①基本労務契約(Master Labor Contract・・・MLC)
平成2 2年8月
目 次
1 | はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 1 |
2 | 駐留軍等労働者の労務管理の概要・・・・・・・・・・・・・・・ (1)労務提供契約に関する日米間の取決め・・・・・・・・・・・ | 2 2 |
(2)駐留軍等労働者の現状と推移・・・・・・・・・・・・・・・ (3)駐留軍等労働者の身分と適用法令・・・・・・・・・・・・・ | 3 3 | |
(4)駐留軍等労働者の勤務条件・・・・・・・・・・・・・・・・ (5)独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構・・・・・・・・・ | 4 4 | |
(6)諸外国と日本の駐留軍等労働者の雇用方式の違い・・・・・・ | 5 | |
3 | 駐留軍等労働者の労働者としての特殊性と課題・・・・・・・・・ (1)駐留軍等労働者の身分・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 6 6 |
(2)法令適用問題と労働条件等・・・・・・・・・・・・・・・・ ①法令適用問題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 7 7 | |
②駐留軍等労働者の労働条件等・・・・・・・・・・・・・・・ | 8 | |
③駐留軍等労働者の給与体系・・・・・・・・・・・・・・・・ | 10 | |
(3)不安定雇用に係る対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 11 | |
(4)福利厚生に係る諸課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 12 | |
(5)安全衛生の確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 14 | |
4 | 今後の駐留軍等労働者の労務管理について・・・・・・・・・・・ | 15 |
駐留軍等労働者の労務管理に関する検討会委員・・・・・・・・・・ | 17 | |
参考資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 18 |
1 はじめに
駐留軍等労働者の給与その他の勤務条件に係る問題等については、これまでも国会等において様々な議論がなされているところである。
駐留軍等労働者は、昭和23年から昭和27年までの間、国家公務員として位置付けられ、昭和27年以降は、現在の国に雇用される者という立場になっている。その駐留軍等労働者の給与面については、終戦後の昭和20年代より、勤務環境等が特殊であったことから、国家公務員にない手当である格差給、語学手当等が支払われてきた。
しかしながら、近年においては、昭和20年代当時と比較して勤続年数が延び、解雇が極めて少なくなっていること等の社会情勢の変化から、国民の理解を得るためには、これらの見直しを行わざるを得ない状況となった。
また、財政制度等審議会の建議(平成19年6月)でも、「xx見直しが行われてこなかった基本給にその10%を一律に上乗せする「格差給」等の国家公務員の水準を上回るとされる部分の問題をはじめ、その給与等のあり方について基本に立ち返った見直しが必要」と指摘された。
これらのことから、これらの国家公務員にない手当等を見直しすることとし、防衛省と全駐留軍労働組合(以下「組合」という。)との間で協議を行ったところであるが、駐留軍等労働者の給与その他の勤務条件については、これまで体系的な整理が必ずしも十分に行われていなかったこともあり、駐留軍等労働者の勤務条件の在り方について、今後のとるべき施策の検討の資とするため、平成20年8月に「駐留軍等労働者の労務管理に関する検討会」を開催するに至ったところである。
本検討会はかかる状況を踏まえ、駐留軍等労働者の労務管理に係る問題点や課題について検討を行ってきたところであるが、今般、これまでの検討の成果を踏まえ、今後の方向性について取りまとめたので、防衛省地方協力局長に報告し、本報告書が今後の防衛省における駐留軍等労働者の労務管理に
係る施策の資となることを期待するものである。
2 駐留軍等労働者の労務管理の概要
全国の在日米軍施設で勤務している駐留軍等労働者は、現在約26,00
0人おり、我が国の防衛の柱となっている日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用を確保する上において、駐留軍等労働者はその一翼を担っており、極めて重要な役割を果たしている。
以下、その概要について述べる。
(1)労務提供契約に関する日米間の取決め
日米両国は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和35年条約第7号、以下「地位協定」という。)第12条4により、日本国が労働者を雇用し、在日米軍に提供するいわゆる「間接雇用方式」を採用し、雇用の安定、労働者の権利保護の確保及び米側労務需要の充足を図っている。
なお、当該方式による労務提供を円滑に実施するため、防衛省と在日米軍は、3つの労務提供契約※1を締結し、提供する駐留軍等労働者
の資格要件、労務管理の実施方法、給与その他の勤務条件の内容、労務経費の日米負担の区分等在日米軍への労務提供に関する具体的諸条件を細かく取り決めている。
※1 3つの労務提供契約
①基本労務契約(Master Labor Contract・・・MLC)
各軍の司令部や部隊等の従業員(事務員、技術要員、運転手、警備員等)を対象
②船員契約(Mariners Contract・・・MC) 非戦闘用船舶に乗り組む船員を対象
③諸機関労務協約(Indirect Hire Agreement・・・IHA)
施設内の食堂、売店等の従業員(ウエイトレス、販売員等)を対象
(2)駐留軍等労働者の現状と推移
駐留軍等労働者数は、昭和27年の平和条約及び旧日米安全保障条約等の発効時においては、約21万人であったが、その後陸上戦闘部隊の撤退等により暫時減少し、昭和50年代前半からは約2万人強で推移してきている。(平成22年3月末日現在:25,812人)
職種としては、司令部のスタッフなどの事務・技術関係職、運転手、コック、ウエイター・ウエイトレス、機械工等の技能・労務関係職、警備員、消防員、看護師など約1,300職種に及ぶ。
(3)駐留軍等労働者の身分と適用法令
駐留軍等労働者は、私法上の雇用契約により国に雇用される者である。国の事務・事業に従事するものではないので、国家公務員ではないとされている。
(日本国との平和条約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律(昭和27年法律第17
4号) 第8条第1項)
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき駐留するアメリカ合衆国軍隊、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第十五条第一項(a)に規定する諸機関、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に基づき本邦内にある国際連合の軍隊又は日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第七条の規定に基づくアメリカ合衆国政府の責務を本邦において遂行する同国政府の職員のために労務に服する者で国が雇用するもの(以下「駐留軍等労働者」という。)は、国家公務員でない。
駐留軍等労働者との間の雇用関係については、原則として、労働基準法(昭和22年法律第49号)、労働組合法(昭和24年法律第174号)及び労働関係調整法(昭和21年法律第25号)をはじめとする我
が国の労働関係法令が適用される。
(地位協定 第12条5)
所得税、地方住民税及び社会保障のための納付金を源泉徴収して納付するための義務並びに、相互間で別段の合意をする場合を除くほか、賃金及び諸手当に関する条件その他の雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、日本国の法令で定めるところによらなければならない。
(4)駐留軍等労働者の勤務条件
駐留軍等労働者の勤務条件は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従事員における給与その他の勤務条件を考慮して、防衛大臣が定めることとされている。
(日本国との平和条約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律 第9条第2項)
駐留軍等労働者の給与その他の勤務条件は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従事員における給与その他の勤務条件を考慮して、防衛大臣が定める。
勤務条件の定めは、防衛省と在日米軍との間で協議、調整を行いつつ、組合との間で必要な交渉を実施し、3つの労務提供契約を改正することにより、決められている。
(5)独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構
独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構(以下「機構」という。)は、駐留軍等労働者の雇入れ、提供、労務管理、給与及び福利厚生に関する業務を行うことにより、駐留軍等に必要な労働力の確保を図ることを目的として、平成14年4月1日、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)及び独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構法(平成11年法律第217号)に基づき設立された。
現在、機構は本部のほか、全国に7つの支部(三沢、xx、横須賀、座間、岩国、佐世保、沖縄)があり、各米軍基地に勤務している駐留軍等労働者の労務管理業務、具体的には米側からの労務要求書の受理、駐留軍等労働者の雇用の終了に係る人事措置通知書の交付などの労務管理業務、給与や旅費に係る計算や書類作成などの給与業務、ほう賞の支給、制服等の貸与、健康診断の実施、業務上災害を受けた者等に対する特別援護金の支給その他の福利厚生業務を行っている。
また、雇用主である防衛省との業務の役割分担は以下のとおりとなっている。
防衛省: 労務提供契約の締結、勤務条件の決定、雇用主として行う法律行為
機 構: 個々の駐留軍等労働者の労務管理等事務のうち、実施に関する事務
(6)諸外国と日本の駐留軍等労働者の雇用方式の違い
(比較例:韓国、ドイツ、オランダ)
雇用形態では、日本とオランダは、接受国政府が法律上の雇用主であるという意味で、いわゆる間接雇用方式となっており、韓国とドイツは米側が法律上の雇用主である直接雇用方式と異なっている。これに伴い、労働条件の定め方も各国で異なっている。しかしながら、労使関係を見ると、直接雇用のドイツでも、ドイツ財務省が労使交渉を行っており、韓国でも紛争が発生すれば韓国政府が調停を行うというように、直接雇用であっても、接受国が労使交渉に一定の役割を果たしている。
雇用の形態や労務費の負担は、各接受国によって異なるが、これはそれぞれの国の仕組み、慣習及び労働環境が異なり、またその他の国内事
情はもとより、国際社会における各国の立場や考え方が異なるためであると考えられ、どの国においても現地の労働者に関する法令や慣行によるべきとの考えは共通している。また、接受国が労働者保護が適切に行われるよう、重要な役割を担っているものと考えられる。
3 駐留軍等労働者の労働者としての特殊性と課題
上述したとおり、駐留軍等労働者は、国が法律上の雇用主であり、実際の使用者が米軍であるといういわゆる間接雇用方式の下、国家公務員や民間労働者とは異なった雇用形態に置かれており、その勤務環境は、現在においても次のような課題を残している状況となっている。以下、その課題について述べる。
(1)駐留軍等労働者の身分
駐留軍等労働者の身分は、上述したとおり、昭和23年から昭和27年までの間、国家公務員として位置付けられ、昭和27年以降は、現在の国に雇用される者という立場になっているが、その法令上の身分については、日本国との平和条約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律第8条第1項に「国家公務員ではない」と規定されているのみであり、身分として明確に規定されているものはない。
また、駐留軍等労働者は、いわゆる間接雇用方式の下、雇用主と実際の使用者が異なっている。この雇用形態は、現在においては労働者派遣法(昭和60年法律第88号)の施行により、民間においても勤務環境等に違いはあるものの形式的には類似の業務形態が見られるようになったことから、以前に比べて特殊な形態ではなくなってきているが、勤務
地が軍事施設である米軍基地においては、後述するように国内の労働法令が必ずしも合致していない部分があるなどの課題が残っている。
このような駐留軍等労働者の現状は、国の安全保障に係る重要な任務に携わりながら、従来の法令に明確な社会的身分や権利・義務を位置付けられていない曖昧な存在であったことにもその原因があると思われるが、駐留軍等労働者は国家公務員と違い、民間企業と同様に労働三権を有しており、労働条件の改善に当たっては労使交渉を通じて行ってきたこれまでの経緯がある。
昭和20年代からの駐留軍等労働者の身分を含む法令等の既存の枠組みは、社会の変化によって生じた個々の問題についても、労使交渉等により、一定の改善に寄与している。
他方で、米軍基地の運用を前提とする労働条件の改善は、米軍の運用に直接影響を及ぼすものであることから、容易に改善が行えないなど、条約上の義務履行に拘束される駐留軍等労働者の身分は、国家公務員とは言えないまでも、公務ともいうべき性質の業務を担っている。
そのため、今後の労働条件の改善をxx進めていくためにも、身分について検討していく必要があると考えられる。
(2)法令適用問題と労働条件等
①法令適用問題
駐留軍等労働者は、原則として日本の労働法令が適用されるが、その労働条件が我が国の労働法令に必ずしも合致していないものがあり、防衛省は、日本の国内法令の趣旨に則った所要の措置を労務提供契約に盛り込むことについて組合等とも協議の上、米側と調整を図り、合意の上逐次改善を行っている。
平成16年度には、未合意事項が18項目あったが、平成21年度末
までに15項目について合意を得ており、それぞれの項目について労務提供契約に盛り込んだところである。
このため、現在合致してない項目及び関係法令は、次の3項目となっている。
【3つの未合意事項】
・時間外労働等に関する労使協定の締結及び行政官庁への届け出
・・・労働基準法第36条
・就業規則(変更)の届出 ・・・労働基準法第89条
・安全衛生委員会の設置 ・・・労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)
第17、18及び19条
これらの我が国の労働法令に合致していない項目については、勤務地が米軍基地であり、米軍が駐留軍等労働者を使用者として管理するという特殊性から、現在においても、法令との齟齬が生じているが、駐留軍等労働者には日本国内の法令が適用されるため、以前から防衛省と米軍との間において調整が行われており、早急にこれらの項目を解決する必要がある。
②駐留軍等労働者の労働条件等
駐留軍等労働者の労働条件を改善する場合には、民間企業と同様に、雇用主である防衛省と組合が団体交渉等の協議を行っている。
しかしながら、民間企業においては、この協議が整えば労働条件の改善が行われることとなるのに対し、駐留軍等労働者の場合には、3つの労務提供契約において労働条件を定めていることから、組合との団体交
渉等の協議に加え、米側との協議及び合意が必要となる。
このため、防衛省と組合との協議が整い、なおかつ米側との合意が得られなければ、労働条件の改善が行われないという制度上の大きな違いがある。
また、駐留軍等労働者の労働条件は、大別すると、(1)国家公務員関係法令に準拠した労働条件、(2)労働関係法令に基づく労働条件、(3)米軍の運用により影響を受ける労働条件、(4)駐留軍等労働者が独自に対象となっている労働条件(駐留軍関係離職者等臨時措置法(昭和33年法律第158号)に基づく施策等)となっている。
特に、これらの労働条件のうち、(3)米軍の運用により影響を受ける労働条件※2は、米軍の運用に影響を及ぼすこと又は米国の法令、慣習、文化風土による違いから強い制約を受け、日本国の一般的な労働条件と
駐留軍等労働者の労働条件に差異が生じている。
※2 米軍の運用により影響を受ける労働条件の一例
・勤 務時間:駐留軍等労働者:週40時間・1日8時間
(国家公務員:週38時間45分、1日7時間45分)
・祝 日:年平均15日(米国の祝日など)
(国家公務員:年平均21日)
・x x:1職種1等級制であり、原則なし
(国家公務員:勤務成績により昇格)
これらの労働条件の他にも、職場が軍事施設という特殊な勤務環境であること、駐留軍等労働者の労働力は、有事を含めた米軍の運用と密接不可分であること等の理由から、駐留軍等労働者の労働環境は民間労働者には見られない特殊なものと言える。
このように、駐留軍等労働者の労働条件等については、使用者である
米軍の運用と密接に関係していることから、全てを画一的に改善することは必ずしも容易ではないものの、個別に労使交渉を通して改善を図ることも必要である。
③駐留軍等労働者の給与体系
駐留軍等労働者の給与制度については、昭和38年には現在の国家公務員準拠の制度となったが、言語・習慣の異なる米軍基地に勤務するという特殊性を考慮した独自の手当として、格差給(基本給の10%を一律に支給)や語学手当を支給し、また退職手当の一部について国家公務員の水準を上回る支給率としていたところである。しかしながら、社会情勢の変化による職務の特殊性の低下などの要因を踏まえ、平成20年度に5年間(平成24年度まで)の激変緩和措置を設けた上で廃止しており、現在その経過措置期間中である。
これら格差給等の廃止については、駐留軍等労働者に求められる業務の重要性等を鑑みれば、給与面での国家公務員との均衡はやむを得ないが、併せて労働条件の不均衡を是正する措置を講ずることは視野に入れる必要がある。
具体的には、我が国の労働法令に合致していない労働条件のほか、福利厚生や安全衛生の分野において、後述するように国家公務員や民間に比べ不十分と思われる部分があることから、これらの是正についての考慮が必要と考えられる。
また、昨年の行政刷新会議の事業仕分けにおいて、駐留軍等労働者の給与水準については、地域の同職種とのバランスが必要として「見直し」という結果が出されている。しかし、駐留軍等労働者の給与水準を含む労働条件については、労使マターである。
なお、現在、格差給等の廃止に伴う経過措置期間中であることも念頭
に置いて、今後の給与水準を総合的に検討していただきたい。
(3)不安定雇用に係る対策
駐留軍等労働者の雇用については、原則的に基地の存廃を含む米軍の運用上の所要に左右され、国家公務員や民間企業に比べ、不安定なものであると言わざるを得ない。
過去の経緯を見ても、昭和27年4月の平和条約の発効を契機に、連合国軍が暫時我が国から撤退したことに伴い駐留軍等労働者の人員整理が行われた。その後も、多数の労働者が特定の地域において一時に離職を余儀なくされている。このため、これらの者に対し特別の措置を講じ、もってその生活の安定に資することを目的として、昭和33年に駐留軍関係離職者等臨時措置法が制定され、同法に基づき、関係行政機関が協力して各種援護措置を講じている。
人員整理に関しては、近年についてはほとんど見られなくなっているものの、今後、米軍の再編に関連し、基地の返還等により関連する基地の駐留軍等労働者の雇用に影響があると考えられる。このため、駐留軍等労働者に対しては、雇用の継続のための施策が重要であり、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法(平成19年法律第67号)に基づく技能教育訓練、その他の適切な措置により、駐留軍等労働者の雇用の継続に資するよう、万全を期す必要がある。
防衛省は、具体的には、再編における米軍施設ごとに影響を受ける駐留軍等労働者を把握し、再編完了年までにおける定年退職者等を自然減として新規常用労働者の採用の抑制を行い、また同一の職種で他の部隊
・軍・施設への配置転換等または必要に応じて技能教育訓練を行うなどして、できる限り雇用の継続を図り、やむを得ず離職を余儀なくされる駐留軍等労働者については、上述の駐留軍関係離職者等臨時措置法に基
づき各種の援護措置を実施し、駐留軍等労働者に対して適切な情報提供を行うなど、雇用不安を与えることのないよう取り組んでいくこととしている。
これらについては、米軍再編における駐留軍等労働者への影響が確たるものとなっていないことから、現時点では具体的な計画を立てることが難しい状況であるが、雇用の安定確保は、雇用主として最大限努力するべきものであり、防衛省においては米側や組合との連携を密にし、極力人員整理を回避するよう努力していただきたい。
(4)福利厚生に係る諸課題
駐留軍等労働者の福利厚生は、法定福利については事業主である防衛省が主体となって行っている。
法定外福利については、駐留軍等労働者の特殊な雇用形態に鑑み、防衛省、機構、駐留軍要員健康保険組合(以下「駐健保」という。)及び財団法人駐留軍労働福祉財団の4つの組織が連携して行っているが、事業主が主体となって行っている民間企業や、共済組合が主体となって行っている国家公務員と比較するといくつかの差異が見られた。
福利厚生施策についても、国家公務員とは差異が見られるが、本検討会の議論の中において、今後積極的に検討すべき部分も見受けられたところである。
以下、それらの主なものについて記載する。
ア 年 金
駐留軍等労働者と民間企業、国家公務員においては、厚生年金と共済年金という制度の違いがあるが、内容としては老齢年金、障害年金、遺族年金、企業年金があり、企業年金については、駐留軍等労働者は加入していない。民間企業については、厚生年金基金、確定給付企業
年金、確定拠出年金など、様々な企業年金があるが、景気が低迷している現在の状況下においては民間企業の経営を圧迫している側面もある。
国家公務員においては、駐留軍等労働者にはない退職共済年金の職域加算分を含め、新たな年金制度の創設を政府において検討されていることも踏まえて、新たな拠出が伴う場合の運用原資の検討や、雇用主側の役割など、今後の新たな国家公務員の年金制度も注視して駐留軍等労働者における年金制度の在り方についての議論を行っていく必要がある。
イ 医療・健康
医療保険等における法定給付については、駐留軍等労働者は駐健保を設立し、民間と同様に保険給付を行っている。付加給付については、民間は療養付加金など、駐健保よりも多くの付加給付が存在する。国家公務員についても、共済組合において一部給付しているところである。
また、育児・出産に関して、法定の出産育児一時金のほかに、国家公務員、民間企業については一部付加給付があるなど、差異が見られる。
ウ 保育所の設置
育児関連として、国家公務員においては、一部の共済組合において保育所の設置を行っており、民間企業においても、数はわずかではあるが、託児施設を設置している。
駐留軍等労働者に対しては、育児休業制度はあるが、保育所の設置又は保育サービスに関する施策はない。また、米軍基地における祝日は米国の祝日であり、現状では駐留軍等労働者は日本の祝日でも出勤しなければならないことから、日本の祝日に出勤する駐留軍等労働者
が子供を預けられる保育所が必要であると思われる。
また、日本国内において有効な少子化対策を講ずることが喫緊の課題となっていることを踏まえ、駐留軍等労働者のニーズを確認しつつ、保育所の設置・運営を行うことが、現在社会的に問題となっている待機児童の解消、少子化対策の点からも検討すべき課題であると思われる。
エ 保険事業
生命保険、年金保険、損害保険については、駐留軍等労働者には実施されていないが、国家公務員においては、多数の共済組合に団体扱いがあり、民間企業においても、社内保険援助制度を行っている企業が一部見受けられる。
オ 貸付、貯金事業
貸付、貯金事業においては、国家公務員の場合は各共済組合に貸付制度と貯金制度があり、民間企業においても、一部共済会や事業主により行われているが、駐留軍等労働者においては行われていない状況である。
カ 賞じゅつ金制度
地方自治体においては、警察職員及び消防職員が殉職した場合には
「殉職者賞じゅつ金」が支給されている。駐留軍等労働者にも直接米軍人とともに米軍基地の治安維持、災害対応に当たっている警備職や消防職についても、その職責に報いる意味でも、現在、設けられていない賞じゅつ金等の制度について、その導入の可否について検討する必要がある。
(5)安全衛生の確保
駐留軍等労働者の職場における安全及び衛生は、雇用主である防衛省
と使用者である在日米軍が協力してその確保に努めるべきものである。米側は職場を管理する立場から、職場内及び作業上の危険及び健康被
害の防止並びに衛生的な職場環境の維持に責任を有しており、このため、在日米軍は各軍において安全衛生プログラムを作成し駐留軍等労働者も構成員になっている安全衛生に関する委員会を設けるなど、駐留軍等労働者を含む部隊全体の安全及び衛生を管理している。
防衛省においては、労働安全衛生法に基づく健康診断を行うほか、産業医を選任し、健康調査、職場巡視を行うこと等を通じて、駐留軍等労働者の健康保持に努めている。
しかしながら、駐留軍等労働者の安全衛生に係る取り組みについては、アスベストによる健康被害や原子力空母の配備に係る安全確保などの個別問題のほか、民間労働者と比較し駐留軍等労働者の定期健康診断の有所見率が高いといった健康管理等の問題点もあり、防衛省は従来から重点的に取り組んでいるが、更に継続的かつ効果的に駐留軍等労働者の安全衛生対策を図っていく必要があると考えられる。
特に近年の労働衛生に関して注視すべき点は、国家公務員も含めて心の健康問題を抱える労働者の増加であり、米軍基地という特殊な労働環境のもとで働く駐留軍等労働者のサポート体制について危惧するところである。
さらに上述した特殊な労働環境から発生しやすいパワーハラスメントの問題もあり、これまで以上に快適な職場環境の形成促進にも目を向けるとともに、個々の労働者のメンタルヘルスケアの充実を図ることが必要と思われる。
4 今後の駐留軍等労働者の労務管理について
駐留軍等労働者の労働条件については、使用者である米軍の運用上の所要
により、国内の一般的な労働条件と差異が生じている部分があり、一部労働関係法令に合致していないところもある。現在までに逐次労働条件の改善が図られているものの、駐留軍等労働者は米軍基地に勤務する関係上、その労働条件は軍の部隊運用の影響を少なからず受けることもある。
このため、国家公務員及び民間労働者の労働条件を踏まえ、米軍の運用上の所要にも配慮しつつ、労働条件の改善に努力する必要がある。
また、米軍基地の運用に関しては、返還等に伴う雇用不安も内在しており、必ずしも雇用の安定が保障されるものではない。駐留軍等労働者の雇用については、その労働力が安全保障上の運用に不可欠なものとなっていることから、これらのことを踏まえた一定のプロテクションが必要であると考えられる。
福利厚生や安全衛生面の観点から先に指摘した部分については、国家公務員や民間企業と比較すると不十分であり、組合からもこれらの充実が図られるよう要望がある。適切なワーク・ライフ・バランスを確保する意味でも、福利厚生や安全衛生面でのより一層の改善を目指した取り組みが必要であり、緊要な課題であると考えられることから、防衛省においては、これら諸課題について充実強化に努める必要がある。
なお、本検討会で議論された諸課題等については、国としてより適切な措置が図られるよう、積極的な対応を希望する。
駐留軍等労働者の労務管理に関する検討会委員
座長:xx | xx | 法政大学大学院イノベーション・マネージメント研究科教授 |
委員:xx | xx | 国民年金基金連合会常務理事 |
委員:xx | xx | 富士電機ホールディングス(株)特別顧問 |
委員:xxx | x市 | 沖縄国際大学xx文化研究所特別研究員 |
委員:xx | xx | 外交政策研究所代表、立命館大学客員教授 |
委員:xx | xx | 日本労働組合総連合会副事務局長 |
(敬称略、委員は五十xx)
駐留軍等労働者の労務管理に関する検討会の討議状況
第1回 平成20年8月5日(火)14:00~16:00
・座長の選定
・事務局より駐留軍等労働者の労務管理概要説明
・組合側より意見聴取
・質疑応答
・次回検討事項、次回日程の決定
第2回 平成20年10月1日(水)11:00~12:00
・事務局より説明
諸外国と日本の駐留軍従業員雇用制度との比較駐留軍等労働者の身分の変遷
在日米軍基地内の労働関係法令を含めた規制法令の適用について駐留軍等労働者、国家公務員及び民間労働者の労働条件の比較 雇用の種類
駐留軍等労働者の管理監督者駐留軍等労働者の給与条件
・組合側より意見聴取
・質疑応答
・次回検討事項、次回日程の決定
第3回 平成20年12月4日(木)10:00~15:00
・在日xxx司令官表敬及びブリーフィング
・施設内視察
第4回 平成21年5月27日(水)10:00~12:00
・事務局より説明
駐留軍等労働者の労務管理に係る平成21年度予算について労働条件の詳細な比較
福利厚生の詳細な比較
○福利厚生経費比較
○法定外福利を担う主体比較
○福利厚生実施状況比較
・質疑応答
・次回検討事項、次回日程の決定
第5回 平成21年9月9日(水)~10日(木)
1日目:キャンプxxx
・在xx海兵隊基地司令官代理表敬及びブリーフィング
・施設内視察
2日目:嘉手納飛行場
・第18航空団司令官代理表敬及びブリーフィング
・施設内視察
第6回 平成22年2月8日(月)10:30~12:00
・全駐留軍労働組合からの意見について
・全駐留軍労働組合からの意見に関し防衛省から現状説明
・平成22年度予算案の説明
・駐留軍等労働者の安全衛生についての現状説明
・討議、報告書案の作成に向けての議論
・次回日程について
第7回 平成22年3月23日(火)16:00~18:00
・事務局説明(原子力艦船配備に係る従業員へのパンフレット等)
・報告書案の説明
・討議、質疑応答
・今後の予定
駐留軍等労働者の労務管理の仕組み
団体交渉
合 同 委 員 会 関 係 省 庁
在 日 米 軍
(中央レベル)
労務提供契約の締結
防衛大臣
(地方協力局次長)
調査、分析、
団体交渉
労働組合x x
福利厚生施策の調整
改善案の作成等
独立行政法人 駐留軍等労働者 労務管理機構本部
人事・給与等手続
地方防衛局長 地方防衛事務所長
団体交渉
人事・給与等手続
現 地 米 軍
人事・給与等手続
労締働
労働組合地 方
指 就 結 契
揮 等 約
監 の
x 労
労働者
独立行政法人 駐留軍等労働者 労務管理機構支部
福利厚生の実施
組合加入(任意)
駐留軍等労働者数の推移
(千人)
50
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21
昭和
平成
IHA
MLC及びMC
※各年度とも3月末現在。
駐留軍等労働者の構成
(平.21.4.1.現在)
1 年齢別構成
%
20.0
16.8
15.9
15.0
15.0
13.2
13.4
12.5
12.2
12.6
11.7
11.1 11.1
10.3
10.0
9.2
8.5
8.3
6.8
5.6
5.0
2.6 2.5
0.7
0.0
24 歳 未 満 24~27 28~31 32~35 36~39 40~43 44~47 48~51 52~55 56 歳 以 上
駐留軍等労働者国家公務員
1 | 平均年齢 | 43.1 | 歳 | |
(国家公務員 | 41.6 | 歳) | ※ 国家公務員は20.4.1.現在 | |
2 | 男女別 | 男 | 74.0 | % |
女 | 26.0 | % | ||
国家公務員 | 男 | 84.1 | % | |
女 | 15.9 | % |
2 基本給表別
基本給表5
100人
0.4%
基本給表6
30人
0.1%
基本給表3
2,043人
8.3%
基本給表1
9,513人
38.7%
基本給表2
12,889人
52.4%
3 都 県 別
青森県
1,293人
5.3%
xx県
1,203人
4.9%
その他
505人
2.1%
長崎県
1,490人
6.1%
沖縄県
8,900人
36.2%
xxx
2,668人
10.9%
神奈川県
8,530人
34.7%
1 | 船員を除く。 | ※限定、季節、特殊期間及び時間制の各臨時従業員 | |
2 | 職種数 1,354(使用職種数 | 929) | を除く。 |
3 基本給表 1=国家公務員行政(一)に相当 |
2= | 〃 | 行政(二) | 〃 |
3= | 〃 | 公安(一) | 〃 |
5= | 〃 | 医療(二) | 〃 |
6= | 〃 | 医療(三) | 〃 |
駐留軍等労働者の構成(雇用の種類別等)
労務提供契約別割合
(平成21年3月末日現在)
MC14人
IHA 6,333人
25
MLC19,152人
75
(全体数25,499人)
基本労務契約(MLC)19,152人船員契約(MC)14人
諸機関労務契約(IHA)6,333人
(全体数25,499人)
6%
雇用の種類別内訳
(平成21年3月末現在)
臨時従業員 1,526人
常用従業員 23,973人
94%
※ 「常用従業員」とは、期間の定め
なく雇用される従業員を指す。
常用従業員の内訳(フルタイム・パートタイム別)
(平成21年3月末日現在)
2%
パートタイム 530人
フルタイム 23,443人
98%
(全体数23,973人)
フルタイム従業員パートタイム従業員
常用従業員臨時従業員
駐留軍等労働者の勤務条件
①人事管理
労働者は、職種、基本給表、等級が格付けされており、原則として職種が変わらない限り等級は変わらないこととなっている。(一職種一等級制)
② 定 年
一律60歳(高齢従業員として引き続き定年からの雇用制度あり)
③ 給 与
国家公務員の給与体系を基礎とする。
※平成20年4月1日から国家公務員にない手当(格差給等)を廃止し、経過措置を実施。
④勤務時間・休暇
(ァ) 勤務時間:週所定勤務時間40時間
(ィ) 祝日・休暇等:年間15日、年次休暇20日間 (ゥ) 年間休日日数:120日
⑤社会保険及び安全衛生
健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険等の社会保険制度が適用
⑥安全衛生
労働安全衛生法に基づく健康診断等のほか、成人病予防検診等を実施、安全管理は米軍が実施
⑦福利厚生
制服等の貸与、各種ほう賞の授与等
駐留軍等労働者の身分及び雇用について
○行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する
等の法律(昭和27年法律第174号)第8条第1項「アメリカ合衆国軍隊・・・のために労務に服する者で国が雇用するものは、国家公務員ではない。」
衆国軍隊・・・のために労務に服する者で国が雇用するものは、国家公務員ではない。」
国(=雇用主)
○防衛省設置法(昭和29年法律第164号)第4条第1項第25号(所掌事務)
「駐留軍等・・・・のために労務に服する者の雇入れ、提供、解雇、労務管理、給 与及び福利厚生に関すること。」
○ 行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律
(昭和27年法律第174号)第9条第2項
「駐留軍等労働者の給与その他の勤務条件は、・・・防衛大臣が定める。」
防衛省(防衛大臣)
○行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律(昭和27年法律第174号)第8条第1項「アメリカ合
労労務務提提供供契契約約のの締締結結
・ 駐 留 軍 等 労 働 者 の 資 格 要 件 団団
・ 労 務 x x x x x 体体
・ 給 x x x 他 の 勤 務 条 件 の x x 交交
・ 労 務 経 費 の 日 米 負 担 の 区 分 等 渉渉
契約担当官
契約担当官
現地部隊
諸機関
駐留軍等労働者
在日米軍
現地部隊・・諸機関
労労務務提提供供
労働組合
指指揮揮・・監監督督
労働組合
駐留軍等労働者の身分の変遷
概 要
昭和20年8月の終戦後、占領軍は、その維持運営に必要な労務等の調達については、日本政府を通じて行ういわゆる間接調達方式を採用。
駐留軍等労働者の身分については、昭和27年のサンフランシスコ平和条約の発効に合わせて施行された「国家公務員法等の一部を改正する等の法律(昭和27年法律第174号)」により、国家公務員ではないとされ、現在に至るまでの間、国の雇用者としての身分となっているが、それまでの占領軍労働者としての7年間の身分と権利については下表のとおり。
【駐留軍等労働者の身分と権利】
労働者の身分 | 期 間 | 労働三法の適用 | 労働協約 | 労働三権 | ||
団結権 | 団体交渉権 | 争議x | ||||
xの雇用者 | 昭和20年 9月~ 昭和23年 6月 | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
国家公務員(一般職) | 昭和23年 7月~ 昭和23年12月 | × | × | ○ | × | × |
国家公務員(特別職) | 昭和23年12月~ 昭和27年 4月 | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
国の雇用者 | 昭和27年 4月~ 現在 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
駐留軍等労働者の賃金・労働条件の改善について
賃金・
労働条件
主な駐留軍等
労働者の労働条件
○ 賃金・労働条件の改善は、在日米軍と協議し、労働組合との調整を行った上で実施
組合
団体交渉
防衛省
在日米軍
駐留軍等労働者に係る独
自の制度
改善要求
協議
改善提案
・ 賃金関係は国家公務員準拠を基礎としているが、賃金関係以外の労働条件は必ずしも国家公務員 準拠ではない。
合 意 後労働条件改善
国家公務員
関係法令に基づく労働条件
①賃金・賞与(但し期末・勤勉の
区別無、人事評価無) ・退職金
②慶弔関係休暇
③xx休暇
④傷病休暇(業務上・通勤災害)
①産前産後休暇
②定年、再雇用制度
労働関係法
令に基づく労働条件
①育児休業、休暇制度
②介護休業、休暇制度
米軍の運用
により影響を受ける労働条件
①勤務時間(週40時間、1日8 時間、公務員38時間45分、1 日7時間45分)
②祝日(年15日、公務員21日)
③職位採用(1職種1等級制)
④昇格(原則なし(空席ポストに応募し、認められた場合のみ))
⑤管理休暇(米軍承認)
その他の労
働条件
①雇用保険適用(失業手当受給有)
②xx勤続表彰
駐留軍等労働 ①駐留軍関係離職者等臨時措置者独 自 の 労 働 法 適 用
条 件 ② ほ う 賞
駐留軍等労働者の労働条件の近年における改正事項(賃金改定は除く)
項 目 | 関係法令 | 労務提供契約 改正年月日 |
健康保険組合会議参加のための管理休暇に係る改正 | 無 | 平成16年3月9日 |
妊娠中の業務転換 | 労働基準法 | 平成16年8月27日 |
妊産婦の時間外勤務の制限及び休日勤務の禁止 | 労働基準法 | 〃 |
妊産婦の深夜業の禁止 | 労働基準法 | 〃 |
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者への時間外勤務の制限 | 育児・介護法 | 〃 |
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者への深夜業の禁止 | 育児・介護法 | 〃 |
介護する労働者への時間外勤務の制限 | 育児・介護法 | 〃 |
介護する労働者への深夜業の禁止 | 育児・介護法 | 〃 |
妊産婦の保健指導又は健康診断のための時 間を確保 | 雇用均等法 | 〃 |
妊産婦の通勤緩和(時差通勤、勤務時間の短縮等) | 雇用均等法 | 〃 |
妊産婦の休憩時間の延長等 | 雇用均等法 | 〃 |
妊産婦の作業の制限、勤務時間の短縮等 | 雇用均等法 | 〃 |
健康診断に係る改正(石綿障害健康診断の新設) | 労働安全衛生法 | 平成17年6月16日 |
週所定勤務時間の40時間への削減 | 労働基準法 | 平成18年1月24日 |
安全及び衛生等に係る改正(医師による面接指導の新設) | 労働安全衛生法 | 平成18年3月23日 |
高齢者従業員の再雇用に係る改正 | 高齢法 | 平成18年9月15日 |
石綿健康被害救済給付に充てるための一般拠出金(石綿救済法による新設) | 石綿救済法 | 平成19年3月20日 |
項 目 | 関係法令 | 労務提供契約 改正年月日 |
妊産婦の有害業務の禁止 | 労働基準法 | 平成19年6月13日 |
育児休業及び介護休業に係る改正 | 育児・介護法 | 平成19年6月22日 |
子の看護休暇制度の新設 | 育児・介護法 | 平成19年8月30日 |
雇用前健康診断に係る検査項目の改正(胸部エックス線直接撮影) | 労働安全衛生法 | 平成20年3月28日 |
年次有給休暇繰越制度 | 労働基準法 | 平成20年3月28日 |
パートタイムへの住宅手当の支給 | パート労働法 | 平成20年6月12日 |
昇格等における号俸決定方法の改善 | 国家公務員関係法 | 平成20年12月24日 |
休業特別援護金の拡充 | 無 | 平成21年3月24日 |
裁判員制度で選任された場合の管理休暇の付与(規定改正無・運用で処理) | 国家公務員関係法 | 平成21年3月27日 |
通勤災害に係る休業期間等の取扱い(業務上災害と同様の取扱い) | 国家公務員関係法 | 平成21年7月30日 |
限定期間雇用従業員の雇用期間の延長 | 無 | 平成21年10月7日 |
限定期間従業員等に対する年次休暇の付与 | 労働基準法 | 平成21年10月7日 |
法定福利
防衛省
駐留軍要員健康保健組合
・各種社会保険料の事業主負担
・雇用前健康診断、定期健康診断、特別健康診断、予防接種
・救急薬品の設置
・産業医の選任
・付加給付(傷病手当金)
・保健指導、特定保健指導、健康教室、体育奨励事業
・診療所設置、人間ドック、インフルエンザ予防接種助成
・福利厚生代行(宿泊施設利用、スポーツクラブ 利用等)
独立行政法人 駐留軍等労働者労務管理機構
・成人病予防検診
・メンタルヘルス等の相談業務
・制服
・ほう賞
・休業特別援護金(労災xx給付)
駐留軍要員健康保健組合
・法定給付
・保育所の開設
・保養施設の利用
・預金・貸付制度
・各種団体保険取り扱い
・賞じゅつ金(消防・警備)の新設
全駐留軍労働組合からの要望事項
労働安全衛生法等に基づく施策の充実
各機関実施の福利厚生施策
福利厚生施策の充実
整理
福利厚生の実施状況について
法定外福利
防衛省
・世帯用住宅、独身寮設置
・保健師による保健指導
・災害見舞金の支給
財団法人
駐留軍労働福祉財団
・慶弔事業
・体育奨励事業(駐留軍要員健康保健組合と共 催)
・企業年金(拠出型企業年金保険)
米軍再編に伴う駐留軍等労働者の雇用対策について
1. 基本的な対応方針
米軍再編の実施により、雇用への影響を受ける従業員については、移設先又は返還対象外施設への配置転換/転任等により、できる限り雇用の継続を確保する。
【参考】
① 駐留軍従業員の雇用の安定確保等について、引き続き、全力で取り組むものとする。( 「在日米軍の兵力構成見直 し等に関する政府の取組について」平成1
8年5月30日閣議決定)
② 駐留軍等労働者について、その雇用の継続に資するよう、労務管理機構を通じた技能教育訓練その他の適切な措置を講ずるものとする。 (「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法」平成19年5月30日法律第67号)
2. 具体的な対策等
再編に伴い雇用への影響を受ける労働者の他の施設への配置転換等により、雇用の継続を図ることを基本
施設別の空席状況の把握
再編完了年までの各年における定年退職者の所属部隊、職種等を把握
影響を受ける駐留軍等労働者の把握
移設・返還等により雇用への影響を受ける可能性のある労働者を把握
(マスタープランが作成され次第速やかに実施)
駐留軍等労働者の意向調査
配置転換等を適切かつ円滑に進めるため、各労働者の意向を調査
(影響を受ける労働者を把握し次第速やかに実施)
技能教育訓練
同一職種での異動が困難な労働者に対し、他の職種への異動を容易とするため、必要となる技能を修得可能な訓練を実施 (意向調査を取りまとめた上速やかに実施)
離職者対策
やむを得ず離職を余儀なくされた労働者に対して、駐留軍関係離職者等 臨時措置法に基づき、特別給付金の支給など各種援護措置を実施
関係法令等(国家公務員等一部改正法及び地位協定)
○日本国との平和条約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律(抄)
(昭和二十七年六月十日法律第百七十四号)
(駐留軍等労働者の身分)
第八条 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき駐留するアメリカ合衆国軍隊、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第十五条第一項(a)に規定する諸機関、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に基づき本邦内にある国際連合の軍隊又は日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第七条の規定に基づくアメリカ合衆国政府の責務を本邦において遂行する同国政府の職員のために労務に服する者で国が雇用するもの(以下「駐留軍等労働者」という。)は、国家公務員でない。
2 駐留軍等労働者は、国家公務員法第二条第六項 に規定する勤務者と解してはならない。
(駐留軍等労働者の勤務条件)
第九条 駐留軍等労働者の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものでなければならない。
2 駐留軍等労働者の給与その他の勤務条件は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従事員における給与その他の勤務条件を考慮して、防衛大臣が定める。
○日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(地位協定)(抜粋)
(昭和三十五年六月二十三日条約第七号)
第12条
4 現地の労務に対する合衆国軍隊及び第十五条に定める諸機関の需要は、日本国の当局の援助を得て充足される。
5 所得税、地方住民税及び社会保障のための納付金を源泉徴収して納付するための義務並びに、相互間で別段の合意をする場合を除くほか、賃金及び諸手当に関する条件その他の雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、日本国の法令で定めるところによらなければならない。
法令適用問題に係る労働関係法令参照条文
①時間外労働等に関する労使協定の締結
労働基準法(昭和22年法律第49号)
第32条の2 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、1箇月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が前条第1項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。
2 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。
(時間外及び休日の労働)
第36条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、1日について2時間を超えてはならない。
2 厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度その他の必要な事項について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる。
3 第1項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の基準に適合したものとなるようにしなければならない。
4 行政官庁は、第2項の基準に関し、第1項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
②就業規則の届出
労働基準法(昭和22年法律第49号)
(作成及び届出の義務)
第89条 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
1 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
2 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
3 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
3の2 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
4 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
5 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
6 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
7 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
8 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
9 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
10 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
③安全衛生員会の設置
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)
(安全委員会)
第17条 事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、安全委員会を設けなければならない。
(衛生委員会)
第18条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。
(安全衛生委員会)
第19条 事業者は、第17条及び前条の規定により安全委員会及び衛生委員会を設けなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができる。