Contract
海外投資(不動産等)保険約款
平成29年4月1日 17-制度-00010
沿革 令和2年2月28日 一部改正令和2年12月24日 一部改正令和3年3月18日 一部改正令和4 年3月30日 一部改正
第1章 総則
( この約款の内容)
第1条 この約款は、貿易保険法( 昭和25年法律第67号。以下「法」という。) の規定に基づく海外投資保険のうち、法第2条第17項第2号の海外投資を行った者が受ける損失をてん補する海外投資保険の保険約款とする。
第2章 てん補の範囲及びてん補責任額
( てん補危険)
第2条 株式会社日本貿易保険( 以下「日本貿易保険」という。) は、被保険者がこの証券記載の海外投資( 以下「被保険投資」という。) を行った場合において、次の各号のいずれかに該当する事由により受ける損失を、この約款( 別に特約を締結したときは当該特約を含む。以下同じ。) の定めるところに従い、てん補する責めに任ずる。
一 被保険投資の目的たる不動産若しくは設備に関する権利若しくは鉱業権、工業所有権その他の権利又はこれらに類する利益( 以下「不動産に関する権利等」という。)を外国の政府若しくは地方公共団体又はこれらに準ずる者( 以下「外国政府等」という。) により奪われたこと。
二 戦争、革命、テロ行為その他の内乱、暴動又は騒乱により不動産に関する権利等について損害を受けて当該不動産に関する権利等を事業の用に供することができなくなったこと。
三 前号で定めるもののほか、本邦外において生じた以下に掲げる事由により不動産に関する権利等について損害を受けて当該不動産に関する権利等を事業の用に供することができなくなったこと。
イ 暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、津波その他の異常な自然現象により生じる災害ロ 国際連合その他の国際機関又は投資先国等若しくは事業地国等以外の国等による
経済制裁
ハ ゼネラルストライキ
ニ ストライキによる輸送施設の機能の停止ホ 原子力事故
四 不動産に関する権利等の喪失( 前3号の事由によるものを除く。) により取得した金額( 以下「権利等喪失取得金」という。) を次のイからホまでのいずれかに該当する事由により2月以上の期間本邦に送金することができなかったこと。
イ 外国において実施される為替取引( 外貨交換及び外貨送金を含む。以下同じ。)の制限又は禁止
ロ 外国における戦争、革命又はテロ行為その他の内乱による為替取引の途絶ハ 外国政府等による当該権利等喪失取得金の管理
ニ 当該権利等喪失取得金の送金の許可の取消し又は外国政府等がその許可をすべきことをあらかじめ約していた場合においてその許可をしなかったこと。
ホ イからニまでに掲げる事由の発生後における外国政府等による当該権利等喪失取得金の没収
( てん補責任額)
第3条 前条第1号、第2号又は第3号の事由により受けた損失について日本貿易保険がてん補すべき額は、当該事由に係る不動産に関する権利等( 以下「事故権利等」という。)について同条第1号の事由又は同条第2号若しくは第3号の損害の発生の直前に評価した額と当該事故権利等の取得のための対価の額とのいずれか少ない金額から、次の各号に掲げる金額を控除した残額に100分の95を乗じて得た金額とする。ただし、保険金額を限度とする。
一 事故権利等について当該事由の発生直後に評価した額( ただし、当該事由の発生直 後において当該事由に起因して受けた損失に係る評価の算定が困難な場合にあっては、当該評価の算定にあたり合理的に可能となった時点において評価した額とする。)
二 当該事由の発生により取得した金額( 以下「取得金」という。) 又は取得し得べき金額( 以下「取得可能金」という。)
三 損失を軽減するために必要な措置を講じて回収した金額
2 前条第4号の事由により受けた損失について日本貿易保険がてん補すべき額は、同条第4号イからホまでのいずれかに該当する事由により2月以上の期間本邦に送金することができなかった金額( その事由の発生前に本邦に送金し得べきであった金額を除く。以下「送金不能額」という。) と当該不動産に関する権利等の取得のための対価の額とのいずれか少ない金額から、次の各号に掲げる金額を控除した残額に、100分の95を乗じて得た金額とする。ただし、保険金額を限度とする。
一 当該事由の発生により支出を要しなくなった金額二 当該送金不能額をもって支出した金額
三 損失を軽減するために必要な措置を講じて回収した金額
3 前2項に規定する「100分の95」について、この証券記載のxx率を100% として保険契約を締結するときは、「100分の100」と読み替えて適用する。
第4条 前条第1項の事故権利等について評価した額は、被保険者の財産目録若しくは鑑定評価書若しくはこれに準ずる書類( 公認会計士又はこれに準ずる者( 以下、公認会計士等) という。) が当該書類の適正性を保証したものに限る。)、又は当該書類の提出が困難な場合は、日本貿易保険が特に認めた書類を基礎として算定するものとする。
2 第2条第1号、第2号又は第3号の事由の発生による取得金( 金銭で取得したものを除く。) 又は取得可能金( 金銭債権で取得したものを除く。) の額は、保険金の支払の請求をした日におけるその取得金又は取得可能金の価額とする。ただし、その日の前日までに取得金を処分したときは、その処分価額とし、又はその日の前日までに第7条の規定により取得金を金銭で取得したものとみなされたときは、そのみなされた日の価額とする。
第5条 不動産に関する権利等について第3条第1項又は第2項の規定により算定した日本貿易保険がてん補すべき額又はその累計額が当該不動産に関する権利等の取得のための対価の額から次の各号に掲げる金額を控除した残額を超えるときは、日本貿易保険がてん補すべき額は、これらの規定にかかわらず、その残額とする。
一 当該事由発生前における当該不動産に関する権利等の喪失( 第2条第1号、第2号又は第3号に該当する事由によるものを除く。) により取得した金額又は取得し得べき金額( 送金不能額が含まれる場合にあっては、これらの金額から当該送金不能額を控除した残額) とその喪失した不動産に関する権利等の取得のための対価の額とのいずれか多い金額
二 当該事由発生前における第2条第1号、第2号又は第3号に該当する事由の発生による取得金又は取得可能x
x 第3条第1項各号又は第2項各号に規定する金額
第6条 日本貿易保険は、第3条第1項及び前条の規定にかかわらず、取得金又は取得可能金のうち次の各号のいずれかに該当する事由により本邦に送金することができない金額( その事由の発生前に本邦に送金し得べきであった金額を除く。以下「送金不能取得額」という。) が生じたときは、第3条第1項及び前条の規定により算定した日本貿易保険がてん補すべき額のほか、その額と第3条第1項第2号又は前条第2号に規定する金額から送金不能取得額を控除した残額をそれぞれ第3条第1項第2号又は前条第2号に規定する金額とみなして第3条第1項及び前条の規定を適用して算出した日本貿易保険がてん補すべき額との差額をてん補するものとする。
一 外国政府等による没収
二 外国政府等による管理( 2月以上の期間継続して行われたものに限る。)
三 外国において実施される為替取引の制限又は禁止( 2月以上の期間継続して行われたものに限る。)
四 外国における戦争、革命又はテロ行為その他の内乱による為替取引の途絶( 2月以上の期間継続したものに限る。)
五 取得金が譲渡を禁止された国債、公債その他これらに準ずる有価証券で取得したものである場合において、戦争、革命、テロ行為その他の内乱又は外国政府等の行為により当該有価証券の償還が行われなくなったこと。
六 前号に規定する場合を除くほか、戦争、革命、テロ行為その他の内乱又は外国政府等の行為により取得金( 金銭で取得したものを除く。) 又は取得可能金を金銭で取得することができなくなったこと。
第7条 前条の適用に関しては、被保険者が譲渡することができる取得金( 金銭で取得したものを除く。) をその取得の日から2月以内に金銭で取得しなかったときは、その期間を経過した日に金銭で取得したものとみなす。ただし、日本貿易保険が特に認めた場合はこの限りでない。
( 免責)
第8条 日本貿易保険は、第20条第3項に規定するもののほか、次の損失をてん補する責めに任じない。
一 保険契約者、被保険者若しくは保険金を受け取るべき者若しくはこれらの者の役員、代理人若しくは使用人( 以下「被保険者等」という。) の故意又は重大な過失により生じた損失
二 海上保険その他の通常の保険によっててん補される損失
三 保険契約者又は被保険者が法令( 外国の法令を含む。) 違反によって取得した不動産に関する権利等について生じた損失
四 被保険者等が不正競争防止法( 平成5年法律第47号) 又は刑法( 明治40年法律第45号)の贈賄に関する規定違反によって取得した不動産に関する権利等について生じた損失
五 第10条に規定する保険期間の開始日前に生じた事由による損失
( 保険金不払、保険金返還、保険契約の解除)
第9条 日本貿易保険は、次の各号のいずれかに該当するときは、当該保険金の全部若しくは一部を支払わず、又は当該保険金の全部若しくは一部を返還させることができる。一 被保険者等の過失( 重大な過失を除く。) により損失が生じたとき
二 保険契約者又は被保険者が故意又は過失により事実を告げず、又はxxでないこと
を告げたとき
三 前各号に掲げるほか、保険契約者又は被保険者がこの約款の条項に違反したとき 四 被保険者等が、暴力団、暴力団員( 暴力団員でなくなった日から5年を経過しない
者を含む。)、暴力団準構成員、暴力団関係企業その他の反社会的勢力に該当し、又は反社会的勢力若しくはこれと密接な関係にある者( 以下「反社会的勢力等」という。)による経営の支配若しくは実質的関与、反社会的勢力等に対する資金等の提供若しくは便宜の供与、その他反社会的勢力等と社会的に非難されるべき関係にあると認められるとき
2 日本貿易保険は、第20条第1項、第21条第2項、第3項及び第22条第4項に規定するもののほか、次の各号のいずれかに該当するときは、保険契約を解除することができる。一 保険契約者又は被保険者がこの約款の条項に違反したとき
二 貿易保険における環境社会配慮のためのガイドライン( 平成29年4月1日 17‐制度‐00091。以下「環境ガイドライン」という。)に基づき、保険契約者又は被保険者が日本貿易保険に提出したスクリーニングフォーム( 環境ガイドラインで定めるスクリーニングフォームをいう。) の内容の全部又は一部が、被保険者等の故意又は過失により事実に反しているか、又は記載すべき事項を記載していないため、環境ガイドラインに定めるカテゴリA又はBに分類されるべき当該プロジェクトがカテゴリCに分類されたとき
三 被保険者等が、不動産に関する権利等の取得に関して不正競争防止法又は刑法の贈賄に関する規定に違反したとき
四 被保険者等が、反社会的勢力等による経営の支配若しくは実質的関与、反社会的勢力等に対する資金等の提供若しくは便宜の供与、その他反社会的勢力等と社会的に非難されるべき関係にあると認められるとき
3 この約款に特別の定めがない限り、前項の規定による解除その他の保険契約の解除は、将来に向かってのみその効力を生じる。
( 保険期間)
第10条 日本貿易保険の保険責任の開始日及び終了日は、海外投資保険運用規程( 平成29年4月1日 17‐制度‐00052。以下「運用規程」という。) に定める日とする。
第3章 保険契約者又は被保険者の義務
( 他の保険契約の通知義務)
第11条 保険契約者又は被保険者は、被保険投資について、この約款による保険契約に基 づきてん補する危険と同種の危険をてん補する保険契約が存在することを知ったときは、当該事実を知った日から1月以内に当該保険契約について日本貿易保険に書面で通知し なければならない。
( 書類の保管義務等)
第12条 被保険者は、被保険投資に係る事業年度ごとの財産目録( 公認会計士等が当該財産目録の適正性を保証したものに限る。) 及び運用規程に定める書類を取得し、整理保管しなければならない。
2 被保険者は、前項の規定により保管してある書類について日本貿易保険が提出を求めたときは、遅滞なく、これに応じなければならない。
( 損失を受けるおそれが高まる事情発生の通知義務)
第13条 被保険者は、損失を受けるおそれが高まる事情の発生を知ったときは、当該事情の発生を知った日から1月以内にその旨を日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
( 損失発生の通知義務)
第14条 被保険者は、この約款による保険契約に基づきてん補されるべき損失の発生を知ったときは、当該損失の発生を知った日から1月以内にその旨を日本貿易保険に書面で通知( 以下「損失発生通知」という。) しなければならない。
( 損失の防止軽減等の義務)
第15条 被保険者は、損失を防止軽減するため、他の債権における注意と同様の注意をもって一切の合理的措置を講じなければならない。
2 被保険者は、損失の全部又は一部の賠償を受けることができる場合は、その賠償請求権の行使又は保存に必要な手続を怠ってはならない。
3 日本貿易保険は、被保険者が前2項の規定による義務の履行のために要した合理的費用をその義務の履行によって取得した金額を限度として負担する。ただし、日本貿易保険が必要と認めたときは、その限度を超えて負担することがある。
4 被保険者が第1項又は第2項の規定による義務の履行を怠った場合には、日本貿易保険は、被保険者がその義務を履行すれば防止軽減することができたと認められる金額又は賠償を受けることができたと認められる金額を、第3条各項各号に掲げる控除すべき額に加えて算出した残額を基礎として、第3条から第7条までの規定によりてん補額を決定する。
(入金の通知義務)
第16条 被保険者は、損失発生通知を行った後、保険金の支払を請求する以前に回収した金額があるときは、当該金額の入金のあった日から1月以内にその旨を日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
( 送金不能額等の管理義務)
第17条 被保険者は、送金不能額又は送金不能取得額が生じたときは、日本貿易保険の指示するところに従い、当該送金不能額( 第2条第4号ハ又はホに該当する事由によるものを除く。) 又は送金不能取得額( 第6条第1号又は第2号に該当する事由によるものを除く。) を善良なる管理者の注意をもって管理しなければならない。
( 調査に応ずる義務)
第18条 保険契約者又は被保険者は、日本貿易保険が被保険投資に関し、調査、報告若しくは資料の提出を求めた場合又は海外投資保険に関する事務を取り扱う日本貿易保険の職員が被保険投資に関する帳簿書類その他の物件を調査しようとした場合には、これに応じなければならない。
2 被保険者は、第30条第8項の規定により納付すべき金額に係る債権の保全上の必要に基づいて、日本貿易保険が業務若しくは資産の状況に関し報告若しくは資料の提出を求めた場合又は海外投資保険に関する事務を取り扱う日本貿易保険の職員が帳簿書類その他の物件を調査しようとした場合には、これに応じなければならない。
( 贈賄行為に関与しない旨の宣誓義務等)
第18条の2 保険契約者及び被保険者は、不正競争防止法及び刑法の規定に違反する贈賄行為にかかわっていないこと及び今後ともかかわらないことを日本貿易保険に対して誓約しなければならない。
2 被保険者等が不動産に関する権利等の取得に関して不正競争防止法又は刑法の贈賄に関する規定に違反した罪により起訴された場合、保険契約者又は被保険者は、日本貿易保険に対して速やかに報告しなければならない。
第4章 保険契約の無効、失効、解除又は解約
( 保険契約者又は被保険者による保険契約の解約)
第19条 保険契約者又は被保険者は、保険期間中は保険契約を解約することはできない。ただし、日本貿易保険に対して、残りの保険期間に対応する保険料全額を支払うとき又は別に定める場合はこの限りではない。
( 告知義務違反)
第20条 保険契約の申込の当時、保険契約者又は被保険者が損失を受けるおそれのある重要な事実のあることについて、故意又は過失によって、日本貿易保険にこれを告げず、又はxxでないことを告げたときは、日本貿易保険は、保険契約を解除することができる。
2 前項の規定による解除権は、日本貿易保険が解除の原因を知った日から2月間行使しないときは、消滅する。
3 被保険者に損失が発生した後に日本貿易保険が第1項に基づいて保険契約を解除した場合においても、日本貿易保険は当該損失をてん補する責めに任じない。ただし、当該損失が、第1項に規定する損失を受けるおそれのある重要な事実に基づいて発生したものではない場合は、この限りでない。
( 被保険投資の重大な変更)
第21条 被保険者が被保険投資に関し、海外投資保険手続細則( 平成29年4月1日 17‐制度‐00043。以下「手続細則」という。)第4条及び別表2に定める重大な変更を行ったときは、当該変更の日から1月以内かつ保険期間内にその旨を日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
2 日本貿易保険は、前項に規定する通知を受けたときには、保険契約を解除することができる。ただし、日本貿易保険が書面で承認したときは、この限りでない。
3 前項の承認に条件を付けた場合であって、当該条件が成就されないときには、日本貿易保険は、保険契約を解除することができる。
4 前2項の規定に基づく解除は、重大な変更があった時から将来にわたってのみ効力を生ずる。
5 日本貿易保険は、被保険者が第1項に規定する通知を怠った場合、重大な変更があった時から保険契約は、効力を失ったものとみなすことができる。
第5章 保険料
( 保険料の納付等)
第22条 保険契約者は、保険契約を新規に締結した際において保険料を納付すべき場合、 分割送金による保険金額の増額において保険料を納付すべき場合、海外投資保険の各約 款に定める重大な変更の承認若しくは取得のための対価の額の変更の承認により保険料 を納付すべき場合又は、保険契約者が保険期間の1年又はその端数に係る保険料を納付 すべき場合において、日本貿易保険の指定する日までに貿易保険の保険料率等に関する 規程( 平成29年4月1日 17‐制度‐00070。以下「保険料率等規程」という。)に従っ て日本貿易保険の指定する額の保険料の全額を日本貿易保険に納付しなければならない。
2 保険契約者が日本貿易保険の指定する日又は第6項の規定に基づき保険料を支払うべき日までに前項に規定する保険料の全額を納付しなかったときは、保険契約者は、保険料及び当該保険料について日本貿易保険の指定する日又は第6項の規定に基づき保険料を支払うべき日の翌日から保険契約者の納付すべき保険料が納付される日までの日数に応じて年10.95% の割合で計算した延滞金を日本貿易保険の請求に従い納付しなければならない。ただし、第4項の規定に基づき保険契約が解除された場合は、この限りでない。
3 前項の規定により延滞金を納付しなければならない場合において、保険契約者が納付
すべき保険料及び延滞金の全額に満たない額を納付した場合には、日本貿易保険は納付された金額を保険料、延滞金の順に充当する。
4 保険契約者が、日本貿易保険の指定する日又は第6項の規定に基づき保険料を支払うべき日までに日本貿易保険の指定する額の保険料の全額又は延滞金の全額を納付しなかったときは、日本貿易保険は保険契約の全部又は一部を解除することができる。
5 前項の規定による解除は、保険期間の1年若しくはその端数に係る保険料又は延滞金を納付すべきものであるときは当該保険期間の開始日から、被保険者が重大な変更を行った場合において納付すべきものであるときは重大な変更があった日から、効力を生ずる。
6 保険契約者について、破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始若しくは特別清算手続開始の各決定又は外国の法令に基づく制度上これに準ずる手続があった場合には、第1項の規定にかかわらず、日本貿易保険からの通知等を要さずに、保険契約者は、日本貿易保険に対する第1項に定める保険料の支払債務( 保険契約者が保険期間の1年又はその端数に係る保険料を納付すべき場合については、当該手続開始決定があった日の属する保険年度( 保険料率等規程に規定する保険年度をいう。以下同じ。)における保険料の支払債務) について当然に期限の利益を失い、直ちに当該保険料の全額を支払うものとする。ただし、当該期限の利益の喪失後、日本貿易保険は、新たに支払期日を指定することができる。
( 保険料の返還)
第23条 日本貿易保険は、保険料の納付が日本貿易保険の指定する日の翌日以後になされた場合であって日本貿易保険が前条第4項の規定に基づき保険契約を解除したとき又は日本貿易保険が同項の規定に基づき保険契約を解除した日以後に保険料の納付がなされた場合は、当該納付に係る保険料に100分の90を乗じて得た金額を返還する。
2 前項に定める場合のほか、保険契約の無効、失効、解除若しくは解約の場合又は日本貿易保険が損失をてん補する責めに任じない場合においても、日本貿易保険は保険料を返還しない。ただし、保険料率等規程に定める場合は、保険料の一部を返還する。
第6章 保険金の支払
( 保険金受取人)
第24条 被保険者は、保険金請求事務を被保険者の代わりに行い、被保険者のために保険金を受領する者として保険金受取人を定めることができる。
2 保険金受取人は、1名とする。ただし、日本貿易保険が特に認めた場合はこの限りではない。
3 被保険者は、保険契約を締結した後において、保険金受取人を指定、変更又は廃止( 以下「指定等」という。) した場合には、当該指定等の日から1月以内( ただし、1月以内に保険金の支払を請求する場合には、保険金の請求日前) にその旨を日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
4 保険金受取人を定めた場合、被保険者は、この証券記載の保険金受取人を通じてのみ保険金の支払を請求することができる。
5 日本貿易保険は、この証券記載の保険金受取人が保険金の支払を請求してきた場合には、当該保険金受取人に対して保険金を支払うものとし、この場合、日本貿易保険は被保険者に対して保険金を支払ったものとし、当該保険金支払債務は消滅したものとみなす。
(保険金の請求)
第25条 被保険者又はその他の保険金の支払を請求しようとする者( 以下「保険金請求人」
という。) は、自己の費用をもって損失の計算を行い、保険金請求書に損失計算書、証拠書類その他必要な書類を添えて日本貿易保険に提出しなければならない。
2 前項の請求は、損失発生通知を行った日以降、損失の発生から9月以内に行うものとする。ただし、日本貿易保険が、特に猶予期間を定めた場合は、この限りでない。
3 保険金請求人が正当な理由なく前項に規定する期間内又は日本貿易保険が定めた猶予期間内に保険金の支払の請求を行わない場合には、日本貿易保険は、保険金を支払わない。
4 保険金の支払を請求した者は、日本貿易保険がてん補責任の有無又はてん補額の決定のため必要と認める書類の提出を求めたときは、遅滞なく、これに応じなければならない。
5 保険金請求人は、日本貿易保険が特に必要と認めた場合には、自己の費用をもって日本貿易保険が指定する公認会計士又は弁護士等による書類審査又は実地調査を受けなければならないものとする。
6 保険金請求人は、第22条第1項及び第2項の規定にかかわらず、保険金の支払を請求するまでに、同条第1項及び第2項に規定する保険料( 保険契約者が保険期間の1年又はその端数に係る保険料を納付すべき場合については、この約款による保険契約に基づきてん補されるべき損失の発生した日の属する保険年度以前の保険年度における保険料)及び延滞金の全部が支払われない限り、保険金の支払請求をすることが認められないものとする。
( 保険金請求権の消滅時効)
第26条 保険金請求権は、損失の発生から3年を経過した場合、時効により消滅するものとする。
2 前条第6項の規定は、前項に基づく消滅時効の成立を妨げない。
( 保険金の支払)
第27条 日本貿易保険は、第25条第1項に定める手続による請求を受けた日から2月以内に保険金を支払う。ただし、調査のため特に時日を要するときは、この限りでない。
2 第2条第1号から第3号までのいずれかの事由により受けた損失につき保険金を支払う場合、日本貿易保険は、保険金支払に際し、条件を付すことができる。
( 他の保険契約等との関係)
第28条 被保険投資について、同種の保険が存在するときは、当該同種の保険契約のてん補すべき額と第3条のてん補すべき額( 以下「てん補責任額」という。) の合計額に対するてん補責任額の割合をてん補責任額に乗じて得た額を支払保険金額とする。ただし、日本貿易保険が特に認めた場合は、この限りでない。
第7章 債権の回収
( 保険代位)
第29条 日本貿易保険は、保険金を支払ったときは、法第42条の規定に基づき保険金の支払のときに保険契約者又は被保険者の有していた送金不能額、送金不能取得額に係る債権その他の第三者に対する権利を支払った保険金の額の第3条各項に規定する残額に対する割合をもって取得する。
( 回収金の納付)
第30条 被保険者は、保険金の支払の請求がなされた後においても、事故権利等又は送金不能額若しくは送金不能取得額に関する権利を善良なる管理者の注意をもって管理しなければならない。
2 被保険者は、前条の規定にかかわらず、保険金の支払の請求がなされた後においても、
自己又は日本貿易保険のために事故権利等又は送金不能額若しくは送金不能取得額に係る権利その他の第三者に対する権利の行使に努めなければならない。ただし、当該権利の行使の相手方についての破産手続開始の決定がなされたことその他やむをえない事由により当該権利を行使することが困難であることについて日本貿易保険の認定を受けたとき又は第5項若しくは次条第3項の規定に基づき権利行使等の委任を行ったときは、この限りではない。
3 被保険者は、前2項に規定する義務の履行の状況について、日本貿易保険に書面で報告しなければならない。ただし、前項ただし書の規定により日本貿易保険の認定を受けたとき又は権利行使等の委任を行ったときは、この限りではない。
4 被保険者は、前条に規定する日本貿易保険の保険代位を当該権利の行使の相手方の住所地法において当該相手方その他の第三者に対抗することができるために必要な手続を行うことを日本貿易保険が指示したときは、これに従わなければならない。
5 被保険者は、前項による義務を履行したときは、被保険者が有している保険事故に係る債権について日本貿易保険に権利行使等の委任を行わなければならない。
6 被保険者は、前項の委任に当たり、権利の行使による回収金の配分方法、その他手続的な事項について、貿易保険共通運用規程( 平成29年4月1日 17‐制度‐00069)に従わなければならない。
7 日本貿易保険は、第1項又は第2項による義務の履行のために要した合理的費用を取得した金額を限度として負担する。ただし、日本貿易保険が必要と認めたときは、その限度を超えて負担することがある。
8 被保険者は、保険金の支払の請求がなされた後、回収した金額があるときは、回収のあった日( 回収のあった日が保険金の支払を受けた日以前であるときは、保険金の支払を受けた日) から1月以内にその旨を日本貿易保険に通知し、かつ、日本貿易保険が指定する次の金額を日本貿易保険が指定する日までに日本貿易保険に納付しなければならない。
支払保険金額 | ||
( 回収金額- A) | × | 第3条各項に規定する残額 ( 送金不能取得額が生じたときは、残額にその額を加えた額) |
Aは、第2項による義務の履行のために要した合理的費用( ただし、日本貿易保険が認めたものに限る。)
9 被保険者が保険金の支払の請求後に送金不能額又は送金不能取得額の全額又は一部を支出したときは、当該支出に係る金額を回収したものとみなす。
10 第8項に規定する期間内に同項の通知をすることを怠った被保険者は、同項の規定により納付すべき金額( 以下「回収納付金額」という。) について回収のあった日( 回収のあった日が、保険金の支払を受けた日以前であるときは、保険金の支払を受けた日)の翌日から当該通知をした日までの日数に応じて年10.95% の割合を乗じて得た違約金を日本貿易保険の指定する日までに日本貿易保険に納付しなければならない。
11 被保険者は、第8項又は前項の規定に基づき日本貿易保険に納付すべき金額を日本貿易保険の指定する日までに納付しなかったときは、当該金額及び当該金額について日本貿易保険の指定する日の翌日から納付される日までの日数に応じて年10.95% の割合で計算した延滞金を日本貿易保険の請求に従い納付しなければならない。
12 前2項の規定により違約金及び延滞金を納付すべき場合において、被保険者が回収納付金額、違約金及び延滞金の全額に満たない額を納付した場合には、日本貿易保険は納付された金額を回収納付金額、違約金、延滞金の順に充当する。
13 被保険者は正当な事由がある場合にはすでに納付した回収納付金の返還を日本貿易保険に対して請求できる。日本貿易保険は正当な事由があると認めた場合には、納付された回収納付金を返還する。ただし、回収納付金に利息は付さないものとする。
( 日本貿易保険による権利の行使)
第31条 日本貿易保険は、保険金支払前に保険事故に係る債権の行使を自ら行う必要を認めたときは、被保険者から当該債権に係る権利行使等の委任を受けることを申し込むことができる。
2 日本貿易保険は、第29条の規定に基づき保険代位を行った後に保険事故に係る債権の行使を自ら行う必要を認めたときは、当該債権のうち被保険者が有している部分について被保険者から権利行使等の委任を受けることを申し込むことができる。
3 被保険者は、日本貿易保険から前2項の申込みを受けた場合は、合理的な理由のあるときを除き、これに応じなければならない。
4 前項の委任に当たり、権利の行使による回収金の配分方法、その他手続的な事項については、前条第6項を準用する。
5 日本貿易保険は、第3項又は前条第5項の規定により権利行使等の委任を受けた保険事故に係る債権の行使を第三者に委任することができる。
第8章 雑則
( 換算率)
第32条 この約款において、外貨を邦貨に、邦貨を外貨に、又は一の外貨を他の外貨に換算する場合に適用する外国為替相場は、次の各号のとおりとする。
一 外貨を邦貨に換算する場合にあっては、銀行( 銀行法( 昭和56年法律第59号) 第2条第1項に規定する銀行をいう。以下同じ。) が提示する対顧客直物電信買相場の始値( 日本貿易保険が認めたものをいう。)
二 邦貨を外貨に換算する場合にあっては、銀行が提示する対顧客直物電信売相場の始値( 日本貿易保険が認めたものをいう。)
三 一の外貨を他の外貨に換算する場合にあっては、銀行が提示する当該外貨間の換算率の始値( 日本貿易保険が認めたものをいう。)
2 次の各号の金額が外貨建てのときは、当該金額は、次の各号の規定に基づき邦貨に換算するものとする。ただし、運用規程に定めた場合は、この限りでない( 以下第3項及び第4項において同じ。)。
一 第3条及び第5条に規定する不動産に関する権利等の取得のための対価の額については、その送金日における前項第1号の外国為替相場により邦貨に換算する。
二 第3条第1項の直前に評価した額については、第2条第1号、第2号又は第3号の事由の発生直前の日、第3条第1項第1号の直後に評価した額については、第2条第
1号、第2号又は第3号の事由の発生直後の日における前項第1号の外国為替相場により邦貨に換算する。
三 第3条第1項第3号又は第2項第3号に規定する回収した金額については、回収を確認した日における前項第1号の外国為替相場により邦貨に換算する。
四 第3条に規定する金額( 前3号の金額を除く。)、第5条第1号及び第2号に規定する取得した金額若しくは取得し得べき金額又は第6条に規定する送金不能取得額については、その額が確定した日における前項第1号の外国為替相場により邦貨に換算する。
3 第30条第8項の規定に基づき回収した金額( 同条第9項の規定により回収したものとみなされる金額を含む。) を納付する場合において、回収した金額が不動産に関する権
利等の元本に表示された通貨( 以下「表示通貨」という。)と異なる通貨建てのときは、当該金額は、回収を確認した日( 同条第9項の場合にあっては、回収したものとみなされる日) における第1項各号の外国為替相場により表示通貨に換算するものとする。
4 第15条第3項又は第30条第7項に規定する日本貿易保険の負担する合理的費用は、次の各号の規定により換算する。
一 第30条第8項の規定に基づき日本貿易保険の負担する合理的費用を回収した金額から除く場合において、当該費用が表示通貨と異なる通貨建てのときは、当該費用は、その額が確定した日における第1項各号の外国為替相場により表示通貨に換算するものとする。ただし、当該費用について、当該費用に係る通貨を表示通貨で買い取って支払った場合は、当該買取に使用された換算率を適用する。
二 第30条第8項の規定によらない方法で日本貿易保険の負担する合理的費用を請求する場合において、当該費用が外貨建てのときは、当該費用は、その額が確定した日における第1項第1号の外国為替相場により邦貨に換算するものとする。ただし、当該費用について、当該費用に係る通貨を邦貨で買い取って支払った場合は、当該買取に使用された換算率を適用する。
5 第2項から第4項において定める日に第1項各号の外国為替相場がない場合は、その日の直前の第1項各号の外国為替相場のある日における当該外国為替相場を適用する。
6 第1項各号の外国為替相場が提示されていない外貨の場合には、他の通貨を媒体とした換算率を適用する。
7 日本貿易保険が特に認めた場合には、第2項から第6項までの規定にかかわらず、日本貿易保険の指定した換算率を適用する。
( 保険契約の内容の変更)
第33条 保険契約者は、被保険投資の内容の変更( 第21条第1項の重大な変更を除く。)がある場合には、保険契約の内容の変更を請求できる。
(保険の目的又は保険金請求権の譲渡)
第34条 被保険者は、この約款に基づく保険契約について、保険の目的又は保険金請求権を譲渡しようとするときは、譲受予定者と連名で事前に日本貿易保険の承認を受けなければならない。
2 日本貿易保険は、前項の承認に当たっては、条件を付けることができる。
( 保険金支払後の譲渡)
第35条 保険金支払日以後において、被保険者が、保険事故に係る不動産に関する権利等のうち被保険者が有している部分を譲渡しようとするときは、譲受予定者と連名で事前に日本貿易保険の承認を受けなければならない。
2 日本貿易保険は、前項の承認に当たっては、条件を付けることができる。
( 担保権の設定)
第36条 被保険者は、この約款に基づく保険契約について、保険の目的( 当該目的が不動産に関する権利又は設備に関する権利である場合には、当該権利の対象である不動産又は設備を含む。) 又は保険金請求権について質権、譲渡担保権、抵当権その他これらに類する担保権を設定しようとするときは、当該担保権の取得予定者と連名で事前に日本貿易保険の承諾を得なければならない。ただし、保険の目的のみについて質権、譲渡担保権、抵当権その他これらに類する担保権を設定しようとするときであって、日本貿易保険が認めた場合は、当該担保権の取得予定者との連名での承諾の取得は不要とし、被保険者が単名にて承諾を得ればよいものとする。
2 日本貿易保険は、前項の承諾に当たっては、条件を付けることができる。
( 取得のための対価の額の変更)
第37条 保険契約者は、被保険投資の内容変更その他合理的事由がある場合には、保険期 間の開始の日の毎年の応当日の1月前までに日本貿易保険に書面で申請することにより、当該応当日以後の当該事由に係る取得のための対価の額の変更に関する日本貿易保険の 承認の請求を行うことができる。
( 約款の改正)
第38条 日本貿易保険は、法令の改正、社会情勢の変動、その他相当の事由がある場合に、この約款を改正することができる。
( 手続事項)
第39条 この約款に規定するもののほか、保険契約に関する手続的な事項は、手続細則に定める。
( 準拠法令)
第40条 この約款に定めていない事項については、法及びこれに基づく命令その他日本国の法令の定めるところによる。
附 則
この約款は、平成29年4月1日から実施する。附 則
この改正は、令和2年4月1日から実施する。附 則
この改正は、令和3年1月18日から実施する。附 則
この改正は、令和3年4月1日から実施する。附 則
この改正は、令和4年4月11日から実施する。