Q & A
改訂版
Q & A
過半数代表者とは???
̶職場の声を集約した労使協定のために̶
現在、パート、契約社員、派遣社員など非正規雇用で働く人はおよそ2,000万人と言われています。雇用労働者全体に占める非正規労働者の比率も上昇し、37%を超えています。
このような中、非正規雇用で働く人たちを、同じ職場で働く仲間として労働組合に加入してもらう活動(組織化)に連合全体で取り組み、非正規雇用の組合員も増加してきています。しかし、非正規雇用で働く人たちを未だ労働組合に組織していない職場も少なくありません。非正規雇用で働く人たちを組織していない労働組合では、「過半数労働組合」でないところ もあります。そのような職場では、36協定などの労使協定を締結するにあたっては、適正な手
続きで「過半数代表者」を選ばなければなりません。
一方、「過半数労働組合」であっても、組合員であるか否かを問わずパートや契約社員、嘱託社員など同じ職場で働く仲間の意見を聴き、職場で働くすべての労働者の代表として行動することが求められています。2019年4月1日から施行される改正労働基準法では、過半数労働組合・過半数代表者の役割はさらに重要になります。
このリーフレットでは、「過半数代表者」について、現行法の規定などを改めて整理しました。日常の組合活動や非正規雇用で働く人たちの組織化や処遇改善の取り組みを進めるにあたっても、ぜひ、ご活用ください。
2018年11月
日本労働組合総連合会(連合)
1「過半数代表」とは何でしょうか?
労使協定を締結する場合などの労働者側の代表です。
事業場
労働基準法などは、36協定などの労使協定を、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合(過半数労働組合)がある場合はその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)と締結することを使用者に求めています。また、就業規則の作成または変更についても、過半数労働組合がある場合はその労働組合、過半数労働組合がない場合は過半数代表者の意見を聴かなければならないこととされています。労働基準法は、使用者が守らなければならない労働条件の最低基準を定め、法律に違反した場合は罰則も設けています。しかし、過半数代表(過半数労働組合または過半数代表者)と労使協定を締結した場合には、たとえば36協定であれば、労働基準法第32条の法定労働時間を超えて働かせても、労働基準法第32条違反とはならなくなるなど、過半数代表には法律上、一定の役割を適切に果たすことが期待されています。
労働組合加入者490名
労働組合未加入者510名
分子
この場合、労働組合加入者
(組合員)が事業場の全労働者の過半数より少ないため、労働組合は過半数代表となることができません
1,000人 分母
直接雇用関係がある全労働者
正社員・パート・契約社員・再雇用者・アルバイト・管理職など
( ※「管理職」・派遣社員についてはQ6へ)
過半数を組織していない労働組合は、過半数代表者の選出の手続きに積極的に関わり、労働組合に入っていない人たちに労働組合の存在・役割をアピールしていきましょう。
さらに、労使協定の締結当事者としての役割にとどまらず、職場の共通の課題を解決していくために、組織拡大に取り組み、過半数労働組合をめざしましょう。これは、日常で起こる様々な労働問題の解決や働きやすい職場づくりなど、職場で働く労働者一人一人にとって大切なことです(過半数労働組合として取り組むべき事項についてはQ7へ)。
【例】 会社が法定労働時間(労働基準法第32条)の「1日8時間、週40時間」を超えて、または、法定休日(労働基準法第35条)に労働者に対し、時間外労働や休日労働を命じる場合
会社(使用者)は、過半数労働組合または過半数労働組合がない場合は過半数代表者と書面による労使協定「36(さぶろく)協定※」を締結し、その事業場を管轄する労働基準監督署に締結した協定を届け出ることが必要です。
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使用者は、上記の手続きを経てはじめて、その事業場の労働者に労使協定の内容にもとづいた時間外労働や休日労働をさせることが適法となります。もちろん、36協定の締結と届出さえすればよいものではなく、労働協約・就業規則などで時間外労働や休日労働を命ずることができる規定を置いていることおよび法定労働時間を超える時間外労働や休日労働に対しては割増賃金を支払うことが必要です(労働基準法第37条)。
※36協定:労働基準法第36条にもとづいて締結する協定のこと。本来、使用者は労働基準法第32条に定められている法定労働時間を超えて、労働者に労働をさせてはいけませんが、この協定を労使で締結し、労働基準監督署へ届け出た場合に、労働時間を延長することが可能になります。
まずは、労働組合が、
労働組合がその事業場で働く労働者の過半数を組織していない
2
事業場で働く労働者の過半数を組織しているのかどうか、チェックしてみましょう。
7
労働組合がその事業場で働く労働者の過半数を組織している
※「事業場」の単位について
労働基準法などでいう「事業場」とは、主に場所的な観念によって決定されるものです。しかし、場所だけで決定されるものではありません。厚生労働省は、具体的な考え方を以下のように示しています(昭和22・9・13基発第17号、昭和 23・3・31基発第5 1号、昭和33・2・13基発第90号、昭和63・3・14基発第150号、平成2・3・31基発第168号)。
(1「)事業とは、工場、鉱山、事務所、店舗等の如く一定の場所において相関連する組織のもとに業として継続的に行われる作業の一体をいうのであって、必ずしもいわゆる経営上一体をなす支店、工場等を総合した全事業を指称するものではない」
→必ずしも会社全体を意味するものではありません。
(2「)一の事業であるか否かは主として場所的観念によって決定すべきもので、同一場所にあるものは原則として分割することなく一個の事業とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業とする」
→原則、同じ場所にあれば同じ事業、別の場所にあれば別の事業です。(※例:本社、支店、工場など)
(3「)同一場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門が主たる部門との関連において従事労働者、労務管理等が明確に区別され、かつ、主たる部門と切り離して適用を定めることによって労働基準法がより適切に運用できる場合には、その部門を一の独立の事業とする」
→しかし、同じ場所でも労働内容がまったく違えば別の事業です。(※例:工場内の診療所、食堂など)
(4「)個々の労働者の業務による分割は認めない」
→ただし、同じ場所でも別の事業となるのは、その方が労働基準法をより適切に運用できると期待される場 合です。
(5「)場所的に分散しているものであっても、出張所、支所等で、規模が著しく小さく、組織的関連ないし事務能力を勘案して一の事業という程度の独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して一の事業として取り扱う」
→別の場所でもそれぞれの人員規模が小さければ上位の組織と一括して1つの事業となります。
へへ
2 過半数代表者はどのように選ばれなければ
ならないのですか?
労働基準法施行規則第6条の2第1項第2号
労働基準法施行規則第6条の2第3、4項
過半数代表者は、①どのような労使協定を締結するための代表を選出するのかを明確にし、②管理・監督者(労働基準法第41条第2号)を除く労働者の中から、③投票や挙手などの方法により民主的に選ぶ必要がありますが、④使用者の意向に基づき選出された者であってはなりません(労働基準法施行規則第6条の2)。行政通達では、投票や挙手のほかに、労働者の話し合いや持ち回り決議など、労働者の過半数が支持していることが明確になるような民主的な手続きも該当するとされています(平成11・3・31基発第 169号)。また、36協定の届出書(様式第9号)には過半数代表者の選出方法を記載することとなっています。
○投票(無記名、秘密投票)が原則
○挙手、起立、回覧などによる信任
○各職場代表による互選
×使用者が一方的に過半数代表者を指名する
×親睦会の代表者や一定の役職についている者、過半数を組織していない労働組合が自動的に就任している
×一部の役職者が互選により選出する
たとえば、過半数労働組合ではない場合に、労働組合の委員長が過半数代表者となるためには、過半数代表として信任を得る手続き(選挙を行う、同意書をもらうなど)が必要です。
この場合の労使協定締結は、「過半数労働組合」としてではなく、委員長が過半数代表者として行うことになります。
不利益取扱いの禁止
使用者は、労働者が過半数代表者であることや、過半数代表者になろうとしたこと、過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをすることは禁止されています。また、使用者は、過半数代表者が協定等に関する事務を円滑に遂行できるように、必要な配慮を行わなければなりません。
3 民主的な手続きを踏まず適切に選出されていない
代表者が労使協定を締結したらどうなりますか?
民主的な手続きによって選ばれていなければ「労働者の過半数を代表する者」ではなく、その者が締結した労使協定は無効となります。
なお、過半数代表者と締結した労使協定であるといえるか否かをめぐり、労使協定が無効とされた判例もあります。
事件名:トーコロ事件(東京高等裁判所、平成9年11月17日判決)
事案の概要:「会員相互の親睦と生活の向上、福利の増進を図り、融和団結の実をあげる」ことを目的とする親睦団体の代表者であるAとY会社の間で36協定が締結されていた。Y会社が、これにもとづいて残業命令を行ったところ、Y会社の従業員であるXは拒否した。Y会社はこのことを理由にXを解雇した。
判例要旨:いかなる場合に使用者の残業命令に対し労働者がこれに従う義務があるかについてみるに、労働基準法32条の労働時間を延長して労働させることに関し、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(いわゆる36協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に右36協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨を定めているときは、当該就業規則の規定の内容が合理的なものである限り、それが具体的労働契約の内容をなすから、右就業規則の規定の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて、労働をする義務を負うものと解するのが相当である(最高裁判所第一小法廷、平成3年11月28日判決・民集45巻8号 1270頁参照)。そして、右36協定は、実体上、使用者と、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、そのような労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者との間において締結されたものでなければならないことは当然である。
以上より、本件では、役員を含めた全従業員によって構成される親睦団体「友の会」は、「会員相互の親睦と生活の向上、福利の増進を図り、融和団結の実をあげる」ことを目的とする団体であることから労働組合でないことは明らかである。また、「友の会」の代表者は自動的に労働者の代表となり、民主的に選出されたとはいえないため、「労働者の過半数を代表する者」でもない。したがって締結された36協定は無効であることから、残業命令も有効であるとは認められない。Xはこれに従う義務があったとはいえず、Yによる解雇は無効とした。
※本判決は、最高裁判所でも正当として支持された(最高裁判所第二小法廷、平成13年6月22日)。
4 過半数代表が登場する場面は36協定以外に、
どのようなものがありますか?
過半数代表の関与する事項は、時間外労働や休日労働について法律で定められている規制を解除するものや就業規則の作成・変更に関するもの、賃金の一部を控除して支払うようにするものなど、労働基準法をはじめとする数多くの法令で定められており、その事項は現在70まで増加しています(詳細は巻末参照)。
5「労働者の過半数」とありますが、
「労働者」の範囲(分母)を教えてください。
正社員のみではなく、パート、契約社員、嘱託社員、再雇用者、アルバイトなどを含めた、その事業場に勤務する直接雇用関係があるすべての労働者が対象です。また「管理職」も対象に含まれますが、過半数代表者にはなれません(Q6参照)。派遣社員など、その事業場に直接雇用されていない労働者は含まれません。ただし、派遣社員も派遣先ではなく派遣元では対象に含まれます。
6 職場のパートや契約社員、派遣社員などの
非正規雇用で働く人や管理職も過半数代表者に
なれますか?
労働基準法施行規則第6条の2第1項第1号
労働者派遣法 第40条の2第4項
労働基準法第41条第2号
正社員だけでなく、パートや契約社員などであっても、その事業場に勤務する直接雇用関係がある労働者であれば過半数代表者に選出されることは可能です。ただし、派遣社員などの間接雇用労働者は直接雇用関係がないため、派遣先ではその対象にはなりません。
また、管理・監督者(労働基準法第41条第2号)は、事業場の労働者の数には含まれますが、過半数代表者になることは不適切とされています(労働基準法施行規則第6条の2)。
なお、派遣労働に関しては、同じ事業所での派遣労働者の受入れは原則3年までというルールがありますが、この期間を超えて派遣労働者を受入れようとする場合、派遣先は、あらかじめ派遣先の過半数代表に対し、延長する期間等を書面で通知し、意見を聴く必要があります(労働者派遣法第40条の2第4項)。
7 私たちの労働組合は、事業場の労働者の
過半数を組織しているので、何の問題もないと
思うのですが…。
パート・有期法第7条
過半数労働組合であることで、自動的に過半数代表として労使協定の締結当事者になるとしても、組合員はもちろん組合員以外
(組合員ではないパート、契約社員、嘱託社員や管理職、アルバイトなど)からも意見聴取を行うなど、労働組合は「当該事業場で働くすべての労働者の代表」としての役割が期待されています。
たとえば、短時間・有期労働者に関する事項についての就業規則の作成・変更にあたっては、使用者は短時間・有期労働者の過半数を代表すると認められる者からの意見を聴くよう努めるものとするという規定もあります(パートタイム労働法第7条)。非正規雇用で働く人たちを組合員として組織していない場合でも、特に当事者に関わる事項については、過半数労働組合は積極的に意見を聴き、使用者と交渉・協議することが望まれます。
また、労使協定締結時には過半数労働組合であっても、企業合併や、未組織の非正規労働者の増加等により、組合員数が事業場の労働者の過半数を下回ってしまっている場合もあります。今一度、実態を把握し、職場の労働組合がその事業場の労働者の過半数を組織しているか確認する必要もあります。そして、過半数を下回っている場合には過半数の組織化を図る必要があります。
なお、会社全体では過半数労働組合であっても、事業場単位では必ずしも過半数労働組合ではないことがありうる点には要注意です。
職場から始めよう運動とは
◆できることから一つずつ
同じ職場・同じ地域で働く非正規労働者が抱えている問題を、自らにつながる課題として捉え、その改善のために何ができるかを考え、具体的なアクションにつなげていくものです。
◆労働組合だからこそできること
連合は、非正規労働者に関わる政策の実現に取り組んでいますが、同時に重要なことは、それぞれの職場で組織化や処遇改善に取り組み、それを広げていくことです。雇用形態にかかわらず、同じ職場で働く人の声を集め、そこから職場全体に共通の課題を導き出し、解決に向けて行動する取り組みの先頭に立てるのは、労働組合しかありません。
〈取り組み内容〉
1.職場で、パート、有期、派遣などで働く労働者の権利を守る(労働法の法令遵守)
2.実態把握・コミュニケーションを進める(非正規雇用の実態把握、組合活動の情報発信、意見交換の場づくり)
3.組織化・組織確認を展開する(組合員範囲の見直し、学習活動、加入活動、取り組み方針決定など)
4.処遇改善・制度化を進める(労使交渉、団体交渉の取り組み)
5.取り組み事例集等を活用して、すべての労働者の組織化と処遇改善につなげる
【参考条文】
労働基準法
第36条(時間外及び休日の労働)
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第 32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
② 前項の協定においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
1 この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲
2 対象期間(この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、1年間に限るものとする。第4号及び第6項第3号において同じ。)
3 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合
4 対象期間における1日、1箇月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数
5 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項
③ 前項第4号の労働時間を延長して労働させることができる時間は、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限る。
④ 前項の限度時間は、1箇月について45時間及び1年について360時間(第32条の4第1項第2号の対象期間として3箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、1箇月について42時間及び1年について320時間)とする。
⑤ 第1項の協定においては、第2項各号に掲げるもののほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に第3項の限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(第2項第4号に関して協定した時間を含め100時間未満の範囲内に限る。)並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め720時間を超えない範囲内に限る。)を定めることができる。この場合において、第1項の協定に、併せて第2項第2号の対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が1箇月について45時間(第32条の4第1項第2号の対象期間として3箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、1箇月について42時間)を超えることができる月数(1年について6箇月以内に限る。)を定めなければならない。
⑥ 使用者は、第1項の協定で定めるところによつて労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合であつても、次の各号に掲げる時間について、当該各号に定める要件を満たすものとしなければならない。
1 坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務について、1日について労働時間を延長して労働させた時間 2時間を超えないこと。
2 1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間 100時間未満であること。
3 対象期間の初日から1箇月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の1箇月、2箇月、3箇月、 4箇月及び5箇月の期間を加えたそれぞれの期間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の1箇月当たりの平均時間 80時間を超えないこと。
⑦ 厚生労働大臣は、労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするため、第1項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の健康、福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して指針を定めることができる。
⑧ 第1項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長及び休日の労働を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の指針に適合したものとなるようにしなければならない。
⑨ 行政官庁は、第7項の指針に関し、第1項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
⑩ 前項の助言及び指導を行うに当たつては、労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない。
⑪ 第3項から第5項まで及び第6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については適用しない。
労働基準法
第24条(賃金の支払)
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
② 賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第89条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
労働基準法
第90条(就業規則の作成の手続)
使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
② 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。
労働基準法施行規則
第6条の2(過半数代表者の選出手続等について)
法第18条第2項、法第24条第1項ただし書、法第32条の2第1項、法第32条の3第1項、法第32条の4第 1項及び第2項、法第32条の5第1項、法第34条第2項ただし書、法第36条第1項、第8項及び第9項、法第37条第3項、法第38条の2第2項、法第38条の3第1項、法第38条の4第2項第1号、法第39条第4項、第 6項及び第9項ただし書並びに法第90条第1項に規定する労働者の過半数を代表する者(以下この条において「過半数代表者」という。)は、次の各号のいずれにも該当する者とする。
1 法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。
2 法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であつて、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。
② 前項第1号に該当する者がいない事業場にあつては、法第18条第2項、法第24条第1項ただし書、法第39条第4項、第6項及び第9項ただし書並びに法第90条第1項に規定する労働者の過半数を代表する者は、前項第2号に該当する者とする。
③ 使用者は、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
④ 使用者は、過半数代表者が法に規定する協定等に関する事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならない。
パート・有期法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
第7条(就業規則の作成の手続)
事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする。
参考
「過半数代表」が関与する制度
本表において「過半数代表」とは、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者をいう。
Ⅰ 個別的労働関係法
制度の概要 | 根拠条文 | 関与の態様 | 適用単位 | 機能による分類(注1) | |
○ 労働時間 | |||||
1 | 1か月単位の変形労働時間制の導入 | 労働基準法 32の2① | 労使協定 | 事業場 | 法定基準の解除 |
2 | フレックスタイム制の導入および労働時間の限度 | 労働基準法 32の3、3③ | 労使協定 | 事業場 | 法定基準の解除 |
3 | 1年単位の変形労働時間制の導入 | 労働基準法 32の4① | 労使協定 | 事業場 | 法定基準の解除 |
4 | 1週間単位の非典型的変形労働時間制の導入 | 労働基準法 32の5① | 労使協定 | 事業場 | 法定基準の解除 |
5 | 一斉休憩付与適用除外 | 労働基準法 34②ただし書 | 労使協定 | 事業場 | 法定基準の解除 |
6 | 時間外及び休日の労働 | 労働基準法 36①~⑥ | 労使協定 | 事業場 | 法定基準の解除 |
7 | 事業場外労働制に係る労働時間の算定 | 労働基準法 38の2② | 労使協定 | 事業場 | 法定基準の解除 |
8 | 専門業務型裁量労働制の導入 | 労働基準法 38の3① | 労使協定 | 事業場 | 法定基準の解除 |
9 | 労使委員会の設置(企画業務型裁量労働制の導入、労働時間等に関する規定の適用除外) | 労働基準法 38の4②ー、41の2③ | 委員の指名 | 事業場 | 法定基準の解除(注2) |
10 | 労働時間等設定改善委員会の設置 | 労働時間等設定改善法 7①ー | 委員の推薦 | 事業場 | 法定基準の解除(注3) |
11 | 衛生委員会等を労働時間等設定改善委員会とみなす手続 | 労働時間等設定改善法 7② | 労使協定 | 事業場 | 法定基準の解除(注3) |
12 | 3歳未満の子を養育する労働者から請求があった場合の所定外労働の免除 | 育児介護休業法 16の8① | 労使協定 | 事業所 | 法定基準の解除 |
13 | 3歳未満の子を養育する労働者からの申出に基づく所定労働時間の短縮措置等 | 育児介護休業法 23①ただし書 | 労使協定 | 事業所 | 法定基準の解除 |
○ 休暇・休業 | |||||
14 | 年次有給休暇の時間単位付与 | 労働基準法 39④ | 労使協定 | 事業場 | 法定基準の解除 |
15 | 年次有給休暇の計画的付与 | 労働基準法 39⑥ | 労使協定 | 事業場 | 法定基準の解除 |
16 | 育児・介護休業をすることができない労働者に関する定め | 育児介護休業法 6①ただし書、12②で準用する 6ただし書 | 労使協定 | 事業所 | 法定基準の解除 |
17 | 子の看護休暇、介護休暇を取得することができない労働者に関する定め | 育児介護休業法 6の3②・16の6②で準用する 6①ただし書 | 労使協定 | 事業所 | 法定基準の解除 |
○ 賃金・退職手当 | |||||
18 | 賃金の一部控除 | 労働基準法 24①ただし書 | 労使協定 | 事業場 | 法定基準の解除 |
19 | 割増賃金の支払に代えた代替休暇 | 労働基準法 37③ | 労使協定 | 事業場 | 法定基準の解除 |
20 | 年次有給休暇中の賃金の定め | 労働基準法 39⑦ただし書 | 労使協定 | 事業場 | 法定基準の解除 |
21 | 法定の退職手当保全措置によらない旨の定め | 賃金支払確保法施行規則 4①五 | 労使協定 | 単位の明示なし | 法定基準の解除 |
22 | 退職手当保全措置を講ずべき額の設定 | 賃金支払確保法施行規則 5三 | 労使協定 | 単位の明示なし | 政策目的 |
23 | 退職手当保全委員会構成員 | 賃金支払確保法施行規則 5の2②で準用する 2②ー | 委員の推薦 | 単位の明示なし | 政策目的 |
○ 労働安全衛生 | |||||
24 | 安全委員会(衛生委員会・安全衛生委員会) | 労働安全衛生法 17④、18④で準用する 17④、19④で準用する 17④ | 委員の推薦 | 事業場 | 政策目的 |
25 | 安全衛生改善計画の作成に係る意見聴取 | 労働安全衛生法 78② | 意見聴取 | 事業場 | 政策目的 |
○ 貯蓄金・財形 | |||||
26 | 貯蓄金の管理 | 労働基準法 18② | 労使協定 | 事業場 | 法的基準の解除 |
27 | 預金保全委員会構成員 | 賃金支払確保法施行規則 2②ー | 委員の推薦 | 単位の明示なし | 政策目的 |
28 | 財形給付金契約の締結 | 勤労者財産形成促進法 6の2① | 書面による合意 | 事業場 | 政策目的 |
29 | 財形基金の設立発起等 | 勤労者財産形成促進法 7の8① | 書面による合意 | 事業場 | 政策目的 |
30 | 財形基金の設立事業場の増加 | 勤労者財産形成促進法 7の25① | 同意 | 事業場 | 政策目的 |
31 | 財形預入れに係る金額の船員の賃金からの控除 | 勤労者財産形成促進法 16② | 書面による協定 | 事業場の船員 | 政策目的 |
32 | 財形契約に係る信託の受益者等となる資格の決定 | 勤労者財産形成促進法施行令 16 | 書面による合意 | 事業場 | 政策目的 |
33 | 財形契約に係る勤労者一人当たり一年につき払い込む信託金等の上限額の決定 | 勤労者財産形成促進法施行令 17③ | 書面による合意 | 事業場 | 政策目的 |
○ その他(就業規則等) | |||||
34 | 就業規則の作成・変更 | 労働基準法 90① | 意見聴取 | 事業場 | 労働条件規制 |
35 | 短時間労働者に係る事項についての就業規則の作成・変更 | パート・有期法 7 | 意見聴取 | 短時間労働者・有期契約労働者が雇用される事業所 | 労働条件規制 |
36 | 寄宿舎規則の作成・変更 | 労働基準法 95② | 同意 | 寄宿舎 | 労働条件規制 |
出所:労働政策研究・研修機構「様々な雇用形態にある者を含む労働者全体の意見集約のための集団的労使関係法制に関する研究会 報告書」(2013年7月)をもとに連合作成
Ⅱ 労働市場法
制度の概要 | 根拠条文 | 関与の態様 | 適用単位 | 機能による分類 | |
○ 労働市場 | |||||
1 | 事業規模の縮小等により離職する労働者の再就職援助計画の作成 | 労働施策総合推進法 24② | 意見聴取 | 事業所 | 政策目的 |
2 | 事業所単位で3年を超えて派遣労働者を受け入れる場合の手続 | 労働者派遣法 40の2④ | 通知、意見聴取 | 派遣先の事業所 | 政策目的 |
3 | 継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準 | 高年齢者雇用安定法 9②(改正法附則 ③) | 労使協定 | 事業所 | 政策目的 |
4 | 解雇等により離職する高年齢者等の再就職援助措置、再就職援助担当者の業務遂行に係る事項 | 高年齢者雇用安定法施行規則 6の3①、 6の4② | 意見聴取 | 事業所 | 政策目的 |
5 | 派遣労働者に係る事項についての就業規則の作成・変更 | 労働者派遣法36の6 | 意見聴取 | 派遣元の事業所 | 労働条件規則 |
○ 助成金等の支給要件 | |||||
6 | 雇用保険の雇用継続給付(高年齢・育児・介護)支給申請手続の使用者による代理 | 雇用保険法施行規則 101の8、101の15・ 102で準用する101の8 | 労使協定 | 事業所 | 政策目的 |
7 | 雇用調整助成金の支給要件としての休業等、出向の実施に関する協定 | 雇用保険法施行規則 102の3①ニイ(4)、ロ (4) | 労使協定 | 事業所 | 政策目的 |
8 | 労働移動支援助成金の支給要件としての再就職援助計画、求職活動支援基本計画書の作成 | 雇用保険法施行規則 102の5②一ハ、ニハ | 同意 | 事業所 | 政策目的 |
9 | キャリア形成促進助成金の支給要件としての事業内職業能力開発計画の作成 | 雇用保険法施行規則 125①ーイ(1) | 意見聴取 | 事業所 | 政策目的 |
Ⅲ その他(企業組織再編・倒産・企業年金関係)
制度の概要 | 根拠条文 | 関与の態様 | 適用単位 | 機能による分類 | |
○ 企業組織再編 | |||||
1 | 会社分割に当たっての労働者の理解と協力 | 労働契約承継法 7、労働契約承継法施行規則 4 | 協議その他これに準ずる方法 | 企業における全ての事業場 | 政策目的 |
○ 倒産 | |||||
2 | 破産手続開始の際の公告 | 破産法 32③四 | 裁判所からの通知 | 企業 | 政策目的 |
3 | 更生手続、再生手続開始の申立てに対する決定手続 | 会社更生法 22①、民事再生法 24の2 | 裁判所による意見聴取 | 企業 | 政策目的 |
4 | 破産手続、更生手続、再生手続における債権者集会等の期日 | 破産法 136③、会社更生法 115③、民事再生法 115③、212③ | 裁判所からの通知 | 企業 | 政策目的 |
5 | 更生会社、再生会社の債権者集会等における財産状況の報告 | 会社更生法 85③、民事再生法 126③ | 集会における意見陳述 | 企業 | 政策目的 |
6 | 更正計画案、再生計画案の裁判所への提出後の手続 | 会社更生法 188、民事再生法 168 | 裁判所による意見聴取 | 企業 | 政策目的 |
7 | 更正計画、再生計画の認可・不認可に関する手続 | 会社更生法 199⑤、民事再生法 174③ | 裁判所への意見陳述 | 企業 | 政策目的 |
8 | 更正計画、再生計画の認可・不認可の決定 | 会社更生法 199⑦、民事再生法 174⑤ | 裁判所からの通知 | 企業 | 政策目的 |
9 | 再生債権者等による簡易再生の申立て | 民事再生法 211② | 通知 | 企業 | 政策目的 |
10 | 特別精算、破産手続、更生手続、再生手続開始後の事業譲渡に係る裁判所の許可 | 会社法 896②、破産法 78④、会社更生法 46③、民事再生法 42③ | 裁判所による意見聴取 | 企業 | 政策目的 |
11 | 他の倒産処理手続への移行(〔再生→更正〕など)許可の申立てに対する決定 | 会社更生法 248③、民事再生法 246③ | 裁判所による意見聴取 | 企業 | 政策目的 |
○ 確定給付企業年金 | |||||
12 | 確定給付企業年金に係る規約の作成・変更 | 確定給付企業年金法 3①、6② | 同意 | 適用事業所 | 政策目的 |
13 | 確定給付企業年金(規約型企業年金)の統合・分割・終了 | 確定給付企業年金法 74②、75④で準用する74②、84① | 同意 | 適用事業所 | 政策目的 |
14 | 確定給付企業年金の実施事業所の増減 | 確定給付企業年金法 78① | 同意 | 適用事業所 | 政策目的 |
15 | 他の確定給付企業年金等への給付の支給に関する権利義務の移転 | 確定給付企業年金法 79④ | 同意 | 適用事業所 | 政策目的 |
16 | 他の制度への移行(規約型企業年金から企業年金基金等) | 確定給付企業年金法 80⑤-81⑤ | 同意 | 適用事業所 | 政策目的 |
○ 確定拠出年金 | |||||
17 | 企業型年金規約の作成・変更 | 確定拠出年金法 3①、5② | 同意 | 適用事業所 | 政策目的 |
18 | 企業型年金の終了 | 確定拠出年金法 46① | 同意 | 適用事業所 | 政策目的 |
出所:労働政策研究・研修機構「様々な雇用形態にある者を含む労働者全体の意見集約のための集団的労使関係法制に関する研究会 報告書」(2013年7月)をもとに連合作成
〔参考〕法令上明示的に規定されていないが、「過半数代表」の関与が想定され得る制度
制度の概要 | 根拠条文 | 関与の態様 | 適用単位 | 機能による分類 | |
1 | 就業規則の変更による労働条件の変更 | 労働契約法 10 | 変更の合理性を判断する際に、労働組合等との交渉の状況を考慮 | 単位の明示なし | 労働条件規制 |
2 | 使用者等が従業者等に支払う職務発明の対価についての定め | 特許法 35④ | 定めの合理性を判断する際に、従業者等との協議の状況を考慮 | 単位の明示なし | 労働条件規制 |
3 (株 | )企業再生支援機構による再生支援の決定等 | 株式会社企業再生支援機構法 25⑤ | 労働者との協議の状況等に配慮 | 単位の明示なし | 政策目的 |
4 (株 | )東日本大震災事業者再生支援機構による再生支援の決定等 | 株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法 19⑤ | 労働者との協議の状況等に配慮 | 単位の明示なし | 政策目的 |
5 | 性別を理由とする差別等に関する苦情処理機関 | 男女雇用機会均等法 15 | 労働者の代表が機関の構成員となる | 事業所 | 政策目的 |
6 | 短時間労働者の待遇の差別的取扱い等に関する苦情処理機関 | パートタイム労働法 19 | 労働者の代表が機関の構成員となる | 短時間労働者が雇用される事業所 | 政策目的 |
7 | 育児介護休業に関する苦情処理機関 | 育児介護休業法 52の2 | 労働者の代表が機関の構成員となる | 事業所 | 政策目的 |
(注1)機能による分類の定義について
「法定基準の解除」:労働条件に関する法令による強行規制について、過半数代表との労使協定により、その規制の緩和・逸脱を認めるもの。
「労働条件規制」:使用者による労働条件設定を規制するために、その一連の手続に過半数代表を関与させるもの。
「政策目的」:法定基準の解除、労働条件規制以外の多様な政策目的を実現するための制度について、その一連の手続に過半数代表を関与させるもの。
(注2「)労使委員会の設置(企画業務型裁量労働制)」に過半数代表が関与する際の機能について
労働基準法第38条の4の規定に基づく労使委員会の設置については、同条第2項第1号の規定により、委員の半数について過半数代表による指名が求められている。そして、この労使委員会が企画業務型裁量労働制に関する事項について決議を行い、使用者が当該決議を行政官庁に届け出た場合に、企画業務型裁量労働制を実施することができるとされている。したがって、過半数代表が労使協定という形で法定基準の解除に直接関与するものではないが、本資料においては、例外的に、労使委員会の設置を「法定基準の解除」として整理している。
なお、他の法定基準の解除(本表の1~8、14、15、19、20)における労使協定についても、この労使委員会の決議によって代替することができることとされている。
(注3「)労働時間等設定改善委員会の設置」及び「衛生委員会等を労働時間等設定改善委員会とみなす手続」に過半数代表が関与する際の機能について
労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(以下「労働時間等設定改善法」という。)第6条の規定に基づき設置される労働時間等設定改善委員会については、同法第7条第1項の規定により、委員の半数について過半数代表の推薦に基づき指名されている等の一定の要件に適合するものである場合には、労働時間に関する法定基準の解除(本表の1~8、14、15、19)における労使協定について、当該委員会の決議によって代替することができることとされている。したがって、注2の労使委員会の設置と同様に、過半数代表が労使協定という形で法定基準の解除に直接関与するものではないが、本資料においては、例外的に、労働時間等設定改善委員会の設置を「法定基準の解除」として整理している。
また、労働安全衛生法第18条第1項の規定により設置される衛生委員会(同法第19条第1項の規定により設置される安全衛生委員会を含む。)については、労働時間等設定改善法第7条第2項の規定により、委員の半数について過半数代表の推薦に基づき指名されている等の一定の要件に適合するものであって、当該委員会に事業場における労働時間等の設定の改善に関する事項を調査審議させ、事業主に対して意見を述べさせることについて過半数代表と労使協定を締結した場合に、当該委員会を労働時間等設定改善委員会とみなして、同条第1項の規定を適用することとされている。このため、衛生委員会等を労働時間等設定改善委員会とみなす手続についても、前段の整理を踏まえて「政策目的」と整理している。
出所:労働政策研究・研修機構「様々な雇用形態にある者を含む労働者全体の意見集約のための集団的労使関係法制に関する研究会 報告書」(2013年7月)をもとに連合作成
Q&A 過半数代表者とは???
—職場の声を集約した労使協定のために—
編集・発行 日本労働組合総連合会(連合)
非正規労働センター・総合労働局
TEL 03-5295-0555 FAX 03-5295-0547
http://www.jtuc-rengo.or.jp/発 行 日 2018年11月
印 刷 (株)コンポーズ・ユニ
改訂版