暴力団等からアプローチを受けた場合、l 人で悩まず、即座に警察や暴力追放運動推進センター等に相談する。
「反社会的勢力排除条項」について
今般、「反社会的勢力排除条項」が公表され、今後、「反社会的勢力排除条項」は不動産売買契約、賃貸借契約一般に盛り込まれることになると思われます。その場合の反社会的勢力の確認チェックリストや重要事項説明書の記載例が必要になると思われますので、社団法人全国宅地建物取引業協会等の不動産４団体編著の「適正な不動産取引のための反社会的勢力排除の手引き」を参考にしながらチェックリスト等を作成しました。また、上記手引きから実務に必要なＱ＆Ａを抜粋させていただきました。
暴力団事務所の用に供される可能性の有無に関するチェックリスト
Ａ □ 反社会的勢力ではないと判断できる（該当するものを複数チェック可）。
□ 地元住民や継続取引相手等で、既知の者である。
□ 資金源が明白である（例 住宅の買い換え取得。支払方法が収入及び資産に見合っている）。
□ 取得者本人名義でのローン利用者で、金融機関でのチェックを受けている。
□ 勤務先が明白、かつ、勤務先が反社会的勢力ではない。勤務先への連絡が容易で、不審点がない。
□ 取得目的、利用目的が明白、かつ、暴力団事務所の用に供しないことが明白。
□ その他（ ）
（Ａで、反社会的勢力ではないと判断できる場合は、契約することができます。
Ａで、反社会的勢力ではないと判断できない場合は、更に、詳細確認のため、Ｂへ） Ｂ 詳細確認事項
□ ローン利用者のうち、借入名義が本人ではなく、合理的理由がない。
□ 勤務先に反社会的勢力を疑わせるような不審な点がある（□ 登記事項証明書で、役員、業務実態等から、不審点があることを確認した。）。
□ 即金での購入者で、資金源が不明である。
□ 収入・資産との対比において不相応の物件購入を希望しており、資金源が不明である。
□ 日常業務（新聞・テレビ、近隣からの情報、業界情報等）の中で収集した情報によって反社会的勢力と疑われる者
□ インターネット検索で反社会的勢力と判明する者
□ 引越時の状況に反社会的勢力を疑わせるような不審点（手伝者の風貌、挨拶状況、不釣り合いな工作物の設置等）があった者
□ 居住状況に反社会的勢力を疑わせるような不審点（出入りする者、柵の状況、
近隣の評判等）がある者
□ 反社会的勢力を疑わせるような不合理な要求、強要を行う者
（Ｂの詳細確認の結果、Ｂのチェック項目の一つでも該当する場合は、業界データベースの検索及び警察に相談することをお勧めします。）
＊ 都道府県条例によっては、不動産所有者（売主、貸主）に、暴力団事務所の用に供されることを知って、譲渡又は貸付け（地上権の設定を含む。以下「譲渡等」という。）に係る契約をしてはならない義務を課したり、また、譲渡等に係る契約の締結前に、暴力団事務所の用に供するものでないことを確認する努力義務を課していることがあります。
＊ 都道府県条例によっては、代理業者・媒介業者に、譲渡等に係る契約の当事者に対し、不動産所有者（売主・貸主）の責務に関する規定の遵守に関し助言その他の措置を講ずる義務を課したり、また、暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、譲渡等に係る契約の代理又は媒介をしてはならない義務を課していることがあります。
＊ 殆どの都道府県条例では、暴力団事務所の用に供されることを知って売買又は賃貸することを禁止し、その代理・媒介も禁止している関係上、契約締結前に、取引の相手方が反社会的勢力かどうかの確認をすることが好ましく、このチェックリストを利用することをお勧めいたします。
＊ 各都道府県によって、暴力団排除条例の内容が多少異なりますので、各自ご確認ください。
【重説 書式】
（売買用）
「都市計画法・建築基準法以外の法令に基づく制限の概要」「法令名」欄に「暴力団排除条例」の欄を追加
契約の解除に関する事項
□ 暴力団排除条項違反による解除 ※別添 売買契約書（案）第 条の通り
（賃貸用）
「法令に基づく制限の概要」「法令名」欄に「暴力団排除条例」の欄を追加契約の解除に関する事項
□ 暴力団排除条項に違反した場合は、相手方は、何らの催告を要せず、契約を解除することができます。
【重説 解説】
（売買用）
「都市計画法・建築基準法以外の法令に基づく制限の概要」「法令名」「暴力団排除条例」の欄に、チェックを入れて下さい。
そして、「制限の内容」欄に具体的制限内容を記入して下さい。
制限の内容は各都道府県によって異なりますので、当該不動産がどの都道府県に所在するかを確認のうえ、該当する各都道府県条例の内容を確認することが必要です。
例えば、埼玉県の場合は、「埼玉県暴力団排除条例第２３条１項２項によれば、県内に所在する不動産の譲渡又は貸付（地上権の設定を含む）（以下「譲渡等」という）をしようとする者は、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなるという認識の下に、当該不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、当該譲渡等
（情を知らないで締結した契約に係る債務の履行としてする場合その他正当な理由がある場合におけるものを除く）をしてはならないとされています。」と記入することになります。
「契約の解除に関する事項」「暴力団排除条項違反による解除」欄に、チェックを入れ、売買契約書の何条かを記入してください。
「損害賠償額の予定又は違約金に関する事項」欄にも、売買契約書の何条かを記入してください。
１ 反社会的勢力の場合等
① 売買契約の当事者が反社会的勢力である場合
② 当事者の役員が反社会的勢力である場合
③ 反社会的勢力に名義を利用させて契約を締結していた場合
④ 本物件の引渡し及び売買代金の全額の支払いのいずれもが終了するまでの間に、自ら又は第三者を利用して、この契約に関して、脅迫的な言動又は暴力を用いたり、あるいは、偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し又は信用を毀損した場合
上記①～④のいずれかに該当する場合は、その相手方は、契約を解除することができます。この場合、解除された者は、その相手方に対して、違約金（損害賠償額の予定）として、売買代金の２０％相当額を支払わなければなりません。
２ 買主が反社会的勢力の事務所の用に供している場合等
買主が、自ら又は第三者をして、本物件を、反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供した場合は、売主は、契約を解除することができます。
この場合、買主は、売主に対して、違約金（損害賠償額の予定）として売買代金の２０％相当額に加え、違約罰として売買代金の８０％相当額（合わせて売買代金の１００％相当
額）を支払わなければなりません。
但し、売主が宅地建物取引業者で、かつ、買主が宅地建物取引業者以外の場合は、xx業法３８条１項２項の適用があり、損害賠償額の予定や違約金の合算額について、売買代金の２０％を超える部分が無効となるため、売主業者は、売買代金の２０％を超える損害賠償額の予定や違約金を請求することはできません。
違約罰は、債務不履行に対する制裁という性質を有する違約金の一種であるからです。
（賃貸用）
「法令に基づく制限の概要」「法令名」「暴力団排除条例」の欄に、チェックを入れて下さい。
そして、「制限の内容」欄に具体的制限内容を記入して下さい。
制限の内容は各都道府県によって異なりますので、当該不動産がどの都道府県に所在するかを確認のうえ、該当する各都道府県条例の内容を確認することが必要です。
例えば、埼玉県の場合は、「埼玉県暴力団排除条例第２３条１項２項によれば、県内に所在する不動産の譲渡又は貸付（地上権の設定を含む）（以下「譲渡等」という）をしようとする者は、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなるという認識の下に、当該不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、当該譲渡等（情を知らないで締結した契約に係る債務の履行としてする場合その他正当な理由がある場合におけるものを除く）をしてはならないとされています。」と記入することになります。
「契約の解除に関する事項」「□ 暴力団排除条項に違反した場合は、相手方は、何らの催告を要せず、契約を解除することができます。」にチェックを入れてください。
１ 反社会的勢力の場合等
① 貸主又は借主が反社会的勢力である場合
② 当事者の役員が反社会的勢力である場合
③ 反社会的勢力に名義を利用させて契約を締結していた場合
④ 自ら又は第三者を利用して、脅迫的な言動又は暴力を用いたり、あるいは、偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し又は信用を毀損した場合
上記①～④のいずれかに該当する場合、または、契約締結後に、自ら又は役員が反社会的勢力に該当した場合は、その相手方は、契約を解除することができます。
２ 借主が反社会的勢力の事務所の用に供している場合等
借主が、本物件を、反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供した場合、本物件又は本物件の周辺において、著しく粗野若しくは乱暴の言動を行い、又は威勢を示すことにより、付近の住民又は通行人に不安を覚えさせた場合、本物件に反社会的勢力を居住させ、又は反復継続して反社会的勢力を出入りさせた場合、のいずれかに該当する行為を行った場合は、貸主は、契約を解除することができます。
◆ 社団法人全国宅地建物取引業協会連合会「適正な不動産取引のための反社会的勢力排除の手引」からの抜粋
１、条例の制定と概要
反社会的勢力の排除には、社会全体が共同で取り組まなければなりませんが、ことに地域住民が、自治体と協力しながら、連携していくことば必要不可欠です。また、反社会的勢力の状況にはそれぞれの地域による相違もあり、地域ごとのきめ細かな対応が効果的であることも少なくありません。
そのような見地から、都道府県でも、反社会的勢力排除の取組みが積極的に進められており、現在ほとんどの都道府県で「暴力団排除条例」が制定されています。
条例の内容は、おおむね、①都道府県には、暴力団排除に関する総合的な施策を策定し実施する責務、②警察には、暴力団員等から生命、身体または財産に対し危害を加えられるおそれがあるときの危害防止措置や必要な体制の確立する責務を、それぞれ負担させたうえで、③不動産所有者(売主・貸主)および代理業者・媒介業者に対して、反社会的勢力排除のための対応を義務づけるものとなっています。
不動産所有者(売主・貸主)および代理業者・媒介業者に条例違反がある場合には、ほとんどの都道府県で報告または資料の提出・勧告・公表の対象となります。
なお、条例の内容は、都道府県によって多少異なっているので、確認してください。
２、不動産所有者と代理業者・媒介業者の責務
…………不動産所有者(売主・貸主)の責務 ・
①契約をしない義務
暴力団事務所の用に供されることを知って、譲渡等に係る契約をしてはならない。
②確認の努力義務
譲渡等に係る契約の締結の前に、暴力団事務所の用に供するものでないことを確認するよう努める。
③明文化の努力義務
譲渡等に係る契約において、次に掲げる事項を定めるよう努める。ア、暴力団事務所の用に供してはならないこと。
イ、暴力団事務所の用に供されることが判明したときは、催告をすることなく当該契約を解除し、又は当該不動産を買い戻すことができること。
④解除等の努力義務
暴力団事務所の用に供されることが判明した場合は、速やかに当該譲渡等に係る契約を解除し、又は当該不動産を買い戻すよう努める。
………… 代理または媒介をする者の責務 …………
①助言その他の措置義務
譲渡等に係る契約の当事者に対し、不動産所有者(売主・貸主)の責務に関する規定の遵守に関し助言その他の措置を講じなければならない。
②知ったうえでの代理・媒介禁止義務
暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、譲渡等に係る契約の代理又は媒介をしてはならない。
＊宅地建物取引業者の対応としては、すべての取引当事者に対し反社会的勢力の調査を行う必要まで求められているものではない。
媒介業者として、顧客チェックリスト等により本人確認を行い、なお確認を要すると思われる場合に、反社会的勢力排除条項が記載された契約書を示して、警察に確認依頼を行うことになる。
なお、警察への確認依頼は契約の合意がなされる見込みとなった時となる。
＊平時の対応(暴追センター作成「暴力団対応ガイド」より) (1)事業者の場合
担当窓口を設けて、平素から警察や暴追センターの担当者等の連絡を密にしておく。 (2)個人の場合
暴力団等からアプローチを受けた場合、l 人で悩まず、即座に警察や暴力追放運動推進センター等に相談する。
＊売買契約後のフロー図は、反社会的勢力排除条項が導入されている場合の対応であるが、反社会的勢力排除条項がないと、警察に相談しても、情報を受領できない可能性が高い。
＊退去要求は近隣住民が行い、売主は弁護士あてに代理権限を授与し、解除に関する手続きを弁護士に委任することになる。
＊退去の要求は、物件近隣居住者が財産価値の低下、居住環境の悪化、不安等を起因として行うもの。売主が近隣住民から要求されて行うものではない。
Ｑ＆Ａ
◆ 社団法人全国宅地建物取引業協会連合会「適正な不動産取引のための反社会的勢力排
除の手引」より
１、暴力団排除条例関係
○ 都道府県において暴力団排除条例が制定された背景は何ですか。
現在の暴力団は、血を流さず「カネ」を手に入れる「経済ヤクザ」ヘとその活動内容も変化しています。
その手法は、企業活動を仮装して、あらゆる経済基盤への進出を図り、多種多様な資金源獲得活動を行っています。さらに、暴力団事務所は、周辺住民に大きな脅威と不安を与えるばかりでなく、青少年への悪影響を及ぼしている状況にあります。
条例は、暴力団が住民の生活や社会経済活動に介入し、住民に多大な脅威を与えている現状に鑑み、住民の生活や社会経済活動の場から暴力団を排除することに関し、住民や事業者の役割、地方公共団体の基本施策、事業者が暴力団員等に利益を与えるような行為の禁止等を定めることにより、警察のみならず、地方公共団体、事業者、住民等が一体となり社会全体で暴力団の排除を推進し、健全な社会経済活動に寄与し、もって住民の安全で安心かつ平穏な生活を確保するために制定されました。
○ そもそも暴力団排除は警察等行政当局が主体に行うべきものではないのですか。
暴力団排除を含む暴力団対策についでは、警察の責務ですが、暴力団排除活動の主体となるのは、その内容により、事業者であったり市民個人であったりします。とりわけ暴力団の資金獲得活動を阻止するためには、社会全体で対策を進める必要があります。警察をはじめ、.国、地方公共団体は、それぞれの立場で暴力団排除活動を支援します。
○ どうして住民や宅地建物取引業者が暴力団排除条例の対象とならなければいけないのですか。
本来、不動産の所有者は、不動産の処分を自由に行い得る権限を有していますが、公共の福祉の観点から、その処分に一定の制約を受けることもあります。暴力団事務所が設置されると、その地域住民の安全が著しく損なわれることから、暴力団事務所の設置を防止するため、不動産取引を行う当事者や宅地建物取引業者には、取引後の不動産が暴力団事務所として使用されないようにすることが求められているからです。
○ 暴力団排除条例では、宅地建物取引業者の責務とは具体的にどのようなものがあるのですか。
都道府県の条例により若干の違いはありますが、基本的には以下のとおりです。 (l)宅地建物取引業者が不動産を譲渡・賃貸する場合
① 暴力団事務所の用に供されることを知って、譲渡等の契約をしてはならないこと。
② 契約の締結の前に、暴力団事務所の用に供するものでないことを確認するよう努めること。
③ 契約においては、暴力団事務所の用に供してはならないこと。万一、暴力団事務所の用に供されることが判明したときは、催告することなく当該契約を解除し、または当該不動産を買い戻すことができることを定めるように努めること。
④ 暴力団事務所に供されることが判明した場合は、速やかに当該契約を解除し、または当該不動産を買い戻すよう努めること。
(2)宅地建物取引業者が代理または媒介をする場合
① 譲渡・賃貸に係る契約の当事者に対し、不動産を譲渡・賃貸する者の責務に関する規定の遵守に関し助言その他の措置を講じなければならないこと。
② 暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、譲渡・賃貸に係る契約の代理または媒介をしてはならないこと。
(注)条例の詳細についでは各都道府県(警察)に確認してください。
○ 暴力団排除条例における不動産の譲渡等における代理等を行う者の責務として「助言その他の措置」とありますが、具体的にはどのようなことですか。
「助言その他の措置」とは、例えば、不動産の譲渡等をしようとしている者に対して、暴力団排除条例の趣旨説明、当該譲渡等に関し暴力団排除条例に基づき作成された契約書の内容確認、契約の履行に係る助言を行うこと等です。
○ 暴力団員やその家族が購入もしくは入居しようする場合、または購入もしくは入居してしまった場合は、この暴力団排除条例の対象になるのですか。
暴力団員本人の場合には、当然、本反社会的勢力排除条項による暴力団排除条例の対象となります。その家族の場合には、その家族が購入もしくは入居することをもってただちに暴力団排除条例の対象となるわけではありませんが、それが名義貸しと認められる場合や暴力団事務所(その他の活動拠点を含む)の用として供される場合には暴力団排除条例の対象となります。
○ 都道府県の暴力団排除条例の施行にあたり、警察と暴力追放運動推進センター(暴追センター)の役割分担はどのようになつているのですか。
警察は、暴力団犯罪の取締り、暴力的要求行為等に対する中止命令等の行政処分、暴力団排除活動等暴力団対策を総合的に推進する任務に当たります。他方、暴追センターは、社会が-体となって暴力団排除活動を効果的に推進するため、警察ほか関係機関と連携し
ながら、暴力団員による不当な行為の予防に関する知識の普及および思想の高揚を図るための広報活動を行い、暴力団員による不当な行為の防止に関する民間の自主的な組織活動を支援し、暴力団排除活動の中核として、相談事業、不当要求防止責任者講習の実施、少年に対する暴力団の影響を排除するための活動、暴力団から離脱する意思を有する者を助けるための活動を行うことなどをその役割としています。
相談受理は、警察、暴追センターともに行いますが、緊急性の高いものや具体的な犯罪被害に関する相談は警察が、それ以外の-時的な相談は暴追センターが受理しています。
２、反社会的勢力排除条項関係
○ 暴力団排除条例では「暴力団」に限定しているのに、反社会的勢力排除条項では「反社会的勢力」としているのはなぜですか。
暴力団は、組織実態を隠蔽する動きを強めるとともに、活動形態においても、企業活動を装ったり、政治活動や社会活動を標ぼうしたりするなど、さらなる不透明化を進展させており、また、証券取引や不動産取引等の経済活動を通じて資金獲得活動を巧妙化させています。
このような現状では、暴力団排除の意識が高い企業であったとしても、暴力団関係企業等と知らずに結果的に経済取引を行ってしまう可龍性があることから、事業者が使用する契約書や取引約款に、暴力団をはじめとする「反社会的勢力」との関係を遮断するための条項を盛り込むことが求められているからです。
○ 暴力団事務所の用に供し、または将来供する目的の不動産取引を対象とするだけではなく、暴力団員が居住するための不動産取引まで対象としている反社会的勢力排除条項は、憲法等に抵触しないのですか。
暴力団員が不動産を取得することにより、当該不動産が事務所化するおそれや襲撃を受けるおそれが生ずるなど地域住民の安全が害されるおそれが大きいこと、また暴力団員は暴力団を脱退すれば普通に不動産取引をすることも可能なことから、暴力団を排除する契約条項は、公序良俗違反や権利濫用などの法的な問題は心配ありません。反社会的勢力排除条項は、このような点を理解した市民が私的自治の範囲内で導入するものであって、暴力団の人権を侵害するものではありません。ただし、家族であることをもって一律排除することはできません。
なお、広島の市営住宅から暴力団であることを理由に退去させられた暴力団員が、憲法第 22 条で保障されている居住権を主張した民事訴訟において、広島高裁が、「暴力団という身分は生まれながらにして持っているものではなく、暴力団を辞めれば、いつでも入居できる」という行政側勝訴の判決が出ています。
○「反社会的勢力」とはどういつたものを指すのですか。
「反社会的勢力」とは、「暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者またはその構成員」をいいます。その定義は、以下のとおりです。
(l)暴力団
その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む)が集団的にまたは常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。
(2)暴力団関係企業
暴力団員が実質的にその経営に関与している企業、準構成員もしくは元暴力団員が経営する企業で暴力団が資金提供を行うなど暴力団の維持もしくは運営に積極的に協力し、もしくは関与する企業または業務の遂行等において積極的に暴力団を利用し、暴力団の維持もしくは運営に協力している企業をいう。
(3)総会屋等
単位株を保有し、株主総会で質問、議決等を行うなど株主として活動する一方、企業から不当に利益の供与を受け、または受けようとしている者をいう。
(4) これらに準ずる者
①暴力団準構成員(暴力団以外の暴力団と関係を有する者であって、暴力団の威力を背景に暴力的不法行為を行うおそれがあるもの、または暴力団もしくは暴力団員に対し資金、武器等の供給を行うなど暴力団の維持もしくは運営に協力し、もしくは関与するもの)
② 会社ゴロ等(総会屋以外で企業等を対象に不正に利益を求めて暴力的不法行為を常習とし、または常習とするおそれのある者)
③ 社会運動等標ぼうゴロ(社会運動もしくは政治活動を仮装し、または標ぼうして、不正な利益を求めて暴力的不法行為等を行うおそれがあり、市民生活の安全に脅威を与える者)
④ 特殊知能暴力集団等(L 記に掲げる者以外の、暴力団との関係を背景に、その威力を用い、または暴力団と資金的なつながりを有し、構造的な不正の中核となっている集団または個人)
⑤その他
ア 自己もしくは第三者の不正の利益を図る目的または第三者に損害を加える目的を持って暴力団を利用するなどしている者
イ 暴力団員に対して資金等を提供し、または便宜を供与するなど直接的あるいは積極的に暴力団の維持、運営に協力し、もしくは関与している者
エ 暴力団であることを知りながら、これを不当に利用するなどしている者オ 暴力団または暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有している者
○ 反社会的勢力排除条項を導入せ劃こ契約を締結した場合、売主、買主、媒介業者には何か罰則があるのですか。
反社会的勢力排除条項を導入せず契約を締結したとしても、暴力団排除条例に基づく罰則はありませんが、媒介をした宅地建物取引業者には、条例の遵守についで適切な助言を行ったかどうかが問われる場合があります。
なお、福岡県の暴力団排除条例では、事業者が暴力団に対して利益供与することに対し、
罰則規定がありますので注意が必要です。
(注)各都道府県の暴力団排除条例は一律ではありませんので、条例の詳細については、各都道府県(警察)に確認してください。
○ 媒介契約書に反社会的勢力の排除に関するモデル条項を特約として追記した場合、その媒介契約書は国土交通省の定めた「標準媒介契約約款」に基づく契約であるということはできるのですか。
反社会的勢力の排除に関するモデル条項は双務契約であり、委託者のみを不利とする特約ではないので、国土交通省の定めた「標準媒介契約約款」に基づく契約ということができます。
○ モデル条項を使用せず、モデル条項以外の反社会的勢力排除条項を記載して契約を締結することは可能ですか。
独自に作成した反社会的勢力排除条項を記載して契約を締結することも可能ですが、その場合は、反社会的勢力の排除に有効な内容であるかどうか、十分に検討したうえで、関係機関に確認する必要があります。
不十分な反社会的勢力排除条項を導入したことにより、解除権の行使に支障を来すことがないよう十分な検討が必要です。
したがって、本手引きに掲載されているモデル条項を使用することが望ましいと考えます。
○ 都道府県ことの暴力団排除条例に適合させるため、モデル条項に新たな条項を追加することは可能ですか。
都道府県の暴力団排除条例に応じて、新たな条項を追加することは可能です。
○ モデル条項を使用して契約を締結した後に、契約の相手方が反社会的勢力になった場合、このモデル条項を適用して契約を解除することができるのですか。
モデル条項を記載した契約書を使用して契約を締結した後に、契約の相手方が反社会的勢力になった場合は、契約を解除することはできませんが、契約後に反社会的勢力となり事務所その他活動の拠点とした場合は、契約を解除することができます。
○ モデル条項に対応し警察へ相談する事業者と、モデル条項を導入せず警察への相談をまつたくしない事業者で、契約締結までのスピードや条件が異なってくるため、同条項を導入しない事業者が有利になるということはないのですか。
警察への相談はすべての取引において行うものではなく、取引の相手方が反社会的勢力
の疑いがある者に対して行うものであることから、反社会的勢力排除条項を導入しない事業者が有利になることはありません。
３、xx業者関係
○ 宅地建物取引業者は、その契約の相手方に対して、反社会的勢力排除条項について、説明しなければならないのですか。
反社会的勢力排除条項には「契約の解除に関する事項」や「損害賠償額の予定又は違約金に関する事項」が記載されているため、宅地建物取引業法第 35 条第 l 項第 8 号および第 9 号の規定に該当し、同法に基づいて説明をする必要があります。
○ 宅地建物取引業者が暴力団排除条例の説明を行わず、また、反社会的勢力排除条項を契約書に記載することもしなかった場合、後日、契約の相手方が暴力団等と判明したときは、宅地建物取引業者の責任はどうなるのですか。
宅地建物取引業者が暴力団排除条例の内容を説明しなかった場合は、同条例に抵触するおそれがあります。また、十分な説明を行わずに反社会的勢力排除条項を契約書に記載しなかったことにより、取引の関係者に損害を与えたとき等には、宅地建物取引業法違反を間われる場合があります。
xxx条例
※
神奈川県条例
※
埼玉県条例
千葉県条例
※
※
○ 売買契約書に「違約罰」を導入することば、宅地建物取引業法第 38 条第 l 項の規定に違反しないのですか。
宅地建物取引業法第 38 条第 1 項の規定は、宅地建物取引業者が自ら売主となり、非宅地建物取引業者が買主となる場合にのみ適用されるため、宅地建物取引業者間の取引の場合、非宅地建物取引業者が売主の場合や宅地建物取引業者が買主の場合には、同規定は適用されません。
○ 契約の相手方が反社会的勢力か否かを確認するために、警察に相談することや業界データベースで検索することは、宅地建物取引業法に違反するのですか。
契約の相手方が反社会的勢力かどうか確認することは、契約の債権債務の履行のために行う「やむを得ないもの」と考えられ、宅地建物取引業法第 45 条の「正当な理由がある場合」に該当するものと考えられます。
○ 売主、買主が売買契約書に反社会的勢力排除条項を導入することに難色を示した場合、どのようにすればよいでしようか。
通常の取引において、契約当事者の双方が反社会的勢力でないと判断した場合には、反社会的勢力排除条項を記載せず契約を締結しても問題はありませんが、暴力団排除条例の制定の趣旨や反社会的勢力の排除の必要性、さらに取引後に暴力団事務所として使用された場合の不利益等を説明し、理解を求めるようにしてください。
なお、売主・買主の意向を尊重して媒介を継続する場合には、将来のトラブルに対処するため、その契約に至る経緯を書面に残すなど必要な措置を講じるようにしてください。
○ 取引相手が反社会的勢力であるか否かを調べてからでないと契約してはいけないのですか。
すべての取引相手について調べる必要はありませんが、取引時の状況、宅地建物取引業者の保有している情報や顧客チェックシート・業界データベースなどにより、取引の相手が反社会的勢力として疑わしいところがあると判断された場合には、警察や暴追センターに相談し確認するようにしてください。
(注)業界データベースは整備中です。
○ 媒介業者は、取引当事者から契約の相手方が反社会的勢力に該当するかどうかの調査を依頼された場合、調査する義務があるのですか。
契約の相手方が反社会的勢力かどうかの調査を依頼され、これに応じた場合、調査する義務はあります。
(注) 宅地建物取引業者は申込みなどの通常の業務内で属性等に不明なところがあり、インターネットで簡単に行いうる反社会的勢力情報の検索をしなかった結果、相手が反社会的勢力であることを見逃した場合や、契約当事者が明らかに反社会的勢力と思われるような兆候がある場合に調査をしなかった場合は、調査義務違反の責任を問われる可能性があります。
○ 媒介契約の締結後、契約の相手方が反社会的勢力に該当するため、当該契約を解除した場合、売買契約が成立していなくても違約金は請求できますか。
モデル条項を導入した媒介契約書により媒介契約が成立している場合、売買契約が成立していなくても約定報酬額に相当する金額を違約金として請求することができます。
ただし、宅地建物取引業者に過失がある場合は除きます。
○ 売買契約の成立後、引渡しまでに媒介の依頼者が反社会的勢力と判明し、売買契約を解除した場合、既に受領している仲介手数料は返金しなければならないのですか。
売買契約は一度成立しているので、当該契約が解除された場合でも、仲介手数料を返金する必要はありません。
なお、モデル条項を導入した媒介契約書により媒介契約が成立している場合で、仲介手数料の残金があるときは、残金を違約金として請求することができます。
○ 売主(貸主)が反社会的勢力排除条項の導入を拒んだため、同条項を売買契約書(賃貸住宅契約書)に記載しないで契約を締結した場合で、後から貰主(借主)が反社会的勢力であることが判明したとき、媒介業者は売主(貸主)に対して何らかの責任を負う必要があるのですか。
売主が売買契約書に反社会的勢力排除条項の記載を拒否し、反社会的勢力排除条項を記載しないで契約したことに関して、媒介業者として責任を問われることはありませんが、媒介業者として売主(貸主)に反社会的勢力排除条項の意義や効果等を十分に説明していなかった場合などには、責任を問われる場合もあります。
なお、トラブルに対処するうえでは、その契約に至る経緯を書面に残すなど必要な措置を講じることが有効です。
４、警察ヘの相談関係
○ 売買契約・媒介契約・賃貸住宅契約の当事者であれば誰でも警察へ相談できるのですか・また、警察へ相鮫するために必要な条件はあるのですか。
契約の当事者である売主、買主、代理人、媒介業者等であれば相談することができます。ただし、相手方が反社会的勢力の疑いがあり、契約を拒否するため、または契約を解除するためであることが前提です。
○ 契約の当事者から権限の委託を受けた弁護士等の代理人による警察への相談も可能なのですか。また、警察へ相談するために必要な条件はあるのですか。
法定代理人のほか当該契約について代理人として権限を委託されていれば可能ですが、基本的には宅地建物取引業者が直接警察へ相談するようにしてください。
○ 契約の当事者である売主、買主等が警察へ相談できる時期はいつですか。
反社会的勢力排除条項を記載した売買契約書、媒介契約書、賃貸住宅契約書を締結するための手続きが進行している場合で、自らインターネットを用いて契約の相手方が反社会的勢力に該当するか否かを確認するとともに、宅地建物取引業者であれば業界団体の共助のために構築された業界データベースで同様の確認をしてもなお、契約の相手方が反社会的勢力との疑いがある場合です。
(注)業界データベースは整備中です。
○ 警察が保有している反社会的勢力の情報は、どこまで提供してくれるのですか。
暴力団の活動の実態についての情報、反社会的勢力(暴力団、暴力団関係企業、総会屋、もしくはこれらに準ずる者またはその構成員)等の該当性(法人を含む)の情報を「情報提供の基準(暴力団排除等のための部外ヘの情報提供について平成 l2 年 9 月 l4 日 警察庁暴力団対策部長通達)」に基づき適切に提供します。
○ 警察へ相談した場合、どのくらいの日数で回答が得られるのですか。
契約の締結前であれば数日で回答を得られます。契約の締結後であれば訴訟を踏まえた検討が必要となり、相応の日数が必要となります。
○ 警察に相談する場合、どこに相談すればよいのですか。(都道府県警察本部ヘ相談するのか。最寄りの警察署に相談するのか。)
最寄りの警察署または各都道府県警察一覧表を参照してください。
○ 取引の相手方が、宅地建物取引業者の事務所が所在する都道府県以外の場合、どこに相談すればよいのですか。(相手方の住所地を管轄する都道府県警に相談するのか。宅地建物取引業者の事務所の最寄りの警察署に相談するのか。)
基本的には、宅地建物取引建業者の事務所の所在地を管轄する警察署または警察本部です。
警察へ相談する場合、どのように相談すればよいのですか。(契約書等関係資料を持参するのか。電話でよいのか。)
警察ヘの相談は、警察に赴き、調査対象者の住所・氏名・生年月日等の情報のほか、契約の状況、疑わしいと判断した理由、契約条項等を提供して行ってください。
その際、警察から相談者の身分確認や関係資料の送付・提出を求められることがあります。
なお、結果は文書ではなく口頭で回答されます。
○ 契約の相手方が反社会的勢力か否かを相談するために、警察に相談することや業界データベースで検索することば、個人情報保護法第 23 条第 l 項(第三者提供の禁止の対象外)に該当するのですか。
反社会的勢力に関する情報を交換し、その手口を把握しておかなければ、反xx的勢力による不当要求等に対処し損ねたり、反社会的勢力との関係遮断に失敗することによる信用失墜に伴う金銭的被害も生じたりします。また、反社会的勢力からこうした提供に関す
る同意を得ることは困難です。
このため、このような場合、「法第 23 条第 1 項第 2 号(人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき)に該当し、本人の同意がなくとも第三者提供を行うことができる。」とされています。
○ 相談者の履歴は、警察に残るのですか。
相談受理した事実の記録は一定期間残されますが、その内容が公表されることはありません。
５、契約解除関係
○ なぜ契約書に不動産の引渡し後であつても契約が解除できる条項を導入しなければならないのですか。
売買契約書に引渡し後であっても契約が解除できる条項を導入することにより、物件が反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供された場合に契約が解除できるようにしておけば、契約解除により反社会的勢力から物件の所有権を取り戻すことができます。
通常、物件が事務所になるのは、引渡し後ですので、解除を引渡し前に限れば、解除による事務所の排除ができなくなります。
よって、引渡し後も解除できる本手引き(l2~l3 頁)に掲載されているモデル条項を使用することが望ましいと考えます。
契約の締結後または引渡し後に得た情報をもとに警察と相談した結果、契約の相手方が反社会的勢力と判明したため、当該契約を解除する場合、相手方にどのように伝えればよいのですか。
警察に相談した結果、反社会的勢力と判明した場合は、契約の相手方に対して「警察から情報提供があった」と明言しても構いませんが、直接相手方と交渉することば避けて、弁護士に対応を任せるようにしてください。
また、警察は、裁判で争うこととなった場合、警察から提供した情報の正確性等についての立証の支援をします。
○ 契約の解除に係る費用(弁穫士報酬等)は誰が負担するのですか。
契約の解除に係る費用の負担はケースバイクースですが、通常は当事者が負担することになります。
費用等についでは都道府県による支援が得られることもありますので、相談してください。
○ 売買契約の締結後ま川ま弓 l 渡し後に、買主が元暴力団員であることや反社会的勢力との関係が疑われ、近隣住民等から売主に対して、契約の解除を求められた場合はどうす
ればよいですか。
売主は、近隣住民等の第三者から契約解除について求められても、すぐに応じる必要はありません。契約解除するかどうか判断するのは売主です。また、疑しいだけでは契約解除できません。警察や暴迫センターに対応を相談してください。
○ 売買契約の締結後または引渡し後に、買主が元暴力団員であることや反社会的勢力との関係が疑われるとして、売主から媒介業者に対して、契約の解除について相談された場合はどうすればよいですか。
元暴力団員や反社会的勢力との関係が疑われるからといって、直ちに売主は契約を解除する必要が生ずるものではありません。媒介業者は売主に、警察や暴追センターへ相談するようアドバイスしてください。
○ 売買契約の締結後または引渡し後に、買主が反社会的勢力であることが判明し、売主がその契約を解除した場合、契約の解除により生じた売主の損害について、売主から媒介業者に対して求償されることはありませんか。
媒介業者は反社会的勢力排除条項による契約の解除により生じた売主の損害について、宅地建物取引業者に遇失がない限り責任を負う必要はありません。
○ 売買契約の締結前に、相手方が反社会的勢力と分かった場合、警察に確認した結果として当該契約を拒絶してよいのですか。
また、媒介業者は相手方へどのように伝えればよいのですか。
この場合には、契約自由の原則により契約をしないだけのことで、相手が反社会的勢力であることを伝達する必要はなく、「諸般の事情により」というような言い方で当該契約を謝絶することになります・
契約解除関係
○ 家族に暴力団関係者がいることは知つていたが、契約当事者は一般人であり、暴力団員である家族は入居しないと確認できていたが、引渡し後に暴力団事務所に貸されてしまった。この場合、どうすればよいのですか。
売買契約書標準モデル条項例第 l 項第 3 号、第 3 項に違反すると認められれば、同条第 2
項または第 4 項の規定に基づいて解除できますので、警察、暴追センターに相談してください。契約の相手方と直接対応することは避けてください。
○ 売買契約の締結後または引渡し後に、買主が反社会的勢力であることが判明し、売主
がその契約を解除した場合、原状回復はどうするのですか。
モデル条項に基づく約定解除についでは、基本的には民法の規定が適用され、買主は本物件の返還および所有権移転登記手続き等が必要となり、売主は売買代金の返還等が必要となりますが、このような売主の経済的な負担は、違約金や違約罰により軽減されると思われます。
○ 売主が売買代金を買換え費用等に充てているなど、売主の資金が不足している場合、売主が買主に売買代金を返還するための金銭的な支援はないのですか。
都道府県の暴力団排除条例では、都道府県(警察)の責務として「情報の提供その他の必要な支援を行う」と規定されているものもあります。
また、暴力団事務所の買取りに必要な資金の貸付け等を目的として、「鹿児島県暴力団排除活動推進基金」や「佐賀県暴力追放運動推進センター緊急対策基金」などが設置されています。
(注)詳細についでは、各都道府県(警察)に確認してください。
お客様各位
お客様告知文(例)
平成 年 月 日
『反社会的勢力排除条項』について(例)
安全で住みよい社会は、すべての人に共通の願いです。暴力団等の反社会的勢力は、安全で住みよい社会の実現をおびやかす存在であり、国民生活から反社会的勢力を排除していくことが社会的に求められています。このような社会的要請のもと、各都道府県では、反社会的勢力排除の取組が積極的に進められており、ほとんどの都道府県で「暴力団排除条例」が制定されています。
「暴力団排除条例」では、おおむね、不動産所有者(売主・貸主)に対して、
① 暴力団事務所の用に供されることを知って、譲渡等に係る契約をしてはならない。
② 譲渡等に係る契約の締結前に、暴力団事務所の用に供するものではないことを確認するよう努める。
③ 譲渡等に係る契約において、次に掲げる事項を定めるよう努める。ア 暴力団事務所の用に供してはならない
イ 暴力団事務所の用に供されることが判明したときは、催告することなく当該契約を解除することができる
④ 暴力団事務所の用に供されることが判明した場合、速やかに当該譲渡等に係る契約を解除するよう努める。
等が規定されています。
不動産流通業界では、「暴力団排除条例」に対応するため、警察庁刑事局組織犯罪対策部暴力団対策課の指導の下、国土交通省総合政策局不動産業課の協力を得て、
「売買契約書」「媒介契約書」「賃貸住宅契約書」において反社会的勢力との取引を排除する規定を設けましたので、ご理解とご協力を頂きますようお願い致します。
記
(趣旨)
本規定は、契約書において①あらかじめ契約当事者が反社会的勢力でない旨等を相互に確約し、②契約後において取引の相手方が反社会的勢力であったことが判明した場合や反社会的勢力の事務所等に供された場合に、契約の解除等速やかに反社会的勢力の排除の対応ができるよう定めておくものです。
以上
(注)反社会的勢力排除条項を導入した契約書の使用を希望されない場合は、反社会的勢力排除条項のない契約書を使用することも可能です。
社団法人全国宅地建物取引業協会連合会社団法人全日本不動産協会
社団法人不動産流通経営協会 社団法人日本住宅建設産業協会