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第30 売買
1 手付(変更)民法第 557 条
1 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
2 第545条第4項の規定は、前項の場合には、適用しない。
(改正前民法557条)
1 買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
2 第545条第3項の規定は、前項の場合には、適用しない。
今回の改正は、判例を踏まえたものである。
まず、履行に着手したのが手付解除をする本人である場合には手付解除が許されることを明らかにした。
次に、売主の手付倍返しにおいて、現実の償還までは必要ないが、現実の提供を要するとした。これにより、口頭の提供では足りないこととなる。
2 売主の義務(変更)民法第560条
売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転を第三者に対抗するために必要な行為をする義務を負う。
民法第561条
他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
(改正前民法555条)
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
(改正前民法560条)
他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
ここでは、対抗要件具備義務と、他人の権利を売買の目的とした場合の権利移転義務とを規定した。売主自身の権利の移転義務や、目的物引渡義務は、後の売主の担保責任が規定されており、かかる義務の存在を前提としているため、ここでは規定されなかったものである。
民法第560条は、財産権の移転等において対抗要件を具備すべき財産権(不動産、自動車、船舶、知的財産xx)については、対抗要件を買主に具備させることまでが 売主の義務であることは明らかであるから、これを明示したものである。
民法第561条は、実質的に改正前民法560条を維持するものである。権利の一部が他人に属する場合における当該権利の一部を含むことを明示する変更がなされたのみである。
3 売主の追完義務(新設)民法第562条
(1) 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
(2)前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。
(改正前民法565条)
前二条の規定は、数量を指示して売買をした物に不足がある場合又は物の一部が契約の時に既に滅失していた場合において、買主がその不足又は滅失を知らなかったときについて準用する。
(改正前民法570条)
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
まず、今回の改正では、売主の担保責任につき、法定責任ではなく、契約責任(債務不履行責任)とすることとされた。そのため、売買契約の目的物が特定物不特定物いずれについても、売主には追完義務があることになる。
また、売主に追完義務があることを明記した前提として、売主には、種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合する目的物を買主に引き渡す義務(目的物引渡義務)があることから、本条はかかる義務の存在根拠となる。
そして、「瑕疵」の用語に代えて、「種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」と規定されることとなった。
なお、改正前570条は瑕疵が「隠れた」ものであることを要件としていたが、この要件は削除されており、買主の主観を問わないこととなった。
さらに、不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、売主は追完義務を負わないこととした。
加えて、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができることとした。
4 買主の代金減額請求権(変更)民法第 565 条
(1) 前条第1項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
(2) 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
1 履行の追完が不能であるとき。
2 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
3 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行をしないでその時期を経過したとき。
4 前三号に掲げる場合のほか、買主が同項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
(3) 第1項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。
(改正前民法563条)
1 売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。
2 前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。
3 代金減額の請求又は契約の解除は、善意の買主が損害賠償の請求をすることを妨げない。
(改正前民法565条)
前二条の規定は、数量を指示して売買をした物に不足がある場合又は物の一部が契約の時に既に滅失していた場合において、買主がその不足又は滅失を知らなかったときについて準用する。
解説
代金減額請求が、その法的意義及び機能において、契約の一部解除としての性格を持つことから、その要件において契約の解除と近似する。
まず、契約の解除が目的物の引渡しにつき履行不能の場合になしうることから、代 金減額請求権は、履行の追完が不能である場合でも行使できる。また、契約の解除が、債務者の帰責事由を必要としないことから、代金減額請求は、目的物が種類、品質又 は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき、債務者である売主に帰責性がな い場合でも行使できる。
次に、具体的要件としては、催告解除及び無催告解除と同一の要件となっている。ただし、無催告解除の要件である「債務の一部の履行が不能である場合又は債務者
がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。」は、代金減額請求の要件から除外されている。
5 損害賠償の請求及び契約の解除(新設)民法第564条
前二条の規定は、第415条の規定による損害賠償の請求並びに第541条及び第542条の規定による解除権の行使を妨げない。
(改正前民法570条)
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
(改正前民法566条第1項)
1 売買の目的物が地上権、永xxx、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものである場合には、買主は売主に対して
(1)追完請求
(2)代金減額請求
(3)債務不履行に基づく損害賠償
(4)契約の解除
をそれぞれなしうることとなる。
また、契約の解除においては、無催告解除の事由の一つである、「債務者がその債務の履行をせず、債権者がその履行の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき」に当たるものとしてこれをなしうることとなる。
6 権利移転義務の不履行に関する売主の責任等(変更)民法第565条
前三条の規定は、売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである場合(権利の一部が他人に属する場合においてその権利の一部を移転しないときを含む。)について準用する。
(改正前民法561条)
前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に 属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。
(改正前民法562条)
1 売主が契約の時においてその売却した権利が自己に属しないことを知らなかった場合において、その権利を取得して買主に移転することができないときは、売主は、損害を賠償して、契約の解 除をすることができる。
2 前項の場合において、買主が契約の時においてその買い受けた権利が売主に属しないことを知っていたときは、売主は、買主に対し、単にその売却した権利を移転することができない旨を通知して、契約の解除をすることができる。
(改正前民法563条)
1 売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することが できないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。
2 前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。
3 代金減額の請求又は契約の解除は、善意の買主が損害賠償の請求をすることを妨げない。
(改正前民法564条)
前条の規定による権利は、買主が善意であったときは事実を知った時から、悪意であったときは契約の時から、それぞれ1年以内に行使しなければならない。
(改正前民法566条1項、2項)
1 売買の目的物が地上権、永xxx、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
(改正前民法567条)
1 売買の目的である不動産について存した先取特権又は抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは、買主は、契約の解除をすることができる。
2 買主は、費用を支出してその所有権を保存したときは、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。
3 前2項の場合において、買主は、損害を受けたときは、その賠償を請求することができる。
まず、本条は目的物が引き渡されたもののそれが契約の内容に適合していなかったという不完全履行の場合についての規律である。目的物の引渡しさえなされてないような単純な債務不履行の場合には、債務不履行の一般原則によることになる。
(1)追完請求について
例えば、契約の目的に適合しない抵当権の負担付きの不動産売買において、買主が売主に対して、その抵当権を消滅させるための行為(例えば債務の弁済等)を請求することができる。
(2)代金減額請求
例えば、前述の例でいえば、買主は売主に対して、抵当権で担保される被担保債権の額の範囲で、代金減額請求をなすことが考えられる。
(3)損害賠償請求及び解除について
売主の担保責任の法的性質について、契約責任説を採用する物である以上、当然のこととなる。
(4)以上の規律の代わりに、廃止される改正前民法の規定
改正前民法562条、改正前民法567条1項及び3項が廃止される。
7 買主の権利の期間制限(変更)民法第566条
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した 場合において、買主がその不適合の事実を知った時から 1 年以内に当該事実を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金 の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、 売主が引渡しの時に目的物が契約の内容に適合しないものであることを知ってい たとき又は知らなかったことにつき重大な過失があったときは、この限りでない。
民法第 564 条(同法第 565 条において準用する場合を含む。)及び第 566 条第 3 項を
削除する。
(改正前民法564条)
前条の規定による権利は、買主が善意であったときは事実を知った時から、悪意であったときは契約の時から、それぞれ1年以内に行使しなければならない。
(改正前民法566条第3項)
3 前2項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。
まず、売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合であることを要する。
また、数量不足や物の一部の滅失の場合には、本条の適用はない。
次に、通知の内容は、売主に対する契約目的との不適合のみで足りる。
8 競売における買受人の権利の特則(変更)民法第 568 条
(1)民事xxxその他の法律の規定に基づく競売( 以下この条において単に「競売」という。)における買受人は、第541条及び第542条の規定並びに第5
63条(第565条において準用する場合を含む)の規定により、債務者に対し、契約の解除をし、又は代金の減額を請求することができる。
(2)前項の場合において、債務者が無資力であるときは、買受人は、代金の配当を
受けた債権者に対し、その代金の全部又は一部の返還を請求することができる。
(3) 前2項の場合において、債務者が物若しくは権利の不存在を知りながら申し出なかったとき、又は債権者がこれを知りながら競売を請求したときは、買受人は、これらの者に対し、損害賠償の請求をすることができる。
(4)前三項の規定は、競売の目的物の種類又は品質に関する不適合については、適用しない。
3 前2項の場合において、債務者が物若しくは権利の不存在を知りながら申し出なかったとき、又は債権者がこれを知りながら競売を請求したときは、買受人は、これらの者に対し、損害賠償の請求をすることができる。
(改正前民法568条)
1 強制競売における買受人は、第561条から前条までの規定により、債務者に対し、契約の解除をし、又は代金の減額を請求することができる。
2 前項の場合において、債務者が無資力であるときは、買受人は、代金の配当を受けた債権者に対し、その代金の全部又は一部の返還を請求することができる。
3 前2項の場合において、債務者が物若しくは権利の不存在を知りながら申し出なかったとき、又は債権者がこれを知りながら競売を請求したときは、買受人は、これらの者に対し、損害賠償の請求をすることができる。
(改正前民法570条)
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
まず、主体は、民事xxxその他の法律の規定に基づく競売における買受人であることであって、強制競売による買受人に限られない。抵当権実行や形式的競売の場合の買受人も含まれる。
次に、前述のとおり、目的物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものである場合には、買受人は解除も代金減額請求もなしえない。
そして、買受人が行使できる権利は、契約の解除(債務不履行解除)と代金減額請求のみである。追完請求はできない。
9 売主の担保責任と同時履行(変更)
民法第 571 条を削除する。 (注)民法第 533 条
双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
(改正前民法571条)
第533条の規定は、第563条から第566条まで及び前条の場合について準用する。
(改正前民法533条)
双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
改正前民法571条は、売買における担保責任としての代金減額請求及び損害賠償請求に際し、同時履行の抗弁権の規定を準用していた。
担保責任の法的性質につき、法定責任説を採用するのであれば、この準用規定は独自の意義があったが、今回の改正により契約責任説を採用することとなった以上、準用ではなく直接、同時履行の抗弁権の規定が適用されるべきである。
10 権利を失うおそれがある場合の買主による代金支払の拒絶(変更)民法第 576 条
売買の目的について権利を主張する者があることその他の事由により、買主がその買い受けた権利の全部若しくは一部を取得することができず、又はこれを失うおそれがあるときは、買主は、その危険の限度に応じて、代金の全部又は一部の支払を拒むことができる。ただし、売主が相当の担保を供したときは、この限りでない。
(改正前民法576条)
売買の目的について権利を主張する者があるために買主がその買い受けた権利の全部又は一部を失うおそれがあるときは、買主は、その危険の限度に応じて、代金の全部又は一部の支払を拒むことができる。ただし、売主が相当の担保を供したときは、この限りでない。
従来の要件の他に、「買主がその買い受けた権利の全部若しくは一部を取得することができないおそれがあるとき」でも、代金支払拒絶を買主に認めるものである。
また、「売買の目的について権利を主張する者があることその他の事由により」におけるその他の事由とは、権利の喪失あるいは権利の取得不能を疑うに足りる客観的かつ合理的な理由がある場合を意味するものである。
11 目的物の滅失又は損傷に関する危険の移転(新設)民法第567条
(1) 売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る。以下この条において同じ。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない。
(2) 売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失し、又は損傷したときも、前項と同様とする。
解説
第1項は、売主が買主に目的物を引き渡した場合に、危険が移転することを定める。まず目的物は、売買の目的として特定されたものであることを要する。
次に、注意すべきは、この目的物の引渡しにおいて、第2項と異なり、売主が契約の内容に適合する目的物の引渡しを提供した場合に限られないことである。
第2項は、第1項と異なり、売主が契約の内容に適合する目的物の引渡しを提供したにもかかわらず買主が受領しない場合であり、受領遅滞の場合である。
12 買戻し(変更)民法第 579 条
不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金(別段の合意をした場合にあっては、その合意により定めた額。第583条第
1項において同じ)及び契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。この場合において、当事者が別段の意思表示をしなかったときは、不動産の果 実と代金の利息とは相殺したものとみなす。
民法第 581 条
(1) 売買契約と同時に買戻しの特約を登記したときは、買戻しは、第三者に対抗することができる。
(2) 前項の登記がされた後に第605条の2第1項に規定する対抗要件を備えた 賃借人の権利は、その残存期間中 1 年を超えない期間に限り、売主に対抗するこ とができる。ただし、売主を害する目的で賃貸借をしたときは、この限りでない。
(改正前民法579条)
不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金及び契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。この場合において、当事者が別段の意思を表示しなかったときは、不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなす。
(改正前民法581条)
1 売買契約と同時に買戻しの特約を登記したときは、買戻しは、第三者に対しても、その効力を生ずる。
2 登記をした賃借人の権利は、その残存期間中1年を超えない期間に限り、売主に対抗することができる。ただし、売主を害する目的で賃貸借をしたときは、この限りでない。
まず、不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、売買の解除をすることができるが、その場合の返還すべき範囲を、当事者の合意があるときはその合意に従い、合意がない場合には 買主が支払った代金及び契約の費用とするものである。
デフォルトとしては、売主は、買主が支払った代金及び契約の費用を返還して売買契約を解除できることを明確にするため、返還すべき範囲の明記は存続させた。