(注)企業活動が環境・社会・経済のいずれかの側面に与えるインパクトを包括的に分析し、特定され たポジティブインパクトの増大とネガティブインパクトの減少に向けた取組みを支援する融資手法。企業による SDGs 達成への貢献度合いを評価指標とし、その過程を開示します。
各 位
株式会社八十二銀行
「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の契約締結について
八十二銀行(頭取 xx xx)と一般財団法人xx経済研究所(理事長 xx xx)は、「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(注)」の融資契約を株式会社サンジュニア(代表取締役社長 xx xx)と締結いたしました。
以下に概要をお知らせいたします。
(注)企業活動が環境・社会・経済のいずれかの側面に与えるインパクトを包括的に分析し、特定され たポジティブインパクトの増大とネガティブインパクトの減少に向けた取組みを支援する融資手法。企業による SDGs 達成への貢献度合いを評価指標とし、その過程を開示します。
1. 概要
契 | 約 | 日 | 2024 年6月 28 日(金) |
契約先 | 名称 | 株式会社サンジュニア | |
所在地 | xxxxx 0000-0 | ||
創業年月 | 1981 年9月 | ||
資本金 | 20 百万円 | ||
金 | 額 | 100 百万円 | |
資 金 使 途 | 事業資金 | ||
モニタリング | 八十二銀行及び一般財団法人xx経済研究所は、ポジティブインパクト金融原則に基づき構築した実施態勢に従い、インパクト評価を踏まえ株式会社サンジュニアが設定した KPI を、融資期間中におけるパフォーマンスとしてモニタリングします。 | ||
評価の対象 | 株式会社サンジュニア |
2. 株式会社サンジュニアの取組み(※ 詳細は別紙「評価書」をご参照ください。)
(1) 株式会社サンジュニアは、「xxエネルギーで暮らしと地域のxxを創る」という経営理念のもと、再生可能エネルギーであるxxエネルギー機器の開発・製造・施工・アフターサービスの提供を通して、地球環境保護、人々の快適な暮らし、持続可能な社会の実現に貢献する企業を目指しています。
(2) インパクト評価では、ポジティブインパクトが期待できる主な活動として、自社製品・サービス増加による「社会全体の CO2 排出量の削減」や PPA 契約先の増加による「事業パートナーとの連携」などが挙げられました。
(3) ネガティブインパクトを低減する活動としては、自然災害防止策の徹底による「発電設備の地面設置に伴う自然災害防止対策」や、xxx発電廃棄パネル再資源化の推進による「資源の有効活用」などに取り組まれます。
以 上
評価対象兼借入人 株式会社サンジュニア貸付人 株式会社八十二銀行
評価書作成者 一般財団法人xx経済研究所評価基準日 2024 年5月 31 日
目 次
1.UNEP FI のコーポレートインパクト分析ツールを用いた分析 18
2.個別要因を加味したインパクトエリア/トピックの特定 18
3.サステナビリティ活動と特定されたインパクトエリア/トピックの関連性 19
一般財団法人xx経済研究所は株式会社八十二銀行が株式会社サンジュニア(以下、「当社」という)に対してポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するに当たって、当社の活動が、社会・経済・環境に及ぼすインパクト(ポジティブな影響およびネガティブな影響)を分析・評価した。
分析評価は、株式会社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI )が策定した「ポジティブ・インパクト金融原則」および ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブ・インパクト・ファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則っている。
本ファイナンスの概要
契約期間 | 2024 年6月 28 日~2029 年5月 31 日 |
金額 | 100,000,000 円 |
資金使途 | 運転資金 |
モニタリング期間 | 5年間 |
会社名 | 株式会社サンジュニア | ||
本社所在地 | xxxxxxxx 0000-0 | ||
代表取締役社長 | xx xx | ||
設立 | 1981 年9月1日 | ||
資本金 | 2,000 万円 | ||
業種 | xxx・熱システム関連機器の設計・開発並びに製造・施工・メンテナンス業 | ||
事業内容 | xxx・熱システム関連機器の設計・開発並びに製造・施工太陽熱給湯器及び太陽熱暖房機器等の製造・卸・販売 建築資材・厨房器具等の卸・販売業、建築工事及び土木工事の設計・施工請負 | ||
単体売上高 | 2,914 百万円(2023 年8月期) | ||
従業員数 | 84 人(パート・アルバイト含む)(2023 年 12 月 31 日現在) | ||
主要取引先 | 仕入 | xx通商(株)、三菱電機(株)、パナソニック(株)、(株)サンテックジャ パン、(株)長府製作所、三協立山(株)、xx鋼材(株)他 | |
販売提携 | JA 全農xx、JA 全農群馬、JA 全農やまなし、JA 全農さいたま、 JA 全農東京、JA 全農いばらき | ||
販売 | 一般事業法人、一般個人、自治体、教育機関、福祉施設 | ||
関連組織 | 名称 | 所在 | 当社事業との関連 |
エスティーエス株式会社 | 静岡県沼津市 | 太陽熱給湯システム貯湯槽の供給 |
▲本社全景
年 月 | 概要 |
1981 年9月 | 家庭用太陽熱給湯システムの販売を目的に共同出資会社(株)サンジュニアを設立 |
1982 年3月 | 通産省ソーラーシステム振興協会から、太陽熱給湯システムの施工販売の実績に対し、全国表彰受賞 |
1983 年3月 | 国の実施するエネルギー対策の太陽熱給湯システム普及促進年間キャンペーンで全国1位の表彰受賞、以後7年連続販売施工実績全国1位の受賞継続 |
1988 年9月 | 全自動床暖房(関連特許3件)・床暖房用オイルボイラーを開発、販売開始 |
1989 年9月 | 水道凍結防止ヒーター用 節電サーモ(特許品)開発、販売開始 |
1991 年6月 | 独自開発プレハブユニット工法による、一般住宅の増改築・リフォーム事業開始 |
1993 年8月 | 新型太陽熱給湯システム「スーパーサンジュニアインターナショナル」を開発、販売開始 |
1996 年 10 月 | 融雪装置「消雪システム」を開発、販売開始 |
2008 年2月 | 太陽熱量計測器を国内初開発、販売開始 |
2008 年3月 | 本社工場を対象に、品質マネジメントシステムの国際認証 ISO9001取得 |
2011 年7月 | 太陽熱従量販売事業を開始 |
2012 年 10 月 | 国内初となる、xxx発電固定価格買取制度を利用した公立学校へのxxx発電 設備設置事業「学校ソーラー」を開始 |
2013 年3月 | 中規模xxx発電システムのオリジナルブランド「HELIOS」販売開始 |
2013 年7月 | 住宅用xxx発電システムのオリジナルブランド「HELIOS JUNIOR」販売開始 |
2016 年 10 月 | 家庭用太陽熱給湯システム「グリーンサンジュニア」販売開始 |
2018 年9月 | xxx電力供給事業「あおぞら電力」を開始 xxxと太陽熱のパッケージ商品「あおぞらソーラー」販売開始 |
2020 年1月 | 自家消費優先型xxx発電電力供給・設備設置事業「あおぞら電力 smart」を開始 蓄電池システムのオリジナル製品「蓄電ユニット」を開発、販売開始 |
(1)営業拠点
xx県内(7拠点) xx営業所(xx市)、xx営業所(xx市)、xx営業所(xx市)、xx営業所(安曇野市)、xx営業所(xx市)、伊那営業所(伊那市)、xx営業所(xx市) |
xx県外(7拠点) xx営業所(群馬県xx市)、xx営業所(群馬県xx市)、埼玉営業所(埼玉県寄居町)、府中営業所(xxx府中市)、甲府営業所(山梨県xx市)、xx営業所(栃木県xx市)、茨城営業所(茨城県xx市) |
(2)リサイクル拠点
xx県xx市 | 自社製品の廃棄物を分解・分別、リサイクル資源として出荷 |
(1)経営理念
「xxエネルギーで暮らしと地域のxxを創る」
サンジュニアは再生可能エネルギーであるxxエネルギー機器の開発・製造・施工・アフターサービスの提供を通して、地球環境保護、人々の快適な暮らし、持続可能な社会の実現に貢献する企業を目指します。
(2)経営方針
⚫ 「顧客」、「地球環境保護」、「地域社会」に貢献できる製品、サービスの実現に挑戦し続けます。
⚫ 使命感を持ち、目標達成の為の必要な能力を身に着けた人材を育成します。
(3)環境方針
⚫ 環境に配慮した製品造りと事業活動に積極的に取り組みます。
⚫ 問題点を明確化し、効果の大きいものから対処します。
⚫ 具体的な環境経営目標及び環境経営計画を作成し、その達成に努めます。
⚫ 環境関連法規を遵守し、誠実でxxな事業活動を実施し、投資します。
⚫ 環境啓発、啓蒙活動を通じ、社員一人ひとりが環境保全活動を自覚し、自主的に実行できるようにします。
⚫ 実施した環境保全活動を取りまとめ、社外に公表し、会社の信用を高めます。
⚫ 環境問題対処法を活用し、経営手法を身に付けます。
(4)品質方針
⚫ xxエネルギーのプロになろう。
顧客に適切な製品・サービスを提供する為に、積極的に学び、実践し、成長します。
⚫ より魅力ある製品、サービスを提供しよう。
顧客のニーズを伺う機会を逃さず、求められる製品・サービスを実現します。現在の製品、サービスについて改善の機会を常に常に求めていきます。
⚫ どうしたらできるかを考え実行しよう。
難しい課題、困難なテーマでも前向きにチャレンジします。
当社では、経営理念として、xxエネルギー利用による持続可能な社会実現の貢献を目指している。経営方針で、顧客・環境保護・地域社会を意識しつつ、これに関わる人材の育成を明確にし、環境方針と品質方針でより具体的な事業活動の考え方を示し、社員一人ひとりにプロ意識を徹底している。
これらを踏まえた事業展開策として、再生可能エネルギー調達の有効手段であるxxx発電・太陽熱給湯システムを広く社会に普及させる活動に取り組んでいる。
事業セグメント | 主要製品・サービス | 単体売上高 (2023 年8月期) (単位:百万円) | 割合 (%) | |
xx エネルギー 利用事業 | xxx発電システム事業 | xxx発電システム及び蓄電池システムの販売・施工・アフターメンテナンス | 1,406 | 48.2 |
xxx発電設備による電力売電 | 99 | 3.4 | ||
太陽熱給湯システム事業 | 太陽熱給湯システムの販売・施工・アフターメンテナンス | 416 | 14.3 | |
化 xx 宅業 快 適 | 住宅リフォーム事業 | 住宅増改築の施工 | 355 | 12.2 |
その他 | その他修理メンテナンス、機器販売等 | 638 | 21.9 |
当社は、1981 年9月に家庭用ソーラーシステム(太陽熱給湯システム)の販売を目的に設立された。xxx発電に代表される再生可能エネルギーとしてxxxの利用は現在では一般的ではあるが、当時からxxxのエネルギー利用に着目し、この有効活用策として太陽熱を利用した寒冷地向けの家庭用給湯システムを自社開発したのが創業の契機である。このシステムは、一般住宅の屋根に集熱器を設置し、地上の熱交換機との間で不凍液を循環させることで水からお湯を沸かすもので、電力や灯油等の燃料費の大幅な節減に寄与するものである。当社の強みは製品開発をはじめ、個々の設置に関して、設計から設置に伴う屋根工事、運用中のアフターメンテナンスまで自社で一貫して行う体制にある。販売戦略としては、自社の営業部門の他、地域の JA と販売提携体制を組むことで、地域の農家に対する販売網を確立した。この結果、国の実施するエネルギー対策の太陽熱給湯システム普及促進年間キャンペーンで 1983 年から7年連続で販売施工実績全国1位の表彰を受賞している。業績の伸長に合わせ、営業エリアを地元であるxx県から群馬県・埼玉県・xxx・山梨県・栃木県・茨城県にまで拡大している。
また、創業来、太陽熱給湯システムに携わることで、提案・販売・施工・アフターサービス・製品開発・製造管理に関連するノウハウを積み上げ、xxx利用の新たな手段としてxxx発電事業へ進出した。これは当社の大きな事業展開の契機であり、近年の売上構成では、約5割をxxx発電システム関連事業が占めるまで拡大している。再生可能エネルギー調達の有効手段として、近年はxxx発電市場に多くの事業者が参入しているが、当社は、提案力をはじめ、個々の設置に関する設計から設置工事、運用中のアフターフォロー、廃棄処分まで一貫した体制を構築している数少ない企業である。
なお、xxの太陽熱給湯システムの取り扱いから蓄積されたノウハウからは、自社オリジナル開発の床暖房システム、水道管凍結防止ヒーター節電器、屋根の消雪システム、省エネリフォーム技術等の周辺事業に幅広く展開され、事業領域は、単にxxx活用事業に留まらず、「快適&省エネ」をキーワードにした住宅快適化総合事業に拡大している。
(1)xxエネルギー利用事業
⮚ xxx発電システム事業
施工事例
xxx発電による電力供給の流れ | ||||
太 が発 | ①xx電池パネル ②接続箱 陽の光を受けると電気 発生した電気を集めイン生 バーターへ供給 | |||
③インバーター 直流から交流へ電力変換 | ④分電盤 家庭内の各回路へ電気を供給 | ⑤電力計 電力の売買を記録 | ||
当社で施工するxxx発電システムは、太陽熱給湯システムでxx培った施工ノウハウと技術を生かし、設計・施工から、設置後のアフターサービスまで一貫して請け負う体制を敷いている。また、発電量をリアルタイムで監視・管理する遠隔監視システムや、各部材をユニット化し、汎用性を高めた中・大規模施工システム「ヘリオスシリーズ」を独自開発する等、高機能ながら価格面でも導入し易さを追求する事でxxx発電システムの普及を推進している。また、再生エネルギーの固定価格買取制度を利用し、自らも事業者として発電事業に参入、中でも学校の屋根を借りた発電所事業は全国初の試みとなっている。
▲当社オリジナルxxx発電パネル
住宅への設置 | アパートへの設置 | 土地への設置 |
工場への設置 | 倉庫への設置 | 学校ソーラー |
⮚ 太陽熱給湯システム事業
太陽熱給湯システムとは、屋根に設置した太陽熱集熱器と地上の熱交換器との間に不凍液を循環させることで、太陽熱を熱源に熱交換器内で熱交換することで水の温度を上げ、給湯するシステムである。給湯に必要な燃料(ガス・灯油・電気等)を大幅に節約できるため、省エネルギー化と CO2 排出削減に貢献するシステムである。
寒冷地向けの給湯システムとして、40 年以上前から自社開発・改良を進め、これまでの設置実績は約 30,000 件に及ぶ。自社での一貫開発・設計・施工システムのため、使用中の多様な給湯機器に接続可能で、住宅用をはじめ、業務用から学校のプールシャワーまでニーズに合わせた様々なシステム構築が可能である。
施工事例
また、全ての機種に燃料換算(ガス・灯油・電気等)削減量と CO2 排出削減量を把握するための独自開発エコモニター「グリーン熱積算熱量計(計量検定済)」を搭載、太陽熱の利用効果の可視化と把握を可能にしている。この計測結果の一部は、2014 年に環境付加価値として証書化、「グリーン熱証書」として取引されている。
▲太陽熱給湯システム機器
⑤各所に給湯
④状況に応じボイラーで追い焚き
③蓄熱層内の水を熱する
②不凍液で熱を循環
①集熱器で太陽熱を吸収
太陽熱給湯システムの仕組み
住宅への設置 | 工場への設置 | 入浴施設への設置 |
スポーツ施設への設置 | 学校プールへの設置 | 動物園への設置 |
(2)住宅快適化事業
「快適&省エネ」をキーワードに、これまで当社が培った技術・提案力で住宅のリフォームから節電機器の交換まで幅広い対応が可能である。
⮚ 住宅リフォーム
住宅リフォーム工事に際しては、これまでのxxx・太陽熱に携わった知見を活かし、単純なリフォーム工事に留めず、様々な観点から省エネ対策を検討し、エネルギー効率優先の提案を行っている。
⮚ 床暖房システム
太陽熱給湯システムで培った流体熱媒コントロール技術が活用されている。
⮚ 節電サーモ
寒冷地において、暖房とともに冬の電力消費を大きくする要因が、水道管の凍結防止のための「凍結防止ヒーター」の電気代である。「節電サーモ」は外気温に応じ、きめ細かくON/OFF を切替えることで大きく節電を可能にした当社独自の商品である。
⮚ 消雪システム
豪雪地域では、冬季の住宅屋根の雪下ろし作業が必要であるが、これは非常に危険かつ過酷である。近年は、高齢化社会の進展により作業者が不足し、社会問題化している。
当社の消雪システムは、機能・経済性を追求した独自設計・開発の商品で、新築住宅はもとより、既存の屋根にも設置可能である。
当社では、常に顧客の声に耳を傾け、豊富なデータをフィードバックすることで最高の性能を追求した製品を製造し、顧客へ提供している。以下はこれら事業モデルをイメージ化したものである。
実測データ
意見・要望
お客様
提案
最高の性能発揮・満足提供のための詳細な提案
▲xxx発電提案図面
販売・施工
40年以上の施工実績とノウハウを集結した施工
屋根材を傷めない工法
アフターサービス
関東甲信に広がる万全のサービス体制
充実した保守点検制度
製品開発・改良・改善
暮らしに役に立ち、エコロジーでハイレベルな製品開発
▲グリーン熱積算熱量計
太陽熱利用のエネルギー換算を可視化
製造
ISO9001 国際認証に裏付けされた最高品質の製品生産体制
集熱器の熱交換率は業界トップ水準
(資料)社内資料・ヒアリングを基に当研究所で作成
(1)低い日本のエネルギー自給率
主要国の一次エネルギー自給率比較
(2021年)
表内の順位はOECD38カ国中の順位
745.7% 一次エネルギーとは、石油・天然ガス・石炭等自然から直接採取できるエネルギー、さらにこれらを転換・加工することで得ら
れる電力・都市ガス・ガソリン・灯油等が二次エネルギー
327.4%
185.7% 103.5% 63.1%
54.0%
35.3% 30.5% 18.0% 13.3% 8.5%
構成内容
再エネ等水力
原子力 天然ガス原油
石炭
日本の一次エネルギー自給率(2021 年)は、13.3%で、OECD38 カ国中 37 位と極めて低い水準となっている。この理由としては、石油・石炭・天然ガスといった資源に乏しいことがあげられる。また、陸続きのヨーロッパ諸国では、国境を越えて送電線や天然ガスのパイプラインが張り巡らされているため、自国で電力を安定的に供給することができなくなった場合でも、発電容量の大きい周辺国との間で電力の輸出入が行われている。これに対し、島国の日本は、周辺国とのエネルギーの融通は難しいため、資源xxで島国の日本にとって、エネルギー資源を安定かつ経済的に確保していくことは、国家の基盤にかかわる重要な問題となっている。
(資料)資源エネルギー庁の資料を基に当研究所で作成
(2)外部要因により変動しやすい国内電気料金
平均モデルの電気料金推移(2022年度末)
政府の激変緩和措置による一時的下落
また、国内の電気料金は、エネルギー資源に乏しいことから、外部要因(輸入価格・為替・地域紛争等)による影響を受けやすく、大きく変動する側面がある。また、政府による補填政策を加味しない場合、長期的には上昇傾向にあるため、国民生活の負担増加要因となっている。
(資料)東京電力ホールディングス HP 資料を基に当研究所で作成
(3)カーボンニュートラルに向けた課題
日本が排出する温室効果ガスのうち約9割を CO2 が占めており、その総排出量は約 10.37 億トンとなっている(2022 年度実績)。このうちの約 41%が発電のためのエネルギー転換部門からの排出で、この大半を火力発電が占めている。2050 年までのカーボンニュートラルを実現するためには、エネルギー転換部門における火力発電による CO2 排出を削減する必要がある。
国内エネルギー起源CO2排出量
家庭部門 非エネルギー部門
5%
7%
2022年度総排
出量 10.37 億t
業務部門
5%
運輸部門
18%
エネルギー
転換部門
41%
このうち、火力発
電からの排出が占める割合が大きい
産業部門
24%
(資料)環境省「2022 年度の温室効果ガス排出量・吸収量」のデータから当研究所で作成
また、発電手段についてライフサイクルの観点からCO2 排出量を比較すると、xxx発電をはじめとした再生可能エネルギーは、化石燃料由来の発電方法に比べ、原料の採掘・運搬・燃焼・設備運用等一連の活動を通じた CO2 総排出量が少ないため、気候変動への影響が極めて少ない。
1000
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
電源別ライフサイクル CO2 排出量※
1kWh あたりの排出量(単位:g-CO2/kWh)
※ライフサイクル CO2 排出量
発電燃料の燃焼に加え、原料の採掘から発電設備等の建設・燃料輸送・精製・運用・保守等のために消費される全てのエネルギーを対象として CO2 排出量を算出したもの
設備運用
発電燃料燃焼
※
※
※
※
※:再生可能エネルギー
(資料)(一財)電力中央研究所「日本における発電技術のライフサイクル CO2 排出量総合評価
(2016.7)」を基に当研究所で作成
(1)政府の 2050 年カーボンニュートラル宣言
当時のx内閣総理大臣は 2020 年 10 月 26 日の所信表明演説において、2050 年までのカーボンニュートラル達成を宣言している。加えて、翌年4月にx内閣総理大臣は、地球温暖化対策推進本部及び米国主催の気候サミットにおいて、①2050 年目標と整合的かつ野心的な目標として、2030 年度までに、温室効果ガスを 2013 年度比 46%削減すること、②さらに 50%削減の高みに向けて、挑戦を続けていくことを表明し、国内で発生する温室効果ガスの大幅な削減を国際社会に宣言している。
(2)「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」の閣議決定(2023 年2月)
気候変動問題への対応に加え、ロシア連邦によるウクライナ侵略を受け、国民生活及び経済活動の基盤となるエネルギー安定供給を確保するとともに、経済成長を同時に実現するための基本方針として、①再生可能エネルギーや原子力など脱炭素電源による自給率の向上、②GX 実現に向けた先行投資支援を掲げ、これらの取り組み策として、電源構成に占める再生可能エネルギー比率の引上げ、再生可能エネルギーの主力電源化、xxx発電の適地への最大限導入、発電コストの低減等を示している。
(3)国による導入支援補助金・支援金などの制度
省庁 | 名称 | 令和6年度予算 規模 |
経済産業省 | 戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支 援事業 | 75.5 億円 |
農林水産省・経済産業 省・国土交通省連携 | 建築物等の ZEB 化・省CO2 化普及加速事業 | 47.1 億円 |
資源エネルギー庁 | 需要家主導型xxx発電・再生可能エネルギー電源併 設型蓄電池導入支援事業 | 100 億円 |
資源エネルギー庁 | 再生可能エネルギー導入拡大に向けた系統用蓄電池 等の電力貯蔵システム導入支援事業 | 400 億円 |
資源エネルギー庁 | エネルギー構造高度化・転換理解促進事業費補助金 | 72 億円 |
政府は、xxx発電設備の導入・設置にあたって資金面でも補助金・支援金による支援制度を拡充させている(以下、各省庁ウェブサイトより当研究所で一部抜粋)。
各年に設置された事業用xxxの kWh 当たりコストの平均値の推移を見ると、着実なコスト低減傾向が見られ、2022 年設置の平均発電単価は概ね 12~14 円/kWh 程度となっており、再生可能エネルギー調達のためのxxx発電の優位性は高まっている。
(資料)経済産業省「xxx発電について」より
また、他の発電設備に比べて、近年のxxx発電はコスト優位にあることが確認できる。
発電コスト検証(発電設備ごとのコスト比較)
xxx発電コスト(円/kWh) 事業用 8.2~11.8、住宅 8.7~14.9
(資料)資源エネルギー庁「発電コスト検証について」(2021年8月4日)を基に当研究所で作成
当社のサステナビリティに関する活動を以下のとおり、社会・経済・環境の各側面で確認した。なお、各活動にインパクトツールで抽出された【インパクトエリア/トピックとポジティブ(P)・ネガティブ(N)】を表示する(P20 インパクトエリア/トピック特定一覧表参照)。
⮚ 発電設備の地面設置に伴う自然災害防止対策【自然災害(N)】
地面設置のxxx発電機を設置する場合、基本的に遊休農地を対象とし、災害発生の可能性の高い森林には設置していない。また、条例の設置基準に厳格に対応するとともに、降雪量の多い地域では、自社ノウハウによる雪害防止策を講じている。設置後は、法令で定められた定期メンテナンスを実施(最低4年に一度)し、常時発電設備のモニタリングにより、異常時には当日中に現地確認可能な体制を構築している。
⮚ 労働安全衛生体制の整備【健康および安全性(N)】
xxx・太陽熱事業は共に屋上での作業が必要となり、高所作業および夏場の熱中症の危険性が高い。当社では、従来から熱中症社内一斉アラートの発信、電動ファン付き作業服の支給、日中高温時間帯の作業中止等、徹底した対策を実施しており、創業来熱中症発症者はゼロを継続している。
また労務管理面では、長時間労働を避けるため、時間外勤務管理は上司指示を徹底し、止むを得ず深夜工事の場合には振替休日を必ず付与している。さらに労働安全意識を向上させるため、安全大会を毎年、安全会議は年2回開催している。
上記に加え、従業員などの健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践していることから、健康経営優良法人の認定を取得している。
健康経営優良法人認定証▶
⮚ xxエネルギーの利用普及促進(エネルギーへのアクセスの向上)【エネルギー(P)】
主業であるxxx発電・太陽熱給湯システム事業は、地域社会のエネルギーへのアクセスを容易にするものであり、当社の事業活動自体が社会のサステナビリィティに直結している。
2012 年には、自らの事業所において先導的な節電等の実践的取り組みと、県民への節電等の普及
啓発の取り組みを行う意欲的な事業者である「信州省エネパートナー」としてxx県から認定・登録された実績がある。
また、専門家として地元xx県xx市の地球温暖化防止推進協議会、国や自治体の導入促進策として補助金・助成金のアドバイザーとして活動域を広げている。
⮚ 働き方多様化への対応【雇用(P)】【社会的保護(N)】
働き方の多様化への対応として、有給休暇制度の他、半日休暇・代休・育休などの諸制度を充実させながら、誰もが活き活きと働くことができる職場環境づくりに取り組み、様々なライフスタイルやニーズに合わせた働き方ができる企業として、2018 年9月にxx県から「いきいきアドバンスカンパニー
(ワークライフバランスコース)」の認定を受け、現在も継続中である。この他に、社員の子育てサポート企業として、2022 年 12 月には厚生労働省から「xxxん認定」も受けている。これら働き方多様化への取り組みは、当社の雇用増加に寄与している。
▲職場いきいきアドバンスカンパニー認証書 ▲xxxん認定通知書
⮚ 賃金・給与体系の整備【教育(P)】【賃金(P)】
従業員のxx感・達成感・納得感を得られるようにxxな人事評価システムを導入している。評価の着眼点としては、情報の収集力・効果的プロセス・目標達成度・検証からの努力としており、これらは待遇面に反映される仕組みである。
⮚ 賃金・給与体系の整備【賃金(N)】
xxな評価制度に基づくxxな賃金体系を賃金規程に規定済みで、業界標準を十分に満たす給与水準である。
⮚ 社会保障制度の整備【教育(P)】【社会的保護(N)】
社会保険・雇用保険・労災保険・退職金制度等を整備済みである。また、資格取得などキャリアアップによる資格手当の支給や、大学生の子女が家族にいる場合の在学中の子女就学手当の支給、扶養手当の支給等の諸手当も充実させている。
⮚ 事業パートナーとの連携【零細・中小企業の繁栄(P)】【インフラ(P)】、環境面【気候の安定性(P)】
xxx発電事業では、自社が PPA 事業者となる売電事業を展開しており、本事業では、当社は需
要家(主に中小企業)と PPA 契約※を締結し、事業パートナーの関係となっている。この関係は通常 20年間の長期に及ぶことから、設置時に実施する日射角度調査や発電量・電気料金の予測、償却見込み額等の需要家の財務面への詳細な影響調査の正確性、長期間の適切なアフターサービスが求められる。当社では、これまで多くの PPA 契約を締結し、事業パートナーの円滑な再生エネルギー調達を支援し、事業連携している。この他に、太陽熱給湯システム事業においても同様なスキームを構築し、事業パートナーと事業連携中である。
※PPA 契約
電力の需要家は所有する建物の屋根や遊休地を PPA 事業者に貸し、PPA 事業者がxxx発電設備を設置して再生可能エネルギー電気を調達するシステム
xxx発電設備を無料で設置し、管理運営を行う
PPA 事業者
需要家
PPA 契約
xxx発電で余った電力は
電力会社へ売却
使用した分の電気代を支払う
xxx発電で足りない電力は
電力会社から購入
(資料)当研究所にて作成
⮚ xxx・熱の利用普及促進(インフラ整備促進)【インフラ(P)】
主業であるxxx発電・太陽熱給湯システム事業の伸長が、地域社会のインフラ整備促進に貢献するものであり、社会のサステナビリィティに直結している。これを進展させる手段として、xxx発電および太陽熱給湯システムのメリット訴求、導入しやすさの工夫として、補助金や助成金制度の紹介、地域深耕策としての JA 組織との営業連携等を展開している。
⮚ xxエネルギーの利用普及促進(社会全体の CO2 排出量の削減)【気候の安定性(P)】(追加インパクト)
主業であるxxx発電・太陽熱給湯システム事業自体が、社会全体の化石燃料由来の CO2 排出削減に寄与しており、環境面でサステナビリィティに直結している。
⮚ 自社の CO2 排出量の削減【気候の安定性(N)】
エコアクション21活動による排出管理と削減に取り組んでいるが、優先して対応すべき課題として、保有する営業車両の排出するCO2 削減があげられる。関東信越の広範囲で営業展開するため、保有車両は 70 台に及ぶが、これら車両のほとんどでHV 化が進んでおらず、当社全体の CO2 排出量の多くを占めている。今後、これらの車両入替による CO2 排出量削減の検討を計画している。
営業車両の他に輸送用大型トラックも保有しており、こちらの HV への入れ替えも検討したが、車種が絞られるため、現時点では具体的な予定はない。
⮚ 工業用水の利用と排水の管理【水域(N)】
太陽熱給湯システムの製品検査のために工業用水を使用している。こちらもエコアクション21活動の対象に組み入れ、使用量削減に取り組んでいる。
⮚ 大気汚染物質の削減【大気(N)】
大気汚染物質に関しては、使用する営業および輸送用車両からの排出抑制策として、自社独自開発の燃費管理ステムによる営業および輸送用車両の燃費管理を実施し、エコアクション21の取り組みにおいて管理している。
⮚ 資源の有効活用【資源強度(N)】【廃棄物(N)】
使用済みのxxx発電パネルの廃棄処分は、埋め立て処理を行っているが、今後、その廃棄量の増加が予想されるため、再資源化の具体策について、検討を計画している。
なお当社では、廃棄物リサイクル拠点をxx県xx市内に保有しており、自社廃製品を中心に本拠点にて解体・分別し、資源のリサイクルに繋げている(社外品についても対応可能)。
▲リサイクルを見据えた製品開発・加工
▲自社廃製品のリサイクル拠点
⮚ 廃棄物の削減【資源強度(N)】【廃棄物(N)】
エコアクション21活動において廃棄物管理を実施し、削減に取り組んでいる。
分別が徹底された破棄物置場▶
1.UNEP FI のコーポレートインパクト分析ツールを用いた分析
「UNEP FI のコーポレートインパクト分析ツール」を用いて、当社の事業について網羅的なインパクト分析を実施した。その結果、ポジティブ・インパクトとして「エネルギー」「住居」「コネクティビティ」「雇用」「賃 金」「零細・中小企業の繁栄」「インフラ」が、ネガティブ・インパクトとして「現代奴隷」「自然災害」「健康および安全性」「賃金」「社会的保護」「民族・人種平等」「その他の社会的弱者」「気候の安定性」「水域」「大気」
「土壌」「生物種」「生息地」「資源強度」「廃棄物」が抽出された。
当社の個別要因を加味して、同社のインパクトエリア/トピックを特定した。その結果、サステナビリティ活動に関連のあるポジティブ・インパクトとして「教育」及び「気候の安定性」を追加した。一方で、ポジティブ・インパクトのうち、事業として住宅の供給は無いことから「住居」を、情報関連事業も無いことから「コネクテビィティ」を削除した。また、ネガティブ・インパクトのうち、労働法が順守されているため「現代奴隷」を、当社の事業との関連からは想定されないため、「民族・人種平等」及び「その他の社会的弱者」を削除し、また、地面設置のxxx発電機設置に関して土壌汚染や生物への影響は認められないことから「土壌」
「生物種」「生息地」を削除した。(P20「インパクトエリア/トピック特定一覧表」参照)
3.サステナビリティ活動と特定されたインパクトエリア/トピックの関連性
当社のサステナビリティ活動とインパクトエリア/トピックの関連を以下のとおり確認した。
活動 | 側面 | インパクトエリア/トピック | P/N |
発電設備の地面設置に伴う自 然災害防止対策 | 社会 | 自然災害 | ネガティブの低減 |
労働安全衛生体制の整備 | 社会 | 健康および安全性 | ネガティブの低減 |
xxエネルギーの利用普及促 進 | 社会( 経済・環境共 通) | エネルギー | ポジティブの増大 |
人材育成 | 社会 | 教育 | ポジティブの増大 |
働き方多様化への対応 | 社会 | 雇用 | ポジティブの増大 |
社会的保護 | ネガティブの低減 | ||
賃金・給与体系の整備 | 社会 | 賃金 | ポジティブの増大 |
ネガティブの低減 | |||
社会保障制度の整備 | 社会 | 社会的保護 | ネガティブの低減 |
事業パートナーとの連携 | 経済 | 零細・中小企業の繫栄 | ポジティブの増大 |
インフラ | |||
環境 | 気候の安定性 | ||
xxエネルギーの利用普及促 進 | 経済( 社会・環境共 通) | インフラ | ポジティブの増大 |
xxエネルギーの利用普及促進 (社会全体の CO2 排出量の削 減) | 環境( 社会・経済共通) | 気候の安定性 | ポジティブの増大 |
自社の CO2 排出量の削減 | 環境 | 気候の安定性 | ネガティブの低減 |
工業用水の利用と排水の管理 | 環境 | 水域 | ネガティブの低減 |
大気汚染物質の削減 | 環境 | 大気 | ネガティブの低減 |
資源の有効活用 | 環境 | 資源強度 廃棄物 | ネガティブの低減 |
廃棄物の削減 | 環境 | 資源強度 廃棄物 | ネガティブの低減 |
インパクトエリア/トピック特定一覧表
インパクトカテゴリー | インパクトエリア | インパクトトピック | 分析ツールにより抽出されたインパクトエリア/トピック | 個別要因を加味した インパクトエリア/トピック | ||
ポジティブ | ネガティブ | ポジティブ | ネガティブ | |||
社会 | 人格と人の安全保障 | 紛争 | ||||
現代奴隷 | ● | (削除) | ||||
児童労働 | ||||||
データプライバシー | ||||||
自然災害 | ● | ● | ||||
健康および安全性 | ● | ● | ||||
資源とサービスの入手可能性、アクセス可能性、手ごろさ、品質 | 水 | |||||
食料 | ||||||
エネルギー | ● | ● | ||||
住居 | ● | (削除) | ||||
健康と衛生 | ||||||
教育 | ●(追加) | |||||
移動手段 | ||||||
情報 | ||||||
コネクティビティ | ● | (削除) | ||||
文化と伝統 | ||||||
ファイナンス | ||||||
生計 | 雇用 | ● | ● | |||
賃金 | ● | ● | ● | ● | ||
社会的保護 | ● | ● | ||||
xxとxx | ジェンダー平等 | |||||
民族・人種平等 | ● | (削除) | ||||
年齢差別 | ||||||
その他の社会的弱者 | ● | (削除) | ||||
経済 | 強固な制度・平和・安定 | 法の支配 | ||||
市民的自由 | ||||||
健全な経済 | セクターの多様性 | |||||
零細・中小企業の繁栄 | ● | ● | ||||
インフラ | ● | ● | ||||
経済収束 | ||||||
環境 | 気候の安定性 | ● | ●(追加) | ● | ||
生物多様性と生態系 | 水域 | ● | ● | |||
大気 | ● | ● | ||||
土壌 | ● | (削除) | ||||
生物種 | ● | (削除) | ||||
生息地 | ● | (削除) | ||||
サーキュラリティ | 資源強度 | ● | ● | |||
廃棄物 | ● | ● |
「UNEP FI のインパクト評価ツール」を用いたインパクト分析結果を参考に、当社のサステナビリティに関する活動を同社の HP、提供資料、ヒアリングなどから網羅的に分析するとともに、同社を取り巻く外部環境等を勘案し、同社が環境・社会・経済に対して最も強いインパクトを与える活動について検討した。そして、同社の活動が、対象とするエリアやサプライチェーン・製品のライフサイクルにおける社会・経済・環境に対して、ポジティブ・インパクトの増大やネガティブ・インパクトの低減に最も貢献すべき活動をインパクトエリア
/トピックとして特定した。
特定されたインパクトエリア/トピックに関連し、KPI を設定する。ただし、社会面の教育「ポジティブ」については、研修・教育体系の他、資格取得を奨励する人事評価制度により教育体制が整備・運用されていること、賃金「ポジティブ」については、人事評価制度の整備と導入により給与水準アップが見込まれること、
「ネガティブ」についてはxxな評価制度導入によりxxな賃金水準にあること、また、社会的保護「ネガティブ」についても、企業として従業員の生計維持に必要な社会保障制度に加入済みであることから、KPI 設定による追加的促進もしくは低減は不要とする。
No. | 1 | |
インパクトトピック | エネルギー(ポジティブの増大)、インフラ(ポジティブの増大)、気候の安定性(ポ ジティブの増大) | |
目的・テーマ | xxエネルギーの利用普及促進、社会全体の CO2 排出量の削減 | |
取り組み内容 | ①xxx発電システム販売増加 ②太陽熱給湯システム販売増加 ③自社製品・サービス増加による社会全体の CO2 排出削減への貢献 | |
KPI | ①件数ベース 20%増加(達成期限: 2029 年5月末) ②件数ベース 20%増加(達成期限: 2029 年5月末) ③社内算定ベース削減量 163,476 ㎏-CO2(達成期限: 2029 年5月末) エコアクション 21 での報告ベース 2023 年度実績 132,192 ㎏-CO2 | |
対応するSDGs (ターゲット) | 7.1 2030 年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。 9.1 すべての人々に安価でxxなアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラを開発する。 13.1 すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。 |
No. | 2 |
インパクトトピック | 雇用(ポジティブの増大) 社会的保護(ネガティブの低減) |
目的・テーマ | 休暇制度の充実、働き方多様化への対応による雇用確保と増加 |
取り組み内容 | 有給休暇取得推進 | |
KPI | 保有割合に対する有給休暇消化率 40%(達成期限: 2029 年5月末) 2023 年度実績 37% | |
対応するSDGs (ターゲット) | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 |
No. | 3 | |
インパクトトピック | 自然災害(ネガティブの低減) | |
目的・テーマ | 発電設備の地面設置に伴う自然災害防止対策 | |
取り組み内容 | 自然災害防止策の徹底 | |
KPI | 当社施工を起因とする土砂崩れ・土砂流出・水害発生・地盤沈下などの自然災害発生件数0件継続 (xx的取り組み目標、ファイナンス中の継続期間 2029 年5月末) | |
対応するSDGs (ターゲット) | 11.b 2020 年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組 2015-2030 に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。 13.1 気候関連災害や自然災害に対する強靭性と適応能力を強化するすべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。 |
No. | 4 |
インパクトトピック | 健康および安全性(ネガティブの低減) |
目的・テーマ | 労働安全衛生体制の整備 |
取り組み内容 | 屋根作業現場での社員の熱中症防止 |
KPI | 熱中症発症者0件維持 (維持期間:xx的取り組み目標、ファイナンス中の維持期間 2029 年5月末) |
対応するSDGs (ターゲット) | 3.4 2030 年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3 分の1 減少させ、精神保健及び福祉を促進する。 |
No. | 5 | |
インパクトトピック | 零細・中小企業の繫栄(ポジティブの増大)インフラ(ポジティブの増大) 気候の安定性(ポジティブの増大) | |
目的・テーマ | 事業パートナーとの連携 | |
取り組み内容 | PPA 契約先の増加 | |
KPI | 2023 年度比 23%増加(達成期限: 2029 年5月末) | |
対応するSDGs (ターゲット) | 8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを 通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。 |
No. | 6 | |
インパクトトピック | 気候の安定性(ネガティブの低減) | |
目的・テーマ | 自社の CO2 排出量の削減 | |
取り組み内容 | 営業車の EV・HV への入れ替え | |
KPI | EV・HV 比率 20%までの引き上げ(達成期限: 2029 年5月末) 2023 年度末実績 11%(11 台/総台数 90 台) | |
対応するSDGs (ターゲット) | 13.1 すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。 |
No. | 7 |
インパクトトピック | 水域(ネガティブの低減) |
目的・テーマ | 工業用水の利用と排水の管理 |
取り組み内容 | 効率的使用による水使用量の削減 |
KPI | 2023 年度比6%削減(達成期限: 2029 年5月末) 2023 年度実績 323m3 |
対応するSDGs (ターゲット) | 6.4 2030 年までに、全セクターにおいて水利用の効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む 人々の数を大幅に減少させる。 |
No. | 8 | |
インパクトトピック | 大気(ネガティブの低減) | |
目的・テーマ | 大気汚染物質の削減 | |
取り組み内容 | 輸送用車両からの排気ガス削減のための軽油使用量削減 | |
KPI | 2023 年度比 10%削減 (軽油使用量ベース、原単位:売上百万円あたり、達成期限:2029 年5月末) 2023 年度実績 9.6L/原単位 | |
対応するSDGs (ターゲット) | 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄 物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 |
No. | 9 | |
インパクトトピック | 資源強度(ネガティブの低減) 廃棄物(ネガティブの低減) | |
目的・テーマ | 資源の有効活用 | |
取り組み内容 | xxx発電廃棄パネル再資源化の推進 | |
KPI | ①xxx発電廃棄パネルのリサイクル技術・法令情報収集(2025 年度までに) ②リサイクル対応手順の構築(2026 年度までに) ③リサイクル対応開始、処理技術の知見蓄積(2027 年度以降) ④2030 年以降の廃パネル急増への対応策検討・計画(2029 年度以降) | |
対応するSDGs (ターゲット) | 12.2 2030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。 |
No. | 10 |
インパクトトピック | 資源強度(ネガティブの低減) 廃棄物(ネガティブの低減) |
目的・テーマ | 廃棄物の削減 |
取り組み内容 | 廃棄物排出量の削減 |
KPI | 2023 年度比 10%削減 (処理費用ベース、原単位:売上百万円あたり、達成期限: 2029 年5月末) 2023 年度実績 6,315 円/原単位 | |
対応するSDGs (ターゲット) | 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄 物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 |
当社では、本ファイナンスに取り組むにあたり、xxxx代表取締役社長が陣頭指揮を執り、総務部が中心となって、社内制度・計画・日々の業務や諸活動等を棚卸しすることで、社内の事業活動とインパクトレーダーや SDGs との関連性、KPI の設定について検討を重ねた。
最高責任者 | 代表取締役社長 xxxx |
担当部署 | 総務部 |
本ファイナンス実行後においても、xx社長を最高責任者とし、総務部が中心となり、KPI 達成に向けて役員会議をはじめとした諸会議・ミーティングで社内浸透させることで各部署へ施策を展開する。
本ファイナンスの実行にあたり設定した KPI については、当社と(株)八十二銀行ならびに(一財)xx経済研究所が少なくとも年に1回の頻度でその進捗状況および達成状況を確認・共有する。
(株)八十二銀行は、自行が持つノウハウやネットワークを活用し、当社のKPI の達成を適宜サポートする予定である。
モニタリング期間中に一度達成した KPI については、その後も引き続き達成水準を維持していることを確認する。なお、当社の事業環境の変化等により設定した KPI が実情にそぐわなくなった場合には、当社と(株)八十二銀行ならびに(一財)xx経済研究所が協議し、再設定を検討する。
本評価書の記載のとおり、当社の企業活動は、社会・経済・環境に対するポジティブな成果の伸長とネガティブな影響の緩和・軽減に寄与するものであり、これらを支援するためのサステナビリティ推進およびモニタリング体制についても十分であると、(一財)xx経済研究所では判断する。
なお、本評価書の十分性を含め、ファイナンス全体に係る UNEP FI の「ポジティブ・インパクト金融原則」等への準拠性については、別途、(株)日本格付研究所の第三者意見書により確認を受けるものである。
以 x
x評価書に関する重要な説明
1. 本評価書は、(一財)xx経済研究所が(株)サンジュニアから委託を受けて作成したもので、(一財)xx経済研究所が(株)サンジュニアに対して提出するものです。
2. 本評価書の評価は、依頼者である(株)サンジュニアから供与された情報と、(一財)xx経済研究所が独自に収集した情報に基づく基準日現在での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、(一財)xx経済研究所は本評価書を利用したことにより発生するいかなる費用または損害について一切責任を負いません。
<本評価書に関するお問い合わせ先>
x000-0000 xxxxx 000-00 xxxxx0x一般財団法人xx経済研究所
経営相談部 コンサルティンググループ上席コンサルタント xx x
Tel:000-000-0000 Fax:000-000-0000
第三者意見書
2024 年 6 月 28 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: 株式会社サンジュニアに対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社八十二銀行 |
評価者:一般財団法人xx経済研究所 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省のESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、八十二銀行が株式会社サンジュニア(「サンジュニア」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、xx経済研究所による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定したPIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できること、なおかつネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシアティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、インパクト分析ツールを開発した。八十二銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際し、xx経済研究所と共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、八十二銀行及びxx経済研究所にそれを提示している。なお、八十二銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義を、PIF 原則等で参照している IFC(国際金融公社)の定義に加え、中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業としている。
JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえでPIF 原則との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクトエリア/トピックにおける社会経済に関連するインパクトの観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目
的とした中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1 定義
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できること、なおかつネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
八十二銀行及びxx経済研究所は、本ファイナンスを通じ、サンジュニアの持ちうるインパクトを、UNEP FI の定めるインパクトエリア/トピックおよび SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析を行った。
この結果、サンジュニアがポジティブな成果を発現するインパクトエリア/トピックを有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2 フレームワーク
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、八十二銀行がPIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 八十二銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(出所:八十二銀行提供資料)
(2) 実施プロセスについて、八十二銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、八十二銀行からの委託を受けて、xx経済研究所が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めたPIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全てxx経済研究所が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、xx経済研究所が、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面の
インパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及びESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして
定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人であるサンジュニアから貸付人である八十二銀行及び評価者であるxx経済研究所に対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
(第三者意見責任者) 株式会社日本格付研究所
サステナブル・ファイナンス評価部長
xx xx
担当xxアナリスト
xx xx
担当アナリスト
xx xx
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・公平な立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候債イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026