第4 款 パック旅行契約、旅行仲介及びリンクされた旅行給付の仲介ドイツ民法第651a 条~第651y 条
資 料 2
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第4 款 パック旅行契約、旅行仲介及びリンクされた旅行給付の仲介ドイツ民法第651a 条~第651y 条
x x x
目次
第 651a 条 パック旅行契約の場合の契約に典型的な義務第 651b 条 仲介への限界
第 651c 条 リンクされたオンライン予約手続き第 651d 条 情報提供義務、契約内容
第 651e 条 契約の譲渡
第 651f 条 変更留保、代金引き下げ第 651g 条 著しい契約変更
第 651h 条 旅行開始前の解除
第 651i 条 旅行の瑕疵の場合の旅行者の諸権利第 651j 条 消滅時効
第 651k 条 瑕疵除去 Abhilfe
第 651l 条 解約第 651m 条 減額
第 651n 条 損害賠償
第 651o 条 旅行者による瑕疵通知 第 651p 条 許される責任制限;算入第 651q 条 旅行主催者の援助義務 第 651r 条 倒産担保;担保証書
第 651s 条 欧州経済地域に居住する旅行主催者の倒産担保第 651t 条 前払い
第 651u 条 外国学校滞在第 651v 条 旅行仲介
第 651w 条 リンクされた旅行給付の仲介第 651x 条 予約ミスについての責任
第 651y 条 逸脱した合意
第 651a 条 パック旅行契約の場合の契約に典型的な義務
(1)パック旅行契約により、事業者(旅行主催者)は、旅行者にパック旅行
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を調達する verschaffen 義務を負う。旅行者は、旅行主催者に合意された旅行代金を支払う義務を負う。
(2)パック旅行は、同一の旅行のための少なくとも 2 つの異なる旅行給付の全体 Gesamtheit である。以下の場合にも、パック旅行は存在する
1.契約に含まれた旅行給付が、旅行者の希望により若しくは旅行者の選択に応じて組み合わされたとき、又は
2.旅行主催者が、契約締結後に旅行主催者の提供商品から旅行給付の選択をする権利を契約で旅行者に与えるとき。
(3)本法の意味における旅行給付とは、以下のものをいう
1.旅客運送、
2.居住目的に資するときを除く、宿泊、
3.以下のものの賃貸
a) 2017 年3月 23 日の命令(BGBl. Ⅰ S.522)の第7条の規定により前回改正された、2011 年2月3日の EG 自動車認可命令(BGBl.
Ⅰ S.126)の第3条第1項の規定による4輪自動車、及び
b) 2017 年5月 18 日の命令(BGBl.S.1282)の第4条の規定により前回改正された、2010 年 12 月 13 日の運転許可命令(BGBl. Ⅰ S.1980)の第6条第1項の規定による運転許可クラスAのオートバイ、
4.第1号乃至第3号の規定の意味における旅行給付ではないあらゆる観光旅行的給付 touristische Leistungen。
他の旅行給付の本質的に構成要素である旅行給付は、第1文の規定による旅行給付と見なされない。
(4)第3項第1文第1号乃至第3号の規定の意味における旅行給付の1つだけが、第3項第1文第4号の規定の意味における観光旅行的給付の 1 つ又は多数と組み合わされ、かつ、観光旅行的給付が以下の場合には、パック旅行は存しない
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1.組み合わせの全体価格において重要な部分を形成しておらず、かつ、組み合わせの本質的な特徴を意味せず、それ自体として申し込まれていないとき、又は
2.第 3 項第 1 文第 1 号乃至第 3 号の規定の意味における旅行給付の提供の開始後に選択され、かつ、合意されているとき。
観光旅行的給付が全体価格の 25%未満であるときは、観光旅行的給付は、第1文第1号の規定の意味において組み合わせの全体価格において重要な部分を形成していない。
(5)以下の旅行に関する契約には、パック旅行契約に関する規定は適用されない
1.時折にのみ、利益獲得のためではなく、かつ、限られた人々
Personenkreis にのみ提供される旅行、
2.24 時間未満の、宿泊を含まない(日帰り旅行 Tagesreisen)、かつ、その旅行代金が 500 ユーロを超えない旅行、又は
3.事業者である旅行者との出張旅行の企画準備 Organisation に関しての基本契約 Rahmenvertrag に基づいて、その事業上の目的のために締結される旅行。
第 651x x xxへの限界
(1)第 651v 条及び第 651w 条の規定は別として、旅行給付の仲介には一般規定が適用される。ただし、旅行者に少なくとも2つの異なる種類の旅行給付が同一の旅行のために提供されるべき場合に、かつ、以下の場合には、事業者は、全ての又は個々の旅行給付を実行すべき人(給付提供者)との契約を仲介しているにすぎないことに依拠することはできない
1.旅行者が、支払い義務を負う前に、事業者の唯一の販売所で同一の予約過程 Buchungsvorgang の枠内で旅行給付を選択するとき、
2.事業者が、包括代金で、旅行給付を提供し、若しくは、調達する約束をし、若しくは、勘定に入れるとき、又は
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3.事業者が、「パック旅行」という名称若しくは類似の名称のもとに旅行給付を申し込み、又は、この方法で旅行給付を調達する約束をするとき。
これらの場合においては、事業者は旅行主催者である。旅行者がその旅行希望について質問され、かつ、旅行提供商品について単に助言されるときは、第2文第1号の規定の意味における予約過程は、まだ開始していない。
(2)本法の意味における販売所とは、以下のものをいう
1.固定の及び可動の営業空間、
2.電子取引のためのウェブサイト及び類似のオンライン販売プラットフォーム、
3.電話サービス。
第1文第2号の規定による多くのウェブサイト及び類似のオンライン販売プラットフォームの場合に、統一的な画面 Auftritt の外観 Anscheinが作られているときは、販売所にかかわる問題である。
第 651c 条 リンクされたオンライン予約手続き
(1)以下の場合には、オンライン予約手続きによって旅行者と旅行給付に関する契約を締結した事業者、又は、同一の方法でこのような契約を旅行者に仲介した事業者は、旅行主催者と見なされる
1.彼が他の事業者のオンライン予約手続きへのアクセスを可能にすることによって、彼が同一の旅行のために少なくとも他の種類の旅行給付に関する 1 つの契約を旅行者に仲介し、
2.彼が旅行者の氏名、支払データ及び E メールアドレスを他の事業者に伝送し、かつ
3.最初の旅行給付に関する契約の締結の確認後遅くとも 24 時間内に他の契約が締結されるとき。
(2)第1項の規定により、他の種類の旅行給付に関する1つの契約が、又は、
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少なくとも他の種類の旅行給付に関する複数の契約が、成立するときは、第 651a 条第4項の規定は留保して、旅行者によって締結された諸契約は、合わせて、第 651a 条第1項の規定の意味における1つのパック旅行契約と見なされる。
(3)第 651a 条第5項第2号の規定は、旅行代金の額とは関係なく、適用される。
第 651d 条 情報提供義務、契約内容
(1)旅行者がその契約の意思表示をなす前に、旅行主催者は、民法施行法第 250 款第1条乃至第3条の規定により、情報提供する義務を負う。これ(この情報提供義務の履行)により同時に、旅行主催者は、第 651v 条第1項第1文の規定から生じる旅行仲介人の義務を(も)履行する。
(2)旅行者の契約の意思表示の伝達前に、旅行者が、民法施行法第 250 款第
3条第3号の規定により、追加的な料金、対価及びその他の費用について情報提供されたときにのみ、これらの追加料金等は旅行者に負担される。
(3)民法施行法第 250 款第3条第1号、第3号乃至第5号及び第7号の規定によりなされた記載事項 Angaben は、契約当事者が明示に別異の合意をした場合を除き、契約の内容となる。旅行主催者は、契約締結に際して又は契約締結後に遅滞なく旅行者に民法施行法第 250 款第6条の規定により契約の写し又は確認書を提供しなければならない。旅行主催者は、民法施行法第 250 款第7条の規定により、旅行開始前に適時に旅行者に旅行必要書類 Reiseunterlagen を引き渡さなければならない。
(4)旅行主催者は、彼の情報提供義務の履行についての証明責任を旅行者に対して負う。
(5)第 651c 条の規定によるパック旅行契約の場合には、旅行主催者と見なされる事業者並びに第 651c 条第1項第2号によりデータが伝送されるあらゆる他の事業者に、民法施行法第 250 款第4条及び第8条の特別規定が
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適用される。その他の点では、前記の各項の規定は影響を受けない。
第 651e 条 契約の譲渡
(1)旅行者は、旅行開始前の相当な期間内に、持続的記録媒体により、彼に代わって第三者がパック旅行契約から生ずる権利及び義務を承継することを請求できる。請求の意思表示が旅行開始の7日前までに旅行主催者に到達するときは、請求の意思表示はは、常に適時である。
(2)第三者が契約上の旅行要件を満たしていないときは、旅行主催者は、第三者の承継に異議を提出できる。
(3)第三者が契約を承継するときは、第三者及び旅行者は、旅行代金及び第三者の承継によって生じた増加費用につき、旅行主催者に対して連帯債務者として責任を負う。増加費用の弁済が、相当でありかつ旅行主催者に事実上生じたものであるときにのみ、旅行主催者は、増加費用の弁済を請求することが許される。
(4)旅行主催者は、第三者の承継によりどの程度増加費用が発生したかについての証拠を旅行者に提供しなければならない。
第 651f 条 変更留保、代金引き下げ
(1)以下の場合にのみ、旅行主催者は、旅行代金を一方的に引き上げることができる
1.契約が、代金引き上げの可能性を定めており、かつその上に、第4項第1文の規定による旅行代金の引き下げについての旅行主催者の義務の指摘及び旅行代金の変更の算定方法を含んでいるとき、かつ
2.契約締結後に生じた以下のものから、旅行代金の引き上げが直接生ずるとき、
a) 燃料又はその他のエネルギー源の費用の高騰による旅客運送代金の引き上げ、
b) 観光客税 Touristenabgabe、海港及び空港の使用料のような、合意された旅行給付のための租税及びその他の公課 Abgaben の引
き上げ、又は
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c) 当該パック旅行に適用される為替相場の変動。
旅行主催者は、旅行者に持続的記録媒体により明確に分かりやすく代金の引き上げ及びその理由を情報提供し、かつ、この場合に代金引き上げの算定を通知しなければならない。代金引き上げがこの要求に合致し、かつ、旅行者への情報提供が旅行開始 20 日前までに行われるときにのみ、代金引き上げは有効である。
(2)旅行代金以外の契約条件が契約に定められており、かつ変更が著しくないときにのみ、旅行主催者は、旅行代金以外の契約条件を一方的に変更しうる。旅行主催者は、旅行者に持続的記録媒体により明確に分かりやすく、かつ、強調された仕方で変更について情報提供すべきである。変更が、この要求に合致し、かつ、旅行開始前に意思表示されるときにのみ、変更は有効である。
(3)第 308 条第4号及び第 309 条第1号の規定は、予め定式化された契約条
件(約款)によって合意された第 1 項及び第 2 項の規定による変更留保には、適用されない。
(4)契約が旅行代金の引き上げの可能性を定めている場合に、旅行開始前に第1項第1文第2号の規定に挙げられた代金、公課又は為替相場が、契約締結後から旅行開始前 までに変更され、かつ、これが旅行主催者にとってより低い費用になるときには、旅行者は、旅行代金の引き下げを請求できる。旅行者がこれによって債務として負担した額より多く支払ったときは、超過額は旅行主催者から払い戻されるべきである。旅行主催者は、払い戻されるべき超過額から彼に事実上生じた行政費用を控除することを許される。旅行主催者は、旅行者の請求により、どの程度行政費用が生じたのかを旅行者に証明しなければならない。
第 651g 条 著しい契約変更
(1)第 651f 条第1項の規定により契約において留保された代金引き上げが、
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旅行代金の8%を超えるときは、旅行主催者は、代金引き上げを一方的になすことができない。しかし、旅行主催者は、旅行者に相当な代金引き上げを申し込んで、旅行主催者の設定した相当な期間内に旅行者に以下のことを請求することができる
1.代金引き上げに関する申込みを承認すること、又は
2.契約を解除すること。
契約締結後に生じた事由により、旅行給付の本質的な性質(民法施行法第 250 款第3条第1号)の1つの著しい変更のもとでのみ、又は、契約の内容となった旅行者の特典 besondere Vorgabe からの逸脱のもとでのみ、旅行主催者がパック旅行を調達できるときには、第2文の規定が、代金引き上げ以外の契約の変更に準用される。代金引き上げの申込みは、旅行開始の 19 日前以降に、その他の契約変更の申込みは、旅行開始後に、提出されることはできない。
(2)旅行主催者は、旅行者に代金引き上げ又はその他の契約の変更の申込みにおいて、選択的に他のパック旅行(代替旅行 Ersatzreise)への参加をも提案できる。旅行主催者は、旅行者に民法施行法第 250 款第 10 条の規定により情報提供しなければならない。旅行主催者の設定した期間の経過後には、代金引き上げ又はその他の契約の変更の申込みは、承認されたものと見なされる。
(3)旅行者が契約を解除したときは、第 651h 条第1項第2文及び第5項の規定が準用される;第 651i 条第3項第 7 号の規定による旅行者の請求権は影響を受けない。旅行者が契約の変更又は代替旅行への参加に関する申込みを承認し、かつ、パック旅行が本来義務として負担したパック旅行と比べて少なくとも同等の価値の性質のものではないときは、第 651m条の規定が準用される;パック旅行が同等の価値の性質のものであるが、旅行主催者にとってより少額の費用ですむときは、差額に関して第 651m条第2項の規定が準用される。
第 651h 条 旅行開始前の解除
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(1)旅行者は、旅行開始前にはいつでも契約を解除できる。旅行者が契約を解除したときは、旅行主催者は合意された旅行代金の請求権を失う。しかし、旅行主催者は相当な補償を請求できる。
(2)約款によっても、契約で以下の事柄に従って算定される相当な包括補償額が定められうる
1.解除の意思表示と旅行開始との間の期間、
2.旅行主催者の期待される費用の節約、及び
3.旅行給付を他に使用することにより期待される収益。
契約で包括補償額が定められていないときは、補償額は、旅行代金から旅行主催者によって節約された費用並びに旅行主催者が旅行給付を他に使用することによって得た収益を控除したものによって決定される。旅行主催者は、旅行者の請求により、補償額の根拠を示す義務を負う。
(3)目的地で又はそのすぐ近くでパック旅行の実施又は目的地への旅客の運送を著しく侵害する回避不能な異常事態が発生したときには、第1項第
3文の規定とは異なり、旅行主催者は補償を請求できない。事態が、この事態を証拠として提出する当事者のコントロールに服さず、かつ、期待可能なあらゆる予防措置が取られたとしてもその結果が避けられなかったであろうときには、事態は、xxの意味において回避不能かつ異常である。
(4)以下の場合には、旅行主催者は、旅行開始前に契約を解除できる
1.パック旅行につき、契約中に表示された最少参加者数より少ない人数しか申し込まなかったとき;この場合には、旅行主催者は、契約に定められた期限内に、しかし遅くとも以下の区分に従った期限内に、解除の意思表示をしなければならない
a) 6日間を超える旅行期間の場合には、旅行開始の 20 日前までに、
b) 2日間乃至6日間の旅行期間の場合には、旅行開始の7日前ま
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でに、
c) 2日未満の旅行期間の場合には、旅行開始の 48 時間前までに、
2.旅行主催者が、回避不能な異常事態により契約の履行を妨げられたとき;この場合には、旅行主催者は、解除理由を知らせて、遅滞なく解除の意思表示をしなければならない。
旅行主催者が解除するときは、旅行主催者は合意された旅行代金の請求権を失う。
(5)旅行主催者が、解除により旅行代金の返済義務を負うときは、旅行主催者は、遅滞なく、しかし解除後 14 日以内に、必ず返済しなければならない。
第 651i 条 旅行の瑕疵の場合の旅行者の諸権利
(1)旅行主催者は、旅行者に旅行の瑕疵のないパック旅行を調達する義務を負う。
(2)パック旅行が合意された性質を有するときは、パック旅行に旅行の瑕疵はない。性質が合意されていない場合に、以下のときには、パック旅行に旅行の瑕疵はない
1.パック旅行が契約により前提とされた効用Nutzenに適しているとき、そうでなければ
2.パック旅行が通常の効用に適しており、かつ、同種のパック旅行の場合に通例であり、かつ、パック旅行の種類により旅行者が期待しうる性質を示しているとき。
旅行主催者が、旅行給付を調達しない又は不相当に遅れて調達するときにも、旅行の瑕疵が存する。
(3)パック旅行に瑕疵がある場合に、以下の規定の要件が存在し、かつ、別異の定めがないときは、旅行者は以下のことをなすことができる
1.第 651k 条第1項の規定により、瑕疵除去を請求する、
2.第 651k 条第2項の規定により、自ら瑕疵除去をなし、かつ、要した
費用の賠償を請求する、
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3.第 651k 条第3項の規定により、他の旅行給付(代替給付)による瑕疵除去を請求する、
4.第 651k 条第4項及び第5項の規定により、必要な宿泊のための費用の負担を請求する、
5.第 651l 条の規定により、契約を解約する、
6.旅行代金の減額(第 651m 条)から生ずる権利を主張する、及び
7.第 651n 条の規定により損害賠償を、又は、第 284 条の規定により無駄になった費用の賠償を、請求する。
第 651j 条 消滅時効
第 651i 条第3項の規定に挙げられている旅行者の請求権は、2年を以て消滅時効にかかる。時効期間は、パック旅行が契約により終了すべき日から開始する。
第 651k 条 瑕疵除去 Abhilfe
(1)旅行者が瑕疵除去を請求するときは、旅行主催者は旅行の瑕疵を除去しなければならない。以下の場合にのみ、旅行主催者は瑕疵除去を拒否できる
1.瑕疵除去が不能であるとき、又は
2.旅行の瑕疵の程度と当該旅行給付の価格の程度とを考慮して、瑕疵除去に不相当な費用を要するとき。
(2)第1項第2文の規定の例外を留保して、旅行主催者が旅行者の設定した相当な期間内に瑕疵除去をしないときは、旅行者は、自ら瑕疵除去をなし、かつ、要した費用の賠償を請求できる。瑕疵除去が旅行主催者から拒否されるとき、又は、即時の瑕疵除去が必要なときは、期間の設定は必要でない。
(3)旅行主催者が第1項第2文の規定により旅行の瑕疵の除去を拒否でき、かつ、旅行の瑕疵が旅行給付の重要な部分に関係しているときは、旅行
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主催者は、相当な代替給付によって瑕疵除去を提供しなければならない。代替給付が、本来義務として負担したパック旅行と比べて少なくとも同等の価値のある性質のものではないという結果を伴うときは、旅行主催者は旅行者に旅行代金の相当な引き下げをしなければならない;相当性は、第 651m 条第1項第2文の規定に従う。代替給付が契約で合意された給付に匹敵しないとき、又は、旅行主催者によって提供された旅行代金の引き下げが相当でないときは、旅行者は代替給付を拒否できる。この場合においては、又は、旅行主催者が代替給付を提供できないときは、旅行者の解約が問題とならないという条件付きで、第 651l 条第2項及び第3項の規定が適用される。
(4)出発地への又は当事者が同意した土地への旅行者の運送(帰路運送)が、契約に含まれており、かつ、回避不能な異常事態により不能である場合に、旅行主催者は、出来るだけ契約で合意したと同価値の宿泊での、最高 3 泊の期間に必要な旅行者の宿泊費用を負担しなければならない。
(5)以下の場合には、旅行主催者は、第4項の規定による最高3泊の期間の制限に依拠することはできない
1.直接適用可能な EU の規定によって、給付提供者が、より長期間の宿泊を旅行者に提供しなければならないとき、又は、このための費用を負担しなければならないとき、
2.旅行者が以下の人々 Personenkreise の1つに属しており、かつ、少なくとも旅行開始の 48 時間前までに旅行主催者が旅行者の特別な諸要求を知らされていたとき
a) 障害のある航空旅客及び移動に制限のある航空旅客の諸権利に関する 2006 年7月5日の欧州議会及び閣僚理事会の EG 規則第 1107/2006 号(ABl. L 204vom 26.7.2006, S.1 ; L 26 vom 26.1.2013, S.34)の第 2 条 a の規定の意味における移動に制限のある者及びその付添人、
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b) 妊婦、
c) 付添人のない未xx者、
d) 特別な医療上の看護を必要とする者。
第 651l 条 解約
(1)パック旅行が旅行の瑕疵により著しく侵害されるときは、旅行者は契約を解約できる。旅行主催者が旅行者により旅行主催者に設定された相当な期間を瑕疵除去をなすことなく経過せしめたときに、初めて解約が許される;第 651k 条第2項第2文の規定が準用される。
(2)契約が解約されると、旅行主催者は、履行された旅行給付及び第3項の規定によりパック旅行の終了のためになお履行されるべき旅行給付につき、合意された旅行代金の請求権を保持する;第 651i 条第3項第6号及び第7号の規定による旅行者の請求権は、影響を受けない。もはや提供され得ない旅行給付については、旅行主催者の合意された旅行代金請求権はなくなる;この点では、既に給付された支払代金は、旅行主催者から旅行者に払い戻されるべきである。
(3)旅行主催者は、契約の解消のために必要な措置を講じる義務、とりわけ、契約が旅行者の運送を含んでいるときは、遅滞なく旅行者の帰路運送を調達する義務を負う;このために取り入れられる運送手段は、契約で合意されたものと同価値でなければならない。帰路運送の増加費用は、旅行主催者の負担とする。
第 651m 条 減額
(1)旅行の瑕疵の期間につき旅行代金が減額される。減額にあたっては、契約締結の時に瑕疵のない状態でのパック旅行の価値が現実の価値に対してどのようであったかを対比して、旅行代金が引き下げられるべきである。必要なときは、減額は査定Schaetzung によって算定されるべきである。
(2)旅行者が減額された旅行代金より多く支払っていたときは、超過額は旅行主催者から払い戻されるべきである。第 346 条第1項及び第 347 条第
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1項の規定が準用される。
第 651n 条 損害賠償
(1)旅行の瑕疵が以下の場合を除き、旅行者は、減額又は解約とは関係なく、損害賠償を請求できる
1.旅行者の責めに帰せられるとき、
2.給付提供者でもない、パック旅行契約に含まれている旅行給付の提供にその他の方法で関与している者でもない、第三者の責めに帰せられ、かつ、旅行主催者にとって予見可能でなかった若しくは回避可能でなかったとき、又は
3.回避不能な異常事態によって惹起されたとき。
(2)パック旅行が挫折させられる又は著しく侵害されるときは、旅行者は、無駄に費消した休暇期間という理由でも相当な金銭補償を請求できる。
(3)旅行主催者が損害賠償義務を負うときは、旅行主催者は遅滞なく給付しなければならない。
第 651o 条 旅行者による瑕疵通知
(1)旅行者は、旅行主催者に旅行の瑕疵を遅滞なく通知しなければならない。
(2)第 1 項の規定による通知を有責に怠ったことにより、旅行主催者が瑕疵除去をなし得なかったときは、旅行者は以下の権限を有さない
1.第 651m 条の規定に定められている諸権利を主張すること、又は
2.第 651n 条の規定により損害賠償を請求すること。
第 651p 条 許される責任制限;算入
(1)旅行主催者は、旅行者との合意により以下の損害につき、その責任を旅行代金の3倍に制限できる
1.対人損害 Koerperschaeden でない損害、及び
2.有責に惹起されたのではない損害。
(2)それらによれば給付提供者に対する損害賠償請求権が一定の要件若しくは制限の下でのみ成立し若しくは主張されうる又は一定の要件の下で排
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除されている、国際協定若しくは国際協定に依拠した法律規定が、旅行給付に適用されるときは、旅行主催者も旅行者に対してこれに拠ることができる。
(3)旅行者が旅行主催者に対して損害賠償請求権又は減額による超過額の払い戻し請求権を有するときは、旅行者は、同一の出来事に基づいて国際協定若しくは国際協定に依拠した法律規定により、又は、以下の(EG又はEU)規則により、補償として又は減額による払い戻しとして受け取った金額を、算入することを容認しなければならない
1.運送しない Nichtbefoerderung 場合及びフライトのキャンセル又は重大な遅延の場合における航空旅客のための補償給付及び支援給付のための共通規定に関する、並びに EWG 規則第 295/91 号の廃止に関する、2004 年2月 11 日の欧州議会及び閣僚理事会の EG 規則第 261/2004 号(ABl. L 46 vom 17.2.2004, S.1)、
2.鉄道交通における乗客の権利及び義務に関する 2007 年 10 月 23 日の欧州議会及び閣僚理事会の EG 規則第 1371/2007 号(ABl. L 315 vom 3.12.2007, S.14)、
3.海上での旅行者についての運送人の事故責任に関する 2009 年4月 23 日の欧州議会及び閣僚理事会の EG 規則第 392/2009 号(ABl. L
131 vom 28.5.2009, S.24)、
4.海上交通及び内水交通における乗客の諸権利に関する、並びに EG規則第 2006/2004 号の改正に関する、2010 年 11 月 24 日の欧州議会及 び 閣 僚 理 事 会 の EU 規 則 第 1177/2010 号(ABl. L 334 vom 17.12.2010, S.1)、又は
5.バス交通における乗客の諸権利に関する、並びに EG 規則第 2006/2004 号の改正に関する、2011 年2月 16 日の欧州議会及び閣僚理事会の EU 規則第 181/2011 号(ABl. L 55 vom 28.2.2011, S.1)。
旅行者が旅行主催者から既に損害賠償を受け取ったとき、又は、減額に
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より旅行主催者から旅行者に既に金額が払い戻されたときは、旅行者は、受け取った金額を、同一の出来事により旅行者に補償として又は減額による払い戻しとして国際協定若しくは国際協定に依拠した法律規定により、又は、第1文の規定に挙げた規則により、旅行者に義務として負担されているものに、算入することを容認しなければならない。
第 651q 条 旅行主催者の援助義務
(1)旅行者が第 651k 条第4項の規定の場合に又はその他の理由から困難な状態にあるときは、旅行主催者は、旅行者に遅滞なく相当な方法で、とりわけ以下の方法により、援助を提供しなければならない
1.医療サービス、現地当局及び領事支援に関する適切な情報の提供、
2.遠距離通信連絡の確立の場合の支援、及び
3.他の旅行可能性の探索の場合の支援;第 651k 条第3項の規定は影響を受けない。
(2)旅行者が援助を必要とする事態を有責に自ら惹起した場合には、費用が相当でありかつ旅行主催者に事実上生じたものであるときは、旅行主催者は、その費用の賠償を請求できる。
第 651r 条 倒産担保;担保証書 Sicherungsschein
(1)旅行主催者の支払い不能 Zahlungsunfaehigkeit の場合において、以下のことが生じたときは、旅行主催者は、支払われた旅行代金が旅行者に払い戻されることを保証しなければならない
1.旅行給付が中止になること、又は
2.提供された旅行給付に関して、旅行主催者がその対価債権を履行しなかった給付提供者からの支払催告に旅行者が応じること。
契約が旅行者の運送をも含んでいるときは、旅行主催者は、さらに、合意された帰路運送及び帰路運送の時点までの宿泊を保証する義務を負う。旅行主催者の財産への倒産手続きの開始及び破産財団がないための開始申立の棄却は、支払い不能と同一に取り扱われる。
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(2)旅行主催者は、第1項の規定による義務を、以下の方法によってのみ履行できる
1.本法の適用範囲において営業権限を有する保険会社の保険によって、又は
2.本法の適用範囲において営業権限を有する金融機関の支払約束によって。
旅行主催者は、旅行者の住所、出発地及び契約締結の場所を顧慮せずに、担保を提供しなければならない。
(3)保険者又は金融機関(顧客の金銭防護者 Kundengeldabsicherer)は、旅行者にパック旅行の継続を提供できる。旅行者が第1項の規定による払い戻しを請求するときは、顧客の金銭防護者は、遅滞なくその請求を履行しなければならない。顧客の金銭防護者は、1事業年に全体として本法により彼から払い戻される金額についての責任を、1億1千万ユーロに制限できる。1事業年に全体として本法により顧客の金銭防護者から払い戻される金額が第3文の規定に挙げられた最高限度額を超えるときは、個々の払い戻し請求権は、その総金額が最高限度額に対する比率で減額される。
(4)旅行主催者は、第1項の規定による彼の義務の履行につき、顧客の金銭防護者に対する直接請求権を、旅行者に与えなければならず、かつ、民法施行法第 252 款の規定により顧客の金銭防護者又はその指示により作成された確認書(担保証書)によって証明しなければならない。民法施行法第 250 款第6条第2項第3号の規定により契約に挙げられている顧客の金銭防護者は、旅行者に対して、顧客の金銭防護契約からの抗弁にも、パック旅行契約の締結後に顧客の金銭防護契約の終了が生じたときは、顧客の金銭防護契約の終了にも、依拠できない。第2文の規定の場合に、顧客の金銭防護者が旅行者を満足させるときは、旅行主催者に対
する旅行者の請求権は、顧客の金銭防護者に移転する。
147 - 第 4 款 パック旅行契約、旅行仲介及びリンクされた旅行給付の仲介(xx)
第 651s 条 欧州経済地域に居住する旅行主催者の倒産担保
旅行主催者が、契約締結の当時、営業法第4条第3項の規定の意味におけるその居住地を EU の他の加盟国の1つに又は EU 加盟国以外の欧州経済地域協定の締約国の1つに有している場合に、旅行主催者が、パック旅行及びリンクされた旅行給付に関する、欧州議会及び閣僚理事会の EG 規則第 2006/2004 号及び EU 指令第 2011/83 号の改正に関する、並びに閣僚理事会の EWG 指令第 90/314 号の廃止に関する、2015 年 11 月 25 日の欧州議会及び閣僚理事会の EU 指令第 2015/2302 号(ABl. L 326 vom 11.12.2015, S.1)の第 17条の国内法化に関するこの他の国の規定に合致して担保を旅行者に提供しているときは、旅行主催者は、その倒産担保義務を果たしている。
第 651t 条 前払い
旅行主催者は、以下の場合にのみ、パック旅行の終了前に旅行者の旅行代金支払いを請求し又は受領してよい
1.有効な顧客の金銭防護契約が存在し、又は、第 651s 条の規定の場合には、旅行主催者が第 651s 条の規定により担保を提供し、かつ、
2.旅行者に明確に分かりやすくかつ強調された仕方で、顧客の金銭防護者の名前及び連絡データが、又は、第 651s 条の規定の場合には、倒産保護を提供する組織の名前及び連絡データが、並びに、場合によっては当該国家が指定した管轄官庁の名前及び連絡データが、提供されたとき。
第 651u 条 外国学校滞在 Gastschulaufenthalte
(1)最低3か月以上の期間にわたる、かつ、xxの学校通学と結合した外国(受け入れ国)の受け入れ家庭での生徒の滞在を目的とする契約には、第 651a 条第1項、第2項及び第5項、第 651b 条、第 651d 条第1項乃至第
4項及び第 651e 条乃至第 651t 条の規定が準用され、並びに、以下の各項の規定が適用される。より短期の外国学校滞在(第1文)又は実務修習 Praktikum のxxの実施と結合した受け入れ国の受け入れ家庭での滞
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在を目的とする契約には、これが合意されているときにのみ、本条の諸規定が適用される。
(2)外国学校滞在の提供者は、生徒の協力のもとに bei Mitwirkung 旅行主催者として以下の事柄につき義務を負う
1.受け入れ国の諸事情により適切な宿泊、受け入れ家庭における生徒の監督及び世話、及び
2.受け入れ国における生徒のxxの学校通学のための前提条件を作ること。
(3)旅行者が旅行開始前に契約を解除する場合に、旅行主催者が旅行者のために滞在を適切に準備し、かつ、遅くとも旅行開始の2週間前までに必ず以下の事柄について情報提供したときにのみ、第 651h 条第1項第3文、第2項の規定が適用される
1.到着後の生徒のために決定された受け入れ家庭の氏名と住所、及び
2.瑕疵除去も請求できる受け入れ国での相談相手の氏名及び連絡方法。
(4)旅行者は、旅行の終了までいつでも契約を解約できる。旅行者が解約するときは、旅行主催者は、合意された旅行代金から節約された費用を控除した額を請求する権利を有する。旅行主催者は、解約により必要な措置を講ずる義務、とりわけ契約が生徒の運送を含んでいたときは、生徒の帰路運送を配慮する義務を負う。増加費用は旅行者の負担とする。旅行者が第 651l 条の規定により解約できるときは、前記の各文の規定は適用されない。
第 651v 条 旅行仲介
(1)旅行者にパック旅行を仲介する事業者(旅行仲介人)は、民法施行法第 250 款第1条乃至第3条の規定により旅行者に情報を提供する義務を負う。彼は、これ(この情報提供義務の履行)により同時に、第 651d 条第
1項第1文の規定から生ずる旅行主催者の義務を(も)履行する。旅行仲介人は、その情報提供義務の履行につき旅行者に対して証明責任を負う。
145 - 第 4 款 パック旅行契約、旅行仲介及びリンクされた旅行給付の仲介(xx)
(2)旅行仲介人による旅行代金支払いの受領については、第 651t 条第2号の規定が準用される。旅行仲介人が民法施行法第 250 款第6条の規定の要求に対応した契約の写し又は確認書を提供するとき、又は、旅行仲介人が旅行主催者から彼のためにパック旅行を仲介することを委託されていることをその他の旅行主催者に帰責される事由が明らかにするときは、旅行仲介人は、旅行主催者から旅行代金の支払受領につき権限を与えられているものと見なす。旅行仲介人による支払金額の受領が旅行者に対して強調された形式で排除されているときは、このことは適用されない。
(3)旅行主催者が契約締結の時点にその住所を EU の加盟国の1つに又は他の欧州経済地域協定締約国の1つに有していないときには、旅行主催者が第 651i 条乃至第 651t 条の規定から生ずる旅行主催者の義務を履行していることを旅行仲介人が証明しない限り、これらの規定による旅行主催者の義務は旅行仲介人に帰せられる。
(4)旅行仲介人は、旅行者の瑕疵通知並びに旅行給付の提供に関するその他の意思表示を受け取る権限を旅行主催者から授権されているものと見なす。旅行仲介人は旅行主催者に遅滞なくこれらの旅行者の意思表示について知らせなければならない。
第 651w 条 リンクされた旅行給付 verbundene Reiseleistungen の仲介
(1)事業者が、パック旅行でない同一の旅行のために、以下のことを仲介するときは、事業者は、リンクされた旅行給付の仲介人である
1.事業者の販売所への唯一の訪問又は事業者の販売所との唯一のコンタクトにより、少なくとも2つの異なる種類の旅行給付に関して旅行者に他の事業者との契約を仲介し、かつ、旅行者がこれらの給付を別々に選択し、かつ
a) 別々に支払うこと、若しくは
b) それぞれの給付に関して別々に支払う義務を負うこと、又は、
2.事業者が1つの旅行給付に関する1つの契約を締結した旅行者に、
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又は、事業者がこのような契約を仲介した旅行者に、適切な方法で in gezielter Weise 他の種類の1つの旅行給付に関して他の事業者との契約を仲介し、かつ、最初の旅行給付の契約締結の確認後、遅くとも 24 時間内に他の契約が締結されること。
特に事業者が旅行者をただ他の事業者と接触させるだけのときには、第
1文第2号の意味における適切な方法での仲介は存しない。その他の点では、第1文には民法第 651a 条第4項第1文第1号、第2文及び第5項第1号及び第3号の規定が準用される。民法第 651a 条第5項第2号の規定は、旅行代金の額に関係なく準用される。
(2)リンクされた旅行給付の仲介人は、民法施行法第 251 款の規定により旅行者に情報提供する義務を負う。
(3)リンクされた旅行給付の仲介人が、旅行給付の報酬につき旅行者の支払代金を受け取る場合には、リンクされた旅行給付の仲介人自身が、旅行給付を提供しなければならず、又は、第1項第1文の規定の意味における他の事業者の対価債権をなお履行しなければならず、かつ、リンクされた旅行給付の仲介人の支払い不能により以下のときには、リンクされた旅行給付の仲介人は、受け取った支払代金が旅行者に払い戻されることを保証しなければならない
1.旅行給付が中止になるとき、又は
2.提供された旅行給付に関して弁済されていない第1項第1文の規定の意味における他の事業者の支払催告に旅行者が応じるとき。
リンクされた旅行給付の仲介人が、自ら旅行者の運送につき義務を負っているときは、彼はさらに合意された帰路運送及び帰路運送の時点までの宿泊を保証しなければならない。リンクされた旅行給付の仲介人の財産への倒産手続きの開始及び破産財団がないための開始申立の棄却は、支払い不能と同一に取り扱われる。第 651r 条第2項乃至第4項並びに第 651s 条及び第 651t 条の規定が準用される。
143 - 第 4 款 パック旅行契約、旅行仲介及びリンクされた旅行給付の仲介(xx)
(4)リンクされた旅行給付の仲介人が、第2項及び第3項の規定から生じるその義務を履行しないときは、彼と旅行者との法律関係に、第 312 条第
7項第2文並びに第 651e 条、第 651h 条乃至第 651q 条及び第 651v 条第
4項の規定が準用される。
(5)第1項の規定による仲介により、旅行者と旅行給付に関する1つ又は多数の契約が成立するときは、その時々の他の事業者は、リンクされた旅行給付の仲介人に契約締結の事実について情報提供しなければならない。リンクされた旅行給付の仲介人が、他の事業者の代理人として契約を締結したときは、第1文の規定による義務は存しない。
第 651x 条 予約ミスについての責任
旅行者は、以下の損害の賠償請求権を有する
1.その時々の事業者が技術的瑕疵の責任を負わないときを除き、旅行主催者、旅行仲介人、リンクされた旅行給付の仲介人又は給付提供者の予約システムにおける技術的瑕疵により旅行者に生じた損害、
2.ミスが旅行者の責めに帰されるとき又は回避不能な異常事態によって惹起されたときを除き、第1号に挙げられた事業者の1人が予約過程の間にxxによって惹起した損害。
第 651y 条 逸脱した合意
別異の定めがない限り、xxの諸規定から旅行者の不利に逸脱することは許されない。別異の定めがない限り、xxの諸規定が別の形式 Gestaltung によって回避されるときも、xxの諸規定が適用される。