済情勢にも左右される可能性があります。
また、物流施設は、一般的に賃貸面積が大きい上、物流事業者が取り扱う荷物が多様化しており、それぞれの物流事業者によって異なるニーズに対応するために施設に対する設備投資や仕様変更がなされる傾向があり、また、テナントの要望に沿った立地及び設備を有する物流施設(いわゆるBTS:Build to Suit)として開発される物流施設も少なくないため、既存テナントが退去した場合、代替テナントとなりうる者が限定され、代替テナントが入居するまでの空室期間が相対的に長期化する可能性があります。その結果、当該物件の稼働率が大きく減少し、代替テナント確保のために賃料水準を引き下げざるを得なくなり、賃料収入に悪影響を与える可能性があります。
さらに、物流施設においては、賃借人が多額の敷金及び保証金を長期間にわたって無利息又は低利で賃貸人に預託することが多く、本投資法人は、これらの資金を活用することを想定しています。しかしながら、賃貸市場の動向、賃借人との交渉等により、本投資法人の想定よりも賃借人からの敷金及び保証金の預託額が少なくなり、又は預託期間が短くなる可能性があります。この場合、必要な資金を借入れ等により調達せざるを得なくなり、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、物流施設のテナントは、単一のテナント又は少数の核となる大規模テナントに賃貸される傾向が強く、これらのテナントの財務状況や収益の悪化による悪影響を受けやすいという傾向にあります。さらに、物流施設に関するテナントとの賃貸借契約の期間は、比較的長期であることが一般的ですが、このような契約においては、多くの場合、賃料等の賃貸借契約の内容について、定期的に見直しを行うこととされています。賃料改定により賃料が減額された場合、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、定期的に賃料等を増額する旨の規定が賃貸借契約にある場合でも、賃借人との交渉いかんによっては、必ずしも、規定通りに賃料を増額できるとは限りません。
また、物流施設が立地する地域は、工場跡地等の土壌汚染が懸念される地域であることが多く、有害物質に係るリスクが他の物件を取得する場合に比して相対的に高いものとなります。なお、有害物質に係るリスクについては、前記「O.有害物質に係るリスク」をご参照ください。
その他、物流施設については、建物の特性、適用規制、テナントの特性等に起因して特有のリスクがあり、これらが本投資法人の収益に悪影響を及ぼすおそれがあります。
DD.築古物件に関するリスク
本投資法人は、その投資方針における取得基準として、築年数につき制限を定めておらず、そのポートフォリオに築古物件が含まれている場合がありますが、一般に、築古物件は物理的及び機能的に劣化が進んでいることから、その運営、修繕、改修等に多額の出費が必要となる可能性があります。特に、取得検討時には想定していなかった瑕疵等が判明し、想定以上に多額の資本的支出を余儀なくされる場合や、使用を継続するには現行法上問題ないものの、新規に使用することのできない有害物質が使用されており、処分又は除去する場合には、多額の支出が必要となる可能性もあります。また、一般に、築古物件は新築物件と比較して築年数に応じて投資リスクが高まることから、想定していた水準の賃料を得られない可能性もあり、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
EE.資産の組入れ・譲渡等に関するリスク
本投資法人は、本書の日付現在保有する資産の運用のみを目的として組成されたものではなく、ポートフォリオの質の向上、ひいては投資主価値の最大化に資するため、規約及び資産運用ガイドラインに基づき、新たな資産取得に向けた市場調査や情報の入手並びに資産譲渡の実現可能性の把握等に努めており、また、随時資産取得やポートフォリオの入替等の検討や関係者との協議を行います。したがって、今後、本投資法人の行う資産の運用において、本投資法人が本書の日付現在保有する資産以外の資産の取得を行うことや、保有資産の売却を行うことがあり得ます。しかしながら、契約締結後資産取得又は売却までの間に、かかる
契約に定められた一定の条件が成就しないことにより、当該資産の取得又は譲渡を行うことができず、企図したポートフォリオの構築を通じた収益の向上や売却益の計上等が実現できない可能性があります。
④ 不動産信託受益権に係るリスク
投資法人が投資対象とする不動産信託受益権については、以下のリスクがあります。
なお、以下、2007年9月30日施行の信託法(平成18年法律第108号)を「新信託法」といい、従前の信託法(大正11年法律第62号。信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号。以下「信託法整備法」といいます。)による改正を含みません。)を「旧信託法」といいます。信託契約等に別段の定めがない限り、2007年9月30日より前に効力を生じた信託については、信託財産についての対抗要件に関する事項を除き、旧信託法が適用されます(信託法整備法第2条)。
A.信託受益者として負うリスク
信託の収益は、信託交付金等の形で信託受益者に引渡され、信託が終了するときは、信託契約等の定めにもよりますが、信託財産全てが信託受益者に交付されるのが通例です。他方で、旧信託法の下では、信託財産に関する租税、不動産信託受託者の報酬、信託財産に瑕疵があることを原因として第三者が損害を被った場合の賠償費用等(以下「信託費用等」といいます。)は、信託受益者に対して直接補償請求することができるとされているなど、最終的に信託受益者が負担することになっています(旧信託法第36条、第37条、第 54条等)。また、新信託法の下でも、信託費用等は、不動産信託受託者が信託財産から償還・賠償を受けることができ、最終的に信託受益者が負担することになっています(新信託法第48条、第53条等)。さらに、受託者は、信託受益者と合意することにより、旧信託法に基づく信託と同様に、信託受益者に対して直接信託費用等の支払を求めることもできます(新信託法第48条第5項、第53条第2項等)。すなわち、旧信託法においても、新信託法においても、信託受益者は、名義上は信託財産の所有者ではありませんが、信託財産に係る経済的利益及び損失の最終的な帰属主体といえます。したがって、不動産信託受益権を保有する場合も、不動産そのものを所有する場合と同様に不動産に係るリスクを負うことになります。
B.不動産信託受益権の流動性に係るリスク
投資法人が不動産信託受益権を資産とする場合において、不動産信託受託者を通じて信託財産たる不動産を処分する場合には、既に述べた不動産の流動性リスクが存在します。
また、不動産信託受益権を譲渡しようとする場合には、通常、不動産信託受託者の事前の承諾を要求されます。さらに、不動産信託受益権は金商法上の有価証券とみなされますが、指名債権と同様の譲渡方法によって譲渡することになります。対抗要件としては、不動産信託受託者への確定日付のある通知又は承諾が必要です。
C.不動産信託受託者の破産等の倒産手続に係るリスク
不動産信託受託者につき破産手続、民事再生手続、会社更生手続その他の倒産手続が開始された場合における信託財産の取扱いに関しては、旧信託法の下では、明文の規定はないものの、同法の諸規定や信託財産の独立性という観点から、信託財産が破産財団、再生債務者又は更生会社の財産その他不動産信託受託者の固有財産に属すると解釈される可能性は、極めて小さいものと考えられていました。新信託法においては、信託財産は不動産信託受託者の固有財産に属しない旨が明文で規定されています(新信託法第25条第1項、第4項及び第7項)。ただし、不動産、地上権又は土地の賃借権の場合には、信託の登記が必要です。
D.不動産信託受託者の信託違反に伴うリスク
信託会社又は信託銀行である不動産信託受託者は、信託業務を行うにあたり、受益者に対して忠実義務及び善管注意義務を負います(信託業法第28条第1項、第2項、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(以下「兼営法」といいます。)第2条第1項)。また、受益者を害するおそれのある一定の行為を行ってはならないものとされています(信託業法第29条第1項、第2項、兼営法第2条第1項)。しかし、不動産信託受託者が、かかる義務又は信託契約上の義務に反して信託財産である不動産を処分すること、又は信託財産である不動産を引当てとして何らかの債務を負うこと等がないとはいいきれず、これらの場合には、不動産信託受益権を保有する投資法人が不測の損害を被る可能性があります。かかるリスクに備え、旧信託法及び新信託法は、信託の本旨に反した信託財産の処分行為の取消権を信託受益者に認めていますが(旧信託法第31条及び新信託法第27条)、常にかかる権利の行使等により損害を回避・回復できるとは限りません。
E.不動産信託受益権の準共有等に係るリスク
不動産信託受益権が準共有されている場合、単独で保有する場合には存在しない種々の問題が生じる可能性があります。旧信託法の下では、所有権以外の財産権の準共有については、所有権の共有に関する規定が
可能な限り準用されます(民法第264条)。新信託法の下では信託受益者が複数の場合の意思決定の方法に関する明文規定があり(新信託法第105条以下)、不動産信託受益権が準共有されている場合にもかかる規定の適用があるものと解されるため、所有権の共有に関する民法の規定に優先してかかる規定がまず適用されます。
旧信託法では、準共有者間で別段の定めをした場合を除き、準共有されている不動産信託受益権の変更に当たる行為(信託契約の変更や信託財産たる不動産の変更に係る指図等)には準共有者全員の合意を要し
(民法第251条)、変更に当たらない管理については、準共有者の準共有持分の過半数で決定する(民法第 252条)ものと考えられます。したがって、特に本投資法人が準共有持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
一方、新信託法の下では、信託契約において意思決定の方法が定められていない場合、準共有者の全員一致によることになるものと解されます(新信託法第105条第1項本文)。この場合には、他の準共有者全員が承諾しない限り、当該不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができないこととなります。また、信託契約において別の意思決定の方法が定められている場合でも、当該方法が本投資法人の意向を反映するような形で定められているとは限らず、同様に信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
準共有持分の処分については、旧信託法及び新信託法いずれの下でも、準共有者は、原則として、不動産信託受託者の承諾を得ることを条件として、自己の準共有持分を自己の判断で処分することができます。したがって、本投資法人の意向にかかわりなく他の準共有者が変更される可能性があります。これに対し、準共有者間の協定書等において、準共有者が準共有持分を処分する場合に他の準共有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履践義務等が課されている場合があります。この場合は、本投資法人の知らない間に他の準共有者が変動するリスクは減少しますが、本投資法人がその準共有持分を処分する際に制約を受けることになります。
不動産信託受益権の準共有者が不動産信託受託者に対して有する信託交付金の請求権及び不動産信託受託者に対して負担する信託費用等の支払義務は、別段の合意のない限り、準共有される財産に関する債権債務として不可分債権及び不可分債務であると一般的には解されています。したがって、他の準共有者の債権者が当該準共有者の準共有持分の割合を超えて信託交付金請求権全部を差し押さえ、又は他の準共有者が不動産信託受託者からの信託費用等の請求をその準共有持分の割合に応じて履行しない場合に、本投資法人が請求された全額を支払わざるを得なくなる可能性があります。不動産自体が共有されている場合と同様、これらの場合、本投資法人は、差し押さえられた信託交付金請求権のうち自己の準共有持分に応じた金額の支払や支払った信託費用等のうち他の準共有者の準共有持分に応じた金額の償還を当該他の準共有者に請求することができますが、当該他の準共有者の資力の如何によっては、支払又は償還を受けることができない可能性があります。
また、単一の信託について複数の受益権が設定される場合に、その一部を取得することがあります。この場合、各受益権の内容(受領する収益、負担する費用、損益の帰属等を含みます。)は信託契約の定めるところによります。信託財産の管理及び運営に関する指図その他の受益者による意思決定については、新信託法では、同法第105条以下の規定が適用され、一個の受益権を準共有する場合と同様の問題があります。信託費用等については、各受益者が受託者に対してその支払義務を負担するかどうか、また負担する場合におけるその性格(連帯債務であるか分割債務であるか)及び負担割合等は、信託契約その他の受託者と受益者との合意により定められます。仮に、ある受益権の受益者が他の受益権の受益者の負う債務を負担しないものとされたとしても、当該他の受益者がその負担すべき信託費用を支払わないと、受託者において費用不足のために信託財産を適切に管理できなくなる可能性があり、かかる場合には、他の受益者が負担すべき費用を負担せざるを得ないことがあり得ます。信託財産を区分し、区分された財産から生じる収益を別々の受益権に帰属させることもありますが、この場合も、ある受益権に係る財産からその管理に必要な費用に見合う収益を得られないときは、同様の問題が発生します。本投資法人が複数の信託受益権の一部を取得する場合には、信託契約の内容によっては、その管理や処分に関する制約を受けることとなるほか、他の受益者又は他の受益者に損益が帰属することとなっている不動産の収益等の影響を受け、本投資法人に不測の損害又は費用負担が生じる可能性があります。
⑤ 税制に係るリスク
本投資法人には、以下のような税制に関するリスクが存在します。本投資法人は、本投資法人の税務上の取扱いに関する助言を専門家に継続的に依頼して、税制についての情報や現行の税制についての税務当局の見解を収集して、できる限り事前に対応する体制を取っています。
A.導管性の維持に関する一般的なリスク
税法上、一定の要件(以下「導管性要件」といいます。)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、後記「4 手数料等及び税金 (5) 課税上の取扱い」に記載する配当等の額を投資法人の損金に算入することが認められています。導管性要件のうち一定のものについては、計算期間ごとに判定を行う必要があります。本投資法人は、導管性要件を継続して満たすよう努めますが、今後、本投資法人の投資主の異動・減少、資金の調達先、分配金支払原資の制限・不足、法律の改正その他の要因により導管性要件を満たすことができない計算期間が生じる可能性があります。現行税法上、導管性要件を満たさなかったことについてやむを得ない事情がある場合の救済措置が設けられていないため、後記
「E.同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク」に記載する同族会社化の場合等、本投資法人の意図しないやむを得ない理由により要件を満たすことができなかった場合においても、配当等の額を損金算入できなくなり、本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があり、本投資口の市場価格に影響を及ぼすこともあります。
なお、課税上の取扱いについては、後記「4 手数料等及び税金 (5) 課税上の取扱い」をご参照ください。
B.過大な税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
導管性要件のうち、租税特別措置法施行令(昭和32年政令第43号。その後の改正を含みます。以下「租税特別措置法施行令」といいます。)に規定する配当可能利益の額の90%超の金銭の分配を行うべきとする要件(以下「支払配当要件」といいます。)においては、投資法人の税引前の会計上の利益を基礎として支払配当要件の判定を行うこととされています。したがって、会計処理と税務上の取扱いの差異により、過大な税負担が発生した場合には、この要件を満たすことが困難となる計算期間が生じる場合があり得ます。なお、2015年4月1日以後に開始する計算期間については、会計処理と税務上の取扱いの差異が生じた場合であっても、一時差異等調整引当額の増加額(後記「4 手数料等及び税金 (5) 課税上の取扱い」をご参照ください。)を配当等の額として取扱い、損金算入することが可能になるという手当てがなされています。
C.借入れに係る導管性要件に関するリスク
税法上、上記の各計算期間ごとに判定を行う導管性要件のひとつに、借入れを行う場合には投資法人が租税特別措置法に規定する機関投資家以外の者から借入れを行っていないことという要件があります。したがって、本投資法人が何らかの理由により上記機関投資家以外からの借入れを行わざるを得ない場合、又は、保証金若しくは敷金の全部若しくは一部がテナントからの借入金に該当すると解釈された場合においては、導管性要件を満たせないことになります。この結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
D.資金不足により計上された利益の全部を配当できないリスク
本投資法人において利益が生じているにも関わらず金銭の借入れ又は投資法人債の発行に際しての財務制限条項上、一定額を内部留保しなければならない等、配当原資となる資金が不足する場合には、借入金や資産の処分により配当原資を確保する場合があります。しかしながら、導管性要件に基づく借入先の制限や資産の処分の遅延等により機動的な資金調達ができない場合には、配当の金額が租税特別措置法施行令に規定する配当可能利益の額の90%超とならない可能性があります。かかる場合、配当等の額を損金算入できなくなることにより本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
E.同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク
各計算期間ごとに判定を行う導管性要件のうち、計算期間終了時に同族会社のうち租税特別措置法施行令で定めるものに該当していないこと(発行済投資口の総数又は一定の議決権総数の50%超が1人の投資主グループによって保有されていないこと等)とする要件、すなわち、同族会社要件については、本投資口が市場で流通することにより、本投資法人のコントロールの及ばないところで、結果として満たされなくなる計算期間が生じるリスクがあります。
本投資法人が同族会社要件を満たさなくなった場合、配当等の額を損金算入できなくなることにより本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
F.投資口を保有する投資主数について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク
税法上、導管性要件のひとつに、計算期間末において投資法人の投資口が租税特別措置法に規定する機関投資家のみにより保有されること、又は50人以上の投資主に保有されることという要件があります。しかし、本投資法人は投資主による投資口の売買をコントロールすることができないため、本投資法人の投資口が50人未満の投資主により保有される(上記の機関投資家のみに保有される場合を除きます。)こととなる可能性があります。かかる場合、配当等の額を損金算入できなくなることにより本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
G.税務調査等による更正のため追加的な税金が発生するリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、税務当局との見解の相違等により過年度の課税所得計算について税務否認等の更正処分を受けた場合には、予想外の追加的な課税が発生することとなり、投資主への分配金の予想額の修正が必要となる場合があります。
H.不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、本書の日付現在において、一定の内容の投資方針を規約に定めることその他の税制上の要件を充足することを前提として、直接に不動産を取得する場合の不動産流通税(不動産取得税及び登録免許税)の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更され若しくは軽減措置が廃止された場合において、軽減措置の適用を受けることができなくなる可能性があります。
I.一般的な税制の変更に関するリスク
不動産、信託の受益権その他本投資法人の運用資産に関する税制若しくは投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。また、投資口に関する税制が変更された場合、本投資口の保有又は売却による手取金の額が減少する可能性があります。
J.減損会計の適用に関するリスク
固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第5号平成15年10月31日)が、2005年4月1日以後開始する事業年度より強制適用されることになったことに伴い、本投資法人においても減損会計が適用されています。減損会計とは、主として土地・建物等の事業用不動産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。
減損会計の適用に伴い、地価の動向及び運用資産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の損益に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、2015年4月1日以後に開始する計算期間については、会計処理と税務上の取扱いの差異が生じた場合であっても、一時差異等調整引当額の増加額を配当等の額として取扱い、損金算入することが可能になるという手当てがなされています。
K.納税遅延に係る延滞税等の発生に関するリスク
本投資法人において納税義務が発生した場合に、納付原資の不足等の事情により納期限内に納税が完了しない可能性があります。この場合、遅延納付となった税額に対し遅延期間に応じ延滞税等が発生し、納税が発生した事業年度の投資家への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
⑥ その他
A.投資主優待制度に関するリスク
本投資法人は、現在の法令、税務の取扱い、優待の内容及び利用状況の推定等を踏まえ、スポンサーであるヤマダ電機との合意により、投資主優待制度を導入しています。しかしながら、これらの前提条件に変更がある場合その他の事由により、当該投資主優待制度が実施されず、又はその内容等が変更され若しくは実施が停止される場合があります。
(2)投資リスクに対する管理体制
上記の様々なリスクに鑑み、本投資法人及び本資産運用会社は、本投資法人の資産運用に関し、以下の検証システムを通じ、実効性のあるリスク管理体制を整備し、最大限の効果の発揮に努めています。本投資法人及び本資産運用会社は可能な限り、本投資口又は本投資法人債への投資に関するリスクの発生の回避及びリスクが発生した場合の対応に努める方針ですが、これらの措置が結果的に十分な成果を収めるとの保証はありません。
① 本投資法人の体制
本投資法人は、投信法に基づき設立され、執行役員1名及び監督役員2名により構成される役員会により運営されています。執行役員は、3ヶ月に1回以上の頻度で役員会を開催し、法令で定められた承認事項に加え、本投資法人の運営及び本資産運用会社の業務遂行状況の詳細な報告を行います。この報告手続を通じ、本資産運用会社又はその利害関係人等から独立した地位にある監督役員は的確に情報を入手し、執行役員の業務執行状況を監視できる体制を維持しています。同時に、かかる報告により、本投資法人は、本資産運用会社の利害関係人等との取引について、利益相反取引のおそれがあるか否かについての確認を行い、利益相反等に係るリスクの管理に努めています。
本投資法人は、資産運用委託契約上、本資産運用会社から各種報告を受ける権利及び本資産運用会社の帳簿その他の資料の調査を行う権利を有しています。かかる権利の行使により、本投資法人は、本資産運用会社の業務執行状況を監視できる体制を維持しています。
② 本資産運用会社の体制
本資産運用会社は、運用及び管理に係るリスクについて、原則としてレベルの異なる、かつ複数の検証システムを通じてモニターし、管理しています。
A.本資産運用会社は、運用ガイドラインにおいて、ポートフォリオ構築方針、デューディリジェンス基準、ポートフォリオ運営・管理方針等を定めています。かかる運用ガイドラインを遵守することにより、不動産や不動産信託受益権に係るリスクの管理に努めています。
B.本資産運用会社は、投資委員会規程を定めて本投資法人のための投資運用に係る重要な事項の決定プロセスの明確化を図っている他、不動産等の調査、取得、管理運営その他の業務それぞれについて、客観的な業務手順を確立して、リスクの管理に努めています。
C.本資産運用会社は、コンプライアンス規程、コンプライアンス・マニュアル及び利害関係者取引規程を定めて、コンプライアンス・オフィサーによる法令等遵守の確認、コンプライアンス委員会による利害関係者取引規程に定める「利害関係者取引」の審議及び承認を行い、これによって、法令違反のリスク、利益相反のリスクの防止に努めています。
D.本資産運用会社は、リスク管理規程を定めて、リスクの管理等の手法を具体的に定め、適切なリスク管理体制を確保することを通じて、本資産運用会社のリスク管理の徹底に努めています。
E.本資産運用会社は、インサイダー取引防止規程を制定し、本資産運用会社の役員及び従業員その他本資産運用会社の業務に従事するすべての者(以下「役職員等」といいます。)によるインサイダー取引の防止に努めています。