Contract
建設工事請負契約書第25条第6項の運用
1 適用対象工事
(1)インフレスライド条項建設工事請負契約書第25条第6項(以下「インフレスライド条項」という。)に係る請求は、2(3)に定める残工期が2(2)に定める基準日から2ヶ月以上あること。
(2)発注者及び受注者によるインフレスライド条項の適用対象工事とするかどうかの確 認は、工期内に賃金水準の変更(公共工事設計労務単価の変更をいう。以下同じ。)がなされた後とする。の確認時期は、賃金水準又は物価水準が変動した後とする。
2 請求日及び基準日等について の定義
請求日及び基準日等の定義は、以下のとおりとする。
(1)請求日:インフレスライド変更 条項に係る、発注者又は受注者が請負代金額の変更の協議(以下「インフレスライド協議」という。)を請求した日とする。
(2)基準日:請求があった日から起算して、14日以内で発注者と受注者が協議して定める日とし、請求日とすることを基本とする。
(3)残工期:基準日以降の工事期間とする。
3 インフレスライド協議の請求
発注者又は受注者からのインフレスライド協議の請求は、直近の賃金水準の変更があ った日から、次の賃金水準の変更がなされる日までの間に 賃金水準又は物価水準の変動があった場合に書面により行うものとする。
4 請負代金額の変更
(1)賃金水準又は物価水準の変動による請負代金額の変更額(以下「インフレスライド額」という。)は、当該工事に係る変動額のうち請負代金額から基準日における出来形部分に相応する請負代金額を控除した額の100 分の1に相当する金額を超える額とする。
(2)増額インフレスライド額については、次式により行う。 S増=[P2-P1-(P1×1/100)]
この式において、S増、P1及びP2は、それぞれ次の額を表すものとする。 S増:増額インフレスライド額
P1:請負代金額から基準日における出来形部分に相応する請負代金額を控除した額
P2:変動後(基準日)の賃金又は物価を基礎として算出したP1に相当する額
(P=Σ(α×Z)、α:請負比率(落札率)、Z:官積算額)
(3)減額インフレスライド額については、次式により行う。 S減=[P2-P1+(P1×1/100)]
この式において、S減、P1及びP2は、それぞれ次の額を表すものとする。
S減:減額インフレスライド額
P1:請負代金額から基準日における出来形部分に相応する請負代金額を控除した額
P2:変動後(基準日)の賃金又は物価を基礎として算出したP1に相当する額
(P=Σ(α×Z)、α:請負比率(落札率)、Z:官積算額)
(4)インフレスライド額は、労務単価、材料単価、機械器具損料・賃料、市場単価並びにこれらに伴う共通仮設費、現場管理費及び一般管理費等の変更について行われるものであり、歩掛の変更については考慮するものではない。
5 残工事量の算定
(1) 基準日における残工事量を算定するために行う出来形数量の確認は、数量総括表に対応して出来高確認を行うものとすること。
(2) 基準日までに変更契約を行っていないが先行指示(質問回答書、指示、協議)されている設計量についても、基準日以降の残工事量についてはインフレスライド条項の適用対象とすること。
(3) 現場搬入材料については、認定したものは出来形数量として取り扱うこと。また、下記の材料等についても出来形数量として取り扱うこと。
・工場製作品については、工場での確認又はミルシート等で在庫確保が証明できる材料。
・基準日以前に配置済みの現地据付型の建設機械及び仮設材料等(架設用クレーン、仮設鋼材など)。
・契約書にて工事材料契約の完了が確認でき、近隣のストックヤード等で在庫確認が可能な材料。
(4) 数量総括表で一式明示した仮設工についても出来形数量の対象とすることができる。
(5) 出来形数量の計上方法については、発注者側に換算数量がない場合は、受注者側の当該工種に対する構成比率により出来形数量を算出してもよい。
(6)受注者の責めに帰すべき事由により遅延していると認められる工事量は、増額インフレスライドの場合は、出来形部分に含めるものとし、減額インフレスライドの場合は、出来形部分に含めないものとする。
6 物価指数
発注者は、積算に使用する単価を用いた変動率を物価指数とすることを基本とする。なお、受注者の協議資料等に基づき双方で合意した場合は別途の物価指数を用いる
ことができる。
7 変更契約の時期
インフレスライド額に係る契約変更は、精算に係る変更契約を行う時にあわせて行うことができる。
8 全体スライド及び単品スライド条項の併用
(1)建設工事請負契約書第25 条第1項から第4項までに規定する全体スライド条項に基づく請負代金額の変更を実施した後であっても、本通知によるインフレスライド協議を請求することができる。
(2)本通知に基づき請負代金額の変更を行うことを決定した後であっても、建設工事請負契約書第25条第5項に規定する単品スライド条項に基づく請負代金額の変更を請求することができる。
9 インフレスライド協議における留意事項
受注者に対して、元請企業と下請企業との間で既に締結している請負契約(2次以下の下請契約を含む。)の金額の見直しや、技能労働者の賃金水準の引上げ等について適切に対応するよう要請すること。また、要請にあたっては、別添資料を配付すること。
10 その他
その他の事項については、別添「賃金等の変動に対する 建設工事請負契約書第25条第6項(インフレスライド条項)運用マニュアル」による。