イラン:Zanganeh石油相がPS契約採用を否定
イラン:Zanganeh石油相がPS契約採用を否定
2004/8/11
石油・天然ガス調査グループxx x
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報告内容
1
• PS契約採用の可能性に関するZanganeh石油
相の発言
• バイバック契約の見直しを巡る最近の動きと今後の見通し
• (参考)Yadavaranxxの「発見」について 他
Zanganeh石油相の発表 2
• 7月13日、Zanganeh石油相は、地元紙に対し、外国石油企業(IOC)との契約における生産物分与契約(PSA)導入の可能性を否定するコメント。
• IOCとの交渉阻害要因となっているバイバック契約の条件見直しの動きが伝えられ、PSA導入を検討との観測もあったが、これを完全否定。
• イランは、今後もバイバック契約を堅持し、条件の見直しもあくまでバイバックの枠組みの中で検討する方針であることが明確に。
バイバック契約の概要と問題点① 3
• バイバック契約の概要
– 石油企業が必要投資資金の全額を負担して開発を行い、投資コストと報酬(契約時に利益率設定)は、所定期限内に石油、ガス等の生産物により、イラン側より支払われる。
– 生産物の所有権はイラン側に帰属。
– 炭化水素資源の外資への権益付与を禁止する憲法の規定に抵触しない方式として、1990年代半ばに導入。
• 当初からの(IOCにとっての)問題点
– 外国企業の関与する開発期間が短く、短期間で操業権がイラン側に移転
– 当初設定された投資額を上回ったコストは石油会社負担
バイバック契約の概要と問題点② 4
• 改定バイバック契約の導入(2000年後半)
<risk/reward(ペナルティー/報酬)条項の追加>
– 操業移管後のNIOC生産量に基づき、外国企業の報酬額が決定されるメカニズム
– 双方合意の目標生産レベルを上回った場合は報酬が上乗せされ、下回った場合はペナルティーとして報酬が減額される。
• 自らの報酬に直結するNIOCの操業に外国企業は関与できず
→IOCからは強い不満
• 2001年以降、バイバック契約締結は実質2件(Eni、Inpex)のみ
• Bangestanプロジェクト(*)等の交渉は停滞
(*)当初3xxからAhwazxx開発(可採埋蔵量34億bbl、生産量を現状の2倍の25万b/dへ増産)を先行。4社応札するも、RD/Shell、Eniは撤退。BPは交渉凍結方針。Totalも条件面で合意に至っていない。
契約済みバイバックプロジェクトと参加企業 5
プロジェクト (契約年月) | 投資額 億ドル | Total (仏) | Shell (xx) | Eni (伊) | Statoil (ノルウェー) | Gazprom (露) | Petronas (マレーシア) | Inpex/ Japex (日本) | イラン企業 |
Sirri A&E | 6 | *70% | 30% | ||||||
(95/7) | |||||||||
SP 2-3 | 20 | *40% | 30% | 30% | |||||
(97/9) | |||||||||
Doroud (99/3) | 5.4 | *55% | 45% | ||||||
Balal | 2.4 | * 46.75% | 38.25% | 15% | |||||
(99/4) | |||||||||
Soroosh | 7.8 | *80% | 20% | ||||||
(99/11) | |||||||||
Nowrooz | *80% | 20% | |||||||
(99/11) | |||||||||
SP 4-5 | 19 | *60% | 40% | ||||||
(00/7) | |||||||||
Darquain | 5.5 | *60% | 40% | ||||||
(01/6) | |||||||||
SP 6-8 | 30 | * 40% | 60% | ||||||
(02/10) | |||||||||
Azadegan | 20 | ☆75% | 25% | ||||||
(04/2) | |||||||||
<注>SP:South Parsの略、 *:オペレーター、 ☆:Inpexのみ 各種資料より作成 |
条件見直しを巡る最近の動きと見通し 6
• 16探鉱・開発鉱区で新条件を提示(2004年1月)
– 2003年11月公開のイラン全土16鉱区
– 探鉱と開発・生産をパッケージにした新たな契約方式(従来は、探鉱と開発は別契約)
– 契約期間(探鉱開始から開発・生産および報酬支払完了まで)最大25年間
(内、生産期間15年)に延長←従来は生産期間7-8年
– 適用対象はあくまで当該16鉱区に限定
• 国会が上記に関するバイバック契約条件見直しを承認(2004年4月)
• 今後の見通し
– 大幅な条件見直しは、国会を通っても、監督評議会(Guardian Council)での憲法審議で却下される可能性大
– 高油価による石油収入の大幅増加
• 2003-2004年予算 石油収入154億ドル(油価前提$19/bbl)、実績214億ドル
– NIOCはあえてIOCの要求をのんで条件面で妥協する状況ではないと判断?
– 当面、IOCの望むような大幅見直しはないという見方が有力
(参考)16探鉱・開発鉱区 7
No | 鉱区名 | 面積 (Km2) |
1 | Moghan Block 1 | 3780 |
0 | Xxxxxx Xxxxx 0 | 0000 |
3 | Kuhdasht Block | 7688 |
0 | Xxxxxxxx Xxxxx | 0000 |
5 | Kermanshan Block | 15300 |
6 | Bijar Block | 15938 |
0 | Xxxx Xxxxxx Xxxxx | 00000 |
0 | Xxxx Xxxxxx Xxxxx | 00000 |
9 | Zabol Block | 19302 |
00 | Xxxx Xxxxxxxxx Xxxxx | 00000 |
00 | Xxxxxxx Xxxxx | 00000 |
12 | Tabas Block | 17176 |
13 | Garmsar Block | 12183 |
14 | Saveh Block | 13809 |
00 | Xxx Xxxxx | 0000 |
00 | Xxxxxxx Xxxxxx Xxxxx | 0000 |
(参考)Yadavaranxx
8
• 南西部Khuzestan州イラク国境近接の Kushkxx(2000年発見)、Hosseiniehxx(2002年発見)の2xxが、探査の結果、同一構造と判明。⇒「Yadavaranx x」と命名(2004年7月発表)
• Yadavaranxx概要
– 原始埋蔵量170億bbl、可採埋蔵量30億bbl、生産能力30-40万b/d
• 大手石油会社が関心
– RD/Shell、Statoil、Total、Repsol-YPF等
• イラン側は、本件をLNGプロジェクトとのパッケージディールの対象と位置付け。インドONGCとの協議(イラン産LNG購入と引き換えにYadavaranxx権益を付与)を優先する方針か?