1)緊急を要する場合は、ファクシミリまたは E メールにより伝達できるものとするが、後日有効な書面と差し換えるものとする。
三重県設計業務委託監督要領
(目的)
第1条 監督業務は、契約書、設計図書に基づく発注者の注文内容を受注者に正確に伝え、打合せなどにより業務を円滑に施行させるとともに、適正な成果を得るために行うものである。このため、三重県建設工事執行要領第15条の規定に基づき、三重県設計業務委託監督要領を定め、留意事項を明らかにすることにより、設計業務委託の円滑かつ適正な執行に資することを目的とする。
(用語の定義)第2条
(1)「監督員」とは、契約図書に定められた範囲内において受注者又は管理技術者に対する指示、承諾又は協議の職務等を行う者で、設計業務等委託契約書の条項第9条第1項に規定する者をいう。
(2)「所長等」とは、本庁にあっては課長を、又地域機関にあっては所長又は室長をいう。
(3)「契約図書」とは、契約書及び設計図書をいう。
(4)「契約書」とは、「三重県建設工事執行規則の施行に関し必要な書類の様式を定める要項」に基づいて作成された書類をいう。
(5)「設計図書」とは、仕様書、図面、数量総括表、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書をいう。
(6)「仕様書」とは、共通仕様書及び特記仕様書(これらにおいて明記されている適用すべき諸基準を含む。)を総称していう。
(7)「共通仕様書」とは、各設計業務等に共通する技術上の指示事項等を定める図書をいう。
(8)「特記仕様書」とは、共通仕様書を補足し、当該設計業務等の実施に関する明細又は特別な事項を定める図書をいう。
(9)「数量総括表」とは、設計業務等に関する工種、設計数量及び規格を示した書類をいう。
(10)「現場説明書」とは、設計業務等の入札等に参加する者に対して、発注者が当該設計業務等の契約条件を説明するための書類をいう。
(11)「質問回答書」とは、現場説明書に関する入札等参加者からの質問書に対して、発注者が回答する書面をいう。
(12)「図面」とは、入札等に際して発注者が交付した図面及び発注者から変更又は追加された図面及び図面のもとになる計算書等をいう。
(13)「指示」とは、監督員が受注者に対し、設計業務等の遂行上必要な事項について書面をもって示し、実施させることをいう。
(14)「請求」とは、発注者又は受注者が契約内容の履行あるいは変更に関し
て相手方に書面をもって行為あるいは同意を求めることをいう。
(15)「通知」とは、発注者若しくは監督員が受注者に対し、又は受注者が発注者若しくは監督員に対し、設計業務等に関する事項について、書面をもって知らせることをいう。
(16)「報告」とは、受注者が監督員に対し、又監督員が所長等に対し設計業務等の遂行に係わる事項について、書面をもって知らせることをいう。
(17)「申し出」とは、受注者が契約内容の履行あるいは変更に関して、発注者に対して、書面をもって同意を求めることをいう。
(18)「承諾」とは、受注者が監督員に対し、書面で申し出た設計業務等の遂行上必要な事項について、監督員が書面により業務上の行為に同意することをいう。
(19)「質問」とは、不明な点に関して書面をもって問うことをいう。
(20)「回答」とは、質問に対して書面をもって答えることをいう。
(21)「協議」とは、書面により契約図書の協議事項について、発注者と受注者が対等の立場で合議することをいう。
(22)「提出」とは、受注者が監督員に対し、設計業務等に係わる書面又はその他の資料を説明し、差し出すことをいう。
(23)「書面」とは、手書き、印刷等の伝達物をいい、発行年月日を記録し、署名又は押印したものを有効とする。
1)緊急を要する場合は、ファクシミリまたは E メールにより伝達できるものとするが、後日有効な書面と差し換えるものとする。
2)電子納品を行う場合は、別途監督員と協議するものとする。
(24)「受理」とは、契約図書に基づき受注者の責任において提出された書面を受け取り、内容を把握することをいう。
(25)「確認」とは、契約図書に示された事項について臨場若しくは関係資料により、その内容について契約図書との適合を確かめ、受注者に対して認めることをいう。
(26)「把握」とは、監督員が臨場若しくは受注者が提出又は提示した資料により履行状況、使用材料、提出資料の内容等について、監督員が契約図書との適合を自ら認識しておくことをいい、受注者に対して認めるものではない。
(27)「打合せ」とは、設計業務等を適正かつ円滑に実施するために管理技術者等と監督員が面談により、業務の方針及び条件等の疑義を正すことをいう。
(監督の実施)
第3条 監督員は、契約図書に基づき監督を実施するものとするが、特に以下の表の業務内容に留意のうえ監督を実施するものとする。
なお、表における「関係図書及び条項」の欄で「契」は設計業務等委託契約書の条項を示し、「共仕」は、三重県業務委託共通仕様書を示す。又、事項に記号を付し、業務を行ううえで特に留意するもの及び業務の頻度を示す。
((◎):特に留意する業務、(○):通常の業務、(△):頻度が少ない業務、(▲):頻度が非常に少ない業務)
事 項 | 業 務 x x | 関連図書及び条項 |
1.契約の履行の確保 (1)管理技術者、照査技術者、担当技術者の把握 (○) | 管理技術者及び照査技術者を管理技術者・照査技術者選任 (変更)通知書により把握する。また、担当技術者を担当技術者届により把握する。 | 契10条、11条 共仕1106条 1107条、1108条 |
(2)業務カルテ等の確認及び受理 (○) | TECRIS等に基づき受注者が作成した業務カルテ等の確認を行う。また、受注者から提出された業務カルテ受領書の写しの受理を行う。 | 共仕1109条 |
(3)工程表の受理 (○) | 受注者から提出された工程表により、工程の概要を把握する。 | 契3条 |
(4)工程把握及び工程促進の指示 (○) | 受注者からの履行報告に基づき、工程を把握し、必要に応じて業務促進の指示を行う。 | 契9条、15条 |
(5)業務計画書(照査計画書)の受理 (◎) | ①契約締結後14日以内に受理するものであり、第1回の打合せにおいて内容の報告を受ける。 ②受注者から提出された業務計画書により、業務計画の概要を把握する。 ③受注者から提出された業務計画書に記載された照査計画書により照査時期、方法、様式等について把握する。 業務計画書には以下の事項を記載することになっている。 (1)業務概要 (2)実施方針 (3)業務工程表 (4)業務組織計画 (5)打合せ計画 (6)成果品の品質を確保するための計画 (7)成果品の内容、部数 (8)使用する主な図書及び基準 (9)連絡体制(緊急時含む)(10)使用する主な機器 (11)その他 照査計画(成果品の品質を確保するための計画)は、各設計内容に合致した照査項目・設計調書等での照査が、主要な区切りごとに実施する計画となっていることが必要である。 (照査方法については、発注時特記仕様書の中で詳細設計照査要領*1、設計業務照査の手引き書*2、その他( )を選定することとなっている。その他には各照査要領等に記載されていない工種又は特殊な工種等で詳細設計照査要領 *1に準ずる照査、甲乙協議のうえ照査方法を定める等が該 当し、( )に記載している) | 共仕1107条共仕1111条 |
事 項 | 業 務 x x | 関連図書及び条項 |
(6)契約書及び設計図書に基づく指示、承諾、回答、協議、受理及び進捗の確認等 (○) | 契約書及び設計図書に示された指示、承諾、回答、協議、受理及び進捗の確認等を必要に応じ適切にすみやかに行 う。 | 契9条、 共仕1105条 |
(7)条件変更に関する確認、調査、検討、通知 (△) | ①契約書第18条第1項の第1号から第5号までの事実を発見したとき、又は受注者から事実の確認を求められたときは、直ちに調査を行い、その内容を確認し検討のうえ 、必要により業務内容の変更、設計図書の訂正内容を定める。なお、履行期間の変更又は、契約金額の変更を行うときは、所長等の承認を受ける。 ②前項の調査結果を受注者に通知(指示する必要があるときは、当該指示を含む)する。 | 契18条 共仕1120条 |
(8)履行期間変更協議の対象通知 (△) | 受注者に設計業務等の変更の指示を行う場合において履行期間変更協議の対象であるか否かを合わせて事前に通知を行う。 | 契24条 共仕1122条 |
(9)設計図書等の変更 (△) | 受注者からの確認資料等をもとに、変更設計図書を作成する。 | 契19条 共仕1121条 |
(10)所長等への報告 1)一括再委託等違反の報告 (▲) | 監督員は、次の事項について所長等に報告する。 受注者が業務の全部又は主たる部分を第三者に再委託していると認められる場合及び発注者の承諾を受けずに業務を再委託していると認められる場合には、所長等に報告する。 | 契7条、 共仕1127条 |
2)業務の中止及び履行期間の延長の検討及び報告 (△) | ①業務の全部又は一部を中止する必要があると認められるときは、中止期間を検討し、所長等へ報告する。 | 契20条、 共仕1122条 |
②受注者から履行期間延長の申し出があった場合はその理由を確認し、所長等へ報告する。 | 契22条 | |
3)成果物及び業務を行うにつき生じた損害の調査及び報告 (▲) | 成果物に生じた損害、業務を行うにつき生じた損害について受注者から通知を受けた場合は、原因、損害状況等調査し、発注者の責に帰する理由、損害額の請求内容を審査し 、所長等へ報告する。 | 契27条 |
事 項 | 業 務 x x | 関連図書及び条項 |
4)不可抗力による損害の調査及び報告 (▲) | ①天災等の不可抗力により、業務の出来形部分・調査機械器具等の損害について、受注者から通知を受けた場合は、原因、損害状況等調査し確認結果を所長等へ報告する。 ②損害額の負担請求内容を審査し、所長等へ報告する。 | 契29条 |
5)第三者に及ぼした損害の調査及び報告 (▲) | 業務を行うにつき第三者に損害を及ぼしたときは、原因、損害状況等調査し、所長等へ報告する。 | 契28条 |
6)部分払請求時の出来高の審査及び報告 (▲) | 部分払の請求があった場合は、業務出来高内訳書の審査及び出来高設計書の作成を行い所長等へ報告する。 | 契37条 |
7)管理技術者等に関する措置請求 (▲) | 管理技術者、照査技術者等が業務の実施につき著しく不適当と認められる場合は、所長等へ報告し、受注者に対して措置請求を行う。 | 契14条 |
8)契約解除に関する必要書類の作成及び措置請求又は報告 (▲) | ①契約書42条第1項、42条の2及び43条第1項に基づき契約を解除する必要があると認められる場合は、所長等へ報告し、受注者に対して措置請求を行う。 | 契42条、42条の2第43条 |
②契約書第44条に基づき、受注者から契約の解除の通知を受けたときは契約解除要件を確認し、所長等へ報告する 。 | 契44条 | |
③契約が解除された場合は、既履行部分の調査及び出来高設計書の作成を行い、所長等へ報告する。 | 契45条 | |
2.業務実施状況の把握等 | 設計業務着手時及び設計図書で定める業務の区切り(中間 | 共仕1110条 |
(1)業務の打合せ | 、成果品納入時)において、管理技術者と基本条件等必要 | |
(◎) | な事項について打合せを行う。なお、受注者からの請求、 | |
申し出、質問等に対しては、適切にすみやかに対応する。 | ||
(監督業務の根幹をなす業務であり、設計業務を適正かつ | ||
円滑に実施するために管理技術者と監督員が面談により業 | ||
務の方針及び条件等の疑義を質し、業務着手時及び業務の | ||
区切りにおいて監督員は、業務報告を受け、業務内容及び | ||
照査状況を把握し、必要な指示等を行う。) |
事 項 | 業 務 x x | 関連図書及び条項 |
①着手時打ち合わせ (1)管理技術者、照査技術者の出席のもとで行う。 (2)業務内容の説明を行い、設計における基本条件を示す。 (3)管理技術者から業務計画書の説明を受け必要な指示等を行い問題がなければ受理する。 (4)照査技術者から照査計画の説明を受け必要な指示等を行い問題がなければ受理する。 (5)必要に応じて現場説明を行う。 (6)打合せ結果を受注者が記録し、相互に確認を行う。 ②中間打合せ (1)設計図書で定める業務の区切り及び業務計画書において協議決定された区切りにおいて行う打合せであり、管理技術者の出席のもとで行う。 (2)管理技術者から各区切りにおける業務内容及び照査状況の報告を受け、業務内容及び照査状況の把握を行う。また、必要な指示等を行う。 (3)前回指示した事項、保留事項等について処置の結果を把握する。 (4)打合せ結果を受注者が記録し、相互に確認を行う。 ③成果品納入時打合せ (1)管理技術者、照査技術者の出席のもとで行う。 (2)管理技術者から成果品(案)の説明を受け、成果品 (案)の把握を行う。 (3)照査技術者から照査報告書(案)の説明を受け、照査報告書(案)の把握を行う。 (4)打合せ結果を受注者が記録し、相互に確認を行う。 (5)受注者からの成果品提出時には、契約図書との適合を自ら認識し、受理する。 ※別紙に打合せフローとして「標準的な設計業務に関する履行フローチャート」を示す。 |
事 項 | 業 務 x x | 関連図書及び条項 |
(2)指示事項等の処置結果 | 記録簿等で具体に指示した事項等について、処置の結果に | 契9条、 |
の把握 | ついて把握を行う。 | 共仕1105条 |
(○) | ||
(3)照査状況の把握 | 照査計画書に記載された時期(設計図書で定める業務の区 | 契9条 |
(◎) | 切り)に必要な照査が実施されたか業務の打合せにおいて | 共仕1107 |
受注者から照査状況を照査項目一覧表、設計調書等により 報告を受け把握する。また、照査技術者自身により照査が | 詳細設計照査要領*1 | |
行われ、管理技術者は照査結果を確認しているかについて | 設計業務照査の手 | |
も把握する。(照査項目については、詳細設計照査要領、 | 引き書*2 | |
設計業務照査の手引き書を使用する場合はそれぞれの概要 | ||
を参照、これ以外の場合は照査計画(1.(5)業務計画 | ||
書に記載されている)に定められた照査要領を利用する。) | ||
(4)成果品の受理 | 成果品納入時には、契約図書との適合を自ら認識し、受理 | 共仕1116条 |
(◎) | を行う。 | 共仕1106条、 |
照査報告書については、照査技術者の署名押印のうえ、管 | 共仕1107条 | |
理技術者の確認を受けた照査報告書の受理を行う。 | ||
(5)支給材料及び貸与品の | 設計図書に定められた支給材料及び貸与については、その | 契16条 |
確認及び受理 | 品名、数量、品質、規格又は性能を設計図書に基づき確認 | |
(▲) | し、引渡しを行う | |
3.円滑な契約履行の確保 (1)関係機関との協議・調整 (○) | 業務に関して、関係機関との協議・調整等における必要な措置を行う。 | 共仕1113条 |
(2)地元対応 (○) | 地元関係者への説明、交渉等を行う。 | 契12条、 共仕1114条 |
(3)土地への立入り (○) | 受注者が立ち入る土地の所有者等の承諾を得る。 | 契13条、 共仕1115条 |
事 項 | 業 務 x x | 関連図書及び条項 |
4.その他 (1)臨機の措置 (▲) | 災害防止その他業務を行う上で特に必要があると認めるときは、受注者に対して臨機の措置を求める。 | 契26条 共仕1131条 |
(2)事故等に対する措置 (▲) | 事故等が発生した時は、速やかに状況を調査し所長等に報告する。 | 共仕1129条 |
(3)設計業務等成績調書の評定 (○) | 設計業務等採点基準に基づき設計業務成績の評定を行う。 | 共仕1118条 設計業務等採点基準 |
(4)設計業務完成検査等の立会 (○) | 業務の完成、出来高、中間の各段階における業務検査の立会を行う。 | 共仕1118条 |
(5)検査日の通知 (○) | 業務検査に先立って受注者に対して検査日を通知する。 | 共仕1118条 |
*1:県土整備部で使用 *2:農林水産部で使用
附則 この要領は、平成16年4月1日以降の起案にかかるものから適用する。
ただし、三重県建築設計業務委託共通仕様書を適用する建築設計業務委託については、本要領を適用しないものとする。
附則 この要領は、平成25年7月1日から適用する。
ただし、三重県建築設計業務委託共通仕様書を適用する建築設計業務委託については、本要領を適用しないものとする。
参考
着手時打合せ
現 地 踏 査
x 約
標準的な設計業務に関する履行フローチャート
監督員
条件等指示(基本条件の整理) | 条件等 (含 業務計画書(照査計画を含む)) | |
業務計画書(照査計画書を含む)の受理 |
設 計 計 画
①基本条件の照査(照査項目一覧表)
一般図作成
中間打合せ
基本条件の把握照査状況の把握
基本条件
業務の区切りの段階で打合せを行う。
②細部条件、構造細目の照査
(照査項目一覧表、設計調書)
中間打合せ
一般図・細部条件、構造細目の把握照査状況の把握
一般図・細部条件、構造細目
設計計算書詳細図作成数量計算 施工計画
③ 設計計算書、設計図、数量計算書、施工計画書等の照査
(照査項目一覧表、設計調書)
照査報告書作成
(照査①~③及び設計調書を含む)
成果品納入時打ち合わせ
打合せ
成果品(案)の把握照査報告書の把握
成果品(案)
打合せ
成果品の受理 照査報告書の受理
成果品提出
注記 1 照査②の段階より、設計調書の有効活用を図る。
2 工程に関わる打合せの時期は、業務計画書提出時に打ち合わせにより設定する。