輸出者である自社(売主=Seller)および取引相手(買主=Buyer)双方の名称や所在地を記載します。
輸出取引について
Q➌
輸出契約を締結する場合、契約書ではどのような事項を取り決めればよい
のか教えて下さい。
A➌
取引相手が見つかり、法的な問題をクリアしたところで、輸出契約を締結することになります。取引相手(輸入者)との間で、仕様書や見積書、サンプル等に基づいて取引条件を交
渉し、両者の希望条件に相違がある場合は、反対条件の申入れ(カウンターオファー)のやり取りを行
って、双方が合意に達したところで契約書を作成します。
輸出取引には国内取引と比べて、以下のような様々なリスクがあることから、契約書ではこれらを解決するための取り決めを盛り込む必要があります。
・取引相手国により、法律、商習慣、言語、文化などに違いがある。
・取引相手の支払能力や誠実さに不安があることが多い。
・契約から納品、代金決済までに時間差があり、確実に実行されるか不安がある。
・商品の輸送距離が長く時間も要するため、輸送中の事故による損傷や変質が起こりやすく、盗難の
危険性も高い。
・取引相手国とは決済通貨が異なるため、値決めや決済をどの通貨を基準として行うかという問題があり、また、外国為替相場の変動を考慮しなければならない。
契約書に盛り込むべき主要な項目は次のとおりです。(契約書の例は、「輸入取引について」A2参照)
1.取引当事者
輸出者である自社(売主=Seller)および取引相手(買主=Buyer)双方の名称や所在地を記載します。
2.品名、品質、仕様
品名のほか、品質や仕様を特定し、記載します。数量や単位についてもここで取り決めます。
3.使用通貨、価格
契約および決済に使用する通貨を取り決め、価格を記載します。取引相手国の外国為替管理上の規制により変更不可能な場合もありますが、為替リスクをどちらが負担するかに関わりますので、双方の交渉により決定します。
4.貿易条件(建値)
運賃、保険料の負担や、貨物の危険負担をどの時点で移転するかといった事項を取り決めた貿易条件(建値)を記載します。
5.輸送手段および仕向地
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船舶や航空機などの輸送手段と、貨物の荷揚港(空港)を指定します。分割輸送や積替の可否などの輸送条件についても取り決めます。
輸出取引について
6.出荷時期
船積みや航空会社への持込を行う期限を定めます。分割船積を許容する場合は、その割合や時期についても取り決めます。
7.梱包、荷印
商品の性質や輸送経路などに応じて、梱包の方法や材料を指定します。貨物を特定するための荷印
(Shipping Mark)についても必要に応じて記載します。
8.支払条件
代金決済の方法や時期について定めます。契約書の中でも非常に重要な事項です。
9.保険条件
保険金額と保険条件について記載します。
10.必要書類
通関書類や各種検査証明書、原産地証明書などの必要書類および部数を記載します。
11.その他の条件
知的財産権の保護に関する取り決めや、契約不履行時の措置、紛議が発生した場合の仲裁方法、準拠する法律などについて定め、記載します。
─ 19 ─
契約書の各条項や準拠法などにおいて、自社に有利な条件を引き出そうとする交渉が行われますが、取引の安全性や収益性を損ねることが無いように、十分に検討の上、取引条件を決定する必要があります。