MCHT-100 形コントロールモータ 取扱説明書
株式会社 東邦製作所
MCHT-100 形コントロールモータ 取扱説明書
Manual No. NN-11170B-J
お 願 い
1. 製品を据付け、配線、運転される前に、必ずこの取扱説明書をよくお読みください。
2. この取扱説明書は、この製品を実際に使用される方が、すぐに見られる場所に保管してください。
3. ご契約仕様以外で使用される場合は、当社は責任を負いかねますので、十分ご注意
願います。
[安全に関するご注意]
●ご使用(据付、運転、保守、点検など)の前に、必ずこの取扱説明書とその他の付属書類をすべて熟読し、正しくご使用ください。機器の知識、安全の情報そして注意事項のすべてについて習熟してからご使用ください。
●安全を確保するため、運転、保守はコントロールモータについて理解していない人を従事させないでください。
●この取扱説明書では、安全注意事項のランクを「危険」「警告」「注意」として区分してあります。
危 険
:このマークの欄は「死亡または重傷を負う危険が想定され、かつ切迫して生じる可能性が高い」内容です。
警 告
:このマークの欄は「死亡または重傷を負う可能性が想定される」内容です。
注 意
:このマークの欄は「傷害を負う可能性または物的損害のみが発生する可能性が想定される」内容です。
注記
:参考情報であることを示します。いずれも重要な内容を掲載していますので必ず守ってください。
●運搬、設置、配線、運転・操作、保守・点検は、専門知識と技能を持った人が実施してください。感電、けが、火災、装置破損のおそれがあります。
●人の手に触れる可能性がある場所に設置する場合は、可動部分を安全カバー等でおおう等の安全対策を実施してください。人身事故、けがのおそれがあります。
●人員輸送用の昇降装置等に使用しないでください。人身事故、けがのおそれがあります。
●爆発性ガスのある雰囲気、又は発生する可能性のある場所では使用しないでください。爆発、火災、人身事故のおそれがあります。
危 険
注 意
●熱伝導や輻射熱による影響を受ける可能性がある場所に設置する場合は、断熱材や遮熱板を設ける対応を行ってください。機器破損の恐れがあります。
●改造や標準外部品への交換は行わないでください。機器破損の恐れがあります。
●本書内に記載されている項目以外の分解・調整は行わないでください。機器破損の恐れがあります。
●銘板を取り外さないでください。
●手動操作は開度目盛の範囲内で行ってください。目盛範囲をオーバーしますと電動操作時に制御不能となり、装置破損の恐れがあります。
●ポテンショメータは電圧分圧回路で使用してください。又、印加電圧は定格電力(1.5W)を超えない値としてください。部品破損の恐れがあります。
●コントロールモータを足場にして他の作業を行う事は絶対に避けてください。けが、機器破損のおそれがあります。
●トルクリミットスイッチは何らかの理由によりコントロールモータが過負荷状態となった場合に、非常停止させるための安全スイッチです。常時トルクリミットスイッチで停止させる用途(押し 切り用途等)では使用しないでください。機器破損の恐れがあります。
●トルクリミットスイッチ動作時は負荷を軽減させる方向にのみ手動操作してください。機器破損の恐れがあります。
注記
振動による衝撃荷重がある場合、ご使用条件によっては手動ハンドルが空転する場合があります。このような事象が発生した場合は、弊社技術部門にご連絡ください。
[ご使用の前に]
●本書はお使いになる方がいつでも見られる場所に必ず保管してください。
●本書には据付けからメンテナンスまでの基本的な内容を記載してあります。製品をご使用になる前に必ず熟読し、ご理解いただいたうえでご使用ください。
●機器の改造は絶対に行わないでください。改造に起因した故障・不具合について、弊社では一切の責任を負いません。
●本書に記載してある部分以外の分解・調整は絶対に行わないでください。指定部分以外の分解・調整に起因した故障・不具合について、弊社では一切の責任を負いません。
●弊社指定の純正部品以外は使用しないでください。純正部品以外を使用したことに起因した故障・不具合について、弊社では一切の責任を負いません。
- 目 次 - | ||
1. 荷受時の点検 | ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 4 |
2. 保 管 | ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 5 |
3. 据 付 | ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 6 |
4. 使用機器との連結 | ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 8 |
5. 配 線 | ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 9 |
6. 運 転 | ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 12 |
7. 日常点検と保守 | ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 15 |
8. 部品交換と調整 | ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 19 |
9. トラブルと処置 | ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 25 |
10.製品保証 | ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 27 |
11.お問合せ先 | ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 28 |
1.荷受時の点検
●天地を確認の上、開封してください。けが、機器破損のおそれがあります。
●現品がご注文通りのものかどうか確認してください。間違った製品を設置した場合、けが、装置破損のおそれがあります。
●銘板を取り外さないでください。
注 意
コントロールモータが到着しましたら、下記の点をご確認ください。
(1)銘板記載の項目が、ご注文通りのものか。
(2)輸送中に破損した箇所はないか。
(3)ねじやボルトに緩みはないか。
製品をご確認いただいた後、万が一不具合箇所や疑問点がありましたら最寄りの弊社営業所へご照会ください。又、お問い合わせの際は銘板に記載してある製品の形式と製造番号(7桁の数字)をご連絡ください。
輸送の都合上手動ハンドルはxxの位置とは反対に取り付けてある場合があります。図1に従い、xxの位置に戻して取り付けてください。
図1:手動ハンドルの取付け
2.保 管
コントロールモータをすぐにご使用にならない場合、下記の点に注意して保管してください。
2.1 保管場所
屋内の清潔で乾燥した温度変化の少ない場所に保管してください。
●屋外や湿気、じんあい、激しい温度変化、腐食性ガスなどのある場所には保管しないでください。機器破損のおそれがあります。
●電線引き込み口の防水用プラグは取り外さないでください。水の浸入により機器
破損の恐れがあります。
注 意
2.2 保管期間
(1)保管期間は1年未満としてください。
(2)保管期間が1年より長期となる場合は、最寄りの弊社営業所にご照会ください。
(3)標準防錆仕様
①外部防錆
工場出荷時、出力軸にさび止めを塗布して出荷しています。出荷後6ヶ月に1回は防錆状態を確認し、必要な場合は再防錆処置を行ってください。
②内部防錆
工場出荷時、密閉状態で出荷していますので特に防錆処置は行っていません。保管時はスイッチカバーの開放はせず、屋内の清潔で乾燥した温度変化の少ない場所に保管してください。
2.3 保管後の使用
(1)オイルシールは、温度や紫外線など周囲の影響を受けて劣化しやすいので、長期の保管後は運転開始前に点検をし、劣化が認められたものは交換が必要です。
(2)運転開始時、異常な音・振動・発熱などがないかを確認してください。異常が認められた場合は直ちに最寄りの弊社営業所までご連絡ください。
3.据 付
●爆発性ガスのある雰囲気、又は発生する可能性のある場所では使用しないでください。爆発、火災、人身事故のおそれがあります。
危 険
●銘板又は製作仕様書以外の仕様で使用しないでください。感電、けが、機器破損のおそれがあります。
●コントロールモータには絶対に乗らない、ぶら下がらないようにしてください。けが、機器破損のおそれがあります。
●製品の許容周囲温度範囲内の環境に設置してください。特に被駆動側装置からの熱伝導や輻射熱の
影響を受ける場所は避けてください。機器破損のおそれがあります。
注 意
3.1 据付場所
周囲温度 -5~+40℃ 凍結無きこと周囲湿度 85%RH以下 結露無きこと高 度 1000m以下
雰囲気 腐食性ガス・爆発性ガス・蒸気のないこと。
じんあいを含まない換気の良い場所であること。設置場所 屋内(屋外)
注記
屋外設置の場合は風雨・直射日光を避ける為、屋外カバーの設置をお願い致します。又、海岸沿い等の塩害が想定される設置環境の場合は、特殊仕様での対応も可能です。最寄りの弊社営業所へご相談ください。
3.2 据付方向
出力軸が水平となる方向を基本姿勢とします。それ以外の据付け方向では、図2のように出力軸が天井を向く据付けや、手動ハンドル軸が天地方向となる据付けは避けてください。
図2:据付け方向の制限
●コントロールモータの自重以上の荷重が加わらないようにしてください。取付け脚破損によるけが、機器破損のおそれがあります。
注 意
注記
振動による衝撃荷重が出力軸に加わるご使用条件の場合、まれに手動ハンドルが空転することがあります。このような事象が確認された場合は、弊社技術部門へご連絡ください。
3.3 コントロールモータの固定方法
●据付け前に取付け面がフラットであることを確認してください。取付け面に凹凸があると、コントロールモータの取付け脚に無理な荷重がかかり、破損するおそれがあります。
●固定用ボルトは据付け面に確実に固定してください。ボルトの締め付けが不十分だと負荷運転において取付け脚及び減速歯車部に過大な荷重がかかり、寿命が極
端に短くなるおそれがあります。
注 意
(1)固定用ボルトは強度区分4.8以上の防錆処理を施してあるものを使用してください。又、必ずばね座金等の緩み止めを併用してください。
表1:据付けボルトサイズ
形 式 | 推奨ボルトサイズ |
MCHT-100 | M16 |
(2)ボルト&ナットで固定する場合は、図3のようにナット側にボルトの先端が6mm程度出る長さのボルトを使用してください。又、ベース面にタップ穴加工をして取付ける場合、図3のようにタップ深さは25mm以上必要です。
図3:固定方法
4.使用機器との連結
●被駆動側装置との連結前に回転方向を確認してください。回転方向の違いによってけが、装置破損のおそれがあります。
●回転部分に触れないようにカバー等を設けてください。けがのおそれがあります。
●被駆動側装置とカップリング等を用い直結する場合、芯出しにご注意ください。芯出しが不十分だと減速歯車及び軸受けに過大な負荷がかかり、寿命が極端に短くなるおそれがあります。
●出荷時、出力軸に防錆油が塗布してあるのでシンナー等で十分にふき取ってからご使用ください。
●チェーンやギヤを用いた動力伝達は行わないでください。衝撃的負荷により機器破損のおそれがあります。
注 意
4.1 回転方向の確認
コントロールモータの回転方向は出力軸部の回転方向銘板又は仕様書により確認できます。回転方向はすべて出力軸端より見た方向を表しています。
4.2 レバーリンクによる連結
被駆動側装置との連結がレバーリンクの場合、レバーの回転角度は図4の範囲内になるように調整してください。又、ボールリンケージ及びロッドは十分強度を持ったものを選定し、適切な長さで使用してください。
図4:レバーリンクの角度
4.3 カップリングによる接続
カップリングを使用し接続する場合、被駆動側との芯出し誤差は使用するカップリングの基準値内となるように調整してください。又、接続時、コントロールモータの出力軸に過大な軸方向負荷(スラスト負荷)が掛からないようにしてください。
5.配 線
●活線状態で作業しないでください。必ず電源を切って作業してください。感電のおそれがあります。
●電源ケーブルとの結線は、仕様書内の接続図に従って実施してください。感電、火災のおそれがあります。
●電源ケーブルや内部リード線を無理に曲げたり、引っ張ったり、はさみ込んだりしないでください。
感電、火災のおそれがあります。
危 険
●アース用端子を確実に接地してください。感電のおそれがあります。
危 険
注 意
●配線は電気設備技術基準や内線規程に従って施工してください。焼損、感電、けが、火災のおそれがあります。
●絶縁抵抗測定の際は、端子に触れないでください。感電のおそれがあります。
●屋外や湿気の多い場所での配線引き込み工事は確実に行ってください。水や湿気の浸入により、感電、けが、機器破損のおそれがあります。
●ポテンショメータ(B形のみ未搭載)をフィードバック信号として使用する場合、電圧分圧回路で使用してください。又、印加電圧は定格電力(1.5W)を超えない値としてください。ポテンショメータが破損するおそれがあります。
●端子符号U、V、Wはモータ電源用です。端子U、V、WとR、S、T間に必ず電磁開閉器を設置してください。開閉スイッチを電磁開閉器に接続します。
●端子U、V、Wの相順に注意して配線してください。逆相にしますとスイッチを遮断しない事があります。
●CLをコモンとしてOLを開側、SLを閉側の電磁開閉器コイルに接続し、CLとの線間に開/閉スイッチを入れてください。
●インバータ電源や矩形波電源は使用できません。必ず商用電源(正弦波)を使用してください。機器破損の恐れがあります。
5.1 配線準備
事前に使用するケーブル径に適合したケーブルグランドを準備してください。電線引き込み口のねじ径は、外形図又は仕様書で確認してください。電線引き込み口のプラグを取り外し、ケーブルグランドを取付けます。使用しない電線引き込み口のプラグは、防水性維持の為取り外さないでください。又、端子台接続用の圧着端子は付属していませんので準備してください。
(図5参照)
注記
端子台ねじサイズ:M4 端子台幅:約9mm
5.2 配線手順
(1)スイッチカバーを取り外します。スイッチカバーとハウジングの間にはOリングが入っていますので、紛失したり傷を付けないように注意してください。
(2)ケーブルをケーブルグランドに通しケーブル先端に圧着端子を取付けます。圧着端子のかしめは適正工具で確実に行ってください。
(3)図6、7に制御動作B及びCの標準接続図を示します。制御動作CEやCX、その他特殊仕様の場合、本図通りでは無いことがありますので、接続図や仕様書で確認してください。
(4)端子台への接続は、プラスドライバーの2番を使用し確実に行ってください。
(5)配線終了後、Oリングの挟み込みに注意してスイッチカバーを取付けてください。
図5:配線準備
図6:B形内部接続図 図7:C形内部接続図
6.運 転
●運転中、回転体(出力軸など)へは絶対に接近又は接触しないでください。巻き込まれ、人身事故のおそれがあります。
●停電した時は必ず主電源を切ってください。知らぬ間に通電され、感電、けが、機器破損のおそれがあります。
●スイッチカバーを取り外した状態で運転しないでください。作業後はスイッチカバーをもとの位置
に取り付けてください。感電のおそれがあります。
危 険
●運転中、コントロールモータはかなり高温になります。手や体を触れないように注意してください。やけどのおそれがあります。
●異常が発生した場合は直ちに運転を停止してください。感電、けが、火災のおそれがあります。
●定格負荷以上での運転をしないでください。けが、機器破損のおそれがあります。
注 意
6.1 運転準備
据付け、配線が終わりましたら、運転開始前に次の点を確認してください。
(1)配線が間違えなく確実に行われているか。
(2)被駆動側装置との連結は正しく行われているか。
(3)据付けボルトは確実に締め付けてあるか。
(4)回転方向は計画通りのものか。
上記の確認が終わりましたら、手動ハンドルを用い開度目盛の範囲内で開閉動作を数回行ってください。この手動操作において異常が無いことを確認した後、無負荷で電動運転に入ります。
●手動操作は必ずコントロールモータの開度目盛を見ながら行ってください。手動操作にて全開位置、全閉位置をオーバーすると制御不能になり、けが、機器破損のおそれがあります。
●手動操作時に手動ハンドル軸が軸方向に2mm以上移動する場合は、コントロールモータが過負荷状態である可能性があります。このような事象が確認された場合、直ちに手動操作をやめ被駆動側装置の確認を行ってください。機器破損のおそれがあります。
●トルクリミットスイッチ動作時は負荷を軽減させる方向にのみ手動操作してください。機器破損の
恐れがあります。
注 意
6.2 試運転手順
(1)手動操作でxxx度にします。
(2)開閉スイッチを開にしますと電磁開閉器でU、V、Wに三相電源が印加されます。この時コントロールモータは開方向に動作しますので、被駆動側装置との回転方向が合致していることを確認してください。
(3)全開位置まで動作するとコントロールモータ内蔵のマイクロスイッチで回路が遮断され停止します。停止位置が被駆動側装置と合致しているか確認してください。
(4)開閉スイッチを閉にしますと電磁開閉器でU、V、Wに三相電源が印加されます。この時コントロールモータは閉方向に動作しますので、被駆動側装置との回転方向が合致していることを確認してください。
(5)全閉位置まで動作するとコントロールモータ内蔵のマイクロスイッチで回路が遮断され停止します。停止位置が被駆動側装置と合致しているか確認してください。
回転方向や停止位置は計画通りか | (1)指示に対して正しい方向に回転しているか (2)被駆動側装置の停止位置と合致しているか (3)トルクリミットスイッチが働いていないか |
異常な騒音・振動がないか | (1)据付面が平面で無い為、ハウジングが歪んでいないか (2)被駆動側装置の振動がコントロールモータに 伝わっていないか |
表面温度が異常に高くないか | (1)電圧の上昇、降下が大きくないか (2)使用場所の周囲温度が高くないか (3)電流値が定格電流値を超えていないか |
この時、表2の項目について確認してください。表2:試運転時確認事項
異常と認められた場合は、試運転を止め、「9.トラブルと処置」を参照の上、原因の究明をおこなってください。
6.3 運 転
6.2項試運転で異常が無いことを確認した後、運転に入ります。手順は試運転と同様です。無負荷から徐々に負荷をかけていき、試運転と同様に表2の項目について確認してください。異常と認められた場合は、運転を止め、「9.トラブルと処置」を参照の上、原因の究明を
おこなってください。
7.日常点検と保守
●活線状態で作業せず、必ず主電源を切って作業してください。感電のおそれがあります。
●運転中の保守・点検については回転体(出力軸など)へは、絶対に接触しないでください。巻き込まれ人身事故のおそれがあります。
危 険
●運転中、コントロールモータはかなり高温になります。手や体を触れないように注意してください。やけどのおそれがあります。
●絶縁抵抗測定の際は、端子に触れないでください。感電のおそれがあります。
●異常が発生した場合の診断は、取扱説明書に基づいて実施してください。異常の原因を究明し、対策処理を施すまでは絶対に運転しないでください。
●本項に記載してある部分以外の分解・調整は絶対に行わないでください。指定部分以外の分解・調
整に起因した故障・不具合について、弊社では一切の責任を負いません。
注 意
7.1 日常点検
点検項目 | 点検内容 |
電流値 | 定格電流値以下であるか。 |
騒 音 | 異常音又は音の急激な変化がないか。 |
振 動 | 振動が異常に大きくないか。急激な変化がないか。 |
表面温度 | 表面温度が異常に高くないか。急激に変化がないか。 (条件により異なるが目安として周囲温度+20℃以内なら正常) |
動作状態 | 開閉を頻繁に繰り返すような動作(ハンチング)をしていないか。 停止位置を保持できているか。 |
表3に従って必ず日常点検を行ってください。点検をおこたるとトラブルの原因になります。表3:日常点検項目
日常点検において何らかの異常が認められた場合は、「9.トラブルと処置」を参照の上、適切な処置を行ってください。それでも回復しない場合は、最寄りの弊社営業所へご連絡ください。
7.2 グリースについて
本機は減速歯車部に二硫化モリブデン入りリチウム系極圧グリースを使用しています。グリースは初期充填した状態で納入されますので、運転前の充填は必要ありません。又、日常的にも補給の必要はありませんが、表4の周期によりグリース交換を行ってください。
使用環境 | 推奨交換周期 |
屋内使用 常温~40℃ | 7~10年 |
屋内使用 40~60℃ | 5~10年 |
屋外使用 | 5~10年 |
使用グリース:JXエネルギー㈱ モリノックグリースAP1表4:グリースの交換周期
表4の年数は、使用頻度や使用環境により異なりますので交換の目安として活用してください。グリース交換作業は内部分解が伴い、弊社工場での引取り整備となりますので、最寄りの弊社営業所までご連絡ください。
●グリースの交換は分解が伴いますので、お客様の手では絶対に行わないでください。機器破損のおそれがあります。
注 意
7.3 モータブレーキについて
本機の動力源には、フリクションブレーキ(摩擦式ブレーキ)付き三相誘導電動機を使用しています。ブレーキは動作により摩耗し、停止特性に影響を与える可能性がありますので、定期的なモータ交換が必要となります。表5に従ってモータ交換を行ってください。
表5:ブレーキ寿命
形 式 | ブレーキ寿命 |
MCHT-100 | 2000時間 |
表5の年数は、開閉頻度、環境温度により異なりますので交換の目安として活用してください。モータブレーキのみの交換は構造上できません。三相誘導電動機本体での交換となります。
7.4 ポテンショメータについて(B形のみ未搭載)
ポテンショメータは制御上重要な役割を果たす電気部品です。ポテンショメータが故障すると、システム全体に影響を及ぼす事がありますので、日常点検により不具合を早期に発見することが重要です。ポテンショメータは構造上常に抵抗体上をブラシ(接触子)が摺動しています。摩耗による劣化が想定され、前ぶれなく突然不具合となる事象が多いことから定期的な予防保守が重要です。表6に従い定期的な点検と交換を行ってください。
(1)ポテンショメータの点検方法(図8参照)
①コントロールモータを電動動作で全閉位置とし電源を遮断します。
②スイッチカバーを外し、端子BM,RM,WMに接続されている外部配線を解線します。
③端子BM-RM又はRM-WM間にテスタ(抵抗レンジ)をあて、電動又は手動操作にてコントロールモータを閉→開、開→閉に繰り返し動作させます。
④動作中にテスタの数値がスムーズに上昇(下降)するか確認します。この時、数値が急激に変化したり、動作量に対し数値が比例して変化しない場合はポテンショメータの異常が考えられます。
注記
ポテンショメータの異常が認められた場合は、最寄りの弊社営業所へご連絡ください。内容を確認した後、復旧方法等についてご提案させていただきます。
⑤異常が認められなかった場合は、外部配線を復線しスイッチカバーを取付けてください。
図8:ポテンショメータの点検
形 式 | 推奨点検周期 | 推奨交換周期 |
巻線抵抗形(標準) | 1ヶ月に1度 | 2 年 |
コンダクティブプラスチック形(オプション) | 1ヶ月に1度 | 4 年 |
(2)ポテンショメータの推奨点検・交換周期表6:ポテンショメータ推奨点検・交換周期
表6の年数は、開閉頻度、使用環境により異なりますので交換の目安として活用してください。ポテンショメータの交換は調整が伴いますので、作業は基本的に弊社サービスマンによる対応とさせていただきます。交換の際は最寄りの弊社営業所までご連絡ください。
7.5 マイクロスイッチについて
マイクロスイッチはコントロールモータの開閉停止用のリミットスイッチとして内蔵していま す。又、オプションとして信号用接点(インターロック用接点等)にも使用されており、ポテンショメータと同様に、システム上重要な役割を果たす電気部品です。マイクロスイッチ自体が不具合を起こすことは非常にまれではありますが、定期的な予防保守が重要です。
形 式 | 推奨交換周期 |
リミットスイッチ用(信号用) | 6 年 |
トルクリミットスイッチ用 ※ |
表7に従い定期的な交換を行ってください。表7:マイクロスイッチ推奨交換周期
※トルクリミットスイッチ用マイクロスイッチの交換は弊社工場への返却が必要となります
表7の年数は、開閉頻度、使用環境により異なりますので交換の目安として活用してください。マイクロスイッチの交換は調整が伴いますので、作業は弊社サービスマンによる対応とさせて いただきます。交換の際は最寄りの弊社営業所までご連絡ください。
●マイクロスイッチの交換は分解が伴いますので、弊社サービスマン以外は絶対に行わないでくださ
い。特に、トルクリミットスイッチ用は過負荷時の非常停止動作に影響を与えますので、絶対に交換や調整をしないでください。人身事故、けが、機器破損のおそれがあります。
警 告
7.6 パッキンについて
xxxxは経年的に劣化する部品です。表8に従い定期的な交換を行ってください。
表8:パッキンの推奨交換周期
パッキン種類 | 推奨交換周期 |
スイッチカバー用Oリング | 2 年 |
表8の年数は、使用環境により異なりますので交換の目安として活用してください。又、上記の期間内でも、1年以上経過してからスイッチカバーを開放する場合、パッキンは新しいものに交換してください。表8に記載した以外のパッキン類については内部分解が伴いますので、弊社工場での引取り交換となります。
8.部品交換と調整
8.1 スイッチ調整(図9参照)
●活線状態で作業せず、必ず主電源を切って作業してください。感電のおそれがあります。
危 険
●スイッチ調整はコントロールモータの性能上非常に重要な作業です。本項の内容を十分理解した上で作業を行ってください。機器破損のおそれがあります。
●トルクリミットスイッチは過負荷時の非常停止動作に影響を与えますので、絶対に調整しないで
ください。機器破損のおそれがあります。
注 意
①コントロールモータ用の電源を遮断します。
②コントロールモータのスイッチカバーを外します。
③調整したいマイクロスイッチを探します。調整したいマイクロスイッチの端子間にテスタ(抵抗レンジ)をあて、テスタの針を見ながらマイクロスイッチのローラを細い棒等で押します。テスタの針が振れたマイクロスイッチが該当のものです。
④調整するマイクロスイッチに対応したカムの止めねじ(M4xx穴付き)を2本とも緩めます。
⑤スイッチ設定したい位置までコントロールモータを手動操作で移動させます。
⑥該当するカムを手で回し、カム山がスイッチのローラに乗り「カチッ」と動作音がする位置でカムの止めねじを仮固定してください。
⑦電源を復旧し電動動作にて希望した位置でマイクロスイッチが働くか確認します。この時、位置がずれていた場合、再度④以降の作業を行います。
⑧調整完了後、カムの止めねじを2本ともしっかり締め込みます。
⑨最後に、L形xxレンチをねじ穴に差し込んだまま緩み止め剤を塗布します。
⑩コントロールモータのスイッチカバーを取付け作業は完了です。試運転を行い、動作状態の確認を行ってください。
図9:スイッチ調整
8.2 ポテンショメータの交換と調整
●活線状態で作業せず、必ず主電源を切って作業してください。感電のおそれがあります。
危 険
●ポテンショメータの交換と調整はコントロールモータの性能上非常に重要な作業です。本項の内容を十分理解した上で作業を行ってください。機器破損のおそれがあります。
●はんだ付けは30W以下の容量のもので素早く作業してください。ポテンショメータを破損するお
それがあります。
注 意
(1)ポテンショメータの交換要領(制御動作C形、巻線抵抗形ポテンショメータ135Ωの場合)
①コントロールモータを電動動作で全閉位置とし電源を遮断します。
②コントロールモータのスイッチカバーを外します。
③端子BM,RM,WMに接続されている外部配線を解線します。
④端子RM-WM間にテスタ(抵抗レンジ)をあて抵抗値を測定、記録します。
⑤モータを取り外します。
⑥ポテンショメータ取付板を取り外します。(図10参照)
⑦ポテンショメータ本体の3端子に接続されているリード線色と端子番号を記録します。
⑧ポテンショメータの端子付近からリード線を切断します。
⑨ポテンショメータに付いているギヤを外し、ポテンショメータを取付板から取り外します。
⑩新しいポテンショメータを取付板に取付け、⑨で取り外したギヤをポテンショメータ軸に取付けます。
⑪リード線をポテンショメータ端子にはんだ付けします。リード線は⑦で記録した内容通りに接続してください。又、端子へのはんだ付け作業は出来るだけ手早く行ってください。
⑫ポテンショメータ取付板を本体に取付けます。この時、端子RM-WM間の抵抗値を測定し、おおよそ④で測定した数値に近い位置で組み付けると、後工程の調整作業がやり易くなりま す。尚、組み付けの際はギヤのかみ合い状態がきつくなりすぎないように注意してください。
(若干のかみ合いガタがある程度が良い状態です)
以上で交換作業は終了です。引き続き調整作業を行う場合は(2)ポテンショメータの調整要領④から行ってください。
図10:ポテンショメータの取り外し
(2)ポテンショメータの調整要領 (制御動作C形、巻線抵抗形ポテンショメータ135Ωの場合)
①コントロールモータを電動動作で全閉位置とし電源を遮断します。
②コントロールモータのスイッチカバーを外します。
③端子BM,RM,WMに接続されている外部配線を解線します。
④カム軸ギヤを固定している止めねじ(M4xx穴付き)を2本とも緩めます。(図11参照)
⑤端子RM-WM間にテスタ(抵抗レンジ)をあて抵抗値を測定しながらカム軸ギヤを指で回し、抵抗値が約2Ωとなる位置でカム軸ギヤの止めねじを仮固定します。
注記
・前項ポテンショメータの交換から引き続き作業を行っている場合は、(1)④で測定した数値に近くなるように調整します。
⑥端子BM-RM間にテスタ(抵抗レンジ)をあて抵抗値を測定しながら電動又は手動操作で全開位置まで動作させます。この時、抵抗値が徐々に上昇していきますが、テスタの数値が異常な値を示さないかの確認も同時に行います。
⑦全開位置のマイクロスイッチが動作した位置での抵抗値が1~5Ωの範囲に入っていれば調整作業は完了です。
⑧1Ω未満、又は5Ωを超える抵抗値となった場合は再度④以降の作業を行ってください。
⑨最後にカム軸ギヤ固定用の止めねじを2本ともしっかり締め込み、緩み止め剤を塗布します。
⑩外部配線を復線し、スイッチカバーを取付け作業は完了です。試運転を行い、動作状態の確認を行ってください。
注記
・本文の抵抗値はすべてポテンショメータが135Ωの場合の数値です。
抵抗値200、500、1000、2000Ω等の特殊抵抗値の場合は、数値を
135Ωとの比率分大きくして調整してください。
図11:ポテンショメータの調整
図12:スイッチ部の構造
9.トラブルと処置
コントロールモータに何らかの異常が生じた場合は、表9、表10を参照の上、早めに適切な処 置を行ってください。処置を行っても回復しない場合は最寄りの弊社営業所までご連絡ください。
表9:トラブルと処置1
トラブルの内容 | 推定原因 | 処 置 |
無負荷で動作しない | 電源が供給されていない | 電源を復旧する |
電気回路の不良 | 電気回路を点検する | |
ヒューズの溶断 | ヒューズを取り替える | |
保護装置の作動 | 作動原因を取り除く | |
被駆動側装置の拘束 | 被駆動側装置を点検する | |
モータ巻線の断線 | モータ交換 | |
無負荷でモータは回るが出力軸が回らない | 内部ギヤの損傷 | 工場返却修理 |
負荷をかけると動作しない | 過負荷 | 定格トルク値以下まで下げる |
ヒューズの溶断 | ヒューズの容量再計算 | |
内部軸受けの損傷 | 工場返却修理 | |
内部ギヤの損傷 | 工場返却修理 | |
モータ巻線の短絡(レア・ショート) | モータ交換 | |
手動操作は出来るが電動で動作しない | 内部ギヤの損傷 | 工場返却修理 |
過度の温度上昇 | 動作頻度が高すぎる | 動作頻度を下げる |
使用場所の周囲温度が高い | 換気方法を改善する | |
モータ巻線の短絡(レア・ショート) | モータ交換 | |
動作したり、しなかったりする | 内部ギヤの損傷 | 工場返却修理 |
サーマル作動 | 作動原因を取り除く | |
電気回路の不良 | 電気回路を点検する | |
ハンチング動作する | ポテンショメータの接触不良 | ポテンショメータ交換 |
計装信号の不良 | 計装信号を点検する | |
モータブレーキ摩耗 | モータ交換 |
表10:トラブルと処置2
トラブルの内容 | 推定原因 | 処 置 |
所定の位置で停止しない | マイクロスイッチ不良 | マイクロスイッチの交換 |
マイクロスイッチ調整不良 | マイクロスイッチ再調整 | |
モータブレーキ摩耗 | モータ交換 | |
動作中に停止する | 内部ギヤの損傷 | 工場返却修理 |
過負荷 | 定格トルク値以下まで下げる | |
指令値通り動作しない | ポテンショメータの接触不良 | ポテンショメータ交換 |
結線間違え | 結線チェック | |
電気回路の間違え | 電気回路チェック | |
グリース漏れ | グリースの劣化 | 工場返却修理 |
オイルシールの劣化 | 工場返却修理 | |
異常な音がする | 内部ギヤの損傷 | 工場返却修理 |
内部軸受けの損傷 | 工場返却修理 | |
異物の混入 | 工場返却修理 | |
異常に振動が大きい | 据付台の剛性不足 | 据付台の補強 |
被駆動側装置の振動伝達 | 単独運転による振動確認 |
10.製品保証
当社納入製品の保障範囲は、当社製作範囲に限定します。
保障期間 | 新品に限り、工場出荷後18ヶ月又は稼働後12ヶ月のうち何れか短い方をもって 保証期間と致します。 |
保証内容 | 保証期間内において、取扱説明書に準拠する適切な据付、連結ならびに保守管理が行われ、かつ、カタログに記載された仕様もしくは別途合意された条件下で正しい運転が行われたにもかかわらず、万一コントロールモータが故障した場合は、下記保証適用除外の場合を除き無償で当社の判断おいて修理または交換致します。ただし、コントロールモータがお客様の装置に連結している場合において、当該装置等からの取り外し、当該装置への取り付け、その他これらに付帯する工事費用、輸送等に要する費用ならびにお客様に生じた機会損失、操業損失その他の間接的な損害については一切 補償致しません。 |
保証適用除外 | 下記の項目については、保証適用除外とさせていただきます。 1.コントロールモータの据付、他の装置等との連結の不具合に起因する故障 2.コントロールモータの保管が当社の定める保管要領書に定める要領によって実施されていないなど、保守管理が不十分であり、正しく取扱いが行われていないことが原因による故障 3.仕様を外れる運転や当社推奨以外の部品を使用し運転が行われたことによる故障、お客様の連結された装置等の特殊仕様に起因する故障 4.コントロールモータに改造や構造変更を施したことに起因する故障 5.お客様の連結された装置等の不具合に起因してコントロールモータに生じた二次的な故障 6.お客様の支給受け部品もしくはご指定部品の不具合により生じた故障 7.地震、火災、水害、塩害、ガス害、落雷、その他の不可抗力が原因による故障 8.正常な使用方法でも、軸受け、オイルシール等の消耗部品が自然消耗、摩耗、劣化した場合の当該消耗部品に関する保証 9.前各号の他当社の責めに帰すことができない事由による故障 |
11.お問合せ先
☆各種お問合せ、メンテナンスのご依頼は最寄りの各営業所までお問い合わせください。
□ 東京営業所 〒101-0052
xxxxxx区xxx川町3-2
TEL 03-3292-1731(代表) FAX 03-3292-1739
□ 大阪営業所 〒540-0004
大阪府大阪市中央区玉造1-2-36 xxx商ビル TEL 06-6768-3501(代表)
FAX 06-6763-5804
□ 九州出張所 〒816-0831
福岡県xx市xx3-26 アスネット内
092-575-2661(代表)
092-575-2669
☆技術的なお問合せは本社・技術部までお問合せください。
□ 本社・工場 〒198-8510
xxx青梅市xx3-7-20
ホームページ xxxx://xxx.xxx-xxxx.xx.xx TEL 0428-32-3511(代表) FAX 0428-32-3515
□ 技術部直通 TEL 0428-32-3541
FAX 0428-32-3545
改定履歴 | 改定内容 | 取扱説明書番号 |
2017年2月1日 | 初版発行 | NN-11170A-J |
2019年12月5日 | 改訂1(5.配線 インバータ、矩形波電源に関する注意を追記) | NN-11170B-J |
株式会社 東邦製作所
MCHT-100 形コントロールモータ 取扱説明書
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〒198-8510 xxx青梅市xx3-7-20