1.土木請負工事の特徴 ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ P.1 2.工事の請負契約 ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ P.1 3.設計変更の現状 ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ P.1
土木工事請負契約における設計変更ガイドライン
平成 27 年7月
阪神高速道路株式会社
目 次
1.xx請負工事の特徴 | ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ | P.1 |
2.工事の請負契約 | ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ | P.1 |
3.設計変更の現状 | ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ | P.1 |
3-1.設計図書書照査の現状
3-2.設計変更の現状
3-3.発注者・受注者の留意事項
3-4.ガイドライン策定の目的
4.用語の定義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.3
5.設計変更手続きフロー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.5
5-1.設計変更の手続き(全般)
5-2.条件変更に係る設計変更手続きフロー
6.設計図書の照査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.7
6-1.はじめに
6-2.工事請負契約書及び土木工事共通仕様書における「設計図書の照査」について
6-2-1.設計図書の照査に関する規定
6-2-2.設計図書の照査項目及び内容
6-3.設計図書の照査項目一覧表
7.設計書の訂正又は変更 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.16
7-1.設計書の訂正又は変更について
7-2.工事内容の変更などの補助作業に関する規定
8.設計変更の対象となるケース ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.18
8-1.設計変更の対象となるケースについて
8-2.設計変更対応事例
9.設計変更の対象とならないケース ・・・・・・・・・・・・・・・ P.25
9-1.設計変更の対象とならないケースについて
9-2.設計変更の対象とならない事例
10.総合評価落札方式において、技術提案内容と異なる行為を行う場合の
設計変更について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.28
11.契約後VE において工事内容を変更する場合ついて ・・・・・・・ P.29
12.変更設計書の積算単価及び歩掛に関する注意事項 ・・・・・・・ P.30
12-1.間接工事費における工種区分について
12-2.設計変更における契約保証費について
13.関連事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.31
13-1.入札・契約時の設計図書等の疑義の解決
13-1-1.入札前
13-1-2.契約後
13-2.受発注者のコミュニケーションの促進
参考資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.33
1.土木請負工事の特徴
土木工事は、個別に調査・設計された極めて多岐にわたる工事目的物を多種多様な自然条件・環境条件のもとで施工されるという特殊性を有している。
しかしながら、当初積算時には地質調査や既設構造物調査など、精密な調査を実施したうえで積算するに至っていない工事もある。このため、土質・地下水位等の変化や現地調査における構造物の相違などに備え、その前提条件・図面を明示することにより設計変更の円滑化を図る必要がある。
2.工事の請負契約
公共工事の請負契約は、中央建設業審議会が作成・勧告した「標準請負契約約款」に基づいており、「発注者と受注者は、各々の対等な立場における合意に基づいて、xxな請負契約を締結し、xxに従って誠実にこれを履行する者とする。※」とある。
この記載のとおり、受発注者は【対等である】との共通認識のもと、特に発注者は受注者に不利な取り扱いがされたりする【片務性】の是正を図らなければならない。
※工事請負契約書より抜粋
3.設計変更の現状
3-1 設計図書照査の現状
工事の請負契約書には「発注者及び受注者は、この契約書に基づき、設計図書に従いこの契約を履行しなければならない。」とあり、受注者は設計図書に従って工事を施工する義務を負っている。しかし、現状の設計図書では十分な内容を持ったものではなかったり、設計図書と現場及び施工条件の相違、当初で予期することができなかった条件が発生したりと様々な要因により、当初の設計図書のまま工事を続行することが困難な状況が発生することがある。
このような問題に対応するために、受注者に「設計図書の照査」が義務づけられているが、この「設計図書の照査」に関して、受発注者の相互の解釈の違いにより照査範囲や費用負担の取り扱いが工事により異なるなど、受注者に過度の負担を強いている工事も確認されている。また、受注者が実施する「工事内容の変更などの補助作業(土木工事共通仕様書第1編第1章第1節 1.1.23(5)」についても、発注者と受注者の解釈の違いにより、本来発注者が実施(費用負担)する内容まで、受注者に過度に負担を強いている状況が見受けられる。
3-2 設計変更の現状
設計図書に明示されている内容と実際の現場条件等が一致しない場合には、契約書の関連条項に基づき、設計図書に明示した事項を変更し、併せて金額変更が必要となるケースがある。しかしながら、下記のように適切に変更がなされていない事例がある。
・発注者においてなされるべき条件明示がされていないことから、本来設計変更の対象となる事柄が変更されない。
・必要な「協議」が実施されずに現場の施工が行われ、設計変更が受け入れられない。
・発注者において明示された条件が変更になったにもかかわらず「任意仮設」というこ
とで、受注者からの変更を求められても変更しない。
・受注者が行う設計図書照査に関して、受注者に過度の負担を強いているにもかかわらず受発注者の認識の相違により変更されない。
このような発注者の対応は、「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針の一部変更について」平成 26 年 9 月 30 日閣議決定の「5 主として契約された公共工事の適正な施工の確保に関する事項(2)適正な施工を確保するための発注者・受注者間の対等性に関すること」に、「追加工事又は変更工事が発生したにもかかわらず書面による変更契約を行わないことや、受注者に帰責事由がないにもかかわらず追加工事等に要する費用を受注者に一方的に負担させることは、建設業法第 19 条第2項又は第 19条の3に違反するおそれがあるため、これを行わないものとする。」にも抵触することとなりかねない。
3-3 発注者・受注者の留意事項
「公共工事の品質確保の促進に関する法律(以下、「品確法」という。) 平成 26 年6月4日 公布・施行」の第3条(基本理念)には、「公共工事の品質確保に当たっては、公共工事における請負契約の当事者が各々の対等な立場における合意に基づいてxxな契約を締結し、xxに従って誠実にこれを履行するように配慮されなければならない。」および第7条(発注者の責務)において、「必要があると認められるときは適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金額又は工期の変更を行うこと。」とあり、発注者・受注者がそれぞれの役割分担を適切に行ったうえで設計変更内容について両者が合意し 契約を締結することが不可欠である。
また、発注者は、品確法第7条にあるとおり設計図書に適切に条件明示をするようにし なければならない。そして受注者は工事着手に当たっては、設計図書を照査し、着手時点における疑義を明らかにするとともに、施工中に疑義が生じた場合には、発注者と「協議」を行い工事を進めることが重要である。
3-4 ガイドライン策定の目的
設計変更に係る業務の円滑化を図るためには、発注者と受注者の両者が、設計変更における課題や留意点、手続きの流れ等について十分理解しておく必要がある。
「土木工事請負契約における設計変更ガイドライン」の策定
4.用語の定義
・契約書類・・・・・契約書第1条に規定する契約書および設計図書をいう。
・設計図書・・・・・図面、仕様書、金額を記載しない設計書、現場説明書および現場説明に対する質問回答書をいう。
・仕様書・・・・・・土木工事共通仕様書、特記仕様書(これらにおいて明記されている適用すべき諸基準を含む。)をいう。
・特記仕様書・・・・土木工事共通仕様書を補足し、工事の施工に関する明細または特別な事項を定める書類をいう。なお、発注者がその都度提示した変更特記仕様書若しくは追加特記仕様書を含むものとする。
・図面・・・・・・・入札に際して会社が交付した設計図および会社から変 更または追加された図面をいう。なお、詳細設計を含む工事にあっては、契約書類の規定または監督員の指示に従い、請負者が作成した詳細設計の成果品の設計図を含むものとする。
・指示・・・・・・・会社または監督員が、工事施工上必要な実施事項を受 注者に対して書面により示し、実施させることをいう。
・承諾・・・・・・・会社または監督員が、契約書類の規定に基づき、受注 者から申し出のあった事項に対し書面により同意することをいう。この事項に関する責は受注者に帰属する。
・協議・・・・・・・書面により契約書類の協議事項について、発注者もし くは監督員と受注者が対等の立場で合議し、結論を得ることをいう。
・提出・・・・・・・監督員が受注者に対し、または受注者が監督員に対し 、工事に係る書面またはそのほかの資料を説明し、差し出すことをいう。
・報告・・・・・・・受注者が監督員に対し、工事の状況または結果につい て、書面をもって知らせることをいう。
・通知・・・・・・・会社または監督員が受注者に対し、または受注者が監 督員に対し、工事の施工に関する事項について、書面をもって知らせることをいう。
・変更契約・・・・・次の各号の一に該当する場合に、会社の基準により工事請負契約 の
(設計変更) 変更を行うものを変更契約又は設計変更という。①工事の完成に伴い請負代金額の精算を行う場合
②契約書第39条の規定に基づく部分引渡を行う場合
③契約書第44条から第46条の規定に基づき契約を解除する場合
④契約書類の規定に基づく工事内容の変更または追加に伴い、工期または請負代金額の変更を行う場合
⑤契約書類の規定に基づき会社が費用を負担する場合
・工法変更・・・・・工事請負契約書第18条及び第19条の規定により工事x xを変更するため設計図書又は仕様書の一部を変更し、変更工事施工通知を行うことをいう。・施工法変更・・・・工事の施工途上において、受注者の申請により契約内容と異なった特許工法等の特殊な施工法を採用する場合をいう。施工法変更においては、設計図書は変更しないが、しゅん工図面等の変更は行う。
・スライド条項・・・賃金水準又は物価水準の変動により契約金額が不適当と認めたときは、金額の変更を請求することができる。これをいわゆる「スライド」と呼んでいる。増額のスライドについては、受注者からの協議を受けて、また減額のスライドについては発注者からの協議をして最終設計変更で対応することとなっている。
・全体スライド、単品スライド及びインフレスライドの違い
項目 | 全体スライド (契約書第 25 条第 1 項 から第 4 項) | 単品スライド (契約書第 25 条第 5 項) | インフレスライド (契約書第 25 条第 6 項) | |
概要 | 日本国内における賃金水準又は物価水準の変動により請負代金額が不適当となったとき。 | 特別な要因により工期内に主要な工事材料の日本国内における価格に著しい変動を生じ、請負代金額が不適当となったとき。 | 予期することのできない特別の事情により、工期内に日本国内において急激なインフレーション又はデフレーションを生じ、請負代金額が著しく不適当となったとき。 | |
適用対象工事 | 工期が 12 ヶ月を超える工事。但し、基準日以降、残工期が 2 ヶ月以上ある工事(比較的大規模な長期工事)。 | すべての工事(運用通知発出時点で継続中の工事及び新規工事)。 | すべての工事。但し、基準日以降、残工期が 2 ヶ月以上ある工事。 | |
請負額変更の方法 | 対象 | 請負契約締結の日から 12 ヶ月経過した基準日以降の残工事量に対する資材、労務単価等 | 部分払いを行った出来高部分を除くすべての資材 (鋼材類、燃料油脂類等) | 賃金水準の変更がなされた日以降の基準日以降の残工事量に対する資材、労務単価等 |
受発注者の負担 | 残工事費の1.5% | 対象工事費の1.0%(但し、全体スライド又はインフレスライドと併用の場合、全体スライド又はインフレスライド適用期間における負担はなし) | 残工事費の1.0% (29 条「不可抗力条項」に準拠し、建設業者の経営上最小限度必要な利益まで損なわないように定められた「1%」を採用。) | |
再スライド | 可能 (全体スライド又はインフレスライド適用後、12ヶ月経過後に適用可能) | なし (部分払いを行った出来形部分を除いた工期内全ての資材を対象に、精算変更契約後にスライド額を算出するため、再スライドの必要がない) | 可能 (賃金水準の変更がなされる都度、適用可能) |
5.設計変更手続きフロー
設計図書の変更
【契約書 第19条】
工事の中止
【契約書 第20条】
工事請負契約の締結
設計図書の照査(受注者)
【土木工事共通仕様書 1.1.9】
条件変更等
【契約書 第18条第1項】
5-1.設計変更の手続き(全般)
照査結果の報告(受注者)
【土木工事共通仕様書 1.1.9】
内容の確認(発注者)
【土木工事共通仕様書 1.2.8】
文書確認
【土木工事共通仕様書 1.1.25(3)】
書面による通知
【土木工事共通仕様書 1.1.26】
変更内容を通知
【契約書 第19条】
・工事目的物を完成させるために必要な一切の手段(施工方法等)
設計図書の変更は行わない※
【契約書 第18条第4項第3号】
【契約書 第18条第4項第1号、第2号】
【契約書 第1条第3項】
※スライドの手続きは契約書 第25条を参照。
※ただし、任意であっても設計図書に示した施工条件と現場が一致しない場合などは変更可
工法変更指示書による設計図書の訂正または変更(発注者)
【契約書 第18条第4項】
指示
【土木工事共通仕様書 1.2.8(2)】
一時中止に関する請負代金額の変更
契約変更
工期、請負代金額の変更の協議・決定
【契約書 第23条、第24条】
【契約書 第18条第4項第3号】
5-2.条件変更に係る設計変更手続きフロー
発注者 受注者
「設計図書」の照査
【土木工事共通仕様書1.1.9】
契約書 第18条第1項に該当する事実を発見
【契約書 第18条第1項】
契約書 第18条第1項に該当する事実を発見
【契約書 第18条第2項】
↓
監督員に通知し確認を請求
【契約書 第18条第1項】
受注者立ち会いの上、調査を実施
【契約書 第18条第2項】
↓ ↓
調査結果の取りまとめ
【契約書 第18条第3項】
↓
受領
調査結果の通知
【契約書 第18条第3項】
↓ 14日以内
工事内容の変更などの補助作業
【土木工事共通仕様書1.1.23】
(必要と認められるときは)設計図書の訂正又は変更
【契約書 第18条第4項】
↓
指示
作成
(必要と認められるときは)工期、請負代金額の変更
【契約書 第18条第5項】
↓
(必要と認められるときは)工法変更
↓
受領
工事の変更指示(変更工事施工通知書)
【土木工事共通仕様書1.1.23】
↓
↓
工期、請負代金額の変更の協議・決定 【契約書 第23条、第24条】 | ||
工法変更取りまとめ変更設計書の作成等 | 指示 作成 | 変更契約に必要な資料の作成 【土木工事共通仕様書1.1.25】 |
契約変更
↓
工事請負契約書 第18条第1項
第18条 受注者は、工事の施工に当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに監督員に通知し、その確認を請求しなければならない。一 図面、仕様書、現場説明書、現場説明に対する質問回答書及び金額を記載しない
設計書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。二 設計図書に誤謬又は脱漏があること。
三 設計図書の表示が明確でないこと。
四 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
五 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
6.設計図書の照査
6-1.はじめに
工事請負契約の基本は、契約において取り交わされた設計図書に基づき工期内に工事を完成させ、工事目的物を引き渡すことである。しかしながら、土木工事の特性からその設計図書は必ずしも完全なものとはならず設計図書と工事現場の状態が異なったり、設計図書に明示された施工条件が実際と一致しなかったり、設計図書で想定していなかった条件が発生したりすることが起こる。
このような場合には、契約書第 18 条(条件変更等)に基づき受注者と発注者の間で契約上の手続きが行われる。
つまり、
① 「設計図書と工事現場の不一致、設計図書の誤謬又は脱漏、予期し得ない施工条件等が認められた場合」
② 「発注者の意図による事情変更により設計図書が変更又は訂正された場合」には、必要に応じ工期又は請負代金額を変更する必要がある。
このため、受注者に「設計図書の照査」が義務づけられているが、この「設計図書の照査」について、発注者と受注者の責任範囲が具体的に明示されていないため、受発注者の解釈の違いにより工事受注者に過度な要求がされているとの意見もある。
よって、阪神高速道路(株)において「設計図書の照査」に基本的な考え方、責任範囲を出来る限り明示し、円滑な工事請負契約の執行に資するため記載するものである。
6-2.工事請負契約書及び土木工事共通仕様書における「設計図書の照査」について
6-2-1 設計図書の照査に関する規定
設計図書の照査に関する規定は以下の通り。
工事請負契約書 第 18 条(条件変更等)
受注者は、工事の施工に当たり次の各号のいずれかに該当する事実を発見 したときは、その旨を直ちに監督員に通知し、その確認を請求しなければならない。
一 図面、仕様書、現場説明書、現場説明に対する質問解答書及び金額を記載しない設計書が一致しないこと。(これらの優先順位が定められている場合を除く。)
二 設計図書に誤謬又は脱漏があること。三 設計図書の表示が明確でないこと。
四 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
五 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
2 監督員は、前項の規定による確認を請求されたとき又は自ら同項各号に掲げる事実を発見したときは、受注者の立会いの上、直ちに調査を行わなければならない。ただし、受注者が立会いに応じない場合には、受注者の立会いを得ずに行うことができる。
3 発注者は、受注者の意見を聴いて、調査の結果(これに対して取るべき措置を指示する必要があるときは、当該指示を含む。)をとりまとめ、調査の終了後 14 日以内に、その結果を受注者に通知しなければならない。ただし、その期間内に通知できないやむを得ない理由があるときは、あらかじめ受注者の意見を聴いた上、当該期間を延長することができる。
4 前項の調査の結果により第1項の事実が確認された場合において、必要があると認められるときは、次の各号に掲げるところにより、設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
一 第1項第1号から第3号までのいずれかに該当し設計図書を訂正する必要があるもの 発注者が行う。
二 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴うもの 発注者が行う。
三 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴わないもの 発注者と受注者とが協議して発注者が行う。
5 前項の規定により設計図書の訂正又は変更が行われた場合において、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
土木工事共通仕様書 第1編
1.1.9 設計図書の照査など
第1章
第1節 総則
受注者は、工事の施工に先立ち、自らの費用により設計図面および設計計算書など
について契約書第 18 条第1項第1号から第5項に係る照査を行い、疑義のある場合 には、書面により監督員に報告しなければならない。
土木工事共通仕様書 第1編
1.2.8 照査
(1)照査の範囲
第1章
第2節 工事一般
設計図書の照査の範囲は、次のとおりとする。
① 線形座標計算書
a.インプットデータの照査 b.計算過程の照査
② 応力計算書
a.設計条件(許容応力度、許容支持力、単位質量など)の照査 b.インプットデータ(荷重、形状寸法、断面定数など)の照査 c.計算過程(設計条件、計算手法、計算結果など)の照査
③ 数量計算書
a.数値と図面との照合 b.計算書の照査
④ 図面
a.図面と応力計算書との照合 b.材料表の照査
⑤ その他監督員が必要と認めたもの
6-2-2 設計図書の照査項目及び内容
受注者が実施する設計図書の照査については、次節6-3.の一覧表に該当する工種の照査項目について実施するものとする。また、照査項目一覧表の対象工種以外についても、本ガイドラインに準拠できるものであれば、発注者と受注者で協議のうえ、運用できるものとする。
6-3.設計図書の照査項目一覧表
受注者が自らの負担で実施する具体的な照査項目・内容を以下に示す。下記内容は、仕様書等に規定されている事項及び工事管理上必要な一般的事項全般を網羅すべく記載したものであり、工事との特色に応じ必要な照査項目を適切に判断し適用すること。
なお、照査項目を追加する場合は、受注者に過度の負担をかけることのないように留意すること。
また、受注者は、施工前及び施工途中において、下記資料を活用し適切な照査業務に努めること。
設計図書照査項目一覧表
NO | 項目 | 主な内容 | |
1 | 当該工事の条件明示内容の照査 (1)工事工程 | 1-1 | 他の工事の開始又は完了の時期により、当該工事の施工時期、全体工期等に影響がある場合は、影響箇所及び他の工事の内容、開始又は完了の時期等が明示されているか。(隣接工事、関連工事等) |
1-2 | 施工時期、施工時間及び施工方法が制限される場合は、制限される施工内容、施工時期、施工時間及び施工方法が明示されているか。(夜間工事、通行止工事、大規模補修工事、交通規制工事等) | ||
1-3 | 関係機関、自治体等との協議結果、特定された条件が付され当該工事の工程に影響がある場合は、その項目及び影響範囲が明示されているか。 (河川協議、道路占用協議等) | ||
1-4 | 工事の着手可能時期が明示されているか。 | ||
1-5 | 工事着手前に地下埋設物及び埋蔵文化財等の事前調査を必要する場合 は、その項目及び調査期間、又、地下埋設物等の移設が予定されている場合は、その移設期間が明示されているか。(ガス管、上下水道管、電話線、光通信ケーブル等) | ||
(2)用地関係 | 1-6 | 工事用地に未処理部分がある場合は、その場所、範囲及び処理の見込み時期が明示されているか。(用地買収、物件の移設等) | |
1-7 | 受注者に、仮設ヤードとして所有地等を使用させる場合は、その場所、範囲、時期、期間、使用条件、復旧方法等が明示されているか。 | ||
(3)環境保全対策 | 1-8 | 工事に伴う公害防止(騒音、振動、粉塵、排出ガス等)のため、施工方法、建設機械・設備、作業時間等に制限がある場合は、その内容が明示されているか。 | |
1-9 | 水替・流出防止施設が必要な場合は、その内容が明示されているか。 | ||
1-10 | 濁水、湧水等の処理で特別の対策を必要とする場合は、処理施設や処理条件、放流先等の明示がされているか。 | ||
1-11 | 工事の施工に伴って発生する騒音、振動、地盤沈下、地下水の枯渇、電波障害等に起因する事業損失が懸念される場合は、事前・事後調査の区分とその調査時期、未然に防止するために必要な調査方法、範囲等が明示されているか。(家屋事前事後調査等) | ||
(4)保安対策 | 1-12 | 交通安全施設等を指定する場合は、その内容、期間が明示されているか。(交通誘導警備員、標識等) | |
1-13 | 鉄道、電気、ガス、電話、上下水道等の施設との近接工事で施工方法、作業時間等に制限がある場合は、その内容が明示されているか。 | ||
1-14 | 有毒ガス及び酸素欠乏等の対策として、換気設備等が必要な場合は、その内容が明示されているか。 | ||
(5)工事用道路 | 1-15 | 一般道を搬入路として使用する場合 ①工事用資機材等の搬入経路、使用期間等に制限がある場合は、その経路、期間、時間帯等が明示されているか。 ②搬入路の使用中及び使用後の処置が必要である場合は、その処置内容が明示されているか。 |
設計図書照査項目一覧表
NO | 項目 | 主な内容 | |
1 | (5)工事用道路 | 1-16 | 仮道路を設置する場合 ①仮道路に関する安全施設等が必要である場合は、その内容、期間が明示されているか。 ②仮道路の工事終了後の処置(存置又は撤去)が明示されているか。 ③仮道路の維持及び補修が必要である場合は、その内容が明示されているか。 |
1-17 | 工事のため一般道路を占用する場合は、その期間及び範囲が明示されているか。 | ||
(6)仮設備関係 | 1-18 | 土留仮締切、仮橋、足場等の仮設物を、他の工事に引き渡す(引き継 ぐ)場合は、その内容、期間及び維持、終了後の処置が明示されているか。 | |
1-19 | 仮設備の構造及びその施工方法を指定する場合は、その構造及び施工方法が明示されているか。 | ||
1-20 | 仮設備の設計条件は明示されているか。(土留仮締切り、仮橋等) | ||
(7)建設副産物関係 | 1-21 | 建設発生土が発生する場合は、残土の受け入れ場所及び時間等の処分及び保管条件が明示されているか。 | |
1-22 | 建設副産物の現場内での再利用、減量化が必要な場合は、その内容が明示されているか。 | ||
1-23 | 建設副産物及び産業廃棄物が発生する場合は、その処理方法、処理場所等の処理条件が明示されているか。なお、処分場を指定する場合は、その受け入れ場所、時間等の明示がされているか。 | ||
(8)工事支障物件 | 1-24 | 地上、地下等の占用物件の有無及び占用物件等で工事支障物が存在する場合は、支障物件名、管理者、位置、移設時期、工事情報、防護等が明示されているか。(電柱、ガス管、上下水道等) | |
1-25 | 地上、地下等に占用物件工事と重複して施工する場合は、その内容が明示されているか。 | ||
(9)薬液注入関係 | 1-26 | 薬液注入を行う場合は、設計条件、工法区分、材料種別、施工範囲等が明示されているか。 | |
1-27 | 周辺環境の調査が必要な場合は、その内容が明示されているか。 | ||
(10)その他 | 1-28 | 工事現場発生品がある場合は、その品名、数量、現場内での再使用の有無、引き渡し場所等が明示されているか。 | |
1-29 | 支給材料及び貸与品がある場合は、その品名、数量、規格、引き渡し場所、引き渡し時期等が明示されているか。 | ||
1-30 | 架設工法を指定する場合は、その施工方法及び施工条件等が明示されているか。 | ||
1-31 | 特許工法等を指定する場合は、その内容が明示されているか。 | ||
1-32 | 部分しゅん工、部分使用を行う必要がある場合は、その箇所及び時期等が明示されているか。 |
設計図書照査項目一覧表
NO | 項目 | 主な内容 | |
2 | 関連資料・貸与資料の確認 | 2-1 | 地質調査報告書は整理されているか。(追加ボーリングの必要性の確認) |
2-2 | 軟弱地盤の施工に必要な資料は整理されているか。(圧密沈下、液状化、地盤支持力等) | ||
2-3 | 測量成果報告書(平面、横断、縦断)は整理されているか。 | ||
2-4 | 共通仕様書及び特記仕様書等に示される資料は整理されているか。 | ||
2-5 | 設計計算書(構造物(指定仮設備含む)、隣接工区含む)等は整理されているか。 | ||
2-6 | 特記仕様書等に明示されている支障物移設予定時期及び占用者に関する資料は整理されているか。 | ||
2-7 | 地盤沈下、振動、地下水枯渇等による影響が第三者に及ばないか、関連資料は整理されているか。 | ||
2-8 | 地下占用物である電線、電話線、上下水道、ガスxxの地下埋設物を示した図面(平面、横断、深さ等)等関連資料は整理されているか。 | ||
2-9 | 設計成果物、関連工事の出来形測量成果物等(報告書等)の貸与資料 (電子データを含む)に不足ないか、追加事項は整理されているか。 | ||
3 | 現地踏査 | 3-1 | 工事着手後直ちに測量を実施し、基準点(仮BM)、工事用多角点の設置及び用地境界、中心線、縦断、横断等を確認したか。 |
3-2 | 建設発生土の受け入れ地への搬入に先立ち、容量が十分か確認したか。 | ||
3-3 | 周辺地域の地下水利用状況等から作業に伴い水質水量等に影響を及ぼす恐れがないか確認したか。 | ||
3-4 | 土留・仮締切工の鋼xx、H鋼杭打設前に溝掘り等を実施して支障物を確認したか。(地下埋管理者協議等による試掘を実施した場合は除く) | ||
3-5 | 仮囲い又は立入防止柵の設置にあたり、交通に支障をきたす場合あるいは苦情が発生すると予想される場合には、工事前に対策を検討し、確認したか。 | ||
3-6 | 土地境界の施工前及び施工後において、隣接土地所有者との立会による土地境界確認をしたか。 | ||
3-7 | 道路管理台帳及び占用者との現地確認をしたか。 | ||
3-8 | 鋼xx、杭等の施工に先立ち、明らかに地下埋設物がないことが確認されている場合を除き、建設工事講習災害防止対策要綱に従って埋設物の存在の有無を確認したか。(地下埋管理者協議等による試掘をした場合は除く) | ||
3-9 | 工事に先立ち、現地を詳細に把握するために現地調査を行い、補強、補修等を実施しようとする橋脚及び基礎、橋梁等について、形状や鉄筋の位置、添加物等を既存のしゅん工図等で確認するとともに、海水又は鋼材の腐食を促進させる工場排水等の影響や鋼材の位置する土中部が常時乾湿を繰り返す環境にあるかどうか等を確認したか。 |
設計図書照査項目一覧表
NO | 項目 | 主な内容 | |
3 | 現地踏査 | 3-10 | 地質調査報告書と工事現場の踏査結果(地質、地下水等)が整合するかを確認したか。 |
3-11 | 使用する材料や重機の運搬・搬入路を確認したか。 | ||
3-12 | 周囲の地盤や構造物に変状を与えないように、現地地盤を確認したか。 | ||
4 | 設計図 | 4-1 | 桁の製作に着手する前に原寸図等を作成し、図面の不備や製作上に支障がないかを確認したか。 |
4-2 | 施工前に、配筋図、鉄筋組立図、及びかぶり詳細図により組み立て可能か、また配力鉄筋及び組立筋を考慮したかぶりとなっているかを確認したか。 | ||
4-3 | 一般図に必要な項目が記載されているかを確認したか。(水位、設計条件、地質条件、建築限界等) | ||
4-4 | 平面図に必要な工事内容が明示されているかを確認したか。(本体構造物、付属構造物等) | ||
4-5 | 構造図の基本寸法、座標値、高さ関係は照合されているかを確認したか。 | ||
4-6 | 構造図に地質条件(柱状図、地下水位等)が明示されているかを確認したか。 | ||
4-7 | 図面が明瞭に描かれているかを確認したか。(構造線と寸法線の使い分けがなされているか) | ||
4-8 | 構造詳細は適用基準及び打ち合わせ事項と整合しているかを確認したか。 | ||
4-9 | 各設計図がお互いに整合されているかを確認したか。 ・一般平面図と縦断図(構造一般図と線形図) ・構造図と配筋図 ・構造図と仮設図 ・下部工箱抜き図と付属構造物図(鋼製橋脚図、支沓配置図、落橋防止装置図等) ・本体と付属構造物の取り合い 等 | ||
4-10 | 設計計算書の結果が正しく図面に反映されているかを確認したか。(特に応力計算等の結果が適用範囲も含めて整合しているか) ・壁厚 ・鉄筋(径、ピッチ、使用材料(材質)、ラップ位置・長、主鉄筋の 定着長、ガス圧接位置等) ・使用材料(材質) ・その他 | ||
4-11 | 形状寸法、使用材料及びその配置は計算書と一致しているかを確認したか。 | ||
4-12 | 地質調査報告書と設計図書の整合(調査箇所と柱状図、地質断面図、地質横断図)はとれているかを確認したか。 | ||
4-13 | 隣接工区等との整合はとれているかを確認したか。 |
設計図書照査項目一覧表
NO | 項目 | 主な内容 | |
4 | 設計図 | 4-14 | 関連工事(下部工とxxxなど)との施工区分は明確にされているかを確認したか。 |
4-15 | 構造物の施工性に問題はないか。設計図等に基づいた適正な施工が可能かどうかを確認したか。(架設条件等) | ||
5 | 数量計算 | 5-1 | 数量計算は、数量算出要領と整合しているか。また、数量計算に用いた値は図面の寸法と一致しているかを確認したか。 |
5-2 | 数量とりまとめは種類毎、材料毎の区分に合わせてまとめられているかを確認したか。 | ||
5-3 | 関連工事(下部工とxxxなど)との数量は分けられているかを確認したか。 | ||
6 | 設計計算書 | 6-1 | 使用されている設計基準等は適切かを確認したか。 |
6-2 | 設計基本条件は適切かを確認したか。(荷重条件、施工条件、使用材料と規格、許容応力度等(インプットデータ、計算過程含む)) | ||
6-3 | 構造・線形条件は妥当かを確認したか。(橋長、支間長、幅員構成、平面・横断線形、座標系等(インプットデータ、計算過程含む)) |
7.設計図書の訂正又は変更
7-1.設計書の訂正又は変更について(工事請負契約書の第 18 条、第 19 条)
「第 18 条第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴わないもの」については、発注者と受注者とが協議して発注者が行うものとする。
なお、工事請負契約書の第 18 条第 4 項に規定されるとおり、発注者は必要があると認められた場合は、設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
また、工事請負契約書の第19条に規定されるとおり、工事請負契約書第 18 条第4項の規定によるほか、必要があると認めるときは、設計図書の変更内容を受注者に通知して、設計図書を変更することができる。
工事請負契約書 第18条第1項
第18条 受注者は、工事の施工に当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに監督員に通知し、その確認を請求しなければならない。
一 図面、仕様書、現場説明書、現場説明に対する質問回答書及び金額を記載しない設計書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除
く。)。
二 設計図書に誤謬又は脱漏があること。三 設計図書の表示が明確でないこと。
四 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
五 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
工事請負契約書 第18条第4項
4 前項の調査の結果により第1項の事実が確認された場合において、必要があると認められるときは、次の各号に掲げるところにより、設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
一 第1項第1号から第3号までのいずれかに該当し設計図書を訂正する必要があるもの 発注者が行う。
二 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴うもの 発注者が行う。
三 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴わないもの 発注者と受注者とが協議して発注者が行う。
工事請負契約書 第19条
第 19 条 発注者は、前条第4項の規定によるほか、必要があると認めるときは、設計図書の変更内容を受注者に通知して、設計図書を変更することができる。この場合において、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
7-2 工事内容の変更などの補助作業に関する規定
工事請負契約書第 18 条(条件変更等)第1項の事実が確認された場合において、必要があると認められるときは、設計図書の訂正又は変更を行わなければならず、第 18 条第4項に記載されているとおり、発注者が行う。
工事請負契約書 第 18 条(条件変更等)第4項
4 前項の調査の結果により第1項の事実が確認された場合において、必要があると認められるときは、次の各号に掲げるところにより、設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
一 第1項第1号から第3号までのいずれかに該当し設計図書を訂正する必要があるもの 発注者が行う。
二 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴うもの 発注者が行う。
三 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴わないもの 発注者と受注者とが協議して発注者が行う。
また、監督員の指示に基づき、受注者の負担で実施すべき補助作業についてはxx工事共通仕様書に記載されているとおりであるが、具体的な内容は以下のとおりである。
①工事材料に関する調査、試験
品質管理基準に含まれる試験で共通仮設費(率計上)の技術管理費に含まれるもの。
②現地状況の調査、観測
土木工事共通仕様書 1.2.10,11 に基づき実施する測量調査等で、共通仮設費(率計上)の準備費に含まれるもの。
③設計計算、図面作成及び数量算出
監督員より条件変更に該当する調査結果の通知と設計図書の変更または訂正に係る通知を受けた場合の作業で、共通仮設費(率計上)の技術管理費にふくまれるもの。なお、技術管理費(率計上)に含まれるものは、現地取り合いに係る軽微な図面変更程度のものとする。
④施工法の比較、検討
条件変更に伴い施工方法の変更が生ずる場合に行う概略の工法比較資料の作成で、工法選定の基礎となる作業で共通仮設費(率計上)の技術管理費に含まれるもの。
⑤その他工事内容の変更に必要な資料
監督員が指示するその他必要資料で軽微なもので、その他共通仮設費(率計上)に含まれるもの。
土木工事共通仕様書 第1編
1.1.23 工事の変更
第1章
第2節 工事一般
(5)工事内容の変更などの補助作業
受注者は、契約書第 18 条および第 19 条の規定に基づき、会社が行う業務の補助として、次に掲げる作業を監督員の指示に従い、実施しなければならない。
① 工事材料に関する調査、試験
② 現地状況の調査、観測
③ 設計計算、図面作成および数量算出
④ 施工法の比較、検討
⑤ その他工事内容の変更に必要な資料の作成
(6)費用負担
前項の補助作業に関し、ボーリングを必要とする地質調査、高度な設計計算、動態
観測など、特別な費用を要するものについては、協議のうえ、会社が負担するものとし、それ以外は受注者が負担しなければならない。
8.設計変更の対象となるケース
8-1.設計変更の対象となるケースについて 設計変更の対象となるケースは以下の通り。
工事請負契約書 より
⚫ 第 15 条第7項(支給材料及び貸与品):
発注者は、前2項の場合において、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
※前2項
第 15 条第5項、第 15 条第6項
⚫ 第 18 条第5項(条件変更等):
前項の規定により設計図書の訂正又は変更が行われた場合において、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
※前項
第 18 条第4項
⚫ 第 19 条(設計図書の変更):
発注者は、前条第4項の規定によるほか、必要があると認めるときは、設計図書の変更内容を受注者に通知して、設計図書を変更することができる。この場合において、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
⚫ 第 20 条第3項(工事の中止):
発注者は、前2項の規定により工事の施工を一時中止させた場合において、必要があると認められるときは、工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者が工事の続行に備え工事現場を維持する若しくは労働者、建設機械器具等を保持するための費用その他の工事の施工の一時中止に伴う増加費用を必要とし、若しくは受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
※前2項
第 20 条第1項、第 20 条第2項
⚫ 第 21 条第2項(受注者の請求による工期の延長):
発注者は、前項の規定による請求があった場合において、必要があると認められるときは、工期を延長しなければならない。発注者は、その工期の延長が発注者の責めに帰すべき事由による場合においては、請負代金額について必要と認められる変更を行い、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
※前項
第 21 条第1項
工事請負契約書 より
⚫ 第 22 条第3項(発注者の請求による工期の短縮等):
発注者は、前2項の場合において、必要があると認められるときは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは、必要な費用を負担しなければならない。
※前2項
第 22 条第1項、第 22 条第2項
⚫ 第 25 条第2項(賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更):
発注者又は受注者は、前項の規定による請求があったときは、変動前残工事代金額(請負代金額から当該請求時の出来形部分に相応する請負代金額を控除した額をいう。以下同じ。)と変動後残工事代金額(変動後の賃金又は物価を基礎として算出した変動前残工事代金額に相応する額をいう。以下同じ。)との差額のうち変動前残工事代金額の 1,000 分の 15 を超える額につき、請負代金額の変更に応じなければならない。
※前項
第 25 条第1項
⚫ 第 26 条第4項(臨機の措置):
受注者が第1項又は前項の規定により臨機の措置をとった場合において、当該措置に要した費用のうち、受注者が請負代金額の範囲において負担することが適当でないと認められる部分については、発注者が負担する。
※前項
第 26 条第3項
⚫ 第 29 条第4項(不可抗力による損害):
発注者は、前項の規定により受注者から損害による費用の負担の請求があったときは、当該損害の額(工事目的物、仮設物又は工事現場に搬入済みの工事材料若しくは建設機械器具であって第 13 条第2項、第 14 条第1項若
しくは第2項又は第 38 条第3項の規定による検査、立会いその他受注者の工事に関する記録等により確認することができるものに係る額に限る。)及び当該損害の取片付けに要する費用の額の合計額(第6項において「損害合計額」という。)のうち請負代金額の 100 分の1を超える額を負担しなければならない。
※前項
第 29 条第3項
⚫ 第 30 条第1項(請負代金額の変更に代える設計図書の変更):
発注者は、第8条、第 15 条、第 17 条から第 22 条まで、第 25 条から
第 27 条まで、前条、第 34 条又は第 41 条の規定により請負代金額を増額すべき場合又は費用を負担すべき場合において、特別の理由があるときは、請負代金額の増額又は負担額の全部若しくは一部に代えて設計図書を変更することができる。この場合において、設計図書の変更内容は、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から 28 日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
工事請負契約書 より
⚫ 第 34 条第3項(部分使用):
発注者は、第1項の規定により工事目的物の全部又は一部を使用したことによって受注者に損害を及ぼしたときは、必要な費用を負担しなければならない。
⚫ 第 41 条第2項(前払金等の不払に対する工事中止):
発注者は、前項の規定により受注者が工事の施工を中止した場合において、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者が工事の続行に備え工事現場を維持し若しくは労働者、建設機械器具等を保持するための費用その他の工事の施工の一時中止に伴う増加費用を必要とし若しくは受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
※前項
第 41 条第1項
土木工事共通仕様書 第1編 第1章 第1節 総則
1.1.25 変更契約 (1)変更契約の条件
会社および受注者は、次の各号の一に該当する場合には、会社の基準により工事請負契約の変更(以下「変更契約」という。)を行うものとする。ただし、協議の結果、別途処理とすることが定められた場合には、これに従い処理するものとする。なお、変更契約の時期および変更契約に必要な書類の提出については、監督員と受注者の間で協議するものとする。
① 工事の完成に伴い請負代金額の精算を行う場合
② 契約書第 39 条の規定に基づく部分引渡を行う場合
③ 契約書第 44 条から第 46 条の規定に基づき契約を解除する場合
④ 契約書類の規定に基づく工事内容の変更または追加に伴い、工期または請負代金額の変更を行う場合
⑤ 契約書類の規定に基づき会社が費用を負担する場合
8-2.設計変更対応事例
下記の事例について、当社の考え方を整理したものを示す。ただし、実際の工事において、事例に示される内容と施工条件、契約条件(特記仕様書)等が相違するため、下記事例に類似している場合であっても、無条件に設計変更の対象となるものではなく、条件変更に合致しているか否かを確認のうえ、設計変更の可否を判断することが必要となる。
なお、契約時に履行の対象として技術提案された案件かどうかも確認したうえで、費用計上の可否を判断する。
No | 工種等 | 概要 | 考え方の整理 |
1 | 設計費 | 詳細設計付き工事に当初施工範囲外の構造物の設計を当該工事に追加した。 | •当初の施工範囲外であれば費用計上は必要である。 •ただし、当初工区範囲外の施工については、別途発注が原則。 •時間的制約、効率性等の観点で工事に追加する場合は、理由等を整理のうえ、費用を計上する。 |
2 | 設計費 | xxxの詳細設計の結果により下部工の鉄筋配置が変更となり検討費が必要となった。 | •上下部工の詳細設計については、手戻りがないよう工程管理をして実施するのが原則。 •やむを得ず、下部工先行の場合は、受注者の責によらないことを確認のうえ、費用を計上する。 |
3 | 設計費 | 隣接工区の橋梁へ落橋防止を設置するため設計を実施した。 | 隣接工区の橋梁の詳細設計費との重 複がないことを確認したうえで費用を計上する。 |
4 | 工場製作 | •技術提案において溶接部の品質向上の為に、耐ラメラテア鋼の使用を提案し、詳細設計で採用された。 •技術提案において耐震性能の向上の為、橋脚とxxxの支沓構造を剛結構造で提案し、詳細設計で採用された。 いずれの提案も履行確認対象外の提案とされていた。 | 入札時の技術提案であっても、提案時に発注者において「履行確認対象外」の判定がされているものについては、実施工で採用された場合は設計変更対象となり、その費用を計上する。 |
5 | 集水桝等 | 現場打ち集水桝について、現場の錯綜による理由により、別場所での桝製作•運搬となった。 | •当初の条件明示(他工事の工程の明示等)の確認を行い、受注者の責に負わないものか適切に判断したうえで費用を計上する。なお、工程短縮のために工場二次製品を採用した場合も同様である。 |
6 | 掘削 | 当初設計図に示された掘削勾配は、1:0.5 としていたが、掘削途中での予期せぬ湧水により、自立しないため、1:1.0 に変更となった。 | 掘削勾配は設計図書には明示しないのが原則であり、明示されていても契約条件として指定しているものではない。従って、掘削勾配の変更は受注者の任意の範疇である。しかし、本件の様な特殊事例については、受注者からの変更協議があった場合は、発注時に提示したボーリングデータなどにより、地下水位の条件変更などを適切に整理したうえで、費用を計上する。 |
7 | 基礎杭 | 現況地盤の試験の結果、杭打ち機の施工に必要な地盤支持力がなかったためセメント系改良材による地盤改良を実施した。 | 試験結果による地盤改良のため費用は計上する。なお、地盤改良については、工法、添加量等について室内試験など行い最適な工法、添加量を決定する必要がある。 |
8 | 鉄筋 | 詳細設計により、下部工のフーチングの鉄筋が太径となり、鉄筋比が変更となった。 | 詳細設計に伴う太径鉄筋の変更は数量精算のみで、加工費(太径鉄筋比)の変更は行わないのが原則。ただし、橋脚の追加、構造の変更等も伴うものは別途検討する。 |
9 | 止水ゴム | 設計施工一括方式の工事で、打ち継ぎ部の止水ゴムを当初膨張性止水ゴムとしていたが、設計指針の変更により非加硫ブチルゴム系止水板に変更した。 | 設計施工一括方式の工事においては、受注者の責任で設計施工し、工事材料が変更になっても変更しないのが原則。本件については、「契約締結後、発注者が基本条件及び設計基準等の変更•••を指示した場合」に該当するため、費用を計上する。 |
10 | 施工時間 | 他工事からの引渡しが遅延したことにより、工程短縮のため夜間工事も実施した。 | •引き渡し時期は必ず特記仕様書に明示する。 •他工事の受注者に責があることが明確であれば、夜間工事に要する費用負担を検討する。 •他工事の受注者に責がなければ、夜間工事に要する費用を発注者が負担する。 |
11 | 施工時間 | 管理者協議等により、施工時間の制限があり標準の稼働時間より短くなった。 | 「時間的制約を受ける公共工事の積算」に基づき「労務費」の割り増し費用を計上する。 |
12 | 障害物撤去 | 施工箇所に既設コンクリート構造物が存置されており、施工に支障となるため撤去した。 | 建物の基礎等については、補償費の範囲外であることを確認のうえ、費用計上する。また、撤去工法については、現場条件等を精査のうえ、最適な工法を選択する必要がある。なお、地下に存在する場合は掘削数量の変更も行う。 |
13 | 障害物撤去 | 当初は現況地盤より下方部の障害物撤去を低騒音•低振動工法で実施することを考えていたが、障害物の位置が当初設計より更に下方部にあり、現況地盤より施工できなくなったため、原位置で施工できるワイヤーソー工法で施工した。 | 当初より障害物の存在が判明している場合は、図面に障害物の位置を明示しておくのは必須であり、施工方法についても特殊な工法であれば、明示しておくことが望ましい。本件の場合、障害物の位置が当初図面と違うことが条件変更となり、費用を計上するが、工法については最適工法を選択する必要がある。なお、地下にある場合は掘削数量の変更も行 う。 |
14 | 仮設 | 工事で管理している一般道路についてポットホール等が発生したため補修した。 | 工事中に管理を移管されている街路の維持管理等に要する費用については計上する。実際の補修については小規模施工となることが多いため、実態を考慮するなどの積算が必要。 |
15 | 仮設 | 先行工事において設置した仮囲い (技術提案:リース品)を後行工事でも必要なことから引継が発生した。 | •先行工事の技術提案項目を後行工事に引継ぐことの理由の整理、及び先行工事の了解を取る(先行工事の財産のため。)必要がある。 •費用については、引継後のリース代•撤去費を計上する。 |
16 | 仮設 | 明らかな設計(発注者)の瑕疵により、当初契約時の条件で施工が出来ず仮設工の追加や、施工機械の変更をした。 | •設計(発注者)の瑕疵は、条件変更に該当する。 •瑕疵の責任区分を発注者、設計業務受注者で明確にして修正設計を行い、工事受注者に指示する。 ※設計の業務受注者の瑕疵により、 手戻りが発生した場合は、その費用請求等の検討が別途必要となる。 |
17 | 仮設 | 埋設物の確認のため試掘を実施した。 | 工事開始前に各埋設管理者の台帳を調査し、管理者と協議のうえ試掘範囲を決定して費用を計上する。 |
18 | 仮設 | 水替え工で発生する水において、放流基準を超えるPH値のため、 PH処理装置を設置した。 | 雨水•湧水等で水質が基準値を超えて処理装置を設置するものについては、費用を計上する。なお、受注者の任意施工に起因するもの(コンクリート打設時の養生水処理等)は計 上出来ない。 |
19 | 準備費 | 施工箇所以外での工事用ヤード整地を実施した。 | 施工箇所の整地などについては、共通仮設費の率計上分に含まれるが、施工箇所以外でのヤードが必要となり、その整地を実施した場合は費用 を計上する。 |
20 | 安全費 | 工事区域から離れた箇所での通学時の交通誘導警備員、看板等の配備を地元協議により求められた。 | 交通誘導警備員は、共通仮設費の積み上げ項目なので費用を計上する。看板等については、通常は共通仮設費(率)に含まれるものと判断するが、本件は「工事区域より離れた箇所」での設置なので率には含まれていないと判断し、費用計上する。 |
21 | 安全費 | 交通管理者協議により工事区域の占用に工事用フェンスではなく、 H鋼フェンスに変更となった。 | 工事区域の工事用フェンスは、共通仮設費の率に含まれるが、H鋼については率には含まれていないと判断し、H鋼のみの費用を計上する。 |
22 | 安全費 | 夜間工事において、受注者が計画した夜間照明では現場実施工時に暗かったことから追加の照明設置を指示した。 | 夜間作業における工事用照明は、共通仮設費の率分に含まれるため追加計上できない。なお、第3者の安全のための仮設照明(道路、歩道など)は追加計上できる。 |
23 | 安全費 | 準備工(現地測量等)に伴い、交通誘導警備員の配備が発生した。 | 準備作業に伴い発生する交通誘導警備員の費用については、積算基準に 「準備に伴う交通誘導警備員の費用については安全費に積上げ計上する。」とあり、費用計上する。 |
24 | 技術管理費 | 特殊配合のコンクリートを使用するにあたり、受注者が示方配合及び計画配合決定のため試験練りを実施した。 | 通常的に実施される試験練りについては、共通仮設費(技術管理費)に含まれていると考えているのが妥当。しかし、通常以上に実施される試験練りについてはその妥当性を適 切に判断のうえ、費用計上する。 |
25 | 役務費 | 桁の架設用クレーンの設置において工事ヤードの借地が必要となった。 | 受注者の任意の架設方法に起因するものでないことを確認のうえ、費用を計上する。 |
9.設計変更の対象とならないケース
(※下記は原則であり、特別な定めがある場合や、発注者が指定した場合は除くため、取り扱いについては各工事で検討すること。)
9-1.設計変更の対象とならないケースについて 設計変更の対象とならないケースは以下の通り。
工事請負契約書 より
⚫ 第 1 条第 3 項(総則):
仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段(以下「施工方法等」という。)については、この契約書及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める。
⚫ 第 8 条(特許xxの使用):
受注者は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権その他日本国の法令に基づき保護される第三者の権利(以下「特許xx」という。)の対象となっている工事材料、施工方法等を使用するときは、その使用に関する一切の責任を負わなければならない。ただし、発注者がその工事材料、施工方法等を指定した場合において、設計図書に特許xxの対象である旨の明示がなく、かつ、受注者がその存在を知らなかったときは、発注者は、受注者がその使用に関して要した費用を負担しなければならない。
⚫ 第8条第2項(特許xxの使用):
受注者は、工事の施行並びに工事目的物、工事材料及び工事仮設物の使用、収益及び処分が第三者の知的財産権を侵害しないことを保証し、知的財産権の侵害について第三者との間で紛争が生じた場合、自己の責任と負担において処理及び解決するものとし、第三者の知的財産権の侵害に関する請求、訴訟等により発注者に生じる一切の損害を賠償するものとする。
⚫ 第 13 条第2項(工事材料の品質及び検査等):
受注者は、設計図書において監督員の検査(確認を含む。以下この条において同じ。)を受けて使用すべきものと指定された工事材料については、当該検査に合格したものを使用しなければならない。この場合において、当該検査に直接要する費用は、受注者の負担とする。
⚫ 第 14 条第 6 項(監督員の立会い及び工事記録の整備等):
第1項、第3項又は前項の場合において、見本検査又は見本若しくは工事写真等の記録の整備に直接要する費用は、受注者の負担とする。
※前項
第 14 第5項
⚫ 第 15 条第 10 項(支給材料及び貸与品):
受注者は、故意又は過失により支給材料又は貸与品が滅失若しくはき損し、又はその返還が不可能となったときは、発注者の指定した期間内に代品を納め、若しくは原状に復して返還し、又は返還に代えて損害を賠償しなければならない。
工事請負契約書 より
⚫ 第 17 条第4項(設計図書不適合の場合の改造義務及び破壊検査等):
前2項の場合において、検査及び復旧に直接要する費用は受注者の負担とする。
※前2項
第 17 条第2項、第 17 条第3項
⚫ 第 27 条(一般的損害):
工事目的物の引渡し前に、工事目的物又は工事材料について生じた損害その他工事の施工に関して生じた損害(次条第1項若しくは第2項又は第 29条第1項に規定する損害を除く。)については、受注者がその費用を負担する。ただし、その損害(第 48 条第1項の規定により付された保険等によりてん補された部分を除く。)のうち発注者の責めに帰すべき事由により生じたものについては、発注者が負担する。
⚫ 第 28 条(第三者に及ぼした損害):
工事の施工について第三者に損害を及ぼしたときは、受注者がその損害を賠償しなければならない。ただし、その損害(第 48 条第1項の規定により付された保険等によりてん補された部分を除く。以下この条において同じ。)のうち発注者の責めに帰すべき事由により生じたものについては、発注者が負担する。
⚫ 第 28 条第2項(第三者に及ぼした損害):
前項の規定にかかわらず、工事の施工に伴い通常避けることができない騒音、振動、地盤沈下、地下水の断絶等の理由により第三者に損害を及ぼしたときは、発注者がその損害を負担しなければならない。ただし、その損害のうち工事の施工につき受注者が善良な管理者の注意義務を怠ったことにより生じたものについては、受注者が負担する。
⚫ 第 31 条第 3 項(検査及び引渡し):
前項の場合において、検査又は復旧に直接要する費用は、受注者の負担とする。
※前項
第 31 条第2項:
9-2.設計変更の対象とならない事例
設計変更の対象とならない事例は以下の通り。
•協議回答のない施工
土木工事共通仕様書
第1編 第1章 第1節 総則
1.1.10 監督員の権限およびその行使
(2)協議内容の決定
監督員と受注者の協議が成立した事項は、特に指定する場合を除き、変更契約により決定するものとする。
(3)監督員の権限行使
監督員が、その権限を行使するときは、書面により行うものとする。ただし、緊急を要する場合、その他監督員が必要と認めた場合には、受注者に対して口頭による指示などができるものとする。なお、監督員は、口頭により権限を行使した場合には、口頭による指示などの内容について、当該指示などのあった日から
起算して7日以内に、受注者との間で書面により確認するものとする。
•指示のない施工
土木工事共通仕様書
1.1.23 工事の変更 (1)工事内容の変更
第1編 第1章 第1節 総則
契約書第18条第4項は条件変更などに伴う工事内容の変更、第19条は会社
または監督員が工事施工上必要と認める工事内容の変更であり、会社または監督員が受注者に指示または通知して工事内容を変更する。
(2)工事の変更指示
監督員が、工事内容の変更に関する指示または通知を行う場合は、変更工事施
工通知書によるものとする。
•施工法変更承諾
土木工事共通仕様書
1.1.23 工事の変更 (4)施工法の変更
第1編 第1章 第1節 総則
受注者は、設計図書に定められた内容と異なった施工法で工事の施工を行おう
とする場合は、あらかじめ監督員に施工法変更承諾願(様式-1-17)を提出し、承
諾を得なければならない。なお、当該施工法の変更が受注者の責に帰すると認められる場合には、受注者がその費用を負担しなければならない。
10.総合評価落札方式において、技術提案内容と異なる行為を行う場合の設計変更について
総合評価落札方式において、技術提案内容と異なる行為を行う場合の設計変更については、入札説明書等にその旨が記載されているので、別途手続きを実施すること。
入札説明書(標準記載例)
○.その他
(○) 契約変更の取扱い
上記○.(○)から(○)のいずれかに係る工事の契約変更については、工事請負契約書の規定に従い、設計図書に示す諸条件の変更(関係管理者協議や関係する工事間での協議•諸調整によるものを含む)等に基づく契約変更を行う。
ただし、技術提案書(VE 提案を含む)に記載された内容(参考案を求めたものを除く)については、設計図書(金額を記載しない設計書•設計図)の変更は行うが、下記に該当する場合を除き、請負代金額及び工期の変更は行わないものとする。
① 発注者が指示した施工数量に変更がある場合
② 社会的条件(地元対応、支障物、関係機関等)によって、新たな対策や施工体制の変更が生じた場合において、発注者と受注者による協議により、発注者の認めたもの
③ 設計図書に明示されていない施工条件について予測することのできない特別な状態が生じた場合において、発注者と受注者による協議により、発注者の認めたもの
④ 契約締結後、発注者が基本条件及び設計基準等の変更又は機能を追加する新工種を指示した場合
11.契約後 VE において工事内容を変更する場合ついて
契約後 VE 対象工事については、工事請負契約書第 19 条の3及び入札公告、入札説明書の工事概要にその旨が記載されているが、詳細については特記仕様書に記載されているため、当該記載に基づき別途手続きを実施すること。
工事請負契約書 第19条の3
(設計図書の変更に係る受注者のVE提案)
受注者は、この契約締結後、設計図書に定める工事目的物の機能、性能等を低下させることなく請負代金額を低減することを可能とする施工方法等の設計図書の変更について、発注者に提案することができる。
2 発注者は、前項の規定に基づく受注者の提案を受けた場合において、提案の全部又は一部が適正であると認められるときは、設計図書を変更し、これを受注者に通知しなければならない。
3 発注者は、前項の規定により設計図書を変更した場合において、必要があると認められるときは、請負代金額を変更しなければならない。
入札公告(標準記載例)
○. 工事概要
(○)本工事は、契約締結後に施工方法等の提案を受け付ける契約後VEの対象工事である。
入札説明書(標準記載例)
○. 工事概要
(○)本工事は、契約締結後に施工方法等の提案を受け付ける契約後VEの対象工事である。
12.変更設計書の積算単価及び歩掛等に関する注意事項
12-1. 間接工事費における工種区分について
(1)共通仮設費の工種区分は、設計変更時に数量の増減等により主たる工種が変わっても当初設計の工種とする。(H26 年度 土木工事標準積算基準 第 1 編 積算基準 第 2 章 工事価格③間接工事費 2 共通仮設費(建設•保全) 2-1 工種
区分 (3) より)
(2)現場管理費の工種区分は、設計変更時に数量の増減等により主たる工種が変わっても当初設計の工種とする。(H26 年度 土木工事標準積算基準 第 1 編 積算基準 第 2 章 工事価格③間接工事費 4 現場管理費(建設•保全) 4-2 現場
管理費の算定 (3) より)
12-2.設計変更における契約保証費について(H26 年度 土木工事標準積算基準 第 1 編 積算基準 第 2 章 工事価格 ⑤契約保証費 3 設計変更の取り扱いより)
(1)契約保証費を変更する場合
①最終設計変更以外の設計金額が、契約保証手続きがなされた設計金額に対し2倍以上の増額変更時。
②最終設計変更以外の設計金額が、契約保証手続きがなされた設計金額に対し減額の場合。
(2) 契約保証費を変更しない場合
①最終設計変更以外の設計金額が、契約保証手続きなされた設計金額に対し2倍未満の増額変更時。
②工期延期•短縮。
③最終変更時。
13.関連事項
13-1.入札前・契約後の設計図書等の疑義の解決
設計図書等に係る疑義については、下記により、入札前及び、契約後の設計図書照査の各段階で解決しておくことがスムーズな設計変更の協議につながることになる。
13-1-1.入札前
入札前の疑義の解決については以下の通り。
入札説明書(標準記載例)
○.入札説明書に対する質問
(1) この入札説明書(技術提案書等含む)に対する質問がある場合は、次に従い、書面(様式は自由)により提出すること。
① 提出期間:別表○.○のとおり
② 提出場所:上記○.に同じ
③ 提出方法:書面は持参することにより提出するものとし、郵送又は電送によるものは受け付けない
(2) 上記(1)の質問に対する回答は、質問書を受け取った翌日から原則として5日(土曜日、日曜日及び祝日を除く)以内に文書で回答するものとする。また、その回答書は、次のとおり閲覧に供する。
① 閲覧期間:別表○.○のとおり
② 閲覧場所:上記○.に同じ(○○閲覧コーナー)
(3) 設計図書等に対する質問がある場合においては、次に従い、書面(様式は自由)により提出すること。
① 提出期間:別表○.○のとおり
② 提出場所:上記○.に同じ
③ 提出方法:書面は持参することにより提出するものとし、郵送又は電送によるものは受け付けない
(4) 上記(3)の質問に対する回答書は、次のとおり閲覧に供する。
① 閲覧期間:別表○.○のとおり
② 閲覧場所:上記○.に同じ(○○閲覧コーナー)
13-1-2.契約後
契約後の疑義の解決については以下の通り。
土木工事共通仕様書 第1編
1.1.9 設計図書の照査など
第1章
第1節 総則
受注者は、工事の施工に先立ち、自らの費用により設計図面および設計
計算書などについて契約書第18条第1項第1号から第5号に係る照査を
行い、疑義のある場合には、書面により監督員に報告しなければならない。
13-2.受発注者のコミュニケーションの促進
工事の契約内容に変更が生じた場合においては、工事変更指示時に工事監督部門に加えて積算部門含めた協議を行い双方の合意の元に工事を進め、適切な時期に設計変更を実施することが重要である。また、ワンデーレスポンスの試行、詳細設計等においての情報共有システムの整備も有効である。
更に、土木工事等では設計•施工分離方式が採用されている場合が多く、設計者が行なった成果品を基に発注者が設計図を作成し、受注者はその設計図書に基づき工事を施工するため、設計思想が受注者に十分伝わらないことがある。加えて、土木工事等の特性から、当初の設計図書に明示されている内容と実際の現場条件が一致しない場合や設計図書で想定していなかった条件が発生する場合がある。そのため、発注者、設計者及び受注者の連携を密とするための3者会議(発注者•設計者•受注者)も有効である。
参考資料(関係通知等)
○公共工事の品質確保の促進に関する法律
○公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律
○公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律新旧対照表
○建設業法等の一部を改正する法律新旧対照条文(建設業法)
○建設業法等の一部を改正する法律新旧対照条文(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律)
○土木工事共通仕様書 抜粋
○発注関係事務の運用に関する指針(平成27年1月30日)公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議
○改正品確法第 22 条に基づく発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)について(国土交通省公表資料 URL 参照 http://www.mlit.go.jp/tec/unyoushishin.html)